JPH0517478U - 冷蔵庫の排水処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧縮機の運転熱を利用して冷蔵庫の排水を効
率的に蒸発処理する。 【構成】 機械室１５の圧縮機１６の上方部に配設さ
れ、排水導管１７の排水口から流下する排水を受けると
ともに底面に撒水孔３２を有する撒水部材３０と、圧縮
機と撒水部材との間に配設され、撒水部材から撒水され
る排水を受けるとともに下向きの傾斜面を有する蒸発部
材２０と、蒸発部材の脚部を収容する溜め部５０とから
構成される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は冷蔵庫の冷凍時発生する凝縮水や冷蔵庫の霜を除去する際発生する除 霜水等の排水を処理する排水処理装置に係わり、特に、圧縮機の駆動熱を利用し て前記排水を蒸発させ、冷蔵庫外部に水蒸気を放出させる排水処理装置に関する ものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来におけるこの種類の排水処理装置としては、例えば、実公昭６１−３８０ ６９号公報に記載されているところのように、断熱的に区画された貯蔵室と、該 貯蔵室の下部に設置される蒸発皿と、前記貯蔵室を形成する背面壁の内部に埋設 された排水通路と、該排水通路の排水口を前記蒸発皿の真上に配設した構成の冷 蔵庫がある。更に、実開平１−１６９７８９号公報（実願昭６３−６５３４６号 のマイクロフィルム）には、深絞り成形により除霜水溜め部を設けた圧縮機台板 と、該台板上に載置固定した圧縮機と、該圧縮機の外周に間隔をおいてその外周 を被うとともにその下端部を前記除霜水溜め部の除霜水中に浸漬させるようにし た逆Ｕ字形状の多孔質セラミックスを備えた冷蔵庫が開示されている。

【０００３】 このような従来の冷蔵庫においては、冷蔵庫の冷凍時に発生する凝縮水や霜を 除去する際に発生する除霜水等を貯蔵室の背面壁の内部に埋設した排水通路を介 して圧縮機室の上部又は圧縮機室の下部に配設した蒸発皿に導入し、この蒸発皿 に溜まった排水を圧縮機の放出する熱により蒸発せしめるとか又は圧縮機台板に 設けた除霜水溜め部に溜った除霜水を逆Ｕ字形状の多孔質セラミックスによって 吸水し、全体に浸透させ、逆Ｕ字形状多孔質セラミックス内側周囲に位置する圧 縮機の放出する熱によって蒸発処理する構成となっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような従来の排水処理装置においては、大きな容量の排水 を蒸発処理するためには送風ファンにより強制通風させることによって蒸発を促 進することが必要となり、また送風ファンの容量が小さければ発生する排水を適 時に処理することができず、排水が溢れるようになり、従って、冷蔵庫の底面を 汚染する等の問題が惹起される。同時に、たびだび手動にて送風ファンを手入れ する必要が生じ、更に送風ファンの容量を大きくすれば冷蔵庫の嵩が大きくなる 等経済的に不利な問題が生ずる。

【０００５】 従って、本考案は、前記のような従来の問題点を解決するためになされたもの であって、簡便で効果的に圧縮機の運転熱を利用して排水を円滑に処理すること ができる排水処理装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題は冷蔵室の背面壁の内部に配設された排水通路管を介して排水を機械 室に誘導して圧縮機の運転熱により前記排水を蒸発処理する冷蔵庫の排水処理装 置であって、前記機械室の圧縮機のほぼ上方部に配設されるとともに排水通路管 の排水口から流下する排水を受ける撒水部材と、圧縮機と撒水部材間に設置され て該撒水部材により撒水される排水を受けるとともに下向き傾斜する傾斜面を有 する蒸発部材と、該蒸発部材の脚部を収容する溜め部とからなる本考案の排水処 理装置によって解決される。この排水処理装置において、前記蒸発部材は多孔質 セラミックス部材からなり、該蒸発部材の内部面、即ち、圧縮機と近接する面に は熱交換容量を大きくするために縦方向に凹凸が形成されており、その外部面に は吸収された水が迅速に乾燥されるべく、即ち、蒸発されるべく仕上げられた平 坦な多孔面を形成してある。

【０００７】 即ち、本考案の排水処理装置においては、冷蔵室の背面断熱壁の内部に配設さ れた複数個の排水誘導用排水管を機械室に設置された圧縮機の上部位置まで延長 せしめ、その上部位置に撒水部材を圧縮機の長さ方向に設置してある。該撒水部 材の底面は中央部が多少盛り上っており、その周辺部に向って傾斜する傾斜面が 形成されている。撒水部材の底面には多数個の孔が網目状に形成され、排水を均 等に撒水できるようになっている。撒水部材の下方には下向きに傾斜する蒸発部 材が設置されており、撒水部材から落下する排水は該蒸発部材上に撒水される。

【０００８】 更に、前記蒸発部材は、多孔質のセラミックス材にて形成され、前記撒水部材 と圧縮機との間に配置されている。前記蒸発部材は、撒水部材の下方から機械室 の底部に設置された溜め部まで傾斜面を形成してあることから、撒水された排水 は傾斜面に沿って圧縮機の放出する熱を吸収し迅速に蒸発され、又、蒸発されな かった排水は傾斜面に沿って溜め部まで流下する。該傾斜面は制限なく、水が流 下できる面であれば良い。

【０００９】 前記蒸発部材は、圧縮機に隣接する傾斜面の内面部は、縦方向に凹凸を形成す ることが好ましい。これによって、熱交換能力を増進させることができる。一方 、傾斜面の外面部は滑らかに仕上げた多孔質表面にて形成されていることから、 乾燥（蒸発能力）を最大化するようにされている。なお、該傾斜面の形状はこれ に制限されるものではなく、可及的に圧縮機のケーシングに対し一定の間隔をお いて曲面に形成されていればよい。

【００１０】 前記溜め部は、円筒形状であって、圧縮機の長さ方向に圧縮機軸とほぼ平行に 設置されるが、形状に制限はなく、前記蒸発部材の脚部を浸漬できる形状であれ ば良い。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面を参考にして詳細に説明する。

【００１２】 図１において、冷凍室１１と蒸発器室１４と冷蔵室１２とが中間壁１３により 夫々断熱処理された冷蔵庫１０が図示されている。

【００１３】 冷蔵室１２の背面の断熱壁面中央に排水導管１７が、蒸発器室１４の下部位置 から機械室１５内に設置された圧縮機１６の上方部天井の側部位置まで延長され 開口されている。排水導管１７の開口部の下方には、撒水部材３０がほぼ水平に 設置されており、該撒水部材３０と前記圧縮機１６との間に蒸発部材２０が下向 きに傾斜させて配置されており、該蒸発部材２０の脚部が溜め部５０に浸漬され ている。

【００１４】 図２において、排水導管１７は機械室１５の天井から下向きに多少突出してい る。

【００１５】 撒水部材３０は、排水導管１７の排出口に隣接して機械室１５の天井に固定さ れる。撒水部材３０の底部内面３１は、中央部が多少盛り上っており、周辺部に 向って傾斜する傾斜面が形成されている。また、この底部内面３１には、排水導 管１７からの排水を多数の方向に撒水するための撒水孔３２が多数穿孔されてい る。

【００１６】 蒸発部材２０は、多孔質のセラミックス材にて製造されており、胴体の側断面 が略“く”の字型に折曲げられ、水平方向傾斜部２１と垂直方向傾斜部２２とに 区分される。水平方向傾斜部２１は、撒水部材３０から撒水された排水を流下さ せるために所定の傾斜度で傾斜しているとともに、凝縮水を効果的に蒸発させる ために圧縮機１６の上方のなるべく近接した位置に配置される。

【００１７】 この時、水平部２１の傾斜度は、凝縮水の流下をなるべく遅延させ、蒸発時間 を十分に確保できるような勾配となっている。この勾配はほぼ５度乃至１０度が 適切である。垂直部２２は水平部２１から折曲げ下向きに傾斜して延長されてお り、端部が溜め部５０に収納されるようになっている。

【００１８】 また、蒸発部材２０は、ブラケット４０をその一側、又は、両側に有し、機械 室１５の側面壁に適切に固定される。

【００１９】 溜め部５０は、蒸発部材２０の垂直部２２が収容され得る幅と深さを有し、蒸 発部材２０によって蒸発されずに流下した排水を集水する。溜め部５０に溜まっ た排水は、蒸発部材２０の毛細管現象によって垂直部２２の下端部より更に吸収 され、圧縮機１６の放出熱によって蒸発せしめられる。

【００２０】 ここで、蒸発部材２０は、略“く”の字型に折曲げ図示されているが、これに 制限されるものではなく、排水が流下できる下向傾斜面を有したものであれば良 い。

【００２１】 図３において、前記蒸発部材２０の内面部すなわち、圧縮機１６と対面する面 ２３は、熱の保有能力を大きくするとともに表面積を増加させるために縦方向に 凹凸部が形成されており、また外面部は、水蒸気が迅速に乾燥されるように滑ら かに仕上げられた多孔質セラミックス材にて直線状に形成されている。

【００２２】 このように蒸発部材２０を形成することにより、製作が簡便なセラミックス材 の蒸発部材２０を得ることができる。

【００２３】 更に、図２に示すように、機械室１５の後部壁面には多数個の通気孔６０が穿 孔してあり、排水の蒸発により発生する多湿の水蒸気を外部に排出できるように なっている。

【００２４】

【考案の効果】

以上のように本考案の排水処理装置を構成することにより、冷蔵庫内に生成さ れる凝縮水や除霜水のような排水が、排水導管を通じて機械室上部に誘導され、 該排水導管の端部に設置される撒水装置から多孔質セラミックスの蒸発部材の傾 斜面に撒水されることにより、圧縮機１６の運転熱によって直ちに蒸発され、蒸 発部材２０の垂直部に設置された溜め部５０には、排水がほとんど溜まることが ない。

【００２５】 更に、圧縮機１６の前記蒸発部材２０と反対側の機械室背壁には、多数個の通 気孔６０が空気疎通を円滑にすべく穿設されており、排水の蒸発により発生する 多湿な水蒸気を迅速に外部へ排出することができ、従って、機械室の維持にも有 用なる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の排水処理装置が設置された冷蔵庫の縦
断面図である。

【図２】本考案の排水処理装置が設置された圧縮機室の
拡大縦断面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線断面図である。

【符号の説明】

１０ 冷蔵庫 １１ 冷凍室 １２ 冷蔵室 １３ 中間壁 １４ 蒸発器室 １５ 機械室 １６ 圧縮機 １７ 排水導管 ２０ 蒸発部材 ２１ 水平方向傾斜部 ２２ 垂直方向傾斜部 ３０ 撒水部材 ３２ 撒水孔 ４０ ブラケット ５０ 溜め部 ６０ 通気孔

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 冷蔵室の背面壁の内部に埋設された排水
   通路管により排水を機械室に誘導して、圧縮機の運転熱
   により排水を蒸発処理する冷蔵庫の排水処理装置におい
   て、 前記機械室の圧縮機のほぼ上方部に配設され、排水通路
   管の排水口から流下する排水を受けるとともに底面に撒
   水孔を有する撒水部材と、 該撒水部材と圧縮機との間に配設され、撒水部材から撒
   水される排水を受けるとともに下向き傾斜する傾斜面を
   有する蒸発部材と、 該蒸発部材の脚部を収容する支持部と、 を有することを特徴とする冷蔵庫の排水処理装置。
2. 【請求項２】 前記蒸発部材は多孔質セラミックス材か
   らなり、圧縮機と対面する該蒸発部材の内部面には熱交
   換容量を大きくするため縦方向に凹凸が形成されてお
   り、その外部面は吸収された水が迅速に乾燥されるべく
   仕上げられた平面に形成されていることを特徴とする請
   求項１に記載の排水処理装置。
3. 【請求項３】 前記蒸発部材は、圧縮機のケーシングの
   曲面に近接してこれらの隙間がほぼ均一になるように曲
   面にて形成されることを特徴とする請求項１又は請求項
   ２に記載の排水処理装置。
4. 【請求項４】 前記蒸発部材の縦断面が、ほぼくの字形
   状に形成されていることを特徴とする請求項３に記載の
   排水処理装置。
5. 【請求項５】 前記撒水部材の底面の中央部は盛り上っ
   ており、底面の外周部に向って傾斜面が形成されている
   ことを特徴とする請求項１に記載の排水処理装置。