JPH0358415B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［技術分野］ 本発明は、屋根ユニツトの吊り部の構造に関す
る。

［従来技術］ 建物の工業生産化率を高める一方式として、ユ
ニツト建物の方式がある。ユニツト建物は、１個
の建物を、複数の部屋ユニツトと、各部屋ユニツ
トの上部に接合される複数の屋根ユニツトとに分
割し、各ユニツトを工場で生産した後、それらの
ユニツトを建築現場に輸送し、予め準備した基礎
の上に据付けるようにしている。

部屋ユニツトおよび屋根ユニツトの据付けは、
先ず部屋ユニツトを吊りワイヤによつて吊り上げ
て基礎の上に据付けた後、該部屋ユニツトの上部
に吊りワイヤによつて吊り上げられた屋根ユニツ
トを対応配置して据付ける必要がある。吊りワイ
ヤによる屋根ユニツトの吊り上げ作業は、屋根面
ではなく、各屋根ユニツトの屋根梁、破風等の屋
根ユニツトの外方の側部に吊り金具を取付け、該
吊り金具に吊りワイヤーを連結して行うことが考
えられる。

しかしながら、屋根ユニツトの外方の側部に吊
り金具が存在する場合には、据付け作業の際に隣
接して配置される他の据付け済みの屋根ユニツト
に吊り金具が干渉する。このため屋根ユニツトを
所定の位置に配置できなかつたり、吊り作業途中
で吊り金具を取り外さなければならないものとな
り、屋根ユニツトの据付けの作業性および安全性
を損なうという不都合がある。

［発明の目的］ 本発明は、屋根ユニツトの吊り作業の安全性お
よび作業性を向上させることを目的としている。

［発明の要旨］ 上記目的を達成するために、本発明は、構造材
の上部に野地板を固定して小屋裏を有する屋根ユ
ニツトにおいて、野地板に吊り具の挿通孔を形成
し、その挿通孔の下方における構造材の小屋裏側
の側面部分に、吊り具を固着可能とされる吊り具
固着金具を固定したことを要旨としている。

〔作用〕

本発明によれば、野地板に形成した挿通孔の下
方に吊り具固着金具を設けているから、吊り具固
着金具が野地板の周縁よりも外方に突出しないも
のとなる。したがつて、上記挿通孔を通して吊り
具を吊り具固着金具に固着して、屋根ユニツトを
吊り上げると、吊り具は野地板面内に位置するの
で、屋根ユニツトを直接的に隣接配置することが
できる。

以下、本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

第４図は、本発明の一実施例に係る屋根ユニツ
トの吊り部の構造を用いて形成されるユニツト建
物１０を示す。ユニツト建物１０は、２階建てに
係り、予め形成された基礎１１の上に下階部分を
構成する８つの部屋ユニツト１２を据付け、さら
にその上部に上階部分を構成する８つの部屋ユニ
ツト１３を対応配置するようにしている。上階部
分を構成する部屋ユニツト１３の上部には、それ
ぞれ８つの部屋ユニツトが隣接する状態で対応配
置される。該屋根ユニツトとしては、棟側に配置
される屋根ユニツト１４と軒側に配置される屋根
ユニツト１５とがあり、それらの屋根勾配面１
６，１７を連続させる状態で据付けるようにして
いる。各屋根ユニツト１４，１５は、順次吊りワ
イヤ１８により吊り上げられ、対応する部屋ユニ
ツト１３の上部に吊り降ろされて所定位置に据付
け可能とされている。

屋根ユニツト１４は、第１図に示すように、上
枠１９Ａ、下枠１９Ｂ、縦枠１９Ｃを組合せて形
成される妻小壁２０、たる木２１、屋根梁２２等
の主要構造材により構成されている。妻小壁２０
は、下枠１９Ｂの上部に縦枠１９Ｃを立設させて
接続し、さらにその上部に上枠１９Ａを傾斜状態
で接続して形成される。妻小壁２０の縦枠１９Ｃ
上部で、かつ傾斜状態とされる上枠１９Ａの両端
部には、それぞれ屋根梁２２が接続されている。
さらに上枠１９Ａの上部位置には、傾斜状態でか
つ屋根梁２２にその両端部を支持される状態でた
る木２１が接続されている。傾斜状態とされたた
る木２１の上部には野地板２３が配設され、さら
に野地板２３の上面には、防水シート等により形
成される屋根材２４が貼着されている。屋根材２
４は屋根勾配面より広くなされ、隣接される屋根
ユニツトとの接続部を覆うようになつている。こ
のようにして棟側の屋根ユニツト１４を形成して
いる。

屋根ユニツト１５は、上枠２５Ａ、下枠２５
Ｂ、縦枠２５Ｃを組合せて形成される妻小壁２
６、たる木２７、屋根梁２８、鼻隠し２９等の主
要構造材により構成されている。妻小壁２６は、
下枠２５Ｂの上部に縦枠２５Ｃを立設させて接続
し、さらにその上部に上枠２５Ａを傾斜状態で接
続して形成される。妻小壁２６の縦枠２５Ｃの上
部で、かつ傾斜状態とされる上枠２５Ａの上端側
には、屋根梁２８が接続され、また傾斜状態とさ
れる妻小壁２６の下端側には、鼻隠し２９が接続
されている。妻小壁２６における上枠２５Ａの上
部位置には、屋根梁２８および鼻隠し２９に両端
部を支持される状態でたる木２７が接続されてい
る。傾斜状態とされたたる木２７の上部には野地
板３０が配設され、さらに野地板３０の上面に
は、防水シート等により形成される屋根材３１が
貼着されている。屋根材３１は屋根勾配面より広
くなされ、隣接される屋根ユニツトとの接続部を
覆うようになつている。このようにして軒側の屋
根ユニツト１５を形成するようにしている。

軒側の屋根ユニツト１５の軒側下端には、軒天
井パネル３２が接続されている。軒天井パネル３
２と上階部分を構成する屋根ユニツト１３の壁パ
ネル１３Ａとの間には、見切材３３が配設されて
接続部を隠している。またそれぞれの屋根ユニツ
ト１４，１５の妻小壁２０，２６の下端部には、
それぞれ天井パネル３４，３５が貼着され、これ
により上階部分を構成する屋根ユニツト１３に対
する天井部分を構成するようにしている。

屋根ユニツト１４と屋根ユニツト１５とは、衝
合された各屋根ユニツト１４，１５の屋根梁２２
と２８をくぎ打ちすることによつて接続される。
また、屋根ユニツト１４と１４とは、衝合された
屋根ユニツト１４と１４の屋根梁２２と２２をく
ぎ打ちすることによつて接続される。

屋根ユニツト１４の小屋裏３６および屋根ユニ
ツト１５の小屋裏３７には、それぞれ吊り具固着
金具３８が配設されている。吊り具固着金具３８
は、屋根ユニツト１４の両側の各屋根梁２２の上
部における小屋裏３６を臨む側面部分に固定され
ている。また、屋根ユニツト１５の屋根梁２８の
上部および鼻隠し２９のそれぞれにおける小屋裏
３７を臨む側面部分にも固定されている。吊り具
固着金具３８は、第２図および第３図に示すよう
に断面逆Ｌ字形状のものとされ、くぎ３９を用い
て屋根梁２２，２８、鼻隠し２９に固定されると
ともに、屋根梁２２，２８、鼻隠し２９に形成さ
れる座ぐり孔４０および吊り具固着金具３８に形
成される孔４１に挿通されてなる頭付きボルト４
２にナツト４３を締結することにより、確実に屋
根梁２２，２８、鼻隠し２９に固定されている。
吊り具固着金具３８には、吊り具となるアイボル
ト４４を螺着可能とするナツト４５が溶接されて
いる。固定配置された吊り具固着金具３８の上部
の野地板２３，３０には、アイボルト４４の挿通
孔４６が形成され、屋根ユニツト１４，１５の吊
り作業を行う際に屋根勾配面１６，１７側から挿
通孔４６にアイボルト４４を挿入し、小屋裏３
６，３７に位置する吊り具固着金具３８のナツト
４５に対しアイボルト４４を螺着させることを可
能としている。挿入孔４６へのアイボルト４４の
挿入は、第１図および第３図に示すように屋根材
２４，３１の端部をめくりあげて行うようにして
いる。このようにして屋根ユニツト１４，１５の
屋根梁２２，２８あるいは鼻隠し２９の複数位置
に固定された吊り具固着金具３８にそれぞれ吊り
具であるアイボルト４４を螺着し、さらに第１図
に示すように各アイボルト４４に吊りワイヤ１８
を係着して屋根ユニツト１４，１５の吊り作業を
行うようにしている。この結果、上階部分を構成
する部屋ユニツト１３の上部に対し、各屋根ユニ
ツト１４，１５を吊り降ろし、各屋根ユニツト１
４，１５の据付けを行うことが可能となる。屋根
ユニツト１４，１５の据付けが完了された後は吊
り具固着金具３８よりアイボルト４４が取り外さ
れる。そして屋根材２４，３１により挿通孔４１
を塞ぐとともに、屋根ユニツト１４，１５の接続
部を覆い、防水を行なうのである。

次に上記実施例の作用を説明する。

上階を構成する屋根ユニツト１３の上部に隣接
配置される複数の屋根ユニツト１４，１５の据付
け作業は、各屋根ユニツト１４，１５の小屋裏３
６，３７で屋根梁２２，２８、鼻隠し２９の小屋
裏３６，３７を臨む側面部分に固定された吊り具
固着金具３８を介して行うこととしたため、吊り
具固着金具３８およびアイボルト４４が各屋根ユ
ニツト１４，１５の屋根面でない外方の側部に突
出することがない。従つて、屋根ユニツト１４，
１５を隣接する据付け済の屋根ユニツト１４，１
５に干渉することなく配置できる。このため、屋
根ユニツトを所定の位置からずれた場所に置いて
から横移動させたり、屋根ユニツトの片側を吊つ
た状態で吊り具固着金具を取り外すといつた危険
な作業をすることが必要ない。このように屋根ユ
ニツト１４，１５を吊り上げて、直接所定の位置
に配置できるので、作業が簡単であり、しかも安
全である。吊り具固着金具３８に対するアイボル
ト４４の螺着は、屋根勾配面１６，１７側から挿
通孔４６にアイボルト４４を挿入して行われ、螺
着されたアイボルト４４に吊りワイヤ１８を係着
して各屋根ユニツト１４，１５の吊り上げ、吊り
降ろし作業が可能となることから、屋根ユニツト
１４，１５を確実な吊り状態で据付け作業を行う
ことができるものとなる。

このように、上記実施例によれば、屋根梁２
２，２８、鼻隠し２９等の主要構造材に固定され
た吊り具固着金具３８を介して吊り作業が行われ
るので従来に比べ安全かつ確実な据付け作業が可
能となる。

［発明の効果］ 以上のように、もし屋根ユニツトの屋根面でな
い外方の側部に吊り金具が存在する場合には、据
付け作業の際に隣接して配置される他の据付け済
の屋根ユニツトに吊り金具が干渉し、作業性およ
び安全性を損なうという不都合があるが、本発明
は、野地板に吊り具の挿通孔を形成し、その挿通
孔の下方における構造材の小屋裏側の側面部分
に、吊り具を固着可能とされる吊り具固着金具を
固定したこととしたため、屋根ユニツトの野地板
面でない外方の側部に吊り具固着金具が突出しな
いものとなり、屋根ユニツト同士を吊り上げて直
接配置することが可能となり、屋根ユニツトの吊
り作業の安全性および作業性を向上させることが
できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係る屋根ユニツト
の吊り部の構造を示す断面図、第２図は吊り具固
着金具を拡大して示す斜視図、第３図は屋根梁に
固定された吊り具固着金具に対し吊り具を固着し
た状態で第１図Ａ部を拡大して示す断面図、第４
図は屋根ユニツトの据付け状態を示す斜視図であ
る。 １４，１５……屋根ユニツト、２２，２８……
屋根梁（構造材）、２３，３０……野地板、２８
……鼻隠し（構造材）、３６，３７……小屋裏、
３８……吊り具固着金具、４４……アイボルト
（吊り具）、４６……挿通孔。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 構造材の上部に野地板を固定して小屋裏を有
   する屋根ユニツトにおいて、野地板に吊り具の挿
   通孔を形成し、その挿通孔の下方における構造材
   の小屋裏側の側面部分に、吊り具を固着可能とさ
   れる吊り具固着金具を固定したことを特徴とする
   屋根ユニツトの吊り部の構造。