JPH05229871A - セラミックス焼結体の製造方法 - Google Patents
セラミックス焼結体の製造方法Info
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- JPH05229871A JPH05229871A JP4032170A JP3217092A JPH05229871A JP H05229871 A JPH05229871 A JP H05229871A JP 4032170 A JP4032170 A JP 4032170A JP 3217092 A JP3217092 A JP 3217092A JP H05229871 A JPH05229871 A JP H05229871A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】本発明の目的は、高強度で熱伝導率が高く放熱
特性が優れ、かつ変形や色むらの発生が少ない焼結体を
効率的に製造することが可能なセラミックス焼結体の製
造方法を提供することにある。 【構成】本発明に係るセラミックス焼結体の製造方法
は、窒化アルミニウム粉末に焼結助剤と、非結晶質炭素
とを所定量添加した粉末混合体を成形して所定形状の成
形体を形成し、脱脂後の成形体に残留する炭素量を所定
範囲に調整した後に、成形体を加熱して脱酸処理し、し
かる後に成形体を非酸化性雰囲気で焼結することを特徴
とする。また成形体を形成する前に粉末混合体を脱酸処
理してもよい。
特性が優れ、かつ変形や色むらの発生が少ない焼結体を
効率的に製造することが可能なセラミックス焼結体の製
造方法を提供することにある。 【構成】本発明に係るセラミックス焼結体の製造方法
は、窒化アルミニウム粉末に焼結助剤と、非結晶質炭素
とを所定量添加した粉末混合体を成形して所定形状の成
形体を形成し、脱脂後の成形体に残留する炭素量を所定
範囲に調整した後に、成形体を加熱して脱酸処理し、し
かる後に成形体を非酸化性雰囲気で焼結することを特徴
とする。また成形体を形成する前に粉末混合体を脱酸処
理してもよい。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミックス焼結体の製
造方法に係り、特に変形や色むらの発生が少なく、高強
度で熱伝導率も高く放熱特性に優れたセラミックス焼結
体の製造方法に関する。
造方法に係り、特に変形や色むらの発生が少なく、高強
度で熱伝導率も高く放熱特性に優れたセラミックス焼結
体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の金属材料と比較して強度、耐熱
性、耐食性、耐摩耗性、軽量性などの諸特性に優れたセ
ラミックス焼結体が、半導体、電子機器材料、エンジン
用部材、高速切削工具用材料、ノズル、ベアリングな
ど、従来の金属材料の及ばない苛酷な温度、応力、摩耗
条件下で使用される機械部品、構造材や装飾品材料とし
て広く利用されている。
性、耐食性、耐摩耗性、軽量性などの諸特性に優れたセ
ラミックス焼結体が、半導体、電子機器材料、エンジン
用部材、高速切削工具用材料、ノズル、ベアリングな
ど、従来の金属材料の及ばない苛酷な温度、応力、摩耗
条件下で使用される機械部品、構造材や装飾品材料とし
て広く利用されている。
【0003】特に窒化アルミニウム(AlN)焼結体は
高熱伝導性を有する絶縁体であり、シリコン(Si)に
近い熱膨張係数を有することから高集積化した半導体装
置の放熱基板として、その用途を拡大している。
高熱伝導性を有する絶縁体であり、シリコン(Si)に
近い熱膨張係数を有することから高集積化した半導体装
置の放熱基板として、その用途を拡大している。
【0004】従来上記セラミックス焼結体は一般的に下
記の製造方法によって量産されている。すなわち、セラ
ミックス原料として窒化アルミニウムを使用する場合に
は、まず窒化アルミニウム粉末に焼結助剤と、有機バイ
ンダと、必要に応じて各種添加剤や溶媒、分散剤とを添
加して原料混合体を調製し、得られた原料混合体をドク
ターブレード法によって成形し、薄板状ないしシート状
の成形体としたり、原料混合体をプレス成形して厚板状
ないし大型の成形体を形成する。次に得られた成形体
は、空気または窒素ガス雰囲気において加熱され脱脂処
理され、有機バインダとして使用された炭化水素成分等
が成形体から排除される。そして脱脂された成形体は窒
素ガス雰囲気等で高温度に加熱され緻密化されて窒化ア
ルミニウム焼結体が形成される。
記の製造方法によって量産されている。すなわち、セラ
ミックス原料として窒化アルミニウムを使用する場合に
は、まず窒化アルミニウム粉末に焼結助剤と、有機バイ
ンダと、必要に応じて各種添加剤や溶媒、分散剤とを添
加して原料混合体を調製し、得られた原料混合体をドク
ターブレード法によって成形し、薄板状ないしシート状
の成形体としたり、原料混合体をプレス成形して厚板状
ないし大型の成形体を形成する。次に得られた成形体
は、空気または窒素ガス雰囲気において加熱され脱脂処
理され、有機バインダとして使用された炭化水素成分等
が成形体から排除される。そして脱脂された成形体は窒
素ガス雰囲気等で高温度に加熱され緻密化されて窒化ア
ルミニウム焼結体が形成される。
【0005】上記製造方法において、原料AlN粉末と
して平均粒径が0.3μm以下程度の超微細な原料粉末
を使用する場合は、AlN粉末単独でもかなりの緻密な
焼結体が得られる。しかしながら、原料粉末表面等に付
着した多量の酸素等の不純物が焼結時に、AlN結晶格
子中に固溶したり、格子振動の伝播を妨げるAl−O−
N化合物等の複合酸化物を生成する結果、焼結助剤を使
用しないAlN焼結体の熱伝導率は比較的に低かった。
して平均粒径が0.3μm以下程度の超微細な原料粉末
を使用する場合は、AlN粉末単独でもかなりの緻密な
焼結体が得られる。しかしながら、原料粉末表面等に付
着した多量の酸素等の不純物が焼結時に、AlN結晶格
子中に固溶したり、格子振動の伝播を妨げるAl−O−
N化合物等の複合酸化物を生成する結果、焼結助剤を使
用しないAlN焼結体の熱伝導率は比較的に低かった。
【0006】一方原料粉末として平均粒径0.5μm以
上のAlN粉末を使用する場合は、その原料粉末単独で
は焼結性が良好でないため、ホットプレス法以外には助
剤無添加では緻密な焼結体を得ることが困難であり、量
産性が低い欠点があった。そこで常圧焼結法によって効
率的に焼結体を製造しようとする場合には、焼結体の緻
密化およびAlN原料粉末中の不純物酸素がAlN結晶
粒子内へ固溶することを防止するために、焼結助剤とし
て、酸化イットウリム(Y2 O3 )などの希土類酸化物
や酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属酸化物等を添
加することが一般に行なわれている。
上のAlN粉末を使用する場合は、その原料粉末単独で
は焼結性が良好でないため、ホットプレス法以外には助
剤無添加では緻密な焼結体を得ることが困難であり、量
産性が低い欠点があった。そこで常圧焼結法によって効
率的に焼結体を製造しようとする場合には、焼結体の緻
密化およびAlN原料粉末中の不純物酸素がAlN結晶
粒子内へ固溶することを防止するために、焼結助剤とし
て、酸化イットウリム(Y2 O3 )などの希土類酸化物
や酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属酸化物等を添
加することが一般に行なわれている。
【0007】これらの焼結助剤は、AlN原料粉末に含
まれる不純物酸素と反応して液相を形成し、焼結体の緻
密化を達成するとともに、この不純物酸素を粒界相とし
て固定し、高熱伝導率化も達成するものと考えられてい
る。
まれる不純物酸素と反応して液相を形成し、焼結体の緻
密化を達成するとともに、この不純物酸素を粒界相とし
て固定し、高熱伝導率化も達成するものと考えられてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の製
造方法においては、各種不純物の量的管理が極めて困難
であり、各成形体の焼結性(密度)に大きなばらつきを
生じたり、変形量が大きくなって製品歩留りが低下して
しまう問題点があった。また炭素などの不純物の残留に
よって焼結体の色調が変化したり色むらを生じるなど外
観品質が低下する場合が多く、特に焼結体が装飾用材料
として使用される場合には歩留りがさらに低下する欠点
があった。特に原料粉末中の不純物として含まれていた
り、製造工程で混入した酸素は、焼結時にAlN結晶格
子中の窒素と置換して固溶するため、AlNの最大利用
特性である高熱伝導性が低下する場合が多かった。
造方法においては、各種不純物の量的管理が極めて困難
であり、各成形体の焼結性(密度)に大きなばらつきを
生じたり、変形量が大きくなって製品歩留りが低下して
しまう問題点があった。また炭素などの不純物の残留に
よって焼結体の色調が変化したり色むらを生じるなど外
観品質が低下する場合が多く、特に焼結体が装飾用材料
として使用される場合には歩留りがさらに低下する欠点
があった。特に原料粉末中の不純物として含まれていた
り、製造工程で混入した酸素は、焼結時にAlN結晶格
子中の窒素と置換して固溶するため、AlNの最大利用
特性である高熱伝導性が低下する場合が多かった。
【0009】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、高強度で熱伝導率が高く放熱特性が優
れ、かつ変形や色むらの発生が少ない焼結体を効率的に
製造することが可能なセラミックス焼結体の製造方法を
提供することを目的とする。
れたものであり、高強度で熱伝導率が高く放熱特性が優
れ、かつ変形や色むらの発生が少ない焼結体を効率的に
製造することが可能なセラミックス焼結体の製造方法を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは上記目的
を達成するため、原料窒化アルミニウム粉末に添加する
焼結助剤や添加物の種類、不純物の残留量、焼結体の組
成等を種々変えて、それらが焼結体特性に及ぼす影響や
関係について実験検討を進め、以下に示すように知見を
得た。
を達成するため、原料窒化アルミニウム粉末に添加する
焼結助剤や添加物の種類、不純物の残留量、焼結体の組
成等を種々変えて、それらが焼結体特性に及ぼす影響や
関係について実験検討を進め、以下に示すように知見を
得た。
【0011】すなわち本発明者らは焼結前の成形体すな
わち脱脂体中の残留カーボン量の多少が、最終的に製造
される焼結体の品質特性に大きな影響を及ぼすことをつ
きとめた。図1は脱脂体中の残留カーボン量に対する焼
結体の熱伝導率、焼結性、変形量、色むらの程度の変化
を示したグラフである。
わち脱脂体中の残留カーボン量の多少が、最終的に製造
される焼結体の品質特性に大きな影響を及ぼすことをつ
きとめた。図1は脱脂体中の残留カーボン量に対する焼
結体の熱伝導率、焼結性、変形量、色むらの程度の変化
を示したグラフである。
【0012】図1に示す通り、脱脂体中の残留カーボン
量を可及的に低減することにより、成形体の焼結性すな
わち焼結体の密度および変形量、色むらは解消される。
一方、熱伝導率を高く維持するためにはある程度の残留
カーボン量が必要であることが判明した。少量の残留カ
ーボンは、原料粉末表面に付着した酸素や酸化物として
存在する酸素を還元してCOやCO2 として系外に除去
する作用を有する。ところが、過量の残留カーボンは、
他の不純物と同様に熱伝導を阻害する炭化物を形成した
り、焼結時に必要な液相の生成を阻害して焼結性を低下
せしめ、緻密度の低い低強度の焼結体を形成する。
量を可及的に低減することにより、成形体の焼結性すな
わち焼結体の密度および変形量、色むらは解消される。
一方、熱伝導率を高く維持するためにはある程度の残留
カーボン量が必要であることが判明した。少量の残留カ
ーボンは、原料粉末表面に付着した酸素や酸化物として
存在する酸素を還元してCOやCO2 として系外に除去
する作用を有する。ところが、過量の残留カーボンは、
他の不純物と同様に熱伝導を阻害する炭化物を形成した
り、焼結時に必要な液相の生成を阻害して焼結性を低下
せしめ、緻密度の低い低強度の焼結体を形成する。
【0013】したがって上記のように脱脂体中の残留カ
ーボン量を適性な範囲に調整することにより、変形、色
むらが少なく、高密度で高熱伝導性を有する焼結体が得
られることがわかる。しかしながら従来の製造方法にお
いては、残留カーボン量を適正範囲に設定することは極
めて困難であった。例えば有機バインダを添加した原料
混合体を成形してシート状成形体を形成し、この成形体
を空気中で温度400℃程度で脱脂した場合において、
脱脂体に残留するカーボン量は0.01重量%程度と極
めて小さくなる一方、大型の成形体では不純物の放出が
困難となり、逆に残留カーボン量が過大になり、いずれ
にしろ最適範囲に設定することが困難であった。
ーボン量を適性な範囲に調整することにより、変形、色
むらが少なく、高密度で高熱伝導性を有する焼結体が得
られることがわかる。しかしながら従来の製造方法にお
いては、残留カーボン量を適正範囲に設定することは極
めて困難であった。例えば有機バインダを添加した原料
混合体を成形してシート状成形体を形成し、この成形体
を空気中で温度400℃程度で脱脂した場合において、
脱脂体に残留するカーボン量は0.01重量%程度と極
めて小さくなる一方、大型の成形体では不純物の放出が
困難となり、逆に残留カーボン量が過大になり、いずれ
にしろ最適範囲に設定することが困難であった。
【0014】そこで、原料AlN粉末に予め炭素源とな
る物質を所定量添加しておくことにより、残留カーボン
量を所定範囲に保持し、その残留カーボンにより焼結時
に酸素等の不純物を還元除去することが焼結体の特性を
高める上で有効であることが確認された。
る物質を所定量添加しておくことにより、残留カーボン
量を所定範囲に保持し、その残留カーボンにより焼結時
に酸素等の不純物を還元除去することが焼結体の特性を
高める上で有効であることが確認された。
【0015】すなわち添加剤として原料AlN粉末に所
定量の非結晶質炭素を添加して成形体の焼結前すなわち
脱脂後における成形体に残留するカーボン量を所定範囲
に設定することにより、焼結体中の不純物酸素量を大幅
に低減することができ、かつ高強度で変形や色むらの発
生が少ない焼結体が得られることが判明した。
定量の非結晶質炭素を添加して成形体の焼結前すなわち
脱脂後における成形体に残留するカーボン量を所定範囲
に設定することにより、焼結体中の不純物酸素量を大幅
に低減することができ、かつ高強度で変形や色むらの発
生が少ない焼結体が得られることが判明した。
【0016】また、非結晶質炭素を焼結助剤とともに添
加した原料混合体を高温度に加熱することにより、原料
混合体中に含まれる酸素が効果的に除去され、この脱酸
された原料混合体を使用すると、大型の場合であって
も、上記欠陥が少ない高品質の焼結体が得られることが
確認された。
加した原料混合体を高温度に加熱することにより、原料
混合体中に含まれる酸素が効果的に除去され、この脱酸
された原料混合体を使用すると、大型の場合であって
も、上記欠陥が少ない高品質の焼結体が得られることが
確認された。
【0017】本発明は上記知見に基づいて完成されたも
のである。すなわち本発明に係るセラミックス焼結体の
製造方法は、窒化アルミニウム粉末に焼結助剤と、非結
晶質炭素とを所定量添加した粉末混合体を成形して所定
形状の成形体を形成し、脱脂後の成形体に残留する炭素
量を所定範囲に調整した後に、成形体を加熱して脱酸処
理し、しかる後に成形体を非酸化性雰囲気で焼結するこ
とを特徴とする。
のである。すなわち本発明に係るセラミックス焼結体の
製造方法は、窒化アルミニウム粉末に焼結助剤と、非結
晶質炭素とを所定量添加した粉末混合体を成形して所定
形状の成形体を形成し、脱脂後の成形体に残留する炭素
量を所定範囲に調整した後に、成形体を加熱して脱酸処
理し、しかる後に成形体を非酸化性雰囲気で焼結するこ
とを特徴とする。
【0018】また非結晶質炭素の添加量を窒化アルミニ
ウム粉末に対して0.1〜1.5重量%に設定するとよ
い。
ウム粉末に対して0.1〜1.5重量%に設定するとよ
い。
【0019】さらに、脱脂後において成形体に残留する
炭素量を0.15〜0.5重量%の範囲に設定するとよ
い。
炭素量を0.15〜0.5重量%の範囲に設定するとよ
い。
【0020】また、脱酸処理時の加熱温度を1500〜
1650℃に設定するとよい。
1650℃に設定するとよい。
【0021】また本発明に係る他のセラミックス焼結体
の製造方法は、窒化アルミニウム粉末に焼結助剤と、
0.1〜2重量%の非結晶質炭素とを添加した粉末混合
体を加熱して脱酸処理し、得られた粉末混合体を解砕し
た後に加圧成形して成形体を形成し、しかる後に得られ
た成形体を脱脂後に非酸化性雰囲気で焼結することを特
徴とする。
の製造方法は、窒化アルミニウム粉末に焼結助剤と、
0.1〜2重量%の非結晶質炭素とを添加した粉末混合
体を加熱して脱酸処理し、得られた粉末混合体を解砕し
た後に加圧成形して成形体を形成し、しかる後に得られ
た成形体を脱脂後に非酸化性雰囲気で焼結することを特
徴とする。
【0022】なお脱酸処理は温度1500〜1650℃
に加熱した非酸化性雰囲気で実施するとよい。
に加熱した非酸化性雰囲気で実施するとよい。
【0023】本発明方法において使用され、焼結体の主
成分となる窒化アルミニウム(AlN)粉末としては、焼
結性および熱伝導性を考慮して酸素含有量が2重量%以
下に抑制され、平均粒径が0.05〜5μm程度、好ま
しくは3μm以下のものを使用する。
成分となる窒化アルミニウム(AlN)粉末としては、焼
結性および熱伝導性を考慮して酸素含有量が2重量%以
下に抑制され、平均粒径が0.05〜5μm程度、好ま
しくは3μm以下のものを使用する。
【0024】焼結助剤としては希土類元素(Y,Sc,
Ce,Dyなど)の酸化物、窒化物、アルカリ土類金属
(Ca)の酸化物、もしくは焼結操作によりこれらの化
合物となる物質が使用され、特に酸化イットリウム(Y
2 O3 )や酸化カルシウム(CaO)が好ましい。焼結
助剤の添加量は0.5〜7.5重量%の範囲で調整され
る。添加量が0.5重量%未満の場合は、焼結性の改善
効果が充分に発揮されず、焼結体が緻密化されず低強度
の焼結体が形成されたり、AlN結晶中に酸素が固溶
し、高い熱伝導率を有する焼結体が形成できない。一方
添加量が7.5wt%を超える過量となると、粒界相が
焼結体中に残存したり、熱処理により除去される粒界相
の体積が大きいため、焼結体中に空孔が残ったりして収
縮率が増大し、変形を生じ易くなる。
Ce,Dyなど)の酸化物、窒化物、アルカリ土類金属
(Ca)の酸化物、もしくは焼結操作によりこれらの化
合物となる物質が使用され、特に酸化イットリウム(Y
2 O3 )や酸化カルシウム(CaO)が好ましい。焼結
助剤の添加量は0.5〜7.5重量%の範囲で調整され
る。添加量が0.5重量%未満の場合は、焼結性の改善
効果が充分に発揮されず、焼結体が緻密化されず低強度
の焼結体が形成されたり、AlN結晶中に酸素が固溶
し、高い熱伝導率を有する焼結体が形成できない。一方
添加量が7.5wt%を超える過量となると、粒界相が
焼結体中に残存したり、熱処理により除去される粒界相
の体積が大きいため、焼結体中に空孔が残ったりして収
縮率が増大し、変形を生じ易くなる。
【0025】非結晶質炭素は、成形体中に残存する酸素
等の不純物を焼結時において還元処理して系外に除去す
るために、原料AlN粉末中に0.1〜1.5重量%の
範囲で添加される。添加量が0.1重量%未満と過少の
場合は、非結晶質炭素による焼結時の脱酸効果が不充分
となり高熱伝導性の焼結体が得られなくなる一方、添加
量が1.5重量%を超える過量となる場合には、焼結体
の変形や色むらを生じ易くなり、焼結性および熱伝導性
も低下してしまう。より好ましくは、脱脂後において成
形体中に残留する残留カーボン量を0.15〜0.5重
量%の範囲に設定することにより、変形、色むら、焼結
性、熱伝導率の諸特性がバランスした高品質の焼結体が
得られる。
等の不純物を焼結時において還元処理して系外に除去す
るために、原料AlN粉末中に0.1〜1.5重量%の
範囲で添加される。添加量が0.1重量%未満と過少の
場合は、非結晶質炭素による焼結時の脱酸効果が不充分
となり高熱伝導性の焼結体が得られなくなる一方、添加
量が1.5重量%を超える過量となる場合には、焼結体
の変形や色むらを生じ易くなり、焼結性および熱伝導性
も低下してしまう。より好ましくは、脱脂後において成
形体中に残留する残留カーボン量を0.15〜0.5重
量%の範囲に設定することにより、変形、色むら、焼結
性、熱伝導率の諸特性がバランスした高品質の焼結体が
得られる。
【0026】非結晶質炭素は通常の脱脂処理温度(37
5〜450℃)範囲においては燃焼することなく、成形
体中に残存し、温度が450℃を超える段階で少量ずつ
燃焼し始める。したがって、脱脂処理後の成形体中に残
存するカーボン量を調整する炭素源として極めて有効で
ある。
5〜450℃)範囲においては燃焼することなく、成形
体中に残存し、温度が450℃を超える段階で少量ずつ
燃焼し始める。したがって、脱脂処理後の成形体中に残
存するカーボン量を調整する炭素源として極めて有効で
ある。
【0027】なお、結晶質炭素の代表例である黒鉛(グ
ラファイト)は、高い焼結温度で処理しても分解蒸発せ
ずに焼結体中に残存して不純物酸化物等を形成するた
め、好ましくない。
ラファイト)は、高い焼結温度で処理しても分解蒸発せ
ずに焼結体中に残存して不純物酸化物等を形成するた
め、好ましくない。
【0028】また上記非結晶質炭素としては、原料粉末
混合体中における分散性を高めるために、平均粒径が
0.5μm以下の炭素粉末であり、また空気中での加熱
処理によって生じる灰分による焼結体の伝熱特性劣化も
防止するために、灰分含有量が1重量%以下の非結晶質
炭素粉末を使用するとよい。具体例としてカーボンブラ
ックR−30(三菱化成(株)製)などがある。
混合体中における分散性を高めるために、平均粒径が
0.5μm以下の炭素粉末であり、また空気中での加熱
処理によって生じる灰分による焼結体の伝熱特性劣化も
防止するために、灰分含有量が1重量%以下の非結晶質
炭素粉末を使用するとよい。具体例としてカーボンブラ
ックR−30(三菱化成(株)製)などがある。
【0029】成形法としては、汎用の金型プレス法、静
水圧プレス法、あるいはドクターブレード法のようなシ
ート成形法などが適用できる。
水圧プレス法、あるいはドクターブレード法のようなシ
ート成形法などが適用できる。
【0030】上記成形操作に引き続いて、成形体を酸化
性雰囲気中、例えば空気中で温度375〜450℃に加
熱して、予め添加していた有機バインダを除去する。脱
脂処理においても、予め所定量添加した非結晶質炭素は
そのまま脱脂成形体中に残留している。
性雰囲気中、例えば空気中で温度375〜450℃に加
熱して、予め添加していた有機バインダを除去する。脱
脂処理においても、予め所定量添加した非結晶質炭素は
そのまま脱脂成形体中に残留している。
【0031】次に脱脂された成形体は、焼結前に脱酸処
理に供される。脱酸処理は、脱脂成形体を所定温度に加
熱し、成形体中に含まれる不純物酸素を上記非結晶質炭
素の還元作用によって系外に除去する処理であり、非酸
化性雰囲気において成形体を1500〜1650℃に加
熱して実施される。温度が1500℃未満の場合には、
上記脱酸作用が不充分で残留酸素が多い組織となる一
方、加熱温度が1650℃を超えると部分的に焼結緻密
化が開始されるため、酸素と結合したガス体(CO,C
O2 )の排出が困難となり、いずれにしろ残留酸素割合
が高くなる。
理に供される。脱酸処理は、脱脂成形体を所定温度に加
熱し、成形体中に含まれる不純物酸素を上記非結晶質炭
素の還元作用によって系外に除去する処理であり、非酸
化性雰囲気において成形体を1500〜1650℃に加
熱して実施される。温度が1500℃未満の場合には、
上記脱酸作用が不充分で残留酸素が多い組織となる一
方、加熱温度が1650℃を超えると部分的に焼結緻密
化が開始されるため、酸素と結合したガス体(CO,C
O2 )の排出が困難となり、いずれにしろ残留酸素割合
が高くなる。
【0032】次に脱酸処理された成形体は焼結される。
焼結操作は、窒素ガスなどの非酸化性雰囲気で成形体を
温度1700〜2000℃に2〜5時間程度加熱して実
施される。焼結雰囲気は、窒素ガス、または窒素ガスを
含む還元性雰囲気で行なう。還元性ガスとしてはH2 ガ
ス、COガスを使用してもよい。なお、焼結は真空(僅
かな還元雰囲気を含む)、減圧、加圧および常圧を含む
雰囲気で行なってもよい。焼結温度が1700℃未満と
低温状態で焼成すると、原料粉末の粒径、含有酸素量に
よって異なるが、緻密な焼結体が得にくい一方、200
0℃より高温度で焼成すると、AlN自体の蒸気圧が高
くなり緻密化が困難になるおそれがあるため、上記範囲
に設定される。
焼結操作は、窒素ガスなどの非酸化性雰囲気で成形体を
温度1700〜2000℃に2〜5時間程度加熱して実
施される。焼結雰囲気は、窒素ガス、または窒素ガスを
含む還元性雰囲気で行なう。還元性ガスとしてはH2 ガ
ス、COガスを使用してもよい。なお、焼結は真空(僅
かな還元雰囲気を含む)、減圧、加圧および常圧を含む
雰囲気で行なってもよい。焼結温度が1700℃未満と
低温状態で焼成すると、原料粉末の粒径、含有酸素量に
よって異なるが、緻密な焼結体が得にくい一方、200
0℃より高温度で焼成すると、AlN自体の蒸気圧が高
くなり緻密化が困難になるおそれがあるため、上記範囲
に設定される。
【0033】次に請求項5に示す本発明に係る他の製造
方法について説明する。
方法について説明する。
【0034】前記請求項1記載の製造方法においては、
成形体の段階で脱酸処理を実施していたが、請求項5記
載の製造方法においては、予め非結晶質炭素を所定量添
加した粉末混合体を、粉末状態の段階で脱酸処理する点
に大きな特徴を有している。
成形体の段階で脱酸処理を実施していたが、請求項5記
載の製造方法においては、予め非結晶質炭素を所定量添
加した粉末混合体を、粉末状態の段階で脱酸処理する点
に大きな特徴を有している。
【0035】本製造方法における脱酸処理条件、脱酸雰
囲気、脱脂処理条件、焼結条件、焼結雰囲気等は、請求
項1記載の製造方法における各条件と同一である。但
し、粉末状態におけるる脱酸処理においては、カーボン
蒸気の流出が多いため、非結晶質炭素の上限添加量を2
重量%としている。また粉末状態で脱酸すると原料粉末
混合体が部分的に固化し、その流動性が低下し、金型充
填性が低下して均一充填が困難となるため、成形操作前
に解砕工程を設けている。
囲気、脱脂処理条件、焼結条件、焼結雰囲気等は、請求
項1記載の製造方法における各条件と同一である。但
し、粉末状態におけるる脱酸処理においては、カーボン
蒸気の流出が多いため、非結晶質炭素の上限添加量を2
重量%としている。また粉末状態で脱酸すると原料粉末
混合体が部分的に固化し、その流動性が低下し、金型充
填性が低下して均一充填が困難となるため、成形操作前
に解砕工程を設けている。
【0036】本製造方法によれば、原料粉末混合体が粉
末状態の段階で脱酸処理され、酸素濃度が充分に低減さ
れる。したがって、成形体の段階で脱酸処理する場合で
は、酸素と結合したガス(CO,CO2 )が成形体から
排出されにくい難点があるが、本発明方法では酸素の除
去効率が優れる。したがって厚さが大きい大型の焼結体
を製造する場合には、ガスの排出が容易な請求項5記載
の製造方法が好適である。
末状態の段階で脱酸処理され、酸素濃度が充分に低減さ
れる。したがって、成形体の段階で脱酸処理する場合で
は、酸素と結合したガス(CO,CO2 )が成形体から
排出されにくい難点があるが、本発明方法では酸素の除
去効率が優れる。したがって厚さが大きい大型の焼結体
を製造する場合には、ガスの排出が容易な請求項5記載
の製造方法が好適である。
【0037】上記製法によって製造された窒化アルミニ
ウム焼結体は多結晶体として非常に高い200w/m・
k以上の熱伝導率を有し、高強度で変形や色むらはいず
れも少ない。
ウム焼結体は多結晶体として非常に高い200w/m・
k以上の熱伝導率を有し、高強度で変形や色むらはいず
れも少ない。
【0038】
【作用】上記構成に係るセラミックス焼結体の製造方法
によれば、窒化アルミニウム粉末に所定量の非結晶質炭
素が添加されて、原料粉末混合体が形成され、この原料
粉末混合体が粉末状態または成形体の状態で脱酸処理が
実施され、原料粉末混合体または成形体中に含有される
不純物酸素が上記非結晶質炭素の還元作用によって除去
される。
によれば、窒化アルミニウム粉末に所定量の非結晶質炭
素が添加されて、原料粉末混合体が形成され、この原料
粉末混合体が粉末状態または成形体の状態で脱酸処理が
実施され、原料粉末混合体または成形体中に含有される
不純物酸素が上記非結晶質炭素の還元作用によって除去
される。
【0039】したがって上記製造方法によって製造され
た窒化アルミニウム焼結体は、不純物、酸化物による影
響が少なく、高い熱伝導率と高強度とを有し、かつ変形
や色むらの少ない焼結体となる。
た窒化アルミニウム焼結体は、不純物、酸化物による影
響が少なく、高い熱伝導率と高強度とを有し、かつ変形
や色むらの少ない焼結体となる。
【0040】
【実施例】次に下記の実施例を参照して本発明に係るセ
ラミックス焼結体の製造方法による効果をより具体的に
説明する。
ラミックス焼結体の製造方法による効果をより具体的に
説明する。
【0041】実施例1〜6 不純物として酸素を1.0重量%含有し、平均粒径1.
5μmの窒化アルミニウム粉末に対して、焼結助剤とし
てのY2 O3 (酸化イットリウム)を5重量%添加し、
さらに平均粒径0.3μmの非結晶質炭素(カーボンブ
ラック:R30、灰分量0.01重量%以下)を、表1
に示すように0.1〜1.5重量%の範囲でそれぞれ添
加しエチルアルコール中で30時間湿式混合した後に乾
燥して実施例1〜6用の粉末混合体を調製した。次に乾
燥して得た各粉末混合体をプレス成形機の成形用金型内
に充填して1200kg/cm2 の加圧力にて圧縮成形して
円板状放熱板の成形体を多数調製し、引き続き各成形体
を空気中で温度375℃で2時間加熱して脱脂処理し
た。脱脂処理後における各成形体(脱脂体)中に含有さ
れる残留炭素量は当初原料AlN粉末に添加した非結晶
質炭素量とほぼ同等であった。
5μmの窒化アルミニウム粉末に対して、焼結助剤とし
てのY2 O3 (酸化イットリウム)を5重量%添加し、
さらに平均粒径0.3μmの非結晶質炭素(カーボンブ
ラック:R30、灰分量0.01重量%以下)を、表1
に示すように0.1〜1.5重量%の範囲でそれぞれ添
加しエチルアルコール中で30時間湿式混合した後に乾
燥して実施例1〜6用の粉末混合体を調製した。次に乾
燥して得た各粉末混合体をプレス成形機の成形用金型内
に充填して1200kg/cm2 の加圧力にて圧縮成形して
円板状放熱板の成形体を多数調製し、引き続き各成形体
を空気中で温度375℃で2時間加熱して脱脂処理し
た。脱脂処理後における各成形体(脱脂体)中に含有さ
れる残留炭素量は当初原料AlN粉末に添加した非結晶
質炭素量とほぼ同等であった。
【0042】次に脱脂処理した各成形体をN2 ガスを封
入した加熱炉内に配置し、表1に示すように1500〜
1650℃の温度範囲で1時間加熱し、脱酸処理を行な
った。引き続き、脱酸処理した各成形体の温度を181
5℃まで高めた状態で4時間保持し、緻密化焼結を実施
し、それぞれ直径60mm、厚さ2.0mmである実施例1
〜6に係るAlNセラミックス焼結体を調製した。
入した加熱炉内に配置し、表1に示すように1500〜
1650℃の温度範囲で1時間加熱し、脱酸処理を行な
った。引き続き、脱酸処理した各成形体の温度を181
5℃まで高めた状態で4時間保持し、緻密化焼結を実施
し、それぞれ直径60mm、厚さ2.0mmである実施例1
〜6に係るAlNセラミックス焼結体を調製した。
【0043】比較例1 一方、非結晶質炭素を添加せず、かつ脱酸処理を実施し
ない点以外は実施例1と同一条件で処理して同一寸法を
有する比較例1に係るAlNセラミックス焼結体を調製
した。
ない点以外は実施例1と同一条件で処理して同一寸法を
有する比較例1に係るAlNセラミックス焼結体を調製
した。
【0044】比較例2 また、非結晶炭素の添加量を2.0重量%と過大に設定
した以外は実施例5と同一条件で処理して同一寸法を有
する比較例2に係るAlNセラミックス焼結体を調製し
た。
した以外は実施例5と同一条件で処理して同一寸法を有
する比較例2に係るAlNセラミックス焼結体を調製し
た。
【0045】比較例3 さらに脱脂体の脱酸処理工程を設けずに脱脂後に直接に
焼結処理に移行した以外は実施例3と同一条件で処理し
て同一寸法の比較例3に係るセラミックス焼結体を調製
した。
焼結処理に移行した以外は実施例3と同一条件で処理し
て同一寸法の比較例3に係るセラミックス焼結体を調製
した。
【0046】そして得られた実施例1〜6および比較例
1〜3に係る各AlNセラミックス焼結体の特性を評価
するため、その変形量の大小、色むら発生の有無、焼結
密度および熱伝導率を測定し、下記表1右欄に示す結果
を得た。
1〜3に係る各AlNセラミックス焼結体の特性を評価
するため、その変形量の大小、色むら発生の有無、焼結
密度および熱伝導率を測定し、下記表1右欄に示す結果
を得た。
【0047】
【表1】
【0048】表1に示す結果から明らかなように、実施
例1〜6に係るセラミックス焼結体においては、比較例
1〜2と比較して適量の非結晶質炭素が添加されてお
り、この非結晶質炭素の加熱時における還元作用を利用
して脱脂体内の不純物酸素を効果的に除去する脱酸処理
を実施しているため、変形や色むらの発生が少なく、高
密度(高強度)、高熱伝導度を有する放熱性の高い焼結
体が得られた。
例1〜6に係るセラミックス焼結体においては、比較例
1〜2と比較して適量の非結晶質炭素が添加されてお
り、この非結晶質炭素の加熱時における還元作用を利用
して脱脂体内の不純物酸素を効果的に除去する脱酸処理
を実施しているため、変形や色むらの発生が少なく、高
密度(高強度)、高熱伝導度を有する放熱性の高い焼結
体が得られた。
【0049】一方、比較例1のように非結晶質炭素を添
加せず、脱酸処理を実施しない場合には、変形、色むら
の発生は少ないものの、不純物酸素によって結晶粒界に
酸化物相が形成されて熱伝導率が低下してしまった。
加せず、脱酸処理を実施しない場合には、変形、色むら
の発生は少ないものの、不純物酸素によって結晶粒界に
酸化物相が形成されて熱伝導率が低下してしまった。
【0050】また比較例2のように非結晶質炭素の添加
量を過大に設定した場合、焼結体中に余剰の炭素分が残
留し易くなり、変形や色むらが顕著になり、焼結性が低
下して強度および熱伝導率も低下した。
量を過大に設定した場合、焼結体中に余剰の炭素分が残
留し易くなり、変形や色むらが顕著になり、焼結性が低
下して強度および熱伝導率も低下した。
【0051】さらに比較例3に示すように、非結晶質炭
素の添加量が適正範囲であっても、脱酸処理をせずに直
接的に高温度の焼結処理に移行した場合は、脱脂体表面
が部分的に緻密化するため、不純物酸素と結合した炭素
が脱脂体外部に排出されにくく、残留してしまう。その
ため、変形、色むらが大きく、密度および熱伝導率も相
対的に低下することが判明した。
素の添加量が適正範囲であっても、脱酸処理をせずに直
接的に高温度の焼結処理に移行した場合は、脱脂体表面
が部分的に緻密化するため、不純物酸素と結合した炭素
が脱脂体外部に排出されにくく、残留してしまう。その
ため、変形、色むらが大きく、密度および熱伝導率も相
対的に低下することが判明した。
【0052】次に成形操作前の原料粉末の状態におい
て、予め脱酸処理を実施し、厚板状の大型の焼結体を製
造する場合を例にとって説明する。
て、予め脱酸処理を実施し、厚板状の大型の焼結体を製
造する場合を例にとって説明する。
【0053】実施例7〜11 不純物として酸素を1.0重量%含有し、平均粒径1.
5μmの窒化アルミニウム粉末に対して、焼結助剤とし
てのY2 O3 (酸化イットリウム)を5重量%添加し、
さらに平均粒径0.3μmの非結晶質炭素(カーボンブ
ラック:R30、灰分量0.01重量%以下)を、表2
に示すように0.1〜2.0重量%の範囲でそれぞれ添
加しエチルアルコール中で30時間湿式混合した後に乾
燥して実施例7〜11用の粉末混合体を調製した。次に
調製した各粉末混合体を、N2ガスを封入した加熱炉内
に配置し、表2に示すように1500〜1650℃の温
度範囲で1時間加熱し、脱酸処理を行なった。脱酸処理
した粉末混合体は一部が凝集して団塊状に固まっている
ため、この団塊状粉末混合体を窒素ガス雰囲気中でボー
ルミルによって解砕して微粉状の粉末混合体とした。
5μmの窒化アルミニウム粉末に対して、焼結助剤とし
てのY2 O3 (酸化イットリウム)を5重量%添加し、
さらに平均粒径0.3μmの非結晶質炭素(カーボンブ
ラック:R30、灰分量0.01重量%以下)を、表2
に示すように0.1〜2.0重量%の範囲でそれぞれ添
加しエチルアルコール中で30時間湿式混合した後に乾
燥して実施例7〜11用の粉末混合体を調製した。次に
調製した各粉末混合体を、N2ガスを封入した加熱炉内
に配置し、表2に示すように1500〜1650℃の温
度範囲で1時間加熱し、脱酸処理を行なった。脱酸処理
した粉末混合体は一部が凝集して団塊状に固まっている
ため、この団塊状粉末混合体を窒素ガス雰囲気中でボー
ルミルによって解砕して微粉状の粉末混合体とした。
【0054】次に解砕した各粉末混合体に有機バインダ
を添加して均一に混合し、混合した各粉末混合体をプレ
ス成形機の成形用金型内に充填して1200kg/cm2 の
加圧力にて圧縮成形して円板状放熱板の成形体を多数調
製し、引き続き各成形体を空気中で温度375℃で2時
間加熱して脱脂処理した。
を添加して均一に混合し、混合した各粉末混合体をプレ
ス成形機の成形用金型内に充填して1200kg/cm2 の
加圧力にて圧縮成形して円板状放熱板の成形体を多数調
製し、引き続き各成形体を空気中で温度375℃で2時
間加熱して脱脂処理した。
【0055】次に脱脂処理した各成形体をN2 ガスを封
入した加熱炉内に配置し、加熱炉内の温度を1815℃
まで高めた状態で4時間保持し、緻密化焼結を実施し、
それぞれ直径120mm、厚さ25mmである実施例7〜1
1に係る厚肉大型のAlNセラミックス焼結体を調製し
た。
入した加熱炉内に配置し、加熱炉内の温度を1815℃
まで高めた状態で4時間保持し、緻密化焼結を実施し、
それぞれ直径120mm、厚さ25mmである実施例7〜1
1に係る厚肉大型のAlNセラミックス焼結体を調製し
た。
【0056】比較例4 一方、非結晶質炭素を添加せず、かつ脱酸処理を実施し
ない点以外は実施例7と同一条件で処理して同一寸法を
有する比較例4に係るAlNセラミックス焼結体を調製
した。
ない点以外は実施例7と同一条件で処理して同一寸法を
有する比較例4に係るAlNセラミックス焼結体を調製
した。
【0057】比較例5 また、非結晶炭素の添加量を3.0重量%と過大に設定
した以外は実施例8と同一条件で処理して同一寸法を有
する比較例5に係るAlNセラミックス焼結体を調製し
た。
した以外は実施例8と同一条件で処理して同一寸法を有
する比較例5に係るAlNセラミックス焼結体を調製し
た。
【0058】比較例6 さらに原料粉末混合体の脱酸処理工程を設けずに成形脱
脂後に直接に焼結処理に移行した以外は実施例9と同一
条件で処理して同一寸法の比較例6に係るセラミックス
焼結体を調製した。
脂後に直接に焼結処理に移行した以外は実施例9と同一
条件で処理して同一寸法の比較例6に係るセラミックス
焼結体を調製した。
【0059】そして得られた実施例7〜11および比較
例4〜6に係る各AlNセラミックス焼結体の特性を評
価するため、その変形量の大小、色むら発生の有無、焼
結密度および熱伝導率を測定し、下記表2右欄に示す結
果を得た。
例4〜6に係る各AlNセラミックス焼結体の特性を評
価するため、その変形量の大小、色むら発生の有無、焼
結密度および熱伝導率を測定し、下記表2右欄に示す結
果を得た。
【0060】
【表2】
【0061】表2に示す結果から明らかなように、実施
例7〜11に係るセラミックス焼結体においては、比較
例4,5と比較して適量の非結晶質炭素が添加されてお
り、この非結晶質炭素の加熱時における還元作用を利用
して原料粉末混合体内の不純物酸素を予め効果的に除去
する脱酸処理を実施しているため、変形や色むらの発生
が少なく、高密度(高強度)、高熱伝導度を有する放熱
性の高い焼結体が得られた。
例7〜11に係るセラミックス焼結体においては、比較
例4,5と比較して適量の非結晶質炭素が添加されてお
り、この非結晶質炭素の加熱時における還元作用を利用
して原料粉末混合体内の不純物酸素を予め効果的に除去
する脱酸処理を実施しているため、変形や色むらの発生
が少なく、高密度(高強度)、高熱伝導度を有する放熱
性の高い焼結体が得られた。
【0062】特に実施例7〜11においては、粉末段階
において原料粉末混合体が予め脱酸処理されているた
め、不純物酸素と結合した炭素の排出が、成形体の状態
で脱酸処理する場合と比較して極めて容易である。した
がって、本実施例方法は厚板や大型の焼結体を製造する
場合に有効である。
において原料粉末混合体が予め脱酸処理されているた
め、不純物酸素と結合した炭素の排出が、成形体の状態
で脱酸処理する場合と比較して極めて容易である。した
がって、本実施例方法は厚板や大型の焼結体を製造する
場合に有効である。
【0063】一方、比較例4のように非結晶質炭素を添
加せず、原料粉末混合体の脱酸処理を実施しない場合に
は、変形、色むらの発生は少ないものの、不純物酸素に
よって結晶粒界に酸化物相が形成されて熱伝導率が低下
してしまった。
加せず、原料粉末混合体の脱酸処理を実施しない場合に
は、変形、色むらの発生は少ないものの、不純物酸素に
よって結晶粒界に酸化物相が形成されて熱伝導率が低下
してしまった。
【0064】また比較例5のように非結晶質炭素の添加
量を過大に設定した場合、焼結体中に余剰の炭素分が残
留し易くなり、変形や色むらが顕著になり、焼結性が低
下して強度および熱伝導率も低下した。
量を過大に設定した場合、焼結体中に余剰の炭素分が残
留し易くなり、変形や色むらが顕著になり、焼結性が低
下して強度および熱伝導率も低下した。
【0065】さらに比較例6に示すように、非結晶質炭
素の添加量が適正範囲であっても、脱酸処理をせずに成
形脱脂後、直接的に高温度の焼結処理に移行した場合
は、脱脂体表面が部分的に緻密化するため、不純物酸素
と結合した炭素が脱脂体外部に排出されにくく残留して
しまう。そのため、変形、色むらが大きく、密度および
熱伝導率も相対的に低下することが判明した。
素の添加量が適正範囲であっても、脱酸処理をせずに成
形脱脂後、直接的に高温度の焼結処理に移行した場合
は、脱脂体表面が部分的に緻密化するため、不純物酸素
と結合した炭素が脱脂体外部に排出されにくく残留して
しまう。そのため、変形、色むらが大きく、密度および
熱伝導率も相対的に低下することが判明した。
【0066】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係るセラミック
ス焼結体の製造方法によれば、窒化アルミニウム粉末に
所定量の非結晶質炭素が添加されて、原料粉末混合体が
形成され、この原料粉末混合体が粉末状態または成形体
の状態で脱酸処理が実施され、原料粉末混合体または成
形体中に含有される不純物酸素が上記非結晶質炭素の還
元作用によって除去される。
ス焼結体の製造方法によれば、窒化アルミニウム粉末に
所定量の非結晶質炭素が添加されて、原料粉末混合体が
形成され、この原料粉末混合体が粉末状態または成形体
の状態で脱酸処理が実施され、原料粉末混合体または成
形体中に含有される不純物酸素が上記非結晶質炭素の還
元作用によって除去される。
【0067】したがって上記製造方法によって製造され
た窒化アルミニウム焼結体は、不純物酸化物による影響
が少なく、高い熱伝導率と高強度とを有し、かつ変形や
色むらの少ない焼結体となる。
た窒化アルミニウム焼結体は、不純物酸化物による影響
が少なく、高い熱伝導率と高強度とを有し、かつ変形や
色むらの少ない焼結体となる。
【図1】脱脂体中の残留カーボン量に対する焼結体の熱
伝導率、焼結性、変形量、色むらの程度の変化を示すグ
ラフ。
伝導率、焼結性、変形量、色むらの程度の変化を示すグ
ラフ。
Claims (6)
- 【請求項1】 窒化アルミニウム粉末に焼結助剤と、非
結晶質炭素とを所定量添加した粉末混合体を成形して所
定形状の成形体を形成し、脱脂後の成形体に残留する炭
素量を所定範囲に調整した後に、成形体を加熱して脱酸
処理し、しかる後に成形体を非酸化性雰囲気で焼結する
ことを特徴とするセラミックス焼結体の製造方法。 - 【請求項2】 非結晶質炭素の添加量を窒化アルミニウ
ム粉末に対して0.1〜1.5重量%に設定することを
特徴とする請求項1記載のセラミックス焼結体の製造方
法。 - 【請求項3】 脱脂後において成形体に残留する炭素量
を0.15〜0.5重量%の範囲に設定することを特徴
とする請求項1記載のセラミックス焼結体の製造方法。 - 【請求項4】 脱酸処理時の加熱温度を1500〜16
50℃に設定することを特徴とする請求項1記載のセラ
ミックス焼結体の製造方法。 - 【請求項5】 窒化アルミニウム粉末に焼結助剤と、
0.1〜2重量%の非結晶質炭素とを添加した粉末混合
体を加熱して脱酸処理し、得られた粉末混合体を解砕し
た後に加圧成形して成形体を形成し、しかる後に得られ
た成形体を脱脂後に非酸化性雰囲気で焼結することを特
徴とするセラミックス焼結体の製造方法。 - 【請求項6】 脱酸処理は温度1500〜1650℃に
加熱した非酸化性雰囲気で実施することを特徴とする請
求項5記載のセラミックス焼結体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4032170A JPH05229871A (ja) | 1992-02-19 | 1992-02-19 | セラミックス焼結体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4032170A JPH05229871A (ja) | 1992-02-19 | 1992-02-19 | セラミックス焼結体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05229871A true JPH05229871A (ja) | 1993-09-07 |
Family
ID=12351466
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4032170A Pending JPH05229871A (ja) | 1992-02-19 | 1992-02-19 | セラミックス焼結体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05229871A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001017927A1 (fr) * | 1999-09-06 | 2001-03-15 | Ibiden Co., Ltd. | Briquette et substrat ceramique en nitrure d'aluminium carbone fritte destine a des equipements de fabrication ou de verification de semi-conducteurs |
JP2001146475A (ja) * | 1999-09-06 | 2001-05-29 | Ibiden Co Ltd | カーボン含有窒化アルミニウム焼結体 |
KR100350365B1 (ko) * | 1998-07-10 | 2002-08-28 | 스미토모덴키고교가부시키가이샤 | 세라믹 기재 |
JP2007063122A (ja) * | 2003-11-21 | 2007-03-15 | Toshiba Corp | 半導体装置用基板 |
JP2007186385A (ja) * | 2006-01-16 | 2007-07-26 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 窒化アルミニウム焼結体及びそれを用いた窒化アルミニウム回路基板 |
-
1992
- 1992-02-19 JP JP4032170A patent/JPH05229871A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100350365B1 (ko) * | 1998-07-10 | 2002-08-28 | 스미토모덴키고교가부시키가이샤 | 세라믹 기재 |
WO2001017927A1 (fr) * | 1999-09-06 | 2001-03-15 | Ibiden Co., Ltd. | Briquette et substrat ceramique en nitrure d'aluminium carbone fritte destine a des equipements de fabrication ou de verification de semi-conducteurs |
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