JPH0522817U - スクリユーグロメツト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スクリューグロメットに対する螺子桿の螺子
入れに際しての該スクリューグロメットの共回りを防止
すると共に、取付け穴縁に対するスクリューグロメット
の喰いつきを良好とする。 【構成】 合成樹脂製のスクリューグロメットＳの挿入
脚の断面形状を、横長断面形状、特に両側に円弧状部
４、４を有する横長断面形状とし、この横長断面の長軸
側の中心線又は、円弧状部４、４の頂端間を結ぶ線Ｌ−
Ｌより側方にずれた位置から該挿入脚１の周方向に向け
て突き出すように弾性係止片２を設け、この弾性係止片
２と鍔５との間で取付け穴Ｈの穴縁の挾持をなし得るよ
うに構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はスクリューグロメット、特に長穴用のスクリューグロメットの提供 に関し、スクリューの螺入時に共回りをせず、しかも板状部材の取付け穴に対す る喰いつきの良いスクリューグロメットの提供に関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車のボディパネル等の所謂板状物に他の物品を止着する手段として各種の スクリューグロメット類が用いられている。 この種のスクリューグロメットは通例第１の板状物に設けた取付け穴にスクリ ューグロメットを仮止め状態で挿入し、このスクリューグロメットの鍔上に組付 けるべき物品を載置した状態で、この載置物品を通して適宜の螺子桿をスクリュ ーグロメットに螺挿し、この載置物品の止着をなすと同時に、スクリューグロメ ットの脚部分を第１の板状物の取付け穴の穴縁に強く喰いつかせ、スクリューグ ロメットを本留め状態にして用いていた。

【０００３】 かゝるスクリューグロメットの典型例として、スクリューグロメットの挿入脚 を先細り状とし、この先細り状の挿入脚に係止凸起を隆起して設け、この係止凸 起とスクリューグロメットの鍔との間で第１の板状物に設けた取付け穴の穴縁を 仮留め状態で挾持する構成のものがある。 しかしながら、かゝる構成のスクリューグロメットでは、弾性変形の少ない係 止凸起を強く押圧変形させながら第１の板状物にある取付け穴に挿入する必要が あり、通例ハンマー等を用いて叩き入れて用いていた。 かゝる強い挿入力を取付けに際して必要とされるスクリューグロメットは、自 動車等の組立てラインの円滑な流れを阻害すると共に取付け部分に歪み出し等を もたらす不都合があった。

【０００４】 かゝる点からスクリューグロメットの挿入脚に、撓み易い係止片を設け、軽い 挿入力により挿入可能なスクリューグロメットの提供が試みられている。 図10は、この種のスクリューグロメットＳ’の典型例であって、第１の板状物 Ｐ−１に挿入したスクリューグロメットを挿入脚１の部分で断面した状態で第１ の板状物Ｐ−１の側を視たものである。

【０００５】 このスクリューグロメットは第１の板状物Ｐ−１に設けられている取付け穴Ｈ に密に挿入される形状、即ち水平断面が両側を円弧状部４とする横長断面形状を なす挿入脚１を有し、この挿入脚１を先細り状とし、しかも両側の円弧状部４部 分の長さ方向に弾性係止片２を設けた構成としてある。

【０００６】 かゝる従来のスクリューグロメットＳ’の弾性係止片２は、取付け穴Ｈに対す る軽い挿入力による容易な挿入と、挿入時に弾性係止片２と鍔との間で取付け穴 Ｈの穴縁を確実に挾持する意図で、挿入脚１の両側にある円弧状部４の側部方か ら円弧状部４の頂端間を結ぶ線Ｌ−Ｌよりも該円弧状部４の他方の側に向けてス リット３を設けて弾性係止片２を形成してある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、かゝる従来のスクリューグロメットＳ’は、挿入脚１の両側の 長さ方向にある円弧状部４の部分がスリット３によって挿入脚１の本体部分から 区分されていると共に、このスリット３で区分された弾性係止片２と鍔との間に 第１の板状物Ｐ−１の取付け穴Ｈの穴縁が入り込み係止されることから、このス クリューグロメットＳ’に矢印Ｙの方向に向けた捻りが付加された場合、スリッ ト３と弾性係止片２とが形成する幅ｍの遊びが、取付け穴Ｈの穴縁と、スクリュ ーグロメットＳ’の円弧状部４との間にもたらされる。

【０００８】 この結果、スクリューグロメットＳ’に螺子桿を螺挿して板状物等の止着作業 をなす場合に、この螺子桿の螺回方向に向けてスクリューグロメットＳ’が共回 りをする不都合があった。 又、スクリューグロメットＳ’に螺子桿を押し入れて、このスクリューグロメ ットＳ’の挿入脚１の外径を膨らませ、取付け穴Ｈの穴縁に挿入脚１の外周を喰 いつかせる際にも、このスリット３の設けられている挿入脚１の外周面は取付け 穴Ｈの穴縁に接触することがなく、挿入脚１の取付け穴Ｈに対する喰いつき係止 の機能が劣る不都合があった。

【０００９】 本考案は、かゝる従来のスクリューグロメットの不都合に鑑み、取付け板状物 等の取付け穴に対する容易な挿入と、螺子桿の螺挿時の共回り防止と、螺子桿の 螺挿による確実な止着とをなすようにしたスクリューグロメットの提供を目的と している。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

本考案にかゝるスクリューグロメットは叙上の目的を達成するものとして、構 成されるスクリューグロメットＳを、挿入脚１と、この挿入脚１の一方の側に一 体に設けられている外向きの鍔５と、この鍔５の側から前記の挿入脚１の先端側 に向けて設けられている螺子桿Ｂの挿入用の孔６と、前記挿入脚１の外周の周方 向に向けて突設され、且つ前記の鍔５との間で第１の板状物Ｐ−１の取付け穴Ｈ の穴縁を挾持する弾性係止片２とで構成すると共に、前記孔６の中心線と直交す る向きにある挿入脚１の断面形状を横長断面、より好ましくは、両側を円弧状部 ４、４とする横長断面形状とし、しかも前記の弾性係止片２が、この横長断面の 長軸側の中心線、又は前記の円弧状部４、４の頂端間を結ぶ線分Ｌ−Ｌから側方 にずれた位置に設けられた構成としてある。

【００１１】

【作用】

スクリューグロメットＳの挿入脚１にある弾性係止片２が、横長断面の長軸側 の中心線又は円弧状部４、４の頂端間を結ぶ線分Ｌ−Ｌからずれた位置から周方 向に向けて突設されているため、横長断面形状をなす挿入脚１の長軸側又は、こ の横長断面の両側にある円弧状部４、４の外周面が第１の板状物Ｐ−１の取付け 穴Ｈの穴縁に密に接した状態でスクリューグロメットＳの取付けがなされる。 この結果、第１の板状物Ｐ−１の取付け穴Ｈに挿入されたスクリューグロメッ トＳに捻り方向の力が作用しても横長断面の長軸側又は円弧状部４の取付け穴Ｈ の穴縁に密に接し、捻り方向に回ることがない。 又、スクリューグロメットＳに螺子桿Ｂを螺入することにより、スクリューグ ロメットＳは、前記の横長断面の長軸側又は円弧状部４、４においても第１の板 状物Ｐ−１の取付け穴Ｈの穴縁に強く喰いつくように機能する。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案に係る典型的なスクリューグロメットの一実施例を添付の図面に ついて詳細に説明する。 本実施例にかゝるスクリューグロメットＳは、インジェクション等の方法によ り成形提供される合成樹脂成形品からなり、通例用いられているスクリューグロ メットＳと同様に、挿入脚１と、この挿入脚１の一方の側に一体に設けられてい る外向きの鍔５とを有し、この鍔５の側から前記挿入脚１の先端側に向けて螺子 桿Ｂの挿入用の孔６が設けてある。 又、前記挿入脚１の外周には、前記の鍔５との間で第１の板状物Ｐ−１の取付 け穴Ｈの穴縁を挾持するための弾性係止片２が周方向に突き出すように設けてあ る。

【００１３】 かゝる構成からなるスクリューグロメットＳの挿入脚１が第１の板状物Ｐ−１ に設けられている長穴状の取付け穴Ｈに密に挿入される形状としてあり、挿入に よる弾性係止片２の容易な弾性変形を誘起する意図から該挿入脚１を先細り状に 構成するのが良い。 従って、構成されるスクリューグロメットＳの挿入脚１の断面、特に孔６の中 心線と直交する向きにある断面形状が、一方の側に長い横長断面形状とし、特に 円弧状部４、４のある横長断面形状とし、この横長断面の長軸側、特に円弧状部 ４の部分から挿入脚１の周方向に向けて弾性係止片２を突き出し状に形成してあ る。

【００１４】 この挿入脚１の周方向に向けて突き出し状に設けられる弾性係止片２は、前記 挿入脚１の横長断面の長軸側の中心線又は、円弧状部４、４の頂端間を結ぶ線分 Ｌ−Ｌから側方にずれた位置から、この挿入脚１の周方向に向けて突設してあり 、鍔５との間に第１の板状物Ｐ−１の取付け穴Ｈの穴縁の収まる間隙７が設けら れる構成としてある。

【００１５】 又、挿入脚１の長さ方向には、この弾性係止片２の撓み込まれるスリット３が 設けられており、このスリット３によって、挿入脚１と弾性係止片２とが区分さ れる構成としてある。 従って、このスリット３は、前記挿入脚１の横長断面の長軸側の中心線、より 具体的には円弧状部４、４の頂端間を結ぶ線分Ｌ−Ｌにまで到らない浅い奥行き 幅からなると共に、弾性係止片２が充分に撓み込まれる溝幅を有する構成として ある。

【００１６】 又、挿入脚１にある孔６は、取付け穴Ｈに対する挿入脚１の押し込みを円滑に する目的と、螺子桿Ｂの螺入による挿入脚１の外周方向への円滑な膨み出しとを なす目的から、円弧状部４の側に向けて割溝８、８を連続して設けた構成として いる。

【００１７】 かゝる構成からなるスクリューグロメットＳを第１の板状物Ｐ−１の取付け穴 Ｈに対し、挿入脚１の側から鍔５が該取付け穴Ｈの穴縁に接するまで押し入れる ことによって、撓み戻された弾性係止片２と、鍔５との間で該取付け穴Ｈの穴縁 が挾持され、スクリューグロメットＳの仮留めがなされた。

【００１８】 次いで、第２の板状物Ｐ−２を前記のスクリューグロメットＳの鍔５の上に載 置し、螺子桿Ｂを、この第２の板状物Ｐ−２の側から前記のスクリューグロメッ トＳの孔６内に螺入することで、第２の板状物Ｐ−２の固定をなすと同時に、挿 入脚１の外周を膨ませて前記第１の板状物Ｐ−１の取付け穴Ｈの穴縁に強く喰い つかせ、本留め状態にする。

【００１９】

【考案の効果】

本考案に係るスクリューグロメットＳは、挿入脚１にある弾性係止片２を、挿 入脚１の横長断面の長軸側、より具体的には円弧状部４、４の頂端間を結ぶ線分 Ｌ−Ｌからずれた位置から周方向に向けて突設することで、円弧状部４の外周面 が第１の板状物Ｐ−１の取付け穴Ｈの穴縁に密に接した状態でスクリューグロメ ットＳの取付けをなすことができ、スクリューグロメットＳに捻り方向の力が作 用した場合であってもスクリューグロメットＳの捻り回りがなく、螺子桿Ｂの螺 入に伴う共回りを生ずることがない。

【００２０】 又、挿入脚１の横長断面の長軸側、より具体的には円弧状部４が、第１の板状 物Ｐ−１の取付け穴Ｈの穴縁に密に接した状態で螺子桿Ｂによる挿入脚１の膨成 がなされることから、取付け穴Ｈの穴縁に対する挿入脚１の喰いつきが確実とさ れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るスクリューグロメットの一部を破
断して示した取付け状態の部品分離斜視図

【図２】同取付け状態を示す断面図

【図３】同取付け状態を脚から視た断面図

【図４】螺子桿Ｂを螺入した同断面図

【図５】本考案に係るスクリューグロメットの一部を破
断して示した正面図

【図６】同側面図

【図７】同平面図

【図８】同底面図

【図９】挿入脚を孔の中心線と直交する向きで切断した
断面図

【図10】従来のスクリューグロメットを第１の板状物に
挿入した状態で挿入脚の側から 視た断面図

【符号の説明】

１ 挿入脚 ２ 弾性係止片 ３ スリット ４ 円弧状部 ５ 鍔 ６ 孔 ７ 間隙 ８ 割溝 Ｓ スクリューグロメット Ｂ 螺子桿 Ｈ 取付け穴 Ｐ−１ 第１の板状物 Ｐ−２ 第２の板状物

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 挿入脚と、この挿入脚の一方の側に一体
   に設けられている外向きの鍔と、この鍔の側から前記挿
   入脚の先端側に向けて設けられている螺子桿挿入用の孔
   と、前記挿入脚の外周の周方向に向けて突設され且つ前
   記鍔との間で板状物の取付け穴の穴縁を挾持する弾性係
   止片とを有する合成樹脂製のスクリューグロメットにお
   いて前記孔の中心線と直交する向きにある前記挿入脚の
   断面が、横長断面形状をなしており、且つ、前記弾性係
   止片が、この横長断面の長軸側の中心線から側方にずれ
   た位置に設けられていることを特徴とするスクリューグ
   ロメット
2. 【請求項２】 スクリューグロメットの螺子桿挿入用の
   孔の中心線と直交する向きにある挿入脚の断面が、少な
   くとも両側を円弧状部とする横長断面形状をなしてお
   り、且つ前記弾性係止片が、この横長断面の円弧状部の
   頂端間を結ぶ線分から側方にずれた位置に設けられてい
   ることを特徴とする請求項１記載のスクリューグロメッ
   ト。