JPH05195442A - ウレタン弾性糸用油剤 - Google Patents

ウレタン弾性糸用油剤

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JPH05195442A
JPH05195442A JP2613192A JP2613192A JPH05195442A JP H05195442 A JPH05195442 A JP H05195442A JP 2613192 A JP2613192 A JP 2613192A JP 2613192 A JP2613192 A JP 2613192A JP H05195442 A JPH05195442 A JP H05195442A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶融紡糸法などでポリウレタン弾性糸を紡出
する際に、糸表面に活性イソシアネート基が多量に発生
する場合の問題点である紡糸ボビンの膠着上昇、紡出時
の糸道脱落物発生、並びに紡糸及び後次工程でのボビン
綾落ち、捲崩れを防止し、紡糸から後工程において良好
な操業性が得られるポリウレタン用油剤を提供する。 【構成】 鉱物油及び/又は直鎖状ポリオルガノシロキ
サンに多分岐ポリオルガノシロキサンを配合するか、又
は当化合物とアミノ変性シリコンを混合配合した油剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶融紡糸法により、膠着
が少ないポリウレタン弾性糸を得るために使用する紡糸
用油剤に関するものである。
【0002】更に詳しくはポリウレタン弾性糸を溶融紡
糸する時に紡出ボビン上での糸間の膠着を防止し、後次
加工工程での糸の解舒性を良好にすると共に糸の滑りを
適度に保ち、紡糸ボビン等の綾落ち、崩れを防止し、紡
糸及びその後の加工工程での操業性を安定化させる油剤
に関するものである。
【0003】
【従来の技術】ポリウレタン弾性糸を得る方法として
は、従来から溶融紡糸法,乾式紡糸法,湿式紡糸法等が
行なわれており、又最近はウレタン糸の伸縮特性、耐熱
特性を向上させるため活性イソシアネート基を有するプ
レポリマー、いわゆる架橋剤を混合して紡糸する方法が
利用される事が多い。これらの方法ではいずれの場合で
も紡出時に繊維を捲取った際、繊維同志が膠着し、その
ため後次工程でボビンから糸を解舒して引出す時膠着の
抵抗のため糸の引出しが困難で糸切れが発生し、順調な
操業が出来ない状態となる。特に活性イソシアネート基
が多量に存在する架橋剤混合紡糸法ではこの膠着が著し
く、通常油剤を付与したのでは後次工程で糸の引出しが
できるものは得られない。
【0004】この膠着を防止する方法にはタルク,シリ
カ,コロイダルアルミナ等の固体微粒子を水性又は油性
スラリーとして繊維に付与する方法、高級脂肪酸の金属
塩粉末を水又は鉱物油に分散させる方法(特公昭41−
286号公報,特公昭40−5557号公報)、高級脂
肪族カルボン酸,高級脂肪族アルコール,パラフィン,
ポリエチレン等の常温固体ワックスを鉱物油中心の油剤
に分散させる方法(特公昭43−272号公報,特公昭
43−9955号公報,特公昭44−8907号公
報)、常温液状物質としてポリアルキレンオキサイド変
性シリコンを膠着防止剤に使用する方法(特公昭45−
40719号公報,特開昭48−19893号公報,特
開昭57−128270号公報)、環状アミルシロキサ
ンをジメチルシロキサンに溶解する方法(特公昭39−
24858号公報)等の多くの方法が提案されている。
【0005】しかしこれら離型効果を主体とした膠着防
止剤では後述のイソシアネート基の化学反応による膠着
には効果がなく、十分に満足のいく方法とは言い難い。
【0006】ポリウレタン弾性糸の紡糸における糸間の
膠着は、ポリウレタンのゴム状粘着性によるものだけで
なく、一般に自着作用と言われている、糸表面の活性イ
ソシアネート基による糸間の表面化学反応による膠着
(アロハネート結合、その他の化学結合の生成)のため
に起こる。この自着作用は紡糸時のポリマー表面に存在
するイソシアネート基が多い程糸表面の化学反応が進
み、強固な膠着を形成する。紡出直後には糸の解舒が可
能なボビンでも数日間経過後には糸間の自着作用が進
み、糸の解舒が不能となる。極端な場合には捲取ボビン
に捲かれた糸の各層が板状に膠着してしまう事もある。
【0007】特にこの膠着現象は溶融紡糸によってポリ
ウレタン弾性糸を製造する時に激しく、架橋剤として紡
糸時に活性両末端ジイソシアネートプレポリマーを混合
紡糸する方法ではその傾向が顕著であり、前述の離型性
の膠着防止剤だけでは十分に膠着を防止する事ができな
い。
【0008】このイソシアネート基の化学反応による膠
着を防止するためにはイソシアネート基の失活が必要で
あり、活性水素基を有する失活剤を使用する方法が提案
されている。その方法として、既にモノアミンを溶解し
た鉱物油を紡糸時に付与する方法(特公昭46−163
12号公報)、ジアミンを配合した油剤(特開昭58−
132170号公報)が提案されている。
【0009】これらの方法はイソシアネート基の失活に
は有効であり、高分子量のポリウレタン、高硬度のポリ
ウレタンの紡糸では優れた膠着防止性が得られるが、溶
融紡糸時にウレタンポリマー自体の粘度が低かったり、
低粘度の架橋用プレポリマーを紡糸時に混合するため溶
融時のウレタンポリマー粘度が下がり、紡糸直後の糸条
がまだ柔らかいままで捲取られる場合には、ポリウレタ
ンの粘着による膠着が強くあらわれ、イソシアネート基
の失活剤だけでは十分な膠着防止性を得る事が出来な
い。
【0010】紡糸直後の離型効果と活性イソシアネート
基の失活による効果の両特性を兼ね備えた膠着防止剤と
して本発明者等はアミノ変性シリコンを併用した油剤を
提案している。
【0011】この方法は溶融紡糸時に柔らかく、かつ糸
表面にイソシアネート基が多量に存在する場合でもジメ
チルシリコン鎖の離型効果とアミノ基の活性水素による
イソシアネート基の失活作用で優れた膠着防止性を示
す。
【0012】しかし十分な膠着防止性が得られるアミノ
変性シリコンでは得られた糸条の繊維間摩擦力が極めて
低く、紡出時の捲取ボビン並びに場合により紡糸ボビン
から他ボビンに捲返しをする際、捲返糸の綾落ち、捲崩
れが起こる。
【0013】捲形状保持のため膠着防止性が弱いアミノ
変性シリコンを使用し、膠着による糸の抱束と高い繊維
間摩擦力で捲形状を保っているため使用するアミノ変性
シリコンを限定せざるを得ない。
【0014】本発明者らはアミノ変性シリコンの種類に
限定されず、広範囲のアミノ変性シリコンが使用できる
油剤としてアミノ変性シリコンと環状構造のアルキル変
性ポリオルガノシロキサンの併用組成を提案した。
【0015】この油剤は優れた膠着防止性と高い繊維間
摩擦力によるボビン綾落ち、捲崩れが起こらず紡糸以降
の後工程において順調な操業性を示したが、その後の検
討で当油剤には紡糸時に糸が走行する糸道ガイド類に脱
落堆積物が多くみられ長期の操業には未だ問題含みであ
る事がわかった。
【0016】この糸道脱落物はポリウレタンポリマーを
溶融紡糸する際、ポリウレタンポリマーが溶融過程で分
解し、両末端にイソシアネート活性基を持った化合物が
生成し、この化合物が多官能アミノ変性シリコンと反応
し結晶状物あるいは粘着状物を生成するためと考えられ
る。
【0017】上述のように膠着防止剤には各種の物質が
提案されている。膠着防止性だけからみるとほぼ満足で
きる組成は提案されているが、紡糸並びに後加工工程で
の操業性も含め、実際の使用に際し問題のない油剤は未
だ見出されていない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的と
するところは、溶融紡糸法などでポリウレタン弾性糸を
紡出する際に糸表面に活性イソシアネート基が多量に発
生する場合の問題である紡糸ボビンの膠着上昇、紡糸時
の糸道脱落物発生、紡糸並びに後次工程でのボビン綾落
ち,捲崩れを防止し、紡糸から後工程において良好な操
業性が得られるポリウレタン用油剤を提供する事であ
る。
【0019】更に詳しくはアミノ変性シリコンを使用し
なくても膠着防止性に優れた油剤組成を見出し、更に優
れた膠着防止性を狙い、アミノ変性シリコンを併用する
場合でも紡糸糸道への脱落物の発生がなく膠着防止、ボ
ビン捲崩れ、綾落防止、糸道脱落物発生防止が両立でき
るポリウレタン用油剤を見出すことにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め鋭意検討の結果、溶融紡糸方法等でポリウレタン弾性
糸を製造するに際し鉱物油及び/又は直鎖状ポリオルガ
ノシロキサンに一般式化7(Rはフェニル基)で表わさ
れる多分岐ポリオルガノシロキサンを配合するか、更に
優れた膠着防止性を得ようとする場合には一般式化8
(Rは炭素数が1以上のアルキル基又はアルコキシ基、
1 とR2 は炭素数が1以上のアルキル基、mとnは1
以上の整数)及び/又は一般式化9(Rは炭素数が1以
上のアルキル基又はアルコキシ基、R3 は炭素数が1以
上のアルキル基、mとnは1以上の整数)で示されるア
ミノ変性シリコンを併用する事で本発明に到達したもの
である。
【0021】
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】
【0024】本発明は分岐構造のポリオルガノシロキサ
ンの種類を選択することで優れた膠着防止性が得られる
事を見出し、更には従来の直鎖状アルキル基を持った分
岐構造ポリオルガノシロキサンでは糸道脱落物のため併
用できなかったアミノ変性シリコンが、フェニル基を持
った分岐構造ポリオルガノシロキサンを使用する事で併
用が可能となり、従来の油剤では達成できなかった膠着
防止と紡糸ボビン捲崩れ、綾落ちと糸道脱落物生成防止
の両立を可能ならしめたものである。
【0025】従来の直鎖状アルキル基を持った分岐構造
ポリオルガノシロキサンの単独使用でも紡糸直後には優
れた膠着防止性を示すが、活性イソシアネート基を失活
させる反応基を持たないだけに経時の膠着上昇が大きく
実用上問題である。
【0026】しかしフェニル基を持った分岐構造ポリオ
ルガノシロキサンでは、単独使用でも経時の膠着上昇が
小さく充分実用に供せる事が判明した。
【0027】フェニル基を持った分岐構造ポリオルガノ
シロキサンの方が直鎖状アルキル基を持ったものより嵩
高構造のため糸表面同志の密着性を阻害する効果が大き
いためと考えられる。
【0028】又驚くことに、直鎖状アルキル基を持った
ものではアミノ変性シリコンとの併用で紡糸糸道脱落物
が発生したが、フェニル基を持った分岐構造ポリオルガ
ノシロキサンはアミノ変性シリコンと併用しても紡糸糸
道脱落物は発生しなかった。
【0029】溶融紡糸時に発生した活性イソシアネート
とアミノ変性シリコンが反応した生成物がフェニル基を
持った分岐構造ポリオルガノシロキサンと親和性が強く
糸表面の油剤中で分散ないしは溶解した状態となり糸道
上に折出しないものと推察される。
【0030】このように本発明は糸表面の活性イソシア
ネート基と反応して失活させなくても、膠着防止剤の離
型作用だけで優れた膠着防止性が得られ、更に優れた膠
着防止性を得るために膠着防止性に優れたアミノ変性シ
リコンを併用しても実用上支障がなく使用できるように
したものである。本発明はポリウレタン単独の紡出には
もちろん、活性イソシアネート基を有する化合物を紡糸
時に混練して紡出する場合など糸表面にイソシアネート
基が多量に存在する場合に特に効果がよく発揮される。
【0031】本発明に使用する鉱物油は任意の組成のも
のが使用できるが糸への均一付着のため、又紡出時の油
剤の粘性抵抗による糸のローラーへの捲付き防止のため
粘度は5cst/30℃〜50cst/30℃が好まし
い。
【0032】本発明に使用する直鎖状ポリオルガノシロ
キサンとしてはジメチルポリシロキサン,メチルフェニ
ルポリシロキサン等を用いる事が出来る。又膠着防止性
を当成分で向上させたい場合には離型効果が強い長鎖ア
ルキル変性シリコン、その他低粘度変性シリコンを使用
してもよい。
【0033】いずれの場合でも均一付着性、ローラー捲
付き及び膠着防止斑の点から低粘度の方がよく5cst
/30℃〜50cst/30℃のものが好適である。
【0034】鉱物油及び直鎖状ポリオルガノシロキサン
共に粘度が5cst/30℃以下では揮発性が高く、紡
糸後に糸表面から揮散消失し、糸の平滑性低下、膠着防
止性低下を招き好ましくない。
【0035】鉱物油と直鎖状ポリオルガノシロキサンは
配合するアミノ変性シリコン並びに分岐構造を有するポ
リオルガノシロキサンの溶解性に応じ適宜配合して使用
することができる。
【0036】鉱物油と直鎖状ポリオルガノシロキサンの
みの配合で溶解できない場合は、10重量%未満の脂肪
酸エステル,高級アルコールを配合してもよい。
【0037】膠着防止性の点からみると直鎖状ポリオル
ガノシロキサンに鉱物油,脂肪酸エステル,高級アルコ
ールが多量に入る程、膠着防止性は下がるのでできるだ
け直鎖状ポリオルガノシロキサン単独で使用するのが好
ましい。
【0038】本発明で使用するフェニル基を有する分岐
構造のポリオルガノシロキサンは従来の技術の項に記載
した公知の方法(特公昭39−24858号公報)によ
り製造され、フェニルトリハロゲン化シロキサンを加水
分解し、更に縮合して得られる。
【0039】ポリオルガノシロキサンの分岐度は3分岐
又は4分岐が好ましく、分岐度2のものは分子の嵩高性
がなくなるため膠着防止効果が小さい。
【0040】3分岐並びに4分岐のフェニル変性ポリシ
ロキサンは各々単独で使用する事もできるし、両者を混
合又は共重合しても使用できる。
【0041】フェニル変性の多分岐ポリオルガノシロキ
サンは高粘度のもの程膠着防止性に優れるが、高粘度の
もの程鉱物油及び/又は直鎖状ポリオルガノシロキサン
と配合した時高粘度になり、糸への付与時に粘着による
ローラー捲付き等の障害が発生する。
【0042】従って通常は10000〜20000cs
t/30℃の粘度を有するものが使用されるが、更に好
ましくは12000〜15000cst/30℃のもの
が好適である。
【0043】フェニル変性の多分岐ポリオルガノシロキ
サン単独では配合油剤の粘度が高くなり過ぎ、紡糸給油
時の糸抵抗増大又は給油斑が起きるようであれば低粘度
のアルキル変性の多分岐ポリオルガノシロキサンを併用
して使用できる。
【0044】本発明でいうアミノ変性シリコンは、ポリ
ジメチルシロキサンの分子鎖にアミノ基が付加したもの
をいうが、ポリジメチルシロキサンのメチル基が他のア
ルキル基、アリル基に置換していてももちろん有効であ
る。
【0045】アミノ基の付加位置によりポリジメチルシ
ロキサンの分子鎖末端に付加した末端タイプと分子鎖の
途中に付加した側鎖タイプがあり、又アミノ基の構造に
よりモノアミン,ジアミンタイプがある。膠着防止性か
らみるとアミノ基の付加位置の影響は小さく、末端タイ
プでも側鎖タイプでも同様な効果が得られる。一方アミ
ノ基の構造はモノアミン及びジアミンタイプ共に優れた
膠着防止性を示し有用であるが、ジアミンタイプの方が
モノアミンタイプより良好である。
【0046】アミノ変性シリコンのアミノ基量は多い程
膠着防止性は良好である。又粘度も低粘度より高粘度の
方が優れた膠着防止性が得られる。アミノ基量は本発明
ではアミノ当量で定量的に表現され、アミノ当量が小さ
い程、アミノ基量が大きいという関係になる。
【0047】アミノ当量はアミノ基1ケ当りのジメチル
ポリシロキサン鎖の分子量に相当し、次のように定義さ
れ又測定される。
【0048】アミノ当量=試料重量/アミノ基モル数
【0049】アミノ当量の測定は、フラスコに試料約1
gをとり、イソプロピルアルコール25mlを加えてよく
攪拌溶解し、0.1N塩酸にて指示薬ブロムフェノール
ブルーを用いて滴定中和する。アミノ当量は数1で計算
される。
【0050】
【数1】
【0051】優れた膠着防止性を得るためにはアミノ当
量が15000以下のアミノ変性シリコンが好適であ
る。
【0052】アミノ当量が小さい程膠着防止性が良好で
あるが、繊維間摩擦力が低下し紡出ボビンの捲崩れ,綾
落ちが発生する。この防止のため多分岐構造のポリオル
ガノシロキサンの併用が必須である。
【0053】分岐構造のポリオルガノシロキサンとアミ
ノ変性シリコンを混合するとアミノ変性シリコンによる
過度の滑り性が表われてこない理由は明らかではない
が、糸表面のNCO基と反応し平滑層を形成しているア
ミノ変性シリコンより、分岐構造ポリオルガノシロキサ
ンが嵩高構造のためアミノ変性シリコン平滑層の外側に
滑りが悪い分岐構造のポリオルガノシロキサン層が形成
されるためと考えられる。
【0054】分岐構造のポリオルガノシロキサンの配合
量は併用するアミノ変性シリコンのアミノ当量及び併用
量により適宜決定される。
【0055】分岐構造のポリオルガノシロキサンを単独
で、鉱物油又は/及び直鎖状ポリジメチルシロキサンに
配合して使用する場合は3〜20重量%、好ましくは5
〜10重量%である。3重量%以下では十分な膠着防止
効果が得られないし、又20重量%以上では油剤の粘度
が高くなり、糸への付与時にローラー捲付き等の障害が
起こり好ましくない。
【0056】アミノ変性シリコンと併用する場合には、
アミノ変性シリコンのアミノ基量が多い程又併用量が多
い程、分岐構造のポリオルガノシロキサンの配合量は多
くなるが、本発明のポリウレタン弾性糸では1〜15重
量%、好ましくは3〜10重量%である。1重量%以下
では膠着防止性が不十分であったり、アミノ変性シリコ
ンの滑り性の防止効果が不十分であったり、紡糸糸道脱
落防止性が不十分である。15重量%以上では粘度が高
くなり好ましくない。
【0057】アミノ変性シリコンの併用量は糸表面のイ
ソシアネート基量の多少により変わり、経時膠着上昇が
起こらない量を使用することが好ましいが、溶融紡糸法
によるウレタン弾性糸の製造においては油剤全体の0.
1〜15重量%が好ましく、0.5〜10重量%が更に
好ましい。
【0058】0.1重量%以下では膠着防止性向上効果
がなく、又15重量%以上では分岐構造を有するポリシ
ロキサンの配合による繊維間摩擦力高保持効果が出ず、
繊維間摩擦力が下がってしまい紡出ボビンの捲崩れが起
こる。
【0059】又15重量%以上では紡出時の糸道脱落物
が極めて多く、糸切れ等の問題を起こし通常の操業状態
を保てない。
【0060】本発明の油剤をポリウレタン弾性繊維に付
着させる方法としては、紡糸口金から吐出されたフィラ
メントが捲取られるまでの間にオイリングローラーに接
触させる方法、又は計量吐出ノズルで給油する方法など
の通常の方法を用いる事ができる。
【0061】本発明の油剤をフィラメントに対し通常2
〜10重量%、好ましくは5〜8重量%を付着させる事
により、紡糸直後でも適度な繊維間滑り性を有し、紡出
ボビンの捲崩れが発生せず、又優れた膠着防止性のため
紡出後の経時膠着上昇が起こらず、後次工程での捲返
し、カバリング、整経、編立等の操業を円滑に実施する
事が出来る。
【0062】
【実施例】以下実施例により本発明を詳細に説明する。
尚、本発明の効果を評価する方法として、膠着防止性の
代用特性である解舒張力、繊維間滑り性の代用特性であ
る繊維間摩擦力と紡糸捲崩れ状況、並びに紡糸糸道への
脱落物堆積状況を用いた各々の測定方法は次の通りであ
る。
【0063】解舒張力とは、紡出ボビンから1m/mi
nの引取速度で糸を引出した時のボビン表面から糸をひ
きはがすに要する張力を言い(図1参照)、本方法では
糸長5m当りの最高張力20点の平均値をもって解舒張
力とする。この値が小さい程、膠着が少なく膠着防止性
に優れている事を示す。
【0064】繊維間摩擦力は、総デニールが400dと
なるよう単糸を合糸し(例えば40dモノフィラメント
であれば10本合糸し400dで10フィラメントの糸
を作る)、図2に示す交差法により二次張力(T2 )を
測定する。
【0065】
【表1】
【0066】紡糸捲崩れは、紡糸フリクションローラー
とボビン間の接圧が500gで80mmの捲幅(200
φ捲取ボビン)綾角5°で40dの糸を500m/mi
nで10時間捲取った時の捲形状を肉眼で観察し、綾落
ち、崩れ、底糸広がりのないものを良とする。
【0067】紡糸糸道脱落物は、上述の紡糸捲崩れと同
方法にて紡出した時の紡糸フリクションローラー上の脱
落物有無を肉眼観察する。
【0068】実施例1 分子量1500のポリ(1,4オキシブチレン)グリコ
ール69.9部と1,4ブタンジオール4.7部と4,
4′ジフェニルメタンジイソシアネート25.4部とを
重合して得られたポリウレタン重合体を200℃で溶融
してスクリュー型押出機にて吐出し、紡糸口金に入る前
に分子量2000のポリ(1,4オキシブチレン)ジイ
ソシアネートをポリウレタン重合体に15部混合した後
0.5mmのノズルより押出し、500m/minでボ
ビンに捲取り40デニールのモノフィラメントを得た。
【0069】モノフィラメントを捲取る直前で給油ノズ
ルにより表2に示した6種の各油剤をモノフィラメント
重量に対し6%付与した。
【0070】紡出糸について前述4項目を評価した結果
を表2に示した。
【0071】
【表2】
【0072】実験No.1は膠着防止剤を含まない油剤
で、繊維間摩擦力が高く糸間膠着が強く捲崩れや綾落ち
の問題はなかったが、糸間膠着が大き過ぎるため後工程
での糸の解舒が出来ずボビンからの糸出しが不能であっ
た。
【0073】実験No.2,3は膠着防止剤として3分
岐構造を有するポリオルガノシロキサンを使用した油剤
である。実験No.3は3分岐構造ではあるが直鎖状ア
ルキル基変性タイプで繊維間摩擦力が高く紡出ボビンの
捲崩れ、紡糸糸道脱落物の発生はみられないが、経時の
膠着上昇が大きく3ケ月経過後はボビンからの糸出しが
不能であった。
【0074】他方、実験No.2は本発明のフェニル基
変性タイプであるが経時の膠着上昇が防止され各評価項
目共に問題ない水準を示している。
【0075】実験No.4はアミノ変性シリコン併用油
剤であるが膠着防止性が優れている反面、繊維間摩擦力
が低く紡出ボビンの捲崩れが起こり、又糸道脱落物発生
もみられ実用に供せるものではなかった。
【0076】実験No.5は直鎖アルキル基変性の分岐
型ポリオルガノシロキサンを併用した油剤で、繊維間摩
擦力アップの効果は認められるが糸道脱落物防止効果が
みられない。
【0077】本発明である実験No.6はフェニル基変
性の分岐型ポリオルガノシロキサンの効果がみられ、糸
道脱落物の発生がおさえられ各評価項目共に問題のない
水準になっている。
【0078】このようにフェニル基変性の分岐型ポリオ
ルガノシロキサン単独及びアミノ変性シリコン併用油剤
は優れた膠着防止性を示し、又繊維間摩擦力も適度で紡
糸糸道脱落物の発生もないため、良好な紡糸捲取り並び
に後次工程での捲返しが可能であった。
【0079】次にフェニル基変性の分岐型ポリオルガノ
シロキサンの併用量の効果について説明する。
【0080】実施例2 実施例1と同様なポリウレタン重合体を同一条件にて押
出し、捲取り直前にフェニル基変性の分岐型ポリオルガ
ノシロキサンの配合量を変化させた表3の各油剤をモノ
フィラメント重量に対し6%付与した。
【0081】紡出糸について前述4項目を評価した結果
を表3に示した。
【0082】
【表3】
【0083】表3に示す如く本発明の分岐ポリオルガノ
シロキサンを1重量%併用した実験No.7油剤は膠着
防止性が劣り、又25重量%併用した実験No.10油
剤は油剤の粘度が高くなるため油剤の付着斑が起こり、
油剤の付着が悪い部分の膠着が大きいため油剤が正常通
り付いている部分は優れた膠着防止性を示したにもかか
わらず、解舒張力値は大きな値を示した。
【0084】このように膠着防止性の優劣斑が発生する
と後工程での糸の引出しが不能となり、実用上は極めて
好ましくない状態である。実操業上からは膠着斑がある
糸より斑の少ない糸の方が膠着は大きくても扱い易い。
【0085】本発明である実験No.8及び9は、評価
4項目共に良好な性能を示し紡糸、後工程操業上、問題
のない油剤であった。
【0086】次に、アミノ変性シリコンの併用量の効果
について説明する。
【0087】実施例3 分子量2300のポリブチレンアジペート63部と1,
4ブタンジオール6.0部と4,4′ジフェニルメタン
ジイソシアネート24.0部とを重合して得られたポリ
ウレタン重合体を200℃で溶融してスクリュー型押出
機にて吐出し、紡糸口金に入る前に分子量2000のポ
リカプロラクトンジイソシアネートをポリウレタン重合
体に10部混合した後0.5mmのノズルより押出し、
500m/minでボビンに捲取り40デニールのモノ
フィラメントを得た。
【0088】モノフィラメントを捲取る直前で給油ノズ
ルにより表4に示すアミノ変性シリコンの併用量を変え
た油剤をモノフィラメント重量に対し6%付与した。
【0089】紡出糸について前述4項目を評価した結果
を表4に示した。
【0090】
【表4】
【0091】0.1重量%以下の極少量のアミノ変性シ
リコンの併用では実験No.11の如く併用効果が認め
られず膠着防止性は向上しない。
【0092】一方、25重量%併用した実験No.15
ではアミノ変性シリコンによる平滑性上昇を分岐ポリオ
ルガノシロキサンでは防止できず、繊維間摩擦力が下が
り過ぎ紡糸ボビンが捲崩れ、操業が不可能であった。
【0093】又アミノ変性シリコンとジイソシアネート
化合物との反応物が糸道に脱落堆積し、堆積物の抵抗に
より糸がたるみ、順調な捲取りが不能であった。
【0094】一方、本発明の実験No.12,13,1
4では優れた膠着性、適度な繊維間摩擦力、紡糸糸道脱
落物防止性があり紡糸も順調でその後の後次加工でも問
題なく操業できた。
【0095】
【発明の効果】以上に述べた如く本発明のポリウレタン
弾性糸用油剤は、従来はアミノ変性シリコンの併用で達
成していた膠着防止性が、アミノ変性シリコンを使用し
なくても容易に得られるようになり、アミノ変性シリコ
ン併用油剤につきまとっていた平滑過多によるボビン捲
崩れ、糸道脱落物がすべて解消された。
【0096】本発明の油剤を用いて製造したポリウレタ
ン弾性糸は紡糸工程での紡糸ボビンの捲崩れがなく、又
経時後の膠着上昇がないため後次加工でのボビンからの
糸出しが容易であり、紡糸工程から後次工程で優れた操
業性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】解舒張力の測定法を表す図である。
【図2】繊維間摩擦力の測定法を表す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉱物油及び/又は直鎖状ポリオルガノシ
    ロキサンに一般式 【化1】 (Rはフェニル基で表わされる多分岐ポリオルガノシロ
    キサン)を配合せしめてなるポリウレタン弾性糸用油
    剤。
  2. 【請求項2】 請求項1で示した油剤に一般式 【化2】 (Rは炭素数が1以上のアルキル基又はアルコキシ基、
    1 とR2 は炭素数が1以上のアルキル基、mとnは1
    以上の整数)及び/又は一般式 【化3】 (Rは炭素数が1以上のアルキル基又はアルコキシ基、
    3 は炭素数が1以上のアルキル基、mとnは1以上の
    整数)で表わされるアミノ変性シリコンを併用してなる
    ポリウレタン弾性糸用油剤。
  3. 【請求項3】 一般式 【化4】 (Rはフェニル基で表わされる多分岐ポリオルガノシロ
    キサン)の配合量が5〜10重量%である請求項1及び
    請求項2記載の油剤。
  4. 【請求項4】 一般式 【化5】 (Rは炭素数が1以上のアルキル基又はアルコキシ基、
    1 とR2 は炭素数が1以上のアルキル基、mとnは1
    以上の整数)及び/又は一般式 【化6】 (Rは炭素数が1以上のアルキル基又はアルコキシ基、
    3 は炭素数が1以上のアルキル基、mとnは1以上の
    整数)の配合量が0.5〜10重量%である請求項2記
    載の油剤。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003097926A1 (fr) * 2002-05-21 2003-11-27 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Fibre de polyurethanne elastique
KR100523947B1 (ko) * 1998-12-11 2006-05-25 주식회사 코오롱 섬유유제 제조용 다기능성 첨가물 및 그의 제조방법.
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JP6141554B1 (ja) * 2017-02-14 2017-06-07 竹本油脂株式会社 弾性繊維用処理剤及び弾性繊維
JP2019026953A (ja) * 2017-07-28 2019-02-21 松本油脂製薬株式会社 弾性繊維用処理剤及び弾性繊維

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