JPH0522708Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、ビル、工場その外の建築工事にお
いて、電設工事等の設備の増設や変更に使用する
もので、特に、ケーブルラツクやダクト等を吊持
している既設の吊りボルトの中間位置に、新規ケ
ーブルラツク等を載置するためのハンガーを増設
するのに好適な既設吊りボルト用ハンガー増設装
置に関する。

（従来の技術） 従来、ケーブルラツクやダクト等を付設するに
は、天井スラブ等から懸吊された一対の吊りボル
ト間に、ケーブルラツク等を載置するハンガーを
架設する。この際、吊りボルトにハンガーを架設
するための支持装置が使用されている。この支持
装置は、主に、ハンガーの端部に装着した支持金
具に吊りボルトを挿通し、予め吊りボルトにネジ
止めしたナツトで固定するものであつた。

ところが、このような支持装置で架設したハン
ガー上にケーブルラツク及びケーブル等を付設し
たあとで、新規ハンガーを架設したり、既存のハ
ンガー位置を変更しようとするときには、まず、
既存のハンガーを吊りボルト上方へ移動し、その
後、既存のハンガーの下に新規ハンガーを増設す
るなどといつた極めて多くの手間を要していた。

そこで、既存のハンガーをそのままの状態に保
ちながらでも、このハンガー上方に新規のハンガ
ーの装着が可能になる支持装置として、従来で
は、実公昭57−20937号公報に記載されたハンガ
ーの吊下装置や、当出願人が先に提案した実開昭
60−58983号公報に記載された支持装置が知られ
ている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、これらの支持装置には次のような問
題点があつた。

すなわち、前者の吊下装置では、吊りボルトと
ハンガーとの連結部分に装着する支持金具を、吊
りボルトの側面から装着し得るものとすること
で、吊りボルトの側面適位置にハンガーを増設で
きるようにしたものである。ところが、吊りボル
トの側面から支持金具の装着ができても、これを
吊りボルトに固定する手段は、吊りボルトに予め
ネジ止したナツトを使用するものであるために、
このナツトを予め装着していない吊りボルトに
は、支持金具の装着はできず、この結果、施工前
に予定されたハンガー以外の増設は行えないとい
つた問題点があつた。

また、この吊下装置は、筐型吊金具と、上下二
つの押え金具との三つの部材を組合わせるものな
ので、装着作業性が悪く、ケーブル配線用のハン
ガーのように連続して多数装着するものとしては
不適当である。

一方、当出願人が先に提案した支持装置は、前
者の問題点を解消するため、支持金具の固定を吊
りボルト側面から行えるようにしたものである。
この支持装置は、ハンガーにネジ止めする支持金
具から、吊りボルト側面に沿つて延長した圧止片
と、同じく吊りボルト側面に装着する平面略コ字
形状の支持具とで吊りボルトを挟み付け、これら
圧止片と支持具とを２本の締め付けネジで緊締固
着するものである。そのため、前者の吊下装置の
如く、固定用ナツトを予め吊りボルトに装着して
いなくても、吊りボルト側面に支持装置を自在に
装着できるようになつている。

ところが、圧止片と平面略コ字状の支持具とを
２本のボルトで緊締する場合には、これらの挟着
力をよほど高めなければ、ハンガーを装着する充
分な支持強度は得られない。そのためには、支持
具を固定する２本のボルトの緊締力を均一にし
て、慎重且つ確実に行う必要があり、このボルト
締付け作業に手間を要する問題が生じていた。

更に、吊りボルトを挟着する２つの金具を締付
ネジで緊締固着するこの支持装置では、ハンガー
の位置調整は、ハンガーを手指で支持した上で、
２本の締付ネジを調整しなければならず、このよ
うなハンガー位置の微調整は極めて面倒な作業と
なつていた。

そこでこの考案は、上述の問題点を解消すべく
案出されたもので、取付け作業が容易で、ハンガ
ーの支持力が強固であり、しかも、取付け位置の
微調整も容易に行うことが可能な既設吊りボルト
用ハンガー増設装置の提供を目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上述の目的を達成すべくこの考案は、 ナツトの側面に、所定雄ネジを雌ネジ内に誘導
する切欠を設け、このナツトの高さが二分される
位置でナツト自体が分割されると共に、この分割
面において二分された両者が回転自在に連結され
た切欠付きダブルナツトを使用する。

一方、所定板体を屈曲してリツプ溝形鋼製ハン
ガーの端部に外嵌する正面略コ字形状のハンガー
支持金具を形成し、このハンガー支持金具の上下
板と側板との板面に沿つて、吊りボルトを上下板
に連通せしめる切欠を設け、ハンガー支持金具に
内嵌したハンガーのリツプ部に内側から係合する
中ナツトと、この中ナツトにネジ止めする連結ボ
ルトとを上板に装着する。

更に、吊りボルトに連結ボルトを連結する連結
具を上板上に設け、これら連結具とハンガー支持
金具とを切欠内に連通した吊りボルトに、一対の
切欠付きダブルナツトで緊締固着することを問題
解決のための手段とする。

（作用） この考案によれば、ハンガー支持金具の上板に
装着した連結ボルトと、ハンガーのリツプ部に内
側から係合する中ナツトとにより、ハンガー支持
金具に内嵌したハンガー端部をハンガー支持金具
内にネジ止めする。

一方、ハンガー支持金具の上下板と側板との板
面に沿つて設けた切欠内に吊りボルトを連通さ
せ、この吊りボルトと連結ボルトとを連結具で連
結する。

そして、ハンガー支持金具と連結具とは、吊り
ボルトにネジ止めした一対の切欠付きダブルナツ
トで吊りボルトに緊締固着される。

（実施例） 以下、図面を参照してこの考案の実施例を詳細
に説明する。

図に示される符号１は、後述するハンガー支持
金具２を吊りボルトＱに固定する切欠付きダブル
ナツト１である。この切欠付きダブルナツト１
は、吊りボルトＱ側面から装着できる切欠１Ｅを
有した、上下一対のダブルナツトである。図示例
では、六角ナツトの高さを二分する位置でナツト
自身を分割し、互いに相接する端面に、係合突条
１Ｂを設けた雄片１Ａと、緩嵌溝部１Ｄを設けた
雌片１Ｃとからなる一対のナツト片を形成してあ
り、これら係合突条１Ｂと緩嵌溝部１Ｄとを離脱
しないように緩嵌して、雄片１Ａと雌片１Ｃとを
回転自在に連結したものである（第５図参照）。

符号２は、ハンガーＰの端部に装着するハンガ
ー支持金具であり、このハンガー支持金具２もま
た、切欠付きダブルナツト１と同様に、吊りボル
トＱ側面から装着できるように、切欠２Ｄを設け
てある（第２図参照）。すなわち、このハンガー
支持金具２は、自身の上下板２Ａ，２Ｃと側板２
Ｂとの板面に沿つて、吊りボルトＱを上下板２
Ａ，２Ｃに連通せしめる切欠２Ｄを設ける。ま
た、ハンガー支持金具２に内嵌したリツプ溝形鋼
製ハンガーＰのリツプ部Ｐ１に内側から係合する
中ナツトＲと、この中ナツトＲにネジ止めする連
結ボルトＳとを、上板２Ａの連結ボルト挿通口２
Ｅに装着してある。図示例の中ナツトＲは、矩形
状板体の両側縁を屈曲してハンガーＰのリツプ部
Ｐ１への係合を確実なものにしてある（第４図参
照）。この外、この中ナツトＲの形状は、リツプ
部Ｐ１に内側から係合可能なものなら適宜なもの
でよい。

更に、吊りボルトＱに連結ボルトＳを連結する
連結具３を上板２Ａ上に設けてある。図示の連結
具３は、矩形状板体の両側縁に、一対の切欠係合
部３Ａ，３Ｂを設けて、連結具３全体が平面略Ｓ
字形状を成している（第３図参照）。この切欠係
合部３Ａ，３Ｂを、夫々吊りボルトＱと連結ボル
トＳとに係合させると共に、連結具３をハンガー
支持金具２の上板２Ａに、連結ボルトＳでネジ止
めしたものである（第４図参照）。

そして、これら連結具３とハンガー支持金具２
とを切欠２Ｄ内に連通した一対の吊りボルトＱ
に、切欠付きダブルナツト１で緊締固着する。

尚、図中符号２Ｆは、上下板２Ａ，２Ｃの強度
を高めると共に、ハンガー支持金具２に内嵌した
ハンガーＰの位置ずれを防止する補強片であり、
符号２Ｇは、下板２Ｃの上面に突出形成したハン
ガーＰ端部の位置決めを行うストツパーである。

（考案の効果） この考案は上述の如く構成したことにより、当
初の目的を達成する。

すなわち、所定板体を屈曲してリツプ溝形鋼製
ハンガーＰの端部に外嵌する正面略コ字形状のハ
ンガー支持金具２を形成し、このハンガー支持金
具２の上下板２Ａ，２Ｃと側板２Ｂとの板面に沿
つて、吊りボルトＱを上下板に連通せしめる切欠
２Ｄを設けたことで、吊りボルトＱ側部へのハン
ガー支持金具２の装着が容易に行える。

また、ハンガー支持金具２に内嵌したハンガー
Ｐのリツプ部Ｐ１に内側から係合する中ナツトＲ
と、この中ナツトＲにネジ止めする連結ボルトＳ
とを上板２Ａに装着してあるから、ハンガー支持
金具２とハンガーＰとの固定は、連結ボルトＳを
締付けるだけで良い。

更に、吊りボルトＱに連結ボルトＳを連結する
連結具３を上板２Ａ上に設け、これら連結具３と
ハンガー支持金具２とを切欠２Ｄ内に連通した吊
りボルトＱに、一対の切欠付きダブルナツト１で
緊締固着したことで、吊りボルトＱとハンガー支
持金具２との緊締固着作用が、連結具３を介し
て、吊りボルトＱとハンガーＰとを連結固定する
ものになる。したがつて、このハンガー支持金具
２は、吊りボルトＱの側面適位置に自由に装着で
きるばかりか、吊りボルトＱへ装着した、ハンガ
ー支持金具２及びハンガーＰ自体の固定力に富
み、ハンガーＰ位置の変更や増設を確実に行え
る。

また、従来のハンガーの吊下装置の如く、三つ
の部材を組合わせる必要もなく、その装着性能が
極めて高いから、連続して多数装着するケーブル
配線用のハンガーとして最適であるといえる。

しかも、ナツトの側面に、所定雄ネジを雌ネジ
１Ｆ内に誘導する切欠１Ｅを設け、このナツトの
高さが二分される位置で分割されると共に、この
分割面において二分された両者が回転自在に連結
された切欠付きダブルナツト１を形成したこと
で、この切欠付きダブルナツト１もまた、吊りボ
ルトＱの側面適位置に自由に装着できる。したが
つて、従来の支持装置の如く、支持金具を固定す
るナツトを、予め吊りボルトにネジ止する必要が
なく、ハンガーＰの増設時期を選ばない。また、
支持金具の固定を吊りボルト側面から行えるよう
にした従来の支持装置に比べても、上下一対の切
欠付きダブルナツト１を調整するだけで良いか
ら、支持装置の装着が極めて容易なものになつ
た。

更に、この切欠付きダブルナツト１の取付け位
置の微調整は、吊りボルトＱに沿つて回転させる
ことで容易に行えるから、ハンガー支持金具２の
装着位置の微調整も容易である。

このように、この考案によれば、取付け作業が
容易で連続して多数装着するケーブル配線用のハ
ンガーとして最適であり、ハンガーの支持力に富
み、しかも、取付け位置の微調整も容易であるな
どといつた実用上有益な種々の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すもので、第１図
は使用状態を示す要部正面図、第２図は分解斜視
図、第３図は使用状態を示す平面図、第４図は第
３図で示す矢視−線側面図、第５図は切欠付
きダブルナツトを示す一部切欠斜視図である。 Ｐ……ハンガー、Ｐ１……リツプ部、Ｑ……吊
りボルト、Ｒ……中ナツト、Ｓ……連結ボルト、
１……切欠付きダブルナツト、１Ａ……雄片、１
Ｂ……係合突条、１Ｃ……雌片、１Ｄ……緩嵌溝
部、１Ｅ……切欠、１Ｆ……雌ネジ、２……ハン
ガー支持金具、２Ａ……上板、２Ｂ……側板、２
Ｃ……下板、２Ｄ……切欠、２Ｅ……連結ボルト
挿入口、２Ｆ……補強片、２Ｇ……ストツパー。
３……連結具、３Ａ……切欠係合部、３Ｂ……切
欠係合部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ナツトの側面に、所定雄ネジを雌ネジ内に誘導
   する切欠を設け、このナツトの高さが二分される
   位置でナツト自体が分割されると共に、この分割
   面において二分された両者が回転自在に連結され
   た切欠付きダブルナツトにて吊りボルトの側面か
   らネジ止め可能なハンガー増設装置であつて、所
   定板体を屈曲してリツプ溝形鋼製ハンガーの端部
   に外嵌する正面略コ字形状のハンガー支持金具を
   形成し、このハンガー支持金具の上下板と側板と
   の板面に沿つて、吊りボルトを上下板に連通せし
   める切欠を設け、一方、ハンガー支持金具に内嵌
   したハンガーのリツプ部に内側から係合する中ナ
   ツトと、この中ナツトにネジ止めする連結ボルト
   とを上板に装着し、この連結ボルトとハンガー支
   持金具の切欠内に連通した吊りボルトとをハンガ
   ー支持金具の上板上に配設した連結具で連結する
   と共に、これら連結具とハンガー支持金具とを上
   下一対の切欠付きダブルナツトで緊締固着するこ
   とを特徴とする既設吊りボルト用ハンガー増設装
   置。