JPH05234420A - 誘電体セラミック材料および多層セラミック部品 - Google Patents

誘電体セラミック材料および多層セラミック部品

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JPH05234420A
JPH05234420A JP4313997A JP31399792A JPH05234420A JP H05234420 A JPH05234420 A JP H05234420A JP 4313997 A JP4313997 A JP 4313997A JP 31399792 A JP31399792 A JP 31399792A JP H05234420 A JPH05234420 A JP H05234420A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 誘電率、誘電損失、共振周波数温度係数等の
マイクロ波誘電特性が実用上十分であり、焼成温度を低
下させることが可能な誘電体セラミック材料を得る。ま
た、共振器としてのQ値が高いなど、特性に優れた多層
セラミック部品を得る。 【構成】 主成分を、xBaO・yTiO2 ・zNd2
3 の組成式で表した時、x+y+z=100モル%と
して、7≦x≦25、55≦y≦78および10≦z≦
25の関係を有し、この主成分に対し、BiO23
0〜15wt%、MnOを0.5〜1.5wt% 、ガラスを
4〜25wt% 添加した材料とする。また、誘電体セラミ
ック材料と内部導体材料とを同時焼成して多層セラミッ
ク部品を得る場合、好ましくは内部導体材料の融点より
高い温度で、かつ酸素分圧を5×10-2atm 以下の条件
で焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主にマイクロ波領域で
使用される誘電体共振器やフィルター、誘電体基板、温
度補償用コンデンサーなどに用いられる誘電体セラミッ
ク材料、および多層セラミック部品に関する。
【0002】
【従来の技術】誘電体共振器の使用周波数領域が拡大す
るにつれて、特にマイクロ波領域において使用される誘
電体共振器の小型化が望まれている。
【0003】このような要請からマイクロ波用誘電体材
料が種々開発されており、特に小型化を実現するものと
して高誘電率を示すことが要求される。
【0004】高誘電率のマイクロ波用誘電体材料として
は、BaO−Nd23 −TiO2−Bi23 系やB
aO−PbO−Nd23 −TiO2 系の材料が挙げら
れる。
【0005】しかし、これらのものでは、誘電率が高い
とはいえ、後述のように、導体と同時焼成できないこと
に起因する構造上の制約から小型化に不向きであり、小
型化の要請に十分応えるものではない。また、誘電損失
や誘電率の温度特性(共振周波数温度係数)の点でも十
分ではない。さらに、焼結体を得る際の焼成温度が12
70〜1400℃と高く、製造上不利である。
【0006】また、誘電率を、さらに、高いものとする
ために、マイクロ波に適したAg、Cu等を内部電極と
して用い、セラミック材料を積層する方法が採用されて
いる。しかし、上記にようなセラミック材料では、A
g、Cu等の導電体材料の融点に比べて焼成温度が高い
ため同時焼成ができないという問題が指摘されている。
この同時焼成の問題は、Ag、Cu等を電極導体とし温
度補償用コンデンサー材料とするときにも同様に指摘さ
れる。
【0007】このようなことから、これに対処するもの
として、低温焼成マイクロ波材料が開示されている(大
川等、「第10回電子材料研究討論会講演予稿集」p2
5〜26)。
【0008】このものは、Nd23 、BaO、TiO
2 、Bi23 、PbOおよびガラス添加剤を仮焼後、
大気中で900〜950℃で焼成して得られるものであ
り、Agの融点より低い温度で焼結でき、比誘電率
(ε)75、誘電損失(Q・f値)2500以上、共振
周波数温度係数(τf)±15以内の特性を有する。
【0009】また、これと同様の組成の低温焼成可能な
誘電体磁器が特開平3−295854号、特開平3−2
95855号、特開平3−295856号、特開平3−
295858号、特開平3−295859号公報に記載
されている。
【0010】従って、これらのものとマイクロ波誘電特
性が同等以上であり、低温焼成可能な材料の開発が望ま
れる。
【0011】一方、共振器等の多層セラミック部品を作
製する場合、グリーンシート法や積層印刷法が適用され
ており、上記のように、導体材料とセラミック材料とを
同時焼成する方法が採用されている。
【0012】この場合、高特性を得るためには、誘電体
材料の面のみならず、製法等の他の面からの改善も必要
である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、誘電率、誘電損失、共振周波数温度係数等のマイク
ロ波誘電特性が実用上十分であり、焼成温度を低下させ
ることが可能な誘電体セラミック材料を提供することに
ある。
【0014】また、第二の目的は、共振器としてのQ値
が高いなど、特性に優れた多層セラミック部品を提供す
ることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(7)および(9)〜(11)の構成によって
達成される。そして、好ましい構成は下記(8)であ
る。 (1)バリウム、ネオジウムおよびチタンの酸化物を主
成分とする誘電体セラミック材料であって、前記主成分
は、組成式をxBaO・yTiO2 ・zNd23 で表
したとき、x+y+z=100モル%として、 7≦x≦25、55≦y≦78および10≦z≦25 の関係を有し、前記主成分に対し、Bi23 を0〜1
5wt% 、MnOを0.05〜1.5wt% 、ガラスを4〜
25wt% 添加した誘電体セラミック材料。 (2)前記ガラスは、PbOを20〜86.5wt% 、B
23 を8.5〜21wt% 、ZnOを5〜50wt% 含有
する上記(1)の誘電体セラミック材料。 (3)前記主成分に対し、さらに、Al23 を0.0
5〜2.5wt% 添加した上記(1)または(2)の誘電
体セラミック材料。 (4)少なくとも前記主成分の原料を仮焼したのち、前
記ガラスを添加し、その後焼成して得られた上記(1)
ないし(3)のいずれかに記載の誘電体セラミック材
料。 (5)前記主成分に対し、仮焼したのち、さらにCuO
を0.25〜4.0wt% 添加するか、これにかえて、あ
るいはこれに加えて、TiO2 および/またはチタン酸
塩を10wt% 以下添加した上記(4)の誘電体セラミッ
ク材料。 (6)バリウム、ネオジウムおよびチタンの酸化物を主
成分とする誘電体セラミック材料であって、前記主成分
は、組成式をxBaO・yTiO2 ・zNd23 で表
したとき、x+y+z=100モル%として、 7≦x≦25、55≦y≦78および10≦z≦25 の関係を有し、前記主成分に対し、Bi23 を0〜1
5wt% 、ガラスを4〜25wt% 添加した誘電体セラミッ
ク材料層上に内部導体のパターンを形成し、誘電体セラ
ミック材料層と積層して焼成することにより得られた多
層セラミック部品であって、前記内部導体の融点以上の
温度で焼成する多層セラミック部品。 (7)上記(1)ないし(5)のいずれかの誘電体セラ
ミック材料層上に内部導体のパターンを形成し、誘電体
セラミック材料層と積層して焼成することにより得られ
た多層セラミック部品であって、前記内部導体の融点以
上の温度で焼成する多層セラミック部品。 (8)前記内部導体を融点の異なる少なくとも2種の材
料から形成し、前記内部導体のうち低融点内部導体の融
点以上で、しかも高融点内部導体の融点未満の温度で焼
成する上記(6)または(7)の多層セラミック部品。 (9)バリウム、ネオジウムおよびチタンの酸化物を主
成分とする誘電体セラミック材料であって、前記主成分
は、組成式をxBaO・yTiO2 ・zNd23 で表
したとき、x+y+z=100モル%として、 7≦x≦25、55≦y≦78および10≦z≦25 の関係を有し、前記主成分に対し、Bi23 を0〜1
5wt% 、ガラスを4〜25wt% 添加した誘電体セラミッ
ク材料層上に内部導体のパターンを形成し、誘電体セラ
ミック材料層と積層して焼成することにより得られた多
層セラミック部品であって、前記焼成雰囲気の酸素分圧
を5×10-2atm 以下とする多層セラミック部品。 (10)上記(1)ないし(5)のいずれかの誘電体セ
ラミック材料層上に内部導体のパターンを形成し、誘電
体セラミック材料層と積層して焼成することにより得ら
れた多層セラミック部品であって、前記焼成雰囲気の酸
素分圧を5×10-2atm 以下とする多層セラミック部
品。 (11)上記(6)ないし(8)のいずれかの多層セラ
ミック部品であって、さらに、前記焼成雰囲気の酸素分
圧を5×10-2atm 以下とする多層セラミック部品。
【0016】
【作用】本発明では、バリウム、ネオジウムおよびチタ
ンの酸化物を主成分として用い、この主成分の組成式を
xBaO・yTiO2 ・zNd23 で表したとき、x
+y+z=100モル%として、7≦x≦25、5≦y
≦78および10≦z≦25の関係を満足するように、
上記の酸化物を混合する。そして、さらに、これにBi
23 を0〜15wt% 、MnOを0.05〜1.5wt%
、さらに好ましくはAl23 を0.05〜2.5wt%
混合し、仮焼する。この仮焼物にガラスを4〜25wt%
、好ましくはCuOを0.2〜4wt% 、TiO2 を1
0wt% 以下添加し、このものを粉砕、造粒し、成形後、
焼成する。このとき、ガラスはPbO2 0〜86.5wt
% 、B23 8.5〜21wt% 、ZnO5〜50wt% 含
有する組成を有する。
【0017】このようにして得られた誘電体セラミック
材料は、誘電率、誘電損失、共振周波数温度係数等のマ
イクロ波誘電特性において実用上十分なものとなる。ま
た、MnOを添加することにより焼結性が向上し、90
0〜1150℃の温度での低温焼成が可能となる。特
に、後述のように、内部導体材料と同時焼成して多層セ
ラミック部品を得る場合酸素分圧の低い雰囲気中で焼成
することがより好ましいが、この条件下の焼成において
も良好な特性が得られる。
【0018】なお、特開平3−295854号、特開平
3−295855号、特開平3−295856号、特開
平3−295858号、特開平3−295859号や大
川等、「第10回電子材料研究討論会講演予稿集」p2
5〜26、などには、本発明と類似の組成の誘電体磁器
組成物が記載されている。
【0019】しかし、これらに記載されている組成は、
本発明と異なり、MnOを必須成分とするものではな
い。従って、MnO添加によって得られる本発明の効果
は、この組成では得られるものではない。
【0020】また、上記公報等に記載される誘電体磁器
組成物では、ガラス等も含めて仮焼して焼成する方法を
採用しているが、本発明では好ましくは仮焼物にガラス
等を添加して焼成する方法を採用しており、これによっ
て特性が向上する。従って、上記公報等に記載の方法を
採用しては特性向上の効果は得られるものではない。
【0021】本発明の多層セラミック部品は、好ましく
は上記の本発明の誘電体セラミック材料を用い、Ag、
Cu等の内部導体材料と同時焼成して得られる。
【0022】このため、内部導体が溶融して緻密化し、
導体粉によって生じる内部導体内の粒界を実質的に消滅
させることができ、共振器としてのQ値を向上するな
ど、特性の向上を図ることができる。
【0023】なお、前記の特開平3−295854号等
の公報や大川等、「第10回電子材料研究討論会講演予
稿集」p25〜26、などには、内部導体材料と同時焼
成する場合、内部導体材料の溶融を防止するため、内部
導体材料の融点以下の温度で焼成する必要があることが
記載されており、そのため低温焼成用の組成が種々提案
されている。
【0024】しかし、本出願人によれば、MnOを添加
した前記の本発明の組成のみならず、この組成において
MnOを添加しない組成においても、内部導体を溶融す
ることによって格段と特性が向上することが確認されて
いる。内部導体を溶融させること、従って溶融による効
果は、上記公報等には示唆すらされておらず、本出願人
によってはじめて見い出されたことである。
【0025】さらに、本発明では、上記の同時焼成する
方法を採用する場合、焼成雰囲気の酸素分圧Po2 を5
×10-2atm 以下とする。このように酸素分圧を低くし
た焼成雰囲気とすることによって、Ag等の内部導体の
拡散による薄層化、ひいては内部導体の消失を防止する
ことができ、共振器としてのQ値が高いなど、特性に優
れたものとすることができる。上記の同時焼成におい
て、焼成を空気等の酸素雰囲気中で行った場合、焼成中
に内部導体が拡散して薄層化することが確認されてい
る。
【0026】これは、誘電体セラミック材料に添加され
たガラス中にAg等の導体金属がイオン化するなどして
拡散して取り込まれるためと考えられる。この内部導体
材料の拡散は、本発明の前記のMnOを添加した組成あ
るいはこの組成においてMnOを添加しない組成におい
て特に顕著であることが確認されている。従って、内部
導体材料の拡散は、Cu、Ag等の比較的拡散しやすい
とされているもののみならず、Bi23 を添加した組
成では、特に、従来のセラミック材料で問題とならない
Pd等においても生ずる程である。また、内部導体材料
の拡散は、本発明の前記組成のように、焼結性向上のた
め、好ましくは添加されるCuOとガラスが共存すると
きに顕著である。
【0027】本発明では、例えば焼成雰囲気の酸素分圧
を低くすることによって、Ag等の導体金属がガラス中
に溶解しやすい形(例えばイオン)になるのを防止し
て、内部導体の拡散による薄層化を防止することができ
る。
【0028】なお、特開平2−122598号、特開平
2−122511号にはセラミック材料とAg等の内部
導体を低酸素濃度雰囲気中で同時焼成することが開示さ
れている。しかし、セラミック材料として、本発明にお
ける組成は示されていない。
【0029】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0030】本発明の誘電体セラミックス材料は、バリ
ウム、ネオジウムおよびチタンの酸化物を主成分とし、
組成式をxBaO・yTiO2 ・zNd23 で表した
とき、x+y+z=100モル%として、x、y、zは
次の関係を有する。
【0031】xは、7≦x≦25、好ましくは9≦x≦
20、yは、55≦y≦78、好ましくは65≦y≦7
3、zは、10≦z≦25、好ましくは14≦z≦19
である。
【0032】そして、本発明では、上記の主成分に対
し、MnOを0.05〜1.5wt% 、好ましくは0.1
〜1.0wt% 、またガラスを4〜25wt% 、好ましくは
5〜20wt% 添加する。また、Bi23 は目的等に応
じて添加してもしなくてもよく、添加するときの添加量
は15wt% 以下、さらには2〜15wt% 、特には3〜1
1wt% とすることが好ましい。
【0033】主成分おけるx、y、zを上記範囲とし、
Bi23 、MnOおよびガラスを上記にように添加す
ることにより、本発明の効果が得られる。
【0034】これに対し、x、y、zが上記範囲外とな
ると、いずれにおいても焼結性が悪化し、また共振周波
数温度係数が悪化し、Q・f値が大幅に低下する。
【0035】また、MnOの添加量が0.05wt% 未満
となるとMnO添加の効果がなく、焼結性を改善するこ
とができず、低温焼成が不可能となる。一方、MnOの
添加量が1.5wt% をこえると、焼結性が悪化し、Q・
f値が低下する。
【0036】このMnO添加による効果は、酸素雰囲気
中での焼成、酸素分圧の低い雰囲気中での焼成のいずれ
においても得られるものであり、ともにQ・f値が向上
する。特に、後述のように、内部導体材料と同時焼成し
て多層セラミック部品を得る場合、酸素分圧の低い雰囲
気中での焼成が必要となるが、このような条件において
共振器としての高いQ値を得ることが可能になる。
【0037】また、目的等に応じて添加されるBi2
3 はQ・f値を高くするためには添加しない方が好まし
く、誘電率を高くするためには添加する方が好ましい。
添加する場合の添加量を15wt% 以下とするのは、15
wt% を超えると、焼結性が悪化し、Q・f値が低下する
からである。
【0038】上記において、ガラスの添加量が4wt% 未
満になると、焼結性が悪化し、焼成温度を高くする必要
があり、このようにすると、ガラスと他の成分が反応し
て特性が急激に劣化する。また、25wt% を超えると、
Q・f値が低下し、共振周波数温度係数が悪化する。ま
た焼結性も悪化する。
【0039】本発明におけるガラスは、PbOを20〜
86.5wt% 、好ましくは30〜84wt% 、B23
8.5〜21wt% 、好ましくは9〜19wt% 、ZnOを
5〜50wt% 、好ましくは7〜43wt% 含有することが
好ましい。さらに、Al23 および/またはSiO2
を含有してもよく、これらのものを含有するときの含有
量は、Al23 が20wt% 以下、好ましくは0.1〜
5wt% 、SiO2 が9wt% 以下、好ましくは2〜7wt%
とするのがよい。
【0040】このような組成のガラスを用いることによ
って、本発明の効果が向上する。
【0041】PbOが少なすぎると、焼結性が悪化し、
マイクロ波誘電特性が不十分となりやすく、多すぎると
ガラス化が困難となり、またQ・f値が低下する。
【0042】また、B23 、ZnOでは、少なすぎる
と焼結性が悪化しやすくなり、多すぎるとマイクロ波誘
電特性が不十分となりやすい。
【0043】また、Al23 、SiO2 の含有量が多
すぎると、マイクロ波誘電特性が不十分になりやすい。
また、焼結性も悪化しやすくなる。
【0044】また、主成分に対し、Al23 を0.0
5〜2.5wt% 、好ましくは0.1〜2.0wt% 添加す
ることが好ましい。Al23 を、このように添加する
ことにより、マイクロ波誘電特性、特に共振周波数温度
特性の点が改善される。ただし、この添加量が多くなり
すぎると、焼結性が悪化し、誘電率が低下する。
【0045】本発明の誘電体セラミック材料は、以下の
ようにして得られる。
【0046】主成分であるバリウム、ネオジウムおよび
チタンの酸化物とMnOおよび必要に応じてBi2
3 、さらに必要に応じ、好ましくはAl23 をそれぞ
れ、所定量秤量して混合し、仮焼する。混合は水等を用
いた湿式混合等によればよく、4〜24時間程度行なえ
ばよい。
【0047】仮焼は、1200〜1350℃で1〜2時
間程度行なうことが好ましい。
【0048】そして、上記の仮焼物に所定量のガラスを
添加して粉砕し、造粒後、成型(成形ともいう。)し、
焼成する。
【0049】このときの粉砕は湿式粉砕によればよく、
4〜6時間行なえばよい。
【0050】また、造粒は、有機バインダー(ポリビニ
ルアルコール系、アクリル系等)と共に行なえばよく、
成型時の圧力は800〜4000kg/cm2程度とすればよ
く、円柱状等に成型すればよい。
【0051】また焼成は900〜1150℃の温度で1
0分〜14時間程度行なえばよく、低温焼成が可能とな
る。焼成雰囲気は、空気等の酸素雰囲気とすればよい。
【0052】なお、焼成雰囲気は、酸素雰囲気に限定さ
れず、酸素分圧の低い雰囲気としてよい。特に内部導体
材料と同時焼成して多層セラミック部品を得る場合につ
いては後述する。
【0053】焼成により、BaNd2 Ti514におい
て、適宜、添加金属元素が置換された形の複合酸化物を
主相とする焼結体が生成すると考えられる。
【0054】上記において用いるバリウム、ネオジウム
およびチタンの酸化物(BaO、Nd23 、TiO
2 )、Bi23 、MnO、Al23 は、これらの酸
化物のほか、仮焼ないし焼成により酸化物に変化する炭
酸化合物(BaCO3 、MnCO3 等)などを用いても
よい。
【0055】これらの原料は、微粉末で用いることが好
ましく、その粒径は2μm 以下であることが好ましい。
【0056】また、仮焼、粉砕後のものの粒径は成形性
の点で0.8〜1.5μm 程度であることが好ましい。
【0057】また、本発明においては、仮焼したのち、
さらに、主成分に対し、CuOを0.25〜3wt% 、好
ましくは0.5〜2wt% 添加することが好ましい。
【0058】このようにCuOを添加することにより、
焼結性を改善することができるとともに、マイクロ波誘
電特性、特に共振周波数温度係数の改善を図ることがで
きる。この温度係数は、焼結体中に存在するNd2 Ti
23 等で示される異相によって悪化すると考えられる
が、CuO添加により異相の生成が抑制されるからであ
る。ただし、CuOの添加量が多くなりすぎると、Q・
f値が低下して好ましくない。また、焼結性が悪化す
る。
【0059】また、本発明においては、仮焼したのち、
さらに、主成分に対し、TiO2 を10wt% 以下、さら
には5wt% 以下、特には1〜3.5wt% 添加することが
好ましい。
【0060】このようにTiO2 を添加することによ
り、マイクロ波誘電特性、特に共振周波数温度係数の改
善を図ることができる。この場合、異相の生成による温
度係数の悪化がTiO2 の添加によって相殺されるから
である。ただし、TiO2 の添加量が多くなりすぎる
と、共振周波数温度係数が逆に好ましい範囲を逸脱する
ようになる。
【0061】上記のようにTiO2 を仮焼後添加すれば
温度係数のより一層の改善を図ることができる。主成分
中のTiO2 量を増加させても温度係数の改善を図るこ
とはできない。
【0062】また、TiO2 のかわりに、同様の温度係
数補正効果を持つチタン酸塩(CaTiO3 等)を使用
してもよい。添加量は、主成分に対し、10wt% 以下、
好ましくは5wt% 以下、さらに好ましくは0.1〜2wt
% とすればよい。さらにはTiO2 とチタン酸塩を併用
してもよい。
【0063】このようにして得られた本発明の誘電体セ
ラミックス材料は、5GHz における比誘電率(ε)が4
0以上、好ましくは50以上、より好ましくは55以
上、さらに好ましくは65以上、特に好ましくは70以
上、誘電損失(Q・f値)が1800以上、好ましくは
2000以上、より好ましくは2100以上、さらに好
ましくは2400以上、特に好ましくは2500以上、
共振周波数温度係数(τf)が±15ppm/℃以内、好ま
しくは±10ppm/℃以内、さらに好ましくは±8ppm/℃
以内、特に好ましくは±5ppm/℃以内のマイクロ波誘電
特性を示すことも可能となる。なお、τfは−40℃の
共振周波数と80℃の共振周波数を結んだ直線の傾きと
して求めたものである。
【0064】従って、マイクロ波誘電体共振器やフィル
ター、誘電体基板、温度補償用コンデンサー等に適用し
て好ましいものとなる。
【0065】本発明の多層セラミック部品は、誘電体セ
ラミック材料のグリーンシート上に内部導体パターンを
形成した後、このグリーンシートを積層して、熱プレス
にて圧着し、その後焼成して製造される。このようない
わゆるグリーンシート法の他、誘電体のペーストと内部
導体のペーストとを交互に積層するいわゆる印刷積層法
を用いてもよい。
【0066】本発明においては、後述する内部導体と、
誘電体セラミック材料のグリーンシート等のセラミック
材料層の同時焼成を導体の融点以上の温度で行なう。こ
うすることにより、内部導体が溶融状態になり、構造が
緻密化して、導体の接触状態が改善され、線路の損失を
低減させ、共振器としてのQ値を向上させることができ
る。
【0067】このとき用いる誘電体セラミック材料は、
共振器としてのQ値を向上させる上では、前記の本発明
の組成のものが好ましいが、前記組成においてMnOを
含有しないものであってもよい。
【0068】特に、内部導体としては、比抵抗の小さい
銀あるいは銅を用いることが好ましいが、銀の場合に
は、その融点である960℃以上の温度、より好ましく
は960〜1260℃、さらに好ましくは、970〜1
100℃で焼成を行なうことが好ましい。また、銅の場
合には、その融点である1060℃以上、より好ましく
は1060〜1360℃、さらに好ましくは、1070
〜1200℃で焼成することが好ましい。このように融
点以上、融点+300℃以下の温度、より好ましくは、
融点+10℃〜融点+140℃の温度で、グリーンシー
ト等のセラミック材料層と同時焼成することにより、上
記の実効が顕れる。これは焼成温度が融点未満では上記
の実効が顕れないが、あまりに高すぎると誘電体中への
銀や銅の拡散が進み、特性が劣化してしまうからであ
る。焼成は、銀の場合には通常、空気中にて上記の温度
で1分〜1時間程度、より好ましくは、5〜20分程度
行なうことが好ましい。なお、焼成は複数回行なっても
よく、そのとき少なくとも1回は融点以上の焼成とす
る。
【0069】本発明では、内部導体に用いる導体とし
て、より好ましい態様では、融点が960℃付近の銀ま
たは融点1060℃付近の銅を用いる。この際、銀ある
いは銅の含有量が90重量%以上のもの、特に純度99
重量%以上、さらには99.9重量%以上の純銀または
純銅を用いることが好ましい。このように、特に純銀な
いし純銅を用いることにより比抵抗と損失とをきわめて
小さくすることができ、共振器のQ値を向上させること
ができる。
【0070】内部導体パターンの形成方法としては、所
定形状の銀箔等を誘電体グリーンシートにはさむ、ある
いは導体ペーストの印刷または転写を行なう等の方法が
挙げられるが、特に印刷法が好ましい。
【0071】導体ペーストにてパターンを形成する場
合、用いる銀粉、銅粉等の導体粉の平均粒径(異方性の
ある時には長軸径)は、0.5〜20μm 程度、より好
ましくは1〜5μm とするのが好ましい。粒径が小さす
ぎると、分散性が悪くなり、導体ペースト中の導体粉の
含有量を多くすることができず、また含有量を多くする
と粘土が高くなってしまい、緻密なパターンを形成でき
なくなってくる。一方、粒径が大きすぎると、スクリー
ン印刷、転写法等によるパターンの形成が困難となって
くる。また、銀粉の形状等には特に制約はないが、一般
に球状とし、その一部または全部を鱗片状のものとして
もよい。
【0072】内部導体ペースト中の導体粉の含有量は、
60〜95重量%、特に70〜90重量%とするのが好
ましい。含有量が少ないと、比抵抗が減少し、Q値が低
下し、焼成後のパターンの一部が断線したり、比抵抗や
Q値がばらついたりしてくる。また大きすぎると、ペー
ストの粘度が増大し、パターン形成が困難となってく
る。
【0073】また、内部導体のペーストにはガラスフリ
ットを添加してもよく、特に導体粉融点付近に軟化点を
もつガラスフリットを添加することが好ましい。このよ
うなガラスフリットを添加することにより、溶融後の網
目構造の発生が減少し、Q値のバラツキを抑えることが
できる。また、内部導体材料の拡散を防止する効果があ
る。
【0074】特に、ガラスフリットの添加は平均粒径の
小さい微粉末の導体材料を用いたときに内部導体材料の
拡散を防止する上で、有効であり、比較的大径の導体材
料では拡散はそれほど問題とはならず、この場合はガラ
スフリットの添加はしない方が好ましい。ガラスフリッ
トを添加しない方が伝送線路の損失をさらに低減するこ
とができる。
【0075】内部導体ペースト中のガラスフリットを添
加する場合、その含有量は、10重量%以下、特に1〜
10重量%、さらには3〜8重量%が好ましい。また、
ガラスフリットは、導体粉に対して10重量%以下、特
に2〜10重量%、特に4〜6重量%、体積比では30
体積%以下、特に2〜30体積%、さらには5〜10体
積%含まれることが好ましい。
【0076】内部導体ペーストには、銀粉等の導体粉と
ガラスフリットの他、ビヒクルが含まれる。ビヒクルと
しては、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、メ
タクリル樹脂、ブチルメタアクリレート等のバインダ、
テルピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビト
ールアセテート、トルエン、アルコール、キシレン等の
溶剤、その他各種分散剤、活性剤、可塑剤等が挙げら
れ、これらのうち任意のものが目的に応じて適宜選択さ
れる。ビヒクルの添加量は、ペースト中、10〜20重
量%程度とすることが好ましい。
【0077】内部導体ペーストの成膜方法は公知のスク
リーン印刷法、転写法などによればよい。
【0078】また、本発明は、内部導体を融点の異なる
少なくとも2種の材料から形成し、内部導体のうち低融
点内部導体の融点以上で、しかも高融点内部導体の融点
未満の温度で焼成してもよい。
【0079】この場合の低融点内部導体としては、上記
の銀、銅を用いることが好ましく、上記と同様の効果が
得られる。
【0080】一方、高融点内部導体に用いる導体として
は、低融点内部導体に用いる導体よりも融点が高い導体
を用いればよい。ただし、低融点および高融点のそれぞ
れの内部導体の融点の中間の温度で焼成を行なうので、
両者の焼成を良好に行なうためには、高融点内部導体に
用いる導体の融点は、低融点内部導体の融点に対し、3
0℃以上、特に50〜200℃、さらには50〜100
℃高いものであることが好ましい。なお、高融点内部導
体としては、後述のように2種の金属粉、例えばAg粉
とPd粉を用い、これを焼成に際しAgの溶融を行なう
ことなく合金化させることもできるので、このときに
は、その融点とは合金の融点である。
【0081】このような高融点内部導体に用いる導体と
しては、低融点内部導体の導体に銀を用いる場合、30
重量%以下、特に5〜10重量%のPdを含むAg−P
d合金が好適である。この場合、合金を用いるかわり
に、Ag粉とPd粉を混合して用いてもよい。これらを
均一に分散させれば、焼成に際して先ずAgとPdとの
合金化が進み、Agは溶融しない。この他、銀に対して
は、100重量%以下、特に50〜60重量%のAuを
含むAg−Au合金;20重量%以下、特に5〜10重
量%のPtを含むAg−Pt合金;20重量%以下、特
に5〜20重量%のPdを含むAu−Pd合金;10重
量%以下、特に5〜10重量%のPtを含むAu−Pt
合金;金;銅;25重量%以下のAuを含むAu−Cu
合金;20重量%以下のCuを含むAu−Cu合金;1
0重量%以下、特に5重量%以下のPtを含むCu−P
t合金;25重量%以下、特に10重量%以下のNiを
含むCu−Ni合金等も使用可能である。さらに低融点
内部導体に銅を用いるときには7〜30重量%、特に1
0〜20重量%のPtを含むAg−Pt合金;2〜20
重量%、特に2〜10重量%のPdを含むAu−Pd合
金、2〜20重量%、特に2〜10重量%のPtを含む
Au−Pt合金;30重量%以下、特に15〜20重量
%のPtを含むCu−Pt合金;40重量%以下、特に
20〜30重量%のNiを含むCu−Ni合金等が使用
可能である。
【0082】なお、高融点内部導体としては2種以上を
用いてもよく、場合によっては低融点内部導体を2種以
上用いてもよい。また、高融点内部導体は、その成分の
一部を溶融してもよい。ただし、低融点内部導体は実質
的にその全部を溶融する。
【0083】以上のような内部導体材料の融点以上の温
度で同時焼成する際の内部導体材料の詳細については、
本出願人による特願平4−134199号、特願平4−
146478号に記載されている。
【0084】本発明の多層セラミック部品は、前記した
誘電体セラミック材料と内部導体材料とを同時焼成して
得られるが、この場合の焼成雰囲気の酸素分圧を5×1
-2atm 以下、好ましくは5×10-3atm 以下とする。
ただし、セラミック材料のガラス成分の焼結を可能とす
るため、酸素分圧の下限値は5×10-5atm とする。従
って、酸素分圧の特に好ましい範囲は5×10-3〜5×
10-5atm である。
【0085】酸素分圧を上記範囲とすることによって、
内部導体の拡散による薄層化、ひいては消失を防止する
ことができ、共振器としてのQ値を良好なものとするこ
とができる。なお、焼成工程において、通常、室温(2
5℃)から昇温させる時に酸素分圧を上記範囲とする
が、少なくとも400℃以上の温度で酸素分圧を上記範
囲とすればよい。
【0086】このときにおいても、誘電体セラミック材
料は前記した本発明のMnOを添加した組成が好まし
く、酸素分圧を低くした条件でも高特性が得られる。
【0087】以上より、本発明の多層セラミック部品を
得る場合、MnOを添加した本発明の誘電体セラミック
材料を用い、内部導体材料と内部導体材料の融点より高
い温度で、かつ酸素分圧を5×10-2atm 以下とした雰
囲気中で同時焼成することが好ましい。これにより、共
振器としてのQ値が高いものとなる。このときのQ値
は、誘電体の厚さ1.8mmの条件で260程度である。
【0088】本発明の多層セラミック部品として、例え
ば積層型フィルターは、図1に示す構成のものであって
よい。
【0089】図1に示すフィルター1は2段フィルター
であり、誘電体セラミック材料の素体11に、内部導体
21、22および23が図示のように間挿されたもので
ある。
【0090】また、図2に示す構成のものであってもよ
く、フィルター2は誘電体セラミック材料の素体11
に、内部導体25および26が図示のように並列に間挿
されたものである。
【0091】なお、図1、図2のいずれのフィルターに
おいても、外表面は金属や絶縁材で被覆されている。
【0092】このような積層型フィルターは、誘電体セ
ラミック材料の仮焼粉を用いてドクターブレード法など
によりグリーンシートを成型し、それに所定のパターン
で内部導体材料のペーストをスクリーン印刷法などによ
り印刷し、印刷したシートを積層して熱プレスにより熱
圧着し、脱バインダー後、好ましくは内部導体の融点以
上の温度でかつ低酸素分圧雰囲気下で焼成して得ること
ができる。その後、外部電極用ペーストを印刷し、外部
電極を焼き付けするなどすればよい。このほか、印刷積
層法によってもよい。
【0093】このようにして得られる積層型フィルター
は誘電体の全体の厚さが0.5〜4mm程度であり、また
内部導体の厚さは20〜100μm 程度である。
【0094】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0095】実施例1 原料としてBaCO3 、Nd23 、TiO2 、Bi2
3 、MnCO3 、Al23 を用い、表1、表2に示
すような組成のものが得られるように秤量し、秤量原料
をボールミルに水と共に入れ、4時間湿式混合した。次
いで、この物質を脱水、乾燥したのち、1280℃で2
時間仮焼した。
【0096】この仮焼物と、表1、表2に示すように添
加したガラス、CuO、TiO2 とを共に4時間湿式粉
砕した。ついで、この粉砕物を乾燥したのち有機バイン
ダー[ポリビニルアルコール系のPVA117;呉羽化
学工業(株)製、アクリル系のエルバサイト;デュポン
社製]と共に造粒し、得られた粉末を1000kg/cm2
圧力で円柱状に成型した、さらに、この円柱を表1、表
2に示すように焼成しサンプルを得た。これらのサンプ
ルを10mmφ×5mmに加工したのち誘電体共振法にて誘
電率(ε)、Q・f値を求めた。また−40℃の共振周
波数と80℃の共振周波数を結んだ直線の傾きを求め、
共振周波数温度係数(τf)とした。結果を表1、表2
に示した。
【0097】なお、ガラスは、PbO66.9wt% 、B
23 14.8wt% 、ZnO11.6wt% 、Al23
0.41wt% 、SiO2 3.83wt% 含有する組成のも
のを用いた。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】実施例2 実施例1のサンプルNo. 1において、表3、表4に示す
ように、ガラス、CuO、TiO2 、仮焼温度、焼成条
件をかえるほかは同様にして、サンプルを作製した。こ
れらについて、実施例1と同様にして、ε、Q・f値、
τfを求めた。
【0101】結果を表3、表4に示した。
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】実施例3 表5に示す各々の組成で、Bi23 を添加しないもの
とし、かつ表5に示す焼成条件とするほかは、実施例1
と同様にしてサンプルを作成した。これらのサンプルに
ついて、実施例1と同様にして、ε、Q・f値を求め
た。結果を表5に示す
【0105】
【表5】
【0106】なお、表5のサンプルにおいて、実施例1
と同様にしてτfを求めたところ、τfはいずれも±1
5ppm/℃の範囲内にあり、実用レベルであることが判っ
た。
【0107】さらに、これらのサンプルにAl23
本発明の範囲内で添加することによりτfはさらに改善
されることも判った。
【0108】実施例4 表6、表7に示す各々の組成で、仮焼、粉砕、スラリー
調製後、ドクターブレード法により150〜200μm
のグリーンシートを成型し、それにAg導体ペーストを
スクリーン印刷し、印刷したシートを積層熱圧着し、脱
バインダー後、表6、7に示す条件で焼成し、この焼成
物に外部電極用ペーストを印刷後、外部電極を銀焼き付
し、図1に示すような積層型フィルターを各々作製した
(表6、7)。このときの積層数は、10層あるいは2
0層とした。
【0109】積層型フィルターにおいては、内部導体の
厚さが60μm であった。
【0110】また、誘電体の厚さは表6、7に示すよう
に1.8mm、3.0mmのいずれかとした。
【0111】全体の寸法は4.7mm×5mm×1.8mmま
たは3.0mmとした。
【0112】なお、上記において用いたAg導体ペース
トは、以下に示す組成のものを三本ロールにより混合分
散して得たものである。 銀粉(平均粒径3μm :純度99.9%以上) 90重量% アクリル樹脂(バインダー) 2.5重量% ターピネオール(溶剤) 7.5重量%
【0113】表6、7におけるサンプルNo. は実施例1
のものとMnOの添加量を除いて同じものであることを
示し、実施例1と同一の場合も含めてMnOの添加量を
表中に示している。
【0114】表6、7に実施例1と同様にして求めた、
誘電体セラミック材料の特性と、上記のようにして作製
した積層型フィルターのフィルター特性とを示す。フィ
ルター特性はYHP8510ネットワークアナライザー
で評価し、共振器としてのQ値および挿入損失を求め
た。
【0115】
【表6】
【0116】
【表7】
【0117】
【発明の効果】本発明によれば、誘電率、誘電損失、共
振周波数温度係数等のマイクロ波誘電特性に優れた材料
となる。また、焼成温度を低くすることが可能となる。
さらに、本発明によれば共振器としてのQ値が高いなど
特性に優れた多層セラミック部品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における積層型フィルターを模式的に示
す概略構成図である。
【図2】本発明における積層型フィルターを模式的に示
す概略構成図である。
【符号の説明】
1、2 積層型フィルター 11 誘電体セラミック材料の素体 21〜23、25、26 内部導体

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バリウム、ネオジウムおよびチタンの酸
    化物を主成分とする誘電体セラミック材料であって、 前記主成分は、組成式をxBaO・yTiO2 ・zNd
    23 で表したとき、x+y+z=100モル%とし
    て、 7≦x≦25、55≦y≦78および10≦z≦25 の関係を有し、 前記主成分に対し、Bi23 を0〜15wt% 、MnO
    を0.05〜1.5wt% 、ガラスを4〜25wt% 添加し
    た誘電体セラミック材料。
  2. 【請求項2】 前記ガラスは、PbOを20〜86.5
    wt% 、B23 を8.5〜21wt% 、ZnOを5〜50
    wt% 含有する請求項1の誘電体セラミック材料。
  3. 【請求項3】 前記主成分に対し、さらに、Al23
    を0.05〜2.5wt% 添加した請求項1または2の誘
    電体セラミック材料。
  4. 【請求項4】 少なくとも前記主成分の原料を仮焼した
    のち、前記ガラスを添加し、その後焼成して得られた請
    求項1ないし3のいずれかに記載の誘電体セラミック材
    料。
  5. 【請求項5】 前記主成分に対し、仮焼したのち、さら
    にCuOを0.25〜4.0wt% 添加するか、これにか
    えて、あるいはこれに加えて、TiO2 および/または
    チタン酸塩を10wt% 以下添加した請求項4の誘電体セ
    ラミック材料。
  6. 【請求項6】 バリウム、ネオジウムおよびチタンの酸
    化物を主成分とする誘電体セラミック材料であって、 前記主成分は、組成式をxBaO・yTiO2 ・zNd
    23 で表したとき、x+y+z=100モル%とし
    て、 7≦x≦25、55≦y≦78および10≦z≦25 の関係を有し、 前記主成分に対し、Bi23 を0〜15wt% 、ガラス
    を4〜25wt% 添加した誘電体セラミック材料層上に内
    部導体のパターンを形成し、誘電体セラミック材料層と
    積層して焼成することにより得られた多層セラミック部
    品であって、 前記内部導体の融点以上の温度で焼成する多層セラミッ
    ク部品。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし5のいずれかの誘電体セ
    ラミック材料層上に内部導体のパターンを形成し、誘電
    体セラミック材料層と積層して焼成することにより得ら
    れた多層セラミック部品であって、 前記内部導体の融点以上の温度で焼成する多層セラミッ
    ク部品。
  8. 【請求項8】 バリウム、ネオジウムおよびチタンの酸
    化物を主成分とする誘電体セラミック材料であって、 前記主成分は、組成式をxBaO・yTiO2 ・zNd
    23 で表したとき、x+y+z=100モル%とし
    て、 7≦x≦25、55≦y≦78および10≦z≦25 の関係を有し、 前記主成分に対し、Bi23 を0〜15wt% 、ガラス
    を4〜25wt% 添加した誘電体セラミック材料層上に内
    部導体のパターンを形成し、誘電体セラミック材料層と
    積層して焼成することにより得られた多層セラミック部
    品であって、 前記焼成雰囲気の酸素分圧を5×10-2atm 以下とする
    多層セラミック部品。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし5のいずれかの誘電体セ
    ラミック材料層上に内部導体のパターンを形成し、誘電
    体セラミック材料層と積層して焼成することにより得ら
    れた多層セラミック部品であって、 前記焼成雰囲気の酸素分圧を5×10-2atm 以下とする
    多層セラミック部品。
  10. 【請求項10】 請求項6または7の多層セラミック部
    品であって、 さらに、前記焼成雰囲気の酸素分圧を5×10-2atm 以
    下とする多層セラミック部品。
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