JPH05214035A - エチレン共重合体フイルム - Google Patents

エチレン共重合体フイルム

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JPH05214035A
JPH05214035A JP16332192A JP16332192A JPH05214035A JP H05214035 A JPH05214035 A JP H05214035A JP 16332192 A JP16332192 A JP 16332192A JP 16332192 A JP16332192 A JP 16332192A JP H05214035 A JPH05214035 A JP H05214035A
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melting point
ethylene copolymer
ethylene
copolymer
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研一 冨成
Hiroshi Inoue
洋 井上
Katsuyuki Sakai
勝幸 酒井
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 組成分布特性、分岐度分布特性、ランダム特
性、DSC融点による結晶性特性、結晶化度及び分子量
分布等の諸特性の結合において新規なエチレン共重合体
のフイルム。 【効果】 透明性、耐衝撃性、耐ブロッキング性、耐環
境応力亀裂性、低温ヒートシール性等に優れ、これらの
特性をバランス良く保持している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、組成分布特性、分岐度分布特
性、ランダム特性、示差走査型熱量計によつて測定した
融点(以下、DSC融点と略記することがある)による
結晶性特性、X線回折法による結晶化度及び分子量分布
等の諸特性の結合において新規なエチレン・α−オレフ
イン共重合体からなるフイルムに関する。さらに詳細に
は、密度が0.90g/cm3以上では透明性、耐衝撃
性、耐引裂性、耐ブロツキング性、耐環境応力亀裂性、
耐熱性及び低温ヒートシール性などに優れ、かつこれら
の諸性質をバランスよく兼ね備えたエチレン・α−オレ
フイン共重合体フイルムを提供するものである。
【0002】従来、エチレン系重合体及び共重合体とし
て種々の重合体及び共重合体が提案されて公知である。
これらのエチレン系重合体及び共重合体のうちで、高圧
法低密度ポリエチレン(以下、HP−LDPEと略記す
ることがある)は、柔難でかつ比較的透明性が良好であ
るので、例えばフイルム、中空容器、中空成形品、パイ
プ、鋼管被覆材、電線被覆材、発泡成形品、その他の広
い用途において使用されている。しかしながら、HP−
LDPEは耐衝撃性、耐引裂性、耐環境応力亀裂性(以
下、ESCRと略記することがある)などに劣るという
難点があるため、これらの性能の要求される用途の分野
においてはその利用に制約を受けていた。
【0003】他方、中低圧条件下でエチレンとα−オレ
フインを共重合して得られる低密度ポリエチレン(以
下、L−LDPEと略記することがある)は、HP−L
DPEに比べて機械的強度、ESCRに優れかつ透明性
も良好であるため、一部の用途分野においてHP−LD
PEに代わる素材として注目されている。最近、製袋
機、充填包装機などの包装機械の高速度化及び包装材の
薄肉高強度化に対する要求が著しい。しかし、L−LD
PEはこれらの用途の中で該性能の厳しく要求される分
野では機械的強度、光学的特性及びヒートシール性がま
だ充分ではなく、これらの性能の改善が要求されてお
り、しかもこれらの性質と前記他の性質とをバランスよ
く兼備したエチレン共重合体の開発が望まれていた。
【0004】本出願人は、このような要望にこたえるた
めに新規エチレン共重合体の開発を行い、米国特許第4
205021号(対応、特開昭53−92887号公
報)に提案した。しかしながら、この提案に具体的に開
示されたエチレン共重合体は組成分布特性が広く、低結
晶性組成成分を無視できない量で含有するため、その使
用目的及び用途によつては耐ブロツキング性に改善の余
地があつた。
【0005】一方、耐ブロツキング性の改良に着目した
エチレン共重合体として、特開昭57−105411号
公報には、メルトフローレートが0.1〜100g/1
0minであり、密度が0.91〜0.94g/cm3
あり、単位非晶当りのキシレン吸収率(Y)と結晶化度
(X)との関係が式
【0006】
【数6】Y<−0.80X+0.67 で表わされ、かつDSC融点が単一であるエチレン共重
合体が提案されている。しかし、このエチレン共重合体
も耐熱性と低温ヒートシール性のバランスが悪く、低温
ヒートシール性を向上させようとすると耐熱性が悪化
し、一方耐熱性を向上させようとすると低温ヒートシー
ル性が低下するようになるという欠点があり、しかもこ
のエチレン共重合体は耐ブロツキング性に関しても充分
なものではない。
【0007】更に、特開昭57−1206809号公報
には特定の長鎖分岐指数を有しかつ特定の短鎖分岐分布
を有するエチレン・α−オレフイン共重合体が提案され
ている。しかし、このエチレン共重合体は組成分布が広
い点に難点があり、更に透明性、耐衝撃性などの性質も
不満足であり、諸特性をバランスよく兼ね備えた素材と
はなり難いものである。
【0008】また、更に特公昭46−21212号公報
には、バナジウム系触媒を用いて狭い分子量分布を有す
る均一ランダム部分的結晶性共重合体の連続的製造方法
が提案されている。この提案によるエチレン共重合体は
分子量分布が著しく狭くかつ結晶性も著しく低く、これ
らのエチレン共重合体をフイルム、シートなどの用途に
使用しても、耐熱性と低温ヒートシール性をバランスよ
く兼備させることが困難であり、しかも耐ブロツキング
性に劣るという欠点がある。
【0009】本発明者らは、機械的特性、光学的特性、
耐ブロツキング性、耐熱特性、低温ヒートシール性など
の性質に優れ、かつこれらの優れた諸性質をバランスよ
く兼ね備えたエチレン共重合体の開発を目的として鋭意
検討を行つたところ、エチレン・α−オレフイン共重合
体においてその組成分布特性、分岐度特性、ランダム性
特性、DSC融点特性、結晶化度、分子量分布などの組
み合わせによつて特定された共重合体が前記諸性質に優
れかつ諸性質をバランスよく兼備することを見出した。
さらに、この新しい知見に基づいて研究を進めた結果、
後記諸特性条件を共に満足するエチレン・α−オレフイ
ン共重合体が容易に製造でき、密度が0.90g/cm3
以上で、透明性、耐衝撃性、耐引裂性、耐ブロツキング
性、耐環境応力亀裂性、耐熱性及び低温ヒートシール性
などに優れ且つこれらの優れた諸性質をバランスよく兼
ね備えた従来文献未記載のエチレン共重合体となり、ま
た密度が0.90g/cm3未満で、透明性、耐衝撃性、
低温ヒートシール性に優れかつバナジウム系触媒を用い
て製造される均一ランダム部分的結晶性共重合体より分
子量分布が広く成形性が良好で、かつ種々の熱可塑性樹
脂に配合することにより耐衝撃性及び低温ヒートシール
性を改善する優れた改質剤としての性能を有する従来文
献未記載のエチレン共重合体となることを見出した。
【0010】従つて、本発明の目的は新しいタイプのエ
チレン共重合体フイルムを提供するにある。
【0011】即ち、本発明は、エチレンと炭素原子数が
4〜20の範囲にあるα−オレフインとからなる実質上
線状構造を有するエチレン・α−オレフインランダム共
重合体であり、且つ下記(A)〜(J)の要件、 (A) ASTM D 1238Eによつて測定したメル
トフローレートが0.01〜200g/10minの範
囲にあること、 (B) 密度が0.850〜0.930g/cm3の範囲
にあること、 (C) 一般式[I]
【0012】
【数7】U=(Cw/Cn−1)×100 [I] [式中、Cwは重量平均分岐度を示し、Cnは数平均分
岐度を示す。]で表わされる組成分布パラメーター
(U)が50以下であること、 (D) 1000個の炭素原子中の分岐度が2個以下の
組成成分のエチレン共重合体中に占める割合が10重量
%以下であること、 (E) 1000個の炭素原子中の分岐度が30個以上
の組成成分のエチレン共重合体中に占める割合が70重
量%以下であること、 (F) メチレン基の平均連鎖長比が2.0以下にある
こと、 (G) 示差走査熱量計によつて測定した融点が1個又
は複数個(n個、n≧2)存在し、かつ (i) 融点(T1)は、一般式[II]
【0013】
【数8】 (175×d−46)℃〜125℃ [II] [ここで、T1は複数個の融点が存在する場合には、最
高融点の値(℃)を示し、式中dはエチレン共重合体の
密度(g/cm3)を示す。]で表わされる範囲にあ
り、(ii) 複数個(n個)の融点が存在する場合に
は、該最高融点(T1℃)とそれらの複数個の融点のう
ちの最低融点(Tn℃)との差が一般式[III]
【0014】
【数9】 18<T1−Tn≦65 [III] で表わされる範囲にあり、かつ (iii) 該最高融点(T1℃)とそれらの複数個の融点
のうちの第二番目に高い融点(T2℃)との差が一般式
[IV]
【0015】
【数10】 0<T1−T2≦20 [IV] で表わされる範囲にあり[但し、融点ピークが2個(n
=2)の場合には該一般式[IV]に従うものとす
る。]、 (H) 該融点(T1℃)における結晶融解熱量(H1
と全結晶融解熱量(HT)との比が一般式[V]
【0016】
【数11】0<H1/HT≦0.40
[V] で表わされる範囲にあること、 (I) X線回折法で測定した結晶化度が15ないし7
0%の範囲にあること、 (J) ゲルパーミエイシヨンクロマトグラフイーで測
定した分子量分布(Mw/Mn)が2.5ないし10の
範囲にあること、によつて特徴づけられるエチレン共重
合体からなるフイルム、を発明の要旨とするものでる。
【0017】本発明の上記目的及び更には多くの他の目
的ならびに利点は、以下の記載から一層明らかとなるで
あろう。
【0018】本発明のエチレン共重合体フイルムは前記
(A)〜(J)の特性によつて特定される。以下、各特
性について詳しく述べる。
【0019】本発明のフイルムを形成するエチレン共重
合体は、エチレンと炭素原子数が4〜20の範囲にある
α−オレフインとからなる実質上線状構造を有するエチ
レン・α−オレフインランダム共重合体である。ここ
で、α−オレフイン成分単位は、炭素原子数が4〜20
のα−オレフイン、好ましくは4〜18のα−オレフイ
ン、特に好ましくは4〜12のα−オレフインであり、
これらの1種または2種以上の混合成分であつても差し
つかえない。このようなα−オレフイン成分単位として
具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オ
クテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクダデ
センなどを例示することができる。本発明のエチレン共
重合体を構成するα−オレフイン成分単位の含有率は、
前記(C)、(D)及び(E)によつて特定される組成
分布を満足する範囲において任意であるが、通常は0.
5〜40モル%、好ましくは0.5〜30モル%、特に
好ましくは1.5〜20モル%の範囲である。
【0020】本発明のフイルムを形成するエチレン共重
合体は、実質上線状構造を有している。ここで、実質上
の線状構造とは、前記α−オレフインに基づく分岐を有
する線状構造を意味し、長鎖分岐及び架橋構造を有しな
いことを意味する。このことは、該エチレン共重合体が
130℃のn−デカン溶媒中に完全に溶解することによ
つて確認される。
【0021】本発明のエチレン共重合体は、(A)メル
トフローレート(以下、MFRと略記することがある)
が0.01〜200g/10min、好ましくは0.05
〜150g/10minの範囲にある。該MFRが20
0g/10minを越えて大きくなると成形性及び機械
的強度が劣るようになり、0.01g/10min未満
で小さくなつても成形性が低下するようになり不都合で
ある。まお、ここで(A)MFRはASTM D 123
8Eにより測定した値である。
【0022】本発明のエチレン共重合体は、(B)密度
が0.850〜0.930g/cm3、好ましくは0.88
0〜0.930g/cm3である。該密度が0.930g
/cm3を越えて大きすぎると透明性、耐引裂性、耐衝
撃性、低温ヒートシール性が低下し、0.850g/c
3未満で小さすぎると耐ブロツキング性が著しく劣る
不都合を伴う。尚、本発明において、(B)密度はAS
TM D 1505により測定された値である。
【0023】本発明のエチレン共重合体は、(C)一般
式[I]
【0024】
【数12】 U=100×(Cw/Cn−1)・・・[I](1) [但し式中、Cwは重量平均分岐度を示し、Cnは数平
均分岐度を示す、]で表わされる組成分布パラメーター
(U)が50以下、例えば0<U≦50、好ましくは4
0以下、さらに好ましくは30以下である。
【0025】該Uは分子量には無関係な共重合体の組成
成分の分布を示すパラメーターであつて、後記特性
(D)、(E)、(F)、(G)などと密接に関連し
て、本発明共重合体の構造を特定する重要な特性の一つ
である。そして、該Uが50を越えて大きすぎると組成
分布が広すぎて、透明性、耐引裂性、耐衝撃性、耐ブロ
ツキング性、低温ヒートシール性に劣つたものとなり、
本発明共重合体の優れた諸性質及びその優れた性能をバ
ランスよく兼備した性質を発揮し難い。尚、本発明に於
て、上記Uを算出する式(1)においてCw及びCnは
以下の方法により測定決定された値である。
【0026】エチレン共重合体の組成分別を行うために
該共重合体をp−キシレンとブチルセロソルブとの混合
溶媒(容量比:80/20)に、耐熱安定剤2,5−ジ
−tert ブチル−4−メチルフエノールの共存下
で、溶解後、硅藻土(商品名セライト560ジヨンマン
ビル社(米)製)にコーテイングしたものを円筒状カラ
ムに充填し、前記混合溶媒と同一組成の溶媒をカラム内
に移送・流出させながら、カラム内温度を30℃から5
℃きざみで120℃迄段階的に上昇させて、コーテイン
グしたエチレン共重合体を分別後メタノールに再沈後、
濾別・乾燥して分別物を得る。次いで各分別物の炭素数
1000当たりの分岐数Cを次の(D)項と同じ13C
−NMR法により求め、分岐数Cと各分別区分の累積重
量分率I(w)とが次の式(2)対数正規分布に従つて
いるとして、最小自乗法によりCw及びCnを求める。
【0027】
【数13】
【0028】但し式中β2
【0029】
【数14】β2=2ln(Cw/Cn) (3) で表わされ、Co2
【0030】
【数15】Co2=Cw×Cn (4) で表わされる。
【0031】本発明のエチレン共重合体は、(D)分岐
度2個/1000C以下(共重合体主鎖炭素1000個
当りの分岐の数が2個以下)の組成成分のエチレン共重
合体中に占める量が10重量%以下、例えば10〜0重
量%、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量
%以下である。
【0032】上記(D)の分岐度条件は、共重合体主鎖
に結合した分岐度の少なすぎる主鎖構造を持つ組成成分
が少量であることを意味するパラメーターであつて、前
記(C)の組成分布パラメーターと密接に関連して、前
記組成分布パラメーター(U)と共に本発明エチレン共
重合体の構造を特定する重要な特性の一つである。そし
て、該分岐度2個/1000C以下の組成成分が10重
量%を越えて過剰に含有される共重合体は、透明性、耐
引裂性、耐衝撃性、低温ヒートシール性に劣り、本発明
共重合体の優れた諸性質及びその優れた性質をバランス
よく兼備した性質を発揮し難い。尚、本発明における分
岐度とは、共重合体主鎖炭素数1000個当たりの分岐
の数であり、以下の方法により測定した値である。すな
わち、G.J.Ray,P.E.Johnson and J.R.Knox.Macromolec
ules,10,773(1977)、に開示された方法に準
じ、炭素−13核磁気共鳴(13C−NMR)スペクトル
により観測されるメチレン炭素のシグナルを用いて、そ
の面積強度より求めた値である。
【0033】更に、本発明のエチレン共重合体は、
(E)分岐度30個/1000C以上の組成成分のエチ
レン共重合体中に占める量が70重量%以下、例えば7
0〜0重量%、好ましくは20重量%以下、より好まし
くは5重量%以下である。
【0034】上記(E)の分岐度条件は、共重合体主鎖
に結合した分岐数の多すぎる主鎖構造を持つ組成成分が
少量であることを意味するパラメーターであつて、前記
(C)の組成分布パラメーター及び前記(D)の分岐度
条件と密接に関連して、前記組成分布パラメーター
(U)及び分岐度条件(C)と共に、本発明エチレン共
重合体の構造を特定する重要な特性の一つである。そし
て、該(E)分岐度30個/1000C以上の組成成分
が70重量%を越えて過剰に含有される共重合体は、耐
ブロツキング性が極端に悪化し、また被接触物を汚染す
るおそれがあり不都合である。尚、該分岐度の測定は、
上記(D)について述べた方法と同様に行うことができ
る。
【0035】本発明のエチレン共重合体は、23℃に於
けるn−デカン可溶分は通常0〜60重量%、好ましく
は0〜5重量%、より好ましくは0〜2重量%の範囲で
ある。尚、本発明に於て、n−デカン可溶分は、130
℃のn−デカン1lにエチレン共重合体10gを、耐熱
安定剤2,5−tert.ブチル−4−メチル−フエノ
ールの共存下で溶解し、130℃に1時間保つた後、1
℃/min.の降温速度で23℃迄冷却した際に析出し
たエチレン共重合体の重量を求め、この値を試料10g
から差引いた重量の試料10gに対する百分率(重量
%)で示した値である。
【0036】又更に、本発明エチレン共重合体は、
(F)メチレン基の平均連鎖長比が2.0以下、好まし
くは1.7以下、より好ましくは1.5以下である。
【0037】該(F)の平均連鎖長比は、本発明共重合
体分子鎖内のエチレンとα−オレフインのランダム構造
を示すパラメーターであつて、前記(C)〜(E)の特
性との結合パラメーターと共に、本発明エチレン共重合
体の構造を特定する重要な特性の一つである。そして、
該(F)メチレン基の平均連鎖長比が2.0を越えて大
すぎる共重合体は、透明性、耐引裂性、耐衝撃性、耐ブ
ロツキング性、低温ヒートシール性が劣り、本発明共重
合体の優れた諸性質及びその優れた性質をバランスよく
兼備した性質を発揮し難い。尚、本発明に於て、(F)
メチレン基の平均連鎖長比は、13C−NMRを用いて測
定した分岐度から計算されたメチレン平均連鎖長と、分
岐の間(相隣る2つの分岐間)のメチレン数が6個以下
の場合を除外して計算されたブロツクメチレン平均連鎖
長の比、すなわちブロツクメチレン平均連鎖長/メチレ
ン平均連鎖長により求めた値である。
【0038】さらに、本発明のエチレン共重合体は、
(G)DSC融点が1個又は複数個(n個、n≧2)存
在し、かつ次の条件を満足するものである。
【0039】(i) 融点(T1)は、一般式[II]
【0040】
【数16】 (175×d−46)℃〜125℃ [IIa] 好ましくは、
【0041】
【数17】 (175×d−45)℃〜113℃ [IIb] [ここで、T1は複数個の融点ピークが存在する場合に
は、最高融点の値(℃)を示し、式中dはエチレン共重
合体の密度(g/cm3)を示す。]で表わされる範囲
にある。
【0042】(ii) 複数個(n個)のDSC融点が存
在する場合には、該最高融点(T1℃)とそれらの複数
個の融点のうちの最低融点(Tn℃)との差が一般式
[III]
【0043】
【数18】 18<T1−Tn≦65 [IIIa] 好ましくは、
【0044】
【数19】 18<T1−Tn≦50 [IIIb] より好ましくは、
【0045】
【数20】 18<T1−Tn≦30 [IIIc] で表わされる範囲にある。
【0046】(iii) 該最高融点(T1℃)とそれらの
複数個の融点のうちの第二番目に高い融点(T2℃)と
の差が一般式[IV]
【0047】
【数21】0<T1−T2≦20 [IVa] 好ましくは、
【0048】
【数22】0<T1−T2≦15 [IVb] より好ましくは、
【0049】
【数23】2≦T1−T2≦10 [IVc] で表わされる範囲にある[但し、DSC融点ピークが2
個(n=2)の場合には該一般式[IV]に従うものと
する]。
【0050】これらの1個または複数個のDSC融点及
びそれらの相互関係は、次に述べる(H)結晶融解熱量
と共に本発明のエチレン共重合体のDSC融点による結
晶性特性に関与するパラメーターであつて、すでに述べ
た諸特性との結合パラメーターと共に、本発明エチレン
共重合体の構造を特定する重要な特性の一つである。そ
して該(G)DSC融点特性に於て、T1が(175×
d−46)℃[dは上記のとおり]未満で低すぎると耐
熱性に劣り、T1が125℃を越えて高すぎると透明
性、低温ヒートシール性が劣り、又、T1−Tnが65
℃を越えて高すぎる場合やT1−T2が20℃を越え高す
ぎる場合には、耐引裂性、耐衝撃性、低温ヒートシール
性などが悪化し、本発明共重合体の優れた諸性質及びそ
の優れた性質をバランスよく兼備した性質を発揮するこ
とが困難である。尚、本発明に於て、該(G)のDSC
融点、及び次にのべる(H)に於ける結晶融解熱量(H
1)と全結晶融解熱量(HT)は、以下の方法により測定
決定された値を意味する。即ち、示差走査型熱量計を用
い、試料3mgを200℃で5分間融解後、降温速度1
0℃/min.で20℃迄降温し、この温度に1分間保
持したのち、昇温速度10℃/min.で150℃迄昇
温することによりDSC吸熱曲線を得る。該DSC吸熱
曲線における吸熱ピーク中、最も高温側のピークあるい
はシヨルダーとして現わされる添付図1中T1或は図2
中T1(シヨルダーの高温側の変曲点P1および低温側の
変曲点P2において引いた接線の交点)最高融点(T1
である。図1及び図2に示したように、複数個のDSC
融点について、高温側から低温側へ順次、T1、T2、・
・・Tnとし、T2が第二番目に高い融点、Tnが最低
融点である。
【0051】一方、図1及び図2に示したように、該D
SC吸熱曲線の60℃と130℃の点とを結ぶ直線(図
中、ベースラインA−A′)とその間の吸熱曲線とで囲
まれる部分の熱量を全結晶融解熱量(HT)とする。
又、図1に示したように最高融点(T1)がピークとし
て現われる場合には、T1のすぐ低温側の曲線の極小点
Bより温度座標軸へ垂線C3をおろし、該垂線C3とベー
スラインA−A′(図中C2部分)及び吸熱曲線(図
中、AB間の曲線部分C1)で囲まれる斜線を施した部
分の熱量を最高融点(T1)の結晶融解熱量(H1)と
し、図2に示したように最高融点(T1)がシヨルダー
として現われる場合には、シヨルダーのすぐ低温側の変
曲点P2とT2の高温側の変曲点P3との夫々において引
いた接線の交点B′から温度座標軸へ垂線C3をおろ
し、該垂線C3とベースラインA−A′(図中C 2部分)
及び吸熱曲線(図中、C3の延長線と曲線の交点B″と
A間の曲線部分C1)で囲まれる斜線を施した部分の熱
量を最高融点(T1)の結晶融解熱量(T1)とする。
【0052】本発明のエチレン共重合体は、(H)その
複数個(n個、ただしn≧3)のDSC融点のうちの最
高融点(T1)の結晶融解熱量(H1)[上に定義した]
と全結晶融解熱量(HT)[上に定義した]との比が、
一般式[V]
【0053】
【数24】 0<H1/HT≦0.40 [Va] 好ましくは、
【0054】
【数25】 0.01≦H1/HT≦0.35 [Vb] である。
【0055】この(H)の結晶融解熱量比H1/HTは、
前記(G)の特性と共に本発明エチレン共重合体のDS
C融点による結晶性特性に関与する。このH1/HT比が
0.40を越えて大きすぎると耐引裂性、耐衝撃性、低
温ヒートシール性などに悪化を生じ、他の特性との結合
パラメーター条件下に、本発明共重合体の優れた諸性質
及びその優れた性質をバランスよく兼備した性質の発揮
に役立つている。
【0056】本発明のエチレン共重合体の(I)結晶化
度は15〜70%、好ましくは30〜70%、より好ま
しくは40〜65%の範囲にある。該結晶化度が70%
を越えて大きすぎると耐引裂性、耐衝撃性、低温ヒート
シール性などが低下し、結晶化度が15%未満で低すぎ
ると耐ブロツキング性、耐熱性が著しく劣るようになる
ので、前記範囲にあることが必要である。尚、該エチレ
ン共重合体の結晶化度はX線回折法によつて求めた値で
ある。その測定法は、回折角7°から31.5°を結ぶ
直線をバツクグラウンドとして使用し、他は下記文献記
載の方法に準じて行つた。S.L.Aggrwal and G.P.Tille
y,J.Polym.Sci.,18,17(1955)。
【0057】本発明の共重合体の(J)分子量分布(M
w/Mn)は2.5〜10、好ましくは2.5〜7、より
好ましくは2.5〜5の範囲にある。該エチレン共重合
体の分子量分布が10を越えて大きくなると、耐衝撃
性、耐環境応力亀裂性が著しく低下するようになり、
2.5未満となつても成形性が低下するようになる。
尚、該エチレン共重合体の分子量分布はゲルパーミエイ
シヨンクロマトグラフイーによつて測定された値であ
る。
【0058】本発明のエチレン共重合体は、例えば次の
ような方法によつて製造することができる。例えば、チ
タン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分とする比表
面積が50m2/g以上の高活性固体成分(a)をアル
コール(b)で処理することによつて得られるチタン触
媒成分(A)、有機アルミニウム化合物触媒成分(B)
及びハロゲン化合物触媒成分(C)から形成される触媒
を用いて、所定密度となるようにエチレンとα−オレフ
インを共重合させる。この際、有機アルミニウム化合物
触媒成分(B)の一部又は全部がハロゲン化合物である
場合には、ハロゲン化合物触媒成分(C)の使用を省略
することができる。
【0059】上記高活性固体成分(a)は、それ自体高
活性なチタン触媒成分となり得るものであつて、すでに
広く知られている。基本的には、マグネシウム化合物と
チタン化合物を、補助的な反応試剤を用い又は用いず
に、比表面積の大きい固体成分が得られるように反応さ
せる。該固体成分(a)は、比表面積が約50m2/g
以上、たとえば約50〜約100m2/g、好ましくは
約80〜約900m2/gであり、その組成は一般にチ
タン含有量が約0.2〜約18重量%、好ましくは約0.
3〜約15重量%、ハロゲン/チタン(原子比)が約4
〜約300、好ましくは約5〜約200、マグネシウム
/チタン(原子比)が約1.8〜約200、好ましくは
約2〜約120である。これらの各成分の他に他の元
素、金属、官能基、電子供与体などが任意に含まれてい
てもよい。例えば、他の元素、金属としてはアルミニウ
ムやケイ素、官能基としてはアルコキシ基やアリーロキ
シ基などが含まれていてもよい。又、電子供与体として
は、たとえば、エーテル類、カルボン酸類、エステル
類、ケトン類などを例示できる。該固体成分の好ましい
製造方法の一例として、ハロゲン化マグネシウムとアル
コールとの錯体を有機金属化合物で処理し、該処理物を
チタン化合物と反応させる方法を例示することができ
る。この方法の詳細は、例えば特公昭50−32270
号公報に記載されている。
【0060】高活性固体成分(a)の処理に用いられる
アルコール(b)としては、脂肪族、脂環族あるいは芳
香族のアルコールを挙げることができ、これらはアルコ
キシ基のような置換基を有するものであつてもよい。よ
り具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノ
ール、iso−プロパノール、tert−ブタノール、
n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキ
サノール、n−デカノール、オレイルアルコール、シク
ロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコ
ール、イソプロピルベンジルアルコール、クミルアルコ
ール、メトキシエタノールなどを例示できる。これらの
中では、とくに炭素数1ないし18の脂肪族アルコール
を用いるのが好ましい。
【0061】アルコール処理は、ヘキサン、ヘプタン等
の不活性炭化水素中で行うのが好ましく、例えば、前記
固体成分(a)を0.005〜0.2モル/l、とくに
0.01〜0.1モル/lとなるように懸濁させ、アルコ
ールを固体成分(a)中のチタン1原子当り1〜80モ
ル、とくに2〜50モルとなる割合で接触させるのが好
ましい。反応条件はアルコールの種類によつても異なる
が、例えば約−20℃〜約+100℃、好ましくは約−
10℃〜約+100℃の温度で、数分〜約10時間程
度、好ましくは約10分〜約5時間程度の反応を行うの
がよい。アルコール処理によつて、アルコール(b)は
固体成分中にアルコール及び/又はアルコキシ基の形で
取り込まれるが、その量がチタン1原子当り、3〜10
0モル、とくに5〜80モル、とくに5〜80モルとな
るように該処理を行うのが好ましい。この反応によりチ
タンの一部が固体成分から脱離することがあり、このよ
うな溶媒可溶の成分があるときには、反応終了後は、得
られたチタン触媒成分を不活性溶媒でよく洗浄してから
重合に供するのがよい。
【0062】かくして得られるチタン触媒成分(A)と
共に用いられる有機アルミニウム化合物触媒成分(B)
は、代表的には一般式 RnAlX3-n(Rは炭化水素基
たとえば、C1〜C15のアルキル基、C2〜C8のアルケ
ニル基など、Xはハロゲン、0<n≦3)で表わされる
化合物であつて、具体的には、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルア
ルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブ
チルアルミニウムクロリドのようなジアルキルアルミニ
ウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、エ
チルアルミニウムセスキブロミドのようなアルキルアル
ミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリ
ドのようなアルキルアルミニウムジクロリド;あるいは
これらの混合物などを例示することができる。後記する
ハロゲン化合物触媒成分(C)を使用しない場合には、
上記一般式において平均組成として、好ましくは1.5
≦n≦2.0、より好ましくは1.5≦n≦1.8となる
ように上記(B)成分を用いるのがよい。
【0063】ハロゲン化合物触媒成分(C)は、エチル
クロリド、イソプロピルクロリドの如きハロゲン化炭化
水素あるいは四塩化ケイ素の如き(B)のハロゲン化剤
として作用しうるものなどである。ハロゲン化炭化水素
を用いる場合は、(B)成分1モルに対し2〜5モル程
度の割合で用いることができる。また四塩化ケイ素の如
きハロゲン化剤を用いる場合は、(B)成分と(C)成
分のハロゲンの合計が(B)成分中のアルミニウム1原
子に対し、0.5〜2原子、とくには1〜1.5原子とな
るような割合で使用するのが好ましい。
【0064】エチレンの共重合は、不活性希釈剤の存在
下又は不存在下、例えば0〜約300℃の温度におい
て、液相中であるいは気相中で行うことができる。とく
に、不活性炭化水素の共存下、エチレン共重合体が溶解
する条件下、120°〜300℃程度、好ましくは13
0°〜250℃程度の温度で共重合を行つた場合に、所
望のエチレン共重合体を容易に得ることができる。チタ
ン触媒成分(A)の使用量は、例えば、チタン原子換算
で約0.0005〜約1ミリモル/l、好ましくは約0.
001〜約0.1モル/lとし、また有機アルミニウム
化合物触媒成分(B)は重合活性を維持する量であつ
て、Al/Ti(原子比)が約1〜約2000、好まし
くは約10〜約500となるように使用するのがよい。
重合圧は一般に大気圧〜約100kg/cm2、とくに
は約2〜約500kg/cm2とするのが好ましい。
【0065】本発明のエチレン共重合体のうちで密度が
0.90g/cm3以上のエチレン共重合体はHP−LD
PEは勿論のこと、従来のL−LDPEに比べても透明
性、耐衝撃性、耐引裂性、耐ブロツキング性、低温ヒー
トシール性、耐熱性及びESCRに優れ、またこれら優
れた性質をバランスよく具備しているので、とくに包装
用フイルムとして好適であるが、該用途に限らず、T−
ダイ成形、インフレーシヨンフイルム成形、中空成形、
射出成形、押出成形等によつてフイルム、容器、日用
品、パイプ、チユーブ等の各種成形品に加工することが
できる。また他のフイルムに押出被覆あるいは共押出成
形することにより各種複合フイルムとすることもできる
し、鋼管被覆材、電線被覆材あるいは発泡成形品等の用
途にも用いられる。あるいは、他の熱可塑性樹脂、例え
ばHP−LDPE、中密度ポリエチレン、高密度ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メ
チル−1−ペンテン、低結晶性あるいは非晶性のエチレ
ンとプロピレンもしくは1−ブテンとの共重合体、プロ
ピレン・1−ブテン共重合体等のポリオレフインとブレ
ンドして使用することもできる。あるいは石油樹脂、ワ
ツクス、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、アンチ
ブロツキング剤、滑剤、核剤、顔料、染料、無機あるい
は有機充填剤、合成ゴム又は天然ゴムなどを配合して用
いることもできる。
【0066】また、本発明のエチレン共重合体のうちで
密度が0.90g/cm3未満のエチレン共重合体は特に
透明性、耐衝撃性、低温ヒートシール性に優れており、
前記密度が0.90g/cm3以上のエチレン共重合体と
同様の用途にも使用することができるが、種々の熱可塑
性樹脂に配合することにより、これらの熱可塑性樹脂の
耐衝撃性、低温耐衝撃性又は低温ヒートシール性を著し
く改善することができるので、該熱可塑性樹脂の優れた
改質剤として利用することができる。該エチレン共重合
体を改質剤として該熱可塑性樹脂に配合する場合には未
変性のままで使用することもできるし、又は該エチレン
共重合体の変性物として使用することもできる。該エチ
レン共重合体の変性物としては、該エチレン共重合体に
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、イン
デンなどの芳香族系不飽和炭化水素をグラフト共重合し
た変性エチレン共重合体、該エチレン共重合体にアクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、シトラ
コン酸、イタコン酸、エンドシス−5,6−ジカルボキ
シ−2−ノルボルネン、メチル−エンドシス−5,6−
ジカルボキシ−2−ノルボルネン、無水マレイン酸、無
水シトラコン酸、無水イタコン酸、エンドシス−2−ノ
ルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水物、アクリル酸
メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、フ
マール酸ジメチル、シトラコン酸ジメチル、イタコン酸
ジメチル、エンドシス−2−ノルボルネン−5,6−ジ
カルボン酸ジメチルなどの不飽和カルボン酸、その酸無
水物又はそのエステルをグラフト共重合した変性エチレ
ン共重合体などを例示することができる。該変性エチレ
ン共重合体中の前記変性成分の含有率は該エチレン共重
合体100重量部に対して通常0.01〜100重量
部、好ましくは0.1〜50重量部の範囲である。該エ
チレン共重合体又は変性エチレン共重合体の配合割合は
熱可塑性エチレン共重合体の100重量部に対して通常
0.1〜100重量部、好ましくは0.2〜50重量部の
範囲である。
【0067】該熱可塑性樹脂としては、前記例示のポリ
オレフイン類、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレ
ン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニ
トリル・ブタジエン・スチレン共重合体などのスチレン
系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレートなどのポリエステル系重合体、ポリカプ
ロラクトエート、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリ
ヘキサメチレンセバサミド、ポリデカメチレンアジパミ
ドなどのポリアミド系重合体、ポリ2,6−ジメチルフ
エニレンオキシドなどのポリアリーレンオキシド、ポリ
オキシメチレン、ポリカーボネートなどの種々の熱可塑
性樹脂を具体的に例示することができる。該エチレン共
重合体又は変性エチレン共重合体の配合により改質され
た熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて耐熱安定剤、
耐候安定剤、帯電防止剤、アンチブロツキング剤、滑
剤、核剤、顔料、染料、無機あるいは有機充填剤などを
配合することもできる。
【0068】次に実施例によつて本発明を具体的に説明
する。なお、本発明によつて得られたエチレン共重合体
の性能評価は次に示す方法に従つて行つた。
【0069】即ち、該共重合体を市販の高圧ポリエチレ
ン用チユーブラーフイルム成型機(モダンマシナリー
製)で幅350mm、厚さ30μのフイルムとした。成
型条件は樹脂温度180℃、スクリユー回転数100r
pm、ダイ径100mm中、ダイスリツト幅0.7mm
である。次に該フイルムを以下の方法により評価した。
ヘイズ(%):ASTM D 1003 衝撃強度(kg−cm/cm):東洋精機製フイルムイ
ンパクトテスターを用いて測定した。衝撃頭球面は1″
φとした。
【0070】エルメンドルフ引裂強度(kg/cm):
ASTM D 1922 ブロツキング値(g):ASTM D 1893に準じ、
剥離バーをガラス製とし、剥離速度を20cm/min
とした。
【0071】ヒートシール開始温度(℃):東洋テスタ
ー製ヒートシーラーを用い、指定温度で圧力2kg/c
2、シール時間1秒間でヒートシールした。試験片幅
は15mmとし、剥離試験速度300mm/minとし
た。ヒートシール開始温度は、剥離試験の際、試験片の
破断の仕方がシール面の剥離によらず、厚反部分の破断
によるようになり始める温度とした。
【0072】
【実施例】実施例1 <触媒調製>窒素雰囲気下、市販の無水塩化マグネシウ
ム1モルを脱水精製したヘキサン2lに懸濁させ、撹拌
しながらエタノール6モルを1時間かけて滴下後、室温
にて1時間反応した。これに2.6モルのジエチルアル
ミニウムクロリドを室温で滴下し、2時間撹拌を続け
た。つぎに四塩化チタン6モルを加えた後、系を80℃
に昇温して3時間撹拌しながら反応を行つた。反応後の
固体部を分離し、精製ヘキサンによりくり返し洗浄し
た。該固体(A−1)の組成は以下の様であつた。 ─────────────────────── Ti Cl Mg Al OEt*) (wt%) ─────────────────────── 3.7 67.0 20.0 0.4 4.8 ─────────────────────── つぎに、精製ヘキサンに懸濁したA−1のTiに換算し
て50ミリモルに対し、500ミリモルのエタノールを
室温で加え、80℃に昇温して1時間反応させた。反応
後、室温まで降温して150ミリモルのトリエチルアル
ミニウムを加え、1時間撹拌しながら反応を行つた。反
応後の固体部を精製ヘキサンにてくり返し洗浄した。こ
の様にして得られた触媒(B−1)の組成は以下の様で
あつた。 ─────────────────────── Ti Cl Mg Al OEt*) (wt%) ─────────────────────── 2.8 59.3 13.7 0.5 23.6 ─────────────────────── *)生成固体をH2O−アセトンで分解抽出後、ガスク
ロにてエタノールとして定量した。
【0073】<重合>内容積200lの連続重合反応器
を用い、脱水精製したヘキサンを100l/hr、エチ
ルアルミニウムセスキクロライド15ミリモル/hr、
上記で得られた触媒(B−1)をTiに換算して1.0
ミリモル/hrの割合で連続的に供給し、重合器内にお
いて同時に、エチレン13kg/hr、4−メチル−1
−ペンテン13kg/hr、水素を30l/hrの割合
で連続的に供給し、重合温度165℃、全圧30kg/
cm2、滞留時間1時間、溶媒ヘキサンに対する共重合
体濃度を130g/lとなる条件下で共重合を行つた。
触媒活性は13,000g−共重合体/mmol−Ti
に相当した。
【0074】得られた共重合の結果およびフイルムの評
価結果を表2および表3に示す。
【0075】実施例2〜8 実施例1と同様の重合器、触媒成分(B−1)を用い、
有機Al成分、α−オレフインの種類をそれぞれ変え
て、連続共重合を行つた。重合条件を表1に、種々の物
性、フイルムの評価結果を表2および表3に示した。
【0076】比較例1 実施例1において、Ti触媒成分として(B−1)を用
いた代りに、エタノールと反応させる前の(A−1)を
用いる他は実施例1と同様に連続共重合を行つた。触媒
活性は19,100g共重合体/mmol−Tiであつ
た。物性を表3に示した。ここで得られた重合物は組成
分布が幾分広く、高結晶性のもの及び低結晶性のものを
含むため、耐ブロツキング性が不十分である。
【0077】比較例2 実施例1と同様の重合において、有機Al化合物成分と
してトリエチルアルミニウム20mmol/hr、Ti
触媒成分として(B−1)の代りにエタノールと反応さ
せる前の(A−1)をTi原子に換算して0.42mm
ol/hr、エチレン13kg/hr、水素40l/h
r、4−メチル−1−ペンテン30kg/hrの割合で
連続的に供給し、重合を行なつた。触媒活性は31,0
00g共重合体/mmol−Tiに相当した。
【0078】諸物性値を表3に示した。
【0079】ここで得た重合物は組成分布がかなり広
く、高結晶性のもの低結晶性のものを多く含むため、透
明性、耐ブロツキング性、低温ヒートシール性に劣つて
いた。 比較例3 内容積2lのオートクレーブ内に脱水精製した溶媒ヘキ
サン0.8lおよび4−メチル−1−ペンテン0.2lを
入れ、系内を十分窒素置換した後トリエチルアルミニウ
ム2.0mmol、比較例2および3で用いたTi触媒
をTi原子に換算して0.02mmolを加え、続いて
水素を0.6kg/cm2を挿入し、エチレンで2.5k
g/cm2まで加圧し、重合温度を70℃に保つて2時
間重合を行つた。295gの共重合体が得られた。
【0080】触媒活性は14,800g共重合体/mm
ol−Tiに相当した。
【0081】得られた共重合体の諸物性を表3に示し
た。
【0082】ここで得た重合物は組成分布が非常に広
く、124.5℃に単一融点を示すため、低温ヒートシ
ール性に劣つていた。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフイルムを形成するエチレン共重合体
のDSCによる吸熱曲線の例を示す。
【図2】本発明のフイルムを形成するエチレン共重合体
のDSCによる吸熱曲線の例を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンと炭素原子数が4〜20の範囲
    にあるα−オレフインとからなる実質上線状構造を有す
    るエチレン・α−オレフインランダム共重合体であり、
    かつ下記(A)〜(J)の要件を充足することによつて
    特徴づけられるエチレン共重合体からなるフイルム。 (A) ASTM D 1238Eによつて測定したメル
    トフローレートが0.01〜200g/10minの範
    囲にあること、 (B) 密度が0.850〜0.930g/cm3の範囲
    にあること、 (C) 一般式[I] 【数1】U=(Cw/Cn−1)×100 [I] [式中、Cwは重量平均分岐度を示し、Cnは数平均分
    岐度を示す。]で表わされる組成分布パラメーター
    (U)が50以下であること、 (D) 1000個の炭素原子中の分岐度が2個以下の
    組成成分のエチレン共重合体中に占める割合が10重量
    %以下であること、 (E) 1000個の炭素原子中の分岐度が30個以上
    の組成成分のエチレン共重合体中に占める割合が70重
    量%以下であること、 (F) メチレン基の平均連鎖長比が2.0以下にある
    こと、 (G) 示差走査熱量計によつて測定した融点が1個又
    は複数個(n個、n≧2)存在し、かつ (i) 融点(T1)は、一般式[II] 【数2】 (175×d−46)℃〜125℃ [II] [ここで、T1は複数個の融点が存在する場合には、最
    高融点の値(℃)を示し、式中dはエチレン共重合体の
    密度(g/cm3)を示す。]で表わされる範囲にあ
    り、 (ii) 複数個(n個)の融点が存在する場合には、該
    最高融点(T1℃)とそれらの複数個の融点のうちの最
    低融点(Tn℃)との差が一般式[III] 【数3】 18<T1−Tn≦65 [III] で表わされる範囲にあり、かつ(iii) 該最高融点
    (T1℃)とそれらの複数個の融点のうちの第二番目に
    高い融点(T2℃)との差が一般式[IV] 【数4】 0<T1−T2≦20 [IV] で表わされる範囲にあり[但し、融点ピークが2個(n
    =2)の場合には該一般式[IV]に従うものとす
    る。]、 (H) 該融点(T1℃)における結晶融解熱量(H1
    と全結晶融解熱量(HT)との比が一般式[V] 【数5】0<H1/HT≦0.40 [V] で表わされる範囲にあること、 (I) X線回折法で測定した結晶化度が15ないし7
    0%の範囲にあること、 (J) ゲルパーミエイシヨンクロマトグラフイーで測
    定した分子量分布(Mw/Mn)が2.5ないし10の
    範囲にあること。
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