JPH05238832A - セラミックス焼結体の製造方法およびその製法において使用する焼成容器 - Google Patents

セラミックス焼結体の製造方法およびその製法において使用する焼成容器

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JPH05238832A
JPH05238832A JP4035246A JP3524692A JPH05238832A JP H05238832 A JPH05238832 A JP H05238832A JP 4035246 A JP4035246 A JP 4035246A JP 3524692 A JP3524692 A JP 3524692A JP H05238832 A JPH05238832 A JP H05238832A
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JP
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sintered body
graphite
aln
sintered
sintering
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JP4035246A
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Michiyasu Komatsu
通泰 小松
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Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、高強度で熱伝導率が高く放熱
特性が優れ、かつ変形や色むらの発生が少ない焼結体を
効率的に製造することが可能なセラミックス焼結体の製
造方法を提供することにある。 【構成】本発明に係るセラミックス焼結体の製造方法
は、窒化アルミニウムを主成分とするセラミックス成形
体を、窒化アルミニウムおよび窒化硼素の少なくとも一
方を主成分とし黒鉛を従成分とする焼成容器内に収容し
た状態で非酸化雰囲気中で焼結することを特徴とする。
また焼成容器の黒鉛含有量は5〜20重量%に設定する
とよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミックス焼結体の製
造方法およびその製法において使用する焼成容器に係
り、特に窒化アルミニウムを主成分とし、変形や色むら
の発生が少なく、高強度で熱伝導率も高く放熱特性に優
れたセラミックス焼結体の製造方法およびその製法にお
いて使用する焼成容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の金属材料と比較して強度、耐熱
性、耐食性、耐摩耗性、軽量性などの諸特性に優れたセ
ラミックス焼結体が、半導体、電子機器材料、エンジン
用部材、高速切削工具用材料、ノズル、ベアリングな
ど、従来の金属材料の及ばない苛酷な温度、応力、摩耗
条件下で使用される機械部品、構造材や装飾品材料とし
て広く利用されている。
【0003】特に窒化アルミニウム(AlN)焼結体は
高熱伝導性を有する絶縁体であり、シリコン(Si)に
近い熱膨張係数を有することから高集積化した半導体装
置の放熱板や基板として、その用途を拡大している。
【0004】従来上記セラミックス焼結体は一般的に下
記の製造方法によって量産されている。すなわち、セラ
ミックス原料として窒化アルミニウムを使用する場合に
は、まず窒化アルミニウム粉末に焼結助剤と、有機バイ
ンダと、必要に応じて各種添加剤や溶媒、分散剤とを添
加して原料混合体を調製し、得られた原料混合体をドク
ターブレード法によって成形し、薄板状ないしシート状
の成形体としたり、原料混合体をプレス成形して厚板状
ないし大型の成形体を形成する。次に得られた成形体
は、空気または窒素ガス雰囲気において加熱され脱脂処
理され、有機バインダとして使用された炭素、水素成分
等が成形体から排除脱脂される。そして脱脂された成形
体は窒素ガス雰囲気等で高温度に加熱され緻密化焼結さ
れて窒化アルミニウム焼結体が形成される。
【0005】上記焼結操作は、一般に図2に示すよう
に、黒鉛(グラファイト)製の炉材を貼設した焼成炉1
の炉床2上に箱状の焼成容器3を配置し、この焼成容器
3内に1個または複数個の脱脂したセラミックス成形体
4を収容した状態で1700〜2000℃の高温度に加
熱して実施される。
【0006】上記セラミックス成形体4を収容保持する
焼成容器3や炉床2は、高温焼結時に成形体と反応して
焼結体の特性を低下させることを防止するために、成形
体と同一材料である窒化アルミニウム(AlN)焼結体
や窒化硼素(BN)焼結体で形成される。
【0007】上記のようにセラミックス成形体4と反応
しない焼成容器中に成形体4を収容して焼結しているた
め、各セラミックス成形体4の全体に熱が均一に作用し
むらの少ない均質な焼結体が得られる。また焼成炉1の
炉材に含まれる炭素等の不純物が、焼成時に直接的に成
形体4に作用することがなく、不純物によって焼結体に
色むらや変形が発生したり、焼結体の熱伝導性が低下す
ることが防止される。上記焼成容器3を使用せず、セラ
ミックス成形体4を直接焼成炉1内に配置して焼成した
場合には、焼成炉1の炉材から放出された過剰量の炭素
蒸気によって焼結体表面が著しく損傷され、かつ焼結体
全体の変形量も大きくなり、製造歩留りが急減してしま
う。
【0008】上記製造方法において、原料AlN粉末と
して平均粒径が0.3μm以下程度の超微細な原料粉末
を使用する場合は、AlN粉末単独でもかなりの緻密な
焼結体が得られる。しかしながら、原料粉末表面等に付
着した多量の酸素等の不純物が焼結時に、AlN結晶格
子中に固溶したり、格子振動の伝播を妨げるAl−O−
N化合物等の複合酸化物を生成する結果、焼結助剤を使
用しないAlN焼結体の熱伝導率は比較的に低かった。
【0009】一方原料粉末として平均粒径0.5μm以
上のAlN粉末を使用する場合は、その原料粉末単独で
は焼結性が良好でないため、ホットプレス法以外には助
剤無添加では緻密な焼結体を得ることが困難であり、量
産性が低い欠点があった。そこで常圧焼結法によって効
率的に焼結体を製造しようとする場合には、焼結体の緻
密化およびAlN原料粉末中の不純物酸素がAlN結晶
粒子内へ固溶することを防止するために、焼結助剤とし
て、酸化イットウリム(Y2 3 )などの希土類酸化物
や酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属酸化物等を添
加することが一般に行なわれている。
【0010】これらの焼結助剤は、AlN原料粉末に含
まれる不純物酸素と反応して液相を形成し、焼結体の緻
密化を達成するとともに、この不純物酸素を粒界相とし
て固定し、高熱伝導率化も達成するものと考えられてい
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の製
造方法においては、各種不純物の量的管理が極めて困難
であり、各成形体の焼結性(密度)に大きなばらつきを
生じたり、変形量が大きくなって製品歩留りや熱伝導率
が低下してしまう問題点があった。例えば、多数のセラ
ミックス成形体を加熱炉中で一括して脱脂処理する場
合、1回の脱脂操作で加熱炉内に仕込む成形体数の多少
によって成形体中に残留する炭素量や酸素量が異なり、
また加熱炉の上方に配置した成形体と下方に配置した成
形体との間でも残留炭素量に差異が生じて均一な脱脂操
作が困難であった。そして炭素などの不純物の残留によ
って焼結体の色調が変化したり色むらを生じるなど外観
品質が低下する場合が多く、特に焼結体が装飾用材料と
して使用される場合には歩留りがさらに低下する欠点が
あった。特に原料粉末中の不純物として含まれていた
り、製造工程で混入した酸素は、焼結時にAlN結晶格
子中の窒素と置換して固溶するため、AlNの最大利用
特性である高熱伝導性が低下する場合が多かった。
【0012】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、高強度で熱伝導率が高く放熱特性が優
れ、かつ変形や色むらの発生が少ない焼結体を効率的に
製造することが可能なセラミックス焼結体の製造方法お
よびその製法で使用する焼成容器を提供することを目的
とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは上記目的
を達成するため、原料窒化アルミニウム粉末に添加する
焼結助剤や添加物の種類、不純物の残留量、焼成容器の
組成、焼結体の組成等を種々変えて、それらが焼結体特
性に及ぼす影響や関係について実験検討を進め、以下に
示すように知見を得た。
【0014】すなわち本発明者らは焼結前の成形体すな
わち脱脂体中の残留カーボン量の多少が、最終的に製造
される焼結体の品質特性に大きな影響を及ぼすことを突
き止めた。図1は脱脂体中の残留カーボン量に対する焼
結体の熱伝導率、焼結性、変形量、色むらの程度の変化
を示したグラフである。
【0015】図1に示す通り、脱脂体中の残留カーボン
量を可及的に低減することにより、成形体の焼結性すな
わち焼結体の密度は改善されるとともに変形量、色むら
は解消される。一方、熱伝導率を高く維持するためには
ある程度の残留カーボン量が必要であることが判明し
た。少量の残留カーボンは、原料粉末表面に付着した酸
素や酸化物とし存在する酸素を還元してCOやCO2
して系外に除去する作用を有する。ところが、過量の残
留カーボンは、他の不純物と同様に熱伝導を阻害する炭
化物を形成したり、焼結時に必要な液相の生成を阻害し
て焼結性を低下せしめ、緻密度の低い低強度の焼結体を
形成する。
【0016】したがって上記のように脱脂体中の残留カ
ーボン量を適性な範囲に調整することにより、変形、色
むらが少なく、高密度で高熱伝導性を有する焼結体が得
られることがわかる。しかしながら従来の製造方法にお
いては、残留カーボン量を適正範囲に設定することは極
めて困難であった。例えば有機バインダを添加した原料
混合体を成形してシート状成形体を形成し、この成形体
を空気中で温度400℃程度で脱脂した場合において、
脱脂体に残留するカーボン量は0.01重量%程度と極
めて小さくなる一方、大型の成形体では不純物の放出が
困難となり、逆に残留カーボン量が過大になり、いずれ
にしろ最適範囲に設定することが困難であった。
【0017】そこで、焼結時に使用する焼成容器中に予
め炭素源となる物質を所定量添加しておくことにより、
焼結時に成形体に作用するカーボン量を所定範囲に保持
し、そのカーボンの還元作用により焼結時に酸素等の不
純物を還元除去することが焼結体の特性を高める上で非
常に有効であることが確認された。
【0018】すなわち、予め焼成容器構成材に所定量の
黒鉛(グラファイト)を含有させておき、焼結時に焼成
容器から放出され成形体に作用するカーボン量を所定範
囲に設定することにより、成形体および焼結体中の不純
物酸素量を大幅に低減することができ、かつ高強度で変
形や色むらの発生が少ない焼結体が得られることが判明
した。
【0019】本発明は上記知見に基づいて完成されたも
のである。すなわち本発明に係るセラミックス焼結体の
製造方法は、窒化アルミニウムを主成分とするセラミッ
クス成形体を、窒化アルミニウムおよび窒化硼素の少な
くとも一方を主成分とし黒鉛を従成分とする焼成容器内
に収容した状態で非酸化雰囲気中で焼結することを特徴
とする。
【0020】また焼成容器の黒鉛含有量は5〜20重量
%に設定するとよい。
【0021】さらに本発明に係る焼成容器は、窒化アル
ミニウムおよび窒化硼素の少なくとも一方を主成分と
し、5〜20重量%の黒鉛を従成分として含有する焼結
体で形成したことを特徴とする。
【0022】本発明方法において使用され、焼結体の主
成分となる窒化アルミニウム(AlN)粉末としては、焼
結性および熱伝導性を考慮して不純物酸素含有量が7重
量%以下に抑制され平均粒径が0.05〜5μm程度、
好ましくは3μm以下のものを使用する。
【0023】焼結助剤としては希土類元素(Y,Sc,
Ce,Dyなど)の酸化物、窒化物、アルカリ土類金属
(Ca)の酸化物、もしくは焼結操作によりこれらの化
合物となる物質が使用され、特に酸化イットリウム(Y
2 3 )や酸化カルシウム(CaO)が好ましい。焼結
助剤の添加量は0.5〜7.5重量%の範囲で調整され
る。添加量が0.5重量%未満の場合は、焼結性の改善
効果が充分に発揮されず、焼結体が緻密化されず低強度
の焼結体が形成されたり、AlN結晶中に酸素が固溶
し、高い熱伝導率を有する焼結体が形成できない。一方
添加量が7.5wt%を超える過量となると、粒界相が
焼結体中に残存したり、熱処理により除去される粒界相
の体積が大きいため、焼結体中に空孔が残ったりして収
縮率が増大し、変形を生じ易くなる。
【0024】焼結時に使用する焼成容器の構成材料とし
ては、AlN成形体と反応しない窒化アルミニウム(A
lN)粉末および窒化硼素(BN)粉末の少なくとも一
方を主成分とし、さらに所定量の黒鉛(グラファイト)
を従成分として添加して調製される。
【0025】黒鉛は高温焼結時において部分的に気化し
て炭素蒸気となり、成形体中に残存する酸素等の不純物
を焼結時において還元処理して系外に除去するために、
焼成容器に5〜20重量%の範囲で含有される。その含
有量が5重量%未満と過少の場合は、焼結時に成形体に
作用する炭素蒸気量が少なく、黒鉛による焼結時の脱酸
効果が不充分となり高熱伝導性の焼結体が得られなくな
る一方、含有量が20重量%を超える過量となる場合に
は、成形体に付着する炭素蒸気量が増大し、焼結体の変
形や色むらを生じ易くなり、焼結性および熱伝導性も低
下してしまう。より好ましくは、焼結時において成形体
に作用する炭素蒸気量が、全成形体重量に対して0.1
5〜0.3重量%の範囲になるように焼成容器の黒鉛含
有量を設定することにより、変形、色むら、焼結性、熱
伝導率の諸特性がバランスした高品質の焼結体が得られ
る。
【0026】上記焼成容器としては、成形体に与える影
響を可及的に抑制するために、成形体と反応せず、また
不純物含有量が少ない高純度の材料で形成することが望
ましく、例えば下記の製法によって製造される。すなわ
ち、窒化アルミニウム粉末および窒化硼素粉末の少なく
とも一方から成る原料粉末に対して、3〜5重量%のY
2 3 等の焼結助剤と5〜20重量%の黒鉛粉末とを添
加した原料粉末混合体をプレス成形、スリップキャスト
成形、射出成形などの種々の成形方法で処理して容器素
体を形成し、その容器素体を脱脂後、窒素ガス等の還元
雰囲気において温度1800〜2000℃で数10時間
加熱焼結処理して製造される。
【0027】上記のように還元雰囲気中で容器素体を長
時間加熱することにより、焼結助剤として含有されてい
たY化合物等を、焼成容器を構成するAlN結晶粒子や
BN結晶粒子の粒界から放出することができ、これによ
り焼成容器の高純度化および低酸濃度化が達成される。
【0028】また高温焼結時に部分的ではあるが、黒鉛
が燃焼することによって発生する灰分による焼結体の伝
熱特性劣化を防止するために、灰分含有量が1重量%以
下の黒鉛粉末を使用するとよい。
【0029】製品原料混合体の成形法としては、汎用の
金型プレス法、静水圧プレス法、あるいはドクターブレ
ード法のようなシート成形法などが適用できる。
【0030】上記成形操作に引き続いて、成形体を非酸
化性雰囲気中、例えば窒素ガス雰囲気中で温度400〜
500℃に加熱して、予め添加していた有機バインダを
充分に除去する。
【0031】次に脱脂処理された成形体は、図2に示す
ように黒鉛を含有させた焼成容器3a内に収容して焼成
炉1内において多段に積層され、この配置状態で複数の
成形体4は一括して所定温度で焼結される。焼結操作
は、窒素ガスなどの非酸化性雰囲気で成形体を温度17
00〜2000℃に2〜10時間程度加熱して実施され
る。焼結雰囲気は、窒素ガス、または窒素ガスを含む還
元性雰囲気で行なう。還元性ガスとしてはH2 ガス、C
Oガスを使用してもよい。なお、焼結は真空(僅かな還
元雰囲気を含む)、減圧、加圧および常圧を含む雰囲気
で行なってもよい。焼結温度が1750℃未満と低温状
態で焼成すると、原料粉末の粒径、含有酸素量によって
異なるが、緻密な焼結体が得にくい一方、2000℃よ
り高温度で焼成すると、焼成炉内におけるAlN自体の
蒸気圧が高くなり緻密化が困難になるおそれがあるた
め、焼結温度は上記範囲に設定される。
【0032】上記焼結操作において緻密な焼結体を得る
ためにも、また焼結体の熱伝導率を向上させるために
も、ある程度の焼結助剤の添加は必要である。しかしな
がら、焼結助剤はAlNや不純物酸素と反応してAl5
3 12,AlYO3 ,Al2 4 9 などの酸化物を
形成して粒界相に析出する。これら粒界相の酸化物は熱
伝導を妨げる作用を有することが確認されている。
【0033】しかるに本願発明方法のように焼成容器内
に所定量の黒鉛を含有させておくことにより、高温焼結
時に黒鉛から発生した炭素蒸気によって上記不純物酸素
が還元されてCOとなって成形体外部に放出除去され
る。また炭素蒸気は窒素とともに上記酸化物を還元窒化
してAlNと窒化イットリウム(YN)とする。このYN
はAlN焼結体表面に被膜状に形成されるが、このYN
被膜は加水分解により焼結体表面から容易に除去するこ
とができる。上記還元窒化反応は主として焼結体表面で
進行すると考えられるが焼結体内での物質拡散が進むに
連れて焼結体全体から粒界相が徐々に除去され、熱抵抗
が少ないAlNセラミックス焼結体が得られる。
【0034】上記製法によって製造された窒化アルミニ
ウム焼結体は多結晶体として非常に高い200w/m・
k(25℃)以上の熱伝導率を有し、高強度で変形や色
むらはいずれも少ない。
【0035】
【作用】上記構成に係るセラミックス焼結体の製造方法
および焼成容器によれば、焼結時に使用する焼成容器中
に所定量の黒鉛が還元用炭素源として含有されており、
この黒鉛が高温焼結時に部分的に気化して炭素蒸気とな
り、成形体表面およびその近傍に存在する不純物酸素と
化合し成形体が脱酸される一方、粒界相に形成された酸
化物が上記炭素蒸気によって還元され焼結体から粒界相
が低減除去される。したがって焼結体中に熱伝導の妨げ
となる酸化物の生成または残留が少なく高い熱伝導率を
有するセラミックス焼結体が得られる。
【0036】また上記成形体の脱酸および酸化物還元に
必要な炭素量は、焼成容器中における黒鉛の含有量を調
整することによって容易に制御することが可能であり、
従来のように過大な残留炭素による焼結体の変形、色む
らの発生、焼結性および熱伝導率の低下という問題およ
び過少な残留炭素による脱酸不充分に起因する熱伝導率
の低迷という問題が解消され、高品質のセラミックス焼
結体が得られる。
【0037】
【実施例】次に下記の実施例を参照して本発明に係るセ
ラミックス焼結体の製造方法および焼成容器による効果
をより具体的に説明する。
【0038】実施例1〜4 不純物として酸素を1.0重量%含有し、平均粒径1.
5μmの窒化アルミニウム粉末に対して、焼結助剤とし
てのY2 3 (酸化イットリウム)を5重量%添加し、
エチルアルコール中で30時間湿式混合した後に乾燥し
て原料粉末混合体を調製した。次に乾燥して得た原料粉
末混合体をプレス成形機の成形用金型内に充填して12
00kg/cm2 の加圧力にて圧縮成形して円板状放熱板の
成形体を多数調製し、引き続き各成形体を空気中で温度
375℃で2時間加熱して脱脂処理した。
【0039】一方、表1の左欄に示すように平均粒径が
1.5μmのAlN粉末またはBN粉末に、平均粒径
0.3μmの黒鉛粉末(灰分量0.01重量%以下)C
を、それぞれ5〜20重量%の範囲でそれぞれ添加し、
さらに焼結助剤として4重量%のY2 3 とを添加して
焼成容器用原料混合体を調製し、この原料混合体をプレ
ス成形して焼成容器素体を形成した。この焼成容器素体
としては、外径150mm、軸方向長さ30mm、肉厚4mm
の環状本体と、この本体に被せる直径150mm、肉厚6
mmの蓋体とを作成した。そして各焼成容器素体を400
℃で2時間加熱して脱脂処理した後に、AlN製容器中
に収容してN2 雰囲気中で1850℃で2時間加熱処理
した。さらにその後、容器素体をカーボン容器に収納し
てN2 雰囲気中で1850℃で48時間加熱処理し、室
温まで冷却後、焼結体表面に析出したYNを洗い流すこ
とにより、実施例1〜4の焼結体を形成するための4種
類の焼成容器3aを調製した。
【0040】次に前記工程で脱脂処理した製品用成形体
を、図2に示すように2個ずつまとめて同一種類の焼成
容器3a内に収容し、この4個の焼成容器3aをN2
スを封入した焼成炉内に2段に積層配置した。各焼結回
分処理毎に同一種類の焼成容器3aを使用した。そして
焼成炉1内の温度を1815℃まで高めた状態で4時間
保持し、緻密化焼結を実施し、それぞれ直径100mm、
厚さ3.0mmである実施例1〜4に係るAlNセラミッ
クス焼結体を8個ずつ調製した。
【0041】比較例1 一方、黒鉛を焼成容器中に含有させず、AlNのみから
成る焼成容器を使用した点以外は実施例1と同一条件で
焼結処理して同一寸法を有する比較例1に係るAlNセ
ラミックス焼結体を調製した。
【0042】比較例2 また、黒鉛を焼成容器中に含有させず、BNのみから成
る焼成容器を使用した以外は実施例4と同一条件で焼結
処理して同一寸法を有する比較例2に係るAlNセラミ
ックス焼結体を調製した。
【0043】比較例3 さらに黒鉛を30重量%と過量に含有させたAlN系の
焼成容器を使用した以外は実施例3と同一条件で処理し
て同一寸法の比較例3に係るセラミックス焼結体を調製
した。
【0044】そして得られた実施例1〜4および比較例
1〜3に係る各AlNセラミックス焼結体の特性を評価
するため、その変形量の大小、色むら発生の有無、焼結
密度および熱伝導率を測定し、下記表1右欄に示す結果
を得た。
【0045】
【表1】
【0046】表1に示す結果から明らかなように、実施
例1〜4に係るセラミックス焼結体においては、比較例
1〜2と比較して焼成容器中に適量の黒鉛が炭素源とし
て添加されており、この黒鉛が高温焼結時において還元
作用を発揮して脱脂体表面部の不純物酸素および酸化物
を効果的に除去する脱酸作用が進行するため、変形や色
むらの発生が少なく、高密度(高強度)で高熱伝導度を
有する放熱性の高い焼結体が得られた。
【0047】一方、比較例1および2のように黒鉛を焼
成容器中に含有させない場合には、変形、色むらの発生
は少ないものの、炭素による成形体の脱酸作用が働かな
いため、成形体内に残留する不純物酸素によって結晶粒
界に酸化物相が形成されて熱伝導率が低下してしまっ
た。
【0048】また比較例3のように焼成容器中への黒鉛
の添加量を過大に設定した場合、焼結体表面部に余剰の
炭素分が残留し易くなり、焼結体の変形や色むらが顕著
になり、焼結性が低下して強度および熱伝導率も低下し
た。
【0049】なお、以上説明した実施例においては、焼
結体の量産性を改善するために、複数の成形体を収容し
た焼成容器を焼成炉内に多段に積層配置した状態で一括
して焼結処理した例で示しているが、大型の成形体の場
合には1個の成形体を、黒鉛を含有する焼成容器内に収
容して焼結しても同様な効果が得られる。
【0050】しかしながら本発明方法において黒鉛によ
る不純物酸素および酸化物の還元除去反応は主として成
形体の表面で進行し、物質拡散が遅いときは緩速に反応
が進行するため、大型成形体の場合には中心部まで充分
に脱酸還元作用が進行しないおそれがある。したがって
本発明方法は特に厚さが小さい平板状のいわゆる薄物焼
結体の製法として極めて有効である。
【0051】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係るセラミック
ス焼結体の製造方法および焼成容器によれば、焼成容器
中に所定量の黒鉛が含有されており、この黒鉛が高温度
の焼結時に部分的に気化し成形体表面およびその近傍に
存在する不純物酸素と化合し成形体が脱酸される一方、
粒界相に形成された酸化物が上記黒鉛から気化した炭素
蒸気によって還元され焼結体から粒界相が低減除去され
る。したがって焼結体中に熱伝導の妨げとなる酸化物の
生成または残留が少なく高い熱伝導率を有するセラミッ
クス焼結体が得られる。
【0052】また上記成形体の脱酸および酸化物還元に
必要な炭素量は、焼成容器中における黒鉛の含有量を調
整することによって容易に制御することが可能であり、
従来のように過大な残留炭素による焼結体の変形、色む
らの発生、焼結性および熱伝導率の低下という問題およ
び過少な残留炭素による脱酸不充分に起因する熱伝導率
の低迷という問題が解消され、高品質のセラミックス焼
結体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱脂体中の残留カーボン量に対する焼結体の熱
伝導率、焼結性、変形量、色むらの程度の変化を示すグ
ラフ。
【図2】焼成容器内に複数の成形体を収容し同時に焼成
する状態を示す焼成炉の断面図。
【符号の説明】
1 焼成炉 2 炉床 3,3a 焼成容器 4 成形体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウムを主成分とするセラミ
    ックス成形体を、窒化アルミニウムおよび窒化硼素の少
    なくとも一方を主成分とし黒鉛を従成分とする焼成容器
    内に収容した状態で非酸化雰囲気中で焼結することを特
    徴とするセラミックス焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 焼成容器の黒鉛含有量を5〜20重量%
    に設定することを特徴とする請求項1記載のセラミック
    ス焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 窒化アルミニウムおよび窒化硼素の少な
    くとも一方を主成分とし、5〜20重量%の黒鉛を従成
    分として含有する焼結体で形成したことを特徴とする焼
    成容器。
JP4035246A 1992-02-21 1992-02-21 セラミックス焼結体の製造方法およびその製法において使用する焼成容器 Pending JPH05238832A (ja)

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