JPH068169B2 - 高密度粗大結晶粒マグネシアクリンカー - Google Patents

高密度粗大結晶粒マグネシアクリンカー

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JPH068169B2
JPH068169B2 JP3091019A JP9101991A JPH068169B2 JP H068169 B2 JPH068169 B2 JP H068169B2 JP 3091019 A JP3091019 A JP 3091019A JP 9101991 A JP9101991 A JP 9101991A JP H068169 B2 JPH068169 B2 JP H068169B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は高密度粗大結晶粒マグネシアクリ
ンカーに関する。
【0002】製鋼技術の進歩に伴ない耐火物に対する要
求物性も次第に厳しいものとなっている。製鋼炉材とし
て用いられるマグネシアクリンカーについて歴史的に見
ると、最初は純度の高められた換言すれば酸化マグネシ
ウム含量の高いマグネシアクリンカーの開発が望まれ、
その後高嵩密度の換言すれば気孔率の少ないマグネシア
クリンカーが望まれ、最近ではさらにペリフレーズ結晶
粒の大きなマグネシアクリンカーの開発が望まれてい
る。
【0003】海水、苦汁あるいはかん水を起源とする水
酸化マグネシウム(以下海水起源の水酸化マグネシウム
という)はこれらの起源中に存在する種々の不純物を不
可避的に含有し、それ故不純含量の多寡はそのまま最終
製品であるマグネシアクリンカー(以下海水起源のマグ
ネシアクリンカーという)の品質に影響する。そのよう
な不純物は海水起源のマグネシアクリンカー中に例えば
酸化ホウ素(B23)、酸化カルシウム(CaO)ある
いは二酸化ケイ素(SiO2)として含有される。
【0004】不純物含量の少ないマグネシアクリンカー
の開発が一応の水準に達したのち、純度向上のみでは耐
火物に所望の十分な特性を付与できないことが次第に明
らかとなり、特に不純物としてのB23がマグネシアク
リンカーを用いた耐火物の性質例えば耐火物の熱間物
性、耐スポーリング性あるいは耐スラグ性に大きく影響
することが明らかとなり、B23含有量の可及的に少な
い高純度且つ高密度マグネシアクリンカーを提供する種
々の方法が近年になって提案されている。
【0005】B23含有量の少ないマグネシアクリンカ
ー(以下低ホウ素マグネシアクリンカーという)を製造
する方法には大きく分けて2つの方法がある。1つの方
法は原料となる水酸化マグネシウムのホウ素含有量を低
減せしめる方法であり、第2の方法は水酸化マグネシウ
ムを焼成する際にホウ素を揮散せしめようとする方法で
ある。前者の方法は、例えば海水にMg(OH)2を加え
て海水中のホウ素化合物をMg(OH)2に吸着させて除
去する方法(特公昭45−53号公報参照)あるいは海
水にZr(OH)2を加えて海水中のホウ素化合物をZr
(OH)2に同様に吸着させて除去する方法(特公昭51
−5839号公報参照)である。特公昭51−5839
号の記載によれば、Zr(OH)2はMg(OH)2よりも高
いホウ素吸着能を示すようであるが、Zr(OH)2を用
いた場合においてさえ例えばホウ素含有量3ppm(B2
3として)程度の少ないホウ素含有量の海水を得ようと
すると原海水中に存在するホウ素に対し約300倍程度
の量で使用する必要のあることが記載されている。特に
Zr(OH)2を吸着剤として使用する方法では、Zr(O
H)2が僅かではあるが海水中に残存するため、Zr(O
H)2を含有する水酸化マグネシウムを与えることにな
る。
【0006】また、海水と石灰とを反応させる際に、石
灰を過剰に用いてpHを11以上とし生じる水酸化マグネ
シウムにホウ素が吸着されるのを防止しようとする方法
がある。この方法では、しかしながら、灼熱基準でB2
3を0.10重量%まで低下させるとCaOが2.49
重量%に増大し、B23を0.04重量%まで低下させ
ればCaOは5.06重量%に増大する如く、ホウ素を
低下させれば水酸化カルシウムの量が増加した水酸化マ
グネシウムしか得ることができない(特公昭57−31
54号の第1表参照)。このため、特公昭57−315
47号の発明では、上記の如き精製水酸化マグネシウム
を700〜1100℃で軽焼し次いで得られた軽焼物を
多量の海水中に投じて再び水和せしめて、水酸化カルシ
ウム含量の少ない精製水酸化マグネシウムを製造し、こ
の精製水酸化マグネシウムを焼成して、B23含量の最
も少ないものとしてMgO 99.6重量%、CaO 0.
10重量%およびB23 0.011重量%の化学組成を
有し且つ高密度3.47g/cm3の高純度高密度マグネシ
アクリンカーを得ている。特公昭57−31547号の
方法は、石灰を過剰に用いるのみならず精製工程を必要
とし、エネルギー損失が大きいので工業的に有利な方法
とは必ずしも云い難い。
【0007】焼成特にホウ素を揮散せしめる第2の方法
は、水酸化マグネシウムに例えば炭酸ソーダ等のナトリ
ウム塩を添加して、ホウ素をNa247として焼成時
に揮散せしめる方法である(米国特許第3,275,46
1号明細書参照)。この方法は、得られるマグネシアク
リンカーの気孔率を増加させる傾向がある。
【0008】また、山元等は水酸化マグネシウム中の水
酸化カルシウム不純物含量を少なくすれば、これを焼成
した際ホウ素がB23として揮散し易く結果としてB2
3含量の低い高純度・高密度マグネシアクリンカーが
得られることを明らかにし、脱炭酸海水に石灰を加えて
得た水酸化マグネシウムを分離後軽焼し、再び海水又は
水中に投入して再水和せしめ、該水酸化マグネシウムか
ら不純物である水酸化カルシウムを除去して水酸化カル
シウム含量の少ない水酸化マグネシウムを製造し、これ
を焼成せしめて、B23含量が最も少ないものとして、
MgO 99.63%、CaO 0.24%、SiO2 0.
14%、Fe23 0.04%、Al23 0.05%およ
びB23 0.008%の組成を有し且つ3.42g/cm3
の嵩密度を有する高純度高密度のマグネシアクリンカー
を得ている。(耐火物25巻548頁1973年、特に
Table 8参照)。上記高純度高密度マグネシアクリンカ
ーは、この文献によれば灼熱基準でB23含量0.13
9重量%の水酸化マグネシウムを焼成することにより得
られている。
【0009】一方、ごく最近になってマグネシアーカー
ボンレンガの需要が急激に増加している。マグネシアー
カーボンレンガはマグネシアクリンカーとグラファイト
とを混合して加圧成型した不焼成レンガであって、従来
多量に用いられてきたマグネシアレンガよりも非常に優
れた耐スポーリング性、耐スラグ性を有している。その
理由はグラファイトがマグネシアクリンカーのクッショ
ン材として働きまたスラグに対して濡れが悪いことによ
ると考えられている。マグネシアーカーボンレンガの消
耗する機構はそれ故グラファイト部分がスラグにより浸
蝕されるのではなく、マグネシアクリンカー部分がスラ
グにより次第に浸蝕されることによると考えられてい
る。最近になってマグネシアーカーボンレンガに使用す
るに適したマグネシアクリンカーとしてペリクレーズ結
晶粒の大きなものが要求され、実際にそのようなペリク
レーズ結晶粒の大きなマグネシアクリンカーを用いたマ
グネシアーカーボンレンガが一層優れた耐スポーリング
性等を有することも実証されている。
【0010】しかしながら、上記した耐火物25巻54
7頁1973年の第16図に記載されているように、従
来海水起源のマグネシアクリンカーで、ペリクレーズ結
晶粒の大きさが50ミクロンを超えるものは報告されて
いない。
【0011】それ故、本発明の目的は高純度、高嵩密度
且つ粗大結晶粒のマグネシアクリンカーを提供すること
にある。
【0012】本発明の他の目的および利点は以下の説明
から明らかとなろう。
【0013】本発明によれば、重量%で表わして、酸化
物として MgO 99.3 %以上 CaO 0.3 %以下 SiO2 0.2 %以下 B23 0.01%未満 Fe23とAl23の合計量 0.15%以下 但し、MgO、CaO、SiO2、B23、Fe23
よびAl23の合計量を100重量%とする、の組成を
有し、且つ嵩密度が3.40g/cm3以上であって、後に
定義する方法で測定してマグネシアのペリクレーズ結晶
の平均粒径が80ミクロン以上であることを特徴とする
高密度粗大結晶粒マグネシアクリンカーが提供される。
【0014】本発明の上記高密度粗大結晶粒マグネシア
クリンカーは、下記の方法(以下、本発明方法という)
に従って製造することができる。
【0015】すなわち、本発明のマグネシアクリンカー
は、海水、苦汁又はカン水またはそれらの脱炭酸処理液
を、ホウ素含有陰イオンを捕捉しうるイオン交換樹脂で
処理し、必要に応じ該イオン交換樹脂処理の前又は後で
脱炭酸又は不溶性炭酸塩を除去し、これをドロマイト▲
か▼焼物又は石灰或はそれらの水和物と反応せしめて、
重量%で表わして、灼熱基準で、 MgO 99.3 %以上 CaO 0.3 %以下 SiO2 0.2 %以下 B23 0.05%以下 Fe23とAl23の合計量 0.15%以下 但し、MgO、CaO、SiO2、B23、Fe23
よびAl23の合計量を100%とする、の組成を有す
る高純度水酸化マグネシウムを生成せしめ、次いでこれ
を加圧成形後焼成することによって製造することができ
る。
【0016】本発明方法において用いられるマグネシウ
ム含有水溶液は海水、苦汁又はかん水あるいはそれらの
脱炭酸処理液である。脱炭酸処理液は海水、苦汁又はか
ん水に公知の方法に従って例えば水酸化カルシウムの如
きアルカリ性化合物を添加するか又は硫酸の如き強酸を
添加することによって得ることができる。
【0017】本発明方法において用いられるイオン交換
樹脂は、ホウ素含有陰イオンを捕捉し得るもである。か
かるイオン交換樹脂としては、ホウ素含有陰イオンの捕
捉基としての例えば多価アルコール残基を、ペンダント
基として有するものが好ましく用いられる。例えば、ペ
ンダント基として、下記式
【0018】
【化1】 ここで、nは1〜4の整数であり、Rは一価の炭化水素
基であり、Zはペンタヒドロキシヘキシル基又はテトラ
ヒドロキシペンチル基である、で表わされる基を含有す
るイオン交換樹脂が例示される。
【0019】上記式中、Rは例えばメチル、エチル、プ
ロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ラウリル、シク
ロヘキシル、フェニル、ベンジルの如き一価の炭化水素
基である。
【0020】Zを表わすペンタヒドロキシヘキシル基は
式−C68(OH)5で表わすことができ、例えばソルビ
チル、マンニチル、ガラクチチル等である。またテトラ
ヒドロキシペンチル基は式−C36(OH)4で表わすこ
とができ、例えばアラビチル、リビチル等である。
【0021】このようなイオン交換樹脂としては、例え
ば下記式
【0022】
【化2】 で表わされるN−メチルグルカミン基を有するものが好
ましく用いられる。本発明において用いられる上記の如
きイオン交換樹脂は例えば米国特許第2,813,838
号明細書に開示されている。この米国特許明細書の記載
は本明細書の一部として引用される。
【0023】従来、ホウ素選択性のこのようなイオン交
換樹脂を用いて海水あるいは濃縮された苦汁からホウ素
を除去する可能性が示唆されてはいるが[インターセラ
ム(Interceram)、NR、3、1973、頁212〜2
18参照]、このようなイオン交換樹脂を用いて処理し
た海水からマグネシアクリンカー製造のための高純度水
酸化マグネシウムを製造した例は知られておらず従って
このようなイオン交換樹脂を用いることによってどの程
度のホウ素含有量を有する水酸化マグネシウムが得られ
るかも全く知られていない。
【0024】本発明方法によれば、海水等のマグネシウ
ム含有水溶液(好ましくpH8〜10)は好ましくは上記
イオン交換樹脂を充填した塔を通過せしめることによっ
て処理される。マグネシウム含有水溶液の処理速度は、
イオン交換樹脂1m3当り1分間に約0.1〜0.6m3とす
るのが適当である。イオン交換樹脂は通常酸付加塩とし
て市販されており使用に際してはアルカリ例えば苛性ソ
ーダあるいはアンモニアで遊離型に変換して用いること
が一般に推奨されているが、本発明方法によればイオン
交換樹脂は酸付加塩例えば塩酸塩あるいは硫酸塩のまま
で使用することができ、またその方が遊離型で使用する
よりもCaO含有量の極めて少ない水酸化マグネシウム
を得る上でむしろ好ましいことが明らかとされた。
【0025】イオン交換樹脂は硫酸あるいは塩酸の如き
強酸で処理することにより再生することができるが、本
発明方法によればホウ素含有陰イオン例えばホウ酸陰イ
オンで飽和された使用済のイオン交換樹脂は、強酸で再
生後アルカリで処理することなしにそのまま海水等のマ
グネシウム含有水溶液の処理に再使用できるという利点
がある。
【0026】本発明方法によれば、マグネシウム含有水
溶液は、イオン交換樹脂で処理する前にあるいは処理し
たのちに、必要に応じ脱炭酸又は不溶性炭酸塩を除去せ
しめることができる。
【0027】脱炭酸はマグネシウム含有水溶液に空気を
吹込みながら強酸例えば硫酸又は塩酸等を添加すること
によって行なうことができ、不溶性炭酸塩の除去は濾過
例えば砂濾過によって行うことができる。
【0028】本発明方法によれば、マグネシウム含有水
溶液が海水、苦汁又はカン水の場合にはイオン交換樹脂
処理の前又は後に脱炭酸処理をすることができ、またア
ルカリ性化合物によって処理された脱炭酸処理液の場合
にはイオン交換樹脂処理の前又は後に不溶性炭酸塩を該
脱炭酸処理液から除去することができる。
【0029】本発明方法によれば、好ましくは海水、苦
汁又はカン水の脱炭酸処理液を濾過して該脱炭酸処理液
中の炭酸イオン又は不溶性炭酸塩を除去し次いでイオン
交換樹脂処理に付すか、あるいは海水、苦汁又はカン水
をイオン交換樹脂で処理し、次いで得られた処理水を脱
炭酸するかあるいは濾過して不溶性炭酸塩を除去するこ
とにより、B23のみならずCaO含有量の少ない水酸
化マグネシウムを得ることができる。
【0030】イオン交換樹脂で処理された処理水は非常
に低い濃度でホウ素を含有し例えばB23換算で12〜
13ppmのホウ素を含有する脱炭酸処理液からイオン交
換樹脂処理によりB23換算で1ppm以下の処理液を製
造することができる。
【0031】本発明方法によれば、この処理水は次いで
ドロマイト▲か▼焼物又は石灰あるいはそれらの水和物
とそれ自体公知の方法に従って反応せしめられ、重量%
で表わして、灼熱基準で、下記組成 MgO 99.3 %以上 CaO 0.3 %以下 SiO2 0.2 %以下 B23 0.05%以下(好ま
しくは 0.03%以下) Fe23とAl23の合計量 0.15%以下 を有する高純度水酸化マグネシウムを生成せしめる。
【0032】この高純度水酸化マグネシウムは特にCa
OとB23とを非常に低水準で含有する点に特徴を有
し、後に詳述するとおり高密度粗大結晶粒を有する本発
明のマグネシアクリンカーを与える。海水起源の水酸化
マグネシウムとして、上記の如く不純物含有が極めて少
ない高純度水酸化マグネシウムは従来知られていない。
本発明方法によれば、本発明の高密度粗大結晶粒マグネ
シアクリンカーは、CaOとB23を非常に低水準で含
有する上記組成の高純度水酸化マグネシウムを、加圧成
形後焼成することによって製造することができる。加圧
成形は通常2〜3トン/cm3の加圧下で約1.5〜1.7
g/cm3の密度の成形体を与えるように行うのが望まし
い。また、焼成は通常1900〜2100℃の温度で、
約15分〜1時間の間実施される。
【0033】本発明方法によれば、かくして重量%で表
わして、酸化物として MgO 99.3 %以上 CaO 0.3 %以下 SiO2 0.2 %以下 B23 0.01%未満 Fe23とAl23の合計量 0.15%以下 但し、MgO、CaO、SiO2、B23、Fe23
よびAl23の合計量を100重量%とする、の組成を
有し、且つ嵩密度が3.40g/cm3以上であって、後に
定義する方法で測定してマグネシアのペリクレーズ結晶
の平均粒径が80ミクロン以上である本発明の高密度粗
大結晶粒マグネシアクリンカーが提供される。
【0034】上記本発明方法の優れた特徴の1つは、海
水、苦汁又はカン水あるいはこれらの脱炭酸処理液をホ
ウ素含有陰イオンを捕捉し得るイオン交換樹脂で処理
し、CaOおよびB23を非常に低水準でしか含有しな
い高純度の水酸化マグネシウムを生成する点に有り、ま
た他の1つはかかる高純度水酸化マグネシウムを焼成す
ることにより上記の如く嵩密度が3.40g/cm3以上で
あるのみならずペリクレーズ結晶の平均粒径が80ミク
ロン以上という非常に大きなマグネシアクリンカーを生
成する点にある。
【0035】灼熱基準で、CaOが0.3重量%以下で
ありB23が0.05重量%以下である、CaOの含有
量とB23の含有量がいずれも極めて低水準にある高純
度水酸化マグネシウムを焼成することによって、上記の
如く粗大結晶粒を有するマグネシウムクリンカーが得ら
れることは本発明者にとって初めて明らかにされた事実
である。
【0036】本発明の高純度粗大結晶粒マグネシアクリ
ンカーは、マグネシアのペリクレーズ結晶の平均粒径が
80ミクロン以上であり、好ましくは90ミクロン以上
である。
【0037】本発明の高純度粗大結晶粒マグネシアクリ
ンカーは、嵩密度が好ましくは3.42g/cm3以上であ
り、より好ましくは3.43g/cm3以上である。
【0038】また、本発明の高純度粗大結晶粒マグネシ
アクリンカーは、好ましくは、重量%で表わして、酸化
物として、 MgO 99.4 %以上 CaO 0.25%以下 SiO2 0.2 %以下 B23 0.01%未満 Fe23とAl23の合計量 0.15%以下 の組成を有する。
【0039】以下、実施例により本発明をより詳細に説
明するが、本発明は実施例により何んらの限定も受ける
ものではない。
【0040】なお、本明細書における種々の物性値は下
記の方法で測定したものである。
【0041】化学組成 日本学術振興会第124委員会試験法分科会において決
定された「学振法1マグネシアクリンカーの化学分析方
法」(1981年版 耐火物手帳 参照)に準じて測定し
た。
【0042】特にB23の分析に関しては同委員会にて
検討の上学振法として採用されたクルクミン(吸光光度
法)により行なった。
【0043】嵩密度(かさ比重) 日本学術振興会第124委員会試験法分科会において決
定された「学振法2マグネシアクリンカーの見掛気孔
率、見掛け比重及びかさ比重の測定方法」(1981年
版 耐火物手帳 参照)に準じ、下記の計算式より求め
た。
【0044】
【数1】 1:クリンカーの乾燥重量(g) W2:白灯油で飽和した試料の白灯油中の重量(g) W3:白灯油で飽和した試料の重量(g) S :測定温度における白灯油の比重(g/cm3ペリクレース結晶の平均粒径 クリンカーの粒度分布を考慮し、5〜10mm程度のもの
を無作意に取り出す。これを研削研磨しその研磨面を反
射顕微鏡で観察する。代表的と見なされる部分3ケ所の
写真を倍率20倍にて撮影し、これらを3倍に引き伸ば
して印画紙に焼き付ける。3枚の写真中のペリクレース
粒子につき、その最大径の大きい方から50個選びその
最大粒子径を測定し、その平均値をもってペリクレース
結晶の平均粒径とする。
【0045】
【参考例1】海水中溶存炭酸イオン(CO2換算値80p
pm)を石灰乳の添加によりCO2換算値10ppmまで低減
した後、砂濾過機にて濾過した。この脱炭酸処理液はホ
ウ素をH3BO3として約12ppm含有した。更にこの溶
液をホウ素含有陰イオンを捕捉しうるイオン交換樹脂
(N−メチルグルカミン基含有、硫酸塩型)100lを
充填した吸着塔中を40l/分の速度で通過させ、H3
BO3を該樹脂に吸着させ、H3BO3含有量0.70ppm
の低ホウ素含有海水を調製した。この海水と石灰乳とを
反応率92%で反応させ、生成した水酸化マグネシウム
沈殿を濾別後、脱炭酸処理した上水にて洗浄、表−1に
示すような高純度水酸化マグネシウムを生成せしめた。
【0046】表1中に示す数字は重量%を表わし、Ig
Lossは灼熱時消失分を表わす。
【0047】
【表1】
【0048】
【実施例1】参考例1にて製造した水酸化マグネシウム
を乾燥機中で水分含有量8重量%まで乾燥した。更にこ
れを成形圧力3t/cm2で加圧成型した後、酸素・プロ
パンガス炉により2000℃で高温焼成した。このマグ
ネシアクリンカーの化学組成、嵩密度およびペリクレー
ズ結晶の平均粒径を表−2に示す。またペリクレーズ結
晶を示す写真を第1図に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
【参考例2】参考例1の方法において、脱炭酸処理液の
吸着塔の通過速度を30l/分に変える他は、参考例1
と同様にして処理し、H3BO3含有量0.45ppmの低ホ
ウ素海水を調製した。この海水と石灰乳とを反応率92
%にて反応させ、生成した水酸化マグネシウム沈殿を濾
別後、脱炭酸処理した上水にて洗浄し、表−3に示すよ
うな高純度水酸化マグネシウムを生成せしめた。
【0051】
【表3】
【0052】
【実施例2】参考例2で製造した水酸化マグネシウムを
実施例1に記載した方法と全く同様にして焼結して得た
マグネシアクリンカーの化学組成、嵩密度およびペリク
レーズ結晶の平均粒径を表−4に示す。またペリクレー
ズ結晶の写真を第2図に示す。
【0053】
【表4】
【0054】
【比較例1】参考例1に記載したと同様の方法により脱
炭酸処理した海水100l中に水酸化マグネシウムケー
キを、乾燥物換算で27kg添加し充分に撹拌混和するこ
とにより海水中のホウ素を吸着させ、5.75ppm H3
3含量まで低減した。この海水と石灰乳とを反応率9
2%で反応させ、生成した水酸化マグネシウムを、脱炭
酸処理した上水にて洗浄し、表−5に示すような精製水
酸化マグネシウムを製造した。
【0055】
【表5】 この精製水酸化マグネシウムを実施例1に記載したと同
様な方法により焼結した。得られたクリンカーの化学組
成、嵩密度およびペリクレーズ結晶粒径を表−6に示
す。またペリクレーズ結晶の写真を第3図に示す。
【0056】
【表6】
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例1で得られた本発明のマグネシアクリン
カーのペリクレーズ結晶を示す顕微鏡写真(倍率約15
0倍)であり、図中に示されたスケールの最小目盛は1
0μを表わす。図2は、実施例2で得られた本発明のマ
グネシアクリンカーのペリクレーズ結晶を示す顕微鏡写
真(倍率約150倍)である。図3は、比較例1で得ら
れたマグネシアクリンカーのペリクレーズ結晶を示す顕
微鏡写真(約150倍)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−32322(JP,A) 特開 昭58−104054(JP,A) 耐火物,35〜1!(1983)第25〜28頁 J.AM.CERAMIC.SOC., 45〜5!(1963)第224〜228頁

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で表わして、酸化物として MgO 99.3 %以上 CaO 0.3 %以下 SiO2 0.2 %以下 B23 0.01%未満 Fe23とAl23の合計量 0.15%以下 の組成を有し、且つ嵩密度が3.40g/cm3以上であっ
    て、マグネシアのペリクレーズ結晶の平均粒径が80ミ
    クロン以上であることを特徴とする高密度粗大結晶粒マ
    グネシアクリンカー。
  2. 【請求項2】 該ペリクレーズ結晶の平均粒径が90ミ
    クロン以上である請求項1記載のマグネシアクリンカ
    ー。
  3. 【請求項3】 嵩密度が3.42g/cm3以上である請求
    項1また2記載のマグネシアクリンカー。
  4. 【請求項4】 嵩密度が3.43g/cm3以上である請求
    項1ないし3のいずれかに記載のマグネシアクリンカ
    ー。
  5. 【請求項5】 重量で表わして、酸化物として MgO 99.4 %以上 CaO 0.25%以下 SiO2 0.2 %以下 B23 0.01%未満 Fe23とAl23の合計量 0.15%以下 の組成を有する請求項1ないし4のいずれかに記載のマ
    グネシアクリンカー。
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