JPH05237537A

JPH05237537A - 表面清浄度の優れた冷延鋼帯の製造方法

Info

Publication number: JPH05237537A
Application number: JP3899492A
Authority: JP
Inventors: Zenichi Mori; 善一森
Original assignee: Sumitomo Metal Industries Ltd
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1992-02-26
Filing date: 1992-02-26
Publication date: 1993-09-17

Abstract

(57)【要約】【目的】冷間圧延機出側での鋼帯表面を清浄にする。【構成】鋼帯２の冷間圧延作業に使用した後の圧延油を
圧延機１から回収７し、まずミキシングタンク31に集
め、フィルター10、11によって濾過した後、クリーンタ
ンク30に導き、このクリーンタンク30に原圧延油５およ
び水６を補給して循環圧延油を再生する圧延油の濃度管
理によって鋼帯表面を清浄化する方法において；冷間圧
延機１出側に設けた圧延油膜厚計12によりオンラインで
測定した鋼帯２表面付着油膜厚測定値と、上記クリーン
タンク30内の圧延油濃度測定値と、前記ミキシングタン
ク31内の鉄分濃度測定値に基づく鋼帯表面上の鉄分量と
から、前記鉄分量／油分量＝0.20〜0.40となるように、
クリーンタンク30内への原圧延油および水の補給量を調
節して圧延油濃度測定値を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、再生循環使用するエマ
ルション型圧延油のオンライン管理によって表面清浄度
の優れた冷延鋼帯を製造する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、鋼帯の冷間圧延時には鋼帯とロ
ール間の潤滑剤として水中油型エマルション型の圧延油
を多量に使用している。このため圧延後の鋼帯表面には
圧延油と、圧延加工時のロールと鋼帯との摩擦によって
発生した金属磨耗粉の混合物が多量に残留している。こ
のような圧延後の鋼帯を、そのまま次の工程である焼鈍
に供すると、残留付着している圧延油は炭化し、金属磨
耗粉は一部炭化してそのまま鋼帯表面に固着するため鋼
帯の表面汚れを生じ、表面外観を損なう。

【０００３】この問題の解消法として、焼鈍工程の前に
鋼帯表面を電気清浄ラインによるアルカリ電解洗浄を施
す方法があるが、上述の残留物が多ければ、表面洗浄時
間が長くなり、また各原単位を悪化させることになる。

【０００４】また、圧延油中に乳化剤を使用することに
より乳化を安定化させたミルククリーン性の高い圧延油
を使用したり、タンデム式冷間圧延機の最終スタンドで
圧延油噴射に代えて洗浄剤および温水の噴射により鋼帯
の表面清浄をする方法（いわゆるデタージェント方式）
が採られることもあるが、これらの方法では最終スタン
ドの圧延負荷が高くなる傾向があり、また既存のミルを
改造する必要があるなど、コスト高になる。

【０００５】ところで、圧延に使用した後の圧延油は、
圧延タンク内に回収される。圧延油タンクは、使用済み
の油を一旦貯留するためのミキシングタンク部と、再生
後の圧延油を一時貯留し、これに原圧延油および純水を
補給するためのクリーンタンク部とからなっている。そ
こで従来一般には、使用済の圧延油を回収する圧延油タ
ンクのミキシングタンクからクリーンタンクに圧延油を
供給するときに、電磁フィルターまたはホフマンフィル
ター等により鉄分を十分に濾過するとともに、前記クリ
ーンタンク中に圧延油の原液（原圧延油）および水（好
適には純水）を補給して再生油を得、鋼帯表面の清浄度
および潤滑性の確保を図っている。そしてこの原圧延油
および純水の補給を適正に調整するため、例えば特開昭
60-206518 号公報のように、圧延油タンク内に圧延油の
自動濃度計を設置してこの自動的濃度測定により圧延油
の管理を行っている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報記載
法では、自動濃度計の測定位置や測定タイミングによっ
ては容易に測定値のバラツキを生じる。またタンク内濃
度を測定しているため、圧延状態での圧延油の展開付着
量（いわゆるプレートアウト量）を正確に評価している
とはいえない。したがって、この測定値に基づいて圧延
加工後の鋼帯表面を常に清浄に保つことは困難である。

【０００７】そこで本発明の課題は、鋼帯表面の上記プ
レートアウト量等を正確にオンラインで測定し、圧延油
タンク内の濃度を適正に管理し、鋼帯表面を最適な清浄
度に維持することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題は、鋼帯の冷間
圧延用圧延油を圧延機から回収し、ミキシングタンクに
集め、清浄化した後クリーンタンクに導き、このクリー
ンタンクに原圧延油および水を補給して再生油として圧
延機に供しながら冷間圧延する方法において；冷間圧延
機出側に設けた圧延油膜厚計により測定した鋼帯表面付
着油膜厚値に基づく単位面積当たりの油分量と、前記ク
リーンタンク内の圧延油濃度測定値と、前記ミキシング
タンク内の鉄分濃度測定値に基づく鋼帯表面上の鉄分量
とから、前記鉄分量／油分量＝0.20〜0.40となるよう
に、前記クリーンタンク内に原圧延油および水の補給量
を調節して圧延油濃度測定値を制御することで解決でき
る。

【０００９】

【作用】本発明では、オンラインでミキシングタンク中
の圧延油中の鉄分濃度を測定すると同時に、オンライン
で圧延機出側での鋼帯表面の油膜厚を測定し、これら測
定値とクリーンタンク内の圧延油濃度とから、前記鉄分
量／油分量が所定の値になるように、クリーンタンク内
に原圧延油および水の補給量を調節して現圧延油濃度測
定値を制御するので、結果として、常に鋼帯の表面にお
いての圧延油の展開状態を適切に保持できるとともに、
圧延油中の過剰な鉄分の混入を避けて鋼帯の表面の清浄
化を図ることができる。

【００１０】

【実施例】以下本発明を図面により具体的に説明する。
図１は本発明方法の一実施態様の模式図であり、１は連
続的に鋼帯２を圧延する仕上圧延機であり、３は圧延油
を貯留する圧延油タンクであり、クリーンタンク30とミ
キシングタンク31とに仕切られている。圧延油はそのク
リーンタンク30から、圧延油供給管４を介して上記圧延
機１のロールに臨む位置に配置された圧延油噴射ノズル
から噴射され、圧延に供せられる。

【００１１】クリーンタンク30内へは、原圧延油５と純
水６がそれぞれ流量調節弁50、60を介して供給される。
圧延に使用された圧延油は回収ピット７に集められた
後、圧延油排出管８を介して上記ミキシングタンク31内
に集められる。なお、９は圧延油タンク内を均一濃度と
するためのアジテーターである。上記ミキシングタンク
31内に貯留された使用後の圧延油は、電磁フィルター10
またはホフマンフィルター11によって鉄分等を除去され
た後、再びクリーンタンク30内に導かれ、以後循環使用
される。

【００１２】本発明では、上記圧延機１の出側の鋼帯２
上面を睨む位置にオンライン測定用の油膜厚計12を設置
する。また、ミキシングタンク31内の鉄分濃度を測定す
るための鉄分濃度計13を設ける。さらに、クリーンタン
ク30内の圧延油濃度を測定するための圧延油濃度計14を
設ける。これら油膜厚信号、鉄分濃度信号、圧延油濃度
信号は演算装置15に入力される。続いて演算装置15から
の信号は制御装置16に入力される。前記圧延油濃度計14
からの出力信号はこの制御装置16にも入力される。さら
にこの制御装置16からの出力が原圧延油および純水の供
給量調整用の各流量調節弁50、60に与えられる構成され
ている。上記オンライン油膜厚計12としては、例えば特
開昭60-73406号公報に記載されているような赤外線厚み
計を好適に使用できる。

【００１３】次に上記制御系により、圧延油の濃度を管
理し、鋼帯２表面を清浄に保つには、まず、上記クリー
ンタンク30より圧延機１に供給された圧延油を出側で水
切り装置17によって十分水切りした後、上記オンライン
油膜厚計12にて鋼帯２表面に残留している油分量（油膜
厚）を連続的に測定する。また同時に鉄分濃度計13によ
り圧延油タンク３のミキシングタンク31内の鉄分量を連
続的に自動測定する。

【００１４】なお、このミキシングタンク31内鉄分量と
鋼帯２表面に残留する鉄分量には明確な相関関係が存在
することが判っており、従ってミキシングタンク31内鉄
分量から鋼帯２表面上の残留鉄分量を算出できる。

【００１５】上記演算装置15内では、オンライン油膜厚
計12によって測定された鋼帯２表面の圧延油膜厚Ｈを単
位面積当たりの油分量ｈ₀と圧延油タンク内濃度Ｏ_dと
が比較され、またミキシングタンク31内より測定した鉄
分濃度ｆ_dより算出できる鋼帯表面上の鉄分量ｆ₀を用
いて、鉄分量／油分量を、目標とする例えば0.20〜0.40
の範囲に入るよう、制御装置16により流量調節弁50、60
に対して原圧延油および純水補給の指令を出す。この場
合、Ｏ_dとこの濃度の場合の鋼帯表面の油分量Ｏ_d’は
通常、次式のように比例関係にある。Ｏ_d∝Ｏ_d’（Ｏ_d’＝ｋＯ_d、ｋ＝定数）上述のように原圧延油５と純水６の各々をクリーンタン
ク30内へ補給後、再度圧延油濃度計14により測定した濃
度が好ましくは±10％内へ変動が収まるように、繰り返
して原圧延油５あるいは純水６を補給量を調整すること
により、圧延油濃度を修正・調節していく。このように
圧延油濃度を安定させることにより、圧延油濃度のバラ
ツキによって生じるヒートスクラッチやスリップスクラ
ッチを減少させ、鋼帯２表面の清浄度を向上させること
ができる。

【００１６】本発明では、鉄分量／油分量が0.20〜0.40
とされる。より好ましくは0.25〜0.35である。0.40を超
えると清浄度が悪くなり、また0.20未満とすると、下工
程であるメッキラインの前処理洗浄において洗浄能力が
不足して、製品の品質不良を招く。この場合に洗浄能力
を大きくすると逆に原単位が悪化する。

【００１７】本発明を適用した場合の鋼帯の圧延後の清
浄度を示す値、鉄分／圧延油分比を、従来法と比較した
場合の結果を図２に示した。図２から、清浄度が従来で
は0.40（偏差σ＝0.10）であったのに対して、本発明に
よれば0.30（σ＝0.01）と向上しすることが判明した。
また、偏差が小さいことから、清浄度の制御性が高まる
ことも判る。なお、圧延条件は0.25〜0.40mm厚で１か月
当たり30千トン実施した結果である。圧延油は50℃、濃
度は1.6 ％に維持した。

【００１８】また、本発明適用により鋼帯面が清浄化
し、圧延ラインの能率が向上した結果、0.7 mm厚×1000
mm幅の冷延鋼帯を電解洗浄ラインでの処理量が、従来例
では70T/H であったのに対して本発明によれば82T/H と
単位時間当たりの処理量が増加した。

【００１９】

【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、圧延油タ
ンク内の圧延油濃度をオンラインで管理でき、これによ
り鋼帯表面を常に最適な清浄度に維持することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明法を実施するための設備の概要図であ
る。

【図２】本発明による清浄効果を従来例との比較の下で
示す図である。

【符号の説明】

１…仕上圧延機、２…鋼帯、３…圧延油タンク、30…ク
リーンタンク、31…ミキシングタンク、５…原圧延油、
６…純水、９…アジテーター、10…電磁フィルター、11
…ホフマンフィルター、12…油膜厚計、13…鉄分濃度
計、14…圧延油濃度計、15…演算装置、16…制御装置、
17…水切り装置、50、60…流量調節弁。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】鋼帯の冷間圧延用圧延油を圧延機から回収
し、ミキシングタンクに集め、清浄化した後クリーンタ
ンクに導き、このクリーンタンクに原圧延油および水を
補給して再生油として圧延機に供しながら冷間圧延する
方法において；冷間圧延機出側に設けた圧延油膜厚計に
より測定した鋼帯表面付着油膜厚値に基づく単位面積当
たりの油分量と、前記クリーンタンク内の圧延油濃度測
定値と、前記ミキシングタンク内の鉄分濃度測定値に基
づく鋼帯表面上の鉄分量とから、前記鉄分量／油分量＝
0.20〜0.40となるように、前記クリーンタンク内への原
圧延油および水の補給量を調節して圧延油濃度測定値を
制御することを特徴とする表面清浄度の優れた冷延鋼帯
の製造方法。