JPH05228515A - エロンゲータ用プラグおよびエロンゲータ圧延方法 - Google Patents
エロンゲータ用プラグおよびエロンゲータ圧延方法Info
- Publication number
- JPH05228515A JPH05228515A JP7236292A JP7236292A JPH05228515A JP H05228515 A JPH05228515 A JP H05228515A JP 7236292 A JP7236292 A JP 7236292A JP 7236292 A JP7236292 A JP 7236292A JP H05228515 A JPH05228515 A JP H05228515A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- plug
- elongator
- rolling
- scale
- lubricant
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Lubricants (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 エロンゲータ圧延で、管内面に潤滑剤を供給
した場合のプラグ寿命を延長する。圧延管の内面肌を良
くする。 【構成】 プラグ10の表面の、少なくとも損傷が生じ
る領域に、強化層11を形成する。強化層11は、11
00℃での圧縮変形抵抗が22kgf/mm2 以上のF
e基合金、Ni基合金またはCo基合金とする。強化層
11の深さは、4mm以上とする。
した場合のプラグ寿命を延長する。圧延管の内面肌を良
くする。 【構成】 プラグ10の表面の、少なくとも損傷が生じ
る領域に、強化層11を形成する。強化層11は、11
00℃での圧縮変形抵抗が22kgf/mm2 以上のF
e基合金、Ni基合金またはCo基合金とする。強化層
11の深さは、4mm以上とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マンネスマン方式によ
る熱間継目無管の製造に使用されるエロンゲータ用プラ
グ、およびこれを使用したエロンゲータ圧延方法に関す
る。
る熱間継目無管の製造に使用されるエロンゲータ用プラ
グ、およびこれを使用したエロンゲータ圧延方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱間で継目無管を製造する方法の一つと
して、マンネスマン・プラグミル方式がある。この方式
では、まず、加熱炉で所定温度に加熱されたビレットま
たはブルームをピアサで孔あけして中空管となす。次い
で、これを第2ピアサと通称されるエロンゲータで延伸
圧延し、更に、プラグミル、リーラー、サイザーの各ミ
ルで所定の肉厚および外径に仕上げる。
して、マンネスマン・プラグミル方式がある。この方式
では、まず、加熱炉で所定温度に加熱されたビレットま
たはブルームをピアサで孔あけして中空管となす。次い
で、これを第2ピアサと通称されるエロンゲータで延伸
圧延し、更に、プラグミル、リーラー、サイザーの各ミ
ルで所定の肉厚および外径に仕上げる。
【0003】これらの工程のうち、エロンゲータによる
延伸圧延では、図3に示すように、互いに反対方向に傾
斜した状態で同一方向に回転するロール20,20と、
ロール20,20間にマンドレル30にて支持されたプ
ラグ10の間で、中空管40が回転されながら減肉され
る。このとき、管内面に肌荒れが生じるが、その肌荒れ
は、エロンゲータ以後のプラグミルやリーラー、サイザ
ーによってかなり修正されるので、品質上の問題になる
ことは殆どなかった。そのため、エロンゲータでは、潤
滑剤等は特に使用せずに延伸圧延を行うのが通例とさ
れ、その際の技術的な課題は、もっぱら、材料とプラグ
の焼付防止およびプラグ寿命の向上の2点にあった。
延伸圧延では、図3に示すように、互いに反対方向に傾
斜した状態で同一方向に回転するロール20,20と、
ロール20,20間にマンドレル30にて支持されたプ
ラグ10の間で、中空管40が回転されながら減肉され
る。このとき、管内面に肌荒れが生じるが、その肌荒れ
は、エロンゲータ以後のプラグミルやリーラー、サイザ
ーによってかなり修正されるので、品質上の問題になる
ことは殆どなかった。そのため、エロンゲータでは、潤
滑剤等は特に使用せずに延伸圧延を行うのが通例とさ
れ、その際の技術的な課題は、もっぱら、材料とプラグ
の焼付防止およびプラグ寿命の向上の2点にあった。
【0004】エロンゲータでのかかる課題を解決するた
めに、以前から、プラグの改善は種々行われている。例
えば、特開昭60−86262号公報に示されるよう
な、3Cr−1Ni鋼等の低合金鋼からなるプラグの表
面に、熱処理によって酸化スケールを生成させる技術
は、とりわけ効果的で、広く実用化されている。このよ
うなスケール生成プラグを使用した場合、プラグ表面に
元々あるスケールと、圧延中に材料内面から移着して堆
積した所謂ビルドアップスケールとの断熱および潤滑作
用により、圧延中の材料とプラグの焼付きが防止される
と共に、プラグ表層部の温度上昇が抑制され、例えば、
炭素鋼を圧延する場合、高温変形によってプラグが再使
用できなくなるまでに100本近くの圧延が可能であっ
た。
めに、以前から、プラグの改善は種々行われている。例
えば、特開昭60−86262号公報に示されるよう
な、3Cr−1Ni鋼等の低合金鋼からなるプラグの表
面に、熱処理によって酸化スケールを生成させる技術
は、とりわけ効果的で、広く実用化されている。このよ
うなスケール生成プラグを使用した場合、プラグ表面に
元々あるスケールと、圧延中に材料内面から移着して堆
積した所謂ビルドアップスケールとの断熱および潤滑作
用により、圧延中の材料とプラグの焼付きが防止される
と共に、プラグ表層部の温度上昇が抑制され、例えば、
炭素鋼を圧延する場合、高温変形によってプラグが再使
用できなくなるまでに100本近くの圧延が可能であっ
た。
【0005】なお、スケールによる潤滑性改善以外の技
術では、プラグの表面にサーメット層を形成するものが
特開平2−89507号公報に、また、プラグ基材とモ
リブデン表層との間にセラミックス中間層を介在させる
ものが特開平3−106504号公報にそれぞれ開示さ
れている。しかし、スケールによらない潤滑性改善技術
は、あるものは焼付きを生じ、またあるものは表面処理
層が剥離するなどの問題があり、総合的な性能では、適
正材質のプラグ表面に、熱処理によってスケール皮膜を
形成したエロンゲータ用プラグが、最高とされている。
術では、プラグの表面にサーメット層を形成するものが
特開平2−89507号公報に、また、プラグ基材とモ
リブデン表層との間にセラミックス中間層を介在させる
ものが特開平3−106504号公報にそれぞれ開示さ
れている。しかし、スケールによらない潤滑性改善技術
は、あるものは焼付きを生じ、またあるものは表面処理
層が剥離するなどの問題があり、総合的な性能では、適
正材質のプラグ表面に、熱処理によってスケール皮膜を
形成したエロンゲータ用プラグが、最高とされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
熱間継目無管の内面品質に対する要求が厳しくなり、プ
ラグ表面に生成させたスケールによる潤滑だけでは、製
品内面肌を要求されるレベルに到達させるのが困難にな
ってきた。そのため、ピアサで孔あけして得た中空管の
内面に潤滑剤を供給し、エロンゲータによる延伸圧延で
も、潤滑剤による強制潤滑が頻繁に行われるようになっ
た。
熱間継目無管の内面品質に対する要求が厳しくなり、プ
ラグ表面に生成させたスケールによる潤滑だけでは、製
品内面肌を要求されるレベルに到達させるのが困難にな
ってきた。そのため、ピアサで孔あけして得た中空管の
内面に潤滑剤を供給し、エロンゲータによる延伸圧延で
も、潤滑剤による強制潤滑が頻繁に行われるようになっ
た。
【0007】エロンゲータ圧延に潤滑剤を使用すると、
材料とプラグ間の潤滑性は、確実に向上する。しかし、
そのプラグが表面にスケールを生成させたものである
と、材料からのスケール移着・堆積が生じ難くなる上
に、プラグ自体のスケールの消耗も早くなり、スケール
による断熱作用が低下する。その結果、図4に示すよう
なしわ状の変形(図では誇張されている)がプラグ表面
に生じて、プラグが早期に使用不可となり、潤滑剤を使
用しない場合よりも、むしろプラグ寿命が低下する。従
って、製品の内面肌は良くなるものも、製管コストが上
昇し、製管能率の低も招く。
材料とプラグ間の潤滑性は、確実に向上する。しかし、
そのプラグが表面にスケールを生成させたものである
と、材料からのスケール移着・堆積が生じ難くなる上
に、プラグ自体のスケールの消耗も早くなり、スケール
による断熱作用が低下する。その結果、図4に示すよう
なしわ状の変形(図では誇張されている)がプラグ表面
に生じて、プラグが早期に使用不可となり、潤滑剤を使
用しない場合よりも、むしろプラグ寿命が低下する。従
って、製品の内面肌は良くなるものも、製管コストが上
昇し、製管能率の低も招く。
【0008】本発明の目的は、外部から潤滑剤を供給さ
れる状況下で長寿命を有し、且つ圧延後の管内面肌を従
来より更に改善できるエロンゲータ用プラグを提供する
ことにある。本発明の他の目的は、内面肌の特に優れた
熱間継目無管を製造し、且つ、従来よりも大幅にプラグ
寿命を向上させることができるエロンゲータ圧延方法を
提供することにある。
れる状況下で長寿命を有し、且つ圧延後の管内面肌を従
来より更に改善できるエロンゲータ用プラグを提供する
ことにある。本発明の他の目的は、内面肌の特に優れた
熱間継目無管を製造し、且つ、従来よりも大幅にプラグ
寿命を向上させることができるエロンゲータ圧延方法を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、外部から
潤滑剤を供給してエロンゲータ圧延を行う場合のプラグ
寿命を向上させるために、種々の実験を行ない、そのデ
ータを解析した結果、以下のことが明らかとなった。
潤滑剤を供給してエロンゲータ圧延を行う場合のプラグ
寿命を向上させるために、種々の実験を行ない、そのデ
ータを解析した結果、以下のことが明らかとなった。
【0010】潤滑剤を使用せずに圧延する場合には、こ
れまでのように、優れた性能を有するスケールをプラグ
表面に形成させておかないと、すぐに焼付きを生じてプ
ラグが使用できなくなるが、管内面を潤滑している場合
には、プラグそのものの潤滑はそれほど重要でない。但
し、プラグ温度は従来よりも高くなるため、プラグを長
寿命化するためには、従来プラグよりも高温強度を高く
する必要がある。通常、エロンゲータにおける管内面温
度は1050℃から1200℃程度であり、この温度域
で一定値以上の高温強度を有する合金でプラグ表面層を
強化すれば、管内面を潤滑しながらエロンゲータ圧延を
する際のプラグ寿命が大幅に向上する。そして、更に注
目すべき事実は、表面にスケールを生成させたプラグを
使用する場合に、潤滑剤を使用すれば、圧延後の管内面
肌はかなり良くなるが、ここでスケールを取り除けば、
管内面肌が更によくなるということである。これは次の
ように推察される。
れまでのように、優れた性能を有するスケールをプラグ
表面に形成させておかないと、すぐに焼付きを生じてプ
ラグが使用できなくなるが、管内面を潤滑している場合
には、プラグそのものの潤滑はそれほど重要でない。但
し、プラグ温度は従来よりも高くなるため、プラグを長
寿命化するためには、従来プラグよりも高温強度を高く
する必要がある。通常、エロンゲータにおける管内面温
度は1050℃から1200℃程度であり、この温度域
で一定値以上の高温強度を有する合金でプラグ表面層を
強化すれば、管内面を潤滑しながらエロンゲータ圧延を
する際のプラグ寿命が大幅に向上する。そして、更に注
目すべき事実は、表面にスケールを生成させたプラグを
使用する場合に、潤滑剤を使用すれば、圧延後の管内面
肌はかなり良くなるが、ここでスケールを取り除けば、
管内面肌が更によくなるということである。これは次の
ように推察される。
【0011】即ち、従来のプラグにおける熱処理生成ス
ケールは、通常100〜300μmの厚みを有してお
り、潤滑剤を用いて圧延する際にもスケールが不均一に
摩耗してプラグ表面に凹凸が形成され、この凹凸がプリ
ントされて管内面肌を多少なりとも悪化させることにな
る。これに対し、本発明のようにその表面層を強化した
プラグでは、その表層部の不均一摩耗による凹凸が生じ
難いために良好な管内面肌が得られるものと推察され
る。
ケールは、通常100〜300μmの厚みを有してお
り、潤滑剤を用いて圧延する際にもスケールが不均一に
摩耗してプラグ表面に凹凸が形成され、この凹凸がプリ
ントされて管内面肌を多少なりとも悪化させることにな
る。これに対し、本発明のようにその表面層を強化した
プラグでは、その表層部の不均一摩耗による凹凸が生じ
難いために良好な管内面肌が得られるものと推察され
る。
【0012】本発明のエロンゲータ用プラグは、かかる
知見に基づいて開発されたもので、表面の少なくとも損
傷が生じる領域に、表面からの深さが4mm以上で、1
100℃における圧縮変形抵抗が22kgf/mm2 以
上のFe基、Ni基またはCo基の合金からなる強化層
が形成されてなる点を特徴とする。
知見に基づいて開発されたもので、表面の少なくとも損
傷が生じる領域に、表面からの深さが4mm以上で、1
100℃における圧縮変形抵抗が22kgf/mm2 以
上のFe基、Ni基またはCo基の合金からなる強化層
が形成されてなる点を特徴とする。
【0013】また、本発明のエロンゲータ圧延方法は、
加熱された中実ビレットまたはブルームをピアサで穿孔
して得た中空管の内面に潤滑剤を供給し、その供給後直
ちに、請求項1に記載のプラグを使用してエロンゲータ
圧延を行う点を特徴とする。
加熱された中実ビレットまたはブルームをピアサで穿孔
して得た中空管の内面に潤滑剤を供給し、その供給後直
ちに、請求項1に記載のプラグを使用してエロンゲータ
圧延を行う点を特徴とする。
【0014】
【作用】本発明のエロンゲータ用プラグは、基本的に
は、表面にスケールを有しないので、高温強度を必要と
する。1100℃における高温圧縮試験の値で代表する
と、圧縮変形抵抗(ここでは歪速度約1/sで圧縮した
際の真歪0.2における真応力とする)が22kg/mm
2 以上のFe基合金、Ni基合金またはCo基合金でプ
ラグ表層を強化することにより“しわ”または“波打
ち”といったプラグの表面損傷が生じ難くなり、結果と
してプラグの長寿命化を図ることができる。高温強度の
上限は特に規定するものではないが、高温強度の高い合
金ほど靱性や耐熱衝撃性が低く、エロンゲータ圧延中ま
たは圧延後の水冷時に割れを生じ易いため、前記変形抵
抗を35kgf/mm2 程度までにとどめておくほうが
良い。
は、表面にスケールを有しないので、高温強度を必要と
する。1100℃における高温圧縮試験の値で代表する
と、圧縮変形抵抗(ここでは歪速度約1/sで圧縮した
際の真歪0.2における真応力とする)が22kg/mm
2 以上のFe基合金、Ni基合金またはCo基合金でプ
ラグ表層を強化することにより“しわ”または“波打
ち”といったプラグの表面損傷が生じ難くなり、結果と
してプラグの長寿命化を図ることができる。高温強度の
上限は特に規定するものではないが、高温強度の高い合
金ほど靱性や耐熱衝撃性が低く、エロンゲータ圧延中ま
たは圧延後の水冷時に割れを生じ易いため、前記変形抵
抗を35kgf/mm2 程度までにとどめておくほうが
良い。
【0015】強化層の厚みは、4mm未満では表面層強
化の効果が十分でなく、早期にプラグ損傷が生じる。強
化層の厚みの上限は特に規定するものではなく、極端な
場合、プラグ全体を前記合金としても良いが、これらの
合金は高価なものであるから、経済性をも考慮するとプ
ラグ表面から50mm程度までを強化層とすることが好
ましい。その際のプラグ本体は、必要に応じて高合金
鋼、耐熱鋼などを使用しても良いが、通常は炭素鋼や低
合金鋼でも十分な効果を発揮することができる。
化の効果が十分でなく、早期にプラグ損傷が生じる。強
化層の厚みの上限は特に規定するものではなく、極端な
場合、プラグ全体を前記合金としても良いが、これらの
合金は高価なものであるから、経済性をも考慮するとプ
ラグ表面から50mm程度までを強化層とすることが好
ましい。その際のプラグ本体は、必要に応じて高合金
鋼、耐熱鋼などを使用しても良いが、通常は炭素鋼や低
合金鋼でも十分な効果を発揮することができる。
【0016】次に、強化層によるプラグ長手方向の強化
範囲を、図1および図2を参照して説明する。1はプラ
グ本体、2は表面強化層である。
範囲を、図1および図2を参照して説明する。1はプラ
グ本体、2は表面強化層である。
【0017】プラグの長手方向については、通常は、図
1のように管材と接触する表面全体を強化するが、必ず
しもその必要はなく、図2のように圧延中の負荷が高く
損傷が生じ易い領域のみを強化しても良い。その際、比
較的負荷が小さい部分でも、管材と接触して相対滑りが
生じる限り、焼付などの損傷が生じる危険性が全くない
とは言えないこと、また更に、負荷が小さい部分ではプ
ラグの表面スケールの不均一摩耗による凹凸が生じ難
く、管内面肌を劣化させるおそれがほとんどないことか
ら、非強化部の表面には、例えば従来プラグのように熱
処理によるスケール付けを行っておくことが好ましい。
また、強化層の表面も、管内面の潤滑状態によっては潤
滑切れを生じる危険性があるので、高温加熱等により多
少なりともスケール皮膜を形成させておくのが望ましい
が、そのスケール厚さが厚すぎる場合には前述したよう
にスケールの不均一摩耗が生じて管内面肌を悪化させる
ことになるから、スケール皮膜を形成させる場合は、そ
の厚みを10μm以下とするのが望ましい。
1のように管材と接触する表面全体を強化するが、必ず
しもその必要はなく、図2のように圧延中の負荷が高く
損傷が生じ易い領域のみを強化しても良い。その際、比
較的負荷が小さい部分でも、管材と接触して相対滑りが
生じる限り、焼付などの損傷が生じる危険性が全くない
とは言えないこと、また更に、負荷が小さい部分ではプ
ラグの表面スケールの不均一摩耗による凹凸が生じ難
く、管内面肌を劣化させるおそれがほとんどないことか
ら、非強化部の表面には、例えば従来プラグのように熱
処理によるスケール付けを行っておくことが好ましい。
また、強化層の表面も、管内面の潤滑状態によっては潤
滑切れを生じる危険性があるので、高温加熱等により多
少なりともスケール皮膜を形成させておくのが望ましい
が、そのスケール厚さが厚すぎる場合には前述したよう
にスケールの不均一摩耗が生じて管内面肌を悪化させる
ことになるから、スケール皮膜を形成させる場合は、そ
の厚みを10μm以下とするのが望ましい。
【0018】強化層を構成するFe基合金としては、具
体的には、高Cr−高Mn鋼(例えばFe−0.3C−1
5Cr−15Mn−Mo,V)、高Cr−高Ni−高C
o鋼(例えばFe−20Cr−20Ni−20Co−M
o,W)等を挙げることができる。また、Ni基合金、
Co基合金としては、Ni−Cr−Fe系合金やNi−
Fe−Mo系合金(例えばNi−15Cr−16Mo−
WやNi−20Fe−20Mo)、Co−Cr−Mo系
合金(例えばCo−0.2C−27Cr−5Mo)等を挙
げることができる。
体的には、高Cr−高Mn鋼(例えばFe−0.3C−1
5Cr−15Mn−Mo,V)、高Cr−高Ni−高C
o鋼(例えばFe−20Cr−20Ni−20Co−M
o,W)等を挙げることができる。また、Ni基合金、
Co基合金としては、Ni−Cr−Fe系合金やNi−
Fe−Mo系合金(例えばNi−15Cr−16Mo−
WやNi−20Fe−20Mo)、Co−Cr−Mo系
合金(例えばCo−0.2C−27Cr−5Mo)等を挙
げることができる。
【0019】強化層の形成方法は特に限定するものでは
なく、例えば溶接肉盛りする方法、遠心鋳造によって強
化層を凝固させた後にプラグ本体となる内層を鋳込む方
法、プラグ本体と強化層を別々に作製した後に両者を接
着・焼きばめなどにより接合する方法等があり、いずれ
を用いても良い。
なく、例えば溶接肉盛りする方法、遠心鋳造によって強
化層を凝固させた後にプラグ本体となる内層を鋳込む方
法、プラグ本体と強化層を別々に作製した後に両者を接
着・焼きばめなどにより接合する方法等があり、いずれ
を用いても良い。
【0020】本発明のエロンゲータ圧延方法は、潤滑剤
を使用し、且つ、本発明の強化プラグを使用することに
より、スケール生成プラグに潤滑剤を組み合わせた場合
よりも、内面肌の優れた熱間継目無管が製造でき、しか
も、プラグ寿命を大幅に延長する。
を使用し、且つ、本発明の強化プラグを使用することに
より、スケール生成プラグに潤滑剤を組み合わせた場合
よりも、内面肌の優れた熱間継目無管が製造でき、しか
も、プラグ寿命を大幅に延長する。
【0021】ここで使用する潤滑剤としては、潤滑成分
が50〜90重量%のカルシウム化合物と、10〜50
重量%の黒鉛とからなるものが良い(特願平3−262
974)。この潤滑剤は、潤滑成分が黒鉛単体の潤滑剤
と同程度の潤滑性能を有し、しかも、被圧延材の潤滑面
に浸炭層などの有害層を発生させない。カルシウム化合
物としては、炭酸カルシュウム、水酸化カルシウム、酸
化カルシウム等を挙げることができ、これらを単独また
は複合で使用することができる。
が50〜90重量%のカルシウム化合物と、10〜50
重量%の黒鉛とからなるものが良い(特願平3−262
974)。この潤滑剤は、潤滑成分が黒鉛単体の潤滑剤
と同程度の潤滑性能を有し、しかも、被圧延材の潤滑面
に浸炭層などの有害層を発生させない。カルシウム化合
物としては、炭酸カルシュウム、水酸化カルシウム、酸
化カルシウム等を挙げることができ、これらを単独また
は複合で使用することができる。
【0022】潤滑剤の供給直後にエロンゲータ圧延を開
始するのは、高温の管内面に付着した潤滑剤が変質する
のを防ぐためで、例えば黒鉛を含む潤滑剤を用いる場
合、これを管内に供給後長時間放置すると、黒鉛が酸化
・消耗してしまって潤滑性が劣化あるいは消失してしま
うからである。
始するのは、高温の管内面に付着した潤滑剤が変質する
のを防ぐためで、例えば黒鉛を含む潤滑剤を用いる場
合、これを管内に供給後長時間放置すると、黒鉛が酸化
・消耗してしまって潤滑性が劣化あるいは消失してしま
うからである。
【0023】
【実施例】表1に示す化学組成の炭素鋼、Cr−Mo鋼
からなる中実ビレットを所定穿孔温度に加熱した後、ピ
アサで穿孔して、外径235mm×肉厚43.2×長さ5
mの中空管とした。得られた中空管の一方の管端から高
圧水を注入して管内面をデスケールした後、直ちに、そ
の管内面に窒素ガスの噴射によって表2に示す組成の潤
滑剤を供給し、その後、種々のプラグを使用して速やか
にエロンゲータによる延伸圧延を行った。延伸圧延比は
2.0であり、圧延後の管寸法は外径250mm×肉厚1
7.8mm×長さ10mである。使用したプラグの材質と
プラグ寿命の調査結果を表3および表4に示す。プラグ
寿命は、3Cr−1Niの低合金鋼からなるプラグの表
面に酸化スケールを生成させた従来プラグの寿命を1と
したときの寿命比で表わした。
からなる中実ビレットを所定穿孔温度に加熱した後、ピ
アサで穿孔して、外径235mm×肉厚43.2×長さ5
mの中空管とした。得られた中空管の一方の管端から高
圧水を注入して管内面をデスケールした後、直ちに、そ
の管内面に窒素ガスの噴射によって表2に示す組成の潤
滑剤を供給し、その後、種々のプラグを使用して速やか
にエロンゲータによる延伸圧延を行った。延伸圧延比は
2.0であり、圧延後の管寸法は外径250mm×肉厚1
7.8mm×長さ10mである。使用したプラグの材質と
プラグ寿命の調査結果を表3および表4に示す。プラグ
寿命は、3Cr−1Niの低合金鋼からなるプラグの表
面に酸化スケールを生成させた従来プラグの寿命を1と
したときの寿命比で表わした。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】従来例9のプラグに比べ、本発明例1〜8
のプラグは、優れた寿命を有していることがわかる。こ
れに対し、表面強化層の高温強度が本発明範囲に満たな
い比較例10のプラグ、表面強化層の厚みが本発明範囲
に満たない比較例11のプラグでは、プラグ寿命の大幅
な改善はみられず、かえってプラグコストの高騰を招
く。
のプラグは、優れた寿命を有していることがわかる。こ
れに対し、表面強化層の高温強度が本発明範囲に満たな
い比較例10のプラグ、表面強化層の厚みが本発明範囲
に満たない比較例11のプラグでは、プラグ寿命の大幅
な改善はみられず、かえってプラグコストの高騰を招
く。
【0029】また、表3のNo. 5に示す表面肉盛強化プ
ラグ(ただし強化層の厚みは10mm)を使用して得た
炭素鋼圧延管の内面粗さを測定したところ、Rmax3
3.5μmであった。これに対し、表3のNo. 9に示すス
ケール生成プラグを使用して得た炭素鋼圧延管の内面粗
さはRmax47.6μmであった。また、このスケール
生成プラグを潤滑剤なしで使用した場合の内面粗さはR
max78.1μmであった。結果を表5に整理して示
す。表5から明らかなように、スケール生成プラグに潤
滑剤を組み合わせても、圧延管の内面肌品質は向上する
が、スケールのない本発明プラグのほうが内面肌は更に
良好となる。
ラグ(ただし強化層の厚みは10mm)を使用して得た
炭素鋼圧延管の内面粗さを測定したところ、Rmax3
3.5μmであった。これに対し、表3のNo. 9に示すス
ケール生成プラグを使用して得た炭素鋼圧延管の内面粗
さはRmax47.6μmであった。また、このスケール
生成プラグを潤滑剤なしで使用した場合の内面粗さはR
max78.1μmであった。結果を表5に整理して示
す。表5から明らかなように、スケール生成プラグに潤
滑剤を組み合わせても、圧延管の内面肌品質は向上する
が、スケールのない本発明プラグのほうが内面肌は更に
良好となる。
【0030】
【表5】
【0031】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のエロンゲータ用プラグおよびエロンゲータ圧延方法に
よれば、内面潤滑剤を使用した場合のプラグ寿命が著し
く向上し、製管コストの低減および製管能率の向上が達
成される。同時に圧延管の内面肌が良くなり、製品の品
質が向上する。
のエロンゲータ用プラグおよびエロンゲータ圧延方法に
よれば、内面潤滑剤を使用した場合のプラグ寿命が著し
く向上し、製管コストの低減および製管能率の向上が達
成される。同時に圧延管の内面肌が良くなり、製品の品
質が向上する。
【図1】本発明のエロンゲータ用プラグの構造例を示す
縦断側面図である。
縦断側面図である。
【図2】他のプラグ構造を示す縦断側面図である。
【図3】エロンゲータ圧延を説明するための模式図であ
る。
る。
【図4】従来プラグで問題となる表面変形の説明図であ
る。
る。
10 プラグ 11 プラグ本体 12 表面強化層
Claims (2)
- 【請求項1】 表面の少なくとも損傷が生じる領域に、
表面からの深さが4mm以上で、1100℃における圧
縮変形抵抗が22kgf/mm2 以上のFe基、Ni基
またはCo基の合金からなる強化層が形成されてなるエ
ロンゲータ用プラグ。 - 【請求項2】 加熱された中実ビレットまたはブルーム
をピアサで穿孔して得た中空管の内面に潤滑剤を供給
し、その供給後直ちに、請求項1に記載のプラグを使用
してエロンゲータ圧延を行うことを特徴とするエロンゲ
ータ圧延方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7236292A JPH05228515A (ja) | 1992-02-20 | 1992-02-20 | エロンゲータ用プラグおよびエロンゲータ圧延方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7236292A JPH05228515A (ja) | 1992-02-20 | 1992-02-20 | エロンゲータ用プラグおよびエロンゲータ圧延方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05228515A true JPH05228515A (ja) | 1993-09-07 |
Family
ID=13487132
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7236292A Pending JPH05228515A (ja) | 1992-02-20 | 1992-02-20 | エロンゲータ用プラグおよびエロンゲータ圧延方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05228515A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07136703A (ja) * | 1993-11-17 | 1995-05-30 | Nippon Steel Corp | シームレスパイプ圧延方法 |
-
1992
- 1992-02-20 JP JP7236292A patent/JPH05228515A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07136703A (ja) * | 1993-11-17 | 1995-05-30 | Nippon Steel Corp | シームレスパイプ圧延方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6073331A (en) | Method for manufacturing seamless pipe | |
JP4438960B2 (ja) | 継目無管の製造方法 | |
WO2014041787A1 (ja) | 継目無鋼管の圧延用プラグ、そのプラグの製造方法およびそのプラグを用いた継目無鋼管の製造方法 | |
WO1998029204A1 (fr) | Tampon filete et mandrin pour laminage de tube metallique sans soudure et procede de fabrication d'un tube metallique sans soudure | |
JP3228169B2 (ja) | 継目無金属管の穿孔圧延用プラグおよびこのプラグを用いた継目無金属管の製造方法 | |
JP2512984B2 (ja) | スプリング用継目無鋼管の製造方法 | |
JPH05228515A (ja) | エロンゲータ用プラグおよびエロンゲータ圧延方法 | |
JP4314884B2 (ja) | 熱間継目無管圧延用マンドレルバー | |
JPH10137818A (ja) | 継目無鋼管穿孔圧延用プラグ | |
JP5075575B2 (ja) | 高温加工用工具 | |
JPH03204106A (ja) | 熱間継目無管製造用プラグ | |
JP4388676B2 (ja) | 継目無管製造用工具及びその製造方法 | |
JP2001087805A (ja) | 超硬合金製複合スリーブ | |
JP4736773B2 (ja) | 継目無鋼管の製造方法 | |
JP2581154B2 (ja) | 鋼管穿孔機用プラグ | |
JP2591386B2 (ja) | 熱間圧延用潤滑剤およびその潤滑剤を使用した管内面潤滑方法 | |
JP3085149B2 (ja) | 継目無管製造用穿孔プラグ及び継目無管製造方法 | |
JP3067649B2 (ja) | 高合金継目無鋼管の管圧延方法 | |
JPH01180711A (ja) | 継目無鋼管製造用プラグ | |
JP3451990B2 (ja) | 継目無鋼管穿孔圧延用プラグ | |
JPH08309408A (ja) | 穿孔プラグ耐用度に優れた継目無管の製造方法 | |
JPH11197716A (ja) | 継目無鋼管製造用プラグミルプラグ | |
JPH0890015A (ja) | 継目無鋼管圧延用プラグの冷却方法 | |
JP2002047533A (ja) | 継目無管製造用工具及びその製造方法 | |
US6260396B1 (en) | 2-Roll piercing mill and method of producing hollow blocks from high alloy steels |