JPH0520403B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は新規なる形態を有し皮膚の水分保湿効
果に優れた化粧料に関するものである。詳しく
は、リン脂質、親油性物質、NMF（天然保湿因
子）成分および粉末化剤を必須成分として含有す
る自己乳化性に優れた粉末基礎化粧料に関する。 基礎化粧料は皮膚に塗布し、肌荒れ等を防止
し、みずみずしい肌とする事を目的とするもので
ある。そのために従来は、エモリエント剤すなわ
ち油性成分が重視されていたが、最近肌を整える
ためには皮膚における保湿効果が重要であるとの
見解から保湿剤が特に注目され保湿効果の高い化
粧品が求められている。 一般に、化粧品には、保湿を目的とするために
鉱油、動植物油、合成油などの油脂類あるいは、
グリセリン、プロピレングリコール、水溶性高分
子などの保湿剤が使用されている。しかし油脂類
は皮膚に過度に塗布すると皮膚表面からの水分放
散がさまたげられ皮膚の水分含有量を一時的に高
めるが、皮膚呼吸、発汗等の正常な生理作用が妨
げられ皮膚の老化促進等良い効果を与えない。
又、グリセリン、プロピレングリコール、マルチ
トール、水溶性高分子などの保湿剤は、皮内から
も水分吸収をし、必ずしも保湿効果を与えない。
更に持続性がなく、皮膚の水分調整を行ない得な
い。さらに、皮膚の水分調整機能を果すために皮
内のNMF成分が重要な、役割りを果す事が知ら
れており、NMF成分を化粧料中に含有せしめる
事が良く行われているが、皮膚の水分調整機能を
補うような、作用をもつ化粧料は、得られていな
い。 最近NMF成分をリポゾームに包み込む事によ
り、皮内にNMF成分を持ち込む事ができ、この
ため、皮膚の水分調節機能が増強されるという報
告がなされている。 しかしリポゾーム液は不安定で、更に他成分即
ち界面活性剤等が混入されると瞬時にこわれてし
まい実用に供する事はできない。またリポゾーム
の工業的製造ができないため化粧料として市販さ
れるにいたつていない。 本発明はこれら従来技術の問題を解消し更に新
しい特徴を付与した実用価値の高い有用な化粧料
を提供するものである。 即ち、本発明はリン脂質、親油性物質、NMF
（天然保湿因子）成分及び粉末化剤を必須成分と
する自己乳化性に優れた粉末化粧料に係るもので
あり、かかる本発明の化粧料はリン脂質を主乳化
剤とし、親油性物質、多価アルコールを含有する
多価アルコール中油型エマルシヨンを生成し、つ
いで水を添加することによりＯ／Ｗエマルシヨン
を形成し、このＯ／ＷエマルシヨンにNMF成
分、粉末化剤を混合し、スプレードライもしくは
凍結乾燥法により粉末化する方法等により得られ
る。 本発明の粉末化粧料は使用時、水もしくはアル
コール水溶液等と混合し、クリーム状もしくはロ
ーシヨン状として皮膚に塗布することができる。 本発明の化粧料は適当な脂質を含有し、皮膚の
正常な生理作用を防害する事なく、長時間皮膚の
水分含有量を高く保つ事ができ、安全性にも優れ
長期保存にも耐え得る、更に水分散性に優れる等
数多くの特長を有するものである。 本発明でいうリン脂質としてはレシチン、リゾ
レシチン等が挙げられる。リン脂質含量と水分調
整機能の増強作用は関連しており、リン脂質含有
量は0.2重量％（全系に対して）以上が好ましく、
多く含む程皮膚の水分調整機能が増強される。 リン脂質による親油性物質の乳化には補助乳化
剤の併用、あるいは多価アルコール中油型エマル
シヨンを使用する乳化法を用いる。 補助乳化剤としては親水性ポリグリセリン脂肪
酸エステル、親水性シヨ糖脂肪酸エステル、ポリ
オキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬
化ヒマシ油等である。 多価アルコールを使用する方法とはリン脂質を
プロピレングリコール、グリセリン等の多価アル
コールに溶解もしくは分散させ、親油性物質を滴
下し多価アルコール中油型エマルシヨンを作成し
これに水を添加しＯ／Ｗエマルシヨンを得る方法
である。 本発明でいう親油性物質とは水に不溶の化粧品
原料を示し、スクワラン、鉱油、動植物油、高級
アルコール、高級脂肪酸、及びこれらのエステ
ル、エーテル、多価アルコール脂肪酸エステル、
バチルアルコール、コレステロール等がある。こ
れら物質は皮膚に適度な脂質を与え水分調整機能
を増強する。親油性物質の含有量は使用目的によ
り調整され0.5から60重量％であり、多量含有さ
せると粉末化がむずかしく、又水分散性が低下す
る。 本発明でいう粉末化剤としては砂糖、デンプ
ン、デキストリン、ソルビトール、グルコース、
マルトース、フラクトース、乳糖、カゼインなど
の固形糖類もしくはポリビニルアルコール等の水
溶性高分子等が挙げられる。これら粉末化剤は自
己乳化性粉末を得る目的で添加される。添加量は
その種類にもよるが10重量％以上好ましくは20重
量％以上添加される。本発明でいうNMF成分と
はピロリドンカルボン酸塩、乳酸塩、アミノ酸
塩、尿素等である。NMF成分は１種もしくは２
種以上含有しNMF／リン脂質の重量比が0.5〜20
となるような範囲で使用する事が好ましい。粉末
状で使用する外に固化することにより固形化粧料
としても使用することができる。 以下、実施例により本発明を更に詳述する。

【表】

【表】 (A)成分を加熱混合し、３倍量の温湯を徐々に加
えＯ／Ｗエマルシヨンを生成する。これに(B)成分
を加えよく混合後(C)成分の３倍希釈水溶液と混合
し、スプレードライにより自己乳化性粉末化粧料
を得た。 得られた粉末化粧料を２倍の水に分散させ、こ
れを0.1ｇとり前腕部３×３cm²に塗布し、250℃、
54％RHの状態で皮膚表面の電気伝導性を測定し
た。実施例１の結果を第１図に曲線Ａとして示し
た。又、比較例１，２の化粧料についても同様の
測定を行ない第１図に曲線Ｂ，Ｃとして示した。 第１図より実施例１の本発明粉末化粧料は高い
電気伝導性を示し、保湿効果の高いことがわか
る。 実施例２ 粉末化粧料 (A) ホスフアチジルコリン 8wt％ コレステロール ２ プロピレングリコール ４ (B) ピロリドンカルボン酸ソーダ 65 (C) デキストリン 20 上記(A)、(B)、(C)成分を用い、実施例１と同様の
方法で粉末化粧料を作つた。自己乳化性のよい保
湿効果の優れた化粧料であつた。 実施例３ 粉末化粧料 (A) 大豆レシチン 2wt％ シヨ糖モノオレエート １ バチルアルコール 0.3 スクワラシ 30 グリセリン ３ (B) 尿素 10 乳酸トリエタノールアミン塩 ５ (C) デキストリン 48.7 上記(A)、(B)、(C)成分を用いて実施例１と同様の
方法により粉末化粧料を製造した。 実施例４ 粉末化粧料 (A) 卵黄レシチン 3wt％ デカグリセリンモノステアレート ２ ビタミンＡ油 ２ 中鎖脂肪酸トリグリセライド 23 (B) ピロリドンカルボン酸ソーダ 15 (C) デキストリン 55 上記(A)成分に対して３〜４重量％の水を加え十
分に撹拌し透明な溶液とした後、この透明溶液に
撹拌しながら(C)成分の３倍量の水を加えて乳化
し、(B)、(C)成分を加えスプレードライにより粉末
化粧料を得た。 実施例５ 粉末パツク (A) 卵黄レシチン 2wt％ デカグリセリンモノステアレート １ ビタミンＡ油 １ ビタミンＥアセテート １ ラノリン １ アスコルビン酸ジパルミテート １ エタノール ３ (B) ピロリドンカルボン酸ソーダ 10 (C) ポリビニルアルコール 80 上記(A)成分に対して10重量％の水を加えよく撹
拌し透明ゲルとした後、これに撹拌しながら(C)成
分の６倍量の水を加えＯ／Ｗエマルシヨンとし、
(B)、(C)成分を加えた後スプレードライで粉末化し
た。 実施例６ 粉末トリートメント (A) 塩化ベンザルコニウム 0.5wt％ 卵黄レシチン ５ ラノリン 10 (B) 尿素 10 (C) デキストリン 74.5 (A)成分に対して20〜30重量％の水を加えてよく
撹拌し透明溶液とした後、(C)成分の３倍量の水を
加えＯ／Ｗエマルシヨンとし、(B)、(C)成分を加え
た後スプレードライで粉末化した。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例１又は比較例１，２の化粧料を
塗布した皮膚表面の電気伝導性の測定結果を示す
グラフである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ リン脂質、親油性物質、NMF（天然保湿因
   子）成分及び粉末化剤を必須成分とする自己乳化
   性に優れた粉末化粧料。 ２ NMF成分／リン脂質（重量比）が0.5〜20、 リン脂質含量が0.2重量％以上、 親油性物質含量が0.5〜60重量％、 粉末化剤含量が10重量％以上である特許請求の
   範囲第１項記載の粉末化粧料。 ３ リン脂質を主乳化剤とし、親油性物質、多価
   アルコールを含有する多価アルコール中油型エマ
   ルシヨンを生成し、ついで水を添加することによ
   りＯ／Ｗエマルシヨンを形成し、このＯ／Ｗエマ
   ルシヨンにNMF成分、粉末化剤を混合し、スプ
   レードライもしくは凍結乾燥法により粉末化する
   ことを特徴とするリン脂質、親油性物質、NMF
   成分及び粉末化剤を必須成分とする粉末化粧料の
   製造法。