JPH05174632A - 巻 線 - Google Patents

巻 線

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JPH05174632A
JPH05174632A JP35464291A JP35464291A JPH05174632A JP H05174632 A JPH05174632 A JP H05174632A JP 35464291 A JP35464291 A JP 35464291A JP 35464291 A JP35464291 A JP 35464291A JP H05174632 A JPH05174632 A JP H05174632A
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JP
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winding
solvent
wax
relay
paint
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JP35464291A
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English (en)
Inventor
Isao Kamioka
勇夫 上岡
Hironori Matsuura
裕紀 松浦
Akihiro Hayashi
昭宏 林
Norikimi Kaji
紀公 梶
Akira Motoyama
晃 本山
Shoichi Nagata
祥一 永田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Matsushita Electric Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 絶縁塗料用の溶剤として燃焼時に炭化しやす
い溶剤を使用することなく、高温雰囲気下で発生ガスが
少ない絶縁皮膜を形成し、かつ、揮発しにくい潤滑剤に
より潤滑膜を形成した巻線を提供すること。 【構成】 分子中にイミド結合またはイミド結合の前駆
体を有するポリマーまたはプレポリマーとグリコール系
溶剤を主成分とする塗料を導体上に塗布焼付した後、ワ
ックスを含む有機樹脂を主成分とする塗料を塗布焼付し
たことを特徴とする巻線。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、巻線に関し、さらに詳
しくは、リレー、特に密閉型リレーに好適な巻線に関す
る。
【0002】
【従来の技術】密閉型リレーは、接点、コイル等のリレ
ー部品が合成樹脂製や金属製のケース内に密封されたリ
レーである。密閉型リレーは、プリント基盤実装した
後、洗浄溶剤に浸漬して洗浄できること、金属製ケース
の場合には、特に高温高湿下等の厳しい環境下でも使用
可能であること、一般のリレーより接触信頼性が高いこ
と等の特徴を有していることから、通常より環境の過酷
な場所での使用や特に高度の信頼性が要求される場合に
採用されてきている。
【0003】ところが、密閉型リレーでは、コイル、接
点等のリレー部品がケース内に密封された状態で使用さ
れるため、高温下での使用によりリレー部品から有機ガ
スが発生すると、該有機ガスは、散逸せずに、接点の開
閉に伴うアークエネルギーにより燃焼炭化して接点に付
着堆積し、接点の接触抵抗を上昇させ、リレーの機能を
阻害することがある。
【0004】また、アーク放電に至らない微少な電流が
リレー接点に流れるときにも、貴金属接点の触媒作用に
より前記有機ガスが接点上で重合して粒状の絶縁性ポリ
マーを生成するため、接点の接触抵抗が上昇することが
ある。したがって、リレー用部品に使用される巻線、コ
イルボビン等には、高温下で有機ガスを発生しないこと
が要求されている。
【0005】一方、リレー用部品である巻線は、一般
に、導体、絶縁皮膜および潤滑膜から構成されている。
絶縁皮膜は、導体上に絶縁塗料を塗布・焼付することに
より形成される。絶縁塗料は、合成樹脂等の皮膜形成要
素と溶剤を含有しており、必要に応じて可塑剤や硬化
剤、顔料などが添加されている。
【0006】絶縁塗料に使用される合成樹脂としては、
例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルホル
マール、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリ
イミド等があり、これらはクレゾール、フェノール等の
フェノール類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルム
アミド等の塩基性溶剤、キシレン、アルキルベンゼン等
の芳香族炭化水素等の溶剤に溶解して使用されている。
これらの溶剤の大部分は、塗布・焼付時に揮発するが、
溶剤の一部は巻線の絶縁皮膜中に残留する。
【0007】潤滑膜は、絶縁被膜上に潤滑剤を塗布する
ことにより形成される。潤滑膜は、巻線をコイルに加工
する時に断線することなく、きれいに捲線するために設
けられているものである。潤滑剤としては、例えば、流
動パラフィン、固形パラフィン等のパラフィン類が使用
されている。
【0008】ところが、絶縁塗料用の溶剤であるフェノ
ール類、塩基性溶剤、芳香族炭化水素、および潤滑剤の
パラフィン類は、いずれも高温でガス化し、燃焼すると
炭化しやすいため、リレー接点に対し悪影響を及ぼす有
機物質である。
【0009】このため、従来、巻線皮膜中における溶剤
の残留量が少なく、潤滑剤の塗布量が少ない巻線の製造
が試みられて来たが、いまだ十分ではない。そこで、リ
レー製造時に巻線をコイル化した後、加熱真空処理する
ことにより、皮膜中の残留溶剤を中心とする揮発性物質
と潤滑剤を取り除いた密閉型リレーが製品化されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】現在、密閉型リレー
は、前記の巻線が使用され、加熱真空処理工程を経て製
品化されているが、課題として以下の事項がある。
【0011】(1)絶縁塗料として、フェノール系溶剤
の残存量が少なくなるよう製造したポリウレタン塗料、
あるいはポリウレタンをグリコール系溶剤に溶解した塗
料が使用されているが、ポリウレタンは、加熱温度が高
いと熱分解を起こしやすいため、巻線よりの発生ガスを
低減することが困難である。特に、高温雰囲気下用の密
閉型リレーには、ポリウレタン絶縁皮膜は不適当であ
る。
【0012】(2)ポリイミド系の耐熱材料は、高温雰
囲気下で熱分解を起しにくいが、絶縁塗料の溶剤として
リレー接点に悪影響を及ぼす塩基性溶剤が使用されてお
り、従来、リレー接点に対して影響を及ぼしにくいグリ
コール系溶剤を使用したものがない。
【0013】(3)潤滑剤のパラフィン類は、リレー製
造時の加熱真空処理によって完全には除去することがで
きない。
【0014】本発明の目的は、これらの諸課題を解決
し、絶縁塗料用の溶剤として燃焼時に炭化しやすい溶剤
を使用することなく、高温雰囲気下で発生ガスが少ない
絶縁皮膜を形成し、かつ、揮発しにくい潤滑剤により潤
滑膜を形成した巻線を提供することにある。
【0015】本発明者らは、前記目的を達成するために
鋭意研究した結果、絶縁塗料としてポリイミド系ポリマ
ーまたはプレポリマーをグリコール系溶剤を主成分とす
る溶剤に溶解した塗料を使用し、かつ、潤滑剤としてワ
ックスと有機樹脂とを反応またはブレンドした塗料を使
用することにより、炭化しやすい有機ガスの発生が顕著
に抑制された巻線の得られることを見いだし、その知見
に基づいて本発明を完成するに至った。
【0016】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、分子中にイミド結合またはイミド結合の前駆体を有
するポリマーまたはプレポリマーとグリコール系溶剤を
主成分とする塗料を導体上に塗布焼付した後、ワックス
を含む有機樹脂を主成分とする塗料を塗布焼付したこと
を特徴とする巻線が提供される。
【0017】以下、本発明について詳述する。本発明に
おいて使用する分子中にイミド結合またはイミド結合の
前駆体を有するポリマーまたはプレポリマーとは、グリ
コール系溶剤に可溶な分子中にイミド結合またはイミド
結合の前駆体を有するポリマーまたはプレポリマーであ
ればいかなるものでも使用可能であり、具体例として
は、グリコール系溶剤に可溶なポリイミド、ポリイミド
前駆体、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリ
エーテルイミド、ポリエステルアミドイミド、ポリエー
テルアミドイミド等が挙げられる。
【0018】これらの中でも、グリコール系溶剤に可溶
なポリイミドまたはポリイミド前駆体が熱安定性に優れ
ているため特に好ましい。その具体例としては、下記一
般式[1]で表されるポリイミドが挙げられる。
【0019】
【化1】 上記ポリイミドは、下記一般式[A]で表される芳香族
テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体と、下記一
般式[B]で表される芳香族ジアミンとから合成するこ
とができる。
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】一般式[A]で表される化合物としては、
例えば、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物また
はその誘導体、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二
無水物またはその誘導体、およびこれらの混合物などを
挙げることができる。
【0023】一般式[B]で表される化合物としては、
例えば、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル]エーテル、およびこれらの混合物な
どを挙げることができる。
【0024】これら一般式[A]または[B]で表され
る化合物は、その芳香族環の一部をハロゲン原子、アル
キル基、アルコシキ基等で置換したものも使用でき、本
発明の範囲内に含まれる。
【0025】一般式[A]または[B]で表される化合
物のほかに、グリコール系溶媒に可溶性となる範囲にお
いて、酸二無水物として、例えば、ピロメリット酸二無
水物またはその誘導体、ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物またはその誘導体、また、ジアミンとして、例え
ば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミ
ン、4,4−ジアミノジフェニルエーテル、3,4−ジ
アミノジフェニルエーテル、4,4−ジアミノジフェニ
ルスルホン、3,4−ジアミノジフェニルスルホン、
4,4−ジアミノジフェニルメタン等を併用することも
できる。
【0026】本発明において使用するグリコール系溶剤
とは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
チレングリコール等のグリコール類より製造される溶媒
であり、具体例としては、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、
エチレングルコールモノブチルエーテル、エチレングリ
コールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレング
リコールモノフェニルエーテル等のグリコール類;エチ
レングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレ
ングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレン
グリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレング
リコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレン
グリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレン
グリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレン
グリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコー
ル類のエステル化物;等が挙げられる。
【0027】これらの中でも、焼付作業性の観点から、
沸点が150〜200℃の範囲のものが好ましく、その
具体例としては、ジエチレングリコールモノメチルエー
テル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート等がある。
【0028】ポリイミドの合成は、周知の方法によって
行うことができる。例えば、有機溶剤と酸無水物成分と
を反応容器に仕込み、窒素置換しながらジアミン成分を
加え、0〜60℃、通常は室温で2〜24時間程度反応
を行うことによりポリアミド酸(ポリイミド前駆体)を
得ることができる。各成分をモノマー濃度5〜40重量
%とし、グリコール系溶剤中で合成すれば、本発明で使
用するポリイミド塗料が得られる。あるいは、N−メチ
ルピロリドン等の塩基性溶剤中で合成した後、ポリイミ
ド前駆体を回収して、グリコール系溶剤に溶解してもよ
い。ポリイミド塗料には、粘度の低下のため、トルエ
ン、キシレン、芳香族ナフサ等の希釈剤を加えることが
できる。
【0029】このようにして得られたポリイミド塗料を
導体上に塗布し、焼付することによりポリイミド皮膜を
有する絶縁電線を得ることができる。
【0030】本発明において使用するワックスを含む有
機樹脂とは、ワックスと有機樹脂を反応させたもの、あ
るいはワックスと有機樹脂をブレンドしたもので、塗布
焼付によりワックスを有機樹脂で物理的または化学的に
固定する。
【0031】ここでワックスとは、常温で固体または半
固体のアルキル基をもつ有機物であり、天然物から採取
した天然ワックス、および石油化学品から合成した合成
ワックスがある。
【0032】ワックスの具体例としては、キャンデリラ
ワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう
等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろう等の
動物系ワックス;モンタンワックスオゾケライト、セレ
シン等の鉱物系ワックス;パラフィンワックス、マイク
ロクリスタリンワックス等の石油ワックス;フィッシャ
ートロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成
炭化水素;モンタンワックス誘導体、パラフィンワック
ス誘導体などの変性ワックス;等がある。
【0033】有機樹脂は、ワックスを物理的または化学
的に固定するもので、具体例としては、アクリル樹脂、
フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹
脂、セラック樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ウ
レタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ
アミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミ
ド樹脂等がある。
【0034】ワックスと有機樹脂は、両者を反応させて
一体化して使用するか、あるいはブレンドして使用す
る。ワックスと有機樹脂を主成分とする塗料に使用する
溶剤としては、特に制限は無いが、グリコール系溶剤と
する方が好ましい。ワックスを含む有機樹脂を主成分と
する塗料は、皮膜厚1μm以下に塗布焼付するのが好ま
しい。皮膜厚1μm以上となると揮発成分が多くなり始
めるので、密閉型リレーに悪影響がでてくる可能性があ
る。
【0035】分子中にイミド結合またはイミド結合の前
駆体を有するポリマーまたはプレポリマーとグリコール
系溶剤を主成分とする塗料を導体上に塗布焼付する方法
は、通常の巻線を製造する方法と同様でよく、例えば、
ダイスまたはフェルトにより塗布した後、焼付炉にて硬
化する方法が取られる。
【0036】ワックスを含む有機樹脂を主成分とする塗
料もポリイミド塗料と同様の方法で塗布焼付することが
できるが、通常はフェルトで塗布する。焼付は、ポリイ
ミド塗料と同一の焼付炉で焼付してもよく、別の焼付炉
で条件を変えて焼付してもよい。
【0037】本発明では、導体上に絶縁皮膜と潤滑膜を
塗布焼付した後、得られた巻線を150℃で1時間加熱
することにより、有機ガスの発生量を測定した。発生ガ
ス量が巻線重量に対し0.5ppm以下であると、この
巻線を用いて作成されたリレーの信頼性が良好であると
評価できる。発生ガスは、約25ccのサンプルピンに
巻線サンプルを入れて密閉し、サンプルビンを所定の温
度で一定時間加熱した後、サンプルビン内に発生する有
機ガスをガスクロマトグラフィーにより定量する方法に
より測定する。
【0038】
【作用】本発明の巻線が密閉型リレー用に適している原
因としては、次のことが考えられる。本発明では、絶縁
皮膜を形成する材料として、溶剤がグリコール系である
分子中にイミド結合またはイミド結合の前駆体を有する
ポリマーまたはプレポリマーを用いるため、高温でガス
化し、燃焼すると炭化しやすいフェノール類、塩基性溶
剤、芳香族炭化水素などの溶剤を使用していない。ま
た、分子中にイミド結合またはイミド結合の前駆体を有
するポリマーまたはプレポリマーは、皮膜を形成した場
合、ポリウレタンより耐熱性が高く熱分解を起こしにく
いため、リレーの使用温度雰囲気が高くても使用でき
る。
【0039】巻線製造時の焼付温度もポリウレタンより
高く設定できるため、皮膜中に残留する溶剤が少なくな
り、リレーに使用した時、巻線より発生するガスをより
少なくすることができる。
【0040】従来、ポリイミドは、N−メチルピロリド
ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の
塩基性溶剤しか溶解しなかったが、前記一般式[1]で
表されるような柔軟な分子構造にすると、ポリイミドの
溶解性が向上してグリコール系溶剤に溶解することがで
きる。
【0041】さらに、常温で固体または半固体のワック
スを有機樹脂と反応またはブレンドした塗料を巻線皮膜
に塗布焼付することにより、ワックスを有機樹脂で化学
的または物理的に固定しているため、コイル巻線が加熱
されても従来と異なり潤滑剤であるワックスが揮発する
ことがなく、コイルに捲線加工する時の作業性も良好で
ある。
【0042】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例
のみに限定されるものではない。
【0043】[比較例1]グリコール系溶剤のポリウレ
タン塗料(オート化学社製、OPU−KA)を0.05
mmの銅導体上に皮膜厚0.003mmとなるように塗
布焼付した後、フェルトで流動パラフィンを少量塗布し
た。得られた巻線の特性を表1に示す。
【0044】[実施例1]3,3、4,4−ジフェニル
スルホンテトラカルボン酸二無水物17.9g(0.0
5モル)と、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]プロパン20.5g(0.05モル)を
ジエチレングリコールモノメチルエーテル154gに溶
解し、室温で6時間反応させた後、ジエチレングリコー
ルモノメチルエーテル576gを加えポリイミド前駆体
を含む塗料を得た。
【0045】エポキシ樹脂(油化シェル社製、エピコー
ト#1009)3.0g、安定化イソシアネート樹脂
(日本ポリウレタン社製、コロネート#2503)4.
3g、および平均分子量1000のポリエチレン2.0
gをジエチレングリコールモノメチルエーテル290g
とキシレン500gの混合溶剤に溶解させ、ワックスを
含む塗料を得た。
【0046】0.05mmの銅導体に上記ポリイミド塗
料を皮膜厚0.003mmとなるように塗布焼付した
後、上記ワックスを含む塗料を2回塗布焼付して巻線を
得た。得られた巻線の特性を表1に示す。
【0047】[実施例2]3,3、4,4−ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸二無水物16.1g(0.05モ
ル)と、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル
スルホン]21.6g(0.05モル)をジエチレング
リコールモノエチルエーテル151gに溶解し、室温で
6時間反応させた後、ジエチレングリコールモノエチル
エーテル565gを加えポリイミド前駆体を含む塗料を
得た。
【0048】ポリエステルオリゴマー(住友バイエルウ
レタン社製、デスモフェンD−800)5.3g、安定
化イソシアネート樹脂(日本ポリウレタン社製、コロネ
ート#2503)11.4g、およびカルナバワックス
6.7gを工業用クレゾール400gとキシレン380
gの混合溶剤に溶解させて、ワックスを含む塗料を得
た。上記の各塗料を用い、実施例1と同様にして巻線を
作製した。得られた巻線の特性を表1に示す。
【0049】[実施例3]3,3、4,4−ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸二無水物16.1g(0.05モ
ル)と、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル]プロパン20.5g(0.05モル)をジエ
チレングリコールモノメチルエーテル146gに溶解
し、室温で6時間反応させた後、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル550gを加えポリイミド前駆体を含
む塗料を得た。
【0050】イソシアネート(住友バイエルウレタン社
製、スミジュール44V)8.0g、長鎖アルキルカル
ボン酸ヘキストワックスS6.7g、およびクレゾール
11.0gを酢酸セロソルブ25gに溶解混合し、15
0℃で4時間反応させた後、エポキシ樹脂(油化シェル
社製、エピコート#1009)5.3g、エチレングリ
コールモノエチルエーテル500g、およびキシレン2
50gを加え溶解混合して、ワックスを反応させた塗料
を得た。上記の各塗料を用い、実施例1と同様にして巻
線を作製した。得られた巻線の特性を表1に示す。
【0051】[実施例4]3,3、4,4−ジフェニル
スルホンテトラカルボン酸二無水物17.9g(0.0
5モル)の代わりに、3,3、4,4−ジフェニルスル
ホンテトラカルボン酸二無水物14.3g(0.04モ
ル)とピロメリット酸二無水物2.2g(0.01モ
ル)を用いた以外は実施例1と同様にして巻線を作製し
た。得られた巻線の特性を表1に示す。
【0052】[実施例5]ビス[4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニルスルホン]21.6g(0.05モ
ル)の代わりに、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)
フェニルスルホン]13.0g(0.03モル)とジア
ミノジフェニルエーテル4.0g(0.02モル)を用
いた以外は実施例2と同様にして巻線を作製した。得ら
れた巻線の特性を表1に示す。
【0053】[実施例6]実施例1〜5と比較例1〜2
で得られた各巻線を4gづつ取り、25mlのサンプル
ビンに入れて密封した。各サンプルを150℃または1
80℃に1時間加熱した後、サンプルビンのガスを抜き
取り、ガスクロマトグラフィーにてガス量を定量した。
結果を併せて表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】[実施例7]実施例1で得た巻線と、通常
のピロリドン系溶剤を用いた絶縁塗料を塗布焼付した巻
線(サイズ0.030mmφ)を使用し、巻線単位での
信頼性評価を図1に示す方法により、下記の試験条件で
行った。図1に示すように、ガラスケース(4)の中に
評価材料の巻線(1)と供試リレー(3)を入れ、黄銅
製のフタ(2,2)で上下開口部を密閉し、全体を恒温
槽の中にいれて一定温度に保持するようにしてある。 通電条件 : DC10V、10mA、2Hz 開閉回数 : 100万回 雰囲気温度: 85℃
【0056】コイル通電後100mS後の図1中のリレ
ー(3)の接点抵抗の変化量(テスト後の接触抵抗−初
期の接触抵抗)を測定した結果を図2〜3に示した。図
2は、通常のピロリドン系溶剤を用いた絶縁塗料を塗布
焼付した従来の巻線に関するデータであり、図3は、実
施例1で得た本発明の巻線に関するデータである。この
結果より、本願発明の巻線は、上記の試験条件におい
て、有機ガスの発生量が接点にほとんど障害を及ぼさな
いレベルにまで低減していることが確認できた。
【0057】[実施例8]実施例7で使用した2種の巻
線を用いて密閉型リレーを作製し、リレーの寿命を下記
のテスト条件で評価した。 通電条件 : DC10V、10mA、2Hz 雰囲気温度: 85℃ 開閉回数 : 200万回(従来品)、780万回(本
発明品) 寿命判定 : コイル通電後100mSの接触抵抗(C
R)を測定し、接触抵抗の増加(テスト後−初期値=Δ
CR)が100mΩを越えると不良とする。
【0058】結果を図4に示した。図4中、1は従来品
を示し、2は本発明品を示す。不良率5%での不良発生
回数(信頼度95%)の測定値は、従来品が17万で、
本発明品は190万であった。この結果より信頼度95
%の寿命は、従来品で17万回、本願発明品で190万
回であり、本発明品は従来品の10倍以上となった。
【0059】
【発明の効果】本発明の巻線は、絶縁皮膜が熱安定性に
優れ、ワックスが焼付により有機樹脂に固定されている
ことにより加熱した時の発生ガス量が少なく、しかも絶
縁塗料の溶剤がグリコール系溶剤であり、リレー接点に
影響を及ぼしにくいので、密閉型リレー用巻線として好
適である。また、本発明の巻線は、材料単体での信頼性
評価、および実際のリレーでの寿命評価においても、従
来品と比較して、有機ガスによる接点障害が大幅に改善
されることが確認されており、その工業的価値は大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】巻線単体での信頼性評価法を示す模式図であ
る。
【図2】従来品の信頼性評価結果を示すグラフである。
【図3】本発明品(実施例1の巻線)の信頼性評価結果
を示すグラフである。
【図4】接点活性化試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 評価材料(巻線) 2 黄銅のフタ 3 供試リレー 4 ガラスケース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 昭宏 愛知県名古屋市南区菊住1丁目7番10号 住友電気工業株式会社名古屋製作所内 (72)発明者 梶 紀公 大阪府門真市大字門真1048 松下電工株式 会社内 (72)発明者 本山 晃 大阪府門真市大字門真1048 松下電工株式 会社内 (72)発明者 永田 祥一 大阪府門真市大字門真1048 松下電工株式 会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中にイミド結合またはイミド結合の
    前駆体を有するポリマーまたはプレポリマーとグリコー
    ル系溶剤を主成分とする塗料を導体上に塗布焼付した
    後、ワックスを含む有機樹脂を主成分とする塗料を塗布
    焼付したことを特徴とする巻線。
  2. 【請求項2】 分子中にイミド結合またはイミド結合の
    前駆体を有するポリマーまたはプレポリマーがポリイミ
    ドまたはポリイミド前駆体である請求項1記載の巻線。
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