JPH05234644A - Ｌ型同軸コネクタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構造でＬ型同軸コネクタ内の中心導体
と外部導体との短絡を確実に防止する。 【構成】 Ｌ型同軸コネクタ１の絶縁体４を、中心導体
３が嵌装される支持部４１と、この支持部４１の上面に
面対称の形状を有する一対の隔壁形成部材４２１，４２
１′を開口した状態で延設してなる保護部４２とから構
成し、該絶縁体４が外部導体２の嵌入部２１に嵌装され
ると、前記隔壁形成部材４２１，４２１′が閉塞して前
記中心導体３の、同軸ケーブル５の内導体５１が接続さ
れた接続部と外部導体２間に絶縁隔壁が形成されるよう
にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、Ｌ型同軸コネクタに係
り、特に中心導体と外部導体間に設けられる絶縁体の構
造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図５は、従来のＬ型同軸コネクタの分解
斜視図を示したものである。同図に示す従来のＬ型同軸
コネクタ１０は、下方に嵌合部２１が形成されたＬ字状
の中空円筒のハウジング（外部導体）２と、絶縁体から
なるブッシング１１を介して該嵌合部２１の中心軸上に
支持されるセンターソケット（中心導体）３とから構成
され、例えば直径２mmの同軸ケーブル５に取り付けられ
る小型のＬ型同軸コネクタである。

【０００３】前記ハウジング２は、前記嵌合部２１の天
板部２２と、該ハウジング２を同軸ケーブル５へ取り付
けるための取付部２３と、該ハウジング２を同軸ケーブ
ル５の外導体５３と電気的に接続するためのアーム部２
４とを有し、これら天板部２２及び取付部２３は、前記
嵌合部２１の上端に該嵌合部２１から上方に延設されて
いる。また、前記アーム部２４は、前記嵌合部２１の外
周面適所に外方向に設けられている。

【０００４】前記Ｌ型同軸コネクタ１０は、前記センタ
ーソケット３の基端部をアーム部２４に沿って挿入され
た同軸ケーブル５の内導体５１の先端部に直交して接続
させた後、前記ハウジング２を所定の折曲部２５で同軸
ケーブル５側に折り曲げ、更に同軸ケーブル５の外導体
５３及びシース５４をその取付部２３で挾み込んだ状態
でかしめて取り付けられるものである。そして、この一
連の組立作業において前記ハウジング２の嵌合部２１の
上面開口部は、前記ハウジング２の天板部２２により遮
蔽され、図６に示すように、前記センターソケット３と
同軸ケーブル５の内導体５１との接続部６が該嵌合部２
１内に密封されるようになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
Ｌ型同軸コネクタ１０は、組立時のセンターソケット３
と同軸ケーブル５の内導体５１との接続の作業性を考慮
して、センターソケット３と内導体５１の接続部６とハ
ウジング２の天板部２２間を絶縁するための部材が設け
られておらず、前記接続部６と天板部２２間は、図６に
示すように、専ら空気の層により絶縁されるようになっ
ている。

【０００６】また、センターソケット３は、外周面適所
を切り欠いて外向きに突出させて爪３３が形成されてお
り、この爪３３を前記ブッシング１１にひっかけて軸方
向の位置ずれが防止されるようになっている。

【０００７】このため、例えば前記Ｌ型同軸コネクタ１
０を不図示の同軸レセプタクルに嵌合した際、該同軸レ
セプタクルのセンターピンとＬ型同軸コネクタ１０のセ
ンターソケット３とが完全に嵌合せず、センターソケッ
ト３が前記爪３３による固定力を越えた力で上方に押さ
れた場合、上方に位置ずれして前記接続部６と天板部２
２間の間隔が狭くなり、耐電圧性が著しく劣化する可能
性がある。また、最悪の場合には前記接続部６が天板部
２２に接触し、短絡してしまう可能性もある。

【０００８】また、上記従来のＬ型同軸コネクタ１０
は、前記接続部６と天板部２２間は空気の層により絶縁
されているので、所望の耐電圧性を得るには一定の間隔
を要し、嵌合部２１の高さを低くして小型化を図ること
が困難となっている。

【０００９】本発明は、上記課題に鑑みてなされもので
あり、ハウジング内の中心導体と外部導体との絶縁性を
確実にし、小型化可能なＬ型同軸コネクタを提供するこ
とを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、同軸ケーブルの内導体の先端部を軸に対
して直角方向に接続する中心導体と、一方端に前記同軸
ケーブルの外導体への取付部が形成され、他方端に嵌合
部が形成されたＬ字状に屈曲した中空円筒状の外部導体
と、前記中心導体を前記嵌合部内の中心軸上の所定の位
置に支持するための絶縁体とを備えたＬ型同軸コネクタ
において、前記絶縁体は、前記中心導体が嵌装される円
筒状の支持部と、この支持部の上面に、閉塞時に前記中
心導体と前記同軸ケーブルの内導体との接続部と前記外
部導体間の絶縁隔壁を形成する面対称の形状を有する一
対の隔壁形成部材を開口した状態で延設された保護部と
から構成したものである。

【００１１】

【作用】Ｌ型同軸コネクタは、同軸ケーブルの内導体の
先端部を軸に対して直角方向に中心導体に接続した後、
該中心導体を支持部の孔に嵌入して絶縁体に取付け、更
にこの絶縁体を外部導体の嵌合部に嵌入した後、該外部
導体の取付部を同軸ケーブル先端に固着して取り付けら
れる。

【００１２】絶縁体の支持部の上面に設けられた面対称
の形状を有する一対の隔壁形成部材からなる保護部は、
前記絶縁体の嵌合部への嵌入動作に伴い該嵌入部の側壁
に押されて互いに内側に移動し、絶縁体が完全に嵌合部
に嵌入されると、完全に閉塞して前記支持部の上部に露
出していた中心導体と同軸ケーブルの内導体との接続部
を完全に包囲し、絶縁隔壁を形成する。

【００１３】これによりＬ型同軸コネクタの外部導体と
中心導体間が絶縁体により絶縁され、耐電圧性が向上す
るとももに、Ｌ型同軸コネクタ内の短絡が確実に防止さ
れる。

【００１４】

【実施例】本発明に係るＬ型同軸コネクタについて図１
〜図４を用いて説明する。図１は、本発明に係るＬ型同
軸コネクタの一実施例の構造を示す分解斜視図である。
また、図２は、同軸ケーブルに前記Ｌ型同軸コネクタを
取り付けた状態を示す断面図である。

【００１５】同図に示すＬ型同軸コネクタ１は、外部導
体であるハウジング２と、中心導体であるセンターソケ
ット３と、該センターソケット３を前記ハウジング２の
嵌合部２１内の中心軸上に絶縁状態で支持するブッシン
グ（絶縁体）４とから構成され、例えば直径２mmの同軸
ケーブル５に取り付けられる小型のＬ型同軸コネクタで
ある。

【００１６】前記ハウジング２は、中空円筒状の嵌合部
２１と、該嵌合部２１の上面開口部を遮蔽するための天
板部２２と、同軸ケーブル先端を固着するための取付部
２３と、前記同軸ケーブル５の外導体５３を電気的に接
続するためのアーム部２４とから構成されている。

【００１７】前記嵌合部２１の外周面適所には、側面の
一部を内側に切り起こして前記ブッシング４の離脱を防
止するための爪２１１が設けられている。また、嵌合部
２１の下端には、開口部を変形可能にすべく適宜の数の
スリット２１２が形成されている。

【００１８】また、前記アーム部２４は、前記同軸ケー
ブル５の絶縁体５２の外周面と略同一の曲率で内側に湾
曲された一対の突片２４１，２４１′からなり、前記嵌
合部２１の外周面の上部適所に外向きに突設されてい
る。

【００１９】また、前記天板部２２は、前記嵌合部２１
の開口部と略同一の断面積を有する円板状をなし、該嵌
合部２１の上端であって、前記アーム部２４と反対側の
位置に折曲部２５を介して軸方向に延設されている。ま
た、天板部２２の外周部であって、前記折曲部２５に対
して直角方向の位置には、一対の爪部２６が形成されて
いる。この爪部２６は、対応するレセプタクルに嵌合さ
れたＬ型同軸コネクタ１を引き抜くための把持部材であ
る。

【００２０】また、前記取付部２３は、前記天板部２２
の外周部であって、前記折曲部２５と反対側の位置に延
設され、第１のカシメ部２３１と第２のカシメ部２３２
とを有している。そして、ハウジング２は、前記取付部
２３の第１のカシメ部２３１と第２のカシメ部２３２と
を、それぞれ同軸ケーブル５の外導体５３の部分とシー
ス５４の部分とをかしめて同軸ケーブル５を固着するよ
うになっている（図２参照）。

【００２１】前記ハウジング２は、金属単板を所定の形
状に打ち抜いた後、折曲加工を施して上記各部を形成す
ることにより作成されている。

【００２２】前記センターソケット３は、弾性力を有す
る筒状の金属薄板からなり、基端部の軸対称位置に同軸
ケーブル５の内導体５１を挾持して接続するためのスリ
ット３１が形成されている。また、先端部は、数条のス
リット３２を穿設して複数の接片３３に分割され、これ
ら接片３３の先端を内側に寄せて先端先窄まり形状にな
されている。

【００２３】前記ブッシング４は、図３に示すように、
前記センターソケット３を支持する支持部４１と、セン
ターソケット３と同軸ケーブル５の内導体５１との接続
部がハウジング２の内壁に接触して短絡するのを防止す
る保護部４２とからなり、例えばポリプロピレンやポリ
テトラフルオロエチレン等の弾性力を有する合成樹脂で
形成されている。

【００２４】前記支持部４１は、適宜長の円筒形状をな
し、前記嵌合部２１の内径と略同一の外径と、前記セン
ターソケット３の外径と略同一の内径を有している。こ
の支持部４１は、ブッシング４をハウジング２の嵌合部
２１に嵌入させて装着することにより、内部に貫通され
た孔４１１に嵌装された前記センターソケット３を該嵌
合部２１の中心軸上に絶縁状態で保持する。

【００２５】また、前記保護部４２は、前記支持部４１
の上面に形成され、軸を含む対称面Ａに対して面対称の
形状を有する一対の隔壁形成部材４２１，４２１′から
構成されている。これら隔壁形成部材４２１，４２１′
は、前記対称面Ａを臨む側面部に、閉じ合わされると前
記孔４１１の上方に空洞を形成する凹溝４２２，４２
２′が設けられた、前記支持部４１の直径と同一の直径
を有する半円柱状をなし、前記支持部４１の上面に前記
対称面Ａに対して所定の角度で外側に傾斜させて延設さ
れている。すなわち、隔壁形成部材４２１，４２１′
は、前記孔４１１の上方からセンターソケット３を嵌装
できるように開いた状態で設けられている。

【００２６】前記隔壁形成部材４２１，４２１′は、外
部から押圧されると、内側に容易に変形して閉塞し、前
記孔４１１の上部に空洞を形成するようになっている。
従って、ブッシング４がハウジング２の嵌合部２１に嵌
入されると、該嵌入部２１の側壁により閉塞され、図４
に示すように、孔４１１の上部にセンターソケット３と
同軸ケーブル５の内導体５１との接続部６を収納する空
洞４３が形成される。

【００２７】なお、隔壁形成部材４２１，４２１′は、
ブッシング４を嵌合部２１へ嵌入した際に閉塞され、支
持部４１の上部にセンターソケット３と同軸ケーブル５
の内導体５１との接続部６とハウジング２の内壁間に絶
縁隔壁をするものであればよく、隔壁形成部材４２１，
４２１′を閉塞したときの外観形状は、上記形状に限定
されるものではない。

【００２８】また、隔壁形成部材４２１，４２１′を閉
塞したときに形成される空洞４３の形状も前記接続部６
を絶縁可能に収納できるものであれば、方形に限らず任
意の形状にすることができる。

【００２９】図１に戻り、上記構成のＬ型同軸コネクタ
１への同軸ケーブル５の取付けは、以下の手順で行われ
る。

【００３０】まず、同軸ケーブル５の先端部の内導体５
１、絶縁体５２及び外導体５３をそれぞれ所定の寸法ず
つ露出させた後、前記内導体５１の先端をセンターソケ
ット３のスリット３１に圧入し、該センターソケット３
に対して直角方向に内導体５１を接続する。続いて、セ
ンターソケット３をブッシング４の保護部４２側から支
持部４１の孔４１１に嵌入してセンターソケット３にブ
ッシング４を取り付ける。

【００３１】次に、ハウジング２のアーム部２４を下方
から傾斜させて同軸ケーブル５の絶縁体５２と外導体５
３との境界部分にあてがい、この部分を支点に同軸ケー
ブル５を回転させて前記アーム部２４を同軸ケーブル５
の絶縁体５２と外導体５３間に挿入しつつ、前記ブッシ
ング４をハウジング２の嵌合部２１に上方から嵌入す
る。

【００３２】このとき、ブッシング４のハウジング２へ
の嵌入に応じてハウジング２の側壁により隔壁形成部材
４２１，４２１′が内側に押圧され、該隔壁形成部材４
２１，４２１′は変形して閉塞動作を行う。そして、ブ
ッシング４が完全にハウジング２内に収納されると、図
４に示すように、隔壁形成部材４２１，４２１′は完全
に閉塞され、保護部４２は、センターソケット３と同軸
ケーブル５の内導体５１との接続部６を空洞４３内に収
納し、該接続部６とハウジング２間の絶縁隔壁を形成す
る。

【００３３】続いて、天板部２２及び取付部２３を折曲
部２５で同軸ケーブル５側に折り曲げ、同軸ケーブル５
の外導体５３及びシース５４を挾み込んで取付部２３を
かしめる。

【００３４】上記のように、ブッシング４を、センター
ソケット３を支持する支持部４１と、該センターソケッ
ト３と同軸ケーブル５の内導体５１との接続部６の短絡
を保護する保護部４２とから構成しているので、Ｌ型同
軸コネクタ１のハウジング２とセンターソケット３及び
これに接続された同軸ケーブル５の内導体５１間の隙間
に絶縁体層が形成され、Ｌ型同軸コネクタ１内における
短絡が確実に防止される。

【００３５】特に前記接続部６と天板部２２間にも保護
部４２による絶縁体を介在させ、確実な絶縁を確保して
いるので、この間の間隔を狭くして嵌合部２１の高さを
低くすることができる。

【００３６】また、前記保護部４２によりセンターソケ
ット３の上方への移動が規制され、該センターソケット
３の位置ずれが防止される。

【００３７】また、前記保護部４２は、面対称の形状を
有する２個の隔壁形成部材４２１，４２１′を前記支持
部４１の上面に開口した状態で延設しているので、ブッ
シング４をハウジング２内へ嵌入する際に前記隔壁形成
部材４２１，４２１′が閉塞して簡単に前記絶縁隔壁を
形成することができる。

【００３８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
Ｌ型同軸コネクタにおいて、中心導体と外部導体間に装
着される絶縁体を前記中心導体を嵌装する円筒状の支持
部と、前記中心導体と同軸ケーブルの内導体との接続部
と前記外部導体間の絶縁隔壁を形成する一対の隔壁形成
部材からなる保護部とから構成したので、前記外部導体
と中心導体及びこれに接続された同軸ケーブルの内導体
間の隙間に絶縁層が形成され、Ｌ型同軸コネクタ内にお
ける短絡が確実に防止される。

【００３９】また、前記接続部と外部導体間に前記保護
部による絶縁体を介在させ、確実な絶縁を確保している
ので、この間の間隔を狭くして外部導体の嵌合部の高さ
を低くすることができる。

【００４０】また、前記保護部により中心導体の軸方向
における上方への移動が規制され、該中心導体の位置ず
れを防止することができる。

【００４１】また、前記保護部は、前記支持部の上面
に、閉塞時に前記中心導体と前記外部導体間の絶縁隔壁
を形成する面対称の形状を有する一対の隔壁形成部材を
開口した状態で延設したので、絶縁体を前記外部導体に
嵌装する際に該保護部が閉塞し、前記絶縁隔壁を簡単に
形成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るＬ型同軸コネクタの一実施例の構
造を示す分解斜視図である。

【図２】本発明に係るＬ型同軸コネクタに同軸ケーブル
を取り付けた状態を示す断面図である。

【図３】ブッシングの形状を示す斜視図である。

【図４】ブッシングをハウジングの嵌合部に嵌入した状
態を示す断面図である。

【図５】従来のＬ型同軸コネクタの構造を示す分解斜視
図である。

【図６】従来のＬ型同軸コネクタに同軸ケーブルを取り
付けた状態を示す断面図である。

【符号の説明】 １ Ｌ型同軸コネクタ ２ ハウジング（外部導体） ３ センターソケット（中心導体） ４ ブッシング ２１ 嵌合部 ２２ 天板部 ２３ 取付部 ２４ アーム部 ２５ 折曲部 ３１，３２ スリット ３３ 接片 ４１ 支持部 ４２ 保護部 ４３ 空洞 ２３１，２３２ カシメ部 ２４１，２４１′ 突片 ４１１ 孔 ４２１，４２１′ 隔壁形成部材 ４２２，４２２′ 凹溝

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 同軸ケーブルの内導体の先端部を軸に対
   して直角方向に接続する中心導体と、一方端に前記同軸
   ケーブルの外導体への取付部が形成され、他方端に嵌合
   部が形成されたＬ字状に屈曲した中空円筒状の外部導体
   と、前記中心導体を前記嵌合部内の中心軸上の所定の位
   置に支持するための絶縁体とを備えたＬ型同軸コネクタ
   において、前記絶縁体は、前記中心導体が嵌装される円
   筒状の支持部と、この支持部の上面に、閉塞時に前記中
   心導体と前記同軸ケーブルの内導体との接続部と前記外
   部導体間の絶縁隔壁を形成する面対称の形状を有する一
   対の隔壁形成部材を開口した状態で延設された保護部と
   から構成されていることを特徴とするＬ型同軸コネク
   タ。