JPH0517017Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は洗剤液を起泡させてコツプ、皿等の被
洗浄物を泡洗浄する洗浄機に関する。

（従来の技術） 被洗浄物を洗剤溶液中に浸漬して行う洗浄方式
に比して、洗剤、水の消費が少く省資源に適した
泡洗浄方式による洗浄が最近脚光を浴びてきてい
るが、この種の洗浄機は特開昭59−139233号公
報、特開昭60−75022号、75023号各公報に開示さ
れているように、被洗浄物を収容する洗浄槽と、
洗浄槽の底部に設けた洗剤液貯留用の貯液部と、
この貯液部に空気を送つて洗剤液を起（発）泡さ
せ、この洗浄液の泡（フオーム）を洗浄槽内に上
昇させて供給する送風機とを備え、洗浄槽上部に
前記泡を排出させるための排泡口を設けた構造と
なつている。

（考案が解決しようとする問題点） 上述する従来の洗浄機は、前記洗剤液の泡（以
下、これを単に泡という）により、被洗浄物に対
して表面処理を施しながら化学的洗浄ができ、極
めて優れた洗浄効果を発揮するものであるが、多
数の被洗浄物間に隙き間がないと泡が流動しなく
洗浄ができないので、適当な隙き間を保たせて支
持するためのラツクが必要である。しかしこのよ
うに被洗浄物間にすき間を保持させても、洗浄槽
内において泡の流れは下から上への一方向のみで
あるから、たとえ平皿状の被洗浄物であつても、
ラツクとの接触個所やその後方側の部分は、泡が
一方向に流れるのでは泡との接触が妨げられて、
部分的に洗浄が成されない問題がある。

このように全面に亘つて均一した洗浄が行い難
い事実に対処して本考案はその改良を果させるべ
く案出するに至つたものであつて、特に起泡させ
た泡の流れを上昇流と横流とに交互に反復させ得
る構造と成すことにより、泡の流れを一方向でな
くランダムに流通し得る如く攪拌機能を持たせ得
て、泡が被洗浄物の全面に行きわたつて均一した
泡洗浄が行えることで洗浄効率を向上せしめよう
とするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は実施例を示す図面によつても明らかな
ように、被洗浄物を支持するラツク４を内蔵する
洗浄槽２と、洗剤液を貯留する貯液部５及び該貯
液部５に空気を送り込ませる送風機６からなる起
泡装置３と、貯液部５の泡放出口と洗浄槽２の底
部に設けた泡取入口とを接続して、洗剤液の泡を
上昇流となして供給し得る第１送泡路７と、貯液
部５の泡放出口と洗浄槽２の側部に設けた泡取入
れ口とを接続して、洗剤液の泡を横流となして供
給し得る第２送泡路８と、前記第１・第２送泡路
７，８に弁体を夫々介設せしめて、一方が開通、
他方が不通となる如く、交互に切換え得る切換弁
機構９と、前記切換弁機構９を前記被洗浄物に対
する洗浄である泡洗浄運転時に短い周期で反復さ
せて切換作動せしめる切換弁制御手段とを洗浄機
に備えしめた構成としたものである。

（作用） 泡洗浄運転の際に、泡を短周期で交互に上昇
流、横流させることによつて、洗浄槽２内の泡は
攪拌されて乱流する結果、被洗浄物相互間の狭い
隙き間にも泡が行き渡ると共に、被洗浄物とラツ
ク４の針金などの支持部とが直接々触する個所以
外は、被洗浄物の露出面全部が流動する泡と確実
に接触することから泡洗浄が有効になされる。

（実施例） 以下、本考案の１実施例を添付図面にもとづき
説明する。

第１図は食器洗浄機の概略断面示正面図であつ
て、ケーシング１内に洗浄槽２、起泡装置３等の
各要素からなる洗浄機構を収設している。

洗浄槽２は底部が漏斗状をなしていて、最下部
にはすすぎ水を排出する排液口に兼用させた泡取
入れ口を開口させて、この泡取入れ口に第４電磁
弁１８を介設し有する排水管２１を垂下させ接続
しており、一方、頂壁には泡取出し口を設けて第
１排泡管１４を接続している。

上記洗浄槽２の内部には、開閉扉が設けられた
前面開口（図示せず）からの出し入れ可能、か
つ、受止部への着脱可能な水平状態にラツク４を
配設せしめているが、このラツク４は金網篭状を
なしていて、被洗浄物である食器２２を互いに適
当な間隔が保たれ、かつ前傾した状態で安定支持
し得るように適宜の支持部を有している。

さらに、洗浄槽２内には、ラツク４配設個所の
下方に回動形の下側すすぎノズル１１を横設する
と共に、頂壁の直下部に回動形の上側すすぎオズ
ル１２を横設して、それ等両ノズル１１，１２を
第５電磁弁１９が介設されたすすぎ水管１３に
夫々接続せしめている。

また、前記洗浄槽２は側壁の一方の側に泡取入
れ口を上下に分散して例えば上部、中間部及び下
部の３個所に開口させていて、各泡取入れ口に対
し後述する第２送泡路８を一括して接続せしめて
おり、さらに各泡取入え口に対称させて対向壁に
泡取出し口を夫々開口せしめて、各泡取出し口に
対して、第３電磁弁１７が介された第２排泡管２
４を一括して接続せしめている。

一方、前記起泡装置３は洗浄槽２の下方に別に
設けた密封形容器の貯液部５と、送風機６例えば
ブロワと、該ブロワ６の吹出口と貯液部５の底部
とを接続する空気管とからなつており、さらに空
気管の中間部を取り巻かせて空気加熱用のヒータ
１０を設けている。

なお、２０は貯液部５と第１電磁弁１５とにバ
イパスさせて設けた第６電磁弁である。

しかして貯液部５は高濃度の洗剤液が適当量貯
留せしめられるのであつて、この貯液部５の底部
に加熱された空気がブロワ６から送り込まれる
と、洗剤液中から泡が多量に起生して、貯液部５
の上層空間部に充満するようになる。

上記貯液部５の頂壁には泡放出口を開口させて
いて、該泡放出口から第１送泡路７及び第２送泡
路８を分岐させて取り出し、第１送泡路７は洗浄
槽２の底部に設けた泡取入れ口に接続し、第２送
泡路８は洗浄槽２の側壁に設けた３個の前記泡取
入れ口に接続している。なお、２３は貯液部５の
周囲に巻装した保温ヒータである。

上記第１送泡路７及び上記第２送泡路８に関連
させて切換弁機構９を配設せしめているが、この
切換弁機構９は第１送泡路７中に介設した第１電
磁弁１５と、第２送泡路８中に介設した第２電磁
弁１６との組合わせにより形成され、一方が開弁
のときは他方が閉弁となるように、電気的な連動
関係を有せしめている。

かく構成した切換弁機構９は、貯液部５の泡放
出口を洗浄槽２底部の泡取入れ口あるいは洗浄槽
２側部の泡取入れ口に交互に切り換えて連通させ
るよう形成しており、後述するタイムチヤートに
よつて明らかにされるが、切換弁制御手段によつ
て泡洗浄運転の際に数十秒程度の短い周期で反復
させて切換作動される。

次に前記食器洗浄機の洗浄運転態様を第１図及
び第２図によつて説明すると、洗浄槽２内にラツ
ク４を横置き配置して、その上に食器２２を稍々
前傾姿勢にさせ、かつ相互間に隙き間を持たせ
て、針金等からなる支持棒に立て掛けるようにし
て支持させる。

一方、洗剤液を貯液部５内に適当量注入した
後、保温ヒータ２３に通電して洗剤液を55〜65℃
に加熱保温する。

次に、前記ヒータ１０に通電しながら、ブロワ
６を付勢して、55〜65℃に加熱された温風を貯液
部５に送給すると共に、第１電磁弁１５をコイル
の通電により開弁させる。

この場合、第２乃至第６各電磁弁１６〜２０は
コイル非通電によつて閉弁させておく。

かくして、貯液部５内の洗剤液から多量の泡が
発生して、第１送泡路７を通じ泡が洗浄槽２の底
部の泡取入れ口から槽内に流れ込み、これが上昇
流となつてラツク４上の食器２２の表面に沿いな
がら槽上部に至り第１排泡管１４から槽外に排出
されるのであり、この上昇流となつて食器２２の
面に接する泡によつて洗浄が成される。

この泡洗浄が２〜３分行われたところで、前述
する切換弁制御手段を作動させて、第２図に示す
如く例えば10秒程度の周期で切換弁機構９を反復
して切換作動せしめ、第１電磁弁１５と第２電磁
弁１６とを交互に開弁させる。

なお、第２電磁弁１６の開弁に連動させて第３
電磁弁１７を開弁せしめる。

このようにすることにより、貯液部５から送り
出された泡は、第１送泡路７と第２送泡路８とを
交互に流通して、洗浄槽２における底部の泡取入
れ口又は側部の泡取入れ口から交互に切り換つて
槽内に流れ込み、泡は前者の流入によつて上昇
流、後者の流入によつて略々水平方向に流れる横
流となる結果、泡流れの複雑乱流によつて流動す
る泡は食器２２の死角部、すなわち、泡の定流方
向を基準に食器２２がラツク４と接する個所の直
ぐ下流となる後方部分にも十分流動し、かくして
洗浄不完全な個所は皆無となり、確実に洗浄が行
える。

なお、横流した泡は第３電磁弁１７を開弁して
いる間に、第２排泡管２４によつて洗浄槽２外に
排出されることになり、左右方向に対称させて設
けた各泡取出し口から排泡されるので、洗浄槽２
内での横流は円滑に成されて乱流作用が十分かつ
安定して行われる。

前述する切換弁制御手段の作動を２〜３分行わ
せると、はじめの上昇流のみによる洗浄に戻させ
て１分程度経過すると、ブロワ６を停止させ、各
ヒータ１０，２３及び第１〜第３各電磁弁１５〜
１７への通電を解除させて泡洗浄を終了せしめす
すぎ運転に切換える。

上記すすぎ運転は第４・第５各電磁弁１８，１
９のコイル通電による開弁で成されるものであつ
て、すすぎ水管１３から送り込まれたすすぎ水
が、上下両側すすぎノズル１２，１１から洗浄槽
２内に噴出することから、泡は洗い流されて食器
２２の表面はすすぎ水によりすすぎ洗いされ、一
方、すすぎ水と泡とは排水管２１を経て槽外に排
出される。

なお、すすぎ運転の間、第１・第２各電磁弁１
５，１６を閉弁させているので、貯液部５内に汚
染した泡、すすぎ水が流れ込む如き不都合は生じ
ない。

このすすぎ運転が１分程経過すると第５電磁弁
１９を閉弁させて、すすぎ水の供給を断つことに
よりすすぎ運転を終了せしめ、その後数秒経てす
すぎ水が洗浄槽２から全量排出された時点になつ
て第４電磁弁１８を遅れて閉弁させる。

さらに、前記第５電磁弁１９の閉弁と同時に、
ブロワ６を付勢し、かつ、前記ヒータ１０に通電
せしめると共に第６電磁弁２０を通電により開弁
せしめて、55〜65℃の温風を洗浄槽２内に送り込
んで乾燥運転を行わせるが、この運転は１〜２分
の短時間で終了する。

かくして泡洗浄、すすぎ、乾燥の順に成される
洗浄の１サイクルが完了する。

（考案の効果） 本考案は以上詳述したように、洗浄槽２内で被
洗浄物を泡洗浄するに際して、第１送泡路７から
送り込む洗剤液の泡の上昇流と、第２送泡路８か
ら送り込む同じく洗剤液の泡の横流とを交互に行
わせることによつて、槽内での洗剤液の泡の流動
を複雑な乱流とさせることが可能であり、かくし
て、洗剤液の泡が被洗浄物に接しない状態となる
個所がなくなつて、従来の単一方向流の泡洗浄方
式に較べて洗浄効果が飛躍的に増大する利点があ
り、食器洗浄機に適用した場合、この種、泡によ
る洗浄方式が元来有する優れた洗浄効果を一層際
立たせた、清潔で衛生的な食器が単時間に得られ
て実用的価値は頗る大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例に係る食器洗浄機の
概略断面示正面図、第２図は同じく洗浄運転状態
のタイムチヤートである。 ２……洗浄槽、３……起泡装置、４……ラツ
ク、５……貯液部、６……送風機、７……第１送
泡路、８……第２送泡路、９……切換弁機構。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 食器など被洗浄物を支持するラツク４を内蔵す
   る洗浄槽２と、 洗剤液を貯溜する貯液部５及び該貯液部５に空
   気を送り込ませる送風機６からなる起泡装置３
   と、前記貯液部５の泡放出口と洗浄槽２との底部
   に設けた泡取入れ口とを接続して、前記起泡装置
   ３により起泡して洗剤液を泡となした洗剤液の泡
   を洗浄槽２内に上昇流となして供給し得る第１送
   泡路７と、 前記貯液部５の泡放出口と洗浄槽２の側部に設
   けた泡取入れ口とを接続して、前記洗剤液の泡を
   洗浄槽２内に横流となして供給し得る第２送泡路
   ８と、 前記第１・第２送泡路７，８に弁体を夫々介設
   せしめて、前記被洗浄物を洗浄するに際し、一方
   が開通、他方が不通となる如く交互に切換え得る
   切換弁機構９と、 前記切換弁機構９を泡洗浄運転時に短い周期で
   反復させて切換作動せしめる切換弁制御手段とを
   備えたことを特徴とする洗浄機。