JPH04944B2 - - Google Patents

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JPH04944B2
JPH04944B2 JP61107618A JP10761886A JPH04944B2 JP H04944 B2 JPH04944 B2 JP H04944B2 JP 61107618 A JP61107618 A JP 61107618A JP 10761886 A JP10761886 A JP 10761886A JP H04944 B2 JPH04944 B2 JP H04944B2
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Kunio Matsui
Hidekazu Taki
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Shin Nihon Kagaku Kogyo KK
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Description

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野] 本発明は塩基性耐火物の原料に適する高純度、
高密度かつ耐消化性に優れるカルシア・マグネシ
ア系クリンカーおよびその製造方法に関する。 [従来の技術] 近年、製鋼業ではますます鋼の高級化や連続鋳
造等、操業の合理化への指向が強まり、転炉や取
鍋の高温化、あるいは取鍋精錬法の導入が行なわ
れている。そのため転炉や取鍋精錬炉に使用され
る耐火物に対しても、従来用いられてきたマグネ
シア・カーボン質、マグネシア・クロム質、ハイ
アルミナ質、ジルコン質耐火物よりも、苛酷な条
件に耐えるものが望まれている。 塩基性耐火物材料として、カルシアは融点が
2580℃と高く、耐熱性、耐熱衝撃性が高い。また
鋼中介在物のAl2O3を吸収するなど優れた性質を
持つている。我国では資源的に恵まれていること
から、製鋼炉用耐火物として大いに期待されてい
る。 カルシア質耐火物の中でもカルシア・マグネシ
ア系耐火物はカルシア・マグネシア各々の本来持
つている優れた特性を損うことなく持ち合わせて
いるという点で長所があり、今後、製鋼炉用耐火
物、特に新規な用途として、取鍋精錬炉やタンデ
イツシユなどへの使用が期待される。それにも関
わらず、上記新規用途にカルシア・マグネシア系
耐火物が本格的に使用されていない大きな理由
は、カルシアに水に対する耐消化性が低く、従つ
て、それを一成分として含有しているカルシア・
マグネシア系クリンカーも耐消化性が低く、取扱
い、貯蔵、あるいは、れんが製造工程にむずかし
いところがあること、および高密度クリンカーが
得られていないため、耐スラグ性、および強度
が、不充分であることなどである。 耐消化性を改善する方法として、従来は Fe2O3、Al2O3、TiO2、 SiO2などの不純物をクリンカー中に多量に含ま
せることによつて耐消化性の改善を図つている。 例えば、CaOまたはCaO+MgOに Fe2O3、CR2O3、TiO2の一種または二種以上を5
〜10重量%含有させる方法(特開昭54−131612号
公報)、CaOまたはCaOとMgOを主成分とし、
Fe2O30.4〜1.2重量%、TiO20.1〜0.5重量%、
SiO21.5重量%以下、Al2O31.0重量%以下を含み、
かつFe2O3、TiO2、SiO2、Al2O3の合量が0.5〜3
重量%とする方法(特開昭59−35060号公報)な
どがある。これらはいずれもCaOまたはMgOと
低融点化合物を形成する不純物を添加することに
よりカルシア結晶をそれら低融点化合物で被覆
し、高い耐消化性を得ようとするものである。ま
た、 MgO、CaO、Fe2O3の合計が99重量%以上、
MgO10重量%以上、Fe2O30.2〜5重量%であり、
鉄成分の1部をペリクレース結晶中に固溶させた
高密度マグネシア・カルシアクリンカー(特開昭
60−112666号公報)なども報告されている。 その他の方法として、水洗して塩素イオンを
0.4重量%以下にした水酸化マグネシウムスラリ
ーに軽焼ドロマイトまたは軽焼石灰を添加、消和
して得た原料を焼成して、MgOとCaOの合計が
99重量%以上で嵩比重の高いマグネシア・ドロマ
イトクリンカーとする方法(特公昭48−16322号
公報)が報告されている。これは、嵩比重を高め
ることにより、ある程度の耐消化性を得ようとす
るものである。 以上の従来技術は、クリンカーの耐消化性を本
質的に改善しようとするものであるが、クリンカ
ー表面を水和しない物質でコーテイングする方法
もいくつか提案されている。たとえば溶融法の
CaO耐火粒子を加熱炭酸化する方法(特開昭56−
88825号公報)や、遊離石灰を含有するクリンカ
ーを二酸化炭素含有雰囲気中、950℃以上に加熱
し、次いで冷却してクリンカー表面に炭酸カルシ
ウム保護層を形成させる方法(特開昭60−90858
号公報)などがある。 [発明が解決しようとする問題点] 上記従来技術において、不純物を添加する方法
は添加する不純物がCaOと低融点化合物を作り、
高温での耐蝕性や強度を劣化させ、カルシア、マ
グネシアが本来持つている優れた性質を損うとい
う結果になつている。また、ペリクレース結晶中
に鉄成分を固溶させる方法についても、使用を繰
り返すことにより、鉄成分が粒界に移動して、耐
蝕性や強度を劣化させる恐れがあり、純度も低い
ために用途も限定される。さらに、これらの方法
で得られたクリンカーの耐消化性は本発明者らの
意図する程度には達していない。また、特公昭48
−16322号公報に記載されている方法は、本発明
者らの試験では、クリンカー中にカルシアの粗大
結晶が多数存在し、高嵩密度を有するクリンカー
は得られても、耐消化性はよくない。 クリンカー表面に炭酸カルシウム層を形成させ
る方法は、耐消化性の向上という点では明らかに
効果があるが、もとのクリンカーの物性が満足さ
れるべきものでなければ効果も小さい。さらに、
最適な条件等、不明な点も多く、技術的に確立さ
れているとは言い難い。 本発明の目的は、高純度、高密度であり、かつ
耐消化性に優れるカルシア・マグネシア系クリン
カーおよびその製造方法を提供することにある。 [問題点を解決するための手段] 本発明はカルシア・マグネシア系クリンカーの
高純度を保ちつつ、高耐消化性、高密度を得ると
言う点に重点を置き、製造方法と得られるクリン
カーの物性および組織等について詳細に研究を重
ねた結果、高密度で、かつ構成するカルシア結晶
とマグネシア結晶の結晶サイズが、ある大きさよ
り小さければ、従来得られなかつた高い耐消化性
が得られることを見出した。またこの様な組織は
原料である水酸化マグネシウムおよび水酸化カル
シウムを分級することにより得られることを見出
し、製造方法をも確立した。さらに、上記組織を
有するカルシア・マグネシア系クリンカーを二酸
化炭素含有ガス中で550〜750℃に加熱して、表面
に、ある厚さの炭酸カルシウムの層を形成させる
ことにより、耐消化性は著しく向上することを見
出し、その適正な炭酸化条件を見出し、本発明を
完成するに至つた。 すなわち、本発明の構成は、 (1) 組成が灼熱基準、重量%で表わして、 CaO+MgO 98.5以上 MgO 10〜75 Fe2O3 0.2未満 かつ、相対密度が96%以上であり、カルシア
結晶の平均粒径が15μm以下であることを特徴
とするカルシア・マグネシア系クリンカーであ
り、その製造法は (2) カルシア・マグネシア系クリンカーの製造方
法であつて、それぞれ水酸化カルシウム原料お
よび水酸化マグネシウム原料中の粗粒を除去し
て粒度分布が44μm以下が99重量%以上、か
つ、25μm以下が90重量%以上であり、かつ、
これらを混合した後の組成が灼熱基準、重量%
で表して、 CaO+MgO 98.5以上 MgO 10〜75 Fe2O3 0.2未満 および乾燥物基準、重量%で表して、 C1 0.2以下 であるこれらの原料を混合、成形して、密度が
1.2g/cm3以上の成形体とし、この成形体を焼
成することを特徴とするカルシア・マグネシア
系クリンカーの製造方法である。 本発明のカルシア・マグネシア系クリンカーの
純度、すなわちCaO+MgOの含有量は発明の目
的からして98.5重量%以上であり、好ましくは
98.8重量%、より好ましくは99.0重量%以上であ
る。本発明のカルシア・マグネシア系クリンカー
はMgOを10重量%ないし75重量%を含有する。 CaO+MgOが、本発明において規定される組
成範囲の時、MgOが10重量%未満では、耐消化
性が低下する。MgOが75重量%より多くなると、
カルシア結晶は、マグネシア結晶の粒界部分にわ
ずかに存在するだけになり、カルシア・マグネシ
ア系クリンカーとしての特性が失われる。 本発明のカルシア・マグネシア系クリンカーに
含まれるFe2O3は0.2重量%未満、好ましくは0.1
重量%未満がよい。前記した様にFe2O3はCaOと
低融点化合物を形成して、高温における強度が低
下するため、含有量が多くなることは好ましくな
い。 その他の不純物、たとえばAl2O3、SiO2
B2O3についても含有量は、特に合量で1.0重量%
未満がよい。なお、本発明のクリンカーは特に不
純物の含有量が非常に少ないという点で、従来の
ものと比較して特徴を有している。なお、これら
の不純物はいずれもCaOまたはMgOと低融点化
合物を作り、好ましくない。従つて、本発明品は
組成の面に限つても従来のものとは明らかに異な
り、高温における強度およびスラグ侵蝕性は、従
来のものより明らかに高く、様々な用途への使用
が期待される。 本発明のカルシア・マグネシア系クリンカーの
相対密度は発明の目的からして、96%以上、好ま
しくは97%以上とする。これより低い相対密度で
は、目的とする耐消化性や、スラグへの耐侵蝕性
および強度は得られない。 本発明のカルシア・マグネシア系クリンカーに
おけるカルシア結晶の平均粒径は15μm以下であ
り、好ましくは10μm以下である。カルシア結晶
の平均粒径が15μmより大きくなると、耐消化性
が低下する。本発明品に見られる従来にない高い
耐消化性は上記の様な組織になつて初めて発現す
るものである。 カルシア結晶の大きさはマグネシア結晶の大き
さとある程度相関関係がある。クリンカー中のカ
ルシア結晶が小さいためには、マグネシア結晶が
小さいことも要件の1つとなり得る。この様にカ
ルシア結晶およびマグネシア結晶がともに小さな
組織は、両者が均一に分散した組織となり、この
時耐消化性はさらに向上する。従つて、クリンカ
ー中のマグネシア結晶の平均粒径は、好ましくは
15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下
である。 一般にセラミツクス(多結晶体)では、構成す
る結晶の結晶サイズが小さく、かつ均一な程、高
い強度を有することが知られており、本発明にお
ける微細でかつ均一な組織を有するCaO−MgO
系クリンカーは、耐消化性の面だけでなく、強度
においても、従来にない高い強度を有することが
期待される。さらに、耐消化性が非常に高いこと
から考えて、スラグ侵蝕性もかなり向上すること
も予想される。 表面がマグネシアの炭酸カルシウムから成るカ
ルシア・マグネシア系クリンカーは上記のクリン
カーを二酸化炭素含有ガス中で加熱処理すること
により得られる。CaO系の耐火材の表面を炭酸化
して耐消化性を高めるという方法は、前記した様
に、公知の技術ではあるが、本発明による微細か
つ均一な組織を有するカルシア・マグネシア系ク
リンカーを炭酸化することにより、その耐消化性
はさらに格段の上昇が見られ、従来に全く見られ
ない様な高い耐消化性を有するカルシア・マグネ
シア系クリンカーが得られる。これらクリンカー
の表面部分のカルシアが炭酸化されてできた炭酸
カルシウム層の厚さは電子顕微鏡による観察か
ら、0.05〜4μmである。これら炭酸カルシウム層
を形成させたカルシア・マグネシア系クリンカー
の表面は、マグネシア結晶と炭酸カルシウム結晶
が、緻密かつ均一に結合した組織から成ること
が、電子顕微鏡により観察される。さらに炭酸カ
ルシウム層は、結晶粒径が1μm以下の非常に微
細な炭酸カルシウム結晶の緻密な集合体であるこ
とも観察される。この様な組織を有しているた
め、従来に全く見られない高い耐消化性が発現さ
れるのである。 次に本発明のカルシア・マグネシア系クリンカ
ーの製造方法について詳しく説明する。 本発明のカルシア・マグネシア系クリンカーは
主として、 (a) 原料の水酸化カルシウムの水酸化マグネシウ
ムの分級工程。 (b) 水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムの混
合工程。 (c) 混合スラリーの濾過成形工程。 (d) ケークまたは成形体の焼成工程。 の各工程から成る。 原料である水酸化カルシウムと水酸化マグネシ
ウムは、従来の工業的方法で得ることができる。
すなわち、水酸化カルシウムは、石灰石または合
成炭酸カルシウム等を仮焼して得た生石灰を、水
中で消和することにより得られる。水酸化マグネ
シウムは海水に水酸化カルシウム等のアルカリを
反応させ、得られた沈澱を精製することにより得
られる。これらの方法で得られた水酸化カルシウ
ムおよび水酸化マグネシウムはそのままでは数十
μm程度の粗大粒子(凝集粒)を含有しているこ
とが多い。これら粗粒子は焼結性を低下させるだ
けでなく、粗大結晶を生成する要因となる。従つ
て本発明による高密度でかつ微細結晶を有するカ
ルシア・マグネシア系クリンカーを得るために
は、これら原料に含まれる粗粒子を除くことが必
須の要件であり、両原料とも44μm以下が99重量
%以上かつ25μm以下が90重量%以上とする分級
工程が必要である。これら分級は、湿式篩分け、
液体サイクロン等により、容易に行うことができ
る。 未分級の原料は不純物として、水酸化カルシウ
ムはSiO2、Al2O3、Fe2O3、CaCO3等、水酸化マ
グネシウムは SiO2、B2O3、Cl等を含有し、これら不純物は焼
結に有害なだけでなく、微細かつ均一な組織を得
る上で障害となる。発明の目的からしても、これ
ら不純物は可能な限り除くことが必要である。こ
れら不純物のうち、 SiO2、Al2O3、Fe2O3、 CaCO3等は粗粒として原料中に含まれているこ
とが多く、分級によりある程度除くことが可能で
ある。この様に分級工程は高純度化という意味に
おいても、必要な工程である。 特に原料の水酸化マグネシウムが海水から得ら
れたものである時は洗浄により、含有するClは乾
燥物基準で0.2重量%以下にしなくてはならない。
水酸化マグネシウム中のClが乾燥物基準で0.2重
量%より多くなると、焼成の際蒸発して焼結を粗
害し、本発明の高密度かつ微細組織を有するカル
シア・マグネシア系クリンカーは得られない。洗
浄は次に述べる混合工程の前に、水酸化マグネシ
ウムスラリーを水洗するか、水酸化カルシウムと
混合後、濾過工程で濾過と同時に水洗することに
より行うことができる。 以上の様にして精製された水酸化カルシウムお
よび水酸化マグネシウムを水中で撹拌、混合す
る。 得られた水酸化カルシウム、水酸化マグネシウ
ム混合スラリーは、加圧濾過するか、もしくは濾
過、乾燥後、加圧成形して、乾燥物基準で密度が
1.2g/cm3以上のケークまたは成形体とする。ケ
ークまたは成形体の密度が1.2g/cm3未満では、
その後に焼成を行つて得られる焼結体は、気孔の
多い組織となり、高密度のクリンカーは得られな
い。加圧濾過にあたつては、通常、工業的に用い
られるフイルタープレス等の加圧濾過機を用いる
ことができる。ただし、加圧を行わない真空濾過
等、通常の濾過方法では乾燥物基準で密度が1.2
g/cm3以上のケークを得ることは困難である。こ
の場合は濾過して得られたケークを乾燥した後
に、ブリケツトマシン等の成形機を用いて加圧成
形にすることにより1.2g/cm3以上の密度を有す
る成形体を得ることができる。この様な工程をと
る場合、均一、かつ、ある程度の強度を持つ成形
体を得るためには、加圧成形する前に乾燥物を粉
砕することが望ましい。加圧濾過、濾過乾燥後の
加圧成形、いずれの工程をとつても本発明のカル
シア・マグネシア系クリンカーを得る上で何等差
し支えない。この様にして得られたケークまたは
成形体は、乾燥物基準で密度が1.2g/cm3以上で
あり、その組成は、Clが0.2重量%以下である。 灼熱基準では、CaO+MgOが98.5重量%以上、
望ましくは98.8重量%以上、また、望ましくは
Fe2O3が0.2重量%未満、その他の不純物が1.0重
量%以下になるように調整する必要がある。 MgOが10重量%未満では著しく焼結性が低下
し、カルシア結晶の大きさが15μmより大きくな
り、相対密度も低下する。 Fe2O3が0.2重量%以上ではカルシア結晶の成長
を促進するので微細な組織が得られない。 次いでこれらケークまたは成形体は、必要によ
つては適当な粒度に破砕された後に1600℃以上で
焼成され、本発明の高純度、高密度、かつ耐消化
性に優れたカルシア・マグネシア系クリンカーが
得られる。ここでの焼成は、通常マグネシアクリ
ンカーを焼成する際に用いられるロータリーキル
ン等をそのまま使用することができる。 表面がマグネシアと炭酸カルシウムから成るカ
ルシア・マグネシア系クリンカーは、上記の様に
して製造されたクリンカーをCO2分圧で5%以上
含有するガス中で10分間以上550〜750℃に加熱す
ることにより得られ、好ましくはCO2分圧で15%
以上含有するガス中で20分間以上、550〜750℃に
加熱することにより得られる。550℃より低い温
度、および750℃より高い温度では炭酸化する速
度が遅く、高い耐消化性を与えるのに十分な厚さ
の炭酸カルシウム層を得ることが難しく、耐消化
性を大幅に改善することは困難である。炭酸化処
理はロータリーキルン等の回転炉、および縦型回
転炉等を用いることができる。 次に本発明の実施例および比較例を挙げ、具体
的に説明する。なお本発明における種々の測定法
は下記の通りである。 (1) 相対密度(RD) カルシアの理論密度を3.38g/cm3、マグネシ
アの理論密度を3.58g/cm3として以下の式によ
り求めた。 RD(%)=[BD/{3.38/(R+1) +3.58R/(R+1)}]×100 式中でRはカルシア・マグネシア系クリンカ
ーのMgOとCaOの重量含有量比(MgO/
CaO)であり、BDは日本学術振興第124委員
会で提案された学振法2「マグネシアクリンカ
ーの見掛け気孔率、見掛け比重及び嵩比重の測
定方法」に準じて測定したカルシア・マグネシ
ア系クリンカーの嵩比重の値である。 (2) 化学組成 日本学術振興第124委員会で提案された学振
法1「マグネシアクリンカーの化学分析法」に
準じて測定した。B2O3は試料を塩酸で溶解し
た後、ほうけい酸ガラスの分析方法[JIS R
3105(1981)]における三酸化ホウ素定量方法(1)
直接法に準じて測定した。Clはホルハルト法、
すなわち試料を硝酸で溶解して一定量で硝酸銀
を加え、鉄明ばん溶液を指示薬として
NH4SCN溶液で逆滴定して求めた。 (3) カルシア・マグネシア結晶径 Fullman法(J.of Metals、447、1953)によ
つた。すなわち、研磨面を撮影した写真上で任
意に直線を引き、粒界によつて切り取られたカ
ルシアおよびマグネシア結晶上の線分を、各々
について平均してそれら平均値を1.5倍して、
カルシアおよびマグネシア結晶径とした。なお
平均値を出すにあたつては1つの試料につき、
カルシアおよびマグネシア結晶の各々について
100個以上の線分を用いた。 (4) 自然重量増加率 耐消化性の目安として2.00〜3.36mmに分級し
たクリンカーを、相対湿度65%、気温20℃の空
気中に20日静置して、重量増加を測定し、もと
の重量に対する増加量を%で表示した。 (5) 水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムの粒
度 水スラリーを篩を用いて分級して、篩上に残
つた部分を乾燥後、秤量して全乾燥物に対する
重量百分率で表示した。 [実施例] 原料スラリーの調製 60℃の水1あたり100gの生石灰を加え、1
時間撹拌して水和し、0.5mm篩を用いて水中で分
級して粗粒を除き、水酸化カルシウムスラリーA
を得た。その一部を液体サイクロンで分級して粗
粒を分離除去して水酸化カルシウムスラリーBを
得た。AおよびBの固形分の粒度分布は第1表の
通りであつた。
【表】 次に脱炭酸処理後の海水に、水酸化カルシウム
スラリーAをPHが10.8になるまで徐々に撹拌しな
がら加えて、水酸化マグネシウムを生成させ、こ
れを沈降濃縮してMgO換算40g/の粗製水酸
化マグネシウムスラリーを得た。その一部に体積
で20倍の水を加えて撹拌した後、沈降濃縮して
MgO換算200g/の水酸化マグネシウムスラリ
ーAを得た。次に粗製水酸化マグネシウムスラリ
ーの残りを液体サイクロンで分級し、その一部は
そのまま沈降濃縮して、また他の一部は体積で20
倍の水を加えて撹拌した後、沈降濃縮してそれぞ
れMgO換算200g/の水酸化マグネシウムスラ
リーBおよびCを得た。 各水酸化マグネシウムスラリーの固形分の粒度
分布は第2表の通りであつた。
【表】 実施例 1〜4 水酸化カルシウムスラリーBと水酸化マグネシ
ウムスラリーCを焼成物基準でMgOが30、40、
60、75重量%となる様に各々配合し、混合した
後、真空濾過して得たケークを箱型乾燥器で乾燥
し、得られた乾燥物を粉砕した後に1t/cm2の加圧
下でアムスラー成形機を用いて成形体とした。得
られた成形体の灼熱基準の化学組成および乾燥物
基準のCl含有量および乾燥物基準の密度を第3表
に示した。この成形体を5mm以下に粉砕して1700
℃で1時間焼成した。冷却して得られたカルシ
ア・マグネシア系クリンカーの物性を第4表に示
した。これら得られた実施例1〜4のクリンカー
の研磨面の反射顕微鏡写真を各々、第1−a〜第
1−d図に示す。 実施例 5 水酸化カルシウムスラリーBと水酸化マグネシ
ウムCを、焼成物基準でMgOが30重量%となる
様に配合し、混合した後フイルタープレスを用い
て30Kg/cm2で加圧濾過してケークを得た。得られ
たケークの灼熱基準の化学組成および乾燥物基準
のCl含有量におよび乾燥基準の密度を第3表に示
した。以下実施例1と同様に焼成を行い、冷却し
て得られたカルシア・マグネシア系クリンカーの
物性を第4表に示した。 実施例 6 実施例2のカルシア・マグネシア系クリンカー
をCO2分圧30%を含むガス中で700℃、20分間処
理を行つた。冷却して得られたカルシア・マグネ
シア系クリンカーの表面の電子顕微鏡写真を第2
図に示す。また、これらクリンカーを2.00mm〜
3.66mmに分級し、相対密度65%、気温20℃の空気
中に静置して重量増加を測定した。経過日数と重
量増加率の関係を第3図にプロツトした。比較の
ために、未処理のもの(実施例2)もあわせてプ
ロツトした。ここで○印は実施例2、●印は実施
例6に対応する。 比較例 1 水酸化カルシウムスラリーBと水酸化マグネシ
ウムスラリーCを焼成物基準でMgOが7重量%
になる様に配合した以外は、実施例5と同様に焼
成を行つた。ケークの灼熱基準の化学組成および
乾燥物基準のCl含有量および乾燥物基準の密度を
第3表に示した。冷却して得られたカルシア・マ
グネシア系クリンカーの物性を第4表に示した。 比較例 2 水酸化カルシウムスラリーBと水酸化マグネシ
ウムスラリーCとさらに試薬の塩化第二鉄水溶液
を、焼成物基準でMgOが30重量%Fe2O3が0.30重
量%になる様に配合し混合する以外は実施例5と
同様に行つた。ケークの灼熱基準の化学組成およ
び乾燥物基準のCl含有量および乾燥物基準の密度
を第3表に示した。冷却して得られたカルシア・
マグネシア系クリンカーの物性を第4表に示す。 比較例 3 加圧成形を行わず真空濾過により得られたケー
クを乾燥して得られた乾燥物を直接焼成する以外
は実施例1と同様に行つた。ケークの灼熱基準の
化学組成および乾燥物基準のCl含有量および乾燥
物基準の密度を第3表に示した。冷却して得られ
たカルシア・マグネシア系クリンカーの物性を第
4表に示す。 比較例 4 水酸化カルシウムスラリーBと水酸化マグネシ
ウムスラリーBを焼成物基準でMgOが30重量%
になる様に配合した以外は実施例5と同様にして
行つた。ケークの灼熱基準の化学組成および乾燥
物基準のCl含有量および乾燥物基準の密度を第3
表に示した。冷却して得られたカルシア・マグネ
シア系クリンカーの物性を第4表に示す。 比較例 5 水酸化カルシウムスラリーAと水酸化マグネシ
ウムスラリーAを焼成物基準でMgOが30重量%
になる様に配合した以外は実施例5と同様に行つ
た。ケークの灼熱基準の化学組成および乾燥物基
準のCl含有量および乾燥物基準の密度を第3表に
示した。冷却して得られたカルシア・マグネシア
系クリンカーの物性を第4表に示す。
【表】
【表】
【表】 [発明の効果] 本発明によれば高純度、高密度かつ非常に耐消
化性に優れるカルシア・マグネシア系クリンカー
が得られる。これはその優れた性質から製鋼炉用
耐火物をはじめとする様々な分野への使用が期待
される。
【図面の簡単な説明】
第1−a図〜第1−d図は、本発明のカルシ
ア・マグネシア系クリンカーの研磨面の反射顕微
鏡写真、第2図は実施例6のクリンカーの表面の
電子顕微鏡写真、第3図は本発明のクリンカーの
耐消化性(重量増加率)を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 組成が灼熱基準、重量%で表わして、 CaO+MgO 98.5以上 MgO 10〜75 Fe2O3 0.2未満 かつ、相対密度が96%以上であり、カルシア結
    晶の平均流径が15μm以下であることを特徴とす
    るカルシア・マグネシア系クリンカー。 2 マグネシア結晶の平均粒径が15μm以下であ
    る特許請求の範囲第1項に記載のカルシア・マグ
    ネシア系クリンカー。 3 組成が灼熱基準、重量%で表わして、 CaO+MgO 98.8以上 MgO 10〜75 Fe2O3 0.2未満 その他の不純物 1.0未満 ただし、上記不純物のうち、 B2O3 0.4未満 SiO2 0.4未満 Al2O3 0.15未満 である特許請求の範囲第1項記載のカルシア・マ
    グネシア系クリンカー。 4 表面がマグネシアと炭酸カルシウムからなる
    特許請求の範囲第1項または第2項に記載のカル
    シア・マグネシア系クリンカー。 5 水酸化カルシウム原料および水酸化マグネシ
    ウム原料中の粗粒を除去して粒度分布が44μm以
    下が99重量%以上、かつ、25μm以下が90重量%
    以上であり、かつ、これらを混合した後の組成が
    灼熱基準、重量%で表して、 CaO+MgO 98.5以上 MgO 10〜75 Fe2O3 0.2未満 および乾燥物基準、重量%で表して、 C1 0.2以下 であるこれらの原料を混合、成形して、密度が
    1.2g/cm3以上の成形体とし、この成形体を焼成
    することを特徴とするカルシア・マグネシア系ク
    リンカーの製造方法。 6 焼成して得られたカルシア・マグネシア系ク
    リンカーをCO2分圧で5%以上含有するガス中
    で、10分間以上550〜750℃に加熱して、クリンカ
    ー表面のCaOを炭酸化する特許請求の範囲第5項
    記載のカルシア・マグネシア系クリンカーの製造
    方法。
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