JPH0516567Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、通信回線等に用いられる光フアイバ
ーケーブルに関する。

〈従来技術〉 一般に通信回路等に用いられている光フアイバ
ーケーブルは、一部に破損部が発生すると、この
破損部から光フアイバーケーブル内に浸水し、浸
水した水が長手方向に浸水し、光フアイバー心線
は、水に浸されることになる。そして光フアイバ
ー心線が長時間水に浸されると、強度の低下をお
こし、光フアイバー心線にかかつている張力によ
り、最悪の場合破断してしまう恐れがあつた。

このような問題を解決するため、１つは光フア
イバー心線の周囲の空隙にペトロラタム系また
は、ポリブテン系の樹脂からなるジエリーを充填
したケーブル、他に吸水性樹脂粉末を直接前記空
隙に充填するか、吸水性連続長繊維を光フアイバ
ー心線の周囲に配した防水ケーブルが提案されて
る。

〈解決しようとする問題点〉 上記従来技術のうち、ジエリーを充填したケー
ブルは、ジエリーを完全に充填しなければならな
いため、この充填作業が煩雑であるうえ、ケーブ
ルを接続するときに、ジエリーがべたついて作業
が難しい問題があつた。

また、吸水性樹脂粉末を直接充填する場合、粉
末を均一に充填することが難しいうえ、粉末を取
り扱う作業環境の設備の整備の問題があつた。

さらに、吸水性連続長繊維を用いた場合、長繊
維自身親水性であるため吸水すると強度が低下
し、初期の張力は光フアイバー心線に集中してし
まうため、光フアイバー心線の破断の防止には十
分寄与できない問題があつた。

本考案は、以上の欠点に鑑み、光フアイバーに
対する防水性を付与するばかりでなく、走水防止
能力、強度の安定性、およびケーブルの製造上、
接続時の光フアイバーケーブルの取扱い性の優れ
た光フアイバーケーブルを提供することを目的と
する。

〈問題点を解決するための手段〉 円周に凹部を有するプラスチツク成形品からな
る中心抗張力体の前記凹部に光フアイバー心線を
疎水性プラスチツクフイルム、または不織布から
なる基材の両面に吸水性樹脂粉末とバインダー樹
脂の混合物からなる塗膜層を設けた吸水テープに
より挟み、かつ中心抗張力体の周囲を前記吸水テ
ープと同じ構成の押え巻テープによりスパイラル
状の押え巻層を設けることにより解決した。

次に図面により詳細に説明する。

第１図は、本考案の光フアイバーケーブルの一
例を示す断面図で、１は、円周に凹部２を有する
プラスチツク成形品からなる中心抗張力体で、３
は光フアイバー心線、４は、吸水テープ、５は、
押え巻層、６は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル
等のプラスチツク層からなる外被層を示すもので
ある。

ここで、中心抗張力体１は、一般にポリエチレ
ン製の成形品が用いられ、また、吸水テープ３お
よび押え巻層５に用いる押え巻テープは、延伸ポ
リエステルフイルム、延伸ポリプロピレン等の疎
水性プラスチツク、またはポリエステル長繊維の
不織布からなる基材の両面に吸水性樹脂とバイン
ダー樹脂の混合物からなる塗膜層を設けた構成か
らなる。

この吸水性樹脂は、デンプン・アクリル酸グラ
フト重合体、デンプン・アクリル酸重合体、ポリ
アクリル酸塩架橋体、酢酸ビニル・アクリル酸塩
共重合体、イソブチレン・無水マレイン酸共重合
体、エチレンオキサイド架橋体の一つまたは、組
合せて用いる。

上記吸水性樹脂は、塗工液として塗布するので
100μm以下の粒径のものが好ましく、形状として
破片状のもの、未粉砕で真珠状のもののいずれも
使用できるが、真珠状のものが、塗布後の水の吸
収速度、樹脂の膨張速度が優れ好ましい。

そして、吸水テープ、押え巻テープとも、細条
化して使用し、押え巻テープは、スパイラル状に
巻いて用いる。

〈作用〉 光フアイバー心線は、吸水テープに挟まれた状
態なので、ケーブル配設時には、吸水テープ自体
が抗張力が働く。

水が浸入しても、吸水テープが疎水性の基材か
らなるので抗張力が低下がなく、抗張力も十分有
するものとなる。

また、破損部から浸入した水は、押え巻層と吸
水テープにより走水が防止できる。

〈実施例 １〉 円周に４カ所1.6mm巾の凹部を有するポリエチ
レン製の中心抗張力体の前記凹部に２連のナイロ
ン被覆光フアイバー心線を上、下および間に吸水
性樹脂（スミカゲルNP−1010住友化学工業社
製）とバインダー樹脂（スーパークロン803MW
山陽国策パルプ製）を混合した塗布液をポリエチ
レンテレフタレートフイルム（厚さ50μ）からな
る基材の両面に塗布量が5g／m²になるように塗
布し、塗膜層を形成した巾1.3mmの吸水テープを
配置する。

次に、前記中心抗張力体を前記吸水テープと同
じ構成で巾25mmに細条化しが押え巻テープにより
スパイラル状の巻いて押え巻層を形成し、この押
え巻層の表面にポリ塩化ビニル製の外被層を設
け、光フアイバーケーブルを得た。

このケーブルを1m用い、一方の端に水頭圧
1.2mをかけ走水状態を観察した。48時間経過後
も他端からの水の漏れがなかつた。

また、だい２図に示すように0.6×1.6mmのスリ
ツトの矩形チユーブに巾1.3mmの前記構成の吸水
テープを１枚入れ、走水テストを行つたところ80
cmの走水長であつた。

〈実施例 ２〉 吸水性樹脂として未粉砕で真珠状であるアクア
キープ4S（製鉄化学工業製）を用いた以外は、実
施例１と同様の構成の吸水テープにより光フアイ
バーケーブルを得た。このケーブルを実施例１と
同様にして走行状態、および吸水テープの走行テ
ストを行つた。走水状態は、実施例１と同じ結果
で、又走水長は60cmであつた。

〈効果〉 本考案は、以上の構成から成るので、水の走水
を確実に防止でき、吸水材の基材が疎水性のプラ
スチツクフイルム、または不織布を用いている
為、ケーブル設置時に抗張力を有し、また浸水し
てもその効果が低下しない。

また、通常のドライケーブルの形態で構成され
るので光フアイバーケーブルの接続の作業も容易
である。

また、基材の両面に吸水性樹脂粉末とバインダ
ー樹脂の混合物からなる塗膜層を設けた構成であ
るので、吸水性樹脂粉末や塗膜の脱落がない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一例を示す断面図、第２図は
走行テストの方法を示す説明図である。 １……中心抗張力体、２……凹部、３……光フ
アイバー心線、４……吸水テープ、５……押え巻
層、６……外被層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円周に凹部を有するプラスチツク成形品からな
   る中心抗張力体の前記凹部に１本、または複数本
   集合した光フアイバー心線を配置した光フアイバ
   ーケーブルにおいて、前記光フアイバー心線を疎
   水性プラスチツクフイルム、または不織布からな
   る基材の両面に吸水性樹脂とバインダー樹脂の混
   合物からなる塗膜層を設けた吸水テープにより挟
   み、かつ中心抗張力体の周囲を前記吸水テープと
   同じ構成の押え巻テープによりスパイラル状の押
   え巻層を形成したことを特徴とする光フアイバー
   ケーブル。