JPH05238725A - 高純度水酸化マグネシウム - Google Patents

高純度水酸化マグネシウム

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JPH05238725A
JPH05238725A JP33448491A JP33448491A JPH05238725A JP H05238725 A JPH05238725 A JP H05238725A JP 33448491 A JP33448491 A JP 33448491A JP 33448491 A JP33448491 A JP 33448491A JP H05238725 A JPH05238725 A JP H05238725A
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magnesium hydroxide
less
seawater
boron
cao
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JP33448491A
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Masatoshi Yamamoto
公聖 山元
Akira Kaneyasu
彰 兼安
Shinichi Yamamoto
新一 山本
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Ube Chemical Industries Co Ltd
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Ube Chemical Industries Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01FCOMPOUNDS OF THE METALS BERYLLIUM, MAGNESIUM, ALUMINIUM, CALCIUM, STRONTIUM, BARIUM, RADIUM, THORIUM, OR OF THE RARE-EARTH METALS
    • C01F5/00Compounds of magnesium
    • C01F5/14Magnesium hydroxide

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 海水、苦汁又はカン水と、ドロマイトか焼物
又は石灰或はそれらの水和物との反応により生成したも
のであつて、重量%で表わして、灼熱基準で、 MgO 99.3 %以上 CaO 0.3 %以下 SiO2 0.2 %以下 B23 0.03%以下 Fe23とAl23の合計量 0.15%以下 の組成を有することを特徴とする高純度水酸化マグネシ
ウム。 【効果】 高純度、高嵩密度且つ粗大結晶粒のマグネシ
アクリンカーを与えるに好適な、カルシウムと共にホウ
素含量の極めて少ない高純度水酸化マグネシウムを提供
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は高純度水酸化マグネシウムに関す
る。
【0002】製鋼技術の進歩に伴ない耐火物に対する要
求物性も次第に厳しいものとなつている。製鋼炉材とし
て用いられるマグネシアクリンカーについて歴史的に見
ると、最初は純度の高められた換言すれば酸化マグネシ
ウム含量の高いマグネシアクリンカーの開発が望まれ、
その後高嵩密度の換言すれば気孔率の少ないマグネシア
クリンカーが望まれ、最近ではさらにペリフレーズ結晶
粒の大きなマグネシアクリンカーの開発が望まれてい
る。
【0003】海水、苦汁あるいはかん水を起源とする水
酸化マグネシウム(以下海水起源の水酸化マグネシウム
という)はこれらの起源中に存在する種々の不純物を不
可避的に含有し、それ故不純含量の多寡はそのまま最終
製品であるマグネシアクリンカー(以下海水起源のマグ
ネシアクリンカーという)の品質に影響する。そのよう
な不純物は海水起源のマグネシアクリンカー中に例えば
酸化ホウ素(B23)、酸化カルシウム(CaO)ある
いは二酸化ケイ素(SiO2)として含有される。
【0004】不純物含量の少ないマグネシアクリンカー
の開発が一応の水準に達したのち、純度向上のみでは耐
火物に所望の十分な特性を付与できないことが次第に明
らかとなり、特に不純物としてのB23がマグネシアク
リンカーを用いた耐火物の性質例えば耐火物の熱間物
性、耐スポーリング性あるいは耐スラグ性に大きく影響
することが明らかとなり、B23含有量の可及的に少な
い高純度且つ高密度マグネシアクリンカーを提供する種
々の方法が近年になつて提案されている。
【0005】B23含有量の少ないマグネシアクリンカ
ー(以下低ホウ素マグネシアクリンカーという)を製造
する方法には大きく分けて2つの方法がある。1つの方
法は原料となる水酸化マグネシウムのホウ素含有量を低
減せしめる方法であり、第2の方法は水酸化マグネシウ
ムを焼成する際にホウ素を揮散せしめようとする方法で
ある。前者の方法は、例えば海水にMg(OH)2を加え
て海水中のホウ素化合物をMg(OH)2に吸着させて除
去する方法(特公昭45−53号公報参照)あるいは海
水にZr(OH)4を加えて海水中のホウ素化合物をZr
(OH)4に同様に吸着させて除去する方法(特公昭51
−5839号公報参照)である。特公昭51−5839
号の記載によれば、Zr(OH)4はMg(OH)2よりも高
いホウ素吸着能を示すようであるが、Zr(OH)4を用
いた場合においてさえ例えばホウ素含有量3ppm(B
23として)程度の少ないホウ素含有量の海水を得よう
とすると原海水中に存在するホウ素に対し約300倍程
度の量で使用する必要のあることが記載されている。特
にZr(OH)4を吸着剤として使用する方法では、Zr
(OH)4が僅かではあるが海水中に残存するため、Zr
(OH)4を含有する水酸化マグネシウムを与えることに
なる。
【0006】また、海水と石灰とを反応させる際に、石
灰を過剰に用いてpHを11以上とし生じる水酸化マグ
ネシウムにホウ素が吸着されるのを防止しようとする方
法がある。この方法では、しかしながら、灼熱基準でB
23を0.10重量%まで低下させるとCaOが2.49
重量%に増大し、B23を0.04重量%まで低下させ
ればCaOは5.06重量%に増大する如く、ホウ素を
低下させれば水酸化カルシウムの量が増加した水酸化マ
グネシウムしか得ることができない(特公昭57−31
547号の第1表参照)。このため、特公昭57−31
547号の発明では、上記の如く精製水酸化マグネシウ
ムを700〜1100℃で軽焼し次いで得られた軽焼物
を多量の海水中に投じて再び水和せしめて、水酸化カル
シウム含量の少ない精製水酸化マグネシウムを製造し、
この精製水酸化マグネシウムを焼成して、B23含量の
最も少ないものとしてMgO 99.6重量%、CaO
0.10重量%およびB23 0.011重量%の化学組
成を有し且つ高密度3.47g/cm3の高純度高密度マ
グネシアクリンカーを得ている。特公昭57−3154
7号の方法は、石灰を過剰に用いるのみならず精製工程
を必要とし、エネルギー損失が大きいので工業的に有利
な方法とは必ずしも云い難い。
【0007】焼成特にホウ素を揮散せしめる第2の方法
は、水酸化マグネシウムに例えば炭酸ソーダ等のナトリ
ウム塩を添加して、ホウ素をNa247として焼成時
に揮散せしめる方法である(米国特許第3,275,46
1号明細書参照)。この方法は、得られるマグネシアク
リンカーの気孔率を増加させる傾向がある。
【0008】また、山元等は水酸化マグネシウム中の水
酸化カルシウム不純物含量を少なくすれば、これを焼成
した際ホウ素がB23として揮散し易く結果としてB2
3含量の低い高純度・高密度マグネシアクリンカーが
得られることを明らかにし、脱炭酸海水に石灰を加えて
得た水酸化マグネシウムを分離後軽焼し、再び海水又は
水中に投入して再水和せしめ、該水酸化マグネシウムか
ら不純物である水酸化カルシウムを除去して水酸化カル
シウム含量の少ない水酸化マグネシウムを製造し、これ
を焼成せしめて、B23含量が最も少ないものとして、
MgO 99.63%、CaO 0.24%、SiO2 0.
14%、Fe20.04%、Al23 0.05%およ
びB23 0.008%の組成を有し且つ3.42g/c
3の嵩密度を有する高純度高密度のマグネシアクリン
カーを得ている(耐火物25巻548頁1973年、特
にTable8参照)。上記高純度高密度マグネシアク
リンカーは、この文献によれば灼熱基準でB23含量
0.139重量%の水酸化マグネシウムを焼成すること
により得られている。
【0009】一方、ごく最近になつてマグネシア−カー
ボンレンガの需要が急激に増加している。マグネシア−
カーボンレンガはマグネシアクリンカーとグラフアイト
とを混合して加圧成型した不焼成レンガであつて、従来
多量に用いられてきたマグネシアレンガよりも非常に優
れた耐スポーリング性、耐スラグ性を有している。その
理由はグラフアイトがマグネシアクリンカーのクツシヨ
ン材として働きまたスラグに対して濡れが悪いことによ
ると考えられている。マグネシア−カーボンレンガの消
耗する機構はそれ故グラフアイト部分がスラグにより浸
蝕されるのではなく、マグネシアクリンカー部分がスラ
グにより次第に浸蝕されることによると考えられてい
る。最近になつてマグネシア−カーボンレンガに使用す
るに適したマグネシアクリンカーとしてペリクレーズ結
晶粒の大きなものが要求され、実際にそのようなペリク
レーズ結晶粒の大きなマグネシアクリンカーを用いたマ
グネシア−カーボンレンガが一層優れた耐スポーリング
性等を有することも実証されている。
【0010】しかしながら、上記した耐火物25巻54
7頁1973年の第16図に記載されているように、従
来海水起源のマグネシアクリンカーで、ペリクレーズ結
晶粒の大きさが50ミクロンを超えるものは報告されて
いない。
【0011】それ故、本発明の目的は高純度、高嵩密度
且つ粗大結晶粒のマグネシアクリンカーを与えるに好適
な、カルシウムと共にホウ素含量の極めて少ない高純度
水酸化マグネシウムを提供することにある。
【0012】本発明のさらに他の目的および利点は以下
の説明から明らかとなろう。
【0013】本発明によれば、本発明の上記目的および
利点は、重量%で表わして、灼熱基準で、 MgO 99.3 %以上 CaO 0.3 %以下 SiO2 0.2 %以下 B23 0.03%以下 Fe23とAl23の合計量 0.15%以下 Fe23およびAl23の合計量を100重量%とす
る、の組成を有し、海水、苦汁又はカン水と、ドロマイ
トか焼物又は石灰或はそれらの水和物との反応により生
成したものである高純度水酸化マグネシウムが提供され
る。
【0014】本発明の上記高純度水酸化マグネシウム
は、下記の方法に従つて製造することができる。以下本
方法を先ず説明する。
【0015】すなわち、本方法によれば、本発明の高純
度水酸化マグネシウムは、海水、苦汁又はカン水または
それらの脱炭酸処理液を、ホウ素含有陰イオンを捕捉し
うるイオン交換樹脂で処理し、必要に応じ該イオン交換
樹脂処理の前又は後で脱炭酸又は不溶性炭酸塩を除去
し、これをドロマイトか焼物又は石灰或はそれらの水和
物と反応せしめて、重量%で表わして、灼熱基準で、 MgO 99.3 %以上 CaO 0.3 %以下 SiO2 0.2 %以下 B23 0.05%以下 (好ましくは 0.03%以下) Fe23とAl23の合計量 0.15%以下 但し、MgO、CaO、SiO2、B23、Fe23
よびAl23の合計量を100%とする、の組成を有す
る高純度水酸化マグネシウムを生成せしめることによつ
て製造することができる。
【0016】本方法において用いられるマグネシウム含
有水溶液は海水、苦汁又はかん水あるいはそれらの脱炭
酸処理液である。脱炭酸処理液は海水、苦汁又はかん水
に公知の方法に従つて例えば水酸化カルシウムの如きア
ルカリ性化合物を添加するか又は硫酸の如き強酸を添加
することによつて得ることができる。
【0017】本方法において用いられるイオン交換樹脂
は、ホウ素含有陰イオンを捕捉し得るものである。かか
るイオン交換樹脂としては、ホウ素含有陰イオンの捕捉
基としての例えば多価アルコール残基を、ペンダント基
として有するものが好ましく用いられる。例えば、ペン
ダント基として、下記式
【0018】
【化1】−CnH2n−N(R)−Z ここで、nは1〜4の整数であり、Rは一価の炭化水素
基であり、Zはペンタヒドロキシヘキシル基又はテトラ
ヒドロキシペンチル基であるで表わされる基を含有する
イオン交換樹脂が例示される。
【0019】上記式中、Rは例えばメチル、エチル、プ
ロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ラウリル、シク
ロヘキシル、フエニル、ベンジルの如き一価の炭化水素
基である。
【0020】Zを表わすペンタヒドロキシヘキシル基は
式 −C68(OH)で表わすことができ、例えばソル
ビチル、マンニチル、ガラクチチル等である。またテト
ラヒドロキシペンチル基は式 −C56(OH)で表わ
すことができ、例えばアラビチル、リビチル等である。
【0021】このようなイオン交換樹脂としては、例え
ば下記式
【0022】
【化2】 で表わされるN−メチルグルカミン基を有するものが好
ましく用いられる。本発明において用いられる上記の如
きイオン交換樹脂は例えば米国特許第2,813,838
号明細書に開示されている。この米国特許明細書の記載
は本明細書の一部として引用される。
【0023】従来、ホウ素選択性のこのようなイオン交
換樹脂を用いて海水あるいは濃縮された苦汁からホウ素
を除去する可能性が示唆されてはいるが[インターセラ
ム(Interceram)、NR、3、1973、頁212〜2
18参照]、このようなイオン交換樹脂を用いて処理し
た海水からマグネシアクリンカー製造のための高純度水
酸化マグネシウムを製造した例は知られておらず従つて
このようなイオン交換樹脂を用いることによつてどの程
度のホウ素含有量を有する水酸化マグネシウムが得られ
るかも全く知られていない。
【0024】本方法によれば、海水等のマグネシウム含
有水溶液(好ましくはpH8〜10)は好ましくは上記
イオン交換樹脂を充填した塔を通過せしめることによつ
て処理される。マグネシウム含有水溶液の処理速度は、
イオン交換樹脂1m3当り1分間に約0.1〜0.6m3
するのが適当である。イオン交換樹脂は通常酸付加塩と
して市販されており使用に際してはアルカリ例えば苛性
ソーダあるいはアンモニアで遊離型に変換して用いるこ
とが一般に推奨されているが、本発明によればイオン交
換樹脂は酸付加塩例えば塩酸塩あるいは硫酸塩のままで
使用することができ、またその方が遊離型で使用するよ
りもCaO含有量の極めて少ない水酸化マグネシウムを
得る上でむしろ好ましいことが明らかとされた。イオン
交換樹脂は硫酸あるいは塩酸の如き強酸で処理すること
により再生することができるが、本方法によればそれ故
ホウ素含有陰イオン例えばホウ素陰イオンで飽和された
使用済のイオン交換樹脂は強酸で再生後アルカリで処理
することなしにそのまま海水等のマグネシウム含有水溶
液の処理に再使用できる利点がある。
【0025】本方法によれば、マグネシウム含有水溶液
は、イオン交換樹脂で処理する前にあるいは処理したの
ちに、必要に応じ脱炭酸又は不溶性炭酸塩を除去せしめ
ることができる。
【0026】脱炭酸はマグネシウム含有水溶液に空気を
吹込みながら強酸例えば硫酸又は塩酸等を添加すること
によつて行なうことができ、不溶性炭酸塩の除去は濾過
例えば砂濾過によつて行うことができる。
【0027】本方法によれば、マグネシウム含有水溶液
が海水、苦汁又はカン水の場合にはイオン交換樹脂処理
の前又は後に脱炭酸処理をすることができ、またアルカ
リ性化合物によつて処理された脱炭酸処理液の場合には
イオン交換樹脂処理の前又は後に不溶性炭酸塩を該脱炭
酸処理液から除去することができる。
【0028】本方法によれば、好ましくは海水、苦汁又
はカン水の脱炭酸処理液を濾過して該脱炭酸処理液中の
炭酸イオン又は不溶性炭酸塩を除去し次いでイオン交換
樹脂処理に付すか、あるいは海水、苦汁又はカン水をイ
オン交換樹脂で処理し、次いで得られた処理水を脱炭酸
するかあるいは濾過して不溶性炭酸塩を除去することに
より、B23のみならずCaO含有量の少ない水酸化マ
グネシウムを得ることができる。
【0029】イオン交換樹脂で処理された処理水は非常
に低い濃度でホウ素を含有し例えばB23換算で12〜
13ppmのホウ素を含有する脱炭酸処理液からイオン
交換樹脂処理によりB23換算で1ppm以下の処理液
を製造することができる。本発明によればこの処理水は
次いでドロマイトか焼物又は石灰あるいはそれらの水和
物とそれ自体公知の方法に従つて反応せしめられ、重量
%で表わして、灼熱基準で、下記組成 MgO 99.3 %以上 CaO 0.3 %以下 SiO2 0.2 %以下 B23 0.05%以下 (好ましくは 0.03%以下) Fe23とAl23の合計量 0.15%以下 を有する本発明の高純度水酸化マグネシウムを生成す
る。
【0030】この高純度水酸化マグネシウムは特にCa
OとB23とを非常に低水準で含有する点に特徴を有
し、後に詳述するとおり高密度粗大結晶粒を有するマグ
ネシアクリンカーを与える。海水起源の水酸化マグネシ
ウムとして、上記の如く不純物含有が極めて少ない高純
度水酸化マグネシウムは従来知られていない。
【0031】本方法によれば、CaOとB23を非常に
低水準で含有する上記組成の本発明の高純度水酸化マグ
ネシウムを、加圧成形後焼成することによつて高密度粗
大結晶粒マグネシアクリンカーを製造することができ
る。加圧成形は通常2〜3トン/cm2の加圧下で約1.
5〜1.7g/cm3の密度の成形体を与えるように行う
のが望ましい。また、焼成は通常1900〜2100℃
の温度で、約15分〜1時間の間実施される。
【0032】かくして重量%で表わして、酸化物として MgO 99.3 %以上 CaO 0.3 %以下 SiO2 0.2 %以下 B23 0.01%未満 Fe23とAl23の合計量 0.15%以下 但し、MgO、CaO、SiO2、B23、Fe23
よびAl23の合計量を100重量%とする、の組成を
有し、且つ嵩密度が3.40g/cm3以上であつて、後
に定義する方法で測定してマグネシアのペリクレーズ結
晶の平均粒径が60ミクロン以上、好ましくは80ミク
ロン以上である高密度粗大結晶粒マグネシアクリンカー
が提供される。
【0033】上記本発明方法の優れた特徴の1つは、海
水、苦汁又はカン水あるいはこれらの脱炭酸処理液をホ
ウ素含有陰イオンを捕捉し得るイオン交換樹脂で処理
し、CaO及びB23を非常に低水準でしか含有しない
高純度の水酸化マグネシウムを生成する点に有る。また
本発明の他の特徴はかかる高純度水酸化マグネシウムを
焼成することにより上記の如く嵩密度が3.40g/c
3以上であるのみならずペリクレーズ結晶の平均粒径
が60ミクロン以上という非常に大きなマグネシアクリ
ンカーを生成しうる点にもある。
【0034】灼熱基準で、CaOが0.3重量%以下で
ありB23が0.05重量%である、CaOの含有量と
23の含有量がいずれも極めて低水準にある高純度水
酸化マグネシウムを焼成することによつて、上記の如く
粗大結晶粒を有するマグネシウムクリンカーが得られる
ことは本発明者によつて初めて明らかにされた事実であ
る。
【0035】上記高純度粗大結晶粒マグネシアクリンカ
ーは、好ましくは70ミクロン以上、より好ましくは8
0ミクロン以上、特に好ましくは90ミクロン以上の平
均粒径のマグネシアのペリクレーズ結晶を有する。
【0036】上記高純度粗大結晶粒マグネシアクリンカ
ーは、好ましくは3.42g/cm3以上、より好ましく
は3.43g/cm3以上の嵩密度を有する。
【0037】また、上記高純度粗大結晶粒マグネシアク
リンカーは、好ましくは、重量%で表わして、酸化物と
して、 MgO 99.4 %以上 CaO 0.25%以下 SiO2 0.2 %以下 B23 0.01%未満 Fe23とAl23の合計量 0.15%以下 の組成を有する。
【0038】以下、実施例により本発明をより詳細に説
明するが、本発明は実施例により何んらの限定も受ける
ものではない。
【0039】なお、本明細書における種々の物性値は下
記の方法で測定したものである。
【0040】化学組成 日本学術振興会第124委員会試験法分科会において決
定された“学振法1マグネシアクリンカーの化学分析方
法”(1981年版 耐火物手帳参照)に準じて測定し
た。
【0041】特にB23の分析に関しては同委員会にて
検討の上学振法として採用されたクルクミン(吸光光度
法)により行なつた。
【0042】嵩密度(かさ比重) 日本学術振興会第124委員会試験法分科会において決
定された“学振法2マグネシアクリンカーの見掛気孔
率、見掛け比重及びかさ比重の測定方法”(1981年
版 耐火物手帳参照)に準じ、下記の計算法より求め
た。
【0043】
【数1】 :クリンカーの乾燥重量(g) W:白灯油で飽和した試料の白灯油中の重量(g) W:白灯油で飽和した試料の重量(g) S :測定温度における白灯油の比重(g/cm3ペリクレーズ結晶の平均粒径 クリンカーの粒度分布を考慮し、5〜10mm程度のも
のを無作意に取り出す。これを切削研磨しその研磨面を
反射顕微鏡で観察する。代表的と見なされる部分3ケ所
の写真を倍率20倍にて撮影し、これらを3倍に引き伸
ばして印画紙に焼き付ける。3枚の写真中のペリクレー
ズ粒子につき、その最大径の大きい方から50個選びそ
の最大粒子径を測定し、その平均値をもつてペリクレー
ズ結晶の平均粒径とする。
【0044】
【実施例】
実施例1 海水中溶存炭酸イオン(CO2換算値80ppm)を石
灰乳の添加によりCO2換算値10ppmまで低減した
後、砂濾過機にて濾過した。この脱炭酸処理液はホウ素
をH3BO3として約12ppm含有した。更にこの溶液
をホウ素含有陰イオンを捕捉しうるイオン交換樹脂(N
−メチルグルカミン基含有、硫酸塩型)100 lを充
填した吸着塔中を40 l/分の速度で通過させ、H3
3を該樹脂に吸着させ、H3BO3含有量0.70ppm
の低ホウ素含有海水を生じた。この海水と石灰乳とを反
応率92%で反応させ、生成した水酸化マグネシウム沈
殿を濾別後脱炭酸処理した上水にて洗浄し表−1に示す
ような高純度水酸化マグネシウムを生成した。
【0045】表1中に示した数字は重量%を表わし、1
g Lossは灼熱時消失分を表わしている。
【0046】
【表1】 参考例1 実施例1にて生成した水酸化マグネシウムを乾燥機中で
水分含有量8重量%まで乾燥した。更にこれを成形圧力
3t/cm3で加圧成型した後、酸素・プロパンガス炉
により2000℃で高温焼成した。このマグネシアクリ
ンカーの化学組成、嵩密度、およびペリクレーズ結晶の
平均粒径を表−2に示した。またペリクレーズ結晶を示
す写真を第1図に示した。
【0047】
【表2】 実施例2 実施例1の方法において、脱炭酸処理液の吸着塔の通過
速度を30 l/分に変える他は、実施例1と同様にし
て処理し、H3BO3含有量0.45ppmの低ホウ素海
水を生成した。この海水と石灰乳とを反応率92%にて
反応させ、生成した水酸化マグネシウム沈殿を濾別後、
脱炭酸処理した水にて洗浄し、表−3に示すような高純
度水酸化マグネシウムを生成した。
【0048】
【表3】 参考例2 実施例2で生成した水酸化マグネシウムを参考例1に記
載した方法と全く同様にして焼結して得たマグネシアク
リンカーの化学組成、嵩密度およびペリクレーズ結晶の
平均粒径を表−4に示した。またペリクレーズ結晶の写
真を第2図に示した。
【0049】
【表4】 比較例1 実施例1に記載したと同様の方法により脱炭酸処理した
海水100 l中に水酸化マグネシウムケーキを乾燥物
換算で2.7kg添加し充分に撹拌混和することにより
海水中のホウ素を吸着させ、5.75ppm H3BO3
量まで低減した。この海水と石灰乳とを反応率92%で
反応させ、生成した水酸化マグネシウムを脱炭酸処理し
た上水にて洗浄し、表−5に示すような精製水酸化マグ
ネシウムを製造した。
【0050】
【表5】 この精製水酸化マグネシウムを参考例1に記載したと同
様な方法により焼結した。得られたクリンカーの化学組
成、嵩密度およびペリクレーズ結晶粒径を表−6に示し
た。またペリクレーズ結晶の写真を第3図に示した。
【0051】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高純度水酸化マグネシウムから得られ
たマグネシアクリンカーのペリクレーズ結晶の構造を示
す顕微鏡写真(倍率約150倍)である。写真の中に示
されたスケールの最小目盛りは10μを表わしている。
【図2】本発明の高純度水酸化マグネシウムから得られ
たマグネシアクリンカーのペリクレーズ結晶の構造を示
す顕微鏡写真(倍率約150倍)である。
【図3】比較の水酸化マグネシウムから得られた比較の
マグネシアクリンカーのペリクレーズ結晶の構造を示す
顕微鏡写真(倍率約150倍)である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海水、苦汁又はカン水と、ドロマイトか
    焼物又は石灰或はそれらの水和物との反応により生成し
    たものであつて、重量%で表わして、灼熱基準で、 MgO 99.3 %以上 CaO 0.3 %以下 SiO2 0.2 %以下 B23 0.03%以下 Fe23とAl23の合計量 0.15%以下 の組成を有することを特徴とする高純度水酸化マグネシ
    ウム。
  2. 【請求項2】 海水、苦汁又はカン水或はそれらの脱炭
    酸処理液をホウ素含有陰イオンを捕捉しうるイオン交換
    樹脂で処理し、必要に応じて該イオン交換樹脂処理の前
    又は後で脱炭酸又は不溶性炭酸塩を除去し、これをドロ
    マイトか焼物又は石灰或はそれらの水和物と反応せしめ
    て重量%で表わして、灼熱基準で、 MgO 99.3 %以上 CaO 0.3 %以下 SiO2 0.2 %以下 B23 0.05%以下 Fe23とAl23の合計量 0.15%以下 の組成を有する高純度水酸化マグネシウム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS58120514A (ja) * 1982-01-08 1983-07-18 Denki Kagaku Kogyo Kk 高純度水酸化マグネシウムの製造方法

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