JPH05235673A - 音声信号イコライザ回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 帯域制限された音声信号の再生時に、可聴域
の高調波成分を付加することにより聴感上豊かな音質を
再現することにある。 【構成】 音声成分信号からバンドパスフィルタ２によ
りｆ_A〜ｆ_Cの帯域の周波数成分信号が抽出され、ゼロク
ロス発生器５に、また９０°移相器３を介してゼロクロ
ス発生器４に加えられる。各ゼロクロス発生器からの夫
々のゼロクロス検出信号が乗算器６に入力され、その出
力からバンドパスフィルタ７により高調波成分信号が抽
出される。この高調波成分信号は振幅変調器８により包
絡線検波器９からの周波数成分信号の振幅検波信号で振
幅変調され、得られた振幅変調信号は加算回路１０で音
声成分信号と合成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は帯域制限されたオーディ
オ信号の再生に際して聴感に対して豊かな音の再現を可
能とするための音声信号イコライザ回路に関する。

【０００２】

【従来の技術】音響信号の伝送記録については、適合す
る帯域があり、例えば、ＦＭ放送では０〜１５ｋHz、Ｃ
Ｄでは０〜２０ｋHzが好適な伝送帯域である。この伝送
帯域の上限周波数をｆ_Cとすると、これはｆ_Cをカットオ
フ周波数とする一種のローパスフィルタ（ＬＰＦ）と見
ることができ、音源の周波数が図４（ａ）に示すように
ｆ_C以下の場合には上記ローパスフィルタ（ＬＰＦ）を
介してもそのまま記録又は伝送されるので問題はない。

【０００３】ところが図４（ｂ）に示すように音源にｆ
_C以上の成分がある場合にはｆ_C以上の成分が上記ローパ
スフィルタ（ＬＰＦ）で除去されて伝送又は記録されて
図２（ｃ）のようになるので、当然ｆ_C以上の成分は再
生されずに原音とは異なった音が再生される。

【０００４】昨今のように収音技術がすぐれ、再生機器
の性能が向上すると、ＦＭでの１５ｋHz以上の成分、Ｃ
Ｄでの２０ｋHz以上の成分を除去してしまうと、音質の
劣化と感じる場合がある。一般に可聴音は２０Hz〜２０
ｋHzと言われているが、２０ｋHzで感度が０になる訳で
はない。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来は上述した伝送系
の帯域制限下での音響信号の再現を目標としていた。し
かし図４（ａ）に示す如く原音源がｆ_Aの周波数分布を
とるものとすると、前述のように伝送系や記録系にはそ
の伝送帯域に制限があるため、音響信号はｆ_Cのカット
オフ周波数のローパスフィルタを通すことになり、ｆ_A
＞ｆ_Cの信号は削除されてしまう。その結果、再生系で
忠実に再生したとしてもｆ_A＞ｆ_Cの成分は再生できず、
忠実再生と言う観点から問題である。

【０００６】即ち、削除されてしまうｆ_A＞ｆ_Cの帯域に
は、豊かな高域音を発生させる周波数成分が含まれてい
るので、従来のようにＬＰＦと等価な伝送系でこの成分
をカットしてしまうのでは、原音の忠実な再生は不可能
で音質が劣化する問題がある。

【０００７】本発明の目的は帯域制限された音声信号の
再生に際し、伝送系で削除された可聴域の高周波成分を
付加して豊かな再生音を得ることができる音声信号イコ
ライザ回路を提案することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の音声信号イコライザ回路は、音声成分信号
からその周波数帯域よりも狭い所定周波数帯域の周波数
成分信号を抽出する周波数成分抽出手段と、上記周波数
成分信号を振幅検波し振幅検波信号を得る振幅検波手段
と、前記周波数成分信号のゼロクロス成分を検出し、ゼ
ロクロス検出信号を得るゼロクロス検出手段と、上記ゼ
ロクロス検出信号から所定可聴周波数以上の高調波成分
を含む高周波帯域の高調波成分信号を抽出する高調波成
分抽出手段と、上記高調波成分信号を前記振幅検波信号
で振幅変調して振幅変調信号を得る振幅変調手段と、上
記音声成分信号と上記振幅変調信号とを合成する信号合
成手段と、を備えたことを特徴とする。

【０００９】

【作用】本発明のイコライザ回路において、音声成分信
号からその周波数帯域よりも狭い所定周波数帯域の周波
数成分信号が抽出され、かつ振幅検波されて振幅検波信
号を得る。前記周波数成分信号のゼロクロス成分を検出
して得られたゼロクロス検出信号から所定可聴周波数以
上の高調波成分信号が抽出され、かつ前記振幅検波信号
で振幅変調し、得られた振幅変調信号と前記音声成分信
号とが合成される。これにより得られた合成信号は前記
音声成分信号の周波数帯域より広い帯域の聴感上豊かな
音質のものとなる。

【００１０】

【実施例】以下図面に示す本発明の実施例を説明する。
図１は本発明による音声信号イコライザ回路の一実施例
で、１は音声成分信号の入力端子、２はバンドパスフィ
ルタで前記周波数成分抽出手段に相当する。３は９０°
移相器、４及び５はゼロクロス発生器で、例えば、ハー
ドリシッタ（振幅制限器）が用いられ、これらにより前
記ゼロクロス検出手段を構成する。６は乗算器（又は排
他的論理和回路）、７はバンドパスフィルタで、これら
により前記高調波成分抽出手段を構成する。８は振幅変
調器、９は包絡線検波器、１０は加算回路で夫々前記振
幅変調手段、信号合成手段に相当し、１１は振幅調整器
である。

【００１１】入力端子１に与えられる音声成分信号は図
２に示すようにｆ_C以下の周波数帯域のものとし、バン
ドパスフィルタ２によって該信号からその帯域よりも狭
いｆ_B〜ｆ_Aの帯域の周波数成分信号が抽出されゼロクロ
ス発生器５に、また９０°移相器３を介してゼロクロス
発生器４に加えられる。

【００１２】ゼロクロス発生器４，５は上記周波数成分
信号のゼロクロス成分を検出してゼロクロス検出信号を
発生し乗算器６に出力する。その乗算出力はバンドパス
フィルタ７に入力され、図２に示すｆ_C〜ｆ_Aの高周波帯
域の高調波成分信号が抽出される。

【００１３】また前記周波数成分信号は包絡線検波器９
により振幅検波され、得られた振幅検波信号は振幅変調
器８に送られて、高調波成分信号を振幅変調する。振幅
変調器８からの振幅変調信号は振幅調整器１１を介して
加算回路１０により前記音声成分信号と合成される。

【００１４】このような処理により図２のＩ＋IIの周波
数帯域成分だけだった音声成分信号は、同図IIIの高周
波帯域の高調波成分が加わるので、豊かな音質のものと
なる。この場合、所謂、相互変調歪を生じないので聴き
易い音となる。勿論、振幅調整器１１を調整して前記高
調波成分の付加の程度を自由に選択できる。

【００１５】図３は本発明の他の実施例で、図１と同一
符号は同一又は類似の回路を示す。図１の実施例では、
高調波の主成分はフィルタ２の出力（前記IIの帯域成
分）の第２高調波であったが、図３の実施例ではバンド
パスフィルタ２からの出力が直接ゼロクロス発生器４に
加えられてその出力よりバンドパスフィルタ７によりｆ
_A以上の周波数の高調波成分信号が抽出され、振幅変調
器８で振幅検波信号により振幅変調され、振幅調整器１
１を介して加算回路１０で音声成分信号と合成される。

【００１６】本実施例では高調波の主成分としてバンド
パスフィルタ２の出力の第３高調波成分が多くなるの
で、上記フィルタ２の通過帯域幅はｆ_C／３〜２ｆ_C／３
とするのが最適である。

【００１７】なお、図１の実施例では、フィルタ２でｆ
_B＝１／２ｆ_Cとしたが、ｆ_B＜１／２ｆ_Cに選択してもよ
い。この場合には、IIIの帯域は２ｆ_B以上となる。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように本発明のイコライザ
回路によれば、帯域制限された音声信号の再生時に帯域
外の高調波成分信号を付加することにより聴感上豊かな
音質を再現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すブロック図である。

【図２】上記実施例の動作説明用の周波数特性図であ
る。

【図３】本発明の他の実施例を示すブロック図である。

【図４】音声信号の周波数ｆ_Aと伝送帯域との関係を示
す特性図である。

【符号の説明】

２，７ バンドパスフィルタ ４，５ ゼロクロス発生器 ６ 乗算器 ８ 振幅変調器 ９ 包絡線検波器 １１ 加算回路

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 音声成分信号からその周波数帯域よりも
   狭い所定周波数帯域の周波数成分信号を抽出する周波数
   成分抽出手段と、 上記周波数成分信号を振幅検波し振幅検波信号を得る振
   幅検波手段と、 前記周波数成分信号のゼロクロス成分を検出し、ゼロク
   ロス検出信号を得るゼロクロス検出手段と、 上記ゼロクロス検出信号から所定可聴周波数以上の高調
   波成分を含む高周波帯域の高調波成分信号を抽出する高
   調波成分抽出手段と、 上記高調波成分信号を前記振幅検波信号で振幅変調して
   振幅変調信号を得る振幅変調手段と、 上記音声成分信号と上記振幅変調信号とを合成する信号
   合成手段と、 を備えたことを特徴とする音声信号イコライザ回路。