JPH0710324Y2 - 光ファイバーケーブル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、通信回線等に用いられる光ファイバーケーブ
ルに関する。

＜従来技術＞ 一般に通信回路等に用いられている光ファイバーケーブ
ルは、一部に破損部が発生すると、この破損部から光フ
ァイバーケーブル内に浸水し、浸水した水が長手方向に
浸水し、光ファイバー心線は、水に浸されることにな
る。そして光ファイバー心線が長時間水に浸されると、
強度の低下をおこし、光ファイバー心線にかかっている
張力により、最悪の場合破断してしまう恐れがあった。

このような問題を解決するため、１つは光ファイバー心
線の周囲の空隙にペトロラタム系または、ポリブテン系
の樹脂からなるジェリーを充填したケーブル、他に吸水
性樹脂粉末を直接前記空隙に充填するか、吸水性連続長
繊維を光ファイバー心線の周囲に配した防水ケーブルが
提案されてる。

＜解決しようとする問題点＞ 上記従来技術のうち、ジェリーを充填したケーブルは、
ジェリーを完全に充填しなければならないため、この充
填作業が煩雑であるうえ、ケーブルを接続するときに、
ジェリーがべたついて作業が難しい問題があった。

また、吸水性樹脂粉末を直接充填する場合、粉末を均一
に充填することが難しいうえ、粉末を取り扱う作業環境
の設備の整備の問題があった。

さらに、吸水性連続長繊維を用いた場合、長繊維自身親
水性であるため吸水すると強度が低下し、初期の張力は
光ファイバー心線に集中してしまうため、光ファイバー
心線の破断の防止には十分寄与できない問題があった。

本考案は、以上の欠点に鑑み、光ファイバーに対する防
水性を付与するばかりでなく、走水防止能力、強度の安
定性、およびケーブルの製造上、接続時の光ファイバー
ケーブルの取扱い性の優れた光ファイバーケーブルを提
供することを目的とする。

＜問題点を解決するための手段＞ 円周に凹部を有するプラスチック成形品からなる中心抗
張力体の前記凹部に光ファイバー心線を疏水性プラスチ
ックフィルム、または不織布からなる基材の両面に吸水
性樹脂を含み、表面を非平滑状態とした塗膜層を設けた
吸水テープにより狭持することにより解決した。

次に図面により詳細に説明する。

第１図は、本考案の光ファイバーケーブルの一例を示す
断面図で、１は、円周に凹部２を有するプラスチック成
形品からなる中心抗張力体で、３は光ファイバー心線、
４は、吸水テープ、５は、押え巻層、６は、ポリエチレ
ン、ポリ塩化ビニル等のプラスチック層からなる外被層
を示すものである。

ここで、中心抗張力体１は、一般にポリエチレン製の成
形品が用いられ、また、吸水テープ３および押え巻層５
に用いる押え巻テープは、延伸ポリエステルフィルム、
延伸ポリプロピレン等の疎水性プラスチック、またはポ
リエステル長繊維の不織布からなる基材の両面に吸水性
樹脂をバインダーとした塗工液を塗布した塗膜層が設け
た構成からなる。

しかも、吸水テープ３は、第２図に示すように塗膜層の
表面を凹凸状、波形状等の非平滑状態とした。

この吸水性樹脂は、デンプン・アクリル酸グラフト重合
体、デンプン・アクリル酸重合体、ポリアクリル酸塩架
橋体、酢酸ビニル・アクリル酸塩共重合体、イソブチレ
ン・無水マレイン酸共重合体、エチレンオキサイド架橋
体の一つまたは、組合せて用いる。

上記吸水性樹脂は、塗工液として塗布するので100μｍ
以下の粒径のものが好ましく、形状として破片状のも
の、未粉砕で真珠状のもののいずれも使用できるが、真
珠状のものが、塗布後の水の吸収速度、樹脂の膨張速度
が優れ好ましい。

そして、吸水テープ、押え巻テープとも、細条化して使
用し、押え巻テープは、スパイラル状に巻いて用いる。

＜作用＞ 光ファイバー心線は、吸水テープに挟まれた状態なの
で、ケーブル配設時には、吸水テープ自体が抗張力が働
く。

水が浸入しても、吸水テープが疎水性の基材からなるの
で抗張力が低下がなく、抗張力も十分有するものとな
る。

また、破損部から浸入した水は、塗膜層の表面が非平滑
状態なので、走水がしにくく、かつ接触面積が大きく、
吸水テープにより走水が防止できる。

＜実施例１＞ 円周に４ヵ所1.6mm巾の凹部を有するポリエチレン製の
中心抗張力体の前記凹部に２連のナイロン被覆光ファイ
バー心線を上、下および間に吸水性樹脂（スミカゲルNP
-1010住友化学工業社製）とバインダー樹脂（スーパー
クロン803MW山陽国策パルプ製）を混合した塗布液をポ
リエチレンテレフタレートフィルム（厚さ50μ）からな
る基材の両面に塗布量が10g/m²で、表面が100サイクル/
mの波形状になるように塗布し、塗膜層を形成した巾1.3
mmの吸水テープを配置する。

次に、前記中心抗張力体を前記吸水テープと同じ構成で
巾25mmに細条化しが押え巻テープによりスパイラル状の
巻いて押え巻層を形成し、この押え巻層の表面にポリ塩
化ビニル製の外被層を設け、光ファイバーケーブルを得
た。

第２図に示すように0.6×1.6mmのスリットの短形チュー
ブに巾1.3mmの前記構成の吸水テープを１枚入れ、走水
テストを行ったところ45〜50cmの走水長であった。

また、前記構成で100×100mmの吸水テープを脱イオン水
に浸漬後、水切り後、30分放置し、その重量を測定した
ところ4500gであった。

＜実施例２＞ 塗膜層の表面を150サイクル/mの波形状とした以外は、
実施例１と同じ構成で、実施例１と同様の試験を行っ
た。

その結果走水長は、35〜45cm、吸水量は、4500gであっ
た。

＜比較例＞ 塗膜層の表面を平滑とした以外は、実施例１と同じ構成
で、実施例１と同様の試験を行った。

その結果走水長は、80〜90cm、吸水量は、4500gであっ
た。

＜効果＞ 本考案は、以上の構成から成るので、水の走水をより確
実に防止でき、使用時における光ファイバーケーブルの
性能の劣化がなく、また抗張力の低下が見られない。

また、通常のドライケーブルの形態で構成されるので光
ファイバーケーブルの接続の作業も容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一例を示す断面図、第２図は吸水テー
プの一例を示す断面図、第３図は走水テストの方法を示
す説明図である。 １……中心抗張力体、２……凹部 ３……光ファイバー心線、４……吸水テープ ５……押え巻層、６……外被層

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】円周に凹部を有するプラスチック成形品か
   らなる中心抗張力体の前記凹部に１本、または複数本集
   合した光ファイバー心線を配置した光ファイバーケーブ
   ルにおいて、前記光ファイバー心線を疎水性プラスチッ
   クフィルム、または不織布からなる基材の両面に吸水性
   樹脂を含み、表面を非平滑状態とした塗膜層を設けた吸
   水テープにより挟持したことを特徴とする光ファイバー
   ケーブル。
2. 【請求項２】、塗膜層の表面が、凹凸状、または波形状
   である第１項記載の光ファイバーケーブル。