JPH0517400A - 高純度カルボン酸フエニルエステル類の製造方法 - Google Patents

高純度カルボン酸フエニルエステル類の製造方法

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JPH0517400A
JPH0517400A JP3257709A JP25770991A JPH0517400A JP H0517400 A JPH0517400 A JP H0517400A JP 3257709 A JP3257709 A JP 3257709A JP 25770991 A JP25770991 A JP 25770991A JP H0517400 A JPH0517400 A JP H0517400A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】本発明は、種々の分野で要求される高い純度を
有するカルボン酸フェニルエステル類の製造方法を提供
する。 【構成】一般式(I)の芳香族ヒドロキシ化合物とカル
ボン酸無水物を反応させてカルボン酸フェニルエステル
類を製造する方法において、芳香族ヒドロキシ化合物1
00重量部に対して0.01重量部以上の三級アミン類
を存在させることを特徴とする高純度カルボン酸フェニ
ルエステル類の製造方法。 (Rはハロゲン、炭素数1〜5のアルキル基、またはフ
ェニル基であり、m、nは0〜2の整数である。なお、
mが2の場合、Rは互いに異なった基でもよい。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高分子合成の際のモノマ
―として好適に使用されるほか、医農薬の製造原料とし
ても使用できる、種々の分野で要求される高い純度を有
するカルボン酸フェニルエステル類の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電気、電子分野、オフィス・オ―トメ―
ション(OA)、オ―ディオ・ビジュアル(AV)分
野、自動車産業などの各産業分野における最近の技術進
歩は目ざましく、これらの新しい分野で利用される高分
子材料には、高強度、高耐熱といった高い性能が要求さ
れている。特にリレ―部品、コイルボビン、コネクタ―
などの電子部品においては、小型化、薄肉化が進むとと
もに、高寸法精度、高強度、高剛性、高ハンダ耐熱性、
優れた薄肉成形性などの高度な性能が要求されており、
これらの要求を満足する高分子材料として、芳香族ポリ
エステルが好適に使用されている。芳香族ポリエステル
のなかでも、特に溶融液晶性ポリエステルは優れた薄肉
成形加工性を有し、電子部品材料として急速に普及しつ
つある。
【0003】ところで、芳香族ポリエステルの製造方法
としては、アセチル化法、フェニルエステル化法および
酸クロライド法などが公知であるが、たとえば、溶融液
晶性ポリエステルの場合、アセチル化法にて高沸点溶媒
を用いる溶液重合、実質的に溶媒を用いない溶融重合に
より製造されることが多い。アセチル化法の場合、モノ
マ―の一成分である芳香族ヒドロキシ化合物は無水酢酸
との反応により酢酸エステル類に誘導されたのち、脱酢
酸反応によりポリマ―が重合される。芳香族ヒドロキシ
化合物の酢酸エステル類への誘導は、一般にヒドロキシ
ル基1.0モルに対し1.1モル程度の過剰の無水酢酸
を芳香族ヒドロキシ化合物に加え、無水酢酸還流下で反
応を進めることにより行われる。
【0004】ところが、一般式 化2で表される芳香族
ヒドロキシ化合物と無水酢酸を反応させて酢酸フェニル
エステル類を製造した場合、ベンゼン核の水素がアセチ
ル化されるなどの副反応が起こったり、反応の後半で反
応物が着色するなどの問題があった。
【0005】
【化2】 (ただし、Rはハロゲン、炭素数1〜5のアルキル基、
またはフェニル基であり、m、nは0〜2の整数であ
る。なお、mが2の場合、Rは互いに異なった基でもよ
い。)
【0006】従って、該方法にて芳香族ポリエステルの
モノマ―として使用するに十分な高純度の酢酸フェニル
エステル類を得ることはできず、対応する繰り返し構造
単位を有する芳香族ポリエステルを、アセチル化法にて
重合した場合、十分に分子量が上がらない、色調が悪い
などの問題があり、実用に耐えうるポリマ―の合成は極
めて困難であった。
【0007】無水酢酸のほかのカルボン酸無水物を用い
た場合も同様である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、一般式 化2で表される芳香族ヒド
ロキシ化合物とカルボン酸無水物との反応において、カ
ルボン酸フェニルエステル類が高収率で得られる触媒に
ついて鋭意検討した結果、三級アミン類がカルボン酸フ
ェニルエステル類生成の著しく優れた選択活性触媒であ
ること、すなわち三級アミン類存在下であれば副生成物
はほとんど生じないことを見出し、本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明は、一般式 化3で表さ
れる芳香族ヒドロキシ化合物とカルボン酸無水物を反応
させてカルボン酸フェニル類を製造する方法において、
芳香族ヒドロキシ化合物100重量部に対して0.01
重量部以上の三級アミン類を存在させることを特徴とす
る高純度カルボン酸フェニルエステル類の製造方法に関
するものである。
【0010】
【化3】 (ただし、Rはハロゲン、炭素数1〜5のアルキル基、
またはフェニル基であり、m、nは0〜2の整数であ
る。なお、mが2の場合、Rは互いに異なった基でもよ
い。)
【0011】また、該芳香族ヒドロキシ化合物の代表例
として、一般式 化4で表される化合物を挙げることが
できる。
【0012】
【化4】
【0013】カルボン酸無水物としては、脂肪族、環状
および芳香族カルボン酸無水物が挙げられる。脂肪族カ
ルボン酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン
酸、無水酪酸などが挙げられる。環状カルボン酸無水物
としては無水こはく酸、無水マレイン酸などが挙げられ
る。芳香族カルボン酸無水物としては、無水安息香酸、
無水トルイル酸、無水ナフトエ酸などが挙げられる。
【0014】芳香族ヒドロキシ化合物のカルボン酸フェ
ニルエステル類、特に酢酸フェニルエステル類製造に関
する開示例は、大別すると二種類の方法に分けることが
できる。一つは酸ハロゲン化物を用いる方法で塩化アセ
チルを使用するものであり、他の一つは酸無水物を用い
る方法で無水酢酸を使用するものである。これらの反応
のうち、後者の方法は、前者の方法に比べ、腐食性の塩
素ガスが発生するといった問題がないので、芳香族ポリ
エステルのモノマ―として酢酸フェニルエステル類を合
成する場合は、後者が採用される場合が多い。後者の場
合、一般にヒドロキシル基1.0モルに対し1.1モル
程度の過剰の無水酢酸を芳香族ヒドロキシ化合物に加
え、無水酢酸還流下で数時間反応をさせる。
【0015】一般式 化3で表される芳香族ヒドロキシ
化合物としてレゾルシノ―ルのアセチル化の場合に、濃
硫酸は該反応を著しく加速し、濃硫酸存在下では発熱反
応となる。しかし、得られた反応物は赤色に着色してお
り、これを用いて重合されたポリマ―は、分子量が低
く、着色が激しい。そこで、本発明者らは該反応物を、
高速液体クロマトグラフィ―法(HPLC)および核磁
気共鳴法(NMR)を用いて分析した結果、目的とする
レゾルシノ―ルジアセテ―トは約90モル%しか生成し
ておらず、ベンゼン核の水素がアセチル化されることに
よって生じるレゾアセトフェノン(レスアセトフェノン
ともいう)などの副生成物が生じていることがわかっ
た。
【0016】そこで、本発明者らは高純度の酢酸フェニ
ルエステル類を高収率で得ることを目的に種々の触媒に
ついて検討した結果、驚くべきことにピリジンに代表さ
れる三級アミン類は、酢酸フェニルエステル類生成の著
しく優れた選択活性触媒であること、すなわち三級アミ
ン類存在下であればレゾアセトフェノンなどの副生成物
はほとんど生じないことを見出した。
【0017】優れた選択活性触媒を有する三級アミン類
としては、ピリジン、トリエチルアミン、N、N−ジメ
チルアニリンおよび4−ジメチルアミノピリジン等が挙
げられる。特に選択性に優れ好ましいものとしては、ピ
リジンおよび4−ジメチルアミノピリジンが挙げられ
る。また、価格が低く工業的に利用しやすく好ましいも
のとしては、ピリジン、トリエチルアミンおよびN,N
−ジメチルアニリンが挙げられる。特にピリジンが好ま
しい。
【0018】従来の開示例には、常温、常圧において、
レゾルシノ―ルジアセテ―トは淡黄色透明な液体である
との記述があるが、本発明の製造方法によると、常温、
常圧において、無色透明な液体のレゾルシノ―ルジアセ
テ―トが得られる。また、フロログルシンなど、他の芳
香族ヒドロキシ化合物に対しても三級アミン類は同様の
効果を有することを確認した。
【0019】さらに、本発明のカルボン酸フェニルエス
テル類の製造方法について詳述する。カルボン酸無水物
として無水酢酸を例に説明する。一般式 化3で表され
る芳香族ヒドロキシ化合物に対して無水酢酸(ヒドロキ
シル基1モルに対し約1.1モル程度)を仕込み、これ
を撹拌して芳香族ヒドロキシ化合物を無水酢酸に溶解す
る。次に、芳香族ヒドロキシ化合物100重量部に対し
て0.01重量部以上、好ましくは0.02〜3重量
部、さらに好ましくは0.03〜2重量部の三級アミン
類を添加する。
【0020】添加量が0.01重量部より少ない場合、
三級アミン類の触媒効果は不十分である。三級アミン類
の添加量が0.01重量部以上であれば、得られる酢酸
フェニルエステル類は高純度であるが、0.1重量部よ
り少ない場合、得られる酢酸フェニルエステル類はわず
かに着色する。すなわち無色透明な酢酸フェニルエステ
ル類が必要な場合は、三級アミン類を0.1重量部以上
添加する必要がある。
【0021】また、添加量が3重量部を越えると、経済
的ではなく好ましくない。三級アミン類を添加後、反応
系を昇温し反応を開始する。反応温度は、使用している
三級アミン類の沸点や反応時間を考慮して決定されるべ
きである。反応温度は、無触媒の場合、無水酢酸の還流
温度とするのが普通であるが、三級アミン類を触媒とし
て使用している場合はその量にもよるが、無水酢酸の還
流温度以下でよく、好ましくは約80℃〜約145℃
(還流温度)、さらに好ましくは、反応時間短縮の観点
から約100℃〜約145℃(還流温度)である。特に
好ましくは還流温度付近がよい。
【0022】反応時間は1〜3時間程度が好ましい。反
応条件によっては1時間程度でも十分である。
【0023】得られた酢酸フェニルエステル類の純度は
HPLCやNMRによって確認できる。なお、反応は不
活性ガス雰囲気下で行われる。
【0024】
【発明の効果】ピリジンをはじめとする三級アミン類存
在下で、芳香族ヒドロキシ化合物とカルボン酸無水物を
反応させることにより、従来より温和な条件で、高純度
のカルボン酸フェニルエステル類の提供が可能となる。
該カルボン酸フェニルエステル類は芳香族ポリエステル
のモノマ―として好適に使用されるほか、医農薬の製造
原料などとしても使用することができる。
【0025】特に、レゾルシノ―ル類はメタ配向性のモ
ノマ―であり、高結晶性の芳香族ポリエステルのモノマ
―として使用することにより、該芳香族ポリエステルの
融点を効果的に低下させ、該芳香族ポリエステルの成形
加工性を著しく改良できるなどといった特徴を有する興
味深いモノマ―である。しかし、レゾルシノ―ル類と無
水酢酸から無触媒下でレゾルシノ―ルジアセテ―ト類を
製造した場合、該アセテ―ト体の純度が低かった。従っ
て、良好な物性が期待されるにもかかわらず、レゾルシ
ノ―ル構造を有する芳香族ポリエステルをアセチル化法
により該レゾルシノ―ルジアセテ―ト類から製造するこ
とは、不可能であった。
【0026】ところが、本発明で示すように、三級アミ
ン類存在下であれば、レゾルシノ―ル類と無水酢酸の反
応から、高純度のレゾルシノ―ルジアセテ―ト類が得ら
れ、従って、該レゾルシノ―ルジアセテ―ト類を用いて
重合される芳香族ポリエステルは耐熱性、機械的特性お
よび溶融成形性に優れ、色調が極めて良好なものであ
り、工業的価値が極めて大きい。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。なお、実施例中の分析
は次の方法で行った。
【0028】(1)高速液体クロマトグラフィ―法(以
下、HPLC法という):ウォーターズ社製600Eマ
ルチソルベント送液システムにより、移動相としてメタ
ノ―ル/酢酸(体積比が1000/5)および水/酢酸
(体積比が1000/5)を使用し、低圧グラディエン
ト法により測定した。使用したカラムは内径6.0m
m、長さ15cmのオクタデシルシリル(ODS)カラ
ムである。定量計算は絶対検量線法によって行い、これ
より各反応の転化率、選択率、収率を算出した。
【0029】(2)プロトン核磁気共鳴分光法(以下、
1H−NMR法という):ブルカー社製AC−200P
型プロトン核磁気共鳴分光装置(200.133MH
z)を使用し、化学シフトの基準としてテトラメチルシ
ランを用い、室温にて測定した。サンプル溶液は、サン
プル10mgを0.4mlの重水素化ジメチルスルホキ
シドに溶解することにより調製した。
【0030】(3)流動温度:(株)島津製作所製のフ
ローテスター CFT―500型で測定され、4℃/分
の昇温速度で加熱溶融されたポリマ―を荷重100kg
/cm 2 で内径1mm、長さ10mmのノズルから押し
出すときに、該溶融粘度が48000ポイズを示す点に
おける温度である。
【0031】(4)明度L値および色調a値(赤色度)
とb値 (黄色度) :細川ミクロン製バンタムミルを用い
てポリマーサンプルを粉砕して、300μm以下の粒子
として、タイラーメッシュで60メッシュ(246μm
孔)と325メッシュ(43μm孔)の篩で篩別して、
最大粒子径が246μm以下、最小粒子径が43μm以
上の範囲にある粉末を得た。
【0032】得られた粉末サンプルを物体色として三刺
激値X、Y、Zを日本電色工業(株)製測色色差計Z−
1001DPを用いて、JIS Z8722に規定され
る0°−d方式により測色し、これからJIS Z87
30に規定されるハンターの色差式によって明度(L
値)、赤色度(a値)および黄色度(b値)を求めた。
【0033】(5)光学異方性:溶融状態における樹脂
の光学異方性は、加熱ステ―ジ上に置かれた粉末状のポ
リマ―を偏光下10℃/分で昇温して肉眼観察により行
った。なお、静置下で完全溶融しない場合はスプリング
圧を利用し加圧下で行った。
【0034】(6)ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(GPC)法:東ソ−(株)製HLC−8020
により、カラムサイズは7.8mmID×30cm、移
動相として2,3,5,6−テトラフルオロフェノ−ル
(TFP)とクロロホルムとの混合溶液(体積比がTF
P/CHCl3 =1/2.721)を用いた。試料5m
gを2,3,5,6−テトラフルオロフェノ−ル5ml
に溶解し、これをクロロホルムで2倍体積に希釈後、ポ
アサイズ0.45μmのフィルタ―で前濾過して測定し
た。また、分子量計算は標準ポリスチレンによる較正曲
線を用いて行った。
【0035】(7)溶液粘度:ウベロ―デ型粘度計を用
い、TFPを溶媒として60℃で測定した。
【0036】(8)成形品物性:曲げ強度と弾性率、加
熱変形温度(HDT)を、それぞれ、ASTM D−7
90およびASTM D−648に準拠して測定した。
【0037】実施例1 (レゾルシノ―ルのアセチル化―触媒効果) 200mlの丸底フラスコに三ヶ月型撹拌翼、三方コッ
ク、ジムロ−ト冷却管を取りつけ、レゾルシノ―ル0.
5モル(55.0g)、無水酢酸1.1モル(112.
2g)を仕込んだ。三ヶ月型撹拌翼を120rpmで回
転させ、三方コックから窒素を導入し系内を窒素雰囲気
として、レゾルシノ―ルを無水酢酸に溶解した。この
後、三級アミン類として、ピリジンを275mg(レゾ
ルシノ―ル100重量部に対し0.5重量部)添加し、
ジムロ−ト冷却管に冷却水を流した状態でフラスコを油
浴に入れ、油浴を昇温し、内温を100℃に保持した状
態で1時間反応した。得られた反応物は室温で無色透明
な液体であった。
【0038】実施例2〜4 実施例1と同様にレゾルシノ―ルの無水酢酸溶液を3種
調製し、三級アミン類として、トリエチルアミン、N、
N−ジメチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジン
を、それぞれ275mg(レゾルシノ―ル100重量部
に対し0.5重量部)添加し、実施例1と同様にして、
レゾルシノ―ルと無水酢酸を反応させた。得られた反応
物は、すべて、室温で無色透明な液体であった。
【0039】比較例1 実施例1と同様にして調製されたレゾルシノ―ルの無水
酢酸溶液を、三級アミン類などを加えることなく加熱
し、無水酢酸を還流させながら3時間アセチル化の反応
を行った。得られた反応物は室温で橙色透明な液体であ
った。
【0040】比較例2 また、実施例1と同様にして調製されたレゾルシノ―ル
の無水酢酸溶液に濃硫酸を一滴加えた。その結果、反応
系は発熱し、内温は102℃まで上昇した。その後、フ
ラスコを油浴に入れ、内温を100℃に保持して1時間
反応した。得られた反応物は室温で赤色透明な液体であ
った。
【0041】以上の実施例1〜4、比較例1、2で得ら
れた反応物をHPLCにて分析し、レゾルシノ―ルジア
セテ―トに関する転化率、選択率、 収率および副反応物
の生成率を計算した。それらの結果を表1にまとめた。
【0042】実施例1、4の場合、転化率、選択率、収
率のいずれも100%、副反応物の生成率は0%、実施
例2、3の場合、選択率は100%であり、いずれの場
合も副生成物は全く生じていないことがわかる。
【0043】また、 比較例1、2の反応物をNMRにて
分析した結果、副生成物の大部分は、ベンゼン核の水素
がアセチル化されたことによって生じるレゾアセトフェ
ノン構造を有する化合物であることが判明した。
【0044】比較例3 (レゾルシノ―ルジアセテ―トの減圧蒸留による精製) 比較例1で得られた反応生成物の減圧蒸留による精製を
試みた。まず、常圧蒸留にて酢酸を留去したのち、系を
10mmHgまで減圧し、釜温165℃、蒸気温度15
5℃で減圧蒸留を行った。得られたレゾルシノ―ルジア
セテ―トの純度は98.6%であり、芳香族ポリエステ
ルのモノマ―として使用するに必要な純度を有するレゾ
ルシノ―ルジアセテ―トを、減圧蒸留によって調製する
のは不可能であることがわかった。
【0045】実施例5、6、比較例4 (レゾルシノ―ルのアセチル化―触媒添加量) 実施例1と同様の反応装置を用いて、実施例1と同様に
レゾルシノ―ルの無水酢酸溶液を4種調製し、三級アミ
ン類としてピリジンを、レゾルシノ―ル100重量部に
対して、それぞれ0.005重量部(比較例4)、0.
05、1.0重量部(実施例5、6) 添加し、フラスコ
を油浴に入れ、表2に示した条件で反応させた。反応生
成物をHPLCにて分析し、結果を表2にまとめた。
【0046】これより、ピリジンの添加量が0.005
重量部の場合、ピリジンの触媒効果はあるが、得られる
レゾルシノ―ルジアセテ―トの純度は不十分で、0.0
1重量部以上であれば、得られるレゾルシノ―ルジアセ
テ―トは高純度であることがわかる。また、実施例1の
結果を加味すれば、ピリジンの添加量が0.1重量部よ
り少ない場合、得られるレゾルシノ―ルジアセテ―トは
わずかに着色することがわかる。
【0047】実施例7〜10、比較例5 (種々の芳香族ヒドロキシ化合物のアセチル化) 実施例1の場合と同様の反応装置に、表3に示した芳香
族ヒドロキシ化合物を、それぞれ0.5モルづつ仕込
み、これにヒドロキシル基1モルに対して1.1モルと
なるように無水酢酸をそれぞれ加え、15分間撹拌した
後、芳香族ヒドロキシ化合物100重量部に対して0.
5重量部のピリジンを加えた。この後、フラスコ内を窒
素雰囲気とし、ジムロ−ト冷却管に冷却水を流した状態
でフラスコを油浴に入れ、反応温度100℃で1時間ア
セチル化の反応を行った(実施例7〜10)。
【0048】次に、比較としてフロログルシンを無触媒
下でアセチル化した場合の例を示す(比較例5)。実施
例10の場合と同様に、フロログルシンの無水酢酸溶液
を調製し、ピリジンを加えることなくフラスコ内を窒素
雰囲気とし、ジムロ−ト冷却管に冷却水を流した状態で
フラスコを油浴に入れ、油浴温度160℃で無水酢酸還
流下、3時間アセチル化の反応を行った。
【0049】以上のように、実施例7〜10、比較例5
で得られた反応物をHPLCにて分析し、対応する酢酸
フェニルエステル類に関する転化率、選択率、収率およ
び副反応物の生成率を計算した。それらの結果を表3に
まとめた。ピリジンが酢酸フェニルエステル類の著しく
優れた選択活性触媒であることがわかる。
【0050】実施例11,12,13 (レゾルシノールのアセチル化−触媒添加量) 実施例1と同様の反応装置を用いて、実施例1と同様に
レゾルシノールの無水酢酸溶液を3種調製し、三級アミ
ン類としてピリジンを、レゾルシノール100重量部に
対して、それぞれ0.05、0.1、0.5重量部(実
施例11,12,13)添加し、フラスコを油浴に入
れ、表4に示した条件で反応させた。反応生成物をHP
LCにて分析し、結果を表4にまとめた。ピリジンの添
加量が0.1重量部以上の場合、得られるレゾルシノー
ルジアセテートは無色透明であることがわかる。
【0051】実施例14 (芳香族ヒドロキシ化合物のアセチル化) 実施例1の場合と同様の反応装置に、フロログルシン
を、0.5モル仕込み、これにヒドロキシル基1モルに
対して1.1モルとなるように無水酢酸をそれぞれ加
え、15分間攪拌した後、フロログルシン100重量部
に対して0.05重量部のピリジンを加えた。この後、
フラスコ内を窒素雰囲気とし、ジムロート冷却管に冷却
水を流した状態でフラスコを油浴に入れ、還流状態で1
時間アセチル化の反応を行った。得られた反応物をHP
LCにて分析し、反応物に関する転化率、選択率、収率
および副反応物の生成率を計算した。
【0052】その結果、転化率、選択率、収率はいずれ
も100%であり、副反応物生成率は0%であった。ま
た最終生成物として白色結晶が得られた。ピリジンが酢
酸フェニルエステル類の著しく優れた選択活性触媒であ
ることがわかる。
【0053】参考例1〜7、比較参考例1 (レゾルシノール構造を有する芳香族ポリエステル) パラヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、およびレゾル
シノ―ルを総量が12モルとなるよう表5に示したモル
比で、各モノマ―をいかり型撹拌翼を有する重合槽に仕
込んだ。これに、ヒドロキシル基1モルに対して1.1
モルとなるように無水酢酸を加え、15分間撹拌した
後、レゾルシノ―ル100重量部に対して0.5重量部
のピリジンを加えた。その後、反応系内を十分窒素置換
し、反応温度を100℃として、1時間アセチル化反応
を行った。
【0054】こののち、生成酢酸を留去しながら1℃/
分の昇温速度で270℃まで昇温し90分保温した後、
さらに、1℃/分の昇温速度で300℃まで昇温した。
【0055】そして、参考例1〜3については10mm
Hgで50分間減圧重合を、参考例4〜7については5
0分間常圧重合を行った。このようにして得られたポリ
マ―を細川ミクロン製バンタムミルで粉砕して300μ
m以下の粒子とし、参考例4、5、7については、さら
に窒素雰囲気下210℃で3時間固相重合した。
【0056】次に、比較として参考例4と同組成で、ピ
リジンなどの触媒を使用しないレゾルシノ―ル構造を有
する芳香族ポリエステルの製造例(比較参考例1)を示
す。表5に示したモル比で各モノマ―を参考例4と同様
の反応器に仕込み、ヒドロキシル基1モルに対して1.
1モルとなるように無水酢酸を加えたのち、窒素ガス雰
囲気下で撹拌しながら昇温させ、ヒ―タ―温度を180
℃に保ち、還流下3時間反応を行いアセチル化を行っ
た。その後、参考例4と同様に常圧重合、固相重合を行
いポリマ―を得た。
【0057】以上、参考例1〜7および比較参考例1で
例示されたレゾルシノール構造を有する芳香族ポリエス
テルの分析結果を表5に、また参考例4〜6および比較
参考例1の芳香族ポリエステルの成形品物性を表6に示
した。
【0058】これより、三級アミン類存在下で合成され
た高純度のレゾルシノ―ルジアセテ―トを用いて製造さ
れたレゾルシノール構造を有する芳香族ポリエステル
は、耐熱性、機械的特性に優れ、溶融成形性および色調
も良好であることがわかる。
【0059】さらに、レゾルシノ―ルを当量の1.02
5倍程度仕込むことにより、より高分子量の芳香族ポリ
エステルが得られることが、参考例7よりわかる。
【0060】参考例8〜10 (レゾルシノール構造を有する芳香族ポリエステル) パラヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、およびレゾル
シノールを総量が12モルとなるよう表7に示したモル
比で、各モノマーをいかり型攪拌翼を有する重合槽に仕
込んだ。これに、ヒドロキシル基1モルに対して1.1
モルとなるように無水酢酸を加え、15分間攪拌した
後、レゾルシノール100重量部に対して0.05重量
部のピリジンを加えた。その後、反応系内を十分窒素置
換し、還流状態で、1時間アセチル化反応を行った。
【0061】こののち、生成酢酸を留去しながら1℃/
分の昇温速度で270℃まで昇温し90分保温した後、
さらに、1℃/分の昇温速度で300℃まで昇温した。
その後、50分間常圧重合を行った。このようにして得
られたポリマーを細川ミクロン製バンタムミルで粉砕し
て300μm以下の粒子とし、参考例8,9について
は、さらに窒素雰囲気下210℃で3時間固相重合し
た。得られた芳香族ポリエステルの分析結果を表7に、
また成形品物性を表8に示した。
【0062】これより、三級アミン類存在下で合成され
た高純度のレゾルシノールジアセテートを用いて製造さ
れたレゾルシノール構造を有する芳香族ポリエステル
は、耐熱性、機械的特性に優れ、溶融成形性および色調
も良好であることがわかる。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】一般式 化1で表される芳香族ヒドロキシ
    化合物とカルボン酸無水物を反応させてカルボン酸フェ
    ニルエステル類を製造する方法において、芳香族ヒドロ
    キシ化合物100重量部に対して0.01重量部以上の
    三級アミン類を存在させることを特徴とする高純度カル
    ボン酸フェニルエステル類の製造方法。 【化1】 (ただし、Rはハロゲン、炭素数1〜5のアルキル基、
    またはフェニル基であり、m、nは0〜2の整数であ
    る。なお、mが2の場合、Rは互いに異なった基でもよ
    い。)
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