JPH05162333A

JPH05162333A - インクタンクカートリッジ

Info

Publication number: JPH05162333A
Application number: JP33063991A
Authority: JP
Inventors: So Kishida; 創岸田
Original assignee: Canon Inc
Current assignee: Canon Inc
Priority date: 1991-12-13
Filing date: 1991-12-13
Publication date: 1993-06-29

Abstract

(57)【要約】【目的】組立工程を簡略化し、コストアップすること
なく、インク導出針を差し込んだ部分からのインク漏
れ、インク導出針を抜いたときインク導出針の針穴跡か
らのインク漏れを確実に防止した記録手段用のインクタ
ンクカートリッジの提供。【構成】記録手段に供給するインクを収納したインク
袋３と、インク袋３から記録手段へインクを供給するた
めの導出部としてインク袋３の一部に設けた弾性体によ
り形成したインク導出部材１と、インク袋３とインク導
出部材１とを収納する筺体２Ａ，２Ｂを備えたインクタ
ンクカートリッジ２であって、インク導出部材１は主と
して直径の一方向に圧縮した状態にて筺体２Ａ，２Ｂに
収納したことを特徴とする構成。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インクジェットプリン
タ（以下、記録手段という）に装着するインクタンクカ
ートリッジに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図８は、記録手段に装着する従来のイン
クタンクカートリッジの概要を示す断面図である。図９
は従来のインクタンクカートリッジに使用するゴム栓と
金属環の側面図である。

【０００３】インクタンクカートリッジ２は記録手段に
供給するインクを収納したインク袋３ａと、インク袋３
ａから記録手段（不図示）へインクを供給するための導
出部としてインク袋３ａの一部に設けたゴム栓３ｂと、
インク袋３ａとゴム栓３ｂとを収納する上筺体２Ａと下
筺体２Ｂとよりなる筺体を備えている。

【０００４】そして、ゴム栓３ｂにインク導出針３ｃを
差し込んで使用する。使用中にゴム栓３ｂにインク導出
針３ｃを差し込んだ部分からインクが漏れることを防止
するために、また使用後インク導出針３ｃを抜いたとき
インク導出針３ｃの針穴跡からインクが漏れることを防
止するために、図９に示す側面図のように、ゴム栓３ｂ
の外径より小さい円筒形開口を有する金属環（通称タ
ガ）３ｄをゴム栓３ｂの導出部３ｄの円筒形外周に嵌め
てゴム栓の導出部３ｄを外周から圧縮して筺体に組み込
みしてある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、金属環３ｄの部品コスト、金属環３ｄにゴム
栓３ｂを組込みする工程を必要とする。しかも該組込み
工程は作業性が悪くコストアップとなっていた。

【０００６】また、ゴム栓の導出部３ｄを規定通りに十
分に圧縮できない場合があり、改善すべき課題となって
いた。

【０００７】この発明は、上記従来技術の問題点を解消
するために成されたもので、組立工程を簡略化し、コス
トアップすることなく、インク導出針を差し込んだ部分
からのインク漏れ、インク導出針を抜いたときインク導
出針の針穴跡からのインク漏れを確実に防止したインク
タンクカートリッジを提供することを目的とするもので
ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】このため、この発明に係
るインクタンクカートリッジは、記録手段に供給するイ
ンクを収納したインク袋と、該インク袋から前記記録手
段へインクを供給するための導出部としてインク袋の一
部に設けた弾性体により形成したインク導出部材と、前
記インク袋とインク導出部材とを収納する筺体を備えた
インクタンクカートリッジであって、前記インク導出部
材は主として直径の一方向に圧縮した状態にて前記筺体
に収納したことを特徴とする構成によって、前記の目的
を達成しようとするものである。

【０００９】

【作用】以上の構成により、インク導出部材は主として
直径の一方向に圧縮された状態で筺体に収納されてお
り、インク導出部材の略中心部分に差し込まれたインク
導出針とインク導出部材は確実に密着してインクが漏れ
ることを防止できる。またインク導出針を抜いたときは
インク導出部材は確実に針穴跡を圧縮して塞ぎインクが
漏れることを防止する。

【００１０】上記作用は、従来のゴム栓が外周全体から
圧縮されるために、加えた圧縮力は円周方向の圧縮力と
なり、また円周方向の抗圧力となって、必要な中心方向
への圧縮力が弱まっているのに対し、本発明の構成で
は、インク導出部材を主として直径の一方向に圧縮する
ことで、円周方向の圧縮力、円周方向の抗圧力の発生は
弱く、その分、加えた圧縮力は主として中心への一方向
の圧縮力として有効に作用させることになるためであ
る。

【００１１】なお、インク導出部材を締め付ける金属環
が不要であり部品コストが減少し、また金属環にインク
導出部材を組込みする面倒な工程が不要となり製造コス
トの低減が計れる。

【００１２】

【実施例】以下、この発明に係るインクタンクカートリ
ッジを実施例により説明する。

【００１３】図１は、第１実施例のインクタンクカート
リッジの分解斜視図である。インクタンクカートリッジ
２は、記録手段の記録ヘッドに供給するインクを収納
し、記録手段に着脱可能に装着されるよう構成してあ
る。

【００１４】図１において、２Ａ，２Ｂはインクタンク
カートリッジ２の上筐体と下筐体であり、インクを収納
したインク袋３、排出された廃インクを回収するための
廃インク吸収体５を収納し、上筐体２Ａと下筐体２Ｂを
接合してインクタンクカートリッジ２を構成している。

【００１５】インク袋３の一部には、インクを記録手段
（不図示）に供給するためのインク導出針を差し込むイ
ンク導出部材１が取付けてある。なお、インク導出部材
１はゴム等の弾性体により形成してあり、従来のゴム栓
に相当するものである。

【００１６】上筐体２Ａには、インク導出部材１を押え
込む固定部材１０１ａ（詳細は後述）が凹部１０１とと
もに形成されている。この固定部材１０１ａは、下筐体
２Ｂの対応箇所に設けた固定部材１０５と協動してイン
ク導出部材１を固定する。

【００１７】また、インク導出部材１の位置固定はイン
ク導出部材１の外周にリブ状に設けた位置決め部１ａに
よって、さらに確実に行うことができる。位置決め部１
ａは上筐体２Ａの１０１ｂで示される凹部と、下筐体２
Ｂの１０７，１０９とで示される凹部に嵌め込むこと
で、インク袋３をインク筐体１Ａ，２Ｂ中に容易・確実
に配置・収納できるようになっており、インクタンクカ
ートリッジ２の組立て工程の効率向上が図られている。

【００１８】また、下筐体２Ｂの廃インク受け口７部分
にも溝１１０が設けてあり、溝１１０内には廃インク吸
収体へ排出されるインクのはねとびなどを防止するため
のベルイータ１０８が挿入されている。このベルイータ
１０８はインク導出針が差し込まれたときに、インク袋
３内部に良好に導入できること、また、廃インクのとび
散りやインクタンクカートリッジ２を記録手段から抜い
たときの廃インクたれを防止するもので、中央部分に切
り込みが設けてあり、この切り込みを押し開いてインク
導出針がインク袋３内に挿入されるように構成されてい
る。また、このベルイータ１０８も容易かつ確実にカー
トリッジに取付けられるように溝１１０内に挿入する構
成となっており、上筐体２Ａの該当部分の溝１１１とか
みあうことで、インク導出部を差し込む力の受けが達成
され、かつ組立て性の向上が図られている。

【００１９】下筐体２Ｂの側面の一部には、切り欠き部
１０４が設けてある。また、下筐体２Ｂのインク供給チ
ューブとの係合面側には凸状部材１０３が設けられてい
る。前記凸状部材１０３はインクタンクカートリッジ２
を記録手段の装填部に装填する際にインク導出針に手な
どがふれないように安全性を確保するために設けられて
いる安全蓋のロックを解除するためのもので、この凸状
部材１０３によるロック解除がなされることで記録手段
への装填が容易にできる。

【００２０】また、切り欠き部１０４はインクタンクカ
ートリッジ２の確実なる装填を操作者に認識させるため
のクリック部として機能する部分で、記録手段側のピン
（不図示）と係合してインクタンクカートリッジ２の位
置を決めるとともに、クリック感によって装填の完了を
認識させる。

【００２１】上筐体２Ａには、１０２で示される情報媒
体が設けられている。この情報媒体１０２はインクタン
クカートリッジ２の記録手段への装填の有無の検知をは
じめ収納されたインクの特性を記録手段側に伝達するこ
とで使用インクに対するヘッド駆動条件のマッチングを
はかったりするために用いられるものである。本例で
は、この情報媒体１０２は抵抗体として設けてある。し
たがって設定された抵抗値によって、収納されたインク
の特性が記録手段側の変換テーブルとの比較によって認
識されるように構成されている。

【００２２】この情報媒体１０２と廃インク受け取り口
７とはインク導出部材１を中にして異なった側に設けて
あり、インク導出部材１に対応する上筐体２Ａの押え部
１０１には凹部が設けてあるので、廃インクが上筐体２
Ａ上に付着した場合でも、廃インク受け口７と情報媒体
１０２は離れており、情報媒体１０２へのインクの付着
のおそれが低減する。また、例えインクがまわり込むよ
うな状態でも、前述の凹部１０１でインクがとラップさ
れるので、情報媒体１０２が設けられた領域までインク
がまわり込むおそれがない。よって情報媒体１０２はイ
ンクによる短絡などのおそれがなく、良好に機能する。

【００２３】また、廃インクは、カートリッジ内の廃イ
ンク吸収体５によってカートリッジの全体に効率よくゆ
きわたらせることができるため、廃インク受け口に廃イ
ンクが滞って、漏れだすことを防止できる。そのため、
情報媒体１０２側に廃インクがまわり込むようなおそれ
も防止できる。さらにインク導出部材１を押え込む下筐
体２Ｂの押え込み部材１０５の部分にもスリット１０６
が設けられている。このスリットは廃インク吸収体５の
配置領域までのびており、インク導出部材１からもれだ
したインクや、インクタンクカートリッジ２の記録手段
への装填，着脱時に発生するおそれのあるインク供給チ
ューブからの漏出インクも良好に取り込むことができ
る。したがって、このようなインクがインクタンクカー
トリッジ２の上部に付着するおそれがなく、情報媒体１
０２に対して影響を与えるおそれはない。

【００２４】情報媒体１０２、そして記録手段側のイン
ク導出針がインク導出部材１を差しインクと連通する順
を、インク連通情報媒体の読み取り切り欠き部の
係合の順として構成することにより、インクの導出、イ
ンクの特性の読み取りが確実にできる状態を形成するこ
とができる。

【００２５】なお、上筐体２Ａの１１２はインクタンク
カートリッジ２を装置から抜きとるときのつまみ部材で
ある。本実施例では強度に優れた樹脂コーティングされ
た紙材であり、破線部分で折り曲げることができ、抜き
とるとき良好に機能するようになっている。

【００２６】図２は上記実施例のインクタンクカートリ
ッジを装着する記録手段の斜視図である。図２におい
て、２６は内蔵するエネルギー発生手段（圧電素子又は
電気熱変換体）を備え記録情報に応じて駆動しインク滴
を吐出する記録ヘッド、３０は記録ヘッド２６を搭載し
て主走査方向へ移動するキャリッジ、３４はキャリッジ
３０を摺動自在に支持するキャリッジ軸、３２は記録対
象の記録媒体、３５は記録媒体３２を記録状況に応じて
搬送するフィードローラである。

【００２７】Ｍはフィードローラ３５およびセット内の
記録媒体３２の自動給紙を行うための駆動源となるパル
スモータ、３７はキャップユニットを回復およびキャリ
ッジ軸３４に平行移動可能なポンプキャリッジ、３８は
ポンプキャリッジ３０の平行移動をガイドするガイド
軸、３９はポンプキャリッジ３０を図の右方向へ付勢す
るための戻しバネである。ポンプキャリッジ３７にはア
ーム部３７ａが設けられ、その先端部にはキャリッジ３
０の右側面に設けた突起３１が嵌入可能な穴３７ｂが設
けてある。穴３７ｂはキャリッジ３０が左に移動してき
たときに突起３１が嵌入して記録ヘッド２６の吐出面に
キャップ４３を被せるときに、キャリッジ３０が上下方
向に回動するのを防止している。

【００２８】スライドギア２８を支持しているスライド
ギア支持台４２は、スライド軸に沿ってキャリッジ走行
方向に移動可能に設けてある。このため、キャリッジ３
０が移動して、キャリッジ３０の突起３１がポンプキャ
リッジ３７のアーム部３７ａに当接し、一体となって移
動することにより、スライドギア２８はキャリッジ走行
方向に移動してパルスモータＭの駆動を受けるギア４６
に係合して回転可能になる。４１は紙送りギアに駆動力
を伝達するフィードギア、４０は自動給紙の紙送り用駆
動力を伝達するギア、３６は吸引回復装置としての吸引
ポンプ２７に吸引駆動力を伝達するポンプギアである。

【００２９】ギア３６，４０，４１は、不図示であるが
公知の駆動力伝達手段によって、上記内容の駆動を行わ
すためのものである。本実施例では、キャップ４３は、
ギア２８の駆動力を受けて記録ヘッド２６の吐出部に対
して圧接する位置と離間する位置とに移動される構成で
あるが、公知のガイドレールによってこれらの位置への
キャリッジ移動に伴って変位する構成としても良いこと
はいうまでもない。

【００３０】４４は記録ヘッド２６の吐出部表面をクリ
ーニングするブレードで、清掃位置と、退避する位置と
に不図示の公知の機構によって移動制御され、必要に応
じた記録ヘッドの清掃を行う。

【００３１】２５は、吸引ポンプ２７に接続された廃イ
ンク案内管であって、端部に、前述したインクタンクカ
ートリッジ２内の廃インク吸収体へ廃インクを排出する
端部２４を有している。

【００３２】５０は、記録ヘッド２６の回復制御手段で
あって、記録ヘッド２６のエネルギー発生体を記録ヘッ
ドがギャップ４３に対向している状態で駆動して、記録
とは異なるインクの吐出制御（予備吐出）を行わせる。
また、制御手段５０は、キャップ４３内のインクをポン
プ２７の作動によってインクタンクカートリッジ２内に
回収するための制御や、キャップ４３を記録ヘッド２６
に圧接した状態での吸引回復を行うためにポンプ２７を
作動せしめて記録ヘッド２６の回復を行ったりするもの
である。

【００３３】記録ヘッド２６へのインク供給はインクタ
ンクカートリッジ２から行う構成となっている。

【００３４】図３は第１実施例のインクタンクカートリ
ッジの上筐体２Ａの固定部材１０１部分と下筐体２Ｂの
固定部材１０５部分とを拡大して示した要部拡大斜視図
である。

【００３５】本実施例では、上筐体２Ａの凹部１０１ａ
と下筐体２Ｂの固定部材１０５によってインク導出部材
を押圧固定する構成となっている。

【００３６】図４は本実施例で使用するインク導出部材
１の斜視図であり、記録手段の本体側のインク導出針が
挿入されるインク導出部１ｂと、インク導出部１ｂより
大径の位置決め部１ａと、インク袋３との連結部１ｃと
から構成されている。

【００３７】第１実施例のインク導出部材１の横方向径
ｙは前述した下筐体２Ｂ側の固定部の横方向径ｘよりも
大径となっており、このような径の寸法関係としたこと
により、インク導出部材１が横方向からのみの押圧力ま
たは主として横方向からの押圧力（総称して、主として
横方向からの押圧力という）を受けて圧縮されることに
なる。

【００３８】この圧縮の状態は、あまり圧縮が強いとイ
ンク導出部材１を取り付ける際の作業性が悪くなるとと
もにインク導出針の抜き差しの操作が面倒となる。逆
に、圧縮力が弱い場合には、インク導出針を抜きとった
ときの穴を閉塞する効果が十分に得られない。

【００３９】従って、下筐体２Ｂの固定部横方向径ｘを
インク導出部材１の横方向径ｙの長さの約７５％ないし
９５％程度とすることにより、即ち、インク導出部材の
一方向の直径を、２５％ないし５％縮小する開口に、イ
ンク導出部材を挿入して一方向に圧縮することにより、
良好な押圧力を得ることができる。上記のように、横方
向からの押圧力を作用させて弾性体であるインク導出部
材１を圧縮変形させることで、インク導出針が突きささ
るインク導出部１ｂの領域に対して、常に均一で確実な
圧縮状態を形成し得る。なお、大径の位置決め部１ａに
よって筐体２Ａ，２Ｂに対してインク導出部材１を規定
の位置に装着し、移動することを防止している。

【００４０】本実施例で使用するインク導出部材１のイ
ンク導出部１ｂの形状は縦長の楕円形状１ｂであるが、
この形状はこれに限られるものでなく、横長であって
も、円形、長丸形状であっても筐体の固定部に装着され
ることで主として横方向からの押圧力が加わるような寸
法関係に構成してあればよい。また、押圧力は本例のよ
うに横方向からのみに限られず、インクタンクカートリ
ッジ２を上下筐体で挟み込むことで主として上下方向ま
たは斜め方向からの押圧力を加えるように構成してもよ
い。

【００４１】上記のように、一方向からの圧縮力を作用
させることでインク導出部材１の中心付近に比較的広範
囲にわたって圧縮応力の集中領域が形成される（図４中
の斜線領域）。これによりインク導出針の挿入位置のズ
レが生じた場合でも安定して確実に針穴跡を閉塞するこ
とができる。

【００４２】即ち、本発明は、インク導出部材に一方向
から押圧する圧縮力が作用するようにしてカートリッジ
筐体に取りつける構成となっていることに特徴がある。

【００４３】上記のように構成することにより、円形金
属環（タガ）を装着してラジアル方向の圧縮力を発生さ
せようとした従来のものに比べ、圧縮の確実性が高くな
る。しかも円形金属環が不要となるためコストの低減を
図ることができる。

【００４４】すなわち、従来のように円形金属環により
外周部全体から押圧し圧縮したのでは、圧縮力は円周方
向に働き、インク導出部材の円周方向の抗圧力によっ
て、中心方向に向う圧縮力は弱められ、中心付近の針穴
跡を閉じる効果は少なくなる。これに対して、実施例は
主として一方向に圧縮力を加えることにより、円周方向
の圧縮力，抗圧力は余り働かず、加えた圧縮力は、主と
して中心付近の針穴跡を閉じる力として有効に作用する
効果を利用したものである。

【００４５】（他の実施例）図５は、第２実施例を示す
要部拡大斜視図である。第１実施例がインクタンクカー
トリッジ２の上下筐体２Ａ，２Ｂによってインク導出部
材１を挟み込むことで一方向の圧縮力を加える構成であ
ったのに対して、第２実施例は図５に示すように、カー
トリッジ筐体に上下は半円、左右は平行直線の貫通孔１
０５ａを設け、貫通孔１０５ａの中に円形断面を有する
インク導出部材１を押し込み挿入する構成として、横方
向からの主として一方向の圧縮力をインク導出部材１に
加える構成となっている。

【００４６】上記の主として一方向の押圧力を加える構
成は、カートリッジ筐体を利用するだけでなく、円形で
はない金属環を利用して行うこともできる。そのような
構成のときも、前記の実施例と同様に弾性を有する断面
円形のインク導出部材に対して、例えば楕円形あるいは
長円形の開口を有する金属環をはめ込むことで主として
一方向（縦方向あるいは横方向）からの圧縮力を加える
構成とするか、あるいはインク導出部材の断面を楕円あ
るいは長円形とし、円形，楕円形あるいは長丸形の開口
を有する環状部材を装着することによってインク導出部
材に対する一方向の押圧力を発生させる構成としてもよ
い。

【００４７】図６は第３実施例の要部正面図、図７は第
３実施例の要部断面図である。第３実施例は、下筐体２
Ｂに設けた固定部材１０５に円形断面の穴１０５ｂが設
けてあり、横径が穴１０５ｂの径より大きい楕円形のイ
ンク導出部１ｂを有するインク導出部材１を挿入して、
インク導出部１ｂを横方向から押圧する構成となってい
る。そして上筺体２Ａを載置したとき、図７に示すよう
にインク導出部１ｂより大径の位置決め部１ａが納まる
凹部、インク袋３を連結した連結部１ｃが納まる開口部
が上筺体２Ａおよび下筺体２Ｂの接合面に形成してあ
り、インク導出針を差し込むとき、また抜き取るときイ
ンク導出部材１が前後方向に不安定となることを防止し
た構成となっている。

【００４８】本発明は、特にインクジェット記録装置の
中でも、インクの吐出を行なわせるために利用されるエ
ネルギーとして熱エネルギーを発生する手段を備え、前
記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方
式の記録ヘッド、記録装置において、優れた効果をもた
らすものである。かかる方式によれば記録の高密度化、
高精細化が達成できるからである。

【００４９】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第４７２３１２９号明細書，同第４７４０
７９６号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行なうものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド
型，コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体（インク）
が保持されているシートや流路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、
結果的にこの駆動信号に一対一対応し液体（インク）内
の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長，
収縮により吐出用開口を介して液体（インク）を吐出さ
せて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号を
パルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行な
われるので、特に応答性に優れた液体（インク）の吐出
が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号
としては、米国特許第４４６３３５９号明細書，同第４
３４５２６２号明細書に記載されているようなものが適
している。なお、前記熱作用面の温度上昇率に関する発
明の米国特許第４３１３２４４号明細書に記載されてい
る条件を採用すると、更に優れた記録を行なうことがで
きる。

【００５０】記録ヘッドの構成としては、前述の各明細
書に開示されているような吐出口，液路，電気熱変換体
の組み合わせ構成（直線状液流路または直角液流路）の
ほかに熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を
開示する米国特許第４５５８３３３号明細書，米国特許
第４４５９６００号明細書を用いた構成も本発明に有効
である。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通す
るスリットを電気熱変換対の吐出部とする構成を開示す
る特開昭５９ー１２３６７０号公報や熱エネルギーの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭５９ー１３８４６１号公報に基づいた構成とし
ても本発明は有効である。

【００５１】更に、実施例ではシリアルタイプのインク
ジェット記録装置を示したが、記録可能な最大幅に対応
した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドに対し
ても本発明は有効に適用できる。フルラインタイプの記
録ヘッドとしては、前述した明細書に開示されているよ
うな複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを
満たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとし
ての構成のいずれでも良いが、本発明は、前述した効果
を一層有効に発揮することができる。

【００５２】また、本発明のインクジェット記録装置の
構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手
段，予備的な補助手段を付加することは本発明の効果を
一層安定できるので好ましいものである。これらを具体
的に挙げれば、記録ヘッドに対しての、キャッピング手
段，クリーニング手段，加圧あるいは吸引手段，電気熱
変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの
組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行
なう予備吐出モードを行なうことも安定した記録を行な
うために有効である。

【００５３】また、搭載される記録ヘッド，インクの種
類ないし個数についても、例えば単色のインクおよび１
個の記録ヘッドが設けられたもののほか、記録色や濃度
を異にする複数のインクに対応して複数のヘッドが設け
られるものであってもよく、任意の組み合わせにおいて
も有効である。記録装置の記録モードとしては黒色等の
記録モードだけでなく、異なる色の複色カラー、または
混色によるフルカラーの各記録モードにおいても本発明
は有効である。

【００５４】以上、説明した本発明の実施例において
は、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以
下で凝固するインクであって、室温で軟化もしくは融解
するものや、あるいは、前述のインクジェットではイン
ク自体を３０℃以上７０℃以下の範囲で温度調整を行な
ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御
するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にイ
ンクが液状をなすものであれば良い。加えて、熱エネル
ギーによる昇温を防止するため、積極的にインクの固体
状態から液体状態への相変化のエネルギーとして使用せ
しめるか、または、インクの蒸発防止を目的として放置
状態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても
熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが
液化してインク液状として吐出するものや記録媒体に到
達する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱
エネルギーによって初めて液化する性質のインク使用も
本発明には適用可能である。本発明においては、前述し
た各インクに対して最も有効なものは、前述した膜沸騰
方式を実行するものである。

【００５５】また、本発明は電気を力に変換させてイン
クを吐出させるピエゾジェット方式等、記録媒体と非接
触に記録ヘッドを配設させ、インクを噴射させて記録す
る記録方式等のインクジェット方式において有効であ
る。

【００５６】更に加えて、本発明の記録装置の形態とし
ては、前述のようなワードプロセッサやコンピュータ等
の情報処理機器の出力端末として一体あるいは別体に設
けられるもののほかスキャナ等と組み合わせた複写装
置、さらには送信受信機能を有するファクシミリ装置の
形態をとるものであっても良い。

【００５７】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、インク導出部材は主として直径の一方向に圧縮され
た状態で筺体に収納されており、インク導出部材の略中
心部分に差し込まれるインク導出針にインク導出部材は
確実に密着してインクが漏れることを防止できる。また
をインク導出針を抜いたときはインク導出部材は確実に
針穴跡を圧縮して塞ぎインクが漏れることを常に確実に
防止することができる。

【００５８】上記作用は、従来のゴム栓が外周全体から
圧縮されるために、加えた圧縮力は円周方向の圧縮力と
なり、また円周方向の抗圧力となって、必要な中心方向
への圧縮力が弱まるのに対し、本発明の構成は、インク
導出部材を直径の一方向に圧縮することで、円周方向の
圧縮力、円周方向の抗圧力の発生は弱く、その分、一方
向に加えた圧縮力は主として中心への一方向の圧縮力と
して常に有効に作用することになるためである。

【００５９】なお、インク導出部材を締め付ける金属環
が不要であり部品コストの減少が可能である。また金属
環へのインク導出部材の組込みをする面倒な工程が不要
となり製造コストの低減が計れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例の分解斜視図である。

【図２】実施例を装着する記録手段の斜視図である。

【図３】第１実施例の要部拡大斜視図である。

【図４】第１実施例のインク導出部材の斜視図であ
る。

【図５】第２実施例の要部拡大斜視図である。

【図６】第３実施例の要部正面図である。

【図７】第３実施例の要部断面図である。

【図８】従来のインクタンクカートリッジの断面図で
ある。

【図９】従来のインクタンクカートリッジに使用する
ゴム栓と金属環の側面図である。

【符号の説明】

１インク導出部材１ａ位置決め部１ｂインク導出部２インクタンクカートリッジ２Ａ上筺体２Ｂ下筺体３インク袋１０１，１０５固定部材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】記録手段に供給するインクを収納したイ
ンク袋と、該インク袋から前記記録手段へインクを供給
するための導出部としてインク袋の一部に設けた弾性体
により形成したインク導出部材と、前記インク袋とイン
ク導出部材とを収納する筺体を備えたインクタンクカー
トリッジであって、前記インク導出部材は主として直径
の一方向に圧縮した状態にて前記筺体に収納したことを
特徴とするインクタンクカートリッジ。
【請求項２】剛体に設けた楕円形状の開口に断面が円
形の前記インク導出部材を挿入してインク導出部材を一
方向に圧縮したことを特徴とする請求項１記載のインク
タンクカートリッジ。
【請求項３】前記筺体に設けた楕円形状の開口に断面
が円形のインク導出部材を挿入することによりインク導
出部材を一方向に圧縮したことを特徴とする請求項１記
載のインクタンクカートリッジ。
【請求項４】インク導出部材の一方向の直径を該直径
の２５％ないし５％縮小する開口にインク導出部材を挿
入してインク導出部材を一方向に圧縮したことを特徴と
する請求項２または請求項３記載のインクタンクカート
リッジ。
【請求項５】前記インク導出材の一方向への圧縮は、
横方向からの押圧力によって発生させることを特徴とす
る請求項１ないし請求項４のいずれか記載のインクタン
クカートリッジ。
【請求項６】前記インク導出材の一方向への圧縮は、
縦方向からの押圧力によって発生させることを特徴とす
る請求項１ないし請求項４のいずれか記載のインクタン
クカートリッジ。