JPH05234757A - 面実装型モールドトランスおよびその製造法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 各種の音響機器、家電機器、産業機器などに
使用する面実装型モールドトランスの部材コスト、金型
コストの低減を図り、品質的問題点であるピン曲りなど
の発生を防止できその上端子位置の高精度化を図った面
実装型モールドトランスを提供することを目的とする。 【構成】 巻線１８を巻回し磁性材１９を挿入した下端
鍔１６に端子１７を持つコイルボビン１５全体を成形金
型内に配置し、この金型には外装樹脂２０を注入成形し
取り出したのちに外装樹脂２０に覆われている端子１７
が表面に表出するように成形品の一部を切断加工したモ
ールドトランスとすることで、金型構造の複雑構造や端
子寸法精度の簡素化を図り部材コスト、金型コストの低
減を図るとともに、表出端子の周辺が外装樹脂で固定さ
れた品質レベルの高く端子位置の高精度化を可能とする
面実装トランスとできる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は各種の音響機器、家電機
器、産業機器などに使用する面実装型モールドトランス
およびその製造法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、セットの小型化、軽量化に伴い、
部品の面実装化が進んでいる。このようなセットの動向
に合わせ面実装対応可能なトランスの需要が伸びてい
る。

【０００３】以下に従来のモールドトランスおよびその
製造法について説明する。図１１は従来のモールドトラ
ンスの製造法を示すモールド金型内の断面図、図１２は
モールド金型内の端子挿入用凹部とその端子のハメ合せ
を示す拡大斜視図、図１３はモールドトランスの外装樹
脂成形後金型開き状態を示す金型断面図、図１４，図１
５はモールドトランスの完成側面図である。

【０００４】図１１に示すように、面実装対応用の端子
３を下端鍔２に持つボビン１に巻線４を巻回し磁性材５
を挿入したトランス本体を、端子３に外装樹脂９が付着
せず、外部接続用に表出するよう端子３とのクリアラン
スが極力小さな凹部８を端子３と同数設けて収納できる
構造の、成形用下側金型７に挿入する。

【０００５】この時、端子３は図１２に示すように下側
金型７の凹部８に収納される。そして、上側金型６を下
側金型７に組み合わせることで、トランス本体を金型で
囲み、外装樹脂９を注入する空間１０を作り、その中に
外装樹脂９を注入する。

【０００６】そして、上側金型６と下側金型７を型開き
して取り出した成形品１１が図１３に示すものとなる。

【０００７】次に取り出した成形品１１を図１４に示す
ように、成形品１１より露出した端子３をエキセンプレ
スなどの設備を使用し、成形品１１の側面にそった形状
に折り曲げ、端子３を成形品１１の底面に配置しモール
ドトランスを製造し構成していた。

【０００８】また端子３の折り曲げ形状としては、図１
５のような形状もある。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
構成および製造法では、外装樹脂９を注入して成形する
場合、端子３の外部に露出させたい部分に外装樹脂９を
付着させないようにするためには、下側金型７の凹部８
の寸法と端子３の寸法クリアランスを、極力小さくし、
端子３を凹部８に収納した時にスキ間を発生させない構
造とすることが必要となる。

【００１０】スキ間を発生させないためには、凹部８と
端子３共に高精度の寸法レベルが必要となり、部材コス
トや金型コストの高額化や、歩留りの悪化などをまねく
ばかりでなく、成形時の成形サイクルの長時間化および
成形による金型摩耗で凹部８と端子３のクリアランス拡
大による端子３への外装樹脂９の付着が発生し、品質的
にも重欠点となる要素を持つ問題を有していた。

【００１１】また、完成品である成形品１１においても
端子３の後工程での折り曲げ加工における面実装端子の
面精度が出にくく、面実装がうまくいかない。また、ピ
ン折り曲げ精度の検査工程を必要とするなどの問題があ
るほか、外部からの衝撃による端子曲りが発生しやすい
などの問題も有していた。

【００１２】本発明は以上のような従来の問題点を解決
し、部材コストや金型コストの低減を図り、品質的な問
題点についても、その発生を防止することのできるモー
ルドトランスと、その製造法を提供することを目的とす
る。

【００１３】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明のモールドトランスは、セットのプリント基板
に面実装させるための端子を下端鍔に植設したボビンに
巻線を巻回し、このボビンに磁性材を組み込んでトラン
ス本体を構成し、そのトランス本体すなわち、端子部を
含む全体を成形用金型内に配置し、この金型内に外装樹
脂を注入成形し取り出したのちに、外装樹脂に覆われて
いる端子が、外装樹脂より表出するように、成形品の一
部を切断研磨加工する構造と製造法としたものである。

【００１４】

【作用】このモールドトランスおよび製造法による作用
は、トランス本体を金型内に配置し、端子を含む全体を
外装樹脂でモールド成形したのち、外装樹脂により覆わ
れた端子を、モールド成形品の一部を切断または研磨す
ることで、端子の一部を外面に表出させその表出部をプ
リント基板上のランドとの接合点とすることで、端子に
外装樹脂を付着させないための複雑かつ高精度の金型構
造および端子構造を必要とせず、金型費用や端子の部材
コストを廉価にできる上、成形サイクルをハイサイクル
化を可能とするばかりでなく、表出させた端子の表出部
分以外は外装樹脂を覆われ固定されているため、切断、
研磨などの二次加工においても端子の曲りなど発生せ
ず、検査工程を不用とすることができる。また外部の衝
撃に対しても同様の効果があるため低コストで、品質レ
ベルの高いものとすることができるのである。

【００１５】

【実施例】（実施例１）以下、本発明の第１の実施例に
ついて図面を参照しながら説明する。図１はモールド成
形後の切断、研磨加工前のモールドトランスの側面図、
図２は切断、研磨加工部分を示すモールドトランスの側
面図、図３は完成品の斜視図である。

【００１６】すなわち、下端鍔１６に端子１７を植設し
たコイルボビン１５に巻線１８を巻回し、その巻線１８
の巻始め巻終りを端子１７に半田付などにより接続した
のち磁性材１９を挿入固定し、そのコイルボビン１５全
体をプラスチックなどの外装樹脂２０でモールド成形し
てモールド成形品２１を構成している。

【００１７】成形直後のモールド成形品２１は端子１７
が外装樹脂２０で覆われいてるため、プリント基板のラ
ンド部と面実装にて接続する部分がないが、図２に示す
ようにモールド成形品２１の切断研磨部２２を、外装樹
脂２０に覆われた端子１７が表出するところまで切断研
磨し取り除くことにより、図３に示すような切断研磨面
２３に、端子１７の一部が表出するのである。端子１７
の一部が表出することにより、プリント基板のランド部
との面実装による接続が可能となる。

【００１８】以上のように、全体を外装樹脂２０で成形
したのちその一部を切断研磨し、端子１７の一部を表出
させることで切断、研磨により表出された表出端子２４
は、周囲を外装樹脂２０で囲まれているため、外部衝撃
が加わったとしても端子曲りなどがおこらず、端子曲り
によるプリント基板ランド部との位置ズレなどによる接
続不良を発生しないばかりか、外部衝撃に対し強いとい
うことは、取り扱い性の向上や、輸送品質の向上を図る
ことができるのである。

【００１９】（実施例２）以下、本発明の第２の実施例
について、図７，図８を参照しながら説明する。図７は
本発明の第２の実施例における、切断研磨加工部分を示
すモールドトランス側面図、図８は第２の実施例におけ
る完成品の斜視図である。

【００２０】すなわち第２の実施例は、第１の実施例で
記載したモールドトランスの端子１７の下端をＬ字形に
折り曲げた折り曲げ部２５を設け、切断研磨する切断研
磨部２２を折り曲げ部２５の材厚部分まで行い、切断研
磨面２３に折り曲げられた端子１７の折り曲げ部２５が
表出し表出端子２４となるように構成されたものであ
る。

【００２１】以上のように、端子１７の下端にＬ字形に
折り曲げられた折り曲げ部２５を設けて、切断研磨部２
２を折り曲げ部２５の材厚部分まで行い切断研磨面２３
に折り曲げ部２５すなわち表出端子２４が表出すれば切
断研磨面２３に表出する端子１７、すなわち、プリント
基板のランド部と接続される表出端子２４の面積がひろ
がり、プリント基板のランド部との接続が容易になるば
かりでなく、接続面積が広いということは、プリント基
板への固定力を強くすることができるのである。

【００２２】（実施例３）以下、本発明の第３の実施例
について、図９，図１０を参照しながら説明する。図９
は本発明の第３の実施例を示すモールド成形後の切断研
磨加工部分を示すモールドトランスの側面図、図１０は
完成品の斜視図である。

【００２３】すなわち第３の実施例は、第２の実施例で
記載したモールドトランスの切断研磨面２３の端部、す
なわち、端子１７の折り曲げ部２５が折り曲げられたの
と同方向の一部をＣカットした切りかき部２６を構成す
ることで端子１７の折り曲げ部の先端を側面より表出す
るようにしたものである。

【００２４】以上のように、端子１７の折り曲げ部２５
が折り曲げられた方向と同方向の切断研磨面２３の端部
にＣカットした切りかき部２６を設けることで、モール
ドトランスの側面下部から折り曲げ部２５の先端である
側面表出端子２７が表出する、側面に端子１７の一部が
表出することにより、プリント基板のランド部と、表出
端子２４との位置合わせが容易となる。

【００２５】また、端子１７の一部が側面より表出する
ことにより、プリント基板のランド部と表出端子２４と
の半田接続の際、半田接続の際の熱伝導の効率が向上さ
れるばかりでなく、側面への半田固定も行えるためプリ
ント基板への固定力がより一層向上するのである。

【００２６】なお、切断研磨面２３の端部のカット形状
は、Ｒカット段カットなど、側面部にＬ字形の折り曲げ
部２５が表出する形状であれば同様の効果があることは
言うまでもない。

【００２７】（実施例４）以下、本発明の第４の実施例
について、図１，図２，図４，図５，図６を参照しなが
ら説明する。図１はモールド成形後の切断、研磨前のモ
ールドトランス側面図、図２はモールド成形後の切断研
磨加工部分を示すモールドトランスの側面図、図４は第
１の実施例におけるモールド金型内の断面図、図５は第
１の実施例における成形後の型開き状態を示す断面図、
図６は第２の実施例における成形後の型開き状態を示す
断面図である。

【００２８】すなわち、下端鍔１６に端子１７を植設し
たコイルボビン１５に巻線１８を巻回し、その巻線１８
の巻始め巻終りを端子１７に半田付などにより接続した
のち、磁性材１９を挿入固定し、そのコイルボビン１５
をコイルボビン１５が挿入された際、挿入されたコイル
ボビン１５の固定と位置決め用に設けられた凸部３２
ａ，３２ｂをそれぞれ設けた上側金型３０と下側金型３
１を組み合わせ、その組み合わせにより構成された空間
３３に上記コイルボビン１５を挿入したのち、その空間
に外装樹脂２０を成形注入して全体をモールド成形す
る。

【００２９】そして、上側金型３０と下側金型３１を型
開きして図５，図６に示すようにモールド成形品２１を
取り出す。取り出したモールド成形品２１は図１の示す
ような状態であり、端子１７が外装樹脂２０に囲まれ、
モールド成形品２１の表面に出ていない状態となってい
る。

【００３０】端子１７をモールド成形品２１の表面に表
出させるために図２に示すように、モールド成形品の一
部を切断研磨することで端子１７の一部を外面に表出さ
せるものとしたモールドトランスの製造法である。

【００３１】端子１７を含むコイルボビン全体を外装樹
脂２０によりモールド成形し、その後モールド成形品２
１の一部を切断研磨し端子１７を表出させる製造法とす
ることにより、モールド成形時端子部分に外装樹脂２０
を付着させないための複雑かつ高精度の金型構造および
端子構造を必要とせず、成形サイクルについても簡単な
金型構造となることでハイサイクル化を可能とするもの
である。

【００３２】

【発明の効果】以上のように本発明は、端子を含めたト
ランス本体全体を金型内に収納し、外装樹脂で全体をモ
ールド成形したのち、そのモールド成形品の一部を切断
研磨することで外装樹脂に囲まれていた端子を外部に表
出させるモールドトランスおよびその製造法とすること
で、金型構造の簡素化と端子部材の寸法精度の簡素化を
図り、金型や部材コストを低減できる上、金型構造の簡
素化により成形ハイサイクル化を可能とするばかりでな
く、端子位置の高精度化を図り、なおかつ端子曲りなど
の品質問題を皆無とし、外部衝撃に強く取り扱い性や輸
送品質のすぐれた面実装型モールドトランスとすること
ができるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例におけるモールド成形後
の切断研磨加工前のモールドトランスの側面図

【図２】第１の実施例における切断研磨加工部分を示す
モールドトランス側面図

【図３】第１の実施例における完成品の斜視図

【図４】第１の実施例におけるモールド金型内の断面図

【図５】第１の実施例における成形後の型開き状態を示
す断面図

【図６】第２の実施例における成形後の型開き状態を示
す断面図

【図７】第２の実施例における切断研磨加工部分を示す
モールドトランスの側面図

【図８】第２の実施例における完成品の斜視図

【図９】第３の実施例における切断研磨加工部分を示す
モールドトランスの側面図

【図１０】第３の実施例における完成品の斜視図

【図１１】従来のモールドトランスおよびその製造法を
示すモールド金型内の断面図

【図１２】従来のモールド金型内の端子挿入用凹部とそ
の端子のハメ合せを示す拡大斜視図

【図１３】従来のモールドトランスの外装樹脂成形後型
開き状態を示す金型の断面図

【図１４】従来のモールドトランスの完成品の側面図

【図１５】従来のモールドトランスの完成品の側面図

【符号の説明】

１５ コイルボビン １６ 下端鍔 １７ 端子 １８ 巻線 １９ 磁性材 ２０ 外装樹脂 ２１ モールド成形品 ２２ 切断研磨部 ２３ 切断研磨面 ２４ 表出端子 ２５ 折り曲げ部 ２６ 切りかき部 ２７ 側面表出端子 ３０ 上側金型 ３１ 下側金型 ３２ａ，３２ｂ 凸部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】巻線を施したコイルボビンまたは磁心と、
   このコイルボビンまたは磁心に植設され上記巻線の引出
   し線を接続した端子と、上記コイルボビンまたは磁心お
   よび端子をモールドした外装樹脂と、この外装樹脂の一
   部を切断することにより端子の一部を表出させた接続部
   からなる面実装型モールドトランス。
2. 【請求項２】端子の下端をＬ字形に折り曲げた折曲部を
   設け、この折曲部を外装樹脂の切断面に表出させて接続
   部とした請求項１記載の面実装型モールドトランス。
3. 【請求項３】外装樹脂の切断面の端部の一部を切りかき
   状に切断し、外装樹脂側面部に接続部を表出させた請求
   項２記載の面実装型モールドトランス。
4. 【請求項４】端子を植設したコイルボビンまたは磁心に
   巻線を施し、この巻線を施したコイルボビンまたは磁心
   を外装成形金型内にセットして、外装樹脂を注入し外装
   を形成した後、この外装の一部を切断することにより端
   子の一部を表出させてプリント基板との接続部を形成す
   る面実装型モールドトランスの製造法。