JPH05211817A - コンバインの伝動方式 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】コンバイン作業において、刈取装置１と脱穀装
置２に対する作業の適応性を各々最適となるよう設定さ
せる。 【構成】刈取装置１の回転速度と脱穀装置２のフィード
チエン３速度とを車速に同調させる構成。これらの構成
において該フィードチエン３独自の動力伝達経路に搬送
無段変速装置４を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、コンバインの伝動方
式に関し、刈取装置及び脱穀装置のフィードチエンへ、
各別の変速装置を介して各々動力を伝達する伝動方式等
に利用できる。

【０００２】

【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】従来
から、コンバインはその原動機により、走行、刈取、脱
穀の各装置へ動力を供給伝達して作業が行われている。
これらの動力伝達において、最近では走行用の走行変速
装置のほかに、刈取装置と脱穀装置のフィードチエンと
へ動力を分岐供給する刈脱無段変速装置を設け、この刈
脱無段変速装置に内装したシンクロ装置によって、刈取
装置の回転速度と脱穀装置のフィードチエン速度とを車
速の変化に比例同調させて各々動力を分配伝達するよう
にしている。

【０００３】このシンクロ装置は、例えば変速ベルト形
式やリングコーン形式等による変速装置を、別に設けた
検出装置による車速の検出値によって変速制御を行い、
この変速制御により車速に比例同調させるようにしてい
るものである。しかし、このように刈取装置の回転速度
と脱穀装置のフィードチエン速度とを、同一の変速装置
によって車速に比例同調させる場合は、コンバイン作業
に対する適応性が刈取装置又はフィードチエンの何れか
一方に片寄ったものとなり、例えばその適応性を、刈取
装置側に合わせた場合はフィードチエン側が無視され、
またフィードチエン側に合わせた場合は刈取装置側が無
視されるといるような状態が発生し、コンバイン本来の
機能が阻害されて作業に支障をきたす虞れがある。

【０００４】そこでこの発明は、刈取装置の回転速度に
関係なくフィードチエン速度を自由に変更させることに
より、作業に対する適応性の片寄りを是正しようとする
ものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明は、刈取装置１
の回転速度と脱穀装置２のフィードチエン３速度を車速
に同調させるコンバインにおいて、該フィードチエン３
独自の動力伝達経路に搬送無段変速装置４を設けたこと
を特徴とするコンバインの伝動方式の構成とする。

【０００６】

【作用、及び発明の効果】原動機から分岐させた動力
を、まず刈脱無段変速装置へ伝達し、この刈脱無段変速
装置の高速側から刈取装置１の入力側へ、また低速側か
ら搬送無段変速装置４を介して脱穀装置２のフィードチ
エン３へ各々動力を分配伝達する。これらの動力伝達に
よるコンバイン作業時の車速を、例えば別に設けた車速
センサによって検出し、この検出値によって該刈脱無段
変速装置を制御することにより、刈取装置１の回転速度
と脱穀装置２のフィードチエン３速度を車速に比例同調
させることができる。

【０００７】しかし、このとき該フィードチエン３速度
を脱穀装置２の作業性能上最適の速度に調整変速するた
め、搬送無段変速装置４によって、刈取装置１の回転速
度に関係なく変速できるようにするものである。このよ
うに、該フィードチエン３独自の動力伝達経路に設けら
れた搬送無段変速装置４によって、該フィードチエン３
速度の変速カーブを刈取装置１の回転速度の変速カーブ
に比例同調させることなく自由に変更することができる
ので、コンバイン作業に対する適応性を刈取装置１又は
該フィードチエン３の何れにも片寄ることなく、コンバ
イン本来の機能を充分に発揮しうるものである。

【０００８】

【実施例】以下に、この発明の実施例を図面に基づいて
具体的に説明する。本発明を実施するコンバインは、植
立穀稈を分草体５により分草し、引起装置６にて引起こ
すと同時に刈刃装置７にて刈取り、この刈取穀稈を搬送
装置８により後方の脱穀装置２へ搬送する刈取装置１
を、土壌面に対して上下昇降自在に機台９の前端側に装
架して構成する。

【０００９】該機台９上に、扱室１０の供給口側に沿っ
て張設したフィードチエン３によって穀稈を挾持搬送す
ると共に、この搬送穀稈を該扱室１０に軸承した扱胴１
１により脱穀し、この脱穀物を該扱室１０の下側に設け
た選別装置１２にて選別する脱穀装置２を設け、この脱
穀装置２の一側に並設した穀粒タンク１３に脱穀選別後
の穀粒を一時貯留する。また、脱穀装置２の後部側に設
けた排藁処理装置１４によって脱穀後の排藁を処理する
よう構成する。

【００１０】該機台９の前端側に車速の変速を行う走行
ギヤケース１５を設け、この走行ギヤケース１５の入力
側へ走行無段変速装置１６を連動連結すると共に、該走
行ギヤケース１５の走行出力軸１７に該機台９の下側に
配設した左右一対の走行クローラ１８を連動連結して土
壌面を走行させる走行装置１９を設ける。また、該機台
９上で該穀粒タンク１３の前側に原動機２０を設置し、
この原動機２０を囲んでその上方に操縦台２１とその操
縦席２２とを設けて構成する。

【００１１】該原動機２０から各装置１，２，１９へ動
力を伝達する動力伝達機構Ａは、図３に示す如く、該原
動機２０の出力軸２３から該走行無段変速装置１６の走
行入力軸２４及びカウンタ軸２５へ各々動力を伝達させ
るべく伝動ベルトを張設する。また、該カウンタ軸２５
から刈取装置１と脱穀装置２のフィードチエン３とへ各
々動力を分配伝達する減速ギヤケース２６へ、中間に刈
脱無段変速装置２７を介して動力を伝達させるべく伝動
ベルトを張設し、この刈脱無段変速装置２７はリングコ
ーン機構により刈取装置１の回転速度と脱穀装置２のフ
ィードチエン３速度をゼロから無段に変速して、車速に
対して比例同調させるべく構成する。

【００１２】該減速ギヤケース２６は該高速軸２８から
歯車伝動により、中間軸２９を介して低速軸３０に配設
し、該高速軸２８から刈取装置１の刈取入力軸３１へ動
力を伝達させるべく伝動ベルトを張設する。また、該低
速軸３０から前記フィードチエン３のチエン入力軸３２
へ、中間に搬送無段変速装置４を介して動力を伝達させ
るべく伝動ベルトを張設し、該チエン入力軸３２の一端
にスプロケット６０を軸着し、このスプロケット６０に
より該フィードチエン３に動力を伝達する。また、該搬
送無段変速装置４はリングコーン機構により該フィード
チエン３速度をゼロから無段に変速して、刈取装置１の
回転速度とは切り離し、独自に車速に対して比例同調さ
せるべく構成する。

【００１３】また、該搬送無段変速装置４と該刈脱無段
変速装置２７は前記動力伝達機構Ａの如き伝達経路をと
らずとも、前記原動機２０から各別に分岐させて動力を
伝達するよう構成しても差し支えなきものである。ま
た、前記カウンタ軸２５から脱穀装置２の扱胴１１系統
及び選別装置１２系統へ各々動力を伝達させるべく伝動
ベルトを張設する。

【００１４】また、走行装置１９の走行速度つまり車速
を検出する検出手段として、フォトカプラ等からなる車
速センサ３３を前記走行ギヤケース１５を形成する何れ
かの軸端（図示省略）及びその周辺に設ける。また、刈
取装置１の回転速度と該フィードチエン３速度とを検出
する検出手段として、フォトカプラ等からなる刈取回転
センサ３４とチエン速度センサ３５を、前記刈脱無段変
速装置２７と前記搬送無段変速装置４の適所に設ける。

【００１５】該搬送無段変速装置４の制御機構は、図５
ａ及びｂに示す如く、変速リング３６を挾む溝を有する
断面コ字状のシフタ３７を、回動軸３８の前端に固設し
たリンク３９の先端に連繋し、該回動軸３８には扇状の
ラック板４０を回動自在に挿通すると共に、更に該回動
軸３８の後端にはアーム４１を固設する。また、該ラッ
ク板４０のほぼ中間部位にはピン４２を突出すると共
に、該ピン４２は該アーム４１の相対する位置に設けた
長孔４３に挿通する。

【００１６】また、変速モータ４４の回転軸に軸着した
ウォームギヤ及びこれに噛合する歯車（図示省略）を内
装するギヤボックス４５を設け、このギヤボックス４５
から該歯車に固着したピニオン軸４６を突出させ、この
ピニオン軸４６に軸着したピニオン４７と該ラック板４
０とを噛合い係合させる。また、該ラック板４０には該
アーム４１の先端側方に対向すべきスイッチ４８を取付
板４９を介して取付け、該長孔４３内のピン４２の遊び
の範囲内において該スイッチ４８の接点が接離可能に構
成すると共に、該アーム４１と該取付板４９とはバネ５
０により連結して常時牽引し、該バネ５０の牽引力によ
り該スイッチ４８が常時ＯＮになるよう構成する。

【００１７】また、該アーム４１には側方に向け突起４
１ａを突出させ、該突起４１ａの先端にはゼロ点調整ボ
ルト５１を螺入する。そしてこのゼロ点調整ボルト５１
の所定回動位置には、モータベース５２より突設した止
板５３を配設する。このゼロ点調整ボルト５１は変速出
力軸５４の逆回転を防止するためのものであり、その調
整は該変速出力軸５４の正方向の回転がゼロとなる点で
該ゼロ点調整ボルト５１を固定することにより行う。

【００１８】また、更に該ラック板４０の左端には牽引
バネ５５の一端を取り付け、該牽引バネ５５の他端は該
モータベース５２等の適宜箇所に固定して、該ラック板
４０を常時牽引させるものである。しかして、前記搬送
無段変速装置４は、該変速モータ４４の回転駆動によ
り、該ラック板４０及びピン４２を介して該アーム４１
が旋回し、該アーム４１と一体のシフタ３７を介して該
変速リング３６を軸方向に自在に駆動し、変速入力軸５
６からの入力を変速して該変速出力軸５４から出力させ
る。

【００１９】また、前記刈脱無段変速装置２７の制御機
構も該搬送無段変速装置４の制御機構に準じて制御が行
われるものである。また、該搬送無段変速装置４及び該
刈脱無段変速装置２７の変速機構は、リングコーンによ
る無段変速形態に限らずとも、ベルト又は油圧等による
無段変速形態をとっても差し支えなきものである。

【００２０】図６に示す如く、前記操縦台２１に前記走
行無段変速装置１６の変速比を変更する走行変速レバー
５７を配置し、この走行変速レバー５７の握り部分に作
業モード切換スイッチ５８を設ける。この作業モード切
換スイッチ５８は刈取作業の際に、穀稈が起立している
ときに使用する「標準モード」と、穀稈が倒伏している
ときに使用する「倒伏モード」との何れか一方を選択す
るものである。

【００２１】また、該操縦台２１に該搬送無段変速装置
４及び該刈脱無段変速装置２７を各別に変速制御する刈
脱変速レバー５９ａと搬送変速レバー５９ｂとを並列配
置して設ける。また、ＣＰＵ等によってこれらの演算制
御を行う演算制御装置（図示省略）を該操縦台２１近傍
に配設する。

【００２２】次に、脱穀装置２の選別装置１２の構成に
ついて説明する。脱穀装置２の扱胴１１下方に設けた扱
網６１から漏下した脱穀物を、該扱胴１１の軸心に沿っ
て該扱網６１の直下に架設した揺動選別棚６２の揺動作
用により比重選別を行うべく構成し、この揺動選別棚６
２の上手側下方に、複数枚の羽根によって脱穀物を風選
別する圧風を起風する主唐箕６３と、またこの主唐箕６
３を補助する横断流ファンの補助唐箕６４をその下手側
に配設する。

【００２３】該揺動選別棚６２の下方に、該補助唐箕６
４側から下手側に向けて一番選別部６５から落下した一
番穀粒を横送りする一番受樋６６と、この一番受樋６６
の下手側に二番選別部６７から落下した二番物を横送り
する二番受樋６８を設ける。また、該主唐箕６３のケー
シング下部板６９を延長して該一番受樋６６に接続する
と共に、このケーシング下部板６９とそのケーシング上
部板７０との間を風割板７１により仕切って第一風路７
２と第二風路７３とを設けて構成する。

【００２４】該補助唐箕６４は、該主唐箕６３のケーシ
ング上部板７０を補助ケーシング下部板７０に兼用して
該主唐箕６３に隣接して配設し、該補助唐箕６４の補助
ケーシング下部板７０とその補助ケーシング上部板７４
との間に第三風路７５を形成する。該主唐箕６３のケー
シング上部板７０の中間部に、任意幅の開閉可能な風力
調整板７６を該ケーシング上部板７０にヒンジ止めし
て、開いたときに該第二風路７３を遮蔽可能に配置し、
この風力調整板７６の開閉を磁力作動可能なるよう電磁
器７７を設ける。また、該補助唐箕６４のケーシング上
部板７４の適宜位置に任意幅で開閉可能な逆流防止板７
８を、該ケーシング上部板７４にヒンジ止めして、開い
たときには該第三風路７５を遮蔽可能に配置し、この逆
流防止板７８を風圧作用により開閉可能なるよう設け
る。また、該逆流防止板７８の開閉は風圧作用のみによ
ろずとも他の作用により開閉するようにしてもよいし、
また前記磁力作用についてもこれに代りうるものがあれ
ばそのものを用いても差し支えない。

【００２５】次に以上の構成による作用について説明す
る。原動機２０の起動により、出力軸２３から走行入力
軸２４及びカウンタ軸２５に動力が伝達され、走行変速
レバー５７の操作により走行クローラ１８が駆動されて
走行装置１９が走行状態となる。また、脱穀装置２の扱
胴１１系統及び選別装置１２系統と、刈取装置１及び脱
穀装置２のフィードチエン３とが各々駆動される。

【００２６】これらの作動により、コンバイン作業が開
始されると、作業モード切換スイッチ５８の選択に応じ
て演算制御装置により刈取装置１の回転速度が制御され
る。即ち、図７に示す如く、「標準モード」が選択され
ているときは、走行装置１９の車速と刈取装置１の回転
速度とが比例同調するように制御され、「倒伏モード」
が選択されているときは、それが比例同調せずに任意設
定可能に制御される。

【００２７】以下にこの制御について詳しく説明する。
まず、車速センサ３３により車速を検出すると、該作業
モード切換スイッチ５８の選択モードに応じて、その検
出車速に対応する目標の刈取装置１の回転速度が設定さ
れる。これにより刈取回転センサ３４が刈取装置１の回
転速度を検出すると、この検出値を先に設定された目標
の回転速度と比較し、この比較により検出値が目標値を
下回るときは刈脱無段変速装置２７の変速モータ４４
が、例えば正転してシフタ３７を増速側に移動させて刈
取装置１の回転速度が増大する。一方、車速の検出値が
目標値を上回るときは、該変速モータ４４が、例えば、
逆転して該シフタ３７を減速側に移動させて刈取装置１
の回転速度が減少する。このような制御により刈取装置
１の回転速度は目標値となる。

【００２８】脱穀装置２のフィードチエン３速度は該刈
脱無段変速装置２７から動力が分配されており、刈取装
置１の回転速度と該フィードチエン３速度とは、図８に
示す如く、常時は比例同調させるようにしているが、穀
稈の条件等によっては該フィードチエン３速度のカーブ
を、例えば図９に示す如く、刈取装置１の回転速度が最
高速度になる前に該フィードチエン３速度が最高速度と
なる様に変更させるようにする。

【００２９】このように、その時の状況に応じて該フィ
ードチエン３速度の設定条件を容易に変更できるもので
あり、要するに車速に対する刈取装置１の回転速度と、
この回転速度に対する該フィードチエン３速度との関係
を、刈脱変速レバー５９ａ及び搬送変速レバー５９ｂの
操作により自由に選択できるようにするものである。ま
た、該フィードチエン３速度を自由に変更できるので、
従来麦の脱穀時などにおいて一番穀粒に多数混入してい
た稈切れを、該フィードチエン３速度を早めることによ
り大幅に減少させることができる。

【００３０】次に、脱穀装置２の選別装置１２について
説明する。主唐箕６３及び補助唐箕６４の起風により第
一風路７２、第二風路７３、第三風路７５から送風され
る選別風により、一番選別部６５及び二番選別部６７に
おける選別を行い、この選別された一番穀粒は一番受樋
６６によって横送りされ、二番物は二番受樋６８によっ
て横送りされる。

【００３１】これらの選別時に、穀稈の条件等によって
該主唐箕６３から第一風路７２及び第二風路７３へ、ま
た該補助唐箕６４から第三風路７５へ選別風を送風する
場合と、第二風路７３を風力調整板７６で遮蔽して該主
唐箕６３から第一風路７２へ、また該補助唐箕６４から
第二風路７３及び第三風路７５へ選別風を送風する場合
とに切換えすることにより、該主唐箕６３及び該補助唐
箕６４の回転速度による調節に加えて送風路の切換えに
よる調整を行うことで、幅広く選別風の選別能力を調整
することができる。

【００３２】また、該風力調整板７６の横幅を複数板に
分割して調整することにより、更にきめの細かい選別風
の調整を行うことができる。また、該風力調整板７６の
開閉により該補助唐箕６４に滞留する穀粒を除去するこ
とができる。また、第三風路７５の逆流防止板７８によ
って脱穀装置２を停止させたときなどに、該補助唐箕６
４への穀粒等の逆流を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンバインの全体を示す側面図。

【図２】コンバインの全体を示す平面図。

【図３】コンバインの動力伝達機構を示す概略図。

【図４】コンバインの動力伝達装置の一部を示す側面
図。

【図５】（ａ）はコンバインの変速制御機構を示す正断
面図で、（ｂ）はコンバインの変速制御機構を示す側面
図。

【図６】コンバインの操縦台の操作具を示す斜面図。

【図７】コンバインの作業モードの比較基準を示す線
図。

【図８】コンバインの作業モードの比較基準を示す線
図。

【図９】コンバインの作業モードの比較基準を示す線
図。

【図１０】コンバインの脱穀装置の選別部を示す側断面
図。

【符号の説明】

１ 刈取装置 ２ 脱穀装置 ３ フィードチエン ４ 搬送無段変速装置

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ６０Ｋ 17/10 Ｃ 8521−3Ｄ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 刈取装置１の回転速度と脱穀装置２のフ
   ィードチエン３速度を車速に同調させるコンバインにお
   いて、該フィードチエン３独自の動力伝達経路に搬送無
   段変速装置４を設けたことを特徴とするコンバインの伝
   動方式。