JPH05178762A - 経皮・経粘膜吸収製剤 - Google Patents

経皮・経粘膜吸収製剤

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JPH05178762A
JPH05178762A JP16709192A JP16709192A JPH05178762A JP H05178762 A JPH05178762 A JP H05178762A JP 16709192 A JP16709192 A JP 16709192A JP 16709192 A JP16709192 A JP 16709192A JP H05178762 A JPH05178762 A JP H05178762A
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drug
skin
percutaneous
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agent
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JP16709192A
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English (en)
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Akihiro Aioi
章博 相生
Kiyoshi Kuriyama
澄 栗山
Tatsutake Shimizu
達丈 清水
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 基剤と薬物と必要に応じて吸収促進剤とを含
む製剤において、ゲラニルアセテートが含有されている
ことを特徴とする経皮・経粘膜吸収製剤である。 【効果】 ゲラニルアセテートの添加により、薬物の吸
収量を顕著に向上せしめ、また、薬物が皮膚・粘膜刺激
性の吸収促進剤を含む場合には、薬物の透過性を損なわ
ずに、皮膚・粘膜刺激を殆どないしは全くなくすること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、皮膚や粘膜に適用して
所要の薬物をこれら生体膜を経て体内循環系へ投与する
のに使用される経皮・経粘膜吸収製剤に関するものであ
る。
【0002】本発明において、経皮・経粘膜吸収製剤と
は、薬効成分に全身性作用および局所性作用のいずれを
期待するかを問わず、皮膚ないし粘膜に適用することに
よって薬効成分を体内循環系へ投与するすべての剤形の
ものをいい、経皮吸収製剤としては、テープ剤、パッチ
剤、パップ剤、クリーム剤、リニメント剤、軟膏剤など
があり、経粘膜吸収製剤としては、坐剤、口腔剤、点鼻
剤、点眼剤などがある。
【0003】
【従来の技術】従来、薬物を体内循環系へ投与する剤形
として、経口剤、注射剤、坐剤などが適宜採用されてい
たが、近年、経皮・経粘膜吸収製剤の開発が以下の利点
により積極的に進められている。すなわち、経皮・経粘
膜吸収製剤では、 体内に吸収された薬物が初回循環では肝臓を通過しな
いため、経口投与法の場合のように腸で吸収された薬物
が肝臓へ循環して代謝を受けその薬効が減退するという
欠点がない。
【0004】注射剤に比べると患者の精神的負担、肉
体的苦痛が少ない。
【0005】血中濃度を長時間必要レベルに維持しや
すく、長時間にわたって連続投与が可能である。
【0006】副作用発現濃度に達した時などに必要に
応じて投与を容易に中断し得る。
【0007】ところで、この種の経皮・経粘膜吸収製剤
は、本来異物の体内への侵入を防ぐバリヤー機能を有す
る皮膚の角質層を経由して薬物を体内循環器系へ投与す
るものであるため、所期の薬効を発現させるに充分な量
の薬物を投与するのは必ずしも容易でない。
【0008】従来、皮膚のバリヤー機能を弱めて、薬物
の経皮・経粘膜吸収性をより高度に促進させる方法とし
て種々の吸収促進剤が開発され、これを含ませた経皮・
経粘膜吸収製剤が多数提案されている。たとえば吸収促
進剤として、ラウロイルサルコシンのようなN−アシル
サルコシンを用いることが提案されている(特開昭62
−96430号公報参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
の経皮・経粘膜吸収製剤では、それに従って薬物の吸収
量を増加させようとしても、薬物によっては十分な吸収
量が得られない場合がある。
【0010】本発明の目的は、上記の如き実情に鑑み、
十分な量の薬物を吸収せしめることができる経皮・経粘
膜吸収製剤を提供することにある。
【0011】また、上記従来技術の経皮・経粘膜吸収製
剤では、その適用期間中に同製剤中のN−アシルサルコ
シンの細胞障害性によって皮膚ないし粘膜が刺激を受
け、適用部位に紅班ないし痂皮を生じるという問題があ
る。
【0012】さらに、薬物によっては本来の薬効以外に
適用部位に発赤や刺激感などの副作用を示す場合があ
る。こうした発赤などの副作用によって吸収促進剤の含
有量が制限され、その結果、経皮・経粘膜吸収製剤への
薬物の適用範囲が狭められている。
【0013】本発明のもう一つの目的は、上記の如き実
情に鑑み、薬物の経皮・経粘膜吸収性を損なうことな
く、吸収促進剤による皮膚ないし粘膜の刺激を可及的に
低減することができる経皮・経粘膜吸収製剤を提供する
ことにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成すべく検討を重ねた結果、薬物の経皮・経粘膜吸収の
際には角質層のバリヤー能と共に表皮細胞層のバリヤー
能も高いが、さらにゲラニルアセテートを配合すると、
生きた表皮細胞層のバリヤー能を低減せしめ、その結果
薬物の吸収量を従来技術による場合に比べ顕著に向上せ
しめることができるという知見を得て完成せられたもの
である。
【0015】また、本発明は、ゲラニルアセテートの配
合により、薬物の透過性を損なわずに、皮膚・粘膜刺激
を殆どないしは全くなくすることができるという知見を
得て完成せられたものである。
【0016】すなわち、本発明による第一の経皮・経粘
膜吸収製剤は、基剤と薬物を含む製剤において、ゲラニ
ルアセテートが含有されていることを特徴とするもので
ある。
【0017】また、本発明による第二の経皮・経粘膜吸
収製剤は、基剤、薬物および吸収促進剤を含む製剤にお
いて、ゲラニルアセテートが含有されていることを特徴
とするものである。
【0018】本発明による経皮・経粘膜吸収製剤の基剤
としては、テープ剤やパップ剤の場合には粘着性基剤を
用い、軟膏剤、クリーム剤、パッチ剤、リニメント剤、
坐剤、口腔剤、点鼻剤、点眼剤などの場合には非粘着性
基剤を用いる。
【0019】基剤中に含まれる薬物、吸収促進剤および
ゲラニルアセテートの含有量は、軟膏剤、クリーム剤、
パッチ剤、リニメント剤、坐剤、口腔剤、点鼻剤、点眼
剤などでは製剤自体に対する含有量に相当し、テープ剤
やパップ剤などの貼付剤では、製剤から支持体や剥離紙
を除いた部分すなわち粘着剤層(膏体層)の部分に対す
る含有量に相当し、パッチ剤ではリザーバー層に含ませ
る基剤に対する含有量に相当する。この点は本明細書全
体を通して共通である。
【0020】以下、本発明による経皮・経粘吸収製剤の
各構成成分について詳しく説明する。
【0021】a) 本発明による経皮・経粘膜吸収製剤
においてはゲラニルアセテートが用いられる。これは、
薬物の吸収量を顕著に向上せしめ、また、薬物が皮膚・
粘膜刺激性の吸収促進剤を含む場合には、薬物の透過性
を損なわずに、皮膚・粘膜刺激を殆どないしは全くなく
する作用をなす。
【0022】ゲラニルアセテートの含有量は、特に制限
はなく、使用する基剤、薬物、吸収促進剤および必要に
応じて加えられる添加剤に応じて適宜決定することがで
きる。ゲラニルアセテートの好ましい含有量は、0.5
〜30重量%の範囲である。ゲラニルアセテートの含有
量が過少であれば、必要充分な皮膚・粘膜刺激軽減化効
果が発揮されない。ゲラニルアセテートの含有量が過多
であれば、ゲラニルアセテートの添加による効果が飽和
してしまう。
【0023】b) 本発明による経皮・経粘吸収製剤に
おいて、吸収促進剤は適宜添加される成分であって、そ
の例としては、薬物の経皮・経粘膜吸収性を促進する従
来公知のもの、例えば、陰イオン型界面活性剤、陽イオ
ン型界面活性剤、非イオン型界面活性剤、有機酸、無機
酸、有機塩基、無機塩基、保湿剤などが挙げられる。特
に好適な吸収促進剤はラウロイルサルコシンないしその
塩である。ラウロイルサルコシンの含有量は、好ましく
は0.1〜10重量%の範囲である。ラウロイルサルコ
シンの含有量が過少であれば、薬物の吸収促進効果が得
られない。同含有量が過多であれば、細胞障害性が強く
なると共に、テープ剤やパップ剤などでは粘着物性が低
下し粘着剤との相溶性が悪化する。
【0024】c) 本発明の経皮・経粘膜吸収製剤に使
用される薬物(生理活性物質)は、経皮・経粘膜的に生
体膜を透過しうるものであればよく、特に限定されな
い。薬物の例としては、鎮痛解熱剤、抗てんかん剤、抗
精神病剤、抗欝剤、抗そう剤、抗不安剤、催眠剤、鎮静
剤、筋弛緩剤、自立神経作用剤、脳代謝賦活剤、強心
剤、抗狭心症剤、抗不整脈剤、末梢血管拡張剤、降圧
剤、昇圧剤、利尿剤、呼吸促進剤、鎮咳去痰剤、気管支
拡張剤、気管支喘息治療剤、呼吸器用剤、感冒用剤、制
吐剤、制酸剤、消化性潰瘍治療剤、緩下剤、止痢制腸
剤、肝臓用剤、膵疾患治療剤、利胆剤、女性ホルモン
剤、男性ホルモン剤、視床下部および下垂体ホルモン
剤、排卵誘発剤、尿崩症治療剤、甲状線ホルモン剤、蛋
白同化ホルモン剤、抗甲状線剤、カルシウム代謝剤、副
腎皮質ステロイド剤、非ステロイド抗炎症剤、消炎酵素
剤、抗ヒスタミン剤、抗リウマチ剤、痛風治療剤、糖尿
病剤、ビタミン剤、造血剤、止血剤、高脂血症治療剤、
抗菌剤、抗癌剤、免疫抑制剤、解毒剤、催吐剤、駆虫
剤、抗原虫剤、痔治療剤、泌尿生殖器用剤などが挙げら
れる。
【0025】各薬物の代表例を以下に示す。
【0026】解熱消炎鎮痛剤の例としては、インドメタ
シン、サリチル酸、サリチル酸グリコール、アスピリ
ン、アセトアミノフェン、ジクロフェナックナトリウ
ム、イブプロフェン、スリンダック、ナプロキセン、ケ
トプロフェン、フルフェナム酸、イブフェナック、フェ
ンブフェン、アルクロフェナック、フェニルブタゾン、
メフェナム酸、ベンダザック、ピロキシカム、フルルビ
プロフェン、ペンタゾシン、塩酸ブプレノルフィン、酒
石酸ブトルファノールなどが挙げられる。
【0027】ステロイド系抗炎症剤の例としては、ヒド
ロコルチゾン、プレドニゾロン、フルオシノロンアセト
ニド、フルドロキシコルチド、メチルプレドニゾロン、
酢酸ヒドロコルチゾン、トリアムシノロンアセトニド、
デキサメタゾン、酢酸ベタメサゾン、吉草酸ジフルコル
トロン、プロピオン酸クロベタゾール、フルオシノニド
などが挙げられる。
【0028】血管拡張剤の例としては、ジルチアゼム、
ベラパミル、四硝酸ペンタエリスリトール、ジピリダモ
ール、硝酸イソソルビド、ニフェジピン、ニトログリセ
リンなどが挙げられる。
【0029】高血圧・不整脈用剤としては、プロパノロ
ール、アテノロール、ピンドロール、硫酸キニジン、ア
ジマリン、塩酸アルプレノロール、酒石酸メトプロロー
ル、ナドロール、マレイン酸チモロール、ジソピラミド
などが例示される。
【0030】血圧降下剤の例としては、塩酸クロニジ
ン、カプトプリル、塩酸プラゾシン、硫酸ペンブトロー
ル、酢酸グアナベンズ、塩酸グアンファシン、塩酸ブナ
ゾシン、マレイン酸エラナプリル、塩酸アロチノロー
ル、塩酸ブニトロロールなどが挙げられる。
【0031】鎮咳去痰剤の例としては、塩酸プロカテロ
ール、硫酸テルブタリン、臭化水素酸フェノテロール、
塩酸ツロブテロール、塩酸アンブロキソール、塩酸ピル
ブテロール、塩酸マブテロール、塩酸クレンブテロー
ル、塩酸トリメトキノール、フマル酸フォルモテロール
などが挙げられる。
【0032】抗腫瘍剤としては、5−フルオロウラシ
ル、1−(2−テトラヒドロフリル)−5−フルオロウ
ラシル、マイトマイシンCなどが例示される。
【0033】局所麻酔剤としては、ベンゾカイン、プロ
カイン、リドカイン、テトラカインなどが例示される。
【0034】ホルモン剤の例としては、エストロゲン、
エストラジオール、テストステロン、プロゲステロン、
プロスタグランジンなどのステロイドホルモン類や、イ
ンスリンなどのペプチドホルモン類などが挙げられる。
【0035】喘息・鼻アレルギー治療剤としては、フマ
ル酸ケトチフェン、塩酸アゼラスチン、クロモグリク酸
ナトリウムなどが例示される。
【0036】抗ヒスタミン剤としては塩酸シクロヘプタ
ジン、塩酸ジフェンヒドラミン、フェンベンザミン、メ
キタジンなどが例示される。
【0037】抗凝血剤の例としては、ヘパリンなどが挙
げられる。
【0038】鎮痙剤としては、スコポラミン、クロフル
ペロールなどが例示される。
【0039】脳循環・代謝改善剤の例としては、ビンポ
セチン、塩酸フルナリジン、塩酸ニカルジピン、フマル
酸ブロビンカミン、メシル酸ジヒドロエルゴトキシン、
酒石酸イフェンプロジル、塩酸イソクスプリンなどが挙
げられる。
【0040】抗うつ・抗不安剤の例としては、塩酸マプ
ロチリン、エチゾラム、ジアゼパム、ブロマゼパム、塩
酸アミトリプチリン、塩酸ミアンセリンなどが挙げられ
る。
【0041】ビタミンD製剤の例としては、アルファカ
ルシドール、エルゴカルシフェロールなどが挙げられ
る。
【0042】血糖降下剤の例としては、グリベンクラミ
ド、グリクラジドなどが挙げられる。
【0043】抗潰瘍剤の例としては、リンゴ酸クレボブ
リド、ファモチジン、臭化グリコピロニウムなどが挙げ
られる。
【0044】睡眠剤の例としては、フェノバルビター
ル、アモバルビタールなどが挙げられる。
【0045】抗生物質としては、テトラサイクリン、ク
ロラムフェニコールなどが例示される。
【0046】これらの薬物の配合量は、薬物の種類、経
皮・経粘膜吸収製剤の使用目的などにより異なるが、通
常は0.1〜30重量%の範囲である。
【0047】d) 本発明による経皮・経粘膜吸収製剤
の剤形としては、テープ剤、パッチ剤、パップ剤、クリ
ーム剤、リニメント剤、軟膏剤、坐剤、口腔剤、点鼻
剤、点眼剤などがある。
【0048】テープ剤は、薬物、吸収促進剤、刺激軽減
化剤および必要に応じて加えられる添加剤を含む粘着性
基剤すなわち膏体が、支持体の片面に設けられたもので
ある。
【0049】パッチ剤は、支持体の片面に非粘着性のリ
ザーバー層および粘着剤層が順次積層されて構成された
ものであり、リザーバー層に、薬物、吸収促進剤、刺激
軽減化剤および必要に応じて加えられる添加剤を含む非
粘着性基剤が保持させられたものである。このリザーバ
ー層が粘着剤層を介して皮膚に貼付され、リザーバー層
中の薬物が粘着剤層を通って経皮吸収される。ただし、
前記リザーバー層中の薬物や吸収促進剤などは、粘着剤
層にも含ませてもよい。
【0050】パップ剤は、薬物、吸収促進剤、刺激軽減
化剤および必要に応じて加えられる添加剤を含むペース
ト状の基剤を支持体の片面に層状に塗布したものであ
る。パップ剤はテープ剤やパッチ剤に比べ粘着性に乏し
いため絆創膏などで皮膚表面に固定される。
【0051】クリーム剤、軟膏剤およびリニメント剤
は、非粘着性基剤に、薬物、吸収促進剤、刺激軽減化剤
および必要に応じて加えられる添加剤を均一に混合して
なる薬物含有ペースト、スラリーまたは液状物である。
【0052】坐剤は、非粘着性基剤に、薬物、吸収促進
剤、刺激軽減化剤および必要に応じて加えられる添加剤
を均一に混合してなる薬物含有ペーストを坐剤成型機で
所要形状に成形したものである。
【0053】口腔剤、点鼻剤および点眼剤は、通常は、
溶液、懸濁液、ゼリー状物の形態をなすが、上記クリー
ム剤、軟膏剤およびリニメント剤の形態を取ることもあ
る。前者の形態のものは、液状の基剤に、薬物、吸収促
進剤、刺激軽減化剤および必要に応じて加えられる添加
剤を溶解ないし懸濁させてなるものである。これは主と
して経粘膜吸収製剤として使用される。
【0054】d-1 ) パッチ剤のリザーバー層中の非粘
着性基剤としては従来公知の外用基剤が使用でき、たと
えば白色ワセリン、シリコンオイル、カルボキシビニル
ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコ
ール、流動パラフィンなどが例示される。
【0055】d-2) テープ剤の粘着性基剤やパッチ剤の
粘着剤層の粘着剤は、吸収促進剤との相溶性に優れ、か
つ該製剤を常温で皮膚表面に長時間固定しうる粘着力を
有するものであれば特に限定されない。好ましい粘着剤
としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコー
ン系粘着剤などが用いられる。
【0056】アクリル系粘着剤としては、特に、炭素数
4〜18の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とか
ら得られる(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独
重合体または共重合体および/または上記(メタ)アク
リル酸アルキルエステルとその他の官能性モノマーとの
共重合体が好適に用いられる。
【0057】上記(メタ)アクリル酸エステルとして
は、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリ
ル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−
エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸
デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、
アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブ
チル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル
酸イソオクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イ
ソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステア
リルなどが例示される。
【0058】上記官能性モノマーの例としては、水酸基
を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、
アミド基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー
などが挙げられる。水酸基を有するモノマーとしては、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアル
キル(メタ)アクリレートが例示される。カルボキシル
基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル
酸などのα,β−不飽和カルボン酸:マレイン酸ブチル
などのマレイン酸モノアルキルエステル:マレイン酸:
フマル酸:クロトン酸などが例示される。無水マレイン
酸もマレイン酸と同様の(共)重合成分を与える。アミ
ド基を有するモノマーとしては、アクリルアミド、ジメ
チルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドなどのア
ルキル(メタ)アクリルアミド:ブトキシメチルアクリ
ルアミド、エトキシメチルアクリルアミドなどのアルキ
ルエーテルメチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセ
トンアクリルアミドなどが例示される。アミノ基を有す
るモノマーとしては、ジメチルアミノエチルアクリレー
ト、ビニルピロリドンなどが例示される。
【0059】上記以外の共重合性モノマーとしては、酢
酸ビニル、ビニルアルコール、スチレン、α−メチルス
チレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、エチレン、プ
ロピレン、ブタジエンなども使用できる。粘着剤中には
(メタ)アクリル酸アルキルエステルが(共)重合成分
として50重量%以上含有されることが好ましい。
【0060】アクリル系粘着剤にはさらに必要に応じて
多官能性モノマーが加えられ、他のモノマー成分と共重
合される。この多官能性モノマーの添加により、生成す
る重合体間にごくわずかに架橋が生じ、それにより粘着
剤の内部凝集力が増大する。そのため貼付された皮膚の
性状や発汗量にほとんど無関係に貼付剤剥離時のいわゆ
る糊残り現象がほぼ解消せられる。しかも、この多官能
性モノマーの添加は薬物の放出性や低皮膚刺激性には何
ら悪影響を与えない。このような多官能性モノマーとし
ては、たとえば、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メ
タ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレートなどが
例示されるが、これに限定されない。より具体的には、
ヘキサメチレングリコールやオクタメチレングリコール
などのポリメチレングリコール類と(メタ)アクリル酸
とを結合させて得られるジ(メタ)アクリレート;ポリ
エチレングリコールやポリプロピレングリコールなどの
ポリアルキレングリコール類と(メタ)アクリル酸とを
結合させて得られるジ(メタ)アクリレート;トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレートやグリセリン
トリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレ
ート;およびペンタエリスリトールテトラ(メタ)アク
リレートなどのテトラ(メタ)アクリレートが例示され
る。これら多官能性モノマーは2種以上を組み合わせて
用いてもよい。多官能性モノマーは粘着剤の製造に供さ
れる全モノマー中に0.005〜0.5重量%の割合で
使用される。多官能性モノマーの使用量が0.005重
量%未満であると、架橋による内部凝集力向上の効果が
小さく、また0.5重量%を超えると重合により得られ
る粘着剤がゲル化を起こし易く、薬物の拡散・放出にも
影響が現われる。
【0061】アクリル系粘着剤を調製するには、通常、
重合開始剤の存在下に所要のモノマーの溶液重合を行な
う。ただし、重合形態はこれに限定されない。また重合
反応条件は主としてモノマーの種類により適宜選定され
る。
【0062】ゴム系粘着剤としては、天然ゴム、スチレ
ン−イソプレン−スチレン・ブロック共重合体、ポリイ
ソプレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、エチレン−
酢酸ビニル共重合体などのゴム弾性体100重量部に、
たとえばロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−
インデン樹脂、石油系樹脂、テルペン−フェノール樹脂
などの粘着性付与剤を20〜200重量部、および必要
に応じて、液状ポリブテン、鉱油、ラノリン、液状ポリ
イソプレン、液状ポリアクリレートなどの軟化剤:酸化
チタンなどの充填剤:ブチルヒドロキシトルエンなどの
老化防止剤などを適量添加してなるものが使用される。
【0063】シリコーン系粘着剤としては、ポリジメチ
ルシロキサンなどを主成分とするものが使用される。
【0064】上記粘着剤中には、可塑剤;充填剤;老化
防止剤などの配合剤が必要に応じて添加される。
【0065】d-3) テープ剤やパッチ剤の支持体として
は、柔軟であるが経皮吸収製剤に自己支持性を付与し、
かつ粘着性基剤層中やリザーバー層中の薬物の揮散や移
行を防止する役目を果たすものが使用される。支持体の
素材としては、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポ
リエチレンテレフタレート、可塑化酢酸ビニル−塩化ビ
ニル共重合体、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレ
ン、ポリ塩化ビニリデン、アルミニウムなどが例示され
る。これら素材はたとえば単層のシートないしフィルム
や2枚以上の積層体として用いられる。アルミニウム以
外の素材は織布や不織布として使用してもよい。支持体
としては、皮膚面に対して追従性を有する素材よりなる
ものが好適に用いられ、特にポリエチレンテレフタレー
トとエチレン−酢酸ビニル共重合体とのラミネートフィ
ルムなどが好ましい。支持体の厚みは500μm以下、
好ましくは5〜150μmである。
【0066】上記支持体の片面に粘着性基剤層が形成さ
れてテープ剤が構成せられ、また上記支持体の片面にリ
ザーバー層および粘着剤層が順次積層されてパッチ剤が
構成せられる。パッチ剤ではリザーバー層と粘着剤層と
の間に適当な制御膜が存在してもよい。
【0067】d-4) テープ剤の調製において、粘着性基
剤層を形成するには通常の粘着テープの製造方法が適用
できる。その代表例は溶剤塗工法であり、これ以外にも
ホットメルト塗工法、電子線硬化エマルジョン塗工法な
どが用いられる。粘着性基剤層を溶剤塗工法で形成する
には、たとえば、薬物、吸収促進剤、刺激軽減化剤およ
び必要に応じて加えられる添加剤を適当な溶媒に溶解な
いし分散させ、得られた溶液ないし分散液を支持体の片
面に直接塗布・乾燥し、所要厚みの粘着性基剤層を形成
する。また、この溶液ないし分散液を保護用の剥離紙上
に塗布し、乾燥後に得られた粘着性基剤層を支持体に密
着させてもよい。粘着性基剤層の厚みは使用目的により
異なるが、通常、30〜200μmの範囲である。この
厚みが30μmを下まわると必要量の薬物を含有するこ
とができず、粘着性も不十分である。厚みが200μm
を上まわると支持体付近の粘着性基剤層に含有される薬
物が充分に拡散せず、薬物放出性が低下する。
【0068】d-5) テープ剤は、使用時までその粘着性
基剤層表面を保護するために通常はその貼付面に剥離紙
を備えている。パッチ剤は粘着剤層に剥離紙を備えてい
る。剥離紙としてはポリエチレンテレフタレートのフィ
ルムをシリコン処理してなるものがよく用いられるが、
剥離紙はこれに限定されない。剥離紙の厚みは100μ
m以下、好ましくは5〜50μmである。
【0069】e) パップ剤の支持体としてはテープ剤
やパップ剤について先に説明したものが使用される。パ
ップ剤は、通常、テープ剤やパッチ剤に比べて粘着性に
乏しいため、絆創膏などで皮膚表面へ固定される。パッ
プ剤の基剤としては、アルギン酸アルカリ金属、ゼラチ
ン、コーンスターチ、トラガントガムなどの天然ポリマ
ー類;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系ポ
リマー類;デキストリン、カルボキシメチルデンプンな
どのデンプン系ポリマー類;ポリビニルアルコール、ポ
リアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン−無水マレ
イン酸共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロ
リドンなどの合成ポリマー類が例示される。
【0070】パップ剤を製造するには、粘着性基剤、薬
物、吸収促進剤、刺激軽減化剤、および必要に応じて加
えられる添加剤を均一に混合し、得られた薬物含有ペー
ストを支持体の片面に層状に塗布する。薬物含有ペース
トにはさらに、精製水、保湿剤、無機充填剤、粘度調整
剤、架橋剤、老化防止剤などのその他の添加剤が適宜含
有されていてもよい。保湿剤としては、グリセリン、プ
ロピレングリコールなどが用いられ、無機充填剤として
は、カオリン、ベントナイト、亜鉛華、二酸化チタンな
どが用いられる。
【0071】f) クリーム剤、軟膏剤およびリニメン
ト剤は、非粘着性基剤、薬物、吸収促進剤、刺激軽減化
剤、および必要に応じて加えられる添加剤を均一に混合
してなる薬物含有ペースト、スラリーまたは液状物であ
る。その基剤としては、蜜ろう、油脂、ラノリン、白色
ワセリン、パラフィン、プラスチベース、高級脂肪酸、
高級アルコール、乳化剤、マクロゴール、カルボキシビ
ニルポリマーなどが用いられる。
【0072】クリーム剤および軟膏剤には、脂溶性溶解
剤、精製水、水溶性溶解剤、pH調整剤などが含有され
ていてもよい。脂溶性溶解剤としては、流動パラフィ
ン、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチルな
どが用いられ、水溶性溶解剤としては、エタノール、グ
リセリン、プロピレングリコールなどが用いられる。
【0073】g) 口腔剤、点鼻剤および点眼剤は、溶
液、懸濁液、ゼリー状物の形態を取る場合には、液状の
基剤に、薬物、吸収促進剤、刺激軽減化剤および必要に
応じて加えられる添加剤を溶解ないし懸濁させてなる。
液状の基剤としては、例えば、エタノール、精製水、グ
リコール類などが使用される。トラガント、アラビアゴ
ム、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロースなどを含む溶液を液状
基剤として用いることもできる。
【0074】口腔剤、点鼻剤および点眼剤がクリーム
剤、軟膏剤およびリニメント剤の形態を取る場合は、上
記のごとく調製せられる。
【0075】h) かくして得られた種々の剤形の経皮
・経粘膜吸収製剤は、通常は薬物を経皮的ないし経粘膜
的に体内循環系へ投与する目的で、皮膚ないし粘膜の表
面に直接貼付または塗布される。さらにこれら経皮吸収
製剤は薬物を皮膚ないし粘膜の疾患部の治療を目的とし
て皮膚ないし粘膜に貼付または塗布されることもある。
【0076】
【作用】本発明による経皮・経粘膜吸収製剤では、ゲラ
ニルアセテートが配合されているので、生きた表皮細胞
層のバリヤー能が低減せられ、その結果薬物の経皮・経
粘膜吸収量が顕著に向上せしめられる。
【0077】また、ゲラニルアセテートの配合により、
薬物の経皮・経粘膜透過性を損なわずに、皮膚・粘膜刺
激が効果的に抑制ないし軽減せられる。
【0078】
【実施例】つぎに、本発明を具体的に説明するために、
本発明の一例を示す実施例およびこれとの比較を示す比
較例をいくつか挙げ、さらに得られた各製剤の性能試験
結果を示す。
【0079】なお、実施例1〜6は本発明による第二の
経皮・経粘膜吸収製剤に合致し、実施例7〜9は本発明
による第一の経皮・経粘膜吸収製剤に合致する。
【0080】実施例1 2−エチルヘキシルアクリレート(249.6g、6
2.4重量%)、N−ビニル−2−ピロリドン(15
0.4g、37.6重量%)、および前二者の和100
重量%に対しトリメチロールプロパントリアクリレート
0.01重量%(40.0mg)をセパラブルフラスコに
仕込み、重合初期のモノマー濃度が85重量%となるよ
うに酢酸エチル70.6gを加えた。この溶液を窒素雰
囲気下に60℃に加熱し、3.5gの過酸化ラウロイル
を330gの酢酸エチルに溶解してなる重合開始剤溶液
を少量ずつ添加し、32時間かけて重合反応を行なっ
た。重合反応終了後、340gの酢酸エチルを加え、重
合物の35重量%酢酸エチル溶液を得た。
【0081】得られた重合物の酢酸エチル溶液に、薬物
として硝酸イソソルビド(Sigma 社製)を20重量%含
む酢酸エチル溶液、吸収促進剤としてラウロイルサルコ
シンを10重量%含むテトラヒドロフラン懸濁液、およ
びゲラニルアセテート(和光純薬製)を、固形分(重合
物、薬物、吸収促進剤およびゲラニルアセテート)濃度
が酢酸エチルの追加により30重量%になるように、か
つ、薬物、吸収促進剤およびゲラニルアセテートの固形
分中濃度がそれぞれ8重量%、1重量%および1重量%
となるように、加えた。この液をディゾルバーにて均一
に混合した。
【0082】得られた塗工液をシリコン処理したポリエ
チレンテレフタレートフィルムからなる剥離紙上に乾燥
後の膏体層の厚みが60μmの厚さになるように塗布
し、塗布層を60℃のオーブンにて30分間乾燥した。
その後得られた膏体層上に厚み50μmのポリエチレン
テレフタレート−エチレン・酢酸ビニル共重合体積層フ
ィルムからなる支持体をラミネートした。
【0083】こうしてテープ剤を製した。
【0084】実施例2〜3 ゲラニルアセテートの固形分中濃度をそれぞれ5重量%
(実施例2)および10重量%(実施例3)とし、その
他の点を実施例1と同様にしてテープ剤を製した。
【0085】比較例1 ゲラニルアセテートを用いず、その他の点を実施例1と
同様にしてテープ剤を製した。
【0086】比較例2 ゲラニルアセテートの代わりにトリグリセリドを用い、
その固形分中濃度を50重量%とし、その他の点を実施
例1と同様にしてテープ剤を製した。
【0087】比較例3 ラウロイルサルコシンを用いず、その他の点を実施例3
と同様にしてテープ剤を製した。
【0088】実施例4 実施例1と同じ操作で得られた重合物の酢酸エチル溶液
に、硝酸イソソルビド、ラウロイルサルコシンおよびゲ
ラニルアセテートの各溶液を、固形分中濃度がそれぞれ
6重量%、3重量%および10重量%になるように添加
し、その他の点を実施例1と同様にしてテープ剤を製し
た。
【0089】比較例4 ゲラニルアセテートを用いず、その他の点を実施例4と
同様にしてテープ剤を製した。
【0090】実施例5 非粘着性基剤としてプラスチベース(大正製薬社製、局
外規ゲル化炭化水素)79.0gを用い、これに薬物と
して酢酸ノルエチステロン10.0g、吸収促進剤とし
てラウロイルサルコシン1.0g、およびゲラニルアセ
テート10.0gをそれぞれ加えて、配合物を乳鉢にて
均一に分散状に混合した。
【0091】こうして、軟膏剤を製した。
【0092】実施例6 非粘着性基剤としてワセリン(丸石製薬社製、日本薬局
方規格)79.0gを用いた以外は実施例5と同様にし
て、クリーム剤を製した。
【0093】実施例7 実施例1と同じ操作で得られた重合物の酢酸エチル溶液
に、薬物としてインドメタシン(和光純薬製)およびゲ
ラニルアセテート(和光純薬製)を含むテロラヒドロフ
ラン溶液を、固形分(重合物、薬物およびゲラニルアセ
テート)濃度が酢酸エチルの追加により30重量%にな
るように、かつ、薬物およびゲラニルアセテートの固形
分中濃度がそれぞれ10重量%および3重量%となるよ
うに、加えた。この液をディゾルバーにて均一に混合し
た。
【0094】得られた塗工液を用いて、実施例1と同じ
操作でテープ剤を製した。
【0095】実施例8 薬物としてインドメタシンの代わり硝酸イソソルビド
(Sigma 社製)を用い、その固形分中濃度を6重量%に
調整し、その他の点を実施例7と同様にしてテープ剤を
製した。
【0096】実施例9 薬物としてインドメタシンの代わりエストラジオール
(Sigma 社製)を用い、その固形分中濃度を10重量%
に調整し、その他の点を実施例7と同様にしてテープ剤
を製した。
【0097】比較例5 ゲラニルアセテートを用いず、その他の点を実施例7と
同様にしてテープ剤を製した。
【0098】比較例6 ゲラニルアセテートの代わりに6重量%N−ラウロイル
サルコシンを用い、その他の点を実施例7と同様にして
テープ剤を製した。
【0099】比較例7 ラウロイルサルコシンを用いず、その他の点を実施例8
と同様にしてテープ剤を製した。
【0100】比較例8 ゲラニルアセテートの代わりに6重量%N−ラウロイル
サルコシンを用い、その他の点を実施例8と同様にして
テープ剤を製した。
【0101】比較例9 ラウロイルサルコシンを用いず、その他の点を実施例9
と同様にしてテープ剤を製した。
【0102】比較例10 ゲラニルアセテートの代わりに6重量%N−ラウロイル
サルコシンを用い、その他の点を実施例9と同様にして
テープ剤を製した。
【0103】性能評価試験 i) ラット皮膚刺激性試験 実施例1〜3、比較例1〜3で得られた各テープ剤につ
いて、下記手法によりラットの皮膚に対する刺激性試験
を行なった。
【0104】ラット(ウィスター系、雄性、7週齢)の
脱毛した背部にテープ剤の円形試験片(直径20mm)
を貼付し、24時間後これを剥離した。この試験片剥離
後の皮膚について、剥離から1時間後の皮膚の紅斑状態
を目視で観察した。繰り返し回数は各製剤毎に5回とし
た。
【0105】紅斑の程度はDraize法による下記の0〜4
の5段階の判定基準で評価した。
【0106】0…紅斑なし 1…かろうじて識別できる軽度の紅斑 2…明らかな紅斑 3…中程度の紅斑 4…深紅色の強い紅斑 各経皮吸収製剤の皮膚刺激判定点は、各回における評点
の総和を繰り返し回数5で割って算出した平均値で表示
した。得られた評価結果を表1にまとめて示す。
【0107】
【表1】 表1から明らかなように、薬物、ラウロイルサルコシン
およびゲラニルアセテートを含む実施例1〜3のテープ
剤は、皮膚刺激性が顕著であるラウロイルサルコシンを
含むにも拘らず、薬物とラウロイルサルコシンのみを含
む比較例1のテープ剤に比べ、皮膚刺激軽減に著効を示
すことが認められる。また、これら実施例のテープ剤
は、ゲラニルアセテートの代わりにトリグリセリド含む
比較例2のテープ剤に比べ、ゲラニルアセテートの少な
い使用量で顕著な皮膚刺激軽減効果を示すことが認めら
れる。さらに、比較例3の結果から判るように、ゲラニ
ルアセテート自体にほとんど皮膚刺激性がないことが認
められる。
【0108】ii) マウス皮膚透過性試験 実施例4および比較例4で得られた各テープ剤につい
て、下記の手法によりマウスの摘出皮膚に対する薬物の
透過性試験を行なった。
【0109】まず、添付図1に示すFranz タイプの拡散
セル(1) を準備した。拡散セル(1) は、下側の有底円筒
状のレセプター槽(2) と、これの上に配置された有底円
筒状のドナー槽(3) とからなる。ドナー槽(3) の底壁中
央には開口部(4) が設けられ、またドナー槽(3) の下端
およびレセプター槽(2) の上端にはそれぞれ上側フラン
ジ(5) および下側フランジ(6) が設けられている。そし
て、上側フランジ(5) と下側フランジ(6) を対向状に重
ね合わせることによって、ドナー槽(3) とレセプター槽
(2) が気密状にかつ同心状に積み重ねられている。レセ
プター槽(2) にはその側部に側方突出状のサンプリング
口(7) が取付けられ、レセプター槽(2) の内部にはマグ
ネット攪拌子(9) が入れてある。
【0110】ヘアレスマウス(6週齢、雄)を頸椎脱臼
により屠殺した後、ただちに背部皮膚を剥離して皮下脂
肪と筋層を除去し、約4cm×4cmの皮膚片を得た。
この皮膚片(8) を拡散セル(1) の上側フランジ(5) と下
側フランジ(6) の間に挟着して、ドナー槽(3) の開口部
(4) を皮膚片(8) で完全に閉じるようにした。
【0111】面積3.14cm2 に打ち抜いた試験片を皮膚
片(8) の上面に貼付した。
【0112】レセプター槽(2) には、表2に示す組成か
らなるレセプター液を満たした。
【0113】
【表2】 ついで、拡散セル(1) を温度37℃に保たれた恒温槽内
に設置し、マグネット攪拌装置によりレセプター液の攪
拌を行なった。試験開始後24時間にわたり、所要時間
おきに、サンプリング口(7) からレセプター液1mlを
採取し、その直後にレセプター液を補充し、採取レセプ
ター液への薬物の透過量を高速液体クロマトグラフ法に
より測定した。試験片の数は製剤毎にそれぞれ3片ずつ
とした。各試験片中の薬物硝酸イソソルビドの経時的透
過量を高速液体クロマトグラフィで測定した。その結果
を表3に示す。
【0114】
【表3】 表3から明らかなように、実施例4のテープ剤は、比較
例4のテープ剤とほぼ同等の透過性を示す。このことか
ら、ゲラニルアセテートが薬剤の皮膚透過性に対して悪
影響を及ぼさないことが認められる。
【0115】iii) 皮膚透過性試験 実施例7〜9および比較例5〜10で得られた各テープ
剤について、下記の手法によりラットの剃毛皮膚に対す
る薬物の透過性試験を行なった。
【0116】ラット(ウィスター系、雄性、7週齢)の
脱毛した背部にテープ剤の円形試験片(直径20mm)
を貼付し、24時間後これを剥離した。この試験片を5
0mlのメタノールに浸漬し、試験片中に含まれる薬物
を抽出した。この抽出液中の薬物濃度を高速液体クロマ
トグラフィで測定し、テープ内の薬物残存量を求めた。
【0117】各試験片について、予め薬物のテープ内初
期含量を測定しておき、この値から上記残存量を引いた
値を皮膚透過量とし、また皮膚透過量を初期含量で除し
た値を皮膚透過率とした。
【0118】こうして得られた皮膚透過率を表4〜6に
示す。
【0119】
【表4】
【表5】
【表6】 表4〜6から明らかなように、実施例のテープ剤は比較
例のテープ剤に比べいずれも良好な薬物の皮膚透過性を
示すことが認められる。
【0120】
【発明の効果】本発明による経皮・経粘膜吸収製剤は、
ゲラニルアセテートを含むので、生きた表皮細胞層のバ
リヤー能を低減せしめ、その結果薬物の経皮・経粘膜吸
収量を顕著に向上せしめることができる。
【0121】また、本発明による経皮・経粘膜吸収製剤
は、ゲラニルアセテートの配合により、吸収促進剤に起
因する皮膚・粘膜刺激を効果的に抑制ないし軽減するこ
とができ、したがって、薬物の経皮・経粘膜透過性を損
なわずに、皮膚・粘膜刺激を殆どないし全くなくするこ
とができる。
【0122】そのため、優れた薬効を持ちながら皮膚・
粘膜刺激のために現在まで経皮・経粘膜吸収製剤に適用
できなかった薬効成分を、ゲラニルアセテートの併用に
よって経皮・経粘膜吸収製剤として実用化することがで
きる。このように吸収量の向上および皮膚・粘膜刺激性
の軽減化をもたらす物質を配合することによって、薬効
成分の経皮・経粘膜吸収製剤への適用範囲を大幅に広げ
ることができ、また、刺激に対して敏感な部位への経皮
・経粘膜吸収製剤の適用を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Franz タイプの拡散セルを示す斜視図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基剤と薬物を含む製剤において、ゲラニ
    ルアセテートが含有されていることを特徴とする経皮・
    経粘膜吸収製剤。
  2. 【請求項2】 基剤、薬物および吸収促進剤を含む製剤
    において、ゲラニルアセテートが含有されていることを
    特徴とする経皮・経粘膜吸収製剤。
JP16709192A 1991-07-02 1992-06-25 経皮・経粘膜吸収製剤 Pending JPH05178762A (ja)

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JP3-161626 1991-07-02
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8293274B2 (en) 2005-04-06 2012-10-23 Kabushiki Kaisha Sangi Intestinal absorptive anti-tumor agent

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