JP2014017257A - 絶縁電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、機械的特性、耐油性等を維持したまま低誘電率化を図り、部分放電開始電圧の高い絶縁電線を提供する。
【解決手段】2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、フルオレンジアミン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、或いはそれらの異性体から選択される少なくとも1つからなる3つ以上のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類及び2つ以下のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類からなる芳香族ジアミン成分と、芳香族ジイソシアネート成分と、芳香族トリカルボン酸無水物を有する酸成分とを溶剤を用いて溶液重合させてなるポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を、導体上あるいは他の絶縁皮膜上に塗布、焼付して皮膜が形成されており、前記皮膜は、比誘電率が3.5以下で耐軟化温度が390℃以上である絶縁電線である。
【選択図】図1

Description

本発明は特に、耐部分放電開始電圧の高い絶縁電線に関するものである。
近年、省エネを背景にハイブリッド自動車が普及し始め、燃費改善や動力性能向上のため、使用されるモータはインバータ駆動され、小型、軽量化、高耐熱化、高電圧駆動化が急速に進んでいる。
現在このモータのコイルに使用されるエナメル線は、小型、軽量化、高耐熱化というモータ性能の要求に応えるため、優れた耐熱性や過酷なコイル成形に耐えうる機械的特性、あるいは耐ミッションオイル性等を兼ね備えたポリアミドイミドエナメル線が不可欠となっている。但し、耐ミッションオイル性についてはオイル添加剤の種類や量によって絶縁保持性に大きく影響するが、オイル添加剤の影響を除けば含水による加水分解性が耐ミッションオイル性に直結する。
このポリアミドイミドエナメル線の皮膜に用いられるポリアミドイミド樹脂絶縁塗料は、一般にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)やN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルイミダゾリジノン(DMI)等の極性溶媒中にて、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とトリメリット酸無水物(TMA)との主に2成分による脱炭酸反応により、アミド基とイミド基がほぼ半々の比率で生成され、耐熱性と機械的特性、耐加水分解性などに優れた特性を示す耐熱高分子樹脂である。
ポリアミドイミド樹脂絶縁塗料の製造としては、例えばイソシアネート法や酸クロライド法などが知られているが、製造生産性の観点から、一般的にはイソシアネート法が用いられている。ポリアミドイミドの例としては4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と、酸成分としてトリメリット酸無水物(TMA)との主に2成分の合成反応によるものが最も良く知られている。
また、ポリアミドイミド樹脂の特性改質を行うために、BAPPとTMAとを50/100〜80/100の酸過剰下で反応させた後、MDIでポリアミドイミド樹脂を合成する方法がある(特許文献1参照)。
一方、モータの高電圧駆動化に対しては、インバータサージの重畳とあいまって、部分放電が発生するリスクが高まり、インバータサージ絶縁の対応が困難になってきているが、ポリアミドイミド樹脂絶縁塗料からなる皮膜の欠点の一つに、誘電率が高いことが上げられ、樹脂構造的にはアミド基とイミド基の存在が最も誘電率上昇の影響を与えている。ポリアミドイミド樹脂絶縁塗料は、他のエナメル樹脂絶縁塗料、例えばポリエステルやポリエステルイミドと比較すると耐熱性や機械的特性、加水分解性、耐油性は格段に優れているが、誘電率が高く部分放電開始電圧は低い。なお、ポリイミド樹脂絶縁塗料などは、耐熱性は高いが、耐摩耗性や加水分解性が劣り、コイル巻き加工性に関わる機械的特性や耐ミッションオイル性等はポリアミドイミドに劣る結果となる。
絶縁電線、特にモータのコイルに用いられるエナメル線においては、モータが高効率化のためインバータ駆動されることが多くなっており、過大な電圧(インバータサージ)の発生により、部分放電劣化を起こし、絶縁破壊に至るケースが多くなっている。また、モータ駆動電圧も上昇する傾向があり、部分放電が発生するリスクは更に高くなってきている。
従って、誘電率の低いポリアミドイミド樹脂絶縁塗料が出来れば、高電圧駆動化にも対応が出来る耐部分放電性に優れたエナメル線が提供できることになる。
この部分放電に対する課電寿命を向上させる手法として、オルガノシリカゾルを樹脂溶液中に分散させて得た耐部分放電性樹脂塗料を導体上に被覆して製造した耐部分放電性エナメル線が開示されている(例えば特許文献2、3参照)。
このようなオルガノシリカゾルを樹脂溶液中に分散させてなる耐部分放電性樹脂塗料では、オルガノシリカゾルと樹脂溶液との溶解性が耐部分放電性の向上に大きく寄与するが、数種類のモノマーを共重合することでオルガノシリカゾルとポリアミドイミド樹脂塗料などからなる樹脂溶液との溶解性が向上することも示されている(特許文献4参照)。
もう一つの手法として、エナメル線の線間の電界(線間に存在する空気層に加わる電界)を緩和して部分放電を発生にくくし、課電寿命を向上させる方法がある。
その方法としてエナメル線の表面に導電性あるいは半導電性を帯びさせることにより電界緩和する方法と、絶縁皮膜の誘電率を低下させて、電界緩和させる方法がある。
特開2004−204187号公報 特開2006−302835号公報 特許第2897186号公報 特許第3496636号公報
エナメル線の表面に導電性あるいは半導電性を帯びさせる方法では、コイル巻き加工時の傷発生が起こり易く絶縁特性が低下してしまうことや、端末部絶縁処理を施さなければならないなど問題が多く、実用性は低い。
一方、皮膜の誘電率を低下させる方法では、低誘電率化が樹脂構造に依存することから、耐熱性や機械的特性などに弊害をもたらすことが一般的であり、いずれの手法でも大幅な改善は困難であった。
また特許文献1の方法にて合成したポリアミドイミド樹脂絶縁塗料は、エナメル線の皮膜として用いた場合、耐軟化温度が低いという欠点があった。
耐軟化温度が低いとモータが過負荷となって瞬時的に高温に曝された時、短絡する可能性が高くなる。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、耐熱性、機械的特性、耐油性等を維持したまま低誘電率化を図り、部分放電開始電圧の高い絶縁電線を提供することにある。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、フルオレンジアミン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、或いはそれらの異性体から選択される少なくとも1つからなる3つ以上のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類及び2つ以下のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類からなる芳香族ジアミン成分と、芳香族ジイソシアネート成分と、芳香族トリカルボン酸無水物を有する酸成分とを溶剤を用いて溶液重合させてなるポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を、導体上あるいは他の絶縁皮膜上に塗布、焼付して皮膜が形成されており、前記皮膜は、比誘電率が3.5以下で耐軟化温度が390℃以上であることを特徴とする絶縁電線である。
本発明によれば、MDIとTMAとの合成からなる汎用的ポリアミドイミドエナメル線と同等の特性を維持、特に耐軟化温度を低下せずに、低誘電率化により部分放電開始電圧を向上させた皮膜を得ることができる。
本発明のポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を塗布した電線を示す図である。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、芳香族ジアミン成分と、芳香族トリカルボン酸無水物からなる酸成分とを過剰下で反応させ、酸無水物とアミンの脱水閉環反応によりイミド化して生成された両末端カルボン酸の芳香族イミドプレポリマーを冷却後、芳香族ジイソシアネート成分を投入し、ジカルボン酸とジイソシアネートの脱炭酸反応によりアミド結合を生成して成るものであり、ポリアミドイミド樹脂絶縁塗料のモノマーに、3つ以上のベンゼン環を有する芳香族ジアミンと2つ以下のベンゼン環を有する芳香族ジアミンとを併用した芳香族ジアミン成分を用い、ポリアミドイミド樹脂の誘電率上昇に最も影響を与えているアミド基とイミド基のポリマー中の存在比率を低下させることで誘電率を低減したもので、耐熱性等に優れたポリアミドイミド樹脂絶縁塗料とすることができる。
本発明に用いるポリアミドイミド樹脂絶縁塗料は、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)等の極性溶媒を主溶剤とし、溶液重合を行なう。
主溶媒であるNMPの他に、γ−ブチロラクトンやDMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMI(ジメチルイミダゾリジノン)、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどのポリアミドイミド樹脂の合成反応を阻害しない溶剤を併用して合成しても良いし、希釈しても良い。また希釈用途として芳香族アルキルベンゼン類などを併用しても良い。但し、ポリアミドイミド樹脂の溶解性を低下させる恐れがある場合は考慮する必要がある。
芳香族ジアミン成分としては、3つ以上のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類と2つ以下のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類を併用する。
3つ以上のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類としては、2,2−ビス[4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル(BAPE)、フルオレンジアミン(FDA)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、或いはそれらの異性体から選択される少なくとも1つを使用することができる。
また、2つ以下のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DPE)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(DAM)、1,2−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノベンゼン、或いはそれらの異性体から選択される少なくとも1つを使用することができる。
これらの芳香族ジアミン類に、ハロゲン元素を含む芳香族ジアミン類などを必要に応じ併用しても良い。場合によっては、脂環式ジアミン類、シラン系ジアミン類も併用することは可能である。
またジアミン類をもとにホスゲンを使用してジイソシアネート類を製造することは一般的で且つ工業的に可能であり、上記列挙したジアミン類の全てあるいは一部をジイソシアネート類に代えて使用することも出来る。全てをジイソシアネート類に代えた場合は2段階合成を用いず、第2段目合成で使用するMDIと一度に混合し、1段の脱炭酸反応で合成することも可能である。一部を代えた場合は第2段目合成で使用するMDIと混合し、合成することも可能である。
芳香族ジイソシアネート成分としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,2−ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]プロパン(BIPP)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、ジフェニルスルホンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート及び異性体、多量体が例示される。また、必要に応じて、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシシレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、或いは上記例示した芳香族ジイソシアネートを水添した脂環式ジイソシアネート類及び異性体も使用、併用しても良い。
酸成分としては、トリカルボン酸無水物としてTMA(トリメット酸無水物)がある。その他ベンゾフェノントリカルボン酸無水物など芳香族トリカルボン酸無水物類も使用することは可能であるが、TMAが最も好適である。
TMAとともにテトラカルボン酸二無水物類とを併用することも可能である。テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が例示され、また必要に応じ、ブタンテトラカルボン酸二無水物や5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、或いは上記例示した芳香族テトラカルボン酸二無水物を水添した脂環式テトラカルボン酸二無水物類等を併用しても良い。
脂環構造原料を併用すると誘電率低減や樹脂組成物の透明性向上に効果が期待されるため、必要に応じ併用しても良いが、耐熱性低下を招く恐れがあるため、配合量や化学構造には配慮が必要である。
3つ以上のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類と2つ以下のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類との配合比率は、(3つ以上のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類)/(2つ以下のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類)=99/1〜30/70(モル比)が適正範囲であるが、望ましくは、(3つ以上のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類)/(2つ以下のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類)=70/30〜40/60(モル比)の範囲が良い。3つ以上のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類の配合比が、99(モル比)よりも多くなると、誘電率の低減効果は大きくなるものの耐軟化温度が低下してしまう場合がある。また、2つ以下のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類の配合比が、70(モル比)よりも多くなると、耐軟化温度が向上する傾向となるものの誘電率が高くなってしまうことや、1段目のイミド化反応時に溶解性が低下してしまう場合があり、好ましくない。
3つ以上のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類と2つ以下のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類とを併用した芳香族ジアミン成分とTMAの比率については特に限定しないが、第1段目合成で使用される3つ以上のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類と2つ以下のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類、及び必要に応じて他のジアミン類を用いた全ジアミン成分の配合比と、TMA及び必要に応じ用いた他のテトラカルボン酸二無水物類を併せた全酸成分の配合比とは、アミンと無水酸とがイミド化反応に必要な等量が最も望ましい。この比率を外れた場合、2段目の合成時に副反応を引き起こすアミノ基等が残ってしまい、最終的にポリアミドイミド樹脂絶縁塗料の特性が悪化するため、配慮が必要である。
一般的なMDIとTMAとを用いたポリアミドイミド樹脂絶縁塗料においては、MDIとTMAとほぼ等量で合成するが、イソシアネート成分については1〜1.05の範囲で過剰合成されることもある。本発明の第2段目のMDIの配合比率についても特に限定はないが、1段目で合成されたイミドジカルボン酸とジイソシアネート類総量とは等量が望ましい。なお、1段目と同様にイソシアネートの微過剰配合を行なっても良い。
比誘電率は、低いほど望ましいが、インバータサージ絶縁(耐部分放電性)に有効性を発揮するためには、3.5以下が望ましい。
ポリアミドイミド樹脂絶縁塗料の合成時においては、アミン類やイミダゾール類、イミダゾリン類などの反応触媒を使用しても良いが、塗料の安定性を阻害しないものが望ましい。合成反応停止時にはアルコールなどの封止剤を用いても良い。
実施例1〜7及び比較例2〜3はジアミン成分(芳香族ジアミン成分)を用いたポリアミドイミド樹脂絶縁塗料の合成であり、下記のように2段階の合成を実施した。
撹拌機、還流冷却管、窒素流入管、温度計を備えたフラスコを用意し、第1段目の合成反応として、実施例1〜7及び比較例2〜3に示すジアミン成分と、酸成分、及び溶剤の約50〜80%を投入し、窒素雰囲気中で撹拌しながら約1時間で180℃まで加熱し、脱水反応により生成された水を系外に出しながら、この温度で4時間反応させた。窒素雰囲気を維持したまま60℃まで冷却した後、ジイソシアネート成分と残りの溶剤を投入し、第2段目の合成反応として、窒素雰囲気中で撹拌しながら約1時間で140℃まで加熱し、還元粘度が約0.5dl/gのポリアミドイミド樹脂溶液が得られるように、この温度で2時間反応させて作製した。
比較例1はジイソシアネート成分のみを用いた一般のポリアミドイミド樹脂絶縁塗料の合成であり、下記のように実施した。
撹拌機、還流冷却管、窒素流入管、温度計を備えたフラスコに比較例1に示す原料及び溶剤を一度に投入し、窒素雰囲気中で撹拌しながら約1時間で140℃まで加熱し、還元粘度が約0.5dl/gのポリアミドイミド樹脂溶液が得られるように、この温度で2時間反応させて作製した。
また前記ポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を0.8mmの銅導体上に塗布、焼付けし、皮膜厚45μmのエナメル線を得た。
図1は本発明に係るポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を塗布した電線を示す図である。
導体1上にポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を塗布、焼付けすることにより導体1の周囲に絶縁体の皮膜2が得られる。
なお、導体1の直上に他の絶縁皮膜を形成し、その上に本発明のポリアミドイミド樹脂絶縁塗料からなる皮膜2を形成してもよい。このとき、他の絶縁皮膜は、耐部分放電性或いは一般特性を阻害しないものであれば特に限定されるものではない。
実施例及び比較例における性状、得られたエナメル線の特性等について、表1に示す。

表1におけるエナメル線の特性、特に、寸法、可とう性、耐摩耗性、耐熱性、及び耐軟化温度については、JIS C 3003に準拠した方法で測定した。
耐加水分解性は、内容積400mLの耐熱ガラス管に0.4mLの水と対撚りしたエナメル線を投入した後、バーナー等で加熱溶融させ封じ、密封させたものを140℃の恒温槽中で1000h処理した後取り出し、絶縁破壊電圧を測定、未処理の絶縁破壊電圧に対する残率を算出した。
比誘電率は、エナメル線表面に金属電極を蒸着し、導体と金属電極間の静電容量を測定し、電極長と皮膜厚の関係から比誘電率を算出した。静電容量の測定はインピーダンスアナライザを用いて、1kHzにて測定した。乾燥時の誘電率は100℃の恒温槽中において、吸湿時の誘電率は、25℃−50%RHの恒温恒湿槽中にて、50h放置した後、その槽内で測定を行なった。
部分放電開始電圧は、25℃−50%RHの恒温恒湿槽中にて、50h放置した後、50Hzにて検出感度10pCでの放電開始電圧を測定した。
(実施例1)
第1段目の合成として、BAPPを184.5g(0.45モル)、4,4’−DPEを10.0g(0.05モル)とTMAを192.0g(1.0モル)及び溶剤として1000gのNMPを投入して、180℃で系外に水を出しながら合成を行い、窒素雰囲気を維持したまま60℃まで冷却した後、第2段目の合成として、芳香族ジイソシアネート成分として127.5g(0.505モル)のMDI及び溶剤として500gのNMPを投入して、140℃で合成を行い、還元粘度が約0.5dl/g、樹脂分濃度が約25重量%のポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を得た。
(実施例2)
第1段目の合成として、BAPPを143.0g(0.35モル)、4,4’−DPEを30.0g(0.15モル)とTMAを192.0g(1.0モル)及び溶剤として1000gのNMPを投入して、180℃で系外に水を出しながら合成を行い、窒素雰囲気を維持したまま60℃まで冷却した後、第2段目の合成として、芳香族ジイソシアネート成分として127.5g(0.505モル)のMDI及び溶剤として450gのNMPを投入して、140℃で合成を行い、還元粘度が約0.5dl/g、樹脂分濃度が約25重量%のポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を得た。
(実施例3)
第1段目の合成として、BAPPを102.5g(0.25モル)、4,4’−DPEを50.0g(0.25モル)とTMAを192.0g(1.0モル)及び溶剤として1000gのNMPを投入して、180℃で系外に水を出しながら合成を行い、窒素雰囲気を維持したまま60℃まで冷却した後、第2段目の合成として、芳香族ジイソシアネート成分として127.5g(0.505モル)のMDI及び溶剤として400gのNMPを投入して、140℃で合成を行い、還元粘度が約0.5dl/g、樹脂分濃度が約25重量%のポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を得た。
(実施例4)
第1段目の合成として、BAPPを61.5g(0.15モル)、4,4’−DPEを70.0g(0.35モル)とTMAを192.0g(1.0モル)及び溶剤として1000gのNMPを投入して、180℃で系外に水を出しながら合成を行い、窒素雰囲気を維持したまま60℃まで冷却した後、第2段目の合成として、芳香族ジイソシアネート成分として127.5g(0.505モル)のMDI及び溶剤として350gのNMPを投入して、140℃で合成を行い、還元粘度が約0.5dl/g、樹脂分濃度が約25重量%のポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を得た。
(実施例5)
第1段目の合成として、BAPPを102.5g(0.25モル)、4,4’−DPEを30.0g(0.15モル)、3,4’−DPEを20.0g(0.10モル)とTMAを192.0g(1.0モル)及び溶剤として1000gのNMPを投入して、180℃で系外に水を出しながら合成を行い、窒素雰囲気を維持したまま60℃まで冷却した後、第2段目の合成として、芳香族ジイソシアネート成分として127.5g(0.505モル)のMDI及び溶剤として400gのNMPを投入して、140℃で合成を行い、還元粘度が約0.5dl/g、樹脂分濃度が約25重量%のポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を得た。
(実施例6)
第1段目の合成として、4,4’−DPEを30.0g(0.15モル)、3,4’−DPEを20.0g(0.10モル)とTMAを96.0g(0.5モル)及び溶剤として450gのγ−ブチロラクトンと550gのNMPを投入して、180℃で系外に水を出しながら合成を行い、窒素雰囲気を維持したまま60℃まで冷却した後、第2段目の合成として、芳香族ジイソシアネート成分として127.5g(0.505モル)のMDI、115.5g(0.25モル)のBIPP(2,2−ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]プロパン)とTMAを96.0g(0.5モル)及び溶剤として450gのNMPを投入して、140℃で合成を行い、還元粘度が約0.5dl/g、樹脂分濃度が約25重量%のポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を得た。
(実施例7)
第1段目の合成として、BAPPを102.5g(0.25モル)、4,4’−DPEを50.0g(0.25モル)、4,4’−DDSを6.2g(0.03モル)とTMAを182.4g(0.95モル)、PMDAを10.9g(0.05モル)及び溶剤として1000gのNMPを投入して、180℃で系外に水を出しながら合成を行い、窒素雰囲気を維持したまま60℃まで冷却した後、第2段目の合成として、芳香族ジイソシアネート成分として95.6g(0.38モル)のMDI、17.7g(0.10モル)のTDI及び溶剤として400gのNMPを投入して、140℃で合成を行い、還元粘度が約0.5dl/g、樹脂分濃度が約25重量%のポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を得た。
(比較例1)
芳香族ジイソシアネート成分として255.0g(1.02モル)のMDI、芳香族トリカルボン酸無水物として192.0g(1.0モル)のTMA及び溶剤として1300gのNMPを投入し、140℃で合成を行い、還元粘度が約0.5dl/g、樹脂分濃度が約25重量%のポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を得た。
(比較例2)
第1段目の合成として、BAPPを205.0g(0.50モル)とTMAを192.0g(1.0モル)及び溶剤として1100gのNMPを投入して、180℃で系外に水を出しながら合成を行い、窒素雰囲気を維持したまま60℃まで冷却した後、第2段目の合成として、芳香族ジイソシアネート成分として127.5g(0.505モル)のMDI及び溶剤として450gのNMPを投入して、140℃で合成を行い、還元粘度が約0.5dl/g、樹脂分濃度が約25重量%のポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を得た。
(比較例3)
第1段目の合成として、BAPPを41.0g(0.10モル)、4,4’ −DPEを80.0g(0.40モル)とTMAを192.0g(1.0モル)及び溶剤として1000gのNMPを投入して、180℃で系外に水を出しながら合成を行ったが析出が生じ、その後のエナメル線の特性は測定できなかった。
表1より、実施例1〜7のポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を用いたエナメル線では、誘電率が低く、従来よりも部分放電開始電圧は70〜100V程度向上することが確認された。一般特性は良好で、遜色ないレベルであった。
これに対し、比較例1は汎用的に用いられているポリアミドイミドエナメル線を示すものであるが、可とう性、耐摩耗性、耐熱性、耐加水分解性はいずれも良好であるが、比誘電率が高く、部分放電開始電圧が低い。
また、2つ以下のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類を併用しない配合の比較例2では、軟化温度が360℃程度であり、汎用的に用いられるポリアミドイミド樹脂絶縁塗料からなる皮膜を有するエナメル線に比べて軟化温度が低くなってしまう。
また、2つ以下のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類の配合比率をモル比で70よりも増やした比較例3では、溶解性が悪化し、1段目の合成の段階で析出してしまった。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1 導体
2 皮膜

Claims (1)

  1. 2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、フルオレンジアミン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、或いはそれらの異性体から選択される少なくとも1つからなる3つ以上のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類及び2つ以下のベンゼン環を有する芳香族ジアミン類からなる芳香族ジアミン成分と、芳香族ジイソシアネート成分と、芳香族トリカルボン酸無水物を有する酸成分とを溶剤を用いて溶液重合させてなるポリアミドイミド樹脂絶縁塗料を、導体上あるいは他の絶縁皮膜上に塗布、焼付して皮膜が形成されており、前記皮膜は、比誘電率が3.5以下で耐軟化温度が390℃以上であることを特徴とする絶縁電線。
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