JPH05171815A - バルコニーユニットの吊り具接続構造及び設置方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 工場におけるバルコニーユニットの生産効率
が向上できるとともに、建設現場における作業を簡略化
かつ効率良く行えるバルコニーユニットの吊具接続構造
及び設置方法の提供。 【構成】 バルコニーユニットの床部10の上面には当該
バルコニーユニットのフレーム12を他の建物ユニットの
フレームに連結するための連結作業用開口11を設け、前
記バルコニーユニットのフレーム12には前記連結作業用
開口11に対応する位置に吊り具取付け部13が設けられて
いる。作業にあたっては、連結作業用開口11内部の吊り
具取付け部13に取付けられた吊りボルト28にワイヤ先端
のフックを係合して吊り込み作業を行い、バルコニーユ
ニットのフレーム12と他の建物ユニットのフレームとの
連結作業は前記各連結作業用開口11を通して行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はバルコニーユニットの吊
り具接続構造及び設置方法に係り、特にユニット工法で
建設されるプレハブ建物のバルコニー部分に利用でき
る。

【０００２】

【背景技術】従来より、住宅等の建物建設には建設現場
での作業を簡略化し、工期の短縮とコストの低減を目的
とするユニット工法が多用されている。このユニット工
法は、例えば図４に示すように、プレハブ建物50を構成
する居室ユニット51やバルコニーユニット52等の建物ユ
ニットを予め工場生産しておき、これらの建物ユニット
を建設現場で配列積層するとともに相互連結することに
より建物建設を行うものである。

【０００３】バルコニーユニット52は略平板形状の床部
53と、この床部53の周縁から平面略コ字状に立ち上がる
手摺部54とを含んで構成されている。床部53は、そのフ
レーム55を他の居室ユニット51のフレーム（図示せず）
に連結部を介してボルト結合することにより、バルコニ
ーユニット52が他の建物ユニットに連結可能とされてい
る。このような連結作業を行うために、床部53を構成す
る床パネル56の上面四隅には連結部に対応する位置に連
結作業用開口57が複数設けられている。これらの連結作
業用開口57は、連結作業完了後に所定の蓋で閉鎖される
とともに、床部53に敷設される防水シート等で覆われ
る。

【０００４】ところで、建設現場において、前述した各
建物ユニットを所定位置に設置するには、当該建物ユニ
ットをクレーン等で吊り込むことにより設置されること
が多い。このため、バルコニーユニット52においては、
フレーム55の所定位置に吊り具取付部が設けられている
とともに、床パネル56には前記吊り具取付部に対応する
位置に前述した連結作業用開口57とは別個に吊り込み作
業用開口58が複数設けられている。これらの吊り込み作
業用開口58は、吊り込み作業完了後に所定の蓋で閉鎖さ
れるとともに、床部53に敷設される防水シート等で覆わ
れる。

【０００５】このようなバルコニーユニット52において
は、建設現場でクレーン59から延びる吊り具であるワイ
ヤ60の先端を吊り込み作業用開口58を通して吊り具取付
部に接続し、吊り込み作業を行う。次に、前記ワイヤ60
を吊り具取付部から取り外した後、連結作業用開口57を
通してフレーム55を他の建物ユニット51のフレームに連
結し、これによりバルコニーユニット52の連結作業を行
う。最後に、吊り込み作業用開口57及び連結作業用開口
58は、所定の蓋で閉鎖するとともに、床部53に敷設され
る防水シート等で覆う防水処理を施してバルコニーユニ
ット52の設置作業を完了する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
バルコニーユニット52は、床部53に吊り込み作業用開口
57と連結作業用開口58とが各々別個に設けられているた
め、各作業完了後に全開口を別個に閉鎖する煩雑作業が
必要となる。従って、建設現場での作業が増え、作業効
率が低下してプレハブ工法の目的を充分に達成できない
という問題があった。

【０００７】また、床部53は、床パネル56に多数の開口
を有するため、工場における製作に手間が掛かるという
問題があった。更に、工場においては、前記各開口を閉
鎖する蓋を別途製作する必要があり、工場における生産
効率が低くなるとともに部品管理も煩雑となり、バルコ
ニーユニット52のコストが高くなるという問題もあっ
た。

【０００８】また、床パネル56に設けられた各開口は、
作業完了後に防水処理が施されるものの雨水による漏水
等の原因となり易く、このような開口が多数設けられた
バルコニーユニット52はその分漏水の可能性のある箇所
が多いという問題があった。

【０００９】本発明の目的は、工場におけるバルコニー
ユニットの生産効率が向上できるとともに、建設現場に
おける作業を簡略化かつ効率良く行え、更には防水性を
高められるバルコニーユニットの吊具接続構造及び設置
方法を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明のバルコニーユニ
ットの吊り具接続構造は、プレハブ建物に設置されるバ
ルコニーユニットを吊り込むための吊り具を当該バルコ
ニーユニットに接続するバルコニーユニットの吊り具接
続構造であって、前記バルコニーユニットの床部上面に
は当該バルコニーユニットのフレームを前記プレハブ建
物のフレームに連結するための連結作業用開口が複数設
けられているとともに、前記バルコニーユニットのフレ
ームには前記連結作業用開口に対応する位置に吊り具取
付部が設けられていることを特徴とする。

【００１１】ここで、吊り具としては、クレーンフック
から延びる先端にフックが設けられたワイヤ等が利用で
きる。そして、予めバルコニーユニットのフレームに
は、フックが接続可能なアイボルトを設けておくか、あ
るいはフレームをフックが接続可能に形成しておけば良
い。

【００１２】本発明のバルコニーユニットの設置方法
は、プレハブ建物に設置されるバルコニーユニットの設
置方法であって、予め前記バルコニーユニットの床部上
面に設けられた連結作業用開口内部に前記プレハブ建物
との連結部及び吊り具取付部を設けておき、建設現場に
おいて前記吊り具取付部に接続される吊り具により当該
バルコニーユニットを吊り込み、前記連結作業用開口を
通して当該連結部とプレハブ建物のフレームとを連結す
ることを特徴とする。

【００１３】ここで、バルコニーユニットとプレハブ建
物との連結作業を行う際には、連結作業用開口内部に設
けられた吊り具取付部に接続された吊り具を取り外して
作業用空間を確保することが好ましい。

【００１４】

【作用】このような本発明では、吊り具取付具が連結作
業用開口に対応して設けられているため、吊り込み作業
用開口を別途設ける必要がなくなる。このため、バルコ
ニーユニット設置後に閉鎖すべき開口が少なくなり、現
場作業が簡略化かつ効率良く行えることになる。また、
開口が少数化できることで、従来のバルコニーユニット
に比較して床パネルの製作が容易となるとともに、蓋の
製作，部品管理が容易となって当該バルコニーユニット
のコストが低くできることになる。更に、防水性が問題
となる床パネルの開口部分が従来のバルコニーユニット
に比較して少ないため、その分漏水の発生箇所が少なく
なることになり、これらにより前記目的が達成される。

【００１５】

【実施例】以下、本発明に係る一実施例を図面に基づい
て説明する。図１〜図３には、本発明に係る一実施例が
示されている。本実施例のバルコニーユニットは、略平
板形状の床部と、この床部の周縁から平面略コ字状に立
ち上がる図示しない手摺部とを含み、その基本構成は図
４で示した従来のバルコニーユニットと略同様とされて
いる。

【００１６】ここで図１〜図３には、それぞれ本発明に
基づいて構成されたバルコニーユニットの床部10の一角
が示され、その上面の所定位置にはそれぞれバルコニー
ユニットと他の建物ユニットとの連結作業に用いられる
連結作業用開口11が設けられているとともに、この床部
10に内蔵されるフレーム12には前記連結作業用開口11に
対応する位置に吊り具取付部13が設けられている。

【００１７】フレーム12は各２本の縦梁14，横梁15と、
対向する横梁15間に複数架設されて床パネル16を支持可
能な根太17とを含んで枠状に構成されている。このよう
なフレーム12は、縦梁14と横梁15との各接合部分に当該
フレーム12と他の建物ユニットのフレームとを連結する
ための連結部18が設けられている。

【００１８】連結部18は、連結ボルト19が挿通可能な挿
通孔20を有し、この連結ボルト19を他の建物ユニットの
フレーム21に設けられたナット部材22に締め込むことに
より、バルコニーユニットと他の建物ユニットとが連結
可能とされている。そして、床パネル16には、前記連結
部18の設けられた部分に切欠き部16Ａが形成され、これ
らの切欠き部16Ａに開口部材23が嵌め込まれている。

【００１９】開口部材23は平面長方形板材とされ、縦梁
14にブラケット24を介して設けられた第１支持部材25
と、根太17にブラケット26を介して設けられた第２支持
部材27とにより支持されている。このような開口部材23
は、連結部18に近接した所定位置に設けられた連結作業
用開口11に手を通してバルコニーユニットとプレハブ建
物との連結作業が行えるようになっており、この連結作
業用開口11に対応する位置に吊りボルト28が取付け可能
な吊り具取付部13が設けられている。

【００２０】吊り具取付部13は断面略コ字状とされ、そ
のフランジ13Ａ間に吊りボルト28が螺合可能なナット部
材29を有するリブ30により補強されている。吊りボルト
28は、吊り具であるワイヤの先端に形成されたフックが
接続可能とされ、ナット部材29に着脱可能とされてい
る。このような吊り具取付部13は、縦梁14のフランジ14
Ａ間に入れ子状に配置されるとともに溶接固設され、第
１支持部材25とは切欠き部25Ａにより干渉しないように
されている。

【００２１】このような本実施例におけるバルコニーユ
ニットの床部10は、予め工場で吊り具取付部13に吊りボ
ルト28を取付けた状態で建設現場に搬送される。この
際、バルコニーユニットは、連結作業用開口11が蓋31を
固定しない状態で閉鎖するか、あるいは連結作業用開口
11を開放状態として蓋31を別の位置に仮止めし、建設現
場に搬送する。建設現場においては、クレーンから延び
る吊り具であるワイヤの先端に設けられたフックを連結
作業用開口11に通して吊りボルト28に係合し、バルコニ
ーユニットの吊り込み作業を行う。そして、バルコニー
ユニットを所定位置に設置し、吊りボルト28からワイヤ
にフックを取り外すとともに当該吊りボルト28も吊り具
取付部13から取り外す。次に、連結作業用開口11に手を
通し、連結ボルト19を連結部18の挿通孔20に挿通し、他
の建物ユニットのフレーム21に設けられたナット部材22
に締め付けることで連結作業を行う。最後に、連結作業
用開口11を蓋31で閉鎖するとともに接着等の適宜な手段
で固定し、床部10の上面全面に敷設される防水シートで
覆う防水処理を施し、バルコニーユニットの設置作業を
完了する。

【００２２】前述のような本実施例によれば、バルコニ
ーユニットの吊り込み作業は連結作業用開口11を通して
ワイヤのフックを吊りボルト28に係合することで行え、
かつバルコニーユニットの連結作業は連結作業用開口11
を通して連結ボルト19を他の建物ユニットのフレーム21
のナット部材22に締め付けることがで行え、従来のバル
コニーユニットと略同様に行うことができる。

【００２３】一方、本実施例においては、連結作業用開
口11が吊り込み作業用開口としても利用できるため、床
部10の開口箇所を少なくすることができる。従って、各
連結作業用開口11を蓋31で閉鎖する作業が従来のバルコ
ニーユニットに比較して少なくでき、建設現場における
作業を簡略化かつ効率良く行える。そして、床部10を予
め生産する工場での作業も簡略化できるため、工場にお
けるバルコニーユニットの生産効率も工場でき、プレハ
ブ建物のコストを低くすることができる。特に、本実施
例における連結作業用開口11は、床パネル16の切欠き部
16Ａに配置された開口部材23に設けられているため、工
場において床パネル16を容易に製作することができ、生
産作業を一層簡略化できる。

【００２４】更に、床部10に設けられた開口箇所が少な
いため、すなわち雨水による漏水等の可能性のある箇所
が少数化できるため、従来のバルコニーユニットに比較
して漏水等の虞れが少なくなる。

【００２５】また、吊りボルト28は、吊り具取付部13に
着脱可能に螺合されているため、これらを取り外すこと
により連結作業用開口11から行う連結ボルト19の締め込
みに支障とならずに充分な作業用空間が確保でき、バル
コニーユニットと他の建物ユニットとの連結作業が容易
となる。

【００２６】なお、本発明は前述の実施例に限定される
ものではなく、本発明を達成できる範囲での改良，変形
等は本発明に含まれるものである。

【００２７】例えば、連結作業用開口11は本実施例で採
用された円以外にも長円，楕円，多角形等でも良く、更
には開口部材23に連結作業用開口11を設けず、この開口
部材23を直接的に蓋として用いても良く、吊り込み作業
用のワイヤが吊りボルト28に係合でき、かつ連結ボルト
19を締め込むにあたって支障とならないものであれば良
い。

【００２８】また、本実施例における連結作業用開口11
は、床パネル16とは別に設けられた開口部材23に設けら
れていたが、床パネル16に直接設けても良い。これによ
れば、開口部材23を床パネル16とは別途に用意する必要
がなく、床部10を構成する部品を少数化することで、バ
ルコニーユニットのコストを一層低くすることができ
る。

【００２９】更に、吊り具取付部13は、吊りボルト28が
連結作業用開口11の位置に対応するように設けられてい
れば良く、フレーム12への設置形態や吊りボルト28の取
付け方法等は任意である。この際、吊りボルト28は、バ
ルコニーユニットの荷重方向が前記実施例のようにワイ
ヤの集合する位置に向かって取付けられていることが望
ましい。

【００３０】また、本実施例における吊りボルト28は、
予め工場において吊りボルト取付具13に取付けられてい
たが、吊り込み作業に用いられるクレーンフックからの
びるワイヤの先端に予め係合しておき、建設現場におい
て吊り込み作業の際に吊りボルト取付具13に取付けても
良い。これによれば、各作業に際して吊りボルト28の員
数不足や未回収が防止でき、吊りボルト28を確実に再利
用できる。

【００３１】更に、本発明においては吊りボルト28は必
須ではなく、吊り具取付部13にワイヤ先端のフックが係
合可能な孔を形成しておくだけでも良い。この方法によ
れば、吊りボルト28が不要となってバルコニーユニット
の構成部品が少数化でき、プレハブ建物のコストを一層
低くすることができ、かつ吊りボルト28の着脱作業も不
要となって現場作業を一層簡略化できる。

【００３２】

【発明の効果】前述のような本発明によれば、工場にお
けるバルコニーユニットの生産効率が向上できるととも
に、建設現場における作業を簡略化かつ効率良く行え、
更には防水性をも高められる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す平面図である。

【図２】前記図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】前記図１のＢ−Ｂ線断面図である。

【図４】従来例を示す全体斜視図である。

【符号の説明】

１０ 床部 １１ 連結作業用開口 １２ フレーム １３ 吊り具取付け部 ５０ プレハブ建物 ５２ バルコニーユニット

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プレハブ建物に設置されるバルコニーユ
   ニットを吊り込むための吊り具を当該バルコニーユニッ
   トに接続するバルコニーユニットの吊り具接続構造であ
   って、前記バルコニーユニットの床部上面には当該バル
   コニーユニットのフレームを前記プレハブ建物のフレー
   ムに連結するための連結作業用開口が複数設けられてい
   るとともに、前記バルコニーユニットのフレームには前
   記連結作業用開口に対応する位置に吊り具取付部が設け
   られていることを特徴とするバルコニーユニットの吊り
   具接続構造。
2. 【請求項２】 プレハブ建物に設置されるバルコニーユ
   ニットの設置方法であって、予め前記バルコニーユニッ
   トの床部上面に設けられた連結作業用開口内部に前記プ
   レハブ建物との連結部及び吊り具取付部を設けておき、
   建設現場において前記吊り具取付部に接続される吊り具
   により当該バルコニーユニットを吊り込み、前記連結作
   業用開口を通して当該連結部とプレハブ建物のフレーム
   とを連結することを特徴とするバルコニーユニットの設
   置方法。