JPH05222678A - 樹脂含浸防汚布帛 - Google Patents
樹脂含浸防汚布帛Info
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- JPH05222678A JPH05222678A JP2696692A JP2696692A JPH05222678A JP H05222678 A JPH05222678 A JP H05222678A JP 2696692 A JP2696692 A JP 2696692A JP 2696692 A JP2696692 A JP 2696692A JP H05222678 A JPH05222678 A JP H05222678A
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- fabric
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Abstract
(57)【要約】
【目的】本発明は、汚れを繊維布帛構造内部へ浸透させ
ず、かつ拭き取りにより簡単に汚れを除去できる防汚性
布帛を提供することを目的とするものである。 【構成】本発明の樹脂含浸防汚布帛は、樹脂を含浸せし
めてなる布帛において、該含浸樹脂が少なくともA、B
2種類から成り、該樹脂Aがガラス転移温度0℃以下の
合成重合体であり、該樹脂Bが多官能性ポリイソシアネ
ートを主成分とする架橋生成物であり、かつ、該樹脂B
が該樹脂Aの表面部分に偏在していることを特徴とする
ものである。
ず、かつ拭き取りにより簡単に汚れを除去できる防汚性
布帛を提供することを目的とするものである。 【構成】本発明の樹脂含浸防汚布帛は、樹脂を含浸せし
めてなる布帛において、該含浸樹脂が少なくともA、B
2種類から成り、該樹脂Aがガラス転移温度0℃以下の
合成重合体であり、該樹脂Bが多官能性ポリイソシアネ
ートを主成分とする架橋生成物であり、かつ、該樹脂B
が該樹脂Aの表面部分に偏在していることを特徴とする
ものである。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、拭き取りによる汚れ除
去性に優れた樹脂含浸防汚布帛に関するものである。
去性に優れた樹脂含浸防汚布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維布帛の防汚加工としてはフッ
素系樹脂による撥水・撥油性の付与や繊維布帛の親水化
により、洗濯による汚れ除去性を上げるなど種々のSR
加工の工夫がなされてきた。
素系樹脂による撥水・撥油性の付与や繊維布帛の親水化
により、洗濯による汚れ除去性を上げるなど種々のSR
加工の工夫がなされてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
では、 フッ素系樹脂による撥水・撥油性の付与では汚れが液
体であれば、繊維布帛に浸透する前に拭取ってしまえば
ほとんど汚れは除去できるものの汚れに固形分が含まれ
ていたり、汚れに圧力がかかり、繊維布帛にいったん浸
透してしまえば、布帛を構成している単繊維間隙、交絡
点などの布帛構造中に汚れが取込まれてしまい、拭き取
りによる除去が非常に困難になる。 繊維布帛を親水化することで洗濯による汚れの除去性
を上げる方法では、洗濯の可能な分野で使用されている
ものに対しては有効であるが、洗濯の不可能な分野に使
用されているものには使えず、拭き取りによる汚れの除
去は非常に難しい。 樹脂含浸加工による繊維布帛の防汚加工方法では、防
汚性は得られるものの、もとの繊維布帛の風合いに比べ
て硬くなる。 などの欠点があった。
では、 フッ素系樹脂による撥水・撥油性の付与では汚れが液
体であれば、繊維布帛に浸透する前に拭取ってしまえば
ほとんど汚れは除去できるものの汚れに固形分が含まれ
ていたり、汚れに圧力がかかり、繊維布帛にいったん浸
透してしまえば、布帛を構成している単繊維間隙、交絡
点などの布帛構造中に汚れが取込まれてしまい、拭き取
りによる除去が非常に困難になる。 繊維布帛を親水化することで洗濯による汚れの除去性
を上げる方法では、洗濯の可能な分野で使用されている
ものに対しては有効であるが、洗濯の不可能な分野に使
用されているものには使えず、拭き取りによる汚れの除
去は非常に難しい。 樹脂含浸加工による繊維布帛の防汚加工方法では、防
汚性は得られるものの、もとの繊維布帛の風合いに比べ
て硬くなる。 などの欠点があった。
【0004】本発明は、上述のような従来技術の有する
問題を解決し、拭き取りによる汚れ除去性に優れた防汚
性布帛を提供しようとするものである。
問題を解決し、拭き取りによる汚れ除去性に優れた防汚
性布帛を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述目的を達
成するために次のような手段を採用する。すなわち、本
発明の樹脂含浸防汚布帛は、樹脂を含浸せしめてなる布
帛において、該含浸樹脂が少なくともA、B2種類から
成り、該樹脂Aがガラス転移温度0℃以下の合成重合体
であり、該樹脂Bが多官能性ポリイソシアネートを主成
分とする架橋生成物であり、かつ、該樹脂Bが該樹脂A
の表面部分に偏在していることを特徴とするものであ
る。
成するために次のような手段を採用する。すなわち、本
発明の樹脂含浸防汚布帛は、樹脂を含浸せしめてなる布
帛において、該含浸樹脂が少なくともA、B2種類から
成り、該樹脂Aがガラス転移温度0℃以下の合成重合体
であり、該樹脂Bが多官能性ポリイソシアネートを主成
分とする架橋生成物であり、かつ、該樹脂Bが該樹脂A
の表面部分に偏在していることを特徴とするものであ
る。
【0006】また、本発明の樹脂含浸防汚布帛の製造方
法は、ガラス転移温度が0℃以下である合成重合体から
なる樹脂Aの溶液に布帛を浸漬し、次いで該樹脂Aを凝
固させた後、多官能性ポリイソシアネートを主成分とす
る樹脂Bの溶液を含浸あるいは塗布し、次いで該樹脂B
を凝固させることを特徴とするものである。
法は、ガラス転移温度が0℃以下である合成重合体から
なる樹脂Aの溶液に布帛を浸漬し、次いで該樹脂Aを凝
固させた後、多官能性ポリイソシアネートを主成分とす
る樹脂Bの溶液を含浸あるいは塗布し、次いで該樹脂B
を凝固させることを特徴とするものである。
【0007】
【作用】本発明は、布帛自体に防汚機能を有し、かつ、
該布帛からの汚れ除去性について鋭意検討した結果、柔
軟な合成重合体で繊維間隙を埋めることによって、防汚
性および汚れ除去性を付与し、しかも該合成重合体の表
層部を、さらに防汚性の高い緻密な樹脂皮膜で処理する
ことによって、従来技術のフッ素系樹脂による繊維布帛
の撥水・撥油性の付与や、あるいは繊維布帛の親水化だ
けでは到達し得なかった優れた防汚性を付与することが
できることを究明したものである。
該布帛からの汚れ除去性について鋭意検討した結果、柔
軟な合成重合体で繊維間隙を埋めることによって、防汚
性および汚れ除去性を付与し、しかも該合成重合体の表
層部を、さらに防汚性の高い緻密な樹脂皮膜で処理する
ことによって、従来技術のフッ素系樹脂による繊維布帛
の撥水・撥油性の付与や、あるいは繊維布帛の親水化だ
けでは到達し得なかった優れた防汚性を付与することが
できることを究明したものである。
【0008】本発明における布帛としては、たとえば織
物、編物、不織布などのシート類を使用することがで
き、その構成繊維としては、綿、麻、羊毛、絹などの天
然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン
などの合成繊維、アセテート、トリアセテートなどの半
合成繊維またはそれらの混紡、混用品を使用することが
できる。
物、編物、不織布などのシート類を使用することがで
き、その構成繊維としては、綿、麻、羊毛、絹などの天
然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン
などの合成繊維、アセテート、トリアセテートなどの半
合成繊維またはそれらの混紡、混用品を使用することが
できる。
【0009】本発明の含浸樹脂は、少なくともA、B2
種類の樹脂が必要である。すなわち、樹脂Aは、主とし
て繊維間隙の充填および繊維布帛の風合い維持機能を発
現するものであり、これに対し該樹脂A層の表層部に偏
在する樹脂Bは、防汚機能を発現する。本発明は、2種
の樹脂に、それぞれ機能を分担させてもたせたことによ
って、初めて高い拭き取り除去性を発揮せしめ得たもの
である。
種類の樹脂が必要である。すなわち、樹脂Aは、主とし
て繊維間隙の充填および繊維布帛の風合い維持機能を発
現するものであり、これに対し該樹脂A層の表層部に偏
在する樹脂Bは、防汚機能を発現する。本発明は、2種
の樹脂に、それぞれ機能を分担させてもたせたことによ
って、初めて高い拭き取り除去性を発揮せしめ得たもの
である。
【0010】樹脂Aが、ガラス転移温度0℃以下の合成
重合体であるのは、樹脂Aが主として布帛の柔軟な風合
いを維持するためのものであり、たとえばシリコーン樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂な
どの合成樹脂を使用することができるが、中でも、シリ
コーン樹脂が好ましく使用される。
重合体であるのは、樹脂Aが主として布帛の柔軟な風合
いを維持するためのものであり、たとえばシリコーン樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂な
どの合成樹脂を使用することができるが、中でも、シリ
コーン樹脂が好ましく使用される。
【0011】また、樹脂Bは、多官能性ポリイソシアネ
ートを主成分とする架橋生成物で、過剰のイソシアネー
ト基とそれと反応する官能基を持った樹脂との架橋生成
物であり、この樹脂Bは、主として緻密な皮膜を形成
し、防汚性を発現するものである。かかる多官能性ポリ
イソシアネートとしては、たとえば日本ポリウレタン株
式会社製、商品名コロネートEH、コロネートHLなど
を使用することができる。また、イソシアネート基と反
応する官能基を持った樹脂としては、ポリウレタン樹脂
が代表的なものとして使用され、たとえば大日本インキ
株式会社製、商品名クリスボン6116SL、クリスボ
ン2026EHなどを使用することができる。
ートを主成分とする架橋生成物で、過剰のイソシアネー
ト基とそれと反応する官能基を持った樹脂との架橋生成
物であり、この樹脂Bは、主として緻密な皮膜を形成
し、防汚性を発現するものである。かかる多官能性ポリ
イソシアネートとしては、たとえば日本ポリウレタン株
式会社製、商品名コロネートEH、コロネートHLなど
を使用することができる。また、イソシアネート基と反
応する官能基を持った樹脂としては、ポリウレタン樹脂
が代表的なものとして使用され、たとえば大日本インキ
株式会社製、商品名クリスボン6116SL、クリスボ
ン2026EHなどを使用することができる。
【0012】本発明において、汚れが布帛を構成する単
繊維間隙に浸透しないようにするためには、含浸樹脂重
量が布帛重量に対して、好ましくは3〜30wt%、更
に好ましくは10〜20wt%の範囲にするのがよい。
3wt%未満では、布帛を厚み方向に切断した糸束断面
の表層の被覆が困難になると同時に、交絡点などの凹凸
の大きな箇所の空隙が残る可能性があり、汚れの布帛裏
面への移りなどが起こり、表面からの拭き取りだけで
は、汚れを完全に除去できないといった問題が生じ易く
なり、また、30wt%を越えると、布帛がシート状に
なり布帛のもつ風合いが著しく悪くなる傾向が出てく
る。
繊維間隙に浸透しないようにするためには、含浸樹脂重
量が布帛重量に対して、好ましくは3〜30wt%、更
に好ましくは10〜20wt%の範囲にするのがよい。
3wt%未満では、布帛を厚み方向に切断した糸束断面
の表層の被覆が困難になると同時に、交絡点などの凹凸
の大きな箇所の空隙が残る可能性があり、汚れの布帛裏
面への移りなどが起こり、表面からの拭き取りだけで
は、汚れを完全に除去できないといった問題が生じ易く
なり、また、30wt%を越えると、布帛がシート状に
なり布帛のもつ風合いが著しく悪くなる傾向が出てく
る。
【0013】含浸樹脂重量に対する樹脂Bの重量比率
は、好ましくは10〜50%、更に好ましくは20〜3
0%がよい。10%未満の比率では、樹脂Bによって樹
脂Aを完全に被覆することが難しく、防汚性が低下する
傾向を示し、50%を越える比率では、樹脂Bによる風
合い効果が顕著に表われてくる傾向を示し、合成重合体
樹脂自身が持つ柔軟性と弾性反発性を生かしきれなくな
り、樹脂Aにより処理した効果が無くなってしまうため
好ましくない。
は、好ましくは10〜50%、更に好ましくは20〜3
0%がよい。10%未満の比率では、樹脂Bによって樹
脂Aを完全に被覆することが難しく、防汚性が低下する
傾向を示し、50%を越える比率では、樹脂Bによる風
合い効果が顕著に表われてくる傾向を示し、合成重合体
樹脂自身が持つ柔軟性と弾性反発性を生かしきれなくな
り、樹脂Aにより処理した効果が無くなってしまうため
好ましくない。
【0014】また、樹脂Bの固形分の好ましくは50〜
100wt%、更に好ましくは70〜90wt%は、多
官能性ポリイソシアネートであるのがよい。すなわち、
多官能性ポリイソシアネートは、大過剰に添加されるこ
とにより、反応に関与せずに残存したイソシアネートが
常温空気中で徐々に水分などと反応し、表面に緻密な皮
膜層を形成する。かかる皮膜層が、溶剤系の汚れに対し
て高い防汚性を発現し、この皮膜は溶剤系の汚れに対し
ても、非常に高い防シミ性を発揮する。
100wt%、更に好ましくは70〜90wt%は、多
官能性ポリイソシアネートであるのがよい。すなわち、
多官能性ポリイソシアネートは、大過剰に添加されるこ
とにより、反応に関与せずに残存したイソシアネートが
常温空気中で徐々に水分などと反応し、表面に緻密な皮
膜層を形成する。かかる皮膜層が、溶剤系の汚れに対し
て高い防汚性を発現し、この皮膜は溶剤系の汚れに対し
ても、非常に高い防シミ性を発揮する。
【0015】樹脂Bの残りの樹脂、すなわち、固形分の
50〜0wt%の樹脂Bとして、ポリウレタン樹脂を使
用するのが好ましいのは、多官能性ポリイソシアネート
の溶液だけでは加工性が悪く、被覆が困難であり、ま
た、形成された皮膜も剛性に欠けるという問題を有する
ためである。樹脂Bの固形分の好ましくは10〜30w
t%の範囲において、ポリウレタン樹脂によって、防汚
性を維持しながら加工性、皮膜の剛性を改善、調整する
のがよい。
50〜0wt%の樹脂Bとして、ポリウレタン樹脂を使
用するのが好ましいのは、多官能性ポリイソシアネート
の溶液だけでは加工性が悪く、被覆が困難であり、ま
た、形成された皮膜も剛性に欠けるという問題を有する
ためである。樹脂Bの固形分の好ましくは10〜30w
t%の範囲において、ポリウレタン樹脂によって、防汚
性を維持しながら加工性、皮膜の剛性を改善、調整する
のがよい。
【0016】本発明において、樹脂Bは、樹脂Aの表面
部分に偏在しており、しかも樹脂Bによる樹脂Aの被覆
率は、好ましくは95%以上である。すなわち、樹脂B
による樹脂Aの被覆率が95%未満であると、樹脂Bに
よって被覆されていない箇所に拭き取り後も汚れ、特に
溶剤系の汚れが残存し、防汚性が著しく低下する傾向が
ある。
部分に偏在しており、しかも樹脂Bによる樹脂Aの被覆
率は、好ましくは95%以上である。すなわち、樹脂B
による樹脂Aの被覆率が95%未満であると、樹脂Bに
よって被覆されていない箇所に拭き取り後も汚れ、特に
溶剤系の汚れが残存し、防汚性が著しく低下する傾向が
ある。
【0017】さらに、樹脂Bの繊維間隙占有率は、好ま
しくは10%以下であるものがよく、樹脂Bの繊維間隙
占有率が10%を越えると、繊維間隙に樹脂Bが侵入す
るため、防汚性は維持できるが、布帛の風合いが硬くな
る傾向が出てきてしまい、布帛の柔軟性を維持できにく
くなる。
しくは10%以下であるものがよく、樹脂Bの繊維間隙
占有率が10%を越えると、繊維間隙に樹脂Bが侵入す
るため、防汚性は維持できるが、布帛の風合いが硬くな
る傾向が出てきてしまい、布帛の柔軟性を維持できにく
くなる。
【0018】ここで、繊維間隙とは、繊維糸束断面にお
いて、単繊維(後述の図1の3)の重心を直線で結んで
できる空間の最大面積から、そこに含まれる単繊維断面
の面積を差し引いた空間である。具体的には、図1の一
点鎖線内の空間から、そこに含まれる単繊維の断面の面
積を引いた空間である。また、繊維間隙占有率とは先に
定義した繊維間隙中(一点鎖線内)にどれだけ樹脂Bが
占有されているのかを示す尺度であり次の式で求められ
る。
いて、単繊維(後述の図1の3)の重心を直線で結んで
できる空間の最大面積から、そこに含まれる単繊維断面
の面積を差し引いた空間である。具体的には、図1の一
点鎖線内の空間から、そこに含まれる単繊維の断面の面
積を引いた空間である。また、繊維間隙占有率とは先に
定義した繊維間隙中(一点鎖線内)にどれだけ樹脂Bが
占有されているのかを示す尺度であり次の式で求められ
る。
【0019】繊維間隙占有率(%) =樹脂Bの繊維間隙空
間を占める面積/繊維間隙面積次に、本発明の防汚性布
帛の製造方法について説明する。本発明で使用されるガ
ラス転移温度が0℃以下である合成重合体樹脂Aの状態
は溶液、特にエマルジョンであることが、高濃度でも低
粘度溶液を調整することができるので、好ましい。該合
成重合体樹脂の濃度は、その固形分が20〜40wt%
であることが好ましい。濃度が20%未満であると、風
合いが硬くなる原因となり、逆に40%を越える濃度で
あると風合いは柔らかくなるもののシ−ト状になるため
好ましくない。
間を占める面積/繊維間隙面積次に、本発明の防汚性布
帛の製造方法について説明する。本発明で使用されるガ
ラス転移温度が0℃以下である合成重合体樹脂Aの状態
は溶液、特にエマルジョンであることが、高濃度でも低
粘度溶液を調整することができるので、好ましい。該合
成重合体樹脂の濃度は、その固形分が20〜40wt%
であることが好ましい。濃度が20%未満であると、風
合いが硬くなる原因となり、逆に40%を越える濃度で
あると風合いは柔らかくなるもののシ−ト状になるため
好ましくない。
【0020】かかる合成重合体樹脂液に布帛を浸漬し
て、布帛に樹脂Aを含浸させ、次いで該樹脂を凝固させ
る。かかる凝固方法としては、乾式、湿式いずれの方法
でもよいが、樹脂Aの表面状態からすると乾式の方が好
ましい。乾式で凝固させるためにはピンテンター、乾燥
オーブン、赤外線ヒーターなどの適当な加熱手段を使用
し、樹脂Aの溶媒を熱処理などで蒸発させて凝固させ
る。このように樹脂Aを含浸・凝固せしめた布帛に、多
官能性ポリイソシアネートを主成分とする樹脂Bを含浸
あるいは塗布する。かかる樹脂Bの状態は、可溶性溶媒
に溶かした液体であることが好ましい。該樹脂Bの濃度
は、塗布方法によって異なってくるが、含浸あるいはス
プレー噴霧する場合は、10wt%〜20wt%の範
囲、また、ナイフコーターなどを使用してコーティング
する場合は、20wt%〜40wt%の範囲であること
が、加工性の上から好ましく使用される。
て、布帛に樹脂Aを含浸させ、次いで該樹脂を凝固させ
る。かかる凝固方法としては、乾式、湿式いずれの方法
でもよいが、樹脂Aの表面状態からすると乾式の方が好
ましい。乾式で凝固させるためにはピンテンター、乾燥
オーブン、赤外線ヒーターなどの適当な加熱手段を使用
し、樹脂Aの溶媒を熱処理などで蒸発させて凝固させ
る。このように樹脂Aを含浸・凝固せしめた布帛に、多
官能性ポリイソシアネートを主成分とする樹脂Bを含浸
あるいは塗布する。かかる樹脂Bの状態は、可溶性溶媒
に溶かした液体であることが好ましい。該樹脂Bの濃度
は、塗布方法によって異なってくるが、含浸あるいはス
プレー噴霧する場合は、10wt%〜20wt%の範
囲、また、ナイフコーターなどを使用してコーティング
する場合は、20wt%〜40wt%の範囲であること
が、加工性の上から好ましく使用される。
【0021】かかる樹脂Bの成分としては、ポリウレタ
ン樹脂の反応性水酸基に対して多官能性ポリイソシアネ
ートのイソシアネート基が過剰に存在しなければならな
い。かかる過剰量としては、好ましくは通常、当量反応
で用いられる使用量の約10〜50倍量である。
ン樹脂の反応性水酸基に対して多官能性ポリイソシアネ
ートのイソシアネート基が過剰に存在しなければならな
い。かかる過剰量としては、好ましくは通常、当量反応
で用いられる使用量の約10〜50倍量である。
【0022】以上のように塗布された樹脂B液を凝固さ
せるには、常温でも架橋は進行するが、熱処理を行えば
早く反応を完結させることができる。かかる熱処理の温
度は、イソシアネートの種類によって異なるが、120
〜150℃の範囲の条件が使用される。しかし、たとえ
ば、ブロックイソシアネートなどの封鎖剤によっては、
150℃以上の温度で処理する場合がある。かかる熱処
理によって、ウレタン中の反応性水酸基とイソシアネー
トが反応し、かかる反応に関与しなかったイソシアネー
トはウレタン樹脂中のアミンと結合する。かかるアミン
との結合にも関与しなかったイソシアネートは空気中の
水と反応し、カルバミド酸を経てアミンとなり多官能性
ポリイソシアネートどうしでお互いに架橋することにな
る。かかる各種の反応の結果、樹脂Bの凝固反応は完結
し、本発明の防汚性布帛が得られる。
せるには、常温でも架橋は進行するが、熱処理を行えば
早く反応を完結させることができる。かかる熱処理の温
度は、イソシアネートの種類によって異なるが、120
〜150℃の範囲の条件が使用される。しかし、たとえ
ば、ブロックイソシアネートなどの封鎖剤によっては、
150℃以上の温度で処理する場合がある。かかる熱処
理によって、ウレタン中の反応性水酸基とイソシアネー
トが反応し、かかる反応に関与しなかったイソシアネー
トはウレタン樹脂中のアミンと結合する。かかるアミン
との結合にも関与しなかったイソシアネートは空気中の
水と反応し、カルバミド酸を経てアミンとなり多官能性
ポリイソシアネートどうしでお互いに架橋することにな
る。かかる各種の反応の結果、樹脂Bの凝固反応は完結
し、本発明の防汚性布帛が得られる。
【0023】本発明の樹脂含浸防汚性布帛を図面により
説明する。図1は、本発明の樹脂含浸防汚性布帛の断面
を示す模式図である。図中、1は樹脂A層であり、2は
樹脂Aを被覆率95%以上の割合で偏在している樹脂B
層である。なお、樹脂Bは、単繊維3と単繊維3との間
隙である繊維間隙4に存在しないものがよく、好ましく
はその占有率が10%以下である。
説明する。図1は、本発明の樹脂含浸防汚性布帛の断面
を示す模式図である。図中、1は樹脂A層であり、2は
樹脂Aを被覆率95%以上の割合で偏在している樹脂B
層である。なお、樹脂Bは、単繊維3と単繊維3との間
隙である繊維間隙4に存在しないものがよく、好ましく
はその占有率が10%以下である。
【0024】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明する。実施例中、部は重量部を示す。なお、実施例
の汚れ除去性は、実用汚れに対する拭き取り除去性で評
価した。その評価方法は、下記の方法、条件で行なっ
た。
説明する。実施例中、部は重量部を示す。なお、実施例
の汚れ除去性は、実用汚れに対する拭き取り除去性で評
価した。その評価方法は、下記の方法、条件で行なっ
た。
【0025】[実用汚れに対する拭き取り除去性]実用汚れの種類 1.B重油 2.変性タンパク(卵+1%カーボンブラック) 3.口紅 4.油性インキ の4つの汚れに対して、以下のような方法で拭き取りに
よる汚れ除去性の試験を行なった。
よる汚れ除去性の試験を行なった。
【0026】試験方法 試験布(5cm×5cm)に汚染液を1滴滴下し、その上
からガラス板を被せ、700gの荷重をかけて30秒間
静置させる。なお、変性タンパクについてだけは、汚染
液を1滴滴下し、その上からガラス板を被せ、100g
の荷重をかけたまま80℃で30分間熱変性させる方法
を採用した。 30秒経過後、静かに荷重とガラス板を取除き、余剰
汚染液の上から清潔なテッシュペーパー(十條キンバリ
ー株式会社製、商品名キムワイプ:ワイパーS-200 )を
静かにあてて拭い取る。 その後、新しいテッシュペーパーに中性洗剤希釈溶液
(油性インキはラッカーシンナー)を含ませ、約200
gの荷重をかけながら、常に該ペーパーのきれいなとこ
ろで拭き取るように注意しながら、試験布の縦、横方向
にそれぞれ20回ずつ拭き取り操作を行なった。 汚れ除去性の効果を、拭き取った後の布帛と汚染前の
布帛を、汚染用グレースケールを用いて比較し、級によ
り判定した。
からガラス板を被せ、700gの荷重をかけて30秒間
静置させる。なお、変性タンパクについてだけは、汚染
液を1滴滴下し、その上からガラス板を被せ、100g
の荷重をかけたまま80℃で30分間熱変性させる方法
を採用した。 30秒経過後、静かに荷重とガラス板を取除き、余剰
汚染液の上から清潔なテッシュペーパー(十條キンバリ
ー株式会社製、商品名キムワイプ:ワイパーS-200 )を
静かにあてて拭い取る。 その後、新しいテッシュペーパーに中性洗剤希釈溶液
(油性インキはラッカーシンナー)を含ませ、約200
gの荷重をかけながら、常に該ペーパーのきれいなとこ
ろで拭き取るように注意しながら、試験布の縦、横方向
にそれぞれ20回ずつ拭き取り操作を行なった。 汚れ除去性の効果を、拭き取った後の布帛と汚染前の
布帛を、汚染用グレースケールを用いて比較し、級によ
り判定した。
【0027】実施例1 布帛として、ポリエステルタフタ(縦−横;75デニー
ル×36フィラメント、織密度;縦98本/インチ、横
84本/インチ、目付;64 g/ m2 )を用意した。こ
の布帛に、樹脂A成分としてジメチルポリシロキサンタ
イプのシリコーン樹脂(東レダウコーニングシリコーン
株式会社製、商品名、SM8705、Tg:約−120
℃)固形分30wt%エマルジョン溶液でパディング処
理を行ない、150℃にて2分間、熱処理を行なった。
ル×36フィラメント、織密度;縦98本/インチ、横
84本/インチ、目付;64 g/ m2 )を用意した。こ
の布帛に、樹脂A成分としてジメチルポリシロキサンタ
イプのシリコーン樹脂(東レダウコーニングシリコーン
株式会社製、商品名、SM8705、Tg:約−120
℃)固形分30wt%エマルジョン溶液でパディング処
理を行ない、150℃にて2分間、熱処理を行なった。
【0028】樹脂Aでパディング処理を施した布帛に樹
脂B成分として多官能性ポリイソシアネート(日本ポリ
ウレタン株式会社製、商品名、コロネートHL)40部
とポリウレタン樹脂(大日本インキ株式会社製、商品
名、クリスボン6116SL)40部、更に、希釈溶剤
としてメチルエチルケトン13.3部、ジメチルホルム
アミド6.7部を添加し攪拌混合して調整された溶液
(樹脂B成分における固形分重量比、イソシアネート:
ポリウレタン=70:30)を、フローティングナイフ
コーターを用いて塗布した後、150℃にて2分間、熱
処理を行なった。この布帛を室温にて48時間放置し
て、樹脂含浸防汚性布帛を得た。
脂B成分として多官能性ポリイソシアネート(日本ポリ
ウレタン株式会社製、商品名、コロネートHL)40部
とポリウレタン樹脂(大日本インキ株式会社製、商品
名、クリスボン6116SL)40部、更に、希釈溶剤
としてメチルエチルケトン13.3部、ジメチルホルム
アミド6.7部を添加し攪拌混合して調整された溶液
(樹脂B成分における固形分重量比、イソシアネート:
ポリウレタン=70:30)を、フローティングナイフ
コーターを用いて塗布した後、150℃にて2分間、熱
処理を行なった。この布帛を室温にて48時間放置し
て、樹脂含浸防汚性布帛を得た。
【0029】この布帛は、布帛の布帛重量に対する全樹
脂量:18wt%、全樹脂量に対する樹脂B成分の比
率:28%、樹脂A成分に対する樹脂B成分の被覆率:
100%、樹脂B成分による繊維間隙占有率:0%であ
った。この樹脂含浸防汚性布帛の汚れ除去性を調べ、結
果を表1に示した。表1からわかるように、風合いが柔
らかく、汚れ除去性に優れた防汚性布帛が得られる。
脂量:18wt%、全樹脂量に対する樹脂B成分の比
率:28%、樹脂A成分に対する樹脂B成分の被覆率:
100%、樹脂B成分による繊維間隙占有率:0%であ
った。この樹脂含浸防汚性布帛の汚れ除去性を調べ、結
果を表1に示した。表1からわかるように、風合いが柔
らかく、汚れ除去性に優れた防汚性布帛が得られる。
【0030】実施例2 実施例1において、樹脂A成分の濃度を固形分5wt%
エマルジョン溶液で含浸を行なった以外は実施例1と同
じ方法、同じ条件で処理して、樹脂含浸防汚布帛をつく
った。この樹脂含浸防汚布帛は、布帛重量に対する全樹
脂量:18wt%、全樹脂量に対する樹脂B成分の比
率:85%、樹脂A成分に対する樹脂B成分の被覆率:
100%、樹脂B成分による繊維間隙占有率:15%で
あった。この樹脂含浸防汚布帛の汚れ除去性を調べ、結
果を表1に示した。表1からわかるように、汚れ除去性
は優れているが、樹脂Bの繊維間隙占有率が15%と高
いため風合いが少し硬い防汚性布帛が得られる。
エマルジョン溶液で含浸を行なった以外は実施例1と同
じ方法、同じ条件で処理して、樹脂含浸防汚布帛をつく
った。この樹脂含浸防汚布帛は、布帛重量に対する全樹
脂量:18wt%、全樹脂量に対する樹脂B成分の比
率:85%、樹脂A成分に対する樹脂B成分の被覆率:
100%、樹脂B成分による繊維間隙占有率:15%で
あった。この樹脂含浸防汚布帛の汚れ除去性を調べ、結
果を表1に示した。表1からわかるように、汚れ除去性
は優れているが、樹脂Bの繊維間隙占有率が15%と高
いため風合いが少し硬い防汚性布帛が得られる。
【0031】実施例3 実施例1において、樹脂B成分からなる樹脂溶液濃度
(各溶媒量不明)を下げ、多官能性ポリイソシアネート
3部とポリウレタン樹脂3部(樹脂B成分における固形
分重量比、イソシアネート:ポリウレタン=70:3
0)とした以外は、実施例1と同じ方法、同じ条件で処
理して、樹脂含浸防汚布帛をつくった。
(各溶媒量不明)を下げ、多官能性ポリイソシアネート
3部とポリウレタン樹脂3部(樹脂B成分における固形
分重量比、イソシアネート:ポリウレタン=70:3
0)とした以外は、実施例1と同じ方法、同じ条件で処
理して、樹脂含浸防汚布帛をつくった。
【0032】この樹脂含浸防汚布帛は、布帛の布帛重量
に対する全樹脂量:17wt%、全樹脂量に対する樹脂
B成分の比率:9%、樹脂A成分に対する樹脂B成分の
被覆率:65%、樹脂B成分による繊維間隙占有率:0
%であった。この樹脂含浸防汚布帛の汚れ除去性を調
べ、結果を表1に示した。表1からわかるように、風合
いは柔らかいが、樹脂Bによる被覆率が低いため、溶媒
系の汚れ除去性の少し低い防汚性布帛が得られる。
に対する全樹脂量:17wt%、全樹脂量に対する樹脂
B成分の比率:9%、樹脂A成分に対する樹脂B成分の
被覆率:65%、樹脂B成分による繊維間隙占有率:0
%であった。この樹脂含浸防汚布帛の汚れ除去性を調
べ、結果を表1に示した。表1からわかるように、風合
いは柔らかいが、樹脂Bによる被覆率が低いため、溶媒
系の汚れ除去性の少し低い防汚性布帛が得られる。
【0033】実施例4 実施例1において、樹脂B成分の多官能性ポリイソシア
ネートの配合量を5部(樹脂B成分における固形分重量
比、イソシアネート:ポリウレタン=22:78)とし
た以外は、実施例1と同じ方法、同じ条件で処理して、
樹脂含浸防汚布帛をつくった。
ネートの配合量を5部(樹脂B成分における固形分重量
比、イソシアネート:ポリウレタン=22:78)とし
た以外は、実施例1と同じ方法、同じ条件で処理して、
樹脂含浸防汚布帛をつくった。
【0034】この樹脂含浸防汚布帛は、布帛の布帛重量
に対する全樹脂量:24wt%、全樹脂量に対する樹脂
B成分の比率:34%、樹脂A成分に対する樹脂B成分
の被覆率:100%、樹脂B成分による繊維間隙占有
率:0%であった。この樹脂含浸防汚布帛の汚れ除去性
を調べ、結果を表1に示した。表1からわかるように、
風合いは柔らかいが、多官能性ポリイソシアネ−ト添加
量が少ないため、溶媒系の汚れ除去性の少し低い防汚性
布帛が得られる。
に対する全樹脂量:24wt%、全樹脂量に対する樹脂
B成分の比率:34%、樹脂A成分に対する樹脂B成分
の被覆率:100%、樹脂B成分による繊維間隙占有
率:0%であった。この樹脂含浸防汚布帛の汚れ除去性
を調べ、結果を表1に示した。表1からわかるように、
風合いは柔らかいが、多官能性ポリイソシアネ−ト添加
量が少ないため、溶媒系の汚れ除去性の少し低い防汚性
布帛が得られる。
【0035】実施例5 樹脂A成分として、樹脂を変更してアクリル樹脂(大日
本インキ株式会社製、商品名、クリスコートP−101
8、Tg:−32℃)固形分10wt%溶液を用いた以
外は実施例1と同じ方法、同じ条件で処理して、樹脂含
浸防汚布帛をつくった。
本インキ株式会社製、商品名、クリスコートP−101
8、Tg:−32℃)固形分10wt%溶液を用いた以
外は実施例1と同じ方法、同じ条件で処理して、樹脂含
浸防汚布帛をつくった。
【0036】この樹脂含浸防汚布帛は、布帛重量に対す
る全樹脂量:12wt%、全樹脂量に対する樹脂B成分
の比率:43%、樹脂A成分に対する樹脂B成分の被覆
率:100%、樹脂B成分による繊維間隙占有率:0%
であった。この樹脂含浸防汚布帛の汚れ除去性を調べ、
結果を表1に示した。表1からわかるように、樹脂A成
分がシリコ−ンからアクリルに変ったため、風合いは少
し硬いが、汚れ除去性の優れた防汚性布帛が得られる。
る全樹脂量:12wt%、全樹脂量に対する樹脂B成分
の比率:43%、樹脂A成分に対する樹脂B成分の被覆
率:100%、樹脂B成分による繊維間隙占有率:0%
であった。この樹脂含浸防汚布帛の汚れ除去性を調べ、
結果を表1に示した。表1からわかるように、樹脂A成
分がシリコ−ンからアクリルに変ったため、風合いは少
し硬いが、汚れ除去性の優れた防汚性布帛が得られる。
【0037】比較例1 実施例1において、樹脂Bによる被覆処理を行なわなか
った以外は、実施例1と同じ方法で処理して、樹脂含浸
布帛をつくった。この樹脂含浸布帛は、布帛重量に対す
る全樹脂量:11wt%、全樹脂量に対する樹脂B成分
の比率:0%であった。この樹脂含浸布帛の汚れ除去性
を調べ、結果を表1に示した。表1からわかるように、
樹脂B成分による被覆がないため、風合いは柔らかい
が、溶媒系の汚れ除去性に乏しい布帛であった。
った以外は、実施例1と同じ方法で処理して、樹脂含浸
布帛をつくった。この樹脂含浸布帛は、布帛重量に対す
る全樹脂量:11wt%、全樹脂量に対する樹脂B成分
の比率:0%であった。この樹脂含浸布帛の汚れ除去性
を調べ、結果を表1に示した。表1からわかるように、
樹脂B成分による被覆がないため、風合いは柔らかい
が、溶媒系の汚れ除去性に乏しい布帛であった。
【0038】比較例2 実施例1において、樹脂Aによる含浸処理を行なわなか
った以外は実施例1と同じ方法で処理して、樹脂含浸布
帛をつくった。この樹脂含浸布帛は、布帛重量に対する
全樹脂量:18wt%、全樹脂量に対する樹脂B成分の
比率:100%、樹脂B成分による繊維間隙占有率:8
0%であった。この樹脂含浸布帛の汚れ除去性を調べ、
結果を表1に示した。表1からわかるように、汚れ除去
性は優れているが、樹脂A成分による繊維間隙の充填が
ないので、風合いが非常に硬い布帛であった。
った以外は実施例1と同じ方法で処理して、樹脂含浸布
帛をつくった。この樹脂含浸布帛は、布帛重量に対する
全樹脂量:18wt%、全樹脂量に対する樹脂B成分の
比率:100%、樹脂B成分による繊維間隙占有率:8
0%であった。この樹脂含浸布帛の汚れ除去性を調べ、
結果を表1に示した。表1からわかるように、汚れ除去
性は優れているが、樹脂A成分による繊維間隙の充填が
ないので、風合いが非常に硬い布帛であった。
【0039】比較例3 実施例1において、樹脂B成分に多官能性ポリイソシア
ネートを用いなかった以外は実施例1と同じ方法で処理
して、樹脂含浸布帛をつくった。この樹脂含浸布帛は、
布帛重量に対する全樹脂量:26wt%、全樹脂量に対
する樹脂B成分の比率:30%、樹脂A成分に対する樹
脂B成分の被覆率:100%、樹脂B成分による繊維間
隙占有率:0%であった。この樹脂含浸布帛の汚れ除去
性を調べ、結果を表1に示した。表1からわかるよう
に、風合いは柔らかいが、多官能性ポリイソシアネート
が存在しないので、溶媒系の汚れ除去性に乏しい布帛で
あった。
ネートを用いなかった以外は実施例1と同じ方法で処理
して、樹脂含浸布帛をつくった。この樹脂含浸布帛は、
布帛重量に対する全樹脂量:26wt%、全樹脂量に対
する樹脂B成分の比率:30%、樹脂A成分に対する樹
脂B成分の被覆率:100%、樹脂B成分による繊維間
隙占有率:0%であった。この樹脂含浸布帛の汚れ除去
性を調べ、結果を表1に示した。表1からわかるよう
に、風合いは柔らかいが、多官能性ポリイソシアネート
が存在しないので、溶媒系の汚れ除去性に乏しい布帛で
あった。
【0040】比較例4 実施例1において、樹脂Aの樹脂を変更してウレタン・
アクリル系樹脂(日本純薬株式会社製、商品名、アクリ
デンMP−73、Tg:20℃)固形分45wt%エマ
ルジョン溶液を用いた以外は実施例1と同じ方法、同じ
条件で処理して、樹脂含浸防汚布帛をつくった。この樹
脂含浸防汚布帛は、布帛重量に対する全樹脂量:20w
t%、全樹脂量に対する樹脂B成分の比率:42%、樹
脂A成分に対する樹脂B成分の被覆率:100%、樹脂
B成分による繊維間隙占有率:0%であった。この樹脂
含浸布帛の汚れ除去性を調べ、結果を表1に示した。表
1からわかるように、汚れ除去性は優れているが、樹脂
A成分としてTg0℃以上の樹脂が存在しないので、風
合いの硬い布帛であった。
アクリル系樹脂(日本純薬株式会社製、商品名、アクリ
デンMP−73、Tg:20℃)固形分45wt%エマ
ルジョン溶液を用いた以外は実施例1と同じ方法、同じ
条件で処理して、樹脂含浸防汚布帛をつくった。この樹
脂含浸防汚布帛は、布帛重量に対する全樹脂量:20w
t%、全樹脂量に対する樹脂B成分の比率:42%、樹
脂A成分に対する樹脂B成分の被覆率:100%、樹脂
B成分による繊維間隙占有率:0%であった。この樹脂
含浸布帛の汚れ除去性を調べ、結果を表1に示した。表
1からわかるように、汚れ除去性は優れているが、樹脂
A成分としてTg0℃以上の樹脂が存在しないので、風
合いの硬い布帛であった。
【0041】比較例5 実施例1で用いたポリエステルタフタをフッ素系撥水剤
(旭硝子株式会社製、商品名、アサヒガードAG−71
0)4wt%分散液でパディング処理し、100℃にて
1分間乾燥し、さらに180℃にて1分間硬化処理を行
って、樹脂含浸布帛をつくった。この樹脂含浸布帛は、
布帛重量に対する全樹脂量:3wt%であった。この樹
脂含浸布帛の汚れ除去性を調べ、結果を表1に示した。
表1からわかるように、風合いは柔らかいが、単繊維間
隙が充填されていないので、汚れ除去性のない布帛であ
った。
(旭硝子株式会社製、商品名、アサヒガードAG−71
0)4wt%分散液でパディング処理し、100℃にて
1分間乾燥し、さらに180℃にて1分間硬化処理を行
って、樹脂含浸布帛をつくった。この樹脂含浸布帛は、
布帛重量に対する全樹脂量:3wt%であった。この樹
脂含浸布帛の汚れ除去性を調べ、結果を表1に示した。
表1からわかるように、風合いは柔らかいが、単繊維間
隙が充填されていないので、汚れ除去性のない布帛であ
った。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明は、繊維布帛への汚染物浸透によ
る汚れ除去困難性の問題、洗濯不可能な分野での防汚性
の問題を解決し、汚れを拭き取りにより簡単に除去でき
る布帛を提供できるので、洗濯ができない用途分野で極
めて有効に利用することができる。
る汚れ除去困難性の問題、洗濯不可能な分野での防汚性
の問題を解決し、汚れを拭き取りにより簡単に除去でき
る布帛を提供できるので、洗濯ができない用途分野で極
めて有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この図は、本発明の樹脂含浸防汚性布帛の断
面を示す模式図である。
面を示す模式図である。
1:樹脂A 2:樹脂B 3:単繊維 4:単繊維間隙(一点鎖線内側)
Claims (6)
- 【請求項1】 樹脂を含浸せしめてなる布帛において、
該含浸樹脂が少なくともA、B2種類から成り、該樹脂
Aがガラス転移温度0℃以下の合成重合体であり、該樹
脂Bが多官能性ポリイソシアネートを主成分とする架橋
生成物であり、かつ、該樹脂Bが該樹脂Aの表面部分に
偏在していることを特徴とする樹脂含浸防汚布帛。 - 【請求項2】 含浸樹脂重量が、布帛重量に対して3〜
30wt%の範囲にあり、かつ、含浸樹脂重量に対する
樹脂Bの重量比率が10〜50%以下である請求項1記
載の樹脂含浸防汚布帛。 - 【請求項3】 樹脂Bが、その固形分の少なくとも50
wt%が多官能性ポリイソシアネートであって、残りの
樹脂としてポリウレタン樹脂を含有する請求項1記載の
樹脂含浸防汚布帛。 - 【請求項4】 樹脂Bが、樹脂Aの95%以上を被覆す
る請求項1記載の樹脂含浸防汚布帛。 - 【請求項5】 樹脂Bが、繊維間隙に10%以下の割合
で含有されている請求項1記載の樹脂含浸防汚布帛。 - 【請求項6】 ガラス転移温度が0℃以下である合成重
合体からなる樹脂Aの溶液に布帛を浸漬し、次いで該樹
脂Aを凝固させた後、多官能性ポリイソシアネートを主
成分とする樹脂Bの溶液を含浸あるいは塗布し、次いで
該樹脂Bを凝固させることを特徴とする樹脂含浸防汚布
帛の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2696692A JPH05222678A (ja) | 1992-02-13 | 1992-02-13 | 樹脂含浸防汚布帛 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2696692A JPH05222678A (ja) | 1992-02-13 | 1992-02-13 | 樹脂含浸防汚布帛 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05222678A true JPH05222678A (ja) | 1993-08-31 |
Family
ID=12207902
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2696692A Pending JPH05222678A (ja) | 1992-02-13 | 1992-02-13 | 樹脂含浸防汚布帛 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05222678A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016000874A (ja) * | 2014-06-12 | 2016-01-07 | セーレン株式会社 | 汚れ除去性布帛 |
-
1992
- 1992-02-13 JP JP2696692A patent/JPH05222678A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016000874A (ja) * | 2014-06-12 | 2016-01-07 | セーレン株式会社 | 汚れ除去性布帛 |
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