JPH05209277A - 薄膜の製膜方法、薄膜の製膜装置およびダイヤモンド薄膜 - Google Patents

薄膜の製膜方法、薄膜の製膜装置およびダイヤモンド薄膜

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JPH05209277A
JPH05209277A JP1461292A JP1461292A JPH05209277A JP H05209277 A JPH05209277 A JP H05209277A JP 1461292 A JP1461292 A JP 1461292A JP 1461292 A JP1461292 A JP 1461292A JP H05209277 A JPH05209277 A JP H05209277A
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thin film
anode
thermal plasma
cathode
film forming
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JP1461292A
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Tsutomu Mitani
力 三谷
Shigeo Suzuki
茂夫 鈴木
Tetsuya Shiratori
哲也 白鳥
Hidenobu Shintaku
秀信 新宅
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダイヤモンド薄膜等の薄膜の製膜方法および
製膜装置において、薄膜中に不純物が混入するという課
題を解決し、不純物の極めて少ない高品質の薄膜を製膜
する。 【構成】 カソードチップ2とアノードチップ4とをダ
イヤモンド薄膜12の構成元素である炭素を主成分とす
る部材で構成し、プラズマジェット10によってCH4
ガス6,H2ガス7およびカーボン微粉末を分解もしく
は溶解して基板11上に堆積させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱プラズマを利用して
各種基体上に高品質な薄膜を製膜する薄膜の製膜方法、
薄膜の製膜装置およびこれらの方法およひ装置によって
製膜したダイヤモンド薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】熱プラズマは高温プラズマとも呼ばれ、
各種プラズマの中でも極めて大きなエネルギーを有して
いる。このため、通常の低温プラズマプロセスでは困難
な高融点物質のプラズマ溶解、高融点粉末のプラズマ溶
射、および例えばRF熱プラズマ発生装置等を用いた超
微粒子生成等へ応用され、すでに産業上実用化されてい
る。また最近ではダイヤモンド薄膜の製膜にも応用され
ている。ダイヤモンド薄膜の製膜方法は周知のように熱
プラズマを用いる方法以外にも、熱フィラメント法、マ
イクロ波プラズマCVD法、イオンビーム法等多数のも
のがある。中でも熱プラズマを用いた製膜方法は他の方
法に比べて製膜速度が2〜3桁以上も大きいため、ダイ
ヤモンド薄膜を産業上実用化するには最適な方法であ
る。
【0003】以下、特開平1−157496号公報に開
示されている従来の技術を引用し、従来の技術によるダ
イヤモンド薄膜の製膜方法について説明する。図4は同
公報に開示されているダイヤモンド薄膜の製膜装置の実
施例の概略図である。この従来例の製膜装置では熱プラ
ズマ発生装置はプラズマ溶射等で用いられているDCプ
ラズマトーチを用いている。図において19はアノー
ド、20はカソード、21はDCプラズマトーチ、22
は直流電源、23は基板、24はダイヤモンド薄膜であ
る。原料ガスのCH4ガスとH2ガスとをDCプラズマト
ーチ21に導入した後、直流電源22でカソード20
と、アノード19との間に電圧を印加すると、カソード
20とアノード19との間にアーク25が発生する。原
料ガスはこのアーク25を通過することで分解し、高温
高速のプラズマジェット26となり、基板23上に噴射
され、ダイヤモンド薄膜24が製膜されていく。
【0004】従来、カソード20はアーク25によって
高温となるため耐久性を考慮してタングステン合金で構
成されており、また同様にアーク25に曝されるアノー
ド19は冷却上の点で熱伝導率が大きい銅で構成されて
いるのが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の技術でダイヤモンド薄膜24を製膜する場合、以下
に示すような課題があった。その課題の中でもダイヤモ
ンド薄膜24の膜質に関してとりわけ重要なものが、ダ
イヤモンド薄膜24の中にカソード20の構成元素のタ
ングステンやアノード19の構成元素の銅等が不純物と
して混入しやすいことである。
【0006】まずその要因を図4を用いて説明する。図
4に示すようにダイヤモンド薄膜24の製膜中、カソー
ド20とアノード19はアーク25に曝されており、そ
の表面ではアーク19による高熱およびアーク25中の
イオン、または電子の照射を受けている。その結果、カ
ソード20をタングステン合金等の高融点材料で構成し
ても、またはアノード19を銅等の高熱伝導率材料で構
成して強制冷却しても、タングステン合金および銅はア
ーク25による損耗から避け得ない。このように損耗し
たカソード20からのタングステン、アノード19から
の銅はプラズマジェット26中に混入し基板23に到達
するために、ダイヤモンド薄膜24中に容易に不純物と
して混入する。この不純物の混入量は、ダイヤモンド薄
膜の製膜条件にもよるが1〜3%にもなることがある。
混入量は特にアーク電流の増加によって製膜速度を向上
しようとする場合に極端に多くなる。
【0007】次にこのような不純物がダイヤモンド薄膜
24に及ぼす影響について説明する。ダイヤモンド薄膜
24は光学膜、レンズ、半導体、ヒートシンク等への応
用が期待されている。ところが、従来の技術によるダイ
ヤモンド薄膜24では、前記したような1〜3%もの不
純物の混入によって膜は黒色または灰色程度のものしか
得られていないのが現状である。一般的にダイヤモンド
薄膜の製膜においては、膜質を向上するために、ダイヤ
モンドと同時に生成するグラファイト、アモルファスカ
ーボン等の非ダイヤモンド成分を除去することが重要で
あることは周知の事実であり、原料ガスの種類、混合
比、基板温度、プラズマトーチと基板間距離、プラズマ
パワー等の製膜条件の操作である程度まで向上できてい
る。しかし、前記したような非ダイヤモンド成分の除去
が完全に達成できた場合でも、タングステンとか銅など
の不純物は混入したままである。このような金属元素が
薄膜中に混入すると、光子が金属元素によって吸収され
る。その結果、黒色または灰色程度のダイヤモンド薄膜
となってしまう。このようなダイヤモンド薄膜は光学膜
やレンズのような高透光率が必要なものへの応用は困難
である。また半導体では周知のようにPPMオーダーで
の不純物制御が必要であるが、従来のダイヤモンド薄膜
では1%程度のタングステンとか銅の混入は致命的な問
題となって、高品質なダイヤモンド半導体を得ることは
甚だ困難となる。
【0008】また図4に示す熱プラズマCVD法による
ダイヤモンド薄膜の製膜方法以外にも熱プラズマを用い
たダイヤモンド薄膜の製造方法は多々ある。例えば特開
平1−164795号公報に開示されている発明は、図
4に示したプラズマトーチを用いたダイヤモンド粒子の
製造に関するものである。しかし、同公報においても同
様な課題が発生することはいうまでもない。
【0009】さらに、このプラズマトーチ単体ではダイ
ヤモンド薄膜の製膜面積が現状直径1〜2cm程度である
が、この製膜面積を拡大するため、プラズマトーチと従
来のRF熱プラズマ発生装置とを結合したRF熱プラズ
マ発生装置もある。この装置は大面積製膜が可能である
ことから、ダイヤモンド薄膜の実用化にさらに有利な方
法である。ところが、このRF熱プラズマ発生装置を用
いても熱プラズマ発生装置と同様な課題が生じることも
避けがたく、高品質なダイヤモンド薄膜の実用化は困難
となってしまう。
【0010】以上説明したように、従来の技術ではダイ
ヤモンド薄膜に混入した不純物が悪影響をおよぼすた
め、光学薄膜、レンズ、または半導体を実現できる高品
質なダイヤモンド薄膜を得ることは困難である。
【0011】また、以上の説明はダイヤモンド薄膜の製
膜について例示したにすぎず、他のシリコン薄膜、酸化
シリコン薄膜、酸化アルミニウム薄膜等についても従来
の技術を用いる限りでは同様な不純物による膜質への悪
影響を避けることはできない。
【0012】以上、製膜方法としての熱プラズマCVD
による方法について説明したが、熱プラズマを用いる製
膜方法の他の一つであるプラズマ溶射で、ダイヤモンド
薄膜、シリコン薄膜、酸化シリコン薄膜、または酸化ア
ルミニウム薄膜等を製膜する場合についても従来の技術
を用いる限り、同様な不純物による膜質への悪影響を避
けることはできない。
【0013】本発明は上記課題を解決するものであり、
不純物の少ない極めて高品質な薄膜の製膜方法および製
膜装置およびダイヤモンド薄膜を提供することを目的と
する。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、薄膜の構成元素を主成分とする部材で構成
された電極を用いて熱プラズマを発生し、その熱プラズ
マによって原料ガスまたは原料固体または原料ガスと原
料固体との混合物を分解または溶融した後の生成物を基
板上に堆積するものである。
【0015】またカソードチップと、そのカソードチッ
プを囲むようにまたは対向するように配設したアノード
と、カソードチップとアノードとの間の空間に原料ガス
を供給するガス供給手段とからなる熱プラズマ発生トー
チと、カソードチップとアノードとに電力を供給する電
源とを備えた熱プラズマCVD装置よりなる製膜装置で
あって、少なくともカソードチップとアノードのいずれ
か一方が薄膜の構成元素を主成分とする部材で構成され
ていることを特徴とするものである。
【0016】またカソードチップと、そのカソードチッ
プを囲むようにまたは対向するように配設したアノード
と、カソードチップとアノードとの間の空間にガスを供
給するガス供給手段とからなる熱プラズマ発生トーチ
と、カソードチップとアノードとの間の空間または熱プ
ラズマ発生トーチと基体との間の空間の少なくともいず
れか一方に原料固体を供給する原料固体供給手段と、カ
ソードチップとアノードとに電力を供給する電源とを備
えたプラズマ溶射装置よりなる製膜装置であって、少な
くともカソードチップとアノードのいずれか一方が薄膜
の構成元素を主成分とする部材で構成されていることを
特徴とするものである。
【0017】さらに、熱プラズマ発生トーチと、その熱
プラズマ発生トーチで発生した熱プラズマが流入するよ
うに接続した絶縁体の中空容器と、この中空容器の外周
に巻回されたRFコイルと、そのRFコイルへのRF電
力供給源と、前記中空容器へのガス供給手段とを備えた
RF熱プラズマCVD装置よりなる製膜装置であって、
前記熱プラズマ発生トーチの少なくともカソードチップ
とアノードのいずれか一方が薄膜の構成元素を主成分と
する部材で構成されていることを特徴とするものであ
る。
【0018】さらにまた炭素を含む原料ガスまたは炭素
を含む原料固体を熱プラズマ発生装置で分解した後の生
成物を基体上に堆積してなるダイヤモンド薄膜であっ
て、前記熱プラズマ発生装置のプラズマ発生電極のう
ち、少なくともカソードチップとアノードのいずれか一
方が炭素を主成分とする部材で構成された製膜装置によ
って製膜されたものである。
【0019】
【作用】したがって本発明によれば、以下に説明する作
用によって従来の技術課題を解決することができる。す
なわち熱プラズマ発生トーチのカソードチップとアノー
ドの少なくともいずれか一方は薄膜の構成元素を主成分
とする部材で構成されているので、カソードチップとア
ノードの表面が従来の技術と同様にアークによる高熱お
よびアーク中のイオン、または電子の照射を受け、カソ
ードチップとアノードがアークによって損耗されてプラ
ズマジェットヘ混入してもこの混入物は薄膜の構成元素
と同じであるとともに、プラズマジェットの高熱で分解
された後に基板へ到達するために、薄膜の原料として製
膜に作用し、薄膜の膜質に悪影響を及ぼすことがない。
【0020】また前記カソードチップまたはアノードの
アークに曝される部分は薄膜の構成元素を主成分とする
部材で構成されており、かつ脱着可能な構成とすること
によってカソードチップおよびアノードの全体を交換せ
ず損耗部分のみの交換ですむので、装置の保守上有利で
実用化に好ましい。
【0021】さらに本発明の作用について、特許請求の
範囲の請求項2に記す製膜装置でダイヤモンド薄膜を製
膜する場合を具体例にとり説明する。ダイヤモンドの製
膜では、カソードチップおよびアノードは例えばグラフ
ァイトで構成することができる。この場合、カソードチ
ップまたはアノードからプラズマジェットへの混入物は
ダイヤモンド薄膜の構成元素である炭素であるととも
に、プラズマジェットの高熱で分解されて活性化した後
に基板へ到達するために、ダイヤモンド薄膜の原料とし
て製膜に作用する。したがって、これらの混入物はダイ
ヤモンド薄膜中に混入しても膜質に悪影響を及ぼすもの
ではない。
【0022】また熱プラズマCVD装置でも装置の耐久
性は実用化する上で必須の要件である。本発明における
カソードチップはグラファイトの融点が3827℃と従
来の技術のカソード構成材料のタングステンの融点より
高いため、従来の技術のカソード以上の耐久性を有す
る。また本発明におけるアノードの熱伝導率は3〜10
W/cm/Kと従来のアノードの構成材料の銅と同程度に
大きく、かつ耐久性にも優れているため、従来の技術の
アノード以上の耐久性を有する。したがって、本発明の
熱プラズマCVD装置よりなる製膜装置は従来の熱プラ
ズマCVD装置以上の耐久性を有するものである。
【0023】また同請求項3に記す製膜装置は、請求項
2に記す製膜装置と全く同様な作用が発揮できるため、
同等の膜質がより高速に製膜できるものである。これは
薄膜の原料に原料ガスと同時に粉末の原料固体をも用い
るためであって、プラズマ溶射の高速製膜性を活かしつ
つ、高品質な薄膜が得られるものである。また装置の耐
久性は請求項2の説明と同様な作用により十分な耐久性
を有するものである。
【0024】また同請求項4に記す製膜装置も、請求項
2の製膜装置と全く同様な作用を発揮するため、同等な
膜質がより大面積に製膜できるものである。これはRF
熱プラズマCVD法の大面積製膜性を活かしつつ、高品
質な薄膜が容易に製膜できるものである。
【0025】また本発明のダイヤモンド薄膜は、熱プラ
ズマ発生装置のプラズマ発生電極のうち少なくともカソ
ードチップとアノードとのいずれか一方が炭素を主成分
とする部材で構成された熱プラズマCVD装置によって
製膜されたダイヤモンド薄膜であるため、従来技術の課
題であった膜中への金属元素の混入による膜質の劣化を
解決することができる。すなわち本発明のダイヤモンド
薄膜は光学膜、レンズのような高透光率が必要なものへ
の応用が可能であるほか、高品質なダイヤモンド半導体
の実現も可能である。
【0026】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を用い
て説明する。図1は本発明の第1の実施例における熱プ
ラズマCVD装置よりなる製膜装置を示すものであり、
カソード棒1の先端に純度99.99%のグラファイト
よりなる熱プラズマの発生用のカソードチップ2が脱着
可能なように取り付けられている。またアノードホルダ
ー3には純度99.99%のグラファイトよりなるアノ
ード4が脱着可能なように取り付けられている。熱プラ
ズマ発生トーチ5はこれらカソード棒1、カソードチッ
プ2、アノード4およびアノードホルダー3とから構成
されている。原料ガスとしてのCH4ガス6を流速35l
/minで、また同じく原料ガスとしてのH2ガス7を流速
0.5l/minでともに熱プラズマ発生トーチ5に導入し
た後、直流電源8でカソードチップ2とアノード4との
間に電圧を印加すると、カソードチップ2とアノード4
との間にアーク9が発生する(アーク電流300A、電
圧85V)。CH4ガス6とH2ガス7はこのアーク9を
通過することで分解し、高温,高速のプラズマジェット
10となり、基板11上に噴射され、ダイヤモンド薄膜
12が製膜されていく。この製膜条件では、ダイヤモン
ド薄膜12の製膜速度は0.6mm/Hrであり、また製膜
面積の直径は1.5cmであった。
【0027】つぎに本発明の第2の実施例について説明
する。図2は第2の実施例におけるプラズマ溶射装置よ
りなる製膜装置を示すものであり、図1と同一部分には
同一番号を付して詳しい説明を省略し、第1の実施例と
異なる点について説明する。
【0028】原料ガスとしてのCH4ガス6を流速35l
/minで、また同じく原料ガスとしてのH2ガス7を流速
0.5l/minとし、これに原料固体として平均粒径0.
005mmのカーボン微粉末13を1.5g/minの割合で
混合してともに熱プラズマ発生トーチ5に導入した後、
直流電圧8でカソードチップ2、アノード4との間に電
圧を印加すると、カソードチップ2とアノード4との間
にアーク9が発生し(アーク電流300A、電圧85
V)、CH4ガス6とH2ガス7とカーボン粉末13とは
このアーク9を通過することで分解し高温、高速なプラ
ズマジェット14となり、基板11上に噴射され、ダイ
ヤモンド薄膜12が製膜されていく。この製膜条件で
は、ダイヤモンド薄膜12の製膜速度は1.2mm/Hr
と、第1の実施例における製膜速度の2倍の製膜速度で
あり、また製膜面積の直径は1.5cmであった。
【0029】次に、本発明の第3の実施例についてRF
熱プラズマCVD装置よりなる製膜装置を用いてダイヤ
モンド薄膜を製膜する例について説明する。図3は本発
明の第3の実施例におけるRF熱プラズマCVD装置を
示すものであり、図1と同一部分には同一番号を付して
詳しい説明を省略し、第1の実施例と異なる点について
説明する。図3において前記実施例と相違する点は、熱
プラズマ発生トーチ5が絶縁性の中空容器5に熱プラズ
マ発生トーチ5で発生したサブプラズマジェット16が
流入するように結合されていることにあり、その中空容
器15の外周にはRFコイル17が巻回されている。こ
のRFコイル17へはRF電源(図示せず)からのRF
電力が供給される。原料ガスとしてのCH4ガス6を流
速35l/minで、また同じく原料ガスとしてのH2ガス
7を流速0.5l/minでともに熱プラズマ発生トーチ5
に導入した後、および中空容器15に導入した後、直流
電圧8でカソードチップ2、アノード4との間に電圧を
印加すると、カソードチップ2とアノード4との間にア
ーク9が発生する(アーク電流300A、電圧85
V)。CH4ガス6のうち熱プラズマ発生トーチに導入
された部分はこのアーク9を通過することで分解し高温
高速のサブプラズマジェット16となり、またCH 4
ス6のうち中空容器15へ導入された部分はサブプラズ
マジェット16とRFコイル17とで発生したメインプ
ラズマジェット18によって分解し基板11上に噴射さ
れ、ダイヤモンド薄膜12が製膜されていく。この製膜
条件では、ダイヤモンド薄膜12の製膜速度は0.4mm
/Hrであり、また製膜面積の直径は約6cmで、前記実施
例の場合に比べて直径で4倍もの大面積に製膜すること
ができた。
【0030】上記の本発明の一実施例について説明して
きたが、本発明によって製膜したダイヤモンド薄膜12
は無色透明であって、その不純物混入量を2次イオン質
量分析機で分析したところ、ダイヤモンドの構成元素で
ある炭素以外には、水素が約10PPM程度検出されたの
みであった。この水素は原料ガスとして熱プラズマ発生
トーチ5に供給されたH2ガス7から混入したものと推
定されるが、ダイヤモンド薄膜の膜質に悪影響を及ぼす
ものではない。
【0031】またカソードチップ2やアノード4等の電
極の部材に使用した純度99.99%グラファイトの残
部は有機状物質であり、プラズマジェット10,14ま
たはサブプラズマジェット16、メインプラズマジェッ
ト18を通過することでガス化し除去されるため、ダイ
ヤモンド薄膜12中に混入することはなかった。
【0032】本実施例において、約90時間の製膜時間
程度では、ダイヤモンド薄膜12の品質は初期のものと
ほとんど変わりなく高品質なものを製膜することができ
た。
【0033】なお、本発明ではダイヤモンド薄膜12の
原料は第1の実施例に示したCH4ガス6とH2ガス7の
みに限るものではなく、第2の実施例に示したように例
えば原料ガスにカーボン微粉末13等を供給してもかま
わない。この場合、カーボン微粉末13等の原料固体の
供給位置は第2の実施例で示した位置以外、例えば熱プ
ラズマ発生トーチ5のプラズマジェット噴出口とか、ま
たは熱プラズマ発生トーチ5と基板11との間の空間の
任意の位置とか、第3の実施例における中空容器の側壁
の位置であってもよい。
【0034】また本実施例では、カソードチップ2とア
ノード4の両方をグラファイトで構成したが、本発明で
はいずれか一方にグラファイトを用いても高品質なダイ
ヤモンド薄膜12を製膜することができる。ただし熱プ
ラズマを用いる製膜方法では、一般的にカソードチップ
の方がアノードよりも損耗されやすいので、カソードチ
ップをグラファイトで構成する方がどちらかといえば好
ましい。
【0035】さらに本発明はその説明をダイヤモンド薄
膜の製膜に関して行ってきたが、本発明の係わる技術は
特にダイヤモンド薄膜に限定するものではなく、他のシ
リコン薄膜、酸化シリコン薄膜、酸化アルミニウム薄
膜、タングステン薄膜等の各種薄膜の製膜においても同
様な効果が発揮でき、不純物のきわめて少ない高品質な
各種薄膜を製膜することができるものである。
【0036】
【発明の効果】上記実施例より明らかなように本発明
は、薄膜の構成元素を主成分とする部材で構成されたカ
ソードチップ,アノード等の電極を用いて熱プラズマを
発生し、その熱プラズマによって原料ガスまたは原料ガ
スと原料固体との混合物を分解または溶融した後の生成
物を基板上に堆積するものであり、不純物の少ない極め
て高品質な薄膜を製膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における製膜装置の概略
【図2】同第2の実施例における製膜装置の概略図
【図3】同第3の実施例における製膜装置の概略図
【図4】従来の薄膜の製膜装置の概略図
【符号の説明】
2 カソードチップ 4 アノード 6 CH4ガス(原料ガス) 7 H2ガス(原料ガス) 11 基板 13 カーボン微粉末(原料固体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新宅 秀信 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜の構成元素を主成分とする部材で構
    成されたカソードチップ,アノード等の電極を用いて熱
    プラズマを発生し、その熱プラズマによって原料ガスま
    たは原料固体または原料ガスと原料固体との混合物を分
    解または溶融した後の生成物を基板上に堆積する薄膜の
    製膜方法。
  2. 【請求項2】 カソードチップと、そのカソードチップ
    を囲むようにまたは対向するように配設したアノード
    と、前記カソードチップとアノードとの間の空間に原料
    ガスを供給するガス供給手段とからなる熱プラズマ発生
    トーチと、前記カソードチップとアノードとに電力を供
    給する電源とを備えた熱プラズマCVD装置よりなる製
    膜装置であって、少なくとも前記カソードチップとアノ
    ードのいずれか一方が薄膜の構成元素を主成分とする部
    材で構成されていることを特徴とする薄膜の製膜装置。
  3. 【請求項3】 カソードチップと、そのカソードチップ
    を囲むようにまたは対向するように配設したアノード
    と、前記カソードチップとアノードとの間の空間にガス
    を供給するガス供給手段とからなる熱プラズマ発生トー
    チと、前記カソードチップとアノードとの間の空間また
    は前記熱プラズマ発生トーチと基体との間の空間の少な
    くともいずれか一方に原料粉末を供給する原料粉末供給
    手段と、前記カソードチップとアノードとに電力を供給
    する電源とを備えたプラズマ溶射装置よりなる製膜装置
    であって、少なくとも前記カソードチップとアノードの
    いずれか一方が薄膜の構成元素を主成分とする部材で構
    成されていることを特徴とする薄膜の製膜装置。
  4. 【請求項4】 熱プラズマ発生トーチと、その熱プラズ
    マ発生トーチで発生した熱プラズマが流入するように接
    続した絶縁体の中空容器と、この中空容器の外周に巻回
    されたRFコイルと、そのRFコイルへのRF電力供給
    源と、前記中空容器へのガス供給手段とを備えたRF熱
    プラズマCVD装置よりなる製膜装置であって、前記熱
    プラズマ発生トーチの少なくともカソードチップとアノ
    ードのいずれか一方が薄膜の構成元素を主成分とする部
    材で構成されていることを特徴とする薄膜の製膜装置。
  5. 【請求項5】 少なくともカソードチップまたはアノー
    ドのアークに曝される部分が薄膜の構成元素を主成分と
    する部材で構成されており、かつ脱着可能な構成である
    ことを特徴とする請求項2,3または4記載の薄膜の製
    膜装置。
  6. 【請求項6】 炭素を含む原料ガスまたは炭素を含む原
    料固体を熱プラズマ発生装置で分解した後の生成物を基
    体上に堆積してなるダイヤモンド薄膜であって、前記熱
    プラズマ発生装置のプラズマ発生電極のうち、少なくと
    もカソードチップとアノードとのいずれか一方が炭素を
    主成分とする部材で構成された製膜装置によって製膜さ
    れたダイヤモンド薄膜。
JP1461292A 1992-01-30 1992-01-30 薄膜の製膜方法、薄膜の製膜装置およびダイヤモンド薄膜 Pending JPH05209277A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000226658A (ja) * 1999-02-02 2000-08-15 Mitsubishi Chemicals Corp Cvd装置および磁気記録媒体の製造方法
JP2009249741A (ja) * 2008-04-04 2009-10-29 Sulzer Metco Ag プラズマビームによる基体の被覆及び表面処理のための方法及び装置
JP2019521253A (ja) * 2016-06-28 2019-07-25 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated 電子ビームプラズマプロセスにより形成されるダイヤモンドライクカーボン層

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