JP4847820B2 - 粉末化粧料の製造方法 - Google Patents
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Description
また、粉末成分と油分とを揮発性溶媒中で混合を行う湿式混合の際に用いられる種々の装置に対する検討も広く行われている。具体的には、以下のような例が挙げられる。
(2)粉末と油分と溶媒を噛み合い型二軸押し出し装置を用いて混合する。得られたスラリーから溶媒を除去して乾燥粉末とし、該乾燥粉末をさらに粉砕機により解砕した後、乾式成型を行い、固形状の粉末化粧料を得る。(特許文献4)
(3)高分子粉体を揮発性溶媒中で媒体攪拌ミルを用いて粉砕した粉砕溶液を得た後、該粉砕溶液と顔料等の粉体をディスパーなどの湿式混合機にて混合し、スラリーとする。得られたスラリーから揮発性溶媒を除去して乾燥粉末とし、さらに粉砕機により解砕した後、乾式成型を行い、固形状の粉末化粧料を得る。(特許文献5)
しかしながら、保湿剤の配合による効果が十分発揮されているとは言えず、満足できるものではなかった。
すなわち、本発明にかかる粉末化粧料の製造方法は、粉末成分と、油性成分と、下記一般式(1)で示されるグリセリンモノエーテルとを揮発性溶媒中で混合してスラリーとするスラリー調製工程と、前記スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程と、を備え、前記乾燥工程で用いる乾燥装置は、前記スラリーをせん断部材の回転による機械的なせん断力により微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風することで前記スラリーの乾燥を行う乾燥装置であり、前記乾燥粉末から粉末化粧料を得ることを特徴とする。
G−O−R (1)
(式中、Gはグリセリンの一つの水酸基を除いた残基、Rは炭素数8〜12のアルキル基またはアルケニル基を表す。)
また、本発明の製造方法において、前記乾燥工程にて用いる乾燥装置は、中空状の筐体と、該筐体内に設けられたせん断部材の回転による機械的なせん断力によりスラリーをせん断して微小液滴化するせん断手段と、前記筐体内の前記せん断部材へスラリーを供給する供給手段と、前記筐体内に乾燥ガスを送風し、前記せん断手段により微小液滴とされたスラリーに乾燥ガスを供給、接触させる送風手段と、前記スラリーを乾燥することで生じた乾燥粉末を捕集する捕集手段とを備えた乾燥装置であることが好適である。
また、本発明の製造方法において、前記スラリー調製工程にて、媒体攪拌ミルを用いて、揮発性溶媒中で粉末成分と油性成分とグリセリンモノエーテルとを混合し、該粉末成分を解砕および/または粉砕および/または分散してスラリーを得ることが好適である。
また、本発明の製造方法においては、前記乾燥粉末を容器に充填し、乾式成型により固形化する固形化工程をさらに備えた粉末固形化粧料の製造方法であることができる。
そして、本発明にかかる粉末化粧料は、前記いずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とする。
また、前記乾燥粉末を容器に充填し、固形化すれば、使用感触および使用性共に優れた固形の粉末化粧料を得ることができる。
図1は本発明の実施形態にかかる製造方法で用いる装置構成の一例を示した図である。本実施形態にかかる粉末化粧料の製造方法は、粉末成分と油性成分とグリセリンモノエーテルとを揮発性溶媒中で混合しスラリーとするスラリー調製工程と、前記スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程とを備える。
まず、スラリー調整工程では、図1に示した媒体攪拌ミル10を用いて、揮発性溶媒中で粉末成分と油性成分とグリセリンモノエーテルとを混合し、該粉末成分を解砕/粉砕/分散することでスラリーを得る。得られたスラリーは貯蔵タンク12に一旦貯められ、乾燥装置14へ所定の流量で供給される。
このように本実施形態ではスラリーを微細液滴にした状態で乾燥を行う乾燥装置14を用いて乾燥粉末を製造しているため、乾燥時に粉末成分の凝集がほとんど生じていない乾燥粉末を得ることができる。そのため、肌への塗付時における使用感触に優れた粉末化粧料を提供することが可能となる。また、乾燥後に再度解砕を行う必要がないため生産性・作業環境性にも優れている。
また、図1に示したように、スラリー調製工程において、粉末油分と油性成分とグリセリンモノエーテルとを揮発性溶媒中で混合するために媒体攪拌ミル10を用いることが好適である。媒体攪拌ミルを用いることで、油性成分及びグリセリンモノエーテルで粉末成分表面がきれいにコートされたスラリーを得ることができ、該スラリーを用いることでより使用感触、使用性がさらに優れた粉末化粧料を得ることができる。
以上が本発明にかかる粉末化粧料の製造方法の概略であり、以下に各工程について詳しい説明を行う。
粉末成分と油性成分とグリセリンモノエーテルとを揮発性溶媒中で混合してスラリーとする方法としては次のような方法が挙げられる。
(A)粉末と油分とグリセリンモノエーテルとをあらかじめヘンシェルミキサー(登録商標)やパルペライザーなどにより乾式混合/解砕したものを、揮発性溶媒中に添加し、ディスパーミキサー、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、および二軸混練機などにより混合/分散する方法。
(B)粉末と油分とグリセリンモノエーテルとを揮発性溶媒中に添加し、必要があればディスパーミキサーなどで予備混合した後に、媒体攪拌ミルにより、解砕/粉砕/分散処理を行う方法。
(C)高分子弾性粉末や微粒子粉末などの凝集性の強い一部特定の粉末成分を揮発性溶媒中に添加し、これを必要があればディスパーミキサーなどで予備混合した後、媒体攪拌ミルを用いて解砕/粉砕/分散させることで分散液を得て、該分散液とそのほかの粉末や油分、グリセリンモノエーテルを添加し、さらに湿式混合機や媒体攪拌ミルを用いて処理を行う方法。
なお、スラリー調製工程において媒体攪拌ミルを使用することが好適である(例えば、上記(B)、(C))。媒体攪拌ミルとは、粉末成分(および油性成分、グリセリンモノエーテル)と溶媒からなる分散液をビーズ等の固体分散媒体(メディア)が充填された容器内に収容し、該容器内の液体を攪拌することでメディアによる衝撃力、摩擦力等により粉末成分の解砕/粉砕/分散を行うものである。
図2に示した例の媒体攪拌ミル110は、略円筒状の容器112と、容器112内に挿通された駆動軸114と、駆動軸114を回転駆動する駆動モータ116と、駆動軸に取り付けられた複数枚の攪拌ディスク118a〜fと、を備えている。容器112内は、粉末成分の解砕/粉砕/分散を行う分散室120と、処理後の分散液を抽出する抽出室122とに分かれている。容器112の分散室120側には、処理対象の分散液を供給する供給口124が設けられ、また抽出室122側には処理後の分散液を取り出す抽出口126が設けられている。分散室120と抽出室122との間には開口部128を設けた隔壁130が備えられており、この隔壁130に近接して、駆動軸114に取り付けられた分離ディスク132が隔壁130の開口部128を覆うように配置されている。隔壁130と分離ディスク132との間には隙間が設けられており、この隙間を固体分散媒体と処理対象の分散液とを分離する分離スリット134として使用する。
上記の解砕/粉砕/分散処理された分散液は、分散室120と抽出室122との間にある隔壁130と分離ディスク132との間の分離スリット134を通過して抽出室122に流入し、抽出口126から外部に抽出される。分離スリット134は、固体分散媒体136が分散室120内から抽出室122へ流出しない程度の大きさに取られている。そのため、分散液が分離スリット134を通過する際に、分散液(粉末成分+溶媒)と固体分散媒体136との分離が行われ、抽出室には分散液のみが入ることになる。
出口スリット228は固体分散媒体224が環状空間218内から流出しない程度の大きさに取られており、分散液(粉末成分+溶媒)と固体分散媒体224と分離する分離手段として機能する。また、ロータ214には固体分散媒体224を入口側へ戻すための戻し孔230が設けられており、固体分散媒体224が出口付近に留まらないようにされている。
また、媒体攪拌ミルの例としては、上で説明したものの他に、バスケットミルなどのバッチ式ビーズミル、横型・縦型・アニュラー型の連続式のビーズミル、サンドグラインダーミル、ボールミル、マイクロス(登録商標)などが好適なものとして挙げられるが、本発明の目的に合致していれば特に制限無く使用することができる。つまり、凝集状態にある粉末成分を配合した場合、これら粉末成分の凝集を解いて一次粒子に近い状態まで攪拌、分散させ、油性成分及びグリセリンモノエーテルを粉末表面に均一に付着させ得るものであれば特に制限なく使用することができる。
また、スラリー調製工程において、粉末成分と(油性成分+グリセリンモノエーテル)の量比(質量比)は、使用する成分の種類にもよるが、粉末成分/(油性成分+グリセリンモノエーテル)=60/40〜99.5/0.5であることが好適である。
スラリー調製工程において用いる揮発性溶媒の量は、使用する揮発性溶媒の極性、比重などにもよるため、規定はできないが、媒体攪拌ミルのよる処理が可能となる流動性を確保することが重要である。
次に図1を参照して、本発明の実施形態にかかる製造方法の乾燥工程において用いられる乾燥装置の一例について説明を行う。なお、本実施形態にかかる製造方法で用いる乾燥装置は図1のものに限定されず、スラリーを機械的に微細液滴化するせん断手段を備えているものであればよい。図1の乾燥装置14は、スラリーの乾燥を行う場となる中空状の筐体16と、前記筐体16内に設けられた回転するせん断部材(板状部材34a,34b,34c)によりスラリーを微小液滴化するせん断手段18と、筐体16内のせん断部材(板状部材34a,34b,34c)へスラリーを供給する供給手段20と、筐体16内に乾燥ガスを送風し、せん断手段18により微小液滴とされたスラリーに乾燥ガスを供給する送風手段22と、スラリーを乾燥することで生じた乾燥粉末を捕集する捕集手段24とを備えている。
せん断手段18は筐体16底部から垂直方向に設けられた回転軸32と、該回転軸32に直角に設けられたせん断部材(板状部材34a,34b,34c)と、回転軸32を回転するための駆動部36と、を備える。駆動部36は筐体16の外に配置され、回転軸32を介してせん断部材(板状部材34a,34b,34c)に回転力を伝達する。図1で示したせん断部材は、上下方向に間隔を置いて、回転軸32に直角に設けられた3つの板状部材34a,34b,34cによって構成されている。これらのせん断部材はスラリーの供給口30の下方かつ乾燥ガスの送風口28の上方に位置している。モータ等で構成される駆動部36により回転軸32を回転させることで、板状部材34a,34b,34cが筐体16内で回転軸32を中心に水平方向に回転し、この機械的なせん断力によりスラリーを微小液滴にする。
また、筐体16内の排出口26の部分に分級手段38が設けられている。分級手段38は排出口26に設けられたオリフィスとして構成されており、大きな粒や塊、未乾燥品などが捕集手段24へと入ることを防止している。なお、分級手段の構成としてはこれに限られず、その他の構成でもかまわない。
ここではせん断部材として水平方向に回転する板状部材で構成されるものを示したが、この他に垂直方向に回転(回転軸が水平方向)に回転する板状部材で構成されるものも設けてもよい。また、せん断部材の形状としては上記のものに限られず、例えば、羽根状(回転軸に垂直な棒状部材の先端に垂直にカッターを設けたもの等)、円盤状、等が挙げられる。また、せん断部材の個数なども特に限定されない。
また、乾燥の際に用いる乾燥ガスの温度は、用いる揮発性溶媒の沸点により変化させることが可能である。また、乾燥ガスの温度が高いほど乾燥効率は高くなるため、熱による乾燥粉末構成成分の変性等の悪影響が及ばない範囲で高温に設定することが望ましい。
また、筐体16内へ窒素ガス、Arガスなどの不活性ガスを封入することで対防爆性に優れたものになるため、作業環境性も良くなる。また、コンデンサーなどの溶媒回収機構を取り入れることで、溶剤の回収も可能である。
本発明の実施形態にかかる粉末化粧料の製造方法において、固形状の粉末化粧料を製造する場合には、乾燥粉末を容器に充填し、乾式成型により固形化する固形化工程をさらに備えることが好適である。固形化の方法としては従来公知の乾式プレス成型などを用いればよい。このようにして得られた粉末固形化粧料は湿式製法と同等あるいはそれ以上の優れた使用感触を発揮しながら、乾式成型の利点である使用性の良さ(パフへのとれ具合)も兼ね備えている。また、射出充填により容器内にスラリーを充填する工程を含む従来の湿式成型の場合はスラリーの充填性を考慮する必要があるため、用いる原料に制限があったが、通常の乾式プレス成型を行う限りにおいては、用いる原料の制限も無いことも利点として挙げられる。
また、粉末化粧料を得る際の乾燥粉体の配合量は、化粧料100重量部に対して、0.5〜100重量部が好ましく、さらに好ましくは、30〜100重量部である。
次に、各成分について説明する。
粉末成分としては、化粧料に使用可能なものであれば特に限定されない。例えば、タルク、カオリン、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、焼成タルク、焼成セリサイト、焼成白雲母、焼成金雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなど)、窒化ホウ素、フォトクロミック性酸化チタン(酸化鉄を焼結した二酸化チタン、)、還元亜鉛華;有機粉末(例えば、シリコーンエラストマー粉末、シリコーン粉末、シリコーンレジン被覆シリコーンエラストマー粉末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ−酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、低次酸化チタン被覆雲母チタン、フォトクロミック性を有する雲母チタン、基板として雲母の代わりタルク、ガラス、合成フッ素金雲母、シリカ、オキシ塩化ビスマスなどを使用したもの、被覆物として酸化チタン以外に、低次性酸化チタン、着色酸化チタン、酸化鉄、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化コバルト、アルミなどを被覆したもの、機能性パール顔料として、パール顔料表面に樹脂粒子を被覆したもの(特開平11-92688)、パール顔料表面に水酸化アルミニウム粒子を被覆したもの(特開2002-146238)、パール顔料表面に酸化亜鉛粒子を被覆したもの(特開2003-261421)、パール顔料表面に硫酸バリウム粒子を被覆したもの(特開2003-61229)等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等が挙げられる。本発明においては、これらのうち1種以上の粉末成分を用いることができる。なお、パール顔料を用いる場合には、前記記載の方法により粉末化粧料とすることが好ましい。
本発明の粉体化粧料中、粉体成分は通常60質量%以上、好ましくは80質量%以上である。
油性成分としては、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、シリコーンなど、化粧料に使用可能なものであれば特に制限されず、1種以上を組み合わせて使用することができる。油性成分は、固型粉末化粧料の結合剤として機能し得る。
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
本発明においては、粉末成分及び油性成分とともに、特定のグリセリンモノエーテルを用いることを一つの特徴とする。本発明の方法において該グリセリンモノエーテルを用いると、使用感、特にうるおい感や肌へのフィット感に優れた粉末化粧料が得られる。
本発明において用いるグリセリンモノエーテルは、下記一般式(1)で示される。
G−O−R (1)
一般式(1)において、Gはグリセリンから一つの水酸基を除いた残基を表す。
また、Rは炭素数8〜12のアルキル基またはアルケニル基を表し、酸素原子を介してグリセリンと結合し、モノエーテルを形成している。なお、Rはグリセリンの1位または2位のいずれに結合していても構わない。
Rは上記範囲であればいずれであってもよいが、汎用性からオクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ウンデシル基、2−エチルヘキシル基、ゲラニル基であることが望ましく、具体例としては、グリセリンモノオクチルエーテル、グリセリンモノノニルエーテル、グリセリンモノデシルエーテル、グリセリンモノドデシルエーテル、グリセリンモノウンデシルエーテル、グリセリンモノ2−エチルヘキシルエーテル、グリセリンモノゲラニルエーテルが挙げられる。本発明においては、グリセリンモノエーテルを任意の割合で2種以上用いることができる。
本発明において最も好ましいグリセリンモノエーテルは、グリセリンモノ2−エチルヘキシルエーテルである。本化合物の市販品としては、Sensiva SC50(Schulke und Mayr GmbH)が挙げられる。
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、Eおよびその誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
評価専門パネル10名により、化粧料を実際に使用して、各評価項目に関して官能試験を行った。評価結果は下記の4水準で評価した。
◎:10名中8名以上が良好と判断
○:10名中6名〜7名が良好と判断
△:10名中4名〜5名が良好と判断
×:10名中3名以下が良好と判断
[試料1]
1〜20の成分をエチルアルコール(アウトパーツで50質量%)中にてデイスパーミキサーを用いて混合し、媒体攪拌ミル(サンドグラインダーミル、2mmφのジルコニアビーズ使用)を用いて解砕/粉砕/分散してスラリーを得た。次いで、スピンフラッシュドライヤー(APV Nordic Anhyro社製)を用いて該スラリーを機械的なせん断力により微細液滴化しながら乾燥ガスを送風して乾燥した。得られた乾燥粉末を中皿へ充填し、公知の方法により乾式プレス成型を行い、粉末固形化粧料を得た。
1〜20の成分をヘンシェルミキサーにて乾式で攪拌混合した後、パルペライザーにて2回解砕した。得られた粉末を中皿へ充填し、公知の方法により乾式プレス成型を行い、粉末固形化粧料を得た。
1〜20の成分をエチルアルコール(アウトパーツで50質量%)中にてデイスパーミキサーを用いて混合し、媒体攪拌ミル(サンドグラインダーミル、2mmφのジルコニアビーズ使用)を用いて解砕/粉砕/分散してスラリーを得た。このスラリーを中皿へ充填し、真空吸引によりエチルアルコールを除去して粉末固形化粧料を得た。
1〜20の成分をエチルアルコール(アウトパーツで50質量%)中にてデイスパーミキサーを用いて混合し、媒体攪拌ミル(サンドグラインダーミル、2mmφのジルコニアビーズ使用)を用いて解砕/粉砕/分散してスラリーを得た。次いで、攪拌乾燥装置(減圧ニーダー)を用いて該スラリーを乾燥後、パルペライザーにて2回解砕した。得られた乾燥粉末を中皿へ充填し、公知の方法により乾式プレス成型を行い、粉末固形化粧料を得た。
試料aはヘンシェルミキサーで乾式混合した混合物をさらに解砕し、これを乾式プレスした場合、
試料bは媒体攪拌ミルで湿式混合したスラリーを乾燥させずに湿式成型(真空吸引)した場合、
試料cは媒体攪拌ミルで湿式混合したスラリーを通常の攪拌乾燥装置(減圧ニーダー)により乾燥粉末としこれを乾式プレスした場合である。
また、試料1と同様のスラリーを乾燥させずに湿式成型した場合(試料b)では、化粧料が堅く固まりすぎてしまい、パフへのとれやのびが悪く、これに起因して使用感の評価も低かった。
また、試料1と同様のスラリーを減圧ニーダーで乾燥した粉末を用いた場合(試料c)においては、乾燥時に粉末が強凝集を起こしており、パルペライザーによる解砕後もブツが残存し、使用感においてもざらつきがあり、均一な仕上がりが得られなかった。また、使用感の評価は何れも低く、これは粉末成分表面に被覆されていた油分及びグリセリンモノエーテルの状態が乾燥後のパルベライザーによる解砕工程によって不均一な状態となってしまうことが一因と考えられる。
一方、ドライマイスターにより乾燥させた場合は、スピンフラッシュドライヤーを用いた場合と同様に、乾燥時の凝集は起こりにくく解砕が不要であった。従って、本発明においては、乾燥工程においてスラリーを微細液滴化しながら乾燥ガスで乾燥させることが好適である。また、設置容積当たりの乾燥効率を考慮すると、本発明にて使用するスピンフラッシュドライヤーやドライマイスターは他の乾燥機より高効率であり、生産性にも優れ、本発明の製造方法は生産性・作業環境性でも優れたものである。
これらのことから、グリセリンモノエーテルは粉体化粧料中0.005〜5質量%、さらには0.1〜1質量%とすることが好適である。
従って、本発明においては、グリセリンモノエーテルを用いることが重要であることが理解される。
以下、さらに本発明の粉末化粧料の例を示す。
1〜20の成分をエチルアルコール中にてディスパーミキサーを用いて混合し、2mmφのジルコニアビーズを充填したサンドグラインダーミルを用いて、解砕/粉砕/分散してスラリーとした。次いで該スラリーをスピンフラッシュドライヤーにて乾燥し、得られた粉末を中皿へ充填し、乾式プレス成型を行い、固形両用ファンデーションを得た。
1〜12および15〜21の成分をエチルアルコール中にてディスパーミキサーを用いて混合し、3mmφのジルコニアビーズを充填したサンドグラインダーミルを用いて、解砕/粉砕/分散してスラリーとした。次いで、該スラリーをドライマイスターにて乾燥した粉末と、13〜14の成分をヘンシェルミキサーにて混合し、得られた粉末を中皿へ充填し、乾式プレス成型を行い、固形両用ファンデーションを得た。
1〜9および11〜16の成分をエチルアルコール中にてディスパーミキサーを用いて混合し、二軸混練機を用いて、混合/分散してスラリーとした。次いで、該スラリーをドライマイスターにて乾燥した粉末と、10の成分をヘンシェルミキサーにて混合して白粉を得た。
12 貯蔵タンク
14 乾燥装置
16 筐体
18 せん断手段
20 供給手段
22 送風手段
24 捕集手段
Claims (6)
- 粉末成分と、油性成分と、下記一般式(1)で示されるグリセリンモノエーテルとを揮発性溶媒中で混合してスラリーとするスラリー調製工程と、前記スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程と、を備え、前記乾燥工程で用いる乾燥装置は、前記スラリーをせん断部材の回転による機械的なせん断力により微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風することで前記スラリーの乾燥を行う乾燥装置であり、前記乾燥粉末から粉末化粧料を得ることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。
G−O−R (1)
(式中、Gはグリセリンの一つの水酸基を除いた残基、Rは炭素数8〜12のアルキル基またはアルケニル基を表す。) - 請求項2に記載の製造方法において、前記グリセリンモノエーテルが、グリセリンモノ2−エチルヘキシルエーテルであることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法において、
前記乾燥工程にて用いる乾燥装置は、中空状の筐体と、該筐体内に設けられたせん断部材の回転による機械的なせん断力によりスラリーをせん断して微小液滴化するせん断手段と、前記筐体内の前記せん断部材へスラリーを供給する供給手段と、前記筐体内に乾燥ガスを送風し、前記せん断手段により微小液滴とされたスラリーに乾燥ガスを供給、接触させる送風手段と、前記スラリーを乾燥することで生じた乾燥粉末を捕集する捕集手段とを備えた乾燥装置であることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法において、前記スラリー調製工程にて、媒体攪拌ミルを用いて、揮発性溶媒中で粉末成分と油性成分とグリセリンモノエーテルとを混合し、該粉末成分を解砕および/または粉砕および/または分散してスラリーを得ることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法において、前記乾燥粉末を容器に充填し、乾式成型により固形化する固形化工程をさらに備えたことを特徴とする粉末固形化粧料の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とする粉末化粧料。
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