JPH05156100A - 樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

樹脂組成物およびその用途

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JPH05156100A
JPH05156100A JP31937191A JP31937191A JPH05156100A JP H05156100 A JPH05156100 A JP H05156100A JP 31937191 A JP31937191 A JP 31937191A JP 31937191 A JP31937191 A JP 31937191A JP H05156100 A JPH05156100 A JP H05156100A
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JP
Japan
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group
copolymer
cyclic olefin
formula
resin composition
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Application number
JP31937191A
Other languages
English (en)
Inventor
Yozo Yamamoto
本 陽 造 山
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明の樹脂組成物は、(A)軟化温度が7
0℃以上のエチレン・環状オレフィンランダム共重合
体、特定の環状オレフィンの開環重合体、または、この
開環重合体の水添物のいずれかの環状オレフィン系重合
体と、これらの樹脂成分100重量部に対して、(B)
導電性充填剤;5〜100重量%とからなることを特徴
としている。さらに、本発明は、上記のような樹脂組成
物からなる容器をも提供する。 【効果】 本発明の樹脂組成物から形成された容器は、
良好な帯電防止性または電磁波シールド性を有してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、特定の環状オレフィン系
重合体と導電性充填剤とからなる樹脂組成物、および、
この樹脂組成物から形成される優れた帯電防止性または
電磁波シールド性の良い容器に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来、電子部品を包装、収納ある
いは搬送する際の樹脂容器や電気電子機器の筐体とし
て、ポリスチレンやポリプロピレンなどのα-オレフィ
ン(共)重合体が使用されている。そして、一般に電子
部品を帯電した容器等に収容すると、帯電電圧によって
その特性が変化することがある。また、電気電子機器で
は外部からの電磁波による誤作動や逆に発生した電磁波
で他の機器を誤作動させるという問題が発生することが
ある。そこで、上記のようなポリスチレンやα-オレフ
ィン(共)重合体に導電性充填剤を配合することにより
帯電防止や電磁波シールドを行っている。
【0003】ところが、昨今では電子機器を製造する際
の技術が著しく進歩しており、容器に収納された電子部
品は、この状態で相当高温に晒されることが多くなり、
従来の電子部品を収納する容器自体に従来よりも高い耐
熱性が要求されてきている。従来から使用されているポ
リスチレンやα-オレフィン(共)重合体は、一般に融
点が低く、こうした電子機器製造技術の進歩に伴う高い
耐熱性への要求に対応できない。
【0004】また、電子機器は、無人化工程による製造
が主流になっており、こうした工程においては電子部品
を収納してラインを流れる容器の寸法精度が高いことが
必要になる。しかしながら、従来のα-オレフィン
(共)重合体からは、無人化工程に対応できる程の高い
寸法精度を有する容器は製造しにくい。一方、この容器
には、電子部品を洗浄する際にそのまま使用されること
もあるので、耐薬品性が高いことが必要であるが、寸法
精度の高い従来の非晶性樹脂では、この点が問題にな
る。
【0005】ところで、エチレンと嵩高なモノマーとを
反応させることによって得られる共重合体が知られてい
る。この共重合体は、従来のポリオレフィンと比較して
耐熱性等の諸特性に優れていることが報告されている
(例えば米国特許第2,883,372号明細書および特公昭46-
14910号公報参照)。
【0006】そして、嵩高なモノマーとして特定の環状
オレフィンを使用し、この環状オレフィンとエチレンと
を共重合させて得られた環状オレフィン系ランダム共重
合体が、耐熱性、耐熱老化性、耐溶剤性および誘電特性
に優れているとの知見に基づいて、本出願人は、特定の
環状オレフィンを用いたランダム共重合体(環状オレフ
ィン系ランダム共重合体)について既に出願している
(特開昭60-168708号公報、ならびに特願昭59-220550
号、同59-236828号、同59-236829号、同59-242336号お
よび同61-95906号明細書参照)。
【0007】上記のような環状オレフィン系ランダム共
重合体は、耐熱性等の特性に関しては電子部品を収容す
る容器を形成するのに適した特性を有しているが、この
共重合体は、本質的に絶縁体であり、電子部品を収容す
る容器として必要な帯電防止性または電磁波シールド性
を有すると共に、耐熱性、耐薬品性および寸法精度を有
する樹脂成形体を製造できる組成は知られていない。
【0008】
【発明の目的】本発明は、導電性を有する樹脂組成物お
よびこの樹脂組成物から形成される帯電防止性および/
または電磁波シールド性の良い容器を提供することを目
的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明の樹脂組成物は、 (A)(A-i) エチレンと、次式[I]または[II]で
表わされる環状オレフィンとのランダム共重合体であっ
て、軟化温度(TMA)が70℃以上である環状オレフ
ィン系ランダム共重合体、(A-ii) 下記式[I]または
[II]で表わされる少なくとも1種の環状オレフィンを
開環重合させることにより調製される環状オレフィン系
開環重合体、および(A-iii) 該開環重合体の水添物、よ
りなる群から選ばれる少なくとも一種類の環状オレフィ
ン系重合体と、組成物中における樹脂成分100重量部
に対して、 (B)導電性充填剤;5〜100重量%とからなること
を特徴としている。
【0010】
【化3】
【0011】…[I] ただし、上記式[I]において、nは0または1であ
り、mは0または正の整数であり、qは0または1であ
り、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる
群から選ばれる原子もしくは基を表し、R15〜R18は、
互いに結合して単環または多環の基を形成していてもよ
く、かつ該単環または多環の基が二重結合を有していて
もよく、また、R15とR16とで、またはR17とR18とで
アルキリデン基を形成していてもよい。
【0012】
【化4】
【0013】・・・[II] ただし、式[II]において、pおよびqは0または1以
上の整数であり、mおよびnは0、1または2であり、
1〜R19はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、
脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素
基およびアルコキシ基よりなる群から選ばれる原子もし
くは基を表し、R9およびR10が結合している炭素原子
と、R13が結合している炭素原子またはR11が結合して
いる炭素原子とは直接あるいは炭素原子数1〜3のアル
キレン基を介して結合していてもよく、また、n=m=
0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに結合し
て単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
【0014】さらに本発明は、上記のような樹脂組成物
から形成された帯電防止性および電磁波シールド性のよ
い容器をも提供する。本発明の樹脂組成物は、環状オレ
フィン系の樹脂に特定量の導電性充填剤が配合されてい
るので、この樹脂組成物から形成された成形体は良好な
帯電防止性または電磁波シールド性を有する。
【0015】
【発明の具体的説明】次に本発明の組成物について具体
的に説明する。まず、本発明で(A)成分として使用さ
れる環状オレフィン系ランダム共重合体について説明す
る。
【0016】本発明の樹脂組成物は、(A-i) エチレン
と、次式[I]または[II]で表わされる環状オレフィ
ンとのランダム共重合体であって、軟化温度(TMA)
が70℃以上である環状オレフィン系ランダム共重合
体、(A-ii) 下記式[I]または[II]で表わされる少
なくとも1種の環状オレフィンを開環重合させることに
より調製される環状オレフィン系開環重合体、および(A
-iii) 該開環重合体の水添物、よりなる群から選ばれる
少なくとも一種類の環状オレフィン系重合体(A)を含
有している。
【0017】環状オレフィン系重合体(A)のうち、環
状オレフィン系ランダム共重合体(A-i)は、次式[I]ま
たは[II]またはで示される環状オレフィン類とエチレ
ンとがランダムに共重合した共重合体である。
【0018】
【化5】
【0019】・・・[I] ただし、上記式[I]において、nは0または1であ
り、mは0または正の整数であり、qは0または1であ
る。なお、qが0の場合、この環は五員環であり、1の
場合には、この環は六員環である。
【0020】また、上記式[I]において、R1〜R18
並びにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハ
ロゲン原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原
子もしくは基を表す。ここで、ハロゲン原子としては、
例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素
原子を挙げることができる。また、炭化水素基として
は、それぞれ独立に、通常は、炭素原子数1〜20のア
ルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル
基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基および芳香
族炭化水素基を挙げることができ、アルキル基の具体的
な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソ
プロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシ
ル基、ドデシル基およびオクタデシル基を挙げることが
でき、ハロゲン化アルキルの具体的な例としては、上記
のようなアルキル基を形成している水素原子の少なくと
も一部がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素
原子で置換された基を挙げることができる。また、シク
ロアルキル基の具体的な例としては、シクロヘキシル基
を挙げることができ、芳香族炭化水素基の具体的な例と
してはフェニル基およびナフチル基を挙げることがで
き、これらの基は低級アルキル基を有していてもよい。
さらに、上記式[I]において、R15とR16とが、R17
とR18とが、R15とR17とが、R16とR18とが、R15
18とが、あるいはR16とR17とがそれぞれ結合して
(互いに共同して)、単環または多環の基を形成してい
てもよく、しかも、このようにして形成された単環また
は多環の基が二重結合を有していてもよい。ここで単環
または多環の基の例としては、以下に記載する基を挙げ
ることができる。
【0021】
【化6】
【0022】なお、上記の例示した基において、1およ
び2の番号を賦した炭素原子は、式[I]において、R
15〜R18で表される基が結合している脂環構造の炭素原
子を表す。
【0023】また、式[I]において、R15とR16
で、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成してい
てもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原
子数2〜20のアルキリデン基であり、このようなアル
キリデン基の具体的な例としては、エチリデン基、プロ
ピリデン基およびイソプロピリデン基を挙げることがで
きる。
【0024】環状オレフィンとして、次式[II]で表さ
れる環状オレフィンを用いることもできる。
【0025】
【化7】
【0026】・・・[II] ただし、式[II]において、pおよびqは0または1以
上の整数であり、mおよびnは0、1または2である。
【0027】また、R1〜R19はそれぞれ独立に水素原
子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素
基、芳香族炭化水素基およびアルコキシ基よりなる群か
ら選ばれる原子もしくは基を表す。ここで、R9および
10が結合している炭素原子と、R13が結合している炭
素原子またはR11が結合している炭素原子とは直接ある
いは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合して
いてもよい。すなわち、上記二個の炭素原子がアルキレ
ン基を介して結合している場合には、R9およびR13
表される基が、または、R10およびR11で表される基が
互いに共同して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2
CH2-)またはプロピレン基(-CH2CH2CH2-)の内のいずれか
のアルキレン基を形成している。
【0028】さらに、n=m=0のとき、R15とR12
たはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳
香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多
環の芳香族環の例としては、n=m=0のときR15とR
12がさらに芳香族環を形成している以下に記載する基を
挙げることができる。
【0029】
【化8】
【0030】上記式において、qは式[II]におけるの
と同じ意味である。式[II]において、ハロゲン原子
は、上記式[I]におけるハロゲン原子と同じ意味であ
る。また、ここで脂肪族炭化水素基は、炭素原子数1〜
20のアルキル基あるいは炭素原子数1〜20のハロゲ
ン化アルキル基である。アルキル基の具体的な例として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ド
デシル基およびオクタデシル基を挙げることができ、ハ
ロゲン化アルキル基の具体的な例としては、上記のよう
なアルキル基を形成している水素原子の少なくとも一部
がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で
置換された基を挙げることができる。また、脂環族炭化
水素基の具体的な例としては、シクロヘキシル基を挙げ
ることができ、芳香族炭化水素基の具体的な例としては
フェニル基およびナフチル基を挙げることができ、これ
らの基は低級アルキル基を有していてもよい。
【0031】式[I]および[II]で表される環状オレ
フィンの例としては、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン
誘導体、テトラシクロ[4,4,0,12.5,17.10]-3-ドデセ
ン誘導体、ヘキサシクロ[6,6,1,13.6,110.13,02.7,0
9.14]-4-ヘプタデンセン誘導体、オクタシクロ[8,8,
0,12.9,14.7,111.18,113.16,03.8,012.17]-5-ドコセン
誘導体、ペンタシクロ[6,6,1,13.6,02.7,09.14]-4-ヘ
キサデセン誘導体、ヘプタシクロ-5-エイコセン誘導
体、ヘプタシクロ-5-ヘンエイコセン誘導体、トリシク
ロ[4,3,0,12.5]-3-デセン誘導体、トリシクロ[4,3,
0,12.5]-3-ウンデセン誘導体、ペンタシクロ[6,5,1,1
3.6,02.7,09.13]-4-ペンタデセン誘導体、ペンタシク
ロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ[7,4,0,12.5,
19.12,08.13]-3-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ[8,
7,0,1,3,6,110.17,112.15,02.7,011.16]-4-エイコセン
誘導体、ノナシクロ[10,9,1,14.7,113.20,115.18,03.8,
02.10,012. 21,014.19]-5-ペンタコセン誘導体、ペンタ
シクロ[8,4,0,12.3,19.12,08.13]-3-ヘキサデセン誘導
体、ペンタシクロ[8,8,0,14.7,111.18,113.16,03.8,0
12.17]-5-ヘンエイコセン誘導体、ノナシクロ[10,10,1,
15.8,114.21,116.19,02.11,04.9,013.22,015.20]-5-ヘ
キサコセン誘導体、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン誘導
体、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレン誘
導体、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロアン
トラセン誘導体およびシクロペンタジエン-アセナフチ
レン付加物などを挙げることができる。
【0032】以下にこのような環状オレフィンの具体的
な例を示す。
【0033】
【化9】
【0034】
【化10】
【0035】
【化11】
【0036】
【化12】
【0037】
【化13】
【0038】
【化14】
【0039】
【化15】
【0040】
【化16】
【0041】
【化17】
【0042】
【化18】
【0043】
【化19】
【0044】
【化20】
【0045】
【化21】
【0046】
【化22】
【0047】
【化23】
【0048】
【化24】
【0049】
【化25】
【0050】
【化26】
【0051】
【化27】
【0052】
【化28】
【0053】
【化29】
【0054】
【化30】
【0055】上記式[I]または[II]で示される環状
オレフィンは、シクロペンタジエン類と対応するオレフ
ィン類とをディールズ・アルダー反応させることにより
製造することができる。
【0056】本発明で使用される環状オレフィン系ラン
ダム共重合体(A-i)において、上記式[I]または[II]
で表わされる環状オレフィンは、エチレンとランダムに
付加重合している。
【0057】この環状オレフィン系ランダム共重合体(A
-i)において、エチレンから誘導される繰り返し単位/
環状オレフィンから誘導される繰り返し単位は、通常1
0/90〜95/5、好ましくは50/50〜80/2
0の範囲内のモル比で結合している。上記のようにエチ
レンから誘導される繰り返し単位と環状オレフィンから
誘導される繰り返し単位との比率を調整することによ
り、共重合体の軟化温度を70℃以上にすることができ
る。
【0058】環状オレフィン系ランダム共重合体(A-i)
は、例えば、エチレンと環状オレフィンとを、炭化水素
媒体中、炭化水素可溶性バナジウム化合物およびハロゲ
ン含有有機アルミニウム化合物とから形成される触媒の
存在下で重合させることにより製造することができる。
【0059】ここで用いられる炭化水素溶媒としては、
例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよび灯油等の
脂肪族炭化水素;シクロヘキサンおよびメチルシクロヘ
キサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエンおよび
キシレン等の芳香族炭化水素を挙げることができる。さ
らに共重合体の調製の際に使用できる重合性不飽和単量
体のうちで反応温度において液体である化合物を反応溶
媒として用いることもできる。これらの溶媒は単独で、
あるいは組合わせて使用することができる。
【0060】上記のエチレンと式[I]または[II]で
表わされる環状オレフィンとの反応の際に用いられる触
媒としては、反応溶媒として用いる炭化水素溶媒に可溶
なバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからな
る触媒を挙げることができる。
【0061】ここで触媒として用いられるバナジウム化
合物としては、式 VO(OR)ab、若しくは、式
V(OR)cdで表わされる化合物を挙げることができ
る。ただし、上記の式において、Rは炭化水素基であ
り、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c
≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4の関係を有する。
【0062】さらにバナジウム化合物は、上記式で表わ
されるバナジウム化合物の電子供与体付加物であっても
よい。上記バナジウム化合物と付加物を形成する電子供
与体の例としては、炭素原子数1〜18のアルコール
類、炭素原子数6〜20のフェノール類(これらのフェ
ノール類は、低級アルキル基を有してよい)、炭素原子
数3〜15のケトン類、炭素原子数2〜15のアルデヒ
ド類、炭素原子数2〜30の有機酸エステル類、炭素原
子数2〜15の酸ハライド類、炭素原子数2〜20のエ
ーテル類、アミン類、ニトリル類およびアルコキシシラ
ン類を挙げることができる。これらの電子供与体は、単
独であるいは組合わせて使用することができる。
【0063】バナジウム化合物の具体的な例としては、
VOCl3、VO(OC25)Cl2、VO(OC25
2Cl、VO(O-iso-C37)Cl2、VO(O-n-C4
9)Cl2、VO(OC253、VOBr2、VCl4
VOCl2、VO(O-n-C4 93およびVCl3・2
(OC817OH)を挙げることができる。これらのバ
ナジウム化合物は単独で、あるいは組合わせて使用する
ことができる。
【0064】有機アルミニウム化合物としては、分子内
に少なくとも1個のAl-炭素結合を有する化合物を用
いることができる。ここで有機アルミニウム化合物の例
としては、(i)式R1 mAl(OR2npq (ここ
でR1およびR2は炭素原子数が、通常は1〜15、好ま
しくは1〜4の炭化水素基で、これらは互いに同一でも
異なっていてもよい。Xはハロゲン、mは0≦m≦3、
nは0≦n<3、pは0≦n<3、qは0≦q<3の数
であって、しかもm+n+p+q=3である)で表わさ
れる有機アルミニウム化合物、(ii)式M1AlR1 4
(ここでM1はLi、Na、Kであり、R1は前記と同じ
意味である)で表わされる第I族金属とアルミニウムと
の錯アルキル化物を挙げることができる。
【0065】前記の式(i)で表わされる有機アルミニ
ウム化合物の例としては、具体的には以下に記載する化
合物を挙げることができる。式 R1 mAl(OR23-m
(ここでR1およびR2は前記と同じ意味であり、mは
好ましくは1.5≦m<3の数である)で表わされる化
合物。
【0066】式 R1 mAlX3-m (ここでR1は前記と
同じ意味であり、Xはハロゲン、mは好ましくは0<m
<3である)で表わされる化合物。式 R1 mAlH3-m
(ここでR1は前記と同じ意味であり、mは好ましく
は2≦m<3である)で表わされる化合物。
【0067】式 R1 mAl(OR2nq (ここでR1
およびR2は前記と同じ意味である。Xはハロゲン、0
<m≦3、0≦n<3、0≦q<3で、m+n+q=3
である)で表わされる化合物。
【0068】上記式(ii)で表わされる有機アルミニウ
ム化合物の具体的な例としては、トリアルキルアルミニ
ウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニ
ウムアルコキシド、アルキルアルミニウムセスキアルコ
キシド、式R1 2.5Al(OR20.5等で表わされる平均
組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアル
ミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキル
アルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジ
ハライドのように部分的にハロゲン化されたアルキルア
ルミニウム、ジアルキルアルミニウムヒドリド、アルキ
ルアルミニウムジヒドリドのように部分的に水素化され
たアルキルアルミニウム、ならびに部分的にアルコキシ
化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムを挙げ
ることができる。
【0069】前記の式(ii)で表わされる有機アルミニ
ウム化合物の例としては、LiAl(C254および
LiAl(C7154を挙げることができる。これらの
中では、特にアルキルアルミニウムハライド、アルキル
アルミウムジハライドまたはこれらの混合物を用いるの
が好ましい。
【0070】有機アルミニウム化合物は、例えば酸素原
子あるいは窒素原子を介して、2以上のアルミニウムが
結合した有機アルミニウム化合物のように式(ii)で表
わされる化合物に類似する化合物であってもよい。この
化合物の具体的な例としては、(C252AlOAl
(C252、(C492AlOAl(C492およ
び(C252AlN(C65)Al(C252を挙げ
ることができる。
【0071】上記のバナジウム化合物の使用量は、バナ
ジウム原子として、通常は0.01〜5グラム原子/リ
ットル、好ましくは0.05〜3グラム原子/リットル
の範囲内にある。また、有機アルミニウム化合物の使用
量は、重合反応系内のバナジウム原子に対するアルミニ
ウム原子の比(Al/V)として表わすと、通常は2以
上、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20の範
囲内にある。
【0072】このような重合方法自体はすでに公知であ
り、重合に際しては、例えば特開昭60-168708号、同61-
120816号、同61-115912号、同61-115916号、同61-27130
8号、同61-272216号、同62-252406号および同62-252407
号などの公報に提案されている方法を利用することがで
きる。
【0073】このような難軟化性環状オレフィン系ラン
ダム共重合体中において、例えば上記式[I]で表わさ
れる環状オレフィンの少なくとも一部は、次式[I-A]
で表わされる構造を形成してエチレンから誘導される繰
り返し単位とランダムに結合しているものと考えられ
る。
【0074】
【化31】
【0075】・・・[I-A] ただし、上記式[I-A]において、R1〜R18並びにq、
mおよびnは、式[I]におけるのと同じ意味である。
【0076】また、式[II]で表される環状オレフィン
の少なくとも一部は、次式[II-A]で表わされる構造を
形成してエチレンから誘導される繰り返し単位とランダ
ムに結合しているものと考えられる。
【0077】
【化32】
【0078】・・・[II-A] ただし、上記式[II-A]において、R1〜R19並びに
p、q、mおよびnは、式[II]におけるのと同じ意味
である。
【0079】環状オレフィン系ランダム共重合体(A-i)
中において、エチレンから誘導される繰り返し単位と、
環状オレフィンから誘導される繰り返し単位とは、ラン
ダムに、かつ実質上線状に配列されている。この難軟化
性環状オレフィン系ランダム共重合体が、実質上線状で
あり、かつゲル状物を形成する架橋構造を有していない
ことは、この共重合体が、135℃のデカリンに完全に
溶解することにより確認することができる。
【0080】本発明で使用される上記環状オレフィン系
ランダム共重合体(A-i)においては、重合体の性質を損
なわない範囲で環状オレフィンとエチレンの他に、α-
オレフィン(第3モノマー)および/または上記式
[I]または[II]で表わされる環状オレフィン以外の
環状オレフィン(他の環状オレフィン)を加えて付加重
合させることにより得られる共重合体を使用することも
できる。
【0081】ここで使用されるα-オレフィンは、直鎖
状であっても分岐鎖状であってもよく、このようなα-
オレフィンの例としては、プロピレン、1-ブテン、4-メ
チル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセ
ン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-
オクタデセンおよび1-エイコセンのような炭素原子数3
〜20のα-オレフィンを挙げることができる。これら
の中でも、炭素原子数3〜15、特に3〜10のα-オ
レフィンを使用することが好ましい。
【0082】また、「他の環状オレフィン」は、式
[I]および[II]で表わされる環状オレフィンを除
く、不飽和多環式炭化水素化合物を含む広い概念で用い
られる。より具体的には、他の環状オレフィンの例とし
ては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセ
ン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-メチルシクロヘキ
セン、2-(2-メチルブチル)-1-シクロヘキセン、スチレ
ン、α-メチルスチレンおよび3a,5,6,7a-テトラヒドロ-
4,7-メタノ-1H-インデンなどを挙げることができる。
【0083】環状オレフィン系ランダム共重合体(A-i)
中に上記α-オレフィンから誘導される繰り返し単位
は、0〜50モル%、他の環状オレフィンから誘導され
る繰り返し単位は、0〜50モル%の量で含有させるこ
とができる。共重合体の軟化温度は、これらの繰り返し
単位の含有率を調整することによっても制御することが
できる。
【0084】なお、他の環状オレフィンが、分子内に二
個以上の二重結合を有している場合には付加重合に寄与
せずに共重合体中に残存している二重結合を水素添加す
ることもできる。
【0085】上記のようにして付加重合を行った後、必
要により水素添加を行うことにより、本発明で使用され
る環状オレフィン系ランダム共重合体(A-i)の沃素価を
通常5以下、多くの場合1以下にすることができる。
【0086】環状オレフィン系ランダム共重合体(A-i)
中において、原料として使用された環状オレフィンが、
例えば上記式[I-A]あるいは[II-A]で示す構造を有
することは、この環状オレフィン系ランダム共重合体に
ついての13C−NMRの測定結果から確認することがで
きる。環状オレフィン系ランダム共重合体(A-i)におけ
る上記のような構造は化学的な安定性が高い。
【0087】環状オレフィン系ランダム共重合体(A-i)
としては、軟化温度(TMA)が70℃以上の共重合体
が使用される。さらに本発明においては、この軟化温度
が70〜250℃の範囲内にある共重合体を使用するこ
とが好ましく、そして70〜200℃の範囲内の共重合
体を使用することが特に好ましい。
【0088】また、この環状オレフィン系ランダム共重
合体(A-i)の極限粘度[η]は、通常は0.05〜10d
l/g、好ましくは0.08〜5dl/gの範囲内にある。な
お、本発明において、環状オレフィン系共重合体(A)
の極限粘度[η]は、135℃のデカリン中で測定した
値である。
【0089】次に、本発明で環状オレフィン系重合体と
して使用される環状オレフィン開環重合体(A-ii)および
水素化開環重合体(A-iii)について説明する。環状オレ
フィン系重合体(A)のうち、環状オレフィン開環重合
体(A-ii)は、上記式[I]または[II]で表される環状
オレフィンを、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジ
ウム、オスミウム、インジウム、あるいは白金などの金
属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合
物と、還元剤とからなる触媒;チタン、パラジウム、ジ
ルコニウム、あるいはモリブデン等の金属のハロゲン化
物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム
とからなる触媒の存在下に開環させながら(共)重合さ
せることにより製造することができる。
【0090】この環状オレフィン開環重合体中において
式[I]で表される環状オレフィンで表される環状オレ
フィンの少なくとも一部は[I-B]で表される構造を有
していると考えられる。
【0091】
【化33】
【0092】・・・[I-B] なお、上記式[I-B]において、R1〜R18、Raおよび
b、並びにm、nおよびqは式[I]におけるのと同じ
意味である。
【0093】また、この環状オレフィン開環重合体中に
おいて式[II]で表される環状オレフィンで表される環
状オレフィンの少なくとも一部は[II-B]で表される構
造を有していると考えられる。
【0094】
【化34】
【0095】・・・[II-B] ただし、上記式[II-B]において、R1〜R19並びに
p、q、mおよびnは、式[II]におけるのと同じ意味
である。
【0096】また、この開環重合体の水添物(水素化開
環重合体)(A-iii)は、上記のようにして得られた環状
オレフィン開環重合体(A-ii)を、水素添加触媒の存在下
に水素で還元することにより製造することができる。
【0097】ここで使用される水素添加触媒としては、
オレフィン類の水素添加の際に通常使用されている触媒
を使用することができる。このような水素添加触媒には
不均一触媒と均一触媒とがある。ここで使用される不均
一触媒の具体的な例としては、ニッケル、パラジウムお
よび白金などの金属、またはこれらの金属をカーボン、
シリカ、ケイ藻土、アルミナあるいは酸化チタン等の担
体に担持された固体触媒を挙げることができる。こうし
た担体担持型固体触媒の代表的な例としては、ニッケル
/シリカ、ニッケル/ケイ藻土、パラジウム/カーボ
ン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイ藻土および
パラジウム/アルミナを挙げることができる。また、均
一系触媒は、一般には周期律表第VIII族金属を基体とす
る触媒であり、具体的な例としては、ナフテン酸ニッケ
ル/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n-
ブチルリチウム、ニッケルアセチルアセトネート/トリ
エチルアルミニウムのようにNi化合物あるいはCo化
合物と周期律表第I〜III族金属の有機金属化合物とか
らなる触媒およびRh化合物を含む触媒を挙げることが
できる。
【0098】環状オレフィン開環重合体の水素添加反応
に際して反応条件は種々設定することができるが、通常
は1〜150気圧の水素圧下で、反応温度を通常は0〜
180℃、好ましくは20〜150℃の範囲内に設定し
て反応させる。水素添加率は、水素圧、反応温度、反応
時間、触媒濃度等を考慮して調整することができるが、
本発明においては、開環重合体の主鎖が有している二重
結合の50モル%以上、好ましくは80モル%以上、特
に好ましくは90モル%以上が水素添加された添物(A-i
ii)を使用することにより耐熱性および耐熱老化性のよ
い成形体を製造することができる。
【0099】この開環重合体の水添物(A-iii)中におい
て式[I]で表される環状オレフィンで表される環状オ
レフィンの少なくとも一部は[I-C]で表される構造を
有していると考えられる。
【0100】
【化35】
【0101】・・・[I-C] なお、上記式[I-C]において、R1〜R18、Raおよび
b、並びにm、nおよびqは式[I]におけるのと同じ
意味である。
【0102】また、この開環重合体の水添物(A-iii)中
において式[II]で表される環状オレフィンで表される
環状オレフィンの少なくとも一部は[II-C]で表される
構造を有していると考えられる。
【0103】
【化36】
【0104】・・・[II-C] ただし、上記式[II-C]において、R1〜R19並びに
p、q、mおよびnは、式[II]におけるのと同じ意味
である。
【0105】本発明のおいて、環状オレフィン系重合体
(A)としては、環状オレフィン系ランダム共重合体(A
-i)、環状オレフィン開環重合体(A-ii)および水素化開
環重合体(A-iii)を単独で使用することもできるし、組
み合わせて使用することもできる。
【0106】このような環状オレフィン系重合体(A)
は、熱分解温度が通常は350〜420℃、多くの場合
370〜400℃の範囲内にあり、密度は、通常は0.
86〜1.10g/cm3 、多くの場合0.88〜1.0
8g/cm3 の範囲にある。
【0107】また、この環状オレフィン系重合体(A)
の電気的性質として、ASTM D150で測定した誘電率(1K
Hz)は、通常は1.5〜3.0、多くの場合1.9〜
2.6、誘電正接は、通常は、9×10-4〜8×1
-5、多くの場合3×10-4〜9×10-5の範囲内にあ
る。そして、この環状オレフィン系重合体(A)自体
は、絶縁性を示す。
【0108】本発明の樹脂組成物には、樹脂成分として
上記環状オレフィン系重合体(A)が含有されている
が、さらに本発明の樹脂組成物には他の樹脂を配合する
こともできる。
【0109】上記の環状オレフィン系重合体(A)と共
に使用することができる樹脂としては、種々の樹脂を使
用することができるが、特に低弾性率共重合体(C)お
よび/または結晶性ポリオレフィン(D)を使用するこ
とが好ましい。
【0110】本発明において、低弾性率共重合体(C)
としては、引張弾性率が2000kg/cm2以下、好ましく
は0.1〜1000kg/cm2の範囲内にあり、190℃で
測定したメルトフローレート(MFR)が、通常は0.
1〜30g/10分、好ましくは通常は1.0〜20g/10分
の範囲内にある低弾性率共重合体が使用される。
【0111】このような低弾性率共重合体(C)の例と
しては、(C-i) 少なくとも2種類のα-オレフィンから
形成される非晶性乃至低結晶性α-オレフィン系低弾性
率共重合体、(C-ii)少なくとも2種類のα-オレフィン
と、少なくとも1種類の共役ジエンから形成されるα-
オレフィン・ジエン系低弾性率共重合体、および(C-ii
i) 芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン共重合体また
はその水素化物を挙げることができる。
【0112】α-オレフィン系低弾性率共重合体(C-i)
は、少なくとも2種のα-オレフィンから調製されてい
る非晶性乃至低結晶性の共重合体である。具体的な例と
しては、エチレン・α-オレフィン共重合体およびプロピ
レン・α-オレフィン共重合体、またはこれらにさらに前
記式[I]または[II]で表される環状オレフィンが共
重合した三元共重合体等を挙げることができる。
【0113】エチレン・α-オレフィン共重合体を形成す
るα-オレフィンとしては、炭素原子数が3〜20のα-
オレフィンが用いられ、具体的な例としては、プロピレ
ン、ブテン-1、4-メチルブテン-1、ヘキセン-1、オクテ
ン-1、デセン-1およびこれらの混合物を挙げることがで
きる。この内、特に炭素原子数3〜10のα-オレフィ
ンが好ましい。
【0114】エチレン・α-オレフィン共重合体中におけ
るエチレンから誘導される繰り返し単位とα-オレフィ
ンから誘導される繰り返し単位のモル比(エチレン/α
-オレフィン)は、α-オレフィンの種類によっても異な
るが、通常は40/60〜95/5である。また、上記
モル比はα-オレフィンとしてプロピレンを使用した場
合には、40/60〜90/10であることが好まし
く、α-オレフィンとして炭素原子数4以上のα-オレフ
ィンを使用する場合には、50/50〜95/5である
ことが好ましい。
【0115】プロピレン・α-オレフィン共重合体を形成
するα-オレフィンとしては、通常は、炭素原子数が4
〜20のα-オレフィンが使用される。具体的には、例
えば、ブテン-1、4-メチルペンテン-1、ヘキセン-1、オ
クテン-1、デセン-1およびこれらの混合物を挙げること
ができる。特に炭素原子数4〜10のα-オレフィンが
好ましい。
【0116】上記のようなプロピレン・α-オレフィン共
重合体においては、プロピレンから誘導される繰り返し
単位とα-オレフィンから誘導される繰り返し単位との
モル比(プロピレン/α-オレフィン)は、α-オレフィ
ンの種類によっても異なるが、通常は50/50〜95
/5である。
【0117】上記α-オレフィン系低弾性率共重合体(C-
i)は、低結晶性乃至非晶性であり、このα-オレフィン
系低弾性率共重合体(C-i)についてX線回折法により測
定した結晶化度は、通常は0〜10%、好ましくは0〜
7%、特に好ましくは0〜5%の範囲内にある。また、
α-オレフィン系低弾性率共重合体(C-i)について135
℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、通常は
0.01〜10dl/g 、好ましくは0.08〜7dl/g
の範囲内にあり、ガラス転移温度(Tg)は、通常は0
℃以下、好ましくは−10℃以下、特に好ましくは−2
0℃以下である。
【0118】α-オレフィン・ジエン系低弾性率共重合体
(C-ii) としては、エチレン・α-オレフィン・ジエン共重
合体ゴム、プロピレン・α-オレフィン・ジエン共重合体
ゴム、またはこれらにさらに前記式[I]または[II]
で表される環状オレフィンが共重合した四元共重合体等
を使用することができる。
【0119】これらの共重合体ゴムを調製するに際して
は、通常は炭素原子数3〜20のα-オレフィンが使用
される。このようなα-オレフィンの具体的な例として
は、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、4-メチルペン
テン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、デセン-1およびこれ
等の混合物などを挙げることができる。これらの中で
は、炭素原子数3〜10のα-オレフィンが好ましい。
ただし、プロピレン・α-オレフィン・ジエン共重合体の
場合にはα-オレフィンとしては、炭素原子数4〜20
のα-オレフィンが使用される。
【0120】また、α-オレフィン・ジエン系低弾性率共
重合体(C-ii)を形成するジエンの例としては、1,4-ヘキ
サジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジ
エン、6-メチル-1,5-ヘプタジエンおよび7-メチル-1,6-
オクタジエンのような鎖状非共役ジエン;シクロヘキサ
ジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロイ
ンデン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノル
ボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピ
リデン-2-ノルボルネンおよび6-クロロメチル-5-イソプ
ロペニル-2-ノルボルネンのような環状非共役ジエン、
ならびに、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2
-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネンおよ
び2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン等を挙げること
ができる。
【0121】α-オレフィン・ジエン系低弾性率共重合
体(C-ii)がエチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体ゴ
ムである場合において、この共重合体ゴム中におけるエ
チレンから誘導される繰り返し単位とα-オレフィンか
ら誘導される繰り返し単位とのモル比(エチレン/α-
オレフィン)は、α-オレフィンの種類によっても相違
するが、通常は40/60〜90/10である。
【0122】また、α-オレフィン・ジエン系低弾性率
共重合体(C-ii)におけるジエン成分から誘導される繰り
返し単位の含有量は、通常は1〜20モル%、好ましく
は2〜15モル%である。
【0123】このα-オレフィン・ジエン系低弾性率共
重合体(C-ii)について135℃のデカリン中で測定した
極限粘度[η]は、通常は0.01〜10dl/g 、好ま
しくは0.08〜7dl/gの範囲内にあり、ガラス転移
温度(Tg)は、通常は0℃以下、好ましくは−10℃
以下、特に、好ましくは−20℃以下である。また、X
線回折法により測定した結晶化度は0〜10%、好まし
くは0〜7%、特に好ましくは0〜5%の範囲内にあ
る。
【0124】芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン系共
重合体(C-iii)は、芳香族ビニル系炭化水素と共役ジエ
ン系化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体で
あり、さらに本発明においてはこれらの水素化物を使用
することもできる。具体的な例としては、スチレン・ブ
タジエンブロック共重合体ゴム、スチレン・ブタジエン・
スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン・イソプレン
ブロック共重合体ゴム、スチレン・イソプレン・スチレン
ブロック共重合体ゴム、水素添加スチレン・ブタジエン・
スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン・イソプ
レン・スチレンブロック共重合体ゴムおよびスチレン・ブ
タジエンランダム共重合体ゴム等を挙げることができ
る。
【0125】これらの共重合体ゴム中において、芳香族
ビニル炭化水素から誘導される繰り返し単位と共役ジエ
ンから誘導される繰り返し単位とのモル比(芳香族ビニ
ル炭化水素/共役ジエン)は、通常は10/90〜70
/30である。ここで、水素添加した共重合体ゴムと
は、上記の共重合体ゴム中に残存する二重結合の一部ま
たは全部を水素化した共重合体ゴムである。
【0126】この芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン
系共重合体またはその水添物(C-iii)について135℃
のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、通常は0.
01〜10dl/g 、好ましくは0.08〜7dl/gの範
囲内にあり、ガラス転移温度(Tg)は、通常は0℃以
下、好ましくは−10℃以下、特に、好ましくは−20
℃以下である。また、X線回折法により測定した結晶化
度は0〜10%、好ましくは0〜7%、特に好ましくは
0〜5%の範囲内にある。
【0127】本発明において、上記のような低弾性率共
重合体(C)としては、上記(C-i)、(C-ii)および(C-ii
i)の中のいずれの低弾性率共重合体を使用することがで
き、これらは単独で使用することもできるし、組み合わ
せて使用することもできる。
【0128】上記のような低弾性率共重合体(C)を使
用する場合に、この低弾性率共重合体(C)は、(A)
成分である環状オレフィン系ランダム共重合体100重
量部に対して、通常は5〜100重量部、好ましくは7
〜80重量部、特に好ましくは10〜70重量部の量で
使用される。
【0129】さらに、本発明の樹脂組成物には、他の樹
脂成分として結晶性ポリオレフィン(D)を配合するこ
ともできる。結晶性ポリオレフィン(D)の例として
は、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリ4-メチルペン
テン-1等の炭素数2〜10のα-オレフィンの重合体、
これらと炭素数2〜20のα-オレフィンとの共重合
体、および、これらと前記(C-i)および/または(C-ii)
との組成物を挙げることができる。
【0130】この結晶性ポリオレフィンの135℃デカ
リン中で測定した極限粘度[η]は、通常は0.8〜7d
l/gの範囲内にあり、X線回折法により測定した結晶化
度は、通常は2〜60%、好ましくは5〜50%の範囲
内にある。
【0131】上記のような結晶性ポリオレフィン(D)
を使用する場合に、この結晶性ポリオレフィン(D)
は、(A)成分である環状オレフィン系ランダム共重合
体100重量部に対して、5〜100重量部、好ましく
は7〜80重量部、特に好ましくは10〜70重量部の
量で使用される。
【0132】本発明の樹脂組成物は、樹脂成分として上
記のような樹脂を含有しているが、本発明においては、
この樹脂成分中の(C)成分および(D)成分は、最終
的に架橋構造を形成していることが好ましい。架橋構造
を形成する具体的な方法としては、有機過酸化物を用い
る方法、(C)成分および/または(D)成分に予めカ
ルボキシル基、水酸基あるいはエポキシ基等の官能基を
導入したものを用い樹脂組成物を製造した後、カルボキ
シル基に対してはアミノ基または水酸基を有する化合物
を、水酸基に対してはカルボキシル基を有する化合物
を、エポキシ基に対してはアミノ基または酸無水物基を
有する化合物をそれぞれ反応させることにより架橋する
方法を挙げることができる。
【0133】ここで使用される有機過酸化物の例として
は、メチルエチルケトンパーオキシドおよびシクロヘキ
サンパーオキシドなどのケトンパーオキシド類;1,1-ビ
ス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサンおよび2,2-ビス
(t- ブチルパーオキシ)オクタン等のパーオキシケター
ル類;t-ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパー
オキシドおよび2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロキ
シパーオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロパ
ーオキシド等のヒドロパーオキシド類;ジ-t-ブチルパ
ーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキ
シ)ヘキサンおよび2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパー
オキシ)ヘキシン-3等のジアルキルパーオキシド類;ラ
ウロイルパーオキシドおよびベンゾイルパーオキシド等
のジアシルパーオキシド類;t-ブチルパーオキシアセテ
ート、t-ブチルパーオキシベンゾエートおよび2,5-ジメ
チル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等のパー
オキシエステル類を挙げることができる。
【0134】これらの有機過酸化物は、本発明の樹脂組
成物中における樹脂重量100重量部に対して、通常は
0.01〜1重量部、好ましくは0.05〜0.5重量
部の範囲内の量で使用される。
【0135】上記のような有機過酸化物を用いて架橋構
造を形成するに際しては、二個以上の重合性不飽和化合
物を有する化合物を使用することが好ましい。ここで使
用される二個以上の重合性不飽和化合物を有する化合物
としてはジエン化合物を挙げることができ、このジエン
化合物の例としては、ジビニルベンゼン、アクリル酸ビ
ニル、メタクリル酸ビニル、トリアリールイソシアヌレ
ート、ジアリールフタレート、エチレンジメタクリレー
トおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートを
挙げることができる。これらの中では特に芳香族ジエン
化合物、さらにジビニルベンゼンを使用することが好ま
しい。
【0136】この二個以上の重合性不飽和化合物を有す
る化合物、好ましくはジエン化合物は、本発明の樹脂組
成物中における樹脂重量100重量部に対して、通常は
1重量部以下、好ましくは0.1〜0.5重量部の量で
使用される。このようにして組成物中に架橋構造を形成
することにより、成形体の機械的特性が向上する。
【0137】本発明の樹脂組成物は、上記の環状オレフ
ィン系重合体(A)、さらに必要により配合される他の
樹脂と、導電性充填剤(B)とからなる。ここで導電性
充填剤(B)としては、それ自体の電気抵抗率が通常は
1Ω・cm以下、好ましくは0.1Ω・cm以下の範囲内の導
電性を有する充填剤が使用される。
【0138】このような導電性充填剤(B)の例として
は、金、銀、銅、鉄等の金属、導電性カーボンを挙げる
ことができる。このような導電性充填剤(B)の形状に
特に制限はなく、繊維状充填剤、球状充填剤、板状充填
剤、粉状充填剤および不定形充填剤など種々の形態の導
電性充填剤を使用することができる。例えば粉末状の導
電性充填剤(B)を使用する場合には、平均粒径が通常
は0.1〜20μm、好ましくは0.2〜10μm、特
に好ましくは0.5〜3μmの範囲内にある導電性充填
剤が(B)使用され、また繊維状の導電性充填剤を使用
する場合には、繊維の直径が通常は1〜100μm、繊
維長が通常は0.1〜100mmの範囲内にある導電性充
填剤が使用される。
【0139】本発明の樹脂組成物において、環状オレフ
ィン系重合体(A)および必要により配合される(C)
および(D)の合計量(樹脂成分)100重量部に対す
る導電性充填剤の含有率は、5〜100重量部の範囲内
にあることが必要であり、さらに好ましくは10〜60
重量部の範囲内にある。このような量で導電性充填剤を
配合することにより、本発明の樹脂組成物から形成され
た成形体の体積固有抵抗が106Ω・cm以下になり、この
体積固有抵抗は、温度、湿度等の影響を殆ど受けず、こ
の成形体の導電性は半永久的に保持される。さらに、本
発明の組成物においては、環状オレフィン系重合体
(A)と導電性充填剤(B)とを70:30〜90:10
の範囲内の重量比で配合することが特に好ましい。
【0140】本発明の樹脂組成物は、上記のように環状
オレフィン系重合体(A)および導電性充填剤(B)と
を含有するが、さらに必要によりポリアミド、ポリエス
テル、ポリフェニレンエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリ
カーボネート、フッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド
樹脂、ABS樹脂等のその他の樹脂、繊維状充填剤およ
び非繊維状充填剤を配合することができる。特に本発明
においては、非繊維状充填剤が好ましく使用される。
【0141】この非繊維状充填剤の中でも、特定の粒子
径を有する非繊維状充填剤を用いることが好ましい。非
繊維状充填剤としては、球状充填剤、板状充填剤、粉状
充填剤および不定形充填剤など繊維状以外の形状の充填
剤が好ましく使用される。特に、球状充填剤あるいは不
定形充填剤を使用することが好ましい。
【0142】本発明では、非繊維状充填剤として、平均
粒径が通常は0.1〜20μm、好ましくは0.2〜1
0μm、特に好ましくは0.5〜3μmの範囲内にある
非繊維状充填剤が使用される。ここで平均粒子径が上記
範囲内にある充填剤とは、50重量%以上の粒子が上記
粒子径を有する粒度分布を示す充填剤をいう。
【0143】このような非繊維状充填剤の例としては、
アルミナ、アタバルジャイト、カオリンクレー、ケイ酸
粉(シリカ)、ケイ酸カルシウム、ケイ藻土、酸化マグ
ネシウム、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化ア
ルミニウム、スレート粉、セリサイト、石英粉、炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、長石粉、二硫化
モリブデン、バライト、マイカ、ロウ石クレー、石膏、
ガラスビーズ、ガラスバルーン、シラスバルーンおよび
熱硬化性樹脂粉を挙げることができる。
【0144】上記のような特定の粒子径を有する非繊維
状充填剤は、環状オレフィン系重合体(A)100重量
部に対して、通常は5〜100重量部、好ましくは5〜
60重量部、特に好ましくは10〜40重量部の量で使
用される。
【0145】本発明の樹脂組成物には、さらに、任意成
分としてポリオレフィン等に配合される耐熱安定剤、耐
候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキン
グ剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワ
ックス等を配合することができる。任意成分として配合
される安定剤の例としては、テトラキス[メチレン-3
(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]メタン、β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェ
ニル)プロピオン酸アルキルエステルおよび2,2'-オキザ
ミドビス[エチル-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤;
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムおよび12-
ヒドロキシステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;
グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレー
ト、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトール
モノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレー
トおよびペンタエリスリトールトリステアレート等の多
価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げることができ
る。これらは単独であるいは組合わせて使用することが
できる。この組合わせの例としては、テトラキス[メチ
レン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート]メタンとステアリン酸亜鉛とグリセリンモ
ノステアレートとの組合せなどがある。
【0146】本発明の樹脂組成物は、例えば、環状オレ
フィン系共重合体(A)と導電性充填剤(B)と、さら
に必要により配合される他の成分とを溶融混練すること
により製造することができる。これらの成分の配合順序
は適宜設定することができる。この場合に樹脂成分を溶
融混練するに際しては、ミキシングロール、バンバリー
ミキサー、押出機、ニーダおよび連続ミキサーなどの混
練装置を用いることができる。この際の反応温度は、樹
脂の溶融温度以上であって樹脂の分解温度未満の範囲内
の温度である。そして、架橋構造は、上記樹脂成分を製
造時に、または、導電性充填剤を後配合するのと同時に
形成することができる。
【0147】本発明の樹脂組成物を用いることにより帯
電防止性のよい成形体を形成することができる。この成
形体は、特に帯電防止性のよい容器として好適に使用す
ることができる。
【0148】この成形体を製造する方法としては、射出
成形法、ブロー成形法、真空成形法など種々の方法を採
用することができる。また成形体の形状にも特に制限は
なく、フィルム状、袋状、箱状、トレー状など種々の形
態にすることができる。
【0149】こうして得られた成形体、特に容器は、体
積固有抵抗が通常は106Ω・cm以下、多くの場合102
〜10-3Ω・cmの範囲内にある。また、この成形体は、
環状オレフィン系重合体(A)および導電性充填剤
(B)からなるので、優れた耐熱性を有すると共に、耐
薬品性および寸法精度に優れている。
【0150】従って、本発明の成形体は、MOS型I
C、LSI、プリント基板、感光性フィルム等の電子部
品の収納容器のように静電気による影響を排除すること
が必要であると共に、そのまま洗浄工程あるいは加熱を
伴う製造工程で使用される容器あるいは電磁波シールド
が必要な電気電子機器の筐体等として特に適している。
【0151】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は環状オレフィン系
重合体(A)と導電性充填剤(B)とからなるので、こ
の組成物から形成された成形体は、導電性を有してい
る。従って、この樹脂組成物から形成された成形体は、
優れた帯電防止作用あるいは電磁波シールド性を有する
と共に、耐熱性、耐薬品性および寸法精度に優れてい
る。また、この樹脂組成物は、成形性に優れており、所
望の形状の成形体を容易に製造することができる。
【0152】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0153】なお、本発明において各種物性値の測定お
よび評価方法を次に示す。 (1)機械的強度測定方法 (単位は表中に記載のため省略する。) (i) 曲げ弾性率;温度23℃においてASTM-D790の方法
で測定した。
【0154】(ii) 曲げ強度;温度23℃においてASTM-
D790の方法で測定した。 (iii)アイゾッド衝撃強度;温度23℃においてASTM-D2
56の方法で測定した。 (2)熱物性測定方法 (i) 熱変形温度;4.6kg/cm2、18.6kg/cm2荷重の
条件においてASTM-D648の方法で測定した (ii) 線膨張係数;アニール(条件80℃×24時間)
の有無について、ASTM-D696の方法で測定した。
【0155】(3)成形性測定方法 (i) 溶融流れ指数;所定の温度(T℃)において、AST
M-D1238の方法で測定した(MFT o C)。
【0156】(ii) スパイラルフロー;温度270℃に
おいて、東芝機械(株)製射出成形機IS-50EPN、スパイラ
ル形状4.8mm半円形の金型を用いて射出速度99%(最
高)、射出圧力1000kg/cm2、金型温度50℃の条件
でスパイラル長さを測定した。
【0157】(iii)成形収縮率;予め原寸を測定してあ
る角板用金型(形状約120×130×2mmt)を用い
て試験用角板を射出成形した。角板を成形後、23℃で
48時間以上放置して角板の寸法を測定して下式により
求めた。
【0158】 収縮率(%)={(L0 − L)/L0}×100 L0;金型の原標線間距離 L ;試験片(角板)の標線間距離 (4)電気的性質測定方法 (i) 体積固有抵抗;温度23℃、500VにおいてAST
M-D257の方法で測定した。
【0159】
【実施例1】 (i) 環状オレフィン付加重合体(極限粘度[η]:0.
6dl/g、Tg:122℃、MFR260 o C:15g/分および
軟化温度TMA:138℃である、エチレンと1,4,5,8-
ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロキシナフタ
レンとのランダム共重合体;エチレン含量:66モル
%)のペレット3.4kg。
【0160】(ii) 低結晶性α-オレフィン系共重合体
(エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン含
量:80モル%、極限粘度[η]:2.2dl/g、Tg:−5
4℃、MFR230 o C:0.7g/分)のペレット0.6kg。
【0161】上記(i)の共重合体と(ii)の共重合体とを
充分混合した後、二軸押出機(池貝鉄工(株)製PCM-45)
により、シリンダー温度220℃で溶融ブレンドした後
ペレタイザーによりペレット化して導電性賦与前の樹脂
組成物を得た。
【0162】得られたペレットを用いて、このペレット
1kgに対して導電性カーボンブラック(三菱化成(株)製
#3050)300gを上記と同様にして二軸押出機で
ブレンドして導電性組成物のペレットを得た。
【0163】このペレットを用いて下記の条件で容易に
射出成形体(容器)を製造することができた。こうして
得られた成形体の一部を試験片として切り出し、上記組
成物の物性を測定した。その結果を表1に示す。この結
果から、射出成形体が、剛性、衝撃強度、耐熱性、寸法
精度および導電性等の特性に優れていることがわかる。
【0164】成形条件 射出成形機 東芝機械(株)製IS-50EPN シリンダー温度 270℃ 金型温度 50℃ 射出圧力 一次/二次=1000/800kg/cm2 射出速度 中速
【0165】
【実施例2】実施例1で得られた導電性賦与前のペレッ
ト1kgに対して日本油脂(株)製パーヘキシン25BTM
1g、ジビニルベンゼンを3gの割合で添加し充分混合
した。この混合物を二軸押出機によりシリンダー温度2
30℃で溶融下に反応を行いペレタイズにてペレット化
して、導電性賦与前の樹脂組成物を得た。
【0166】得られたペレットを用いて実施例1と同様
にして導電性組成物を製造した。このペレットを用いて
下記の条件で容易に射出成形体(容器)を製造すること
ができた。
【0167】こうして得られた成形体の一部を試験片と
して切り出し、上記組成物の物性を測定した。その結果
を表1に示す。この結果から、射出成形体が、剛性、衝
撃強度、耐熱性、寸法精度および導電性等の特性に優れ
ていることがわかる。
【0168】
【実施例3】(i) 環状オレフィン付加重合体(極限粘
度[η]:0.47dl/g、Tg:137℃、MFR260 o C:
35g/分および軟化温度TMA:148℃である、エチ
レンと1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒ
ドロキシナフタレンとのランダム共重合体(エチレン・
DMONランダム共重合体);エチレン含量:62モル
%)のペレット3.4kg。
【0169】(ii) 低結晶性α-オレフィン系共重合体
(エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン含
量:80モル%、極限粘度[η]:2.2dl/g、Tg:−5
4℃、MFR230 o C:0.7g/分)のペレット0.6kg。
【0170】上記(i)の共重合体と(ii)の共重合体とを
充分混合した後、二軸押出機(池貝鉄工(株)製PCM-45)
により、シリンダー温度230℃で溶融ブレンドした後
ペレタイザーによりペレット化した。
【0171】得られたペレット1kgに対して日本油脂
(株)製パーヘキシン25BTMを1g、ジビニルベンゼン
を3gの割合で添加し充分混合した。この混合物を二軸
押出機によりシリンダー温度230℃で溶融下、反応を
行いペレタイズしてペレット化し、導電性賦与前の樹脂
組成物を得た。
【0172】得られたペレットを用いて実施例1と同様
にして導電性組成物を製造した。このペレットを用いて
下記の条件で容易に射出成形体(容器)を製造すること
ができた。こうして得られた成形体の一部を試験片とし
て切り出し、上記組成物の物性を測定した。その結果を
表1に示す。
【0173】成形条件 射出成形機 東芝機械(株)製IS-50EPN シリンダー温度 270℃ 金型温度 50℃ 射出圧力 一次/二次=1000/800kg/cm2 射出速度 中速
【0174】
【表1】
【0175】
【実施例4】実施例3において、(i)の成分であるエチ
レン・DMONランダム共重合体の代わりに、エチレン
含量:58モル%、極限粘度[η]:0.5dl/g、Tg:1
58℃、TMA:170℃、MFR260 o C:20g/分のエ
チレン・DMONランダム共重合体3kgを用い、(ii)の
成分の使用量を1kgに変えた以外は実施例3と同様に行
い、下記の条件で成形した。得られた成形品の曲げ弾性
率は、23300Kg/cm2、曲げ強度は410Kg/cm2、ア
イゾット衝撃強度は4Kg・cm/cm、HDTは142℃MF
260 o Cは0.7/10分であった。
【0176】成形条件 射出成形機 東芝機械(株)製IS-50EP シリンダー温度 290℃ 金型温度 70℃ 射出圧力 一次/二次=1000/800kg/cm2 射出速度 中速
【0177】
【実施例5〜9】実施例4において、(ii)の成分の種類
を変えた以外は同様に操作した。結果を表2に示す。
【0178】
【表2】
【0179】
【実施例10および11】実施例4において用いた導電
性カーボンブラックの量を変えた以外は同様に操作し
た。結果を表3に示す。
【0180】
【実施例12および13】実施例4において、導電性充
填剤の種類および量を変えた以外は同様に操作した。結
果を表3に示す
【0181】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 65/00 LNY 8215−4J //(C08L 23/08 45:00) 7921−4J

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(A-i) エチレンと、次式[I]ま
    たは[II]で表わされる環状オレフィンとのランダム共
    重合体であって、軟化温度(TMA)が70℃以上であ
    る環状オレフィン系ランダム共重合体、 (A-ii) 下記式[I]または[II]で表わされる少なく
    とも1種の環状オレフィンを開環重合させることにより
    調製される環状オレフィン系開環重合体、および (A-iii) 該開環重合体の水添物、よりなる群から選ばれ
    る少なくとも一種類の環状オレフィン系重合体と、組成
    物中の樹脂成分100重量部に対して、 (B)導電性充填剤;5〜100重量%とからなること
    を特徴とする樹脂組成物; 【化1】 …[I] (ただし、上記式[I]において、nは0または1であ
    り、mは0または正の整数であり、qは0または1であ
    り、 R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、
    水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群か
    ら選ばれる原子もしくは基を表し、 R15〜R18は、互いに結合して単環または多環の基を形
    成していてもよく、かつ該単環または多環の基が二重結
    合を有していてもよく、 また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリ
    デン基を形成していてもよい)、 【化2】 ・・・[II] (ただし、式[II]において、pおよびqは0または1
    以上の整数であり、mおよびnは0、1または2であ
    り、R1〜R19はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原
    子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化
    水素基およびアルコキシ基よりなる群から選ばれる原子
    もしくは基を表し、R9およびR10が結合している炭素
    原子と、R13が結合している炭素原子またはR11が結合
    している炭素原子とは直接あるいは炭素原子数1〜3の
    アルキレン基を介して結合していてもよく、また、n=
    m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに結
    合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよ
    い)。
  2. 【請求項2】環状オレフィン系重合体(A)について、
    135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.0
    5〜10.0dl/gの範囲内にあることを特徴とする請求
    項第1項記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】導電性充填剤(B)が、導電性カーボンお
    よび/または金属粉であることを特徴とする請求項第1
    項記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】上記樹脂組成物が、さらに、 (C-i) 少なくとも2種類のα-オレフィンから製造され
    る非晶性乃至低結晶性α-オレフィン系低弾性率共重合
    体、 (C-ii) 少なくとも2種類のα-オレフィンと、少なくと
    も1種類の共役ジエンとから製造されるα-オレフィン
    ・ジエン系低弾性率共重合体、および (C-iii)芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン共重合体
    またはその水素化物、よりなる群から選ばれる少なくと
    も一種類の低弾性率共重合体(C)を含有することを特
    徴とする請求項第1項記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】組成物が、有機過酸化物および2個以上の
    重合性不飽和結合を有する化合物を用いて形成された架
    橋構造を有することを特徴とする請求項第4項記載の樹
    脂組成物。
  6. 【請求項6】上記請求項第1項〜第5項のいずれかの項
    記載の樹脂組成物から形成された帯電防止性または電磁
    波シールド性のよい容器。
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