JPH05202448A - 改良された電子管用材料 - Google Patents
改良された電子管用材料Info
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- JPH05202448A JPH05202448A JP35934291A JP35934291A JPH05202448A JP H05202448 A JPH05202448 A JP H05202448A JP 35934291 A JP35934291 A JP 35934291A JP 35934291 A JP35934291 A JP 35934291A JP H05202448 A JPH05202448 A JP H05202448A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高温での水素焼鈍において互いに密着を起こ
さない電子管用オーステナイト系ステンレス合金板の提
供。 【構成】 Alを0.04〜0.50%含有させ、表面
粗度を特定する。 【効果】加工部品同志の密着防止が可能となり、製品歩
留りの向上がはかれる。
さない電子管用オーステナイト系ステンレス合金板の提
供。 【構成】 Alを0.04〜0.50%含有させ、表面
粗度を特定する。 【効果】加工部品同志の密着防止が可能となり、製品歩
留りの向上がはかれる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子管用部品として使用
されるCr−Niオーステナイト系ステンレス鋼材に関
する。
されるCr−Niオーステナイト系ステンレス鋼材に関
する。
【0002】
【従来の技術および問題点】電子管用部材、特にブラウ
ン管に用いられる電子銃の電極には、非磁性であること
や良好なプレス成形性が要求されるため、従来よりSU
S304,SUS304L,SUS305やFe−16
Cr−14Niといったオーステナイト系ステンレス鋼
が用いられている。これらのオーステナイト系ステンレ
ス鋼は、プレス加工による絞りなどを経て電子銃の電極
に加工されるのであるが、加工方法によっては加工誘起
マルテンサイトが現出し、非磁性を害する。また加工後
の脱脂あるいは素材からのガス放出が十分に行われてい
ないと、電子管用としての性能を十分に発揮できない。
ン管に用いられる電子銃の電極には、非磁性であること
や良好なプレス成形性が要求されるため、従来よりSU
S304,SUS304L,SUS305やFe−16
Cr−14Niといったオーステナイト系ステンレス鋼
が用いられている。これらのオーステナイト系ステンレ
ス鋼は、プレス加工による絞りなどを経て電子銃の電極
に加工されるのであるが、加工方法によっては加工誘起
マルテンサイトが現出し、非磁性を害する。また加工後
の脱脂あるいは素材からのガス放出が十分に行われてい
ないと、電子管用としての性能を十分に発揮できない。
【0003】このため従来、これらの材料は加工により
上昇した透磁率を下げるため及びガス放出量の低減をは
かるために、乾質水素中で1000〜1100℃の高温
で5〜30分間の焼純(水素焼鈍)をしていた。
上昇した透磁率を下げるため及びガス放出量の低減をは
かるために、乾質水素中で1000〜1100℃の高温
で5〜30分間の焼純(水素焼鈍)をしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、電子磁気産業の
発展にともなって、電子管用オーステナイト系ステレス
鋼の使用も増大してきた。それゆえ、これら加工部品の
水素焼鈍を行う際には、数百〜数千個の部品を一度に焼
鈍する。ところが、加工部品の数量がこのように多量に
かさむと、部品同志が接触し、一部には密着するため、
製品歩留りが大きく低下し、コスト高をまねくという問
題が生じていた。
発展にともなって、電子管用オーステナイト系ステレス
鋼の使用も増大してきた。それゆえ、これら加工部品の
水素焼鈍を行う際には、数百〜数千個の部品を一度に焼
鈍する。ところが、加工部品の数量がこのように多量に
かさむと、部品同志が接触し、一部には密着するため、
製品歩留りが大きく低下し、コスト高をまねくという問
題が生じていた。
【0005】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、電子管用オーステナイト系ステンレス鋼で、
部品に加工後の水素焼鈍時に部品相互の密着防止を可能
にすることを目的とする。
のであり、電子管用オーステナイト系ステンレス鋼で、
部品に加工後の水素焼鈍時に部品相互の密着防止を可能
にすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電子管用
オーステナイト系ステンレス鋼の水素焼鈍時の密着を防
止するために、種々の添加元素、焼鈍後の合金表面への
元素の濃化状態や表面粗度の影響について数多くの実験
を行った。その結果、Fe−Cr−Niオーステナイト
系ステンレス鋼に酸素と極めて強い結合力を有するAl
を0.04〜0.50%含有させ、さらに合金帯の表面
粗度がRz≧0.40μm、もしくはRa≧0.05μ
mであることを特徴とし、水素焼鈍時における加工部品
相互の密着のない電子管用材料を見出すに至った。
オーステナイト系ステンレス鋼の水素焼鈍時の密着を防
止するために、種々の添加元素、焼鈍後の合金表面への
元素の濃化状態や表面粗度の影響について数多くの実験
を行った。その結果、Fe−Cr−Niオーステナイト
系ステンレス鋼に酸素と極めて強い結合力を有するAl
を0.04〜0.50%含有させ、さらに合金帯の表面
粗度がRz≧0.40μm、もしくはRa≧0.05μ
mであることを特徴とし、水素焼鈍時における加工部品
相互の密着のない電子管用材料を見出すに至った。
【0007】
【発明の構成】本発明は重量パーセントで C:0.1%以下、 Cr:15〜22%、 Ni:7〜18%、 残部Feおよび不可避的不純物よりなり、Alを0.0
4〜0.50%含有するオーステナイト系ステンレス鋼
材料であって、表面粗度がRz≧0.40μm、または
Ra≧0.05μmである改良された電子管用材料を提
供する。なお、Mn,Mo,Cuなど、通常オーステナ
イト系ステンレス鋼の構成元素、およびP,S,Nなど
の不純物元素は適量含有してもさしつかえない。
4〜0.50%含有するオーステナイト系ステンレス鋼
材料であって、表面粗度がRz≧0.40μm、または
Ra≧0.05μmである改良された電子管用材料を提
供する。なお、Mn,Mo,Cuなど、通常オーステナ
イト系ステンレス鋼の構成元素、およびP,S,Nなど
の不純物元素は適量含有してもさしつかえない。
【0008】以下に、本発明における組成限定の理由を
述べる。 C:Cはオーステナイト生成元素であり、素材の安定し
た非磁性を得るのに有効な元素であるが、0.10%を
超えて含有されると硬質となり、プレス加工性を劣化さ
せる。また水素焼鈍後のガス放出量も多くなる。したが
ってC量の上限値は0.10%に限定した。 Cr:Crはオーステナイト系ステンレス鋼の主成分で
あり、安定した非磁性を得るためには15%以上含有さ
れる必要がある。しかし多量に含有させるとδフェライ
トが生成するようになり、非磁性を害するために上限を
22%とする。 Ni:Niはオーステナイト系ステンレス鋼の必須成分
であり、良好な加工性と非磁性を得るには7%以上含有
させる必要がある。しかし18%より多く含有すると加
工性が阻害される上に高価格となる。よってNi量の範
囲は7〜18%に限定する。
述べる。 C:Cはオーステナイト生成元素であり、素材の安定し
た非磁性を得るのに有効な元素であるが、0.10%を
超えて含有されると硬質となり、プレス加工性を劣化さ
せる。また水素焼鈍後のガス放出量も多くなる。したが
ってC量の上限値は0.10%に限定した。 Cr:Crはオーステナイト系ステンレス鋼の主成分で
あり、安定した非磁性を得るためには15%以上含有さ
れる必要がある。しかし多量に含有させるとδフェライ
トが生成するようになり、非磁性を害するために上限を
22%とする。 Ni:Niはオーステナイト系ステンレス鋼の必須成分
であり、良好な加工性と非磁性を得るには7%以上含有
させる必要がある。しかし18%より多く含有すると加
工性が阻害される上に高価格となる。よってNi量の範
囲は7〜18%に限定する。
【0009】次に、本発明において最も重要なAl含有
量とおよび表面粗度の限定理由について述べる。図1,
2にFe−16Cr−14NiおよびSUS304を基
本組成とし、Al量と表面粗度を変化させた板厚0.2
5mm材の小試片を用いて水素気流中1050℃×0.
5hrで焼鈍密着実験を行った結果を示す。この図より
Al量を0.04%以上含有するとともに板の表面粗度
をRz≧0.40μmまたはRa≧0.05μm以上に
することにより、焼鈍時の密着を防止することが可能で
あることが明らかである。一方、Alを多量に含有する
とプレス加工時に割れ発生等の原因となるためAlの上
限値は0.50%に限定した。
量とおよび表面粗度の限定理由について述べる。図1,
2にFe−16Cr−14NiおよびSUS304を基
本組成とし、Al量と表面粗度を変化させた板厚0.2
5mm材の小試片を用いて水素気流中1050℃×0.
5hrで焼鈍密着実験を行った結果を示す。この図より
Al量を0.04%以上含有するとともに板の表面粗度
をRz≧0.40μmまたはRa≧0.05μm以上に
することにより、焼鈍時の密着を防止することが可能で
あることが明らかである。一方、Alを多量に含有する
とプレス加工時に割れ発生等の原因となるためAlの上
限値は0.50%に限定した。
【0010】
【作用】上記の系統のオーステナイト系ステンレス鋼に
Alを添加し、さらに合金の表面粗度を調整することに
より、水素焼鈍時の密着を防止することが可能となった
が、これは素材の表面粗度をある一定値以上にすること
で、加工部品と水素気流との接触を増すことにより、部
品表面にAlが濃化し、水素気流中のわずかな酸素と結
合し、Alの酸化物が形成され、金属部品間の拡散接合
を妨げるためと考えられる。
Alを添加し、さらに合金の表面粗度を調整することに
より、水素焼鈍時の密着を防止することが可能となった
が、これは素材の表面粗度をある一定値以上にすること
で、加工部品と水素気流との接触を増すことにより、部
品表面にAlが濃化し、水素気流中のわずかな酸素と結
合し、Alの酸化物が形成され、金属部品間の拡散接合
を妨げるためと考えられる。
【0011】
【実施例】表1に示す組成のFe−Cr−Niオーステ
ナイト系ステンレス鋼を500kg真空溶解し、通常の
熱延−冷延工程を施し、表面粗度を調整した板厚0.2
5mmの合金帯を製造した。このコイルから電子銃の電
極部品を1000個プレス加工し、幅200mm、長さ
300mm、高さ100mmのステンレス鋼のケースに
挿入し、連続型の水素焼鈍炉で1050℃×20分の焼
鈍を行った。表2に水素焼鈍後の密着不良率(密着不良
率(%)=(密着試料個数/焼鈍供試個数)×100)
を従来材と比較して示した。この表より従来材の水素焼
鈍では3〜10%の密着不良率を生じるが、本発明によ
れば、密着不良率は0.2%以下とほぼ完全に部品相互
の密着を防止することが可能である。
ナイト系ステンレス鋼を500kg真空溶解し、通常の
熱延−冷延工程を施し、表面粗度を調整した板厚0.2
5mmの合金帯を製造した。このコイルから電子銃の電
極部品を1000個プレス加工し、幅200mm、長さ
300mm、高さ100mmのステンレス鋼のケースに
挿入し、連続型の水素焼鈍炉で1050℃×20分の焼
鈍を行った。表2に水素焼鈍後の密着不良率(密着不良
率(%)=(密着試料個数/焼鈍供試個数)×100)
を従来材と比較して示した。この表より従来材の水素焼
鈍では3〜10%の密着不良率を生じるが、本発明によ
れば、密着不良率は0.2%以下とほぼ完全に部品相互
の密着を防止することが可能である。
【表1】 表面粗度μm 実施 C Cr Ni Al Rz Ra 1 0.04 16.8 14.2 0.012 0.81 0.08 2 0.07 18.5 8.0 0.005 2.20 0.13 3 0.04 18.2 8.2 0.041 0.23 0.03 4 0.02 16.0 13.6 0.002 1.50 0.11 5 0.01 17.8 7.8 0.020 0.40 0.05 A 0.05 16.5 14.0 0.062 1.12 0.09 B 0.02 17.0 13.5 0.125 2.01 0.12 C 0.04 19.2 8.1 0.043 0.50 0.06 D 0.06 18.4 10.1 0.230 0.40 0.06 E 0.08 18.5 7.8 0.090 0.83 0.07 F 0.04 17.1 14.4 0.180 0.94 0.08 数字は従来例、ローマ字は実施例
【表2】実施 密着不良率% 合 否 1 4.3 × 2 8.5 × 3 3.7 × 4 5.5 × 5 9.3 × A 0.1 ○ B 0 ○ C 0.2 ○ D 0 ○ E 0 ○ F 0 ○
【0012】
【発明の効果】以上、本発明によれば、電子管用部材の
水素焼鈍時に、加工部品同志の密着を防止することがで
きるため、焼鈍後の部品取扱いの手間が省けると共に、
製品歩留りも大幅に向上できるオーステナイト系ステン
レス鋼を提供でき、その工業的価値は極めて大きい。
水素焼鈍時に、加工部品同志の密着を防止することがで
きるため、焼鈍後の部品取扱いの手間が省けると共に、
製品歩留りも大幅に向上できるオーステナイト系ステン
レス鋼を提供でき、その工業的価値は極めて大きい。
【0013】
【図1】水素焼鈍における密着に及ぼすAl量と表面粗
度Rzの影響を示す図である。
度Rzの影響を示す図である。
【図2】水素焼鈍における密着に及ぼすAl量と表面粗
度Raの影響を示す図である。
度Raの影響を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月3日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子管用部品として使用
されるCr−Niオーステナイト系ステンレス鋼材に関
する。
されるCr−Niオーステナイト系ステンレス鋼材に関
する。
【0002】
【従来の技術および問題点】電子管用部材、特にブラウ
ン管に用いられる電子銃の電極には、非磁性であること
や良好なプレス成形性が要求されるため、従来よりSU
S304,SUS304L,SUS305やFe−16
Cr−14Niといったオーステナイト系ステンレス鋼
が用いられている。これらのオーステナイト系ステンレ
ス鋼は、プレス加工による絞りなどを経て電子銃の電極
に加工されるのであるが、加工方法によっては加工誘起
マルテンサイトが現出し、非磁性を害する。また加工後
の脱脂あるいは素材からのガス放出が十分に行われてい
ないと、電子管用としての性能を十分に発揮できない。
ン管に用いられる電子銃の電極には、非磁性であること
や良好なプレス成形性が要求されるため、従来よりSU
S304,SUS304L,SUS305やFe−16
Cr−14Niといったオーステナイト系ステンレス鋼
が用いられている。これらのオーステナイト系ステンレ
ス鋼は、プレス加工による絞りなどを経て電子銃の電極
に加工されるのであるが、加工方法によっては加工誘起
マルテンサイトが現出し、非磁性を害する。また加工後
の脱脂あるいは素材からのガス放出が十分に行われてい
ないと、電子管用としての性能を十分に発揮できない。
【0003】このため従来、これらの材料は加工により
上昇した透磁率を下げるため及びガス放出量の低減をは
かるために、乾質水素中で1000〜1100℃の高温
で5〜30分間の焼純(水素焼鈍)をしていた。
上昇した透磁率を下げるため及びガス放出量の低減をは
かるために、乾質水素中で1000〜1100℃の高温
で5〜30分間の焼純(水素焼鈍)をしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、電子磁気産業の
発展にともなって、電子管用オーステナイト系ステレス
鋼の使用も増大してきた。それゆえ、これら加工部品の
水素焼鈍を行う際には、数百〜数千個の部品を一度に焼
鈍する。ところが、加工部品の数量がこのように多量に
かさむと、部品同志が接触し、一部には密着するため、
製品歩留りが大きく低下し、コスト高をまねくという問
題が生じていた。
発展にともなって、電子管用オーステナイト系ステレス
鋼の使用も増大してきた。それゆえ、これら加工部品の
水素焼鈍を行う際には、数百〜数千個の部品を一度に焼
鈍する。ところが、加工部品の数量がこのように多量に
かさむと、部品同志が接触し、一部には密着するため、
製品歩留りが大きく低下し、コスト高をまねくという問
題が生じていた。
【0005】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、電子管用オーステナイト系ステンレス鋼で、
部品に加工後の水素焼鈍時に部品相互の密着防止を可能
にすることを目的とする。
のであり、電子管用オーステナイト系ステンレス鋼で、
部品に加工後の水素焼鈍時に部品相互の密着防止を可能
にすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電子管用
オーステナイト系ステンレス鋼の水素焼鈍時の密着を防
止するために、種々の添加元素、焼鈍後の合金表面への
元素の濃化状態や表面粗度の影響について数多くの実験
を行った。その結果、Fe−Cr−Niオーステナイト
系ステンレス鋼に酸素と極めて強い結合力を有するAl
を0.04〜0.50%含有させ、さらに合金帯の表面
粗度がRz≧0.40μm、もしくはRa≧0.05μ
mであることを特徴とし、水素焼鈍時における加工部品
相互の密着のない電子管用材料を見出すに至った。
オーステナイト系ステンレス鋼の水素焼鈍時の密着を防
止するために、種々の添加元素、焼鈍後の合金表面への
元素の濃化状態や表面粗度の影響について数多くの実験
を行った。その結果、Fe−Cr−Niオーステナイト
系ステンレス鋼に酸素と極めて強い結合力を有するAl
を0.04〜0.50%含有させ、さらに合金帯の表面
粗度がRz≧0.40μm、もしくはRa≧0.05μ
mであることを特徴とし、水素焼鈍時における加工部品
相互の密着のない電子管用材料を見出すに至った。
【0007】
【発明の構成】本発明は重量パ−セントで C:0.1%以下、 Cr:15〜22%、 Ni:7〜18%、 残部Feおよび不可避的不純物よりなり、Alを0.0
4〜0.50%含有するオーステナイト系ステンレス鋼
材料であって、表面粗度がRz≧0.40μm、または
Ra≧0.05μmである改良された電子管用材料を提
供する。なお、Mn,Mo,Cuなど、通常オーステナ
イト系ステンレス鋼の構成元素、およびP,S,Nなど
の不純物元素は適量含有してもさしつかえない。
4〜0.50%含有するオーステナイト系ステンレス鋼
材料であって、表面粗度がRz≧0.40μm、または
Ra≧0.05μmである改良された電子管用材料を提
供する。なお、Mn,Mo,Cuなど、通常オーステナ
イト系ステンレス鋼の構成元素、およびP,S,Nなど
の不純物元素は適量含有してもさしつかえない。
【0008】以下に、本発明における組成限定の理由を
述べる。 C:Cはオーステナイト生成元素であり、素材の安定し
た非磁性を得るのに有効な元素であるが、0.10%を
超えて含有されると硬質となり、プレス加工性を劣化さ
せる。また水素焼鈍後のガス放出量も多くなる。したが
ってC量の上限値は0.10%に限定した。 Cr:Crはオーステナイト系ステンレス鋼の主成分で
あり、安定した非磁性を得るためには15%以上含有さ
れる必要がある。しかし多量に含有させるとδフェライ
トが生成するようになり、非磁性を害するために上限を
22%とする。 Ni:Niはオーステナイト系ステンレス鋼の必須成分
であり、良好な加工性と非磁性を得るには7%以上含有
させる必要がある。しかし18%より多く含有すると加
工性が阻害される上に高価格となる。よってNi量の範
囲は7〜18%に限定する。
述べる。 C:Cはオーステナイト生成元素であり、素材の安定し
た非磁性を得るのに有効な元素であるが、0.10%を
超えて含有されると硬質となり、プレス加工性を劣化さ
せる。また水素焼鈍後のガス放出量も多くなる。したが
ってC量の上限値は0.10%に限定した。 Cr:Crはオーステナイト系ステンレス鋼の主成分で
あり、安定した非磁性を得るためには15%以上含有さ
れる必要がある。しかし多量に含有させるとδフェライ
トが生成するようになり、非磁性を害するために上限を
22%とする。 Ni:Niはオーステナイト系ステンレス鋼の必須成分
であり、良好な加工性と非磁性を得るには7%以上含有
させる必要がある。しかし18%より多く含有すると加
工性が阻害される上に高価格となる。よってNi量の範
囲は7〜18%に限定する。
【0009】次に、本発明において最も重要なAl含有
量とおよび表面粗度の限定理由について述べる。図1,
2にFe−16Cr−14NiおよびSUS304を基
本組成とし、Al量と表面粗度を変化させた板厚0.2
5mm材の小試片を用いて水素気流中1050℃×0.
5hrで焼鈍密着実験を行った結果を示す。この図より
Al量を0.04%以上含有するとともに板の表面粗度
をRz≧0.40μmまたはRa≧0.05μm以上に
することにより、焼鈍時の密着を防止することが可能で
あることが明らかである。一方、Alを多量に含有する
とプレス加工時に割れ発生等の原因となるためAlの上
限値は0.50%に限定した。
量とおよび表面粗度の限定理由について述べる。図1,
2にFe−16Cr−14NiおよびSUS304を基
本組成とし、Al量と表面粗度を変化させた板厚0.2
5mm材の小試片を用いて水素気流中1050℃×0.
5hrで焼鈍密着実験を行った結果を示す。この図より
Al量を0.04%以上含有するとともに板の表面粗度
をRz≧0.40μmまたはRa≧0.05μm以上に
することにより、焼鈍時の密着を防止することが可能で
あることが明らかである。一方、Alを多量に含有する
とプレス加工時に割れ発生等の原因となるためAlの上
限値は0.50%に限定した。
【0010】
【作用】上記の系統のオーステナイト系ステンレス鋼に
Alを添加し、さらに合金の表面粗度を調整することに
より、水素焼鈍時の密着を防止することが可能となった
が、これは素材の表面粗度をある一定値以上にすること
で、加工部品と水素気流との接触を増すことにより、部
品表面にAlが濃化し、水素気流中のわずかな酸素と結
合し、Alの酸化物が形成され、金属部品間の拡散接合
を妨げるためと考えられる。
Alを添加し、さらに合金の表面粗度を調整することに
より、水素焼鈍時の密着を防止することが可能となった
が、これは素材の表面粗度をある一定値以上にすること
で、加工部品と水素気流との接触を増すことにより、部
品表面にAlが濃化し、水素気流中のわずかな酸素と結
合し、Alの酸化物が形成され、金属部品間の拡散接合
を妨げるためと考えられる。
【0011】
【実施例】表1に示す組成のFe−Cr−Niオーステ
ナイト系ステンレス鋼を500kg真空溶解し、通常の
熱延−冷延工程を施し、表面粗度を調整した板厚0.2
5mmの合金帯を製造した。このコイルから電子銃の電
極部品を1000個プレス加工し、幅200mm、長さ
300mm、高さ100mmのステンレス鋼のケースに
挿入し、連続型の水素焼鈍炉で1050℃×20分の焼
鈍を行った。表2に水素焼鈍後の密着不良率(密着不良
率(%)=(密着試料個数/焼鈍供試個数)×100)
を従来材と比較して示した。この表より従来材の水素焼
鈍では3〜10%の密着不良率を生じるが、本発明によ
れば、密着不良率は0.2%以下とほぼ完全に部品相互
の密着を防止することが可能である。
ナイト系ステンレス鋼を500kg真空溶解し、通常の
熱延−冷延工程を施し、表面粗度を調整した板厚0.2
5mmの合金帯を製造した。このコイルから電子銃の電
極部品を1000個プレス加工し、幅200mm、長さ
300mm、高さ100mmのステンレス鋼のケースに
挿入し、連続型の水素焼鈍炉で1050℃×20分の焼
鈍を行った。表2に水素焼鈍後の密着不良率(密着不良
率(%)=(密着試料個数/焼鈍供試個数)×100)
を従来材と比較して示した。この表より従来材の水素焼
鈍では3〜10%の密着不良率を生じるが、本発明によ
れば、密着不良率は0.2%以下とほぼ完全に部品相互
の密着を防止することが可能である。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
【発明の効果】以上、本発明によれば、電子管用部材の
水素焼鈍時に、加工部品同志の密着を防止することがで
きるため、焼鈍後の部品取扱いの手間が省けると共に、
製品歩留りも大幅に向上できるオーステナイト系ステン
レス鋼を提供でき、その工業的価値は極めて大きい。
水素焼鈍時に、加工部品同志の密着を防止することがで
きるため、焼鈍後の部品取扱いの手間が省けると共に、
製品歩留りも大幅に向上できるオーステナイト系ステン
レス鋼を提供でき、その工業的価値は極めて大きい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 水素焼鈍における密着に及ぼすAl量と表面
粗度Rzの影響を示す図である。
粗度Rzの影響を示す図である。
【図2】 水素焼鈍における密着に及ぼすAl量と表面
粗度Raの影響を示す図である。
粗度Raの影響を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量パーセントで C:0.1%以下、 Cr:15〜22%、 Ni:7〜18%、 残部Feおよび不可避的不純物よりなり、 Alを0.04〜0.50%含有するオーステナイト系
ステンレス鋼材料であって、表面粗度がRz≧0.4μ
m、またはRa≧0.05μmである改良された電子管
用材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35934291A JPH05202448A (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 改良された電子管用材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35934291A JPH05202448A (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 改良された電子管用材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05202448A true JPH05202448A (ja) | 1993-08-10 |
Family
ID=18464024
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35934291A Withdrawn JPH05202448A (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 改良された電子管用材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05202448A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1030157A (ja) * | 1996-07-17 | 1998-02-03 | Nikko Kinzoku Kk | プレス性の良好なFe−Cr−Ni系合金素材及びその製造方法 |
EP1637785A1 (en) | 2004-09-15 | 2006-03-22 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Steel tube excellent in exfoliation resistance of scale on inner surface |
-
1991
- 1991-12-27 JP JP35934291A patent/JPH05202448A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1030157A (ja) * | 1996-07-17 | 1998-02-03 | Nikko Kinzoku Kk | プレス性の良好なFe−Cr−Ni系合金素材及びその製造方法 |
KR100237536B1 (ko) * | 1996-07-17 | 2000-01-15 | 사카모토 타카시 | 프레스성이 양호한 Fe-Cr-Ni계 합금소재 및 그 제조방법 |
EP1637785A1 (en) | 2004-09-15 | 2006-03-22 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Steel tube excellent in exfoliation resistance of scale on inner surface |
US7377989B2 (en) | 2004-09-15 | 2008-05-27 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Steel tube excellent in exfoliation resistance of scale on inner surface |
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