JP3472585B2 - 窒化アルミニウム焼結体 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体

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JP3472585B2
JP3472585B2 JP03524592A JP3524592A JP3472585B2 JP 3472585 B2 JP3472585 B2 JP 3472585B2 JP 03524592 A JP03524592 A JP 03524592A JP 3524592 A JP3524592 A JP 3524592A JP 3472585 B2 JP3472585 B2 JP 3472585B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化アルミニウム焼結体
およびその製造方法に係り、高強度で熱伝導率が高く放
熱特性に優れた窒化アルミニウム焼結体およびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の金属材料と比較して強度、耐熱
性、耐食性、耐摩耗性、軽量性などの諸特性に優れたセ
ラミックス焼結体が、半導体、電子機器材料、エンジン
用部材、高速切削工具用材料、ノズル、ベアリングな
ど、従来の金属材料の及ばない苛酷な温度、応力、摩耗
条件下で使用される機械部品、構造材や装飾品材料とし
て広く利用されている。
【0003】特に窒化アルミニウム(AlN)焼結体は
高熱伝導性を有する絶縁体であり、シリコン(Si)に
近い熱膨張係数を有することから高集積化した半導体装
置の放熱板や基板として、その用途を拡大している。
【0004】従来、上記窒化アルミニウム焼結体は一般
的に下記の製造方法によって量産されている。すなわ
ち、セラミックス原料としての窒化アルミニウム粉末に
焼結助剤と、有機バインダと、必要に応じて各種添加剤
や溶媒、分散剤とを添加して原料混合体を調製し、得ら
れた原料混合体をロール成形法やドクターブレード法に
よって成形し、薄板状ないしシート状の成形体とした
り、原料混合体をプレス成形して厚板状ないし大型の成
形体を形成する。次に得られた成形体は、空気または窒
素ガス雰囲気において400〜500℃に加熱され脱脂
処理され、有機バインダとして添加された炭化水素成分
等が成形体から排除脱脂される。そして脱脂された成形
体は窒素ガス雰囲気等で高温度に加熱され緻密化焼結さ
れて窒化アルミニウム焼結体が形成される。
【0005】上記焼結操作は、一般に図3に示すよう
に、例えば黒鉛(グラファイト)製の炉材を貼設した焼
成炉1の炉床2上に箱状の焼成容器3を配置し、この焼
成容器3内に1個または複数個の脱脂した窒化アルミニ
ウム成形体4を収容した状態で加熱し、所定の焼結温度
1700〜2000℃に4〜8時間保持した後に、焼成
炉1の加熱用電源をOFFにして焼結体を炉冷して実施
していた。
【0006】上記窒化アルミニウム成形体4を収容保持
する焼成容器3や炉床2は、高温焼結時に成形体と反応
して焼結体の特性を低下させることを防止するために、
また不純物による焼結体の汚染を防止するために、成形
体と同一材料である高純度の窒化アルミニウム(Al
N)焼結体や窒化硼素(BN)焼結体で形成される。
【0007】上記のように窒化アルミニウム成形体4と
反応せず熱容量が大きい焼成容器中に成形体4を収容し
て焼結しているため、各窒化アルミニウム成形体4の全
体に熱が均一に作用し、むらの少ない均質な焼結体が得
られる。また焼成炉1の炉材に含まれる炭素等の不純物
が、焼成容器に遮断され焼成時に直接的に成形体4に作
用することがなく、これらの不純物によって焼結体に色
むらや変形が発生したり、焼結体の熱伝導性が低下する
ことが防止される。上記焼成容器3を使用せず、窒化ア
ルミニウム成形体4を直接焼成炉1内に配置して焼成し
た場合には、焼成炉1の炉材から放出された過剰量の炭
素蒸気や不純物によって焼結体表面が著しく損傷され、
かつ焼結体全体の変形量も大きくなり、製品歩留りが急
減してしまう。
【0008】上記製造方法において、原料AlN粉末と
して平均粒径が0.3μm以下程度の超微細な原料粉末
を使用する場合は、AlN粉末単独でもかなりの緻密な
焼結体が得られる。しかしながら、原料粉末表面等に付
着した多量の酸素等の不純物が焼結時に、AlN結晶格
子中に固溶したり、格子振動の伝播を妨げるAl−O−
N化合物等の複合酸化物を生成する結果、焼結助剤を使
用しないAlN焼結体の熱伝導率は比較的に低かった。
【0009】一方原料粉末として平均粒径0.5μm以
上のAlN粉末を使用する場合は、その原料粉末単独で
は焼結性が良好でないため、ホットプレス法以外には助
剤無添加では緻密な焼結体を得ることが困難であり、量
産性が低い欠点があった。そこで常圧焼結法によって効
率的に焼結体を量産しようとする場合には、焼結体の緻
密化およびAlN原料粉末中の不純物酸素がAlN結晶
粒子内へ固溶することを防止するために、焼結助剤とし
て、酸化イットウリム(Y2 3 )などの希土類酸化物
や酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属酸化物等を添
加することが一般に行なわれている。
【0010】これらの焼結助剤は、AlN原料粉末に含
まれる不純物酸素と反応してイットリウム−アルミニウ
ム−ガーネット(YAG,3Y2 3 ・5Al
2 3 )、イットリア−アルミナ化合物(YAL,Y2
3 ・Al2 3 )、イットリア−アルミナ−金属化合
物(YAM,2Y2 3 ・Al2 3 )などから成る液
相を形成し、焼結体の緻密化を達成するとともに、この
不純物酸素を粒界相として固定し、高熱伝導率化も達成
するものと考えられている。またこれらの液相は焼結後
においてAlN結晶粒の粒界部にガラス質または結晶質
として凝固して粒界相を形成し、この粒界相がAlN結
晶粒を相互に強固に結合せしめAlN焼結体全体の強度
を高めると考えられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の製
造方法においては、原料粉末の平均粒径、焼結助剤の種
類および添加量、脱脂焼結条件等を厳正に管理した場合
においても、焼結体の強度が不足して製品歩留りが低下
したり、所定の熱伝導率が得られず、AlNの最大利用
特性である優れた放熱特性が損われる場合が多かった。
【0012】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、高強度で熱伝導率が高く放熱特性が優
れた窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法を提供
することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは上記目的
を達成するため、まず焼結体の強度や熱伝導率が低下す
る原因を実験により解明することを試みた。すなわち原
料窒化アルミニウム粉末に添加する焼結助剤や添加物の
種類および添加量、不純物の残留量、成形焼結条件、焼
結体の組成等を種々変えて、それらが焼結体特性に及ぼ
す影響や関係について実験検討を進め、以下に示すよう
に知見を得た。
【0014】すなわち本発明者らは加熱焼結操作完了直
後における焼結体の冷却速度の大小が、最終的に製造さ
れる焼結体の品質特性に大きな影響を及ぼすことを突き
止めた。
【0015】すなわち、従来の製造方法においては、成
形体を所定の焼結温度で一定時間加熱保持して緻密化焼
結を実施した後に、焼成炉の加熱用電源をOFFとし焼
結体を炉冷していたため、焼成炉の形式によって差はあ
るが、焼結体の冷却速度が毎時400〜800℃程度と
極めて大きな値となっており、焼結体の窒化アルミニウ
ム結晶組織が粗雑になる大きな原因であることが確認さ
れた。X線回折図や走査型電子顕微鏡写真等で焼結体の
破面を観察したところ、図2に示すように、直径Db が
5〜10μm程度の粗大な酸化物粒界相5や直径Dp が
50〜100μm程度の粗大な気孔6がAlN結晶粒7
の粒界部に多数形成されていることが判明した。これら
の粒界相5は、焼結助剤として添加したY2 3 などの
希土類化合物が焼結時に窒化アルミニウム原料粉末表面
のアルミニウム酸化物と反応して生成した液相(成分:
YAG,YAL,YAMなど)が冷却時に凝集偏析して
形成されたものである。また粗大な粒界相5の周辺には
液相がなくなった気孔6が形成され、上記粒界相5およ
び気孔6は共に窒化アルミニウム焼結体の熱伝導を妨げ
る抵抗として作用するとともに、気孔6は未焼結部とな
りAlN結晶粒7相互の接合強度が低下し、焼結体全体
としての強度が低下してしまうことが判明した。
【0016】一方、焼成炉の加熱装置に対する通電量を
制御して焼結直後の焼結体の冷却速度を、従来の炉冷に
よる冷却速度より低く設定して得られた焼結体の結晶組
織を観察し、また焼結体の各種特性を測定した。その結
果、図1に示すようにいずれも窒化アルミニウム結晶組
織の粒界相5aの直径Db が小さく、液相の凝集偏析が
なく、微細な粒界相が均一に分布した結晶組織が得られ
た。また気孔6aについても直径Dp が小さく、凝集が
少ない均一分布を有する組織が得られ、高い熱伝導率お
よび高強度を備えるAlN焼結体が得られた。
【0017】本発明は上記知見に基づいて完成されたも
のである。すなわち本発明に係るセラミックス焼結体の
製造方法は、窒化アルミニウムに粉末に対して、粒界相
形成成分として希土類元素およびアルカリ土類金属元素
の少なくとも一方を添加した原料混合体を成形脱脂し、
得られた成形体を1700〜2000℃の焼結温度で所
定時間加熱焼結した後に、上記焼結温度から、上記希土
類元素および/またはアルカリ土類金属元素により焼結
時に形成された液相が凝固する温度までに至る焼結体の
冷却速度を毎時100℃以下に設定したことを特徴とす
る。
【0018】さらに本発明に係る窒化アルミニウム焼結
体は、窒化アルミニウム結晶組織に希土類元素およびア
ルカリ土類金属の少なくとも一方を含む粒界相が形成さ
れ、粒界相の最大径が1μm以下であることを特徴とす
る。
【0019】また窒化アルミニウム結晶組織に介在する
気孔の最大径は1μm以下に設定するとよい。
【0020】さらに粒界相を構成する希土類元素および
アルカリ土類金属の少なくとも一方の焼結体に対する含
有量は1〜7.5重量%に設定するとよい。
【0021】本発明方法において使用され、焼結体の主
成分となる窒化アルミニウム(AlN)粉末としては、焼
結性および熱伝導性を考慮して不純物酸素含有量が7重
量%以下、好ましくは3重量%以下に抑制され平均粒径
が0.05〜5μm程度、好ましくは3μm以下のもの
を使用する。
【0022】希土類元素およびアルカリ土類金属は焼結
助剤として窒化アルミニウム原料粉末に添加される。焼
結助剤の具体例としては希土類元素(Y,La,Sc,
Pr,Ce,Nd,Dy,Gdなど)の酸化物、窒化
物、アルカリ土類金属(Ca,Ba,Srなど)の酸化
物、もしくは焼結操作によりこれらの化合物となる物質
(炭酸塩等)が単独で、または2種以上混合して使用さ
れ、特に酸化イットリウム(Y2 3 )や酸化カルシウ
ム(CaO)が好ましい。これらの焼結助剤は、窒化ア
ルミニウムの原料粉末表面のアルミニウム酸化物相と反
応して複合酸化物(Al5 3 12,AlYO3 ,Al
2 4 9 など)の液相を形成し、この液相が焼結体の
高密度化(緻密化)をもたらす。例えばY2 3 を焼結
助剤として用いた場合、アルミン酸イットリウムが生成
し液相焼結が進行すると考えられる。これらの焼結助剤
を添加して常圧焼結すると、焼結性の向上(緻密化)の
みではなく、熱伝導率も向上できる。すなわち焼結時に
AlN中に固溶していた不純物酸素がY2 3 と反応し
て結晶粒界の酸化物相として偏析するため、格子欠陥の
少ない焼結体が得られ、熱伝導率が向上する。
【0023】上記焼結助剤の添加量は1〜7.5重量%
の範囲で調整される。添加量が1重量%未満の場合は、
焼結性の改善効果が充分に発揮されず、焼結体が緻密化
されず低強度の焼結体が形成されたり、AlN結晶中に
酸素が固溶し、高い熱伝導率を有する焼結体が形成でき
ない。一方添加量が7.5wt%を超える過量となる
と、過量の粒界相が焼結体中に残存したり、熱処理によ
り除去される粒界相の体積が大きいため、焼結体中に空
孔(気孔)が残ったりして収縮率が増大し、変形を生じ
易くなる。
【0024】窒化アルミニウム結晶組織に形成される粒
界相および気孔の大きさは焼結体の伝熱特性および強度
特性に大きく影響するため、本発明に係る焼結体におい
ては粒界相の最大径は1μm以下に設定される一方、気
孔の最大径は1μm以下に設定される。粒界相の最大径
が1μmを超えるように液相の凝集偏析が著しくなる
と、AlN結晶粒子相互の液相による結合作用が低下し
焼結体全体としての強度が低下し易くなると同時に粗大
な粒界相は熱伝導の妨げとなり、焼結体の熱伝導率を低
下させる。
【0025】一方、気孔についても同様にその最大径が
1μmを超えるように粗大となると伝熱抵抗が高くなり
焼結体の熱伝導率が低下するとともに焼結体の強度低下
が著しくなる。
【0026】上記のように窒化アルミニウム結晶組織に
形成される粒界相の最大径を1μm以下に、また気孔の
最大径を1μm以下にするためには、焼結操作完了直後
における焼結体の冷却速度を毎時100℃以下調節する
ことが必要である。上記冷却速度を毎時100℃を超え
るように設定した場合には、焼結体に生成した液相が粒
界部に凝集偏析し易く、粗大な粒界相および気孔が形成
されてしまう。
【0027】上記冷却速度を調節する温度範囲は、所定
の焼結温度(1700〜2000℃)から、前記の焼結
助剤の反応によって生じる液相が凝固するまでの温度
(液相凝固点)までで充分である。前記のような焼結助
剤を使用した場合の液相凝固点は概略1650〜150
0℃程度である。こうして少なくとも焼結温度から液相
凝固点に至るまでの焼結体の冷却速度を毎時100℃以
下に制御することにより、微細な粒界相がAlN結晶粒
周囲に均一に分布し、気孔の形成が少ない焼結体が得ら
れる。
【0028】次に上記窒化アルミニウム焼結体を製造す
る場合の概略工程について説明する。すなわち窒化アル
ミニウムに所定量の焼結助剤、有機バインダ等の必要な
添加剤を加えて原料混合体を調製し、次に得られた原料
混合体を成形して所定形状の成形体を得る。原料混合体
の成形法としては、汎用の金型プレス法、静水圧プレス
法、あるいはドクターブレード法、ロール成形法のよう
なシート成形法などが適用できる。
【0029】上記成形操作に引き続いて、成形体を非酸
化性雰囲気中、例えば窒素ガス雰囲気中で温度400〜
500℃で1〜2時間加熱して、予め添加していた有機
バインダを充分に除去する。
【0030】次に脱脂処理された成形体は、焼成容器内
に収容して焼成炉内において多段に積層され、この配置
状態で複数の成形体は一括して所定温度で焼結される。
焼結操作は、窒素ガスなどの非酸化性雰囲気で成形体を
温度1700〜2000℃に2〜10時間程度加熱して
実施される。焼結雰囲気は、窒素ガス、または窒素ガス
を含む還元性雰囲気で行なう。還元性ガスとしてはH2
ガス、COガスを使用してもよい。なお、焼結は真空
(僅かな還元雰囲気を含む)、減圧、加圧および常圧を
含む雰囲気で行なってもよい。焼結温度が1750℃未
満と低温状態で焼成すると、原料粉末の粒径、含有酸素
量によって異なるが、緻密な焼結体が得にくい一方、2
000℃より高温度で焼成すると、焼成炉内におけるA
lN自体の蒸気圧が高くなり緻密化が困難になるおそれ
があるため、焼結温度は上記範囲に設定される。
【0031】上記焼結操作において緻密な焼結体を得る
ためにも、また焼結体の熱伝導率を向上させるために
も、ある程度の焼結助剤の添加は必要である。しかしな
がら、焼結助剤はAlNや不純物酸素と反応してAl5
3 12,AlYO3 ,Al2 4 9 などの酸化物を
形成して粒界相に析出する。これら粒界相の酸化物は熱
伝導を妨げる作用を有することが確認されている。した
がって過剰量の粒界相が形成されないように焼結助剤の
添加量は厳正に管理する必要がある。
【0032】上記製法によって製造された窒化アルミニ
ウム焼結体は、いずれも多結晶体として非常に高い20
0w/m・k(25℃)に近い熱伝導率を有し、また曲
げ強度等の機械的特性にも優れている。
【0033】
【作用】上記構成に係る窒化アルミニウム焼結体および
その製造方法によれば、焼結処理完了直後における焼結
体の冷却速度を毎時100℃以下と小さく設定している
ため、炉冷のような急速冷却を実施した場合と異なり、
焼結時に生成した液相の凝集偏析が少なく、微細な粒界
相が均一に分布した結晶組織が得られる。また結晶組織
に形成される気孔も小形化すると同時に減少させること
ができる。したがって、粗大な粒界相や気孔によって熱
伝達や緻密化が阻害されることが少なく、高強度で高い
熱伝導率を有する窒化アルミニウム焼結体が得られる。
【0034】
【実施例】次に下記の実施例を参照して本発明に係る窒
化アルミニウム焼結体およびその製造方法による効果を
より具体的に説明する。
【0035】実施例1〜3 不純物として酸素を1.0重量%含有し、平均粒径1.
5μmの窒化アルミニウム粉末に対して、焼結助剤とし
てのY2 3 (酸化イットリウム)を5重量%添加し、
エチルアルコール中で30時間湿式混合した後に乾燥し
て原料粉末混合体を調製した。次に乾燥して得た原料粉
末混合体をプレス成形機の成形用金型内に充填して12
00kg/cm2 の加圧力にて圧縮成形して円板状放熱板の
成形体を多数調製し、引き続き各成形体を空気中で温度
375℃で2時間加熱して脱脂処理した。
【0036】次に前記工程で脱脂処理した複数の成形体
を、図3に示すように2個ずつまとめて高純度AlN製
焼成容器3内に収容し、この4個の焼成容器3をN2
スを封入した焼成炉内に2段に積層配置した。そして焼
成炉1内の温度を1815℃まで高めた状態で4時間保
持し、緻密化焼結を実施した後に、焼成炉に付設した加
熱装置への通電量を減少させて焼成炉内温度が1500
℃まで降下するまでの間における焼結体の冷却速度がそ
れぞれ100℃/hr(実施例1)、50℃/hr(実施例
2)、25℃/hr(実施例3)、となるように調整して
焼結体を冷却した。その結果、それぞれ直径100mm、
厚さ3.0mmである実施例1〜3に係るAlNセラミッ
クス焼結体を8個ずつ調製した。
【0037】比較例1 一方、緻密化焼結完了直後に、加熱装置電源をOFFに
し、従来の炉冷による冷却速度(約500℃/hr)で焼
結体を冷却した点以外は実施例1と同一条件で焼結処理
して同一寸法を有する比較例1に係るAlN焼結体を調
製した。
【0038】比較例2 また、緻密化焼結完了直後における焼結体の冷却速度を
250℃/hrと過大に設定した以外は実施例1と同一条
件で焼結処理して同一寸法を有する比較例2に係るAl
N焼結体を調製した。
【0039】そして得られた実施例1〜3および比較例
1〜2に係る各窒化アルミニウム焼結体の特性を評価す
るため、各焼結体表面部をX線解折法によって分析し、
さらに各焼結体の破面を走査型電子顕微鏡によって観察
することによって、粒界相の最大径、気孔の最大径を測
定するとともに、窒化アルミニウム結晶組織における粒
界相の凝集の有無および気孔の凝集の有無を観察した。
さらに各焼結体の熱伝導率および曲げ強度の平均値を測
定し、下記表1右欄に示す結果を得た。
【0040】
【表1】
【0041】表1に示す結果から明らかなように、実施
例1〜3に係る窒化アルミニウム焼結体においては、比
較例1〜2と比較して緻密化焼結完了直後における焼結
体の冷却速度を従来法より低く設定しているため、結晶
組織内において液相の凝集偏析が少なく、また気孔の凝
集もなかった。顕微鏡観察したところ、結晶組織はいず
れも図1に示すように粒界相5aの最大径Db が1μm
未満と小さく、また気孔6aの最大径Dp も1μm未満
と微小であった。そして微細な粒界相が均一に分布した
結晶組織であるため、高密度(高強度)で高熱伝導度を
有する放熱性の高い焼結体が得られた。
【0042】一方、比較例1および2のように焼結体の
冷却速度を大きく設定し、急激に冷却した場合には、図
2に示すように最大径Db が15μmとなるような粗大
な粒界相5が形成さ、また最大径Dp が4μmと大きな
気孔6が各所に観察され、焼結性が低下して強度および
熱伝導率も低下した。
【0043】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係る窒化アルミ
ニウム焼結体およびその製造方法によれば、焼結処理完
了直後における焼結体の冷却速度を毎時100℃以下と
小さく設定しているため、炉冷のような急速冷却を実施
した場合と異なり、焼結時に生成した液相の凝集偏析が
少なく、微細な粒界相が均一に分布した結晶組織が得ら
れる。また結晶組織に形成される気孔も小形化すると同
時に減少させることができる。したがって、粗大な粒界
相や気孔によって熱伝達や緻密化が阻害されることが少
なく、高強度で高い熱伝導率を有する窒化アルミニウム
焼結体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る窒化アルミニウム焼結体の結晶組
織を模式的に示す図。
【図2】従来の窒化アルミニウム焼結体の結晶組織を模
式的に示す図。
【図3】焼成容器内に複数の成形体を収容し同時に焼成
する状態を示す焼成炉の断面図。
【符号の説明】
1 焼成炉 2 炉床 3 焼成容器 4 成形体 5,5a 粒界相 6,6a 空孔(気孔) 7,7a AlN結晶粒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−204367(JP,A) 特開 平1−138174(JP,A) 特開 平3−174365(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウム結晶組織に希土類元素
    およびアルカリ土類金属の少なくとも一方を含む粒界相
    が形成され、粒界相の最大径が1μm以下であり、窒化
    アルミニウム結晶組織に介在する気孔の最大径が1μm
    以下であり、曲げ強度が40kg/mm以上であるる
    ことを特徴とする窒化アルミニウム焼結体。
  2. 【請求項2】 粒界相を構成する希土類元素およびアル
    カリ土類金属の少なくとも一方の焼結体に対する含有量
    が1〜7.5重量%であることを特徴とする請求項1記
    載の窒化アルミニウム焼結体。
  3. 【請求項3】 熱伝導率が188W/m・K以上である
    ことを特徴とする請求項1または2記載の窒化アルミニ
    ウム焼結体。
  4. 【請求項4】 粒界相を構成する希土類元素がイットリ
    ウムであることを特徴とする請求項2記載の窒化アルミ
    ニウム焼結体。
  5. 【請求項5】 イットリウムが焼結助剤として添加され
    たものであることを特徴とする請求項4記載の窒化アル
    ミニウム焼結体。
  6. 【請求項6】 焼結助剤として添加された成分がイット
    リウム化合物のみであることを特徴とする請求項5記載
    の窒化アルミニウム焼結体。
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