JPH0517364B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、内燃機関のシリンダヘツドの案内孔
内に配置されたタペツトの一方の端面が回転制御
カムに接し、また該タペツトの他方の端面が弁シ
ヤフトに当接しており、しかも該タペツトが２つ
の基本構成部分、すなわち中空円筒状周壁部を有
するカツプ状のケーシングと、前記中空円筒状周
壁部に同心的な円筒状のガイドスリーブとから成
り、前記中空円筒状周壁部は一方の端部では、前
記回転制御カムが外側端面に接するところの底部
によつて閉塞されており、また前記ガイドスリー
ブが円盤状の板部分の中央部に配置されており、
該円盤状板部分の外周面は、前記ケーシングの中
空円筒状周壁部へ移行し、該中空円筒状周壁部と
前記円筒状のガイドスリーブとの間には、外部に
通じる孔を介して給油される環状のオイル貯蔵室
が形成されており、かつ前記ガイドスリーブ内で
は独自の油圧式遊び補償部材が長手方向摺動可能
に案内されており、該遊び補償部材は、内側ピス
トンと、該内側ピストンにかぶさつている外側ピ
ストンとから構成されており、前記の内側ピスト
ンと外側ピストンとは、互いに内外で長手方向に
摺動可能に案内されかつ相俟つてオイル高圧室を
う形成しており、該オイル高圧室は、前記内側ピ
ストン内に穿設されていて逆止弁によつて閉止さ
れる孔を介して、やはり前記内側ピストン内に配
置された中央オイル貯蔵室と接続されており、該
中央オイル貯蔵室は一方では内側ピストンの周壁
面によつて、また他方では前記ケーシングの底部
の内面によつて制限されており、前記ケーシング
の底部に対しては、前記内側ピストンの端面が当
接しているのに対して、前記外側ピストンは前記
円筒状のガイドスリーブ内で長手方向摺動可能に
支承されており、かつ該外側ピストンの閉鎖され
た方の端部が弁シヤフトの端部に当接している形
式の、油圧式に自動調節可能なタペツトに関する
ものである。

従来の技術 ドツイ連邦共和国特許出願公開第3023686号明
細書で公知の上記形式の油圧タペツトにおいて
は、内側ピストンと該内側ピストンを取り囲む外
側ピストンとによつて形成された油圧式の遊び補
償部材が用いられており、この両ピストンは互い
に縦方向摺動可能にはめ込み案内されかつ協働し
てオイル高圧室を制限形成しており、このオイル
高圧室は内側ピストン内の、逆止め弁によつて閉
じられる孔を介して中央のオイル貯蔵室と接続さ
れており、このオイル貯蔵室は内側ピストン内に
配置されて、片側を該内側ピストンの壁部によつ
てまた他方側をケーシングの底部の内面によつて
制限形成されており、この内面に内側ピストンの
端面が当接しており、また外側ピストンは円筒状
のガイドスリーブ内に縦方向摺動可能に支承され
ておりかつその閉じた端部を以つて弁シヤツタの
端部に対して当接せしめられている。

また公知の各タペツトにおいては遊び補償部材
を受容するガイドスリーブが、常に限定された軸
線方向長さを有しており特にケーシングの底部か
ら常に所定の距離を置いて終つている。前記のよ
うなタペツトにおいてはその運動質量体の減少の
ためという理由から常に薄めの壁厚さが求められ
ていることから、例えば該タペツトのケーシング
がしぼり加工された薄板部材から形成されると、
板部分のガイドスリーブとから成る内側部材もあ
る制限された形状安定性しか有し得ず、従つて場
合によつては連続作動時にその発生する振動及び
揺動に基づいて当該タペツトの損傷又は更には破
壊がひき起される（ドイツ連邦共和国特許出願公
開第3006644号明細書第１１図参照）。更にこのタ
ペツトにより高い機構的な剛度を与えるためにヨ
ーロツパ特許出願公開第0030781号明細書第３図
によれば、タペツトを押出し成形部材又は鋳造部
材として形成することも既に公知であるが、この
場合それによつてタペツトの質量が増大し作動時
にいろいろな面で周知の欠点が生じる。

発明の課題 本発明の課題は冒頭に述べた形式の油圧式に自
動調節可能なタペツトを改良して、小さな質量を
達成するために薄壁の、特に薄板からしぼり加工
された金属部材及び（又は）プラスチツク部材か
ら形成し、更には中央のオイル貯蔵室のための付
加的な流出防止手段を有しかつ、この中央のオイ
ル貯蔵室を同心的に取り囲むもう１つのオイル貯
蔵室を有するものを提供することである。

課題を解決するための手段 前記課題を解決する本発明の構成手段は、円筒
状のガイドスリーブと円盤状の板部分とが、前記
ケーシングとは別体の内側構成部分として一体構
成されており、該内側構成部分が前記円盤状の板
部分の半径方向外縁に沿つて、ケーシングの中空
円筒状の周壁部と結合されており、前記別体の内
側構成部分の円筒状のガイドスリーブが前記ケー
シングの底部にまで延在しかつ該底部の内面に接
触している点にある。

実施態様 本発明の構成においては円筒状のガイドスリー
ブの、底部に面した端部においてオイルを環状の
オイル貯蔵室からガイドスリーブ内へ、延いては
本体の遊び補償部材内へ流入可能とする手段が必
要である。この目的のために本発明の有利な１実
施態様によれば、円筒状のガイドスリーブとケー
シングの底部の内面とが接触している範囲内に少
なくとも１つのオイル移行開口が形成されてお
り、該開口が、互いに接触した両方の面の一方に
切欠きが設けられることによつて形成されてい
る。この切欠きはガイドスリーブの端面のスリツ
トとして又は、ケーシングの底部内のおう部又は
切欠きとして形成されている。

また本発明の実施例によればタペツトは常に２
つの主要構成部材から成り、即ち１つは中空円筒
状の壁部と底部とから形成されたケーシング、も
う１つの円筒状のガイドスリーブの円盤状の板部
分とから成る内側部材である。これらの各基本構
成部材は別個の構成部材として製造され、例えば
薄板からしぼり加工され続いて、その板部材の外
縁と中空円筒状の壁部との間の接触個所において
例えば嵌合及び（又は）材料接続によつた相互に
不動結合される。

更に本発明によれば、板部分と円筒状ガイドス
リーブとから成る内側部材が一体的な薄板成形部
材として形成されていると有利である。

しかしこの内側部材は１部分から成るプラスチ
ツク成形部材として形成されて、該部材がスナツ
プ式結合部によつてケーシングの中空円筒の壁部
と結合されていてもよい。

更に別の有利な実施態様によれば、円筒状のガ
イドスリーブの、ケーシングの底部に面した端部
範囲が大きな直径を以つて拡大形成されていると
よい。これによつて遊び補償部材内に配置された
中央のオイル貯蔵室を取り囲みかつ外側の環状の
オイル貯蔵室からは分離された付加的な環状オイ
ル貯蔵室が形成されている。内燃機関の不作用状
態において外側の環状オイル貯蔵室が空になつた
場合でも、このガイドスリーブの拡大部分によつ
て形成された付加的なオイル貯蔵室内には内燃機
関の始動のための多めの貯蔵オイルが保持され、
それによつて始動段階でのチヤタリング騒音の発
生が確実に回避され得る。

この手段の使用時に更に有利には別の実施態様
によつて、底部の内面に、オイル移行のために働
く２つの別個の切欠きが形成されており、この内
の一方の切欠きがガイドスリーブと底部との接触
個所の範囲内に位置し、他方の切欠きが内側ピス
トンと底部との接触個所の範囲内に位置してお
り、しかもこの両方の切欠きが互いに直径方向で
向い合つているとよい。この手段によれば、タペ
ツトが傾いて取付けられた場合でも、不作用状態
において遊び補償部材内の中央のオイル貯蔵室か
らオイルが流出することが回避され、何故ならそ
の場合でも直径方向で配置された両方のオイル移
行開口の内の一方が常に高い位置にあり、それに
よつてオイルの流出が防がれているからである。

更に本発明によるタペツト構造をその安定性に
関して更に良好なものとするために本発明の実施
態様によれば、円筒状のガイドスリーブの、ケー
シングの底部に面した端部が底部の溝内に嵌合接
続的にそう入されていると有利である。

実施例 第１図に示されたタペツトはカツプ形状のケー
シング１から成り、このケーシング１は中空円筒
状の壁部２と、該壁部２に一体的に形成された底
部３とから形成されている。このケーシング１内
には、板部分５と円筒状のガイドスリーブ６とか
ら成る内側部材４が配置されている。この各部分
５，６は互いに90°よりも大きな角度を成してい
る。また板部分５の外周面と中空円筒状の壁部２
との間の接触個所７で、この両部分がたたみ接ぎ
によつて互いに不動に結合されている。更に液密
な結合を形成するためにこの個所に付加的な溶
着、ろう接又は類似の処理を行なうことが可能で
ある。この結合のために板部分５は、円筒状の壁
部２に一体成形された周方向おう部８に対して当
てつけられておりかつ他方で、円筒状の壁部２に
突出形成された隆起部９によつて被われている。

円筒状のガイドスリーブ６は端面側で、底部３
の内面１０に対して支持されている。この端部範
囲内でガイドスリーブ６は拡大内径部分１１を有
し、それによつてそこで皿板１２に、油圧式の遊
び補償部材１３をガイドスリーブ６の孔から滑り
落ちないように確保するためのスペースが付与形
成されている。

中空円筒状の壁部２と板部分５と円筒状のガイ
ドスリーブ６と底部３の内面１０とによつて制限
された環状の中空室はオイル貯蔵室１４を形成し
ており、このオイル貯蔵室１４には周方向おう部
８内に形成された孔１５を介して外部からオイル
が供給される。

油圧式の遊び補償部材１３は外側ピストン１６
から成り、この外側ピストン１６はガイドスリー
ブ６内に滑動可能に案内されておりかつ他方で、
僅かな遊びを以つて内側ピストン１７をやはり滑
動可能に受容している。この内側ピストン１７
の、底部３に面した端部の中央にはオイル貯蔵室
１８が形成されており、このオイル貯蔵室１８は
底部３の内面１０内の各切欠き１９，２０によつ
て環状のオイル貯蔵室１４と流体接続されてい
る。この中央のオイル貯蔵室１８からオイルが、
逆止め弁２２によつて閉鎖可能な孔２１を介し
て、両方のピストン１６，１７によつて制限形成
されたオイル高圧室２３内に達つする。ばね２４
の作用のもとでこの２つのピストン１６，１７は
互いに離れる方向に押されている。組立て状態に
おいて外側ピストン１６の下側の端面２５は内燃
機関の弁のシヤフトの端面と接触しており、また
底部３に対しては外側から制御カムが滑り接触し
ている。

上記形式のタペツトの作動は公知であることを
前提とする。公知構造に対して本発明の構造が新
しい点は、円筒状のガイドスリーブ６が底部３の
内面１０まで延びておりかつ、安定性の向上のた
めにそこで支持されていることである。この支持
は、ケーシング１と内側部材４との組立て時に該
内側部材４に軸線方向プレロードが付与されるこ
とによつて形成される。しかしまたこの両方の部
分を付加的に、そのガイドスリーブ６と内面１０
との間の接触個所において互いに結合することも
可能である。

第２図の実施例が第１図の例と異なる主な点
は、円筒状のガイドスリーブ６の、底部３に面し
た端部範囲２６が大きな直径に拡大形成されてお
り、それによつて外側の環状のオイル貯蔵室１４
と中央のオイル貯蔵室１８の他に、その間に位置
する環状のオイル貯蔵室２７が形成されているこ
とである。内燃機関の不作用位置において外側の
環状のオイル貯蔵室１４が空になつた場合です
ら、オイルはオイル貯蔵室１８，２７内に保持さ
れ、内燃機関の始動時に使用される。底部３内の
両方の切欠き１９，２０が直径方向で互いに反対
側の個所に配置されていることによつて、オイル
貯蔵室１８はタペツトが斜めに取り付けられた場
合でも空にされることはあり得ない。更に第２図
に示されたタペツトが有する構成は、円筒状のガ
イドスリーブ６又は該ガイドスリーブ６の、底部
３に面した端部範囲２６が底部３の周溝２８内に
係合しており、それによつてタペツト全体の安定
性が更に高められていることである。

第３図に示した実施例では内側部材３４全体が
一体的なプラスチツク部材として形成されてお
り、このプラスチツク部材がスナツプ式結合部３
５によつてケーシング１の中空円筒状の壁部２と
結合されている。

プラスチツク部材が用いられている実施例は、
これらの部材が比較的容易に任意の形状に製造可
能でありかつその質量が少なくて済むという利点
だけでなく、発生する振動及び揺動を緩衝するの
に極めて適しているという利点も備えている。

特に第３図に示されたように、オイル供給のた
めに底部３内の一方又は両方の切欠きの代りに、
ガイドスリーブ３０（又は内側ピストン１７）の
端面に設けられた貫通スリツト３６を用いること
も可能である。

発明の効果 ガイドスリーブがケーシングの底部から距離を
置いて終つている公知のタペツトに比べて本発明
によれば、構成上及び製造技術上の簡単な手段に
よつて、前記両部材間の相互支持に基づいて箱状
の構造体が形成され、この構造体は公知の例に比
べて明らかに薄い壁厚さを有するにも拘わらず高
い安定性を備え得る。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の複数の実施例によるタペツトを
示すものであつて、第１図は第１実施例、第２図
は第２実施例、第３図は第３実施例をそれぞれ示
す縦断面図である。 １……ケーシング、２……壁部、３……底部、
４，３４……内側部材、５……円盤状の板部分、
６……ガイドスリーブ、７……接触個所、８……
周方向おう部、９……隆起部、１０……内面、１
１……拡大内径部分、１２……皿板、１３……遊
び補償部材、１４，１８，２７……オイル貯蔵
室、１５，２１……孔、１６……外側ピストン、
１７……内側ピストン、１９，２０……切欠き、
２２……逆止め弁、２３……オイル高圧室、２４
……ばね、２５……端面、２６……端部範囲、２
８……周溝、３５……スナツプ式結合部、３６…
…貫通スリツト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内燃機関のシリンダヘツドの案内孔内に配置
   されたタペツトの一方の端面が回転制御カムに接
   し、また該タペツトの他方の端面が弁シヤフトに
   当接しており、しかも該タペツトが２つの基本構
   成部分、すなわち中空円筒状周壁部２を有するカ
   ツプ状のケーシング１と、前記中空円筒状周壁部
   ２に同心的に円筒状のガイドスリーブ６とから成
   り、前記中空円筒状周壁部２は一方の端部では、
   前記回転制御カムが外側端面に接するところの底
   部３によつて閉塞されており、また前記ガイドス
   リーブ６が円盤状の板部分５の中央部に配置され
   ており、該円盤状板部分の外周面は、前記ケーシ
   ング１の中空円筒状周壁部２へ移行し、該中空円
   筒状周壁部２と前記円筒状のガイドスリーブ６と
   の間には、外部に通じる孔１５を介して給油され
   る環状のオイル貯蔵室１４が形成されており、か
   つ前記ガイドスリーブ６内では独自の油圧式遊び
   補償部材１３が長手方向摺動可能に案内されてお
   り、該遊び補償部材は、内側ピストン１７と、該
   内側ピストンにかぶさつている外側ピストン１６
   とから構成されており、前記の内側ピストンと外
   側ピストンとは、互いに内外で長手方向に摺動可
   能に案内されかつ相俟つてオイル高圧室２３を形
   成しており、該オイル高圧室は、前記内側ピスト
   ン１７内に穿設されていて逆止め弁２２によつて
   閉止される孔２１を介して、やはり前記内側ピス
   トン１７内に配置された中央オイル貯蔵室１８と
   接続されており、該中央オイル貯蔵室は一方では
   内側ピストン１７の周壁面によつて、また他方で
   は前記ケーシング１の底部３の内面１０によつて
   制限されており、前記ケーシング１の底部３に対
   しては、前記内側ピストン１７の端面が当接して
   いるのに対して、前記外側ピストン１６は前記円
   筒状のガイドスリーブ６内で長手方向摺動可能に
   支承されており、かつ該外側ピストンの閉鎖され
   た方の端面２５が弁シヤフトの端部に当接してい
   る形式の、油圧式に自動調節可能なタペツトにお
   いて、円筒状のガイドスリーブ６と円盤状の板部
   分５とが、前記ケーシング１とは別体の内側構成
   部分４，３４として一体構成されており、該内側
   構成部分が前記円盤状の板部分５の半径方向外縁
   に沿つて、ケーシング１の中空円筒状の周壁部２
   と結合されており、前記別体の内側構成部分の円
   筒状のガイドスリーブ６が前記ケーシング１の底
   部３にまで延在しかつ該底部の内面１０に接触し
   ていることを特徴とする、油圧式に自動調節可能
   なタペツト。 ２ 円筒状のガイドスリーブ６がケーシング１の
   底部３の内面１０と接触している区域内に少なく
   とも１つのオイル移行開口が設けられており、該
   オイル移行開口が、互いに接触している両方の面
   の一方に切欠き１９を設けることによつて形成さ
   れている、請求項１記載のタペツト。 ３ 内側構成部分４が一体の金属薄板成形部材と
   して構成されている、請求項１記載のタペツト。 ４ 内側構成部分３４が一体のプラスチツク成形
   部材として構成されており、該プラスチツク成形
   部材がスナツプ式結合部３５によつてケーシング
   １の中空円筒状の周壁部２と結合されている、請
   求項１記載のタペツト。 ５ 円筒状のガイドスリーブ６が、ケーシング１
   の底部３寄りの端部で、より大きな直径２６に拡
   径されている、請求項１から４までのいずれか１
   項記載のタペツト。 ６ 底部３の内面に、オイルを移行させるための
   ２つの別個の切欠き１９，２０が設けられてお
   り、両切欠きの中の一方の切欠きが前記底部３と
   円筒状のガイドスリーブ６との接触部位の範囲
   に、また他方の切欠きが前記底部３と内側ピスト
   ン１７との接触部位の範囲に位置し、かつ両切欠
   き１９，２０が前記底部の直径方向で互いに向き
   合つている、請求項２記載のタペツト。 ７ ケーシング１の底部３寄りの、円筒状のガイ
   ドスリーブ６の端部が、前記底部３の周溝２８内
   に嵌合接続式に係合している、請求項１から６ま
   でのいずれか１項記載のタペツト。