JPH05155919A - 末端イオン変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体およびその水性分散液 - Google Patents

末端イオン変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体およびその水性分散液

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JPH05155919A
JPH05155919A JP14316192A JP14316192A JPH05155919A JP H05155919 A JPH05155919 A JP H05155919A JP 14316192 A JP14316192 A JP 14316192A JP 14316192 A JP14316192 A JP 14316192A JP H05155919 A JPH05155919 A JP H05155919A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 末端にイオン性基を有し、1モル/リットル
のチオシアン酸アンモニウムを含有する水/フェノール
系混合溶剤(重量比15/85)中30℃で測定した固
有粘度0.45デシリットル/g以上、エチレン含量1
5〜65モル%、けん化度90モル%以上で、かつ濃度
1%で30℃の水に1日溶解したときの不溶解分が50
%以上のエチレン−ビニルアルコール系共重合体および
それを乳化分散してなるエチレン−ビニルアルコール系
共重合体の水性分散液。 【効果】 貯蔵あるいは使用時の安定性に優れた高固形
分濃度の水性分散液が得られ、造膜性が良好でガスバリ
ヤー材として食品包装用等に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、末端にイオン性基を有
するエチレン−ビニルアルコール系共重合体およびその
水性分散液に関し、特に分散性に優れたエチレン−ビニ
ルアルコール系共重合体の水性乳化分散液に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】エチレン−ビニルエステル系共重合体、
特にエチレン−酢酸ビニル系共重合体をけん化したエチ
レン−ビニルアルコール系共重合体(以下EVOHと略
記する)は、酸素等のガスバリヤー性や耐油・耐薬品性
に優れているため、包装材料やプラスチック成形物、金
属表面、紙、木材等の保護被覆用材料として注目されて
いる。
【0003】特に内容物の酸化防止あるいは香りの保持
が重要とされる食品包装用のフィルム、シート、積層
物、中空容器等に於ては、高度のガスバリヤー性が要求
されている。また軟質塩化ビニルからなる塩ビ壁紙、塩
ビレザー、シート等では、可塑剤のブリードを防止する
被覆材が要求されている。そこでガスバリヤー性、保香
性および耐油・耐薬品性に優れたEVOHを内層、外層
あるいは中間層に設けることによって、これらの要求特
性を高度に満たすことが広く実施されている。
【0004】一般にEVOH層を形成する方法として
は、溶融押出あるいは射出成形による方法やEVOHフ
ィルムをラミネートする方法等が広く実施されている。
一方、EVOHの溶液や水性乳化分散液を塗布し、乾燥
する方法が提案されている。この方法は比較的膜厚の薄
い皮膜が形成できること、中空容器等の複雑な形状のも
のにも容易に皮膜が形成できること等から注目される。
【0005】しかしながら、EVOH溶液を塗布する方
法では基本的に高い濃度の溶液が粘度の関係から使用困
難なこと、溶剤がジメチルスルホキシド等の有機溶剤や
多量のアルコールと水の混合溶剤のため、皮膜形成過程
において有機溶剤の揮散による作業環境の悪化および有
機溶剤の回収のための装置が必要になる等、経済的にも
不利なこと等の問題がある。これに対し、EVOH水性
分散液を塗布する方法は、溶剤が水系で上記の作業環境
や経済性の点から有利と考えられ期待される。
【0006】EVOHの水性乳化分散液としては、通常
のEVOHを通常の界面活性剤あるいは通常の高分子コ
ロイド、例えばポリエチレンオキシド、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニ
ルアルコール等の共存下で乳化分散させたものが特開昭
54−101844、特開昭56−61430等で提案
されている。しかしながら、本発明者等の検討による
と、これら公知の方法で得られたEVOHの水性乳化分
散液は、分散安定性が不十分で塗布用として実用が困難
である。
【0007】また特開昭54−101844には、アク
リル酸やアクリル酸アミド等のビニルモノマーをエチレ
ンおよび酢酸ビニルと三元共重合し、けん化して得た、
いわゆるランダムに共重合されたランダム共重合体のE
VOH自体を通常の界面活性剤を分散安定剤として分散
させることが示されている。
【0008】しかしながら、本発明者等の検討によると
単純な三元ランダム共重合によるEVOHでは乳化分散
安定性の向上は認められず、実用的な乳化分散液は得ら
れなかった。中ではイオン性基を有するアクリル酸を共
重合した場合は、そのイオン性基により乳化分散安定性
は改善されるが、イオン性基がランダムに含有されてい
るため、その含量を多くしないと乳化分散安定性が十分
に達成できず、そうするとEVOHの構造の乱れが大と
なって結晶性が低下し、ガスバリヤー性能が大幅に低下
する等の欠点があり実用的でない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、末端にイオ
ン性基を有する新規なEVOHおよびそれを用いた貯蔵
あるいは使用時の安定性が著しく改善され、分散安定性
の優れた、さらには造膜性に優れたEVOH系水性分散
液、特に水性乳化分散液を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、EVOHと
して末端にイオン性基を有し、かつ常温で水に不溶性の
特定のイオン変性EVOH系共重合体を自己乳化分散す
ることによって達成される。
【0011】本発明の最大の特徴は、そのEVOH系水
性乳化分散液が貯蔵あるいは使用時の安定性において著
しく改善され、分散安定性に優れることである。元々粒
子径の小さいものが得られる上に、分散安定性が優れ、
貯蔵あるいは使用時の粒子の凝集による粒子径の顕著な
増大が殆どないため、粒子径の小さいことも大きな特徴
である。この特徴により本発明のEVOH系水性乳化分
散液は造膜性が良好でより薄い均質な皮膜が塗布でき、
乾燥した皮膜がガスバリヤー性に優れる。EVOHの分
子の末端にイオン性基が結合されているため、EVOH
成分の構造が殆ど乱されず、高ガスバリヤー性能が保持
できるものと考えられる。
【0012】本発明のEVOHは、末端にイオン性基を
有し、1モル/リットルのチオシアン酸アンモニウムを
含有する水/フェノール系混合溶剤(重量比15/8
5)中30℃で測定した固有粘度0.45デシリットル
/g以上、エチレン含量15〜65モル%、けん化度9
0モル%以上のエチレン−ビニルエステル系共重合体け
ん化物で、かつ常温で水に不溶解性のもの(以下末端イ
オン変性EVOHと略記する)を包含するものでその製
造方法に制限はない。末端にイオン性基を有することの
認定は、NMR(核磁気共鳴)分析により実施できる。
また常温で水に不溶解性とは濃度1%で30℃の水に1
日溶解したときの不溶解分が50%以上のものを言う。
水に対する不溶解分は高いほうが好ましく、80%以上
さらに好ましくは90%以上である。
【0013】本発明においてイオン性基とは、水中でイ
オン性を示す基であり、スルホン酸基またはその塩、カ
ルボン酸基またはその塩、アンモニウム基等が例示され
る。イオン性基は1種でもよいし、2種以上の混合物で
もよい。
【0014】末端イオン変性EVOHの組成は、エチレ
ン含量15〜65モル%、けん化度(本発明で言うけん
化度はビニルエステル単位のけん化度を示す)90モル
%以上である必要がある。エチレン含量が15モル%未
満では水性乳化分散液の安定性が不良となり、また65
モル%を越えるものはポリマーのガスバリヤー性が不良
となり不適当である。水性乳化分散液の安定性とガスバ
リヤー性の点からエチレン含量のより好適な範囲は20
〜55モル%である。またけん化度は90モル%未満で
はガスバリヤー性が不十分になるので90モル%以上で
あることが必要で、より好適には95モル%以上、さら
には97モル%以上が好ましい。
【0015】またEVOH中にエチレンおよびビニルエ
ステルと共重合可能な単量体成分、例えばプロピレン、
イソブテン等のα−オレフィン類、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有単量
体、アクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミ
ド等のアクリルアミド類、アクリロニトリル、N−ビニ
ル−2−ピロリドン等が本発明の目的が阻害されない程
度の少量含まれていてもよい。
【0016】固有粘度は用途に応じて選択されるが、極
端に低いものは生成皮膜の強度が低く実用的でないの
で、0.45デシリットル/g以上、好ましくは0.6
0デシリットル/g以上である。固有粘度の高いものほ
ど水性乳化分散液として塗布使用することは有利であ
り、通常3デシリットル/g程度のものまで使用でき
る。
【0017】スルホン酸基またはその塩、カルボン酸基
またはその塩、アンモニウム基等のイオン性基を末端に
有するEVOHは種々の方法で製造可能である。例えば
スルホン酸基またはその塩、カルボン酸基またはその
塩、アンモニウム基等を有するアルコール、アルデヒド
あるいはチオール等の活性基を含有する化合物を連鎖移
動剤として共存させ、エチレンとビニルエステルとを共
重合し、次いでビニルエステル単位をけん化する方法、
またEVOHの末端にスルホン酸基またはその塩、カル
ボン酸基またはその塩、アンモニウム基等を含有する化
合物を化学反応により導入する方法等により製造され
る。これらの方法の中で、経済的かつ効率よく末端にイ
オン性基を導入し、水性乳化分散液としての優れた安定
性等を示すEVOHを得る方法としては、スルホン酸基
またはその塩、カルボン酸基またはその塩、アンモニウ
ム基等を含有するチオールの存在下にエチレンとビニル
エステルとを共重合し、次いでけん化する方法が好まし
い。
【0018】エチレンとビニルエステルとの共重合は、
公知の方法、すなわち回分方式、半回分方式、あるいは
連続方式にて、重合開始剤の存在下、溶液重合、懸濁重
合、エマルジョン重合により実施されるが、アルコール
の存在下溶液重合で実施することが工業的に好ましい。
溶液重合の場合、溶剤濃度は0〜50%、好適には3〜
30%であり、重合率は通常20〜80%、好適には3
0〜60%である。また重合温度は、通常20〜100
℃、好適には40〜80℃である。重合開始剤として
は、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’
−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、
2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)等のニトリル類、ジ−ノルマルプロ
ピルパ−オキシカ−ボネート、ビス−4−タ−シャリ−
ブチルヘキシルパ−オキシジカ−ボネート、ビス−2−
エチルヘキシルパ−オキシジカ−ボネート等のカ−ボネ
ート類、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、アセチ
ルシクロヘキサンスルフォニルパ−オキシド等の過酸化
物類等の公知のラジカル重合開始剤が使用できる。また
アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコ
ール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級
アルコールが用いられるが、経済的にみてメチルアルコ
ールが好ましい。
【0019】スルホン酸基またはその塩、カルボン酸基
またはその塩、アンモニウム基等を含有するチオールの
存在下にエチレンとビニルエステルとを共重合するにあ
たって、チオールの重合系への添加量、添加方法は適宜
選択される。チオールは連鎖移動剤として働き、チオー
ルの重合系への添加量、添加方法は得られる重合体の重
合度、重合度分布等に影響するため、要求される末端イ
オン変性EVOHの分散安定性、生成皮膜の強度等の面
から適宜決められるが、末端にイオン性基を効率よく導
入し、優れた品質のものを得るためには、重合系のビニ
ルエステルおよびエチレンの反応率に応じてチオールを
添加することにより、反応系のチオール量がビニルエス
テルおよびエチレンに対し、あまり変化しないようにす
ることが好ましい。
【0020】スルホン酸基またはその塩、カルボン酸基
またはその塩、アンモニウム基等を含有するチオールと
しては種々のものが用いられる。
【0021】スルホン酸基またはその塩を有するチオー
ルとして、次の一般式で表されるものがあげられる。こ
こで、nは1〜4、R1〜R8はメチル基または水素原
子、Mは水素原子またはアルカリ金属をそれぞれ示す。
【0022】
【化1】
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】カルボン酸基またはその塩を有するチオー
ルとして、次の一般式で表されるものがあげられる。こ
こで、nは0〜4、R9〜R11は水素原子または低級ア
ルキル基(置換基を含んでいてもよい)、Mは水素原
子、アルカリ金属またはアンモニウム基をそれぞれ示
す。
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】アンモニウム基を有するチオールとして、
次の一般式で表されるものがあげられる。ここでnは0
〜3、mは1〜10、R12、R13、R16、R17、R18
水素原子またはメチル基、R14、R15は低級アルキル基
(置換基を含んでいてもよい)、Aはアミンあるいはア
ンモニウム窒素原子と化6式中のアミド基の窒素原子あ
るいは化8式中の酸素原子とを連結する基をそれぞれ示
す。
【0029】
【化6】
【0030】
【化7】
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】ビニルエステルとしては蟻酸ビニル、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、三フッ
化酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のエチレンと共重合
可能で該共重合体をけん化することによりビニルアルコ
ールに変換可能なモノマーの1種または2種以上が使用
できるが、酢酸ビニルが経済的にみて特に好ましい。
【0034】重合で得られた末端にイオン性基を有する
エチレン−ビニルエステル系共重合体は、ついでけん化
反応に供せられる。けん化反応はアルカリ性触媒を用い
て公知の方法、すなわち通常共重合体をアルコール溶液
としてアルコリシスにより反応を実施するのが有利であ
る。特に日本特許第575889号および同61155
7号に開示された塔式反応器を用い、けん化反応中に副
生する酢酸メチルを、塔底にアルコール蒸気を吹き込ん
で塔頂から除去しながら行う方法が最も好適である。ア
ルカリ性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等のアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメチラー
ト、カリウムメチラート等のアルコラートが用いられる
が、水酸化ナトリウムが経済的にみて特に好ましい。け
ん化反応温度は60〜175℃の範囲から適宜選ばれ
る。特に前記塔式反応器を用いる場合には、共重合体の
組成にもよるが、反応時間の短縮、EVOHのアルコー
ル類への溶解性等から100℃以上が好ましい。
【0035】けん化反応後、末端イオン変性EVOHを
単離するに当っては、公知の方法が適用され、特に日本
特許725520号に開示されたストランド状に析出さ
せる方法が好適である。析出単離された末端イオン変性
EVOHは、公知の方法で水洗後必要に応じて酸処理等
の公知の熱安定化処理を行い、ついで乾燥される。
【0036】このようにして得られる本発明のEVOH
は、分子の末端にイオン性基が結合されているため、E
VOH成分の構造が殆ど乱されないため、融点の低下が
少なく、高バリヤー性能が保持できる特長を有する。ま
た水に分散しやすく、水性乳化分散液を製造するのに好
適であり、薄い均質な皮膜が塗布でき、乾燥した皮膜が
ガスバリヤー性に優れる。
【0037】末端イオン変性EVOHを乳化分散させる
方法には制限はなく、公知の方法が使用可能である。例
えば末端イオン変性EVOHの溶液を該EVOHの非溶
剤である水と撹拌下に接触させてEVOH粒子を3μm
以下、好ましくは2μm以下、最適には1μm以下の微
粒子として析出させ、次いで溶剤を除去することにより
水性乳化分散液を得ることができる。なおここで微粒子
の径は数平均粒子径である。
【0038】水性乳化分散液の固形分濃度は製造条件お
よび使用用途等により適宜決められるが、高濃度でしか
も安定な分散液の得られることが本発明の特徴である。
固形分濃度としては10重量%以上、さらに好ましくは
15重量%以上、最適には20重量%以上である。固形
分濃度の上限には特に制限はないが、あまり高濃度にな
りすぎると水性分散液の放置安定性がやや不良になる場
合があるので、通常60重量%以下が好ましく、さらに
好ましくは50重量%以下、最適には40重量%以下で
ある。
【0039】溶剤としては、例えばメチルアルコール、
エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコ
ール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール等の2価アルコール、グリセリン等の3
価アルコール、フェノール、クレゾール等のフェノール
類、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン等のアミ
ン類、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドン等、あるいはこれらの含水物等が
単独あるいは2種以上混合されて使用できる。特に好ま
しい溶剤系はアルコール−水系の混合溶剤、例えば水−
メチルアルコール、水−ノルマルプロピルアルコール、
水−イソプロピルアルコール等である。
【0040】溶剤系の有機溶剤は、蒸発法、抽出法ある
いは透析法等の適宜な方法で除去することができる。除
去の程度は高いことが望ましいが、経済性との兼ね合い
で小割合の有機溶剤を残存させることは可能である。
【0041】また別の方法として、高温では溶解するが
低温にすると不溶になる溶剤系に末端イオン変性EVO
Hを加熱溶解した後、その溶液を冷却することにより微
粒子を析出分散させる方法も採用できる。しかる後その
溶剤を水と置換することにより水性乳化分散液とするこ
とができる。高温では溶解するが低温にすると不溶にな
る溶剤系としては、先に示した溶剤のうちアルコール類
の単独あるいは水との混合溶剤等が使用できる。
【0042】さらに別の方法として、末端イオン変性E
VOHの溶液を非溶剤と接触させるか、あるいは冷却す
ることにより析出分散させた粒子を濾別し、その粒子を
水中に分散させる方法も可能である。
【0043】また末端イオン変性EVOHを水中に直接
分散させることも可能な場合がある。例えばイオン変性
EVOHを水と混合し、撹拌機あるいはボールミル等で
撹拌することにより乳化分散させることも可能である。
ただし分散に時間を要する等の問題がある。
【0044】本発明において好適な水性分散液の製法と
しては、末端イオン変性EVOHを、溶剤、例えば水−
アルコ−ルの混合溶剤に撹拌下、温度50〜75℃で溶
解して溶液とし次いで冷却(温度−10〜30℃)し、
EVOH粒子を析出して分散化(エマルジョン化)し、
次に減圧下(温度10〜30℃、圧力10〜150mm
Hg)にアルコールを除去し、さらに水を所望量除去す
ることによって、所望の固形分濃度の水性分散液を得る
方法があげられる。本発明の水性分散液には粘度を低下
させる目的で水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸
ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウムなどのア
ルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、塩化カルシウ
ム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム
などのアルカリ土類金属化合物、その他の電解質を0.
01〜0.5重量%(対ポリマー)配合してもよい。配
合は、分散質の末端イオン変性EVOHを微粒子化する
前でも後でもよい。
【0045】本発明の末端イオン変性EVOHは、特に
水性分散液を製造するのに好適であるが、通常のEVO
Hと同様に溶融成形材料としても用いられ、押出成形、
射出成形等の各種方法で成形可能である。
【0046】本発明の水性乳化分散液は優れたガスバリ
ヤー性の皮膜を形成する塗布材料として有用であるが、
その優れた力学的性能や化学的性能を生かして、他の用
途、例えば噴霧乾燥して微粒子粉末にしたり、また塗料
や接着剤のバインダーやビヒクル等の広範囲に利用でき
る。
【0047】本発明の水性乳化分散液には、必要に応じ
て本発明の目的を妨げない範囲で通常の界面活性剤や保
護コロイドを添加することは自由である。また他の樹脂
の水性分散液、光あるいは熱等に対する安定剤、顔料、
滑剤、防黴剤あるいは造膜助剤等を添加することもでき
る。
【0048】以上に説明したように、本発明によれば貯
蔵あるいは使用時の安定性に優れた固形分濃度の水性分
散液が得られ、かつ水性であるため環境の汚染等の問題
もない利点があり、塗布乾燥により優れたガスバリヤー
性、保香性および耐油・耐薬品性を示す薄い皮膜を形成
できる有用な塗布剤として各種基材表面に塗布できる。
ここで基材としてはとくに熱可塑性樹脂{ポリオレフィ
ン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアル
コール、酢酸ビニル樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合
体など)など}からなる各種成形品(フィルム、シー
ト、カップ、ボトルなど)が好適なものとしてあげら
れ、また繊維集合体(紙、不織布、織布、ファイブラス
ケーシングなど)、無機物(セメントなど)、金属、ポ
リ塩化ビニル樹脂製壁紙、写真印画紙などもあげられ
る。
【0049】また本発明の水性分散液を基材表面に塗布
する方法としては、キャスティングヘッドからの吐出、
ロールコート、ドクターロールコート、ドクターナイフ
コート、カーテンフローコート、スプレー、浸漬、刷毛
塗りなど任意の手段が例示される。このように塗布され
た基材を乾燥・熱処理する方法としては乾熱処理法、た
とえば赤外線照射法、熱風乾燥法などが例示される。こ
れらの赤外線照射、熱風乾燥などはそれぞれ単独で使用
してもよいし、また併用することもできる。また乾燥・
熱処理の温度は30〜180℃であることが好ましく、
下限値については50℃以上が好ましく、最適には80
℃以上である。また乾燥・熱処理の時間は5秒〜10分
が好ましく、さらに好適には1〜5分である。乾燥・熱
処理中は条件、たとえば温度を増減させること、例えば
最初は低温で処理し、徐々に温度を上昇させることなど
は自由である。このよな乾燥・熱処理を施すことにより
ガスバリヤー性の優れた皮膜が基材表面に形成される。
また本発明の水性分散液を塗布、乾燥・熱処理したあと
の皮膜の厚さは0.5〜15μmであることが好まし
く、さらに好適には1〜10μm、最適には2〜6μm
である。
【0050】以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明するが、これにより本発明は何ら限定されるもので
はない。実施例中の「部」あるいは「%」は、特に断り
のない限り重量基準で表したものである。また溶剤組成
も重量比で示す。
【0051】
【実施例】
実施例1 酢酸ビニル1340部、メチルアルコール84部、3−
メルカプトプロパン酸ナトリウム0.23部を高圧重合
槽に仕込み、内部を十分窒素置換した後エチレンガスを
仕込んだ。内温60℃、エチレン圧力41Kg/cm2
Gに調節した後、重合開始剤2,2’−アゾビスイソブ
チロニトリル1.07部を加え、さらに3−メルカプト
プロパン酸ナトリウムのメチルアルコール溶液(濃度
2.0%)を38.4部/時間の速度で3.8時間連続
的に添加して重合を行った。酢酸ビニルの重合率は39
%であった。
【0052】冷却後エチレンガスを分離除去し、さらに
減圧下メチルアルコールを添加しながら未反応の酢酸ビ
ニルを系外に追い出し、エチレン−酢酸ビニル系共重合
体のメチルアルコール溶液を得た。
【0053】次にこのメチルアルコール溶液を塔式けん
化反応器に供給し、さらに水酸化ナトリウムを共重合体
中の酢酸ビニル単位に対するモル比が0.03となるよ
うに該反応器に添加し、塔下部よりメチルアルコール蒸
気を吹き込み、塔頂より副生する酢酸メチルを除去しな
がら、塔内温度120℃でけん化反応を行った。ついで
得られたEVOHのメチルアルコール溶液に水蒸気を吹
き込み、溶液の溶剤組成を水/メチルアルコール混合系
に変えた後、5℃のメチルアルコール10%水溶液中に
ストランド状に吐出させ、凝固析出後、切断した。次に
蒸留水で十分に洗浄し、60℃で5時間熱風乾燥、さら
に100℃で12時間真空乾燥した。
【0054】このEVOHをd6−DMSO(重水素化
ジメチルスルホキシド)とCD3OD(重水素化メチル
アルコール)とからなる混合溶剤に溶解し、1H−NM
Rを測定したところ、図1のスペクトルが得られた。こ
れより分子の末端にカルボン酸ナトリウムを有するエチ
レン含量32モル%、けん化度99.9モル%の末端イ
オン変性EVOHであることが分かる。このEVOHを
濃度1モル/リットルのチオシアン酸アンモニウムを含
有する水/フェノール系混合溶剤(重量比15/85)
に溶解し、30℃で固有粘度(以下この条件で測定した
固有粘度を単に固有粘度と記す)を測定したところ0.
62デシリットル/gであった。また濃度1%で30℃
の水に1日溶解したときの水不溶解分(以下この条件で
測定した水不溶解分を単に水不溶解分と記す)は99%
であった。またDSCを用い、10℃/分の昇温速度で
測定した融点(以下この条件で測定した融点を単に融点
と記す)は182℃であった。
【0055】この末端イオン変性EVOH50部を水/
メチルアルコール30/70の混合溶剤600部に65
℃で加熱溶解した。ついで撹拌下に室温まで冷却したと
ころ粒子が析出し安定な分散液が得られた。平均粒子径
は0.9μmであった。次いでこの分散液を撹拌下に2
0℃で減圧蒸発させてメチルアルコールを留去した。メ
チルアルコール留去過程でも粒子の凝集は殆ど認められ
ず、平均粒子径0.9μm、固形分濃度24%の水性乳
化分散液を得た。放置安定性も良好で、40℃で10日
間放置しても凝集は殆ど認められなかった。
【0056】一方、比較のため、固有粘度0.63デシ
リットル/g、エチレン含量32モル%、けん化度9
9.5モル%、融点183℃、水不溶解分99%の未変
性の通常のEVOHを用いて分散した場合、またこの通
常のEVOHに分散剤として公知のノニオン界面活性剤
のノニルフェノールエーテルのエチレンオキシド付加
物、アニオン界面活性剤のドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム、あるいは高分子保護コロイドとしてけん化
度80モル%、固有粘度0.76デシリットル/gの部
分けん化ポリビニルアルコールを使用し、それ以外は実
施例1と同じ条件で分散を試みたが、いずれの場合も加
熱溶解した溶液を撹拌下に冷却する段階で粒子が凝集・
ブロック化してしまった。
【0057】またエチレン、酢酸ビニルおよびアクリル
酸を共重合、けん化して得られた固有粘度0.62デシ
リットル/g、アクリル酸含量0.5モル%、エチレン
含量32モル%、けん化度99.5モル%、融点174
℃、水不溶解分98%の三元ランダム共重合EVOHを
用いたほかは実施例1と同じ条件で分散を試みたが、メ
チルアルコールを留去する過程で粒子が凝集して分散安
定性の良好な水性乳化分散液は得られなかった。
【0058】このように本発明の末端イオン変性EVO
Hを用いると、分子末端に結合したイオン性基が乳化分
散安定化に格別の効果を示し、安定な水性乳化分散液が
得られることが分かる。そして、この水性乳化分散液を
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(膜厚20μm)のプ
ライマー処理面に塗布して70℃で5分間乾燥したとこ
ろきれいに造膜し、連続塗布膜が形成でき、造膜性に優
れることが分かった。さらに得られた形成皮膜を150
℃で30秒間熱処理したフィルム(EVOH層の厚み5
μm)の酸素バリヤー性を測定したところ、酸素透過量
が3.4cc/m2・day・atm(20℃、0%R
H)で食品包装材として良好な性能を示した。(以下、
酸素透過量の測定条件および単位は同一である。)
【0059】実施例2 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸9
1部、水酸化ナトリウム16部、過酸化ベンゾイル0.
06部をメチルアルコール290部に室温下で溶解し、
系内の酸素を窒素で置換した。ついで内温を15〜20
℃に保持しながらチオ酢酸を2部/分の速度で80分間
連続的に添加した後、内温を65℃とし4時間還流し
た。次に内温40℃でチオ酢酸とメチルアルコールを減
圧下で留去した。得られた白色粉末100部をメチルア
ルコール300部に溶解した後、水酸化ナトリウム4部
を添加し、窒素気流下40℃で3時間加熱した。ついで
この溶液に酢酸6部を添加後、内温35℃でメチルアル
コールを減圧下で留去し、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸のチオール化物を得た。なおチ
オール化が定量的に行われたことは、酸化還元滴定法に
より確認した。
【0060】酢酸ビニル1090部、メチルアルコール
105部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸のチオール化物を水酸化ナトリウムで中和して
得られたナトリウム塩0.25部を高圧重合槽に仕込
み、内部を十分窒素置換した後エチレンガスを仕込ん
だ。内温60℃、エチレン圧力30Kg/cm2Gに調
節した後、重合開始剤2,2’−アゾビスイソブチロニ
トリル1.53部を加え、さらに上記2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムのチオー
ル化物のメチルアルコール溶液(濃度18%)を14.
4部/時間の速度で3.4時間連続的に添加して重合を
行った。酢酸ビニルの重合率は40%であった。
【0061】実施例1と同様に未反応のエチレンおよび
酢酸ビニルを除去、けん化、凝固析出、切断、蒸留水で
洗浄、さらに0.5g/リットルの酢酸水溶液で洗浄、
ついで乾燥して分子の末端にスルホン酸基を有する固有
粘度0.87デシリットル/g、エチレン含量25モル
%、けん化度99.3モル%、融点193℃、水不溶解
分97%の末端イオン変性EVOHを得た。
【0062】この末端イオン変性EVOH50部を水/
メチルアルコール=40/60の混合溶剤500部に7
0℃で加熱溶解した。この溶液を撹拌下に室温まで冷却
したところ、粒子が析出し安定な分散液が得られた。平
均粒子径0.8μmであった。ついでこの分散液を撹拌
下に25℃で減圧蒸発させてメチルアルコールを留去し
た。メチルアルコール留去過程でも粒子の凝集は殆ど認
められず、平均粒子径0.8μm、固形分濃度26%の
水性乳化分散液を得た。この水性乳化分散液を実施例1
と同様に塗布、乾燥・熱処理したフィルム(EVOH層
厚み5μm)の酸素透過量は2.6でガスバリヤー性が
非常に良好であった。
【0063】比較のため、けん化度が87.6モル%で
あるほかは実施例2と同じ末端イオン変性EVOH(水
不溶解分95%)を用い、実施例2と同様に水性分散液
を得ようとしたが粒子の凝集が目立ち、また塗布、乾燥
・熱処理した皮膜(膜厚4μm)の酸素透過量は100
0以上でガスバリヤー性が著しく不良であった。
【0064】また、実施例2と同様にして、分子の末端
にスルホン酸基を有する固有粘度0.35デシリットル
/g、エチレン含量25モル%、けん化度99.4モル
%、融点193℃、水不溶解分97%の末端イオン変性
EVOHを合成し、その水性分散液を作り、これを塗
布、乾燥したところヒビ割れが生じ、強度の十分な皮膜
は形成できなかった。
【0065】実施例3 実施例2と同様にしてトリメチル−(3−メタクリルア
ミド)アンモニウムクロリドとチオ酢酸とを過酸化ベン
ゾイルの存在下に付加反応させ、ついで水酸化ナトリウ
ムでけん化することによりアンモニウムクロリド基を含
有するチオールを得た。
【0066】酢酸ビニル990部、メチルアルコール1
20部、トリメチル−(3−メタクリルアミド)アンモ
ニウムクロリドのチオール化物0.17部を高圧重合槽
に仕込み、内部を十分窒素置換した後エチレンガスを仕
込んだ。内温60℃、エチレン圧力61Kg/cm2
に調節した後、重合開始剤2,2’−アゾビス−(2,
4−ジメチルバレロニトリル)6.2部を加え、さらに
上記アンモニウムクロリド基含有チオールのメチルアル
コール溶液(濃度5%)を39.4部/時間の速度で
3.3時間連続的に添加して重合を行った。酢酸ビニル
の重合率は38%であった。
【0067】実施例1と同様に未反応のエチレンおよび
酢酸ビニルを除去、けん化、凝固析出、切断、蒸留水で
洗浄、ついで乾燥して分子の末端にアンモニウムクロリ
ド基を有する固有粘度0.54デシリットル/g、エチ
レン含量48モル%、けん化度99.2モル%、融点1
57℃、水不溶解分98%の末端イオン変性EVOHを
得た。
【0068】この末端イオン変性EVOH50部を水/
イソプロピルアルコール=20/80の混合溶剤100
0部に65℃で加熱溶解し、次いで溶液を撹拌下に室温
まで冷却したところ、平均粒子径0.8μmの安定な分
散液が得られた。ついでこの分散液を撹拌下に30℃で
減圧蒸発させてイソプロピルアルコールを留去し、平均
粒子径0.8μm、固形分濃度22%の安定な水性分散
液を得た。この水性乳化分散液を実施例1と同様に塗
布、乾燥・熱処理したフィルム(EVOH厚み5μm)
の酸素透過量は8.0でガスバリヤー性が良好であっ
た。
【0069】比較のため、実施例3と同様にして、固有
粘度0.75デシリットル/g、エチレン含量13モル
%、けん化度98.1モル%、融点212℃、水不溶解
分30%の末端にアンモニウムクロリド基を有するEV
OHを合成し、このEVOH50部を水/イソプロピル
アルコール=90/10の混合溶剤1000部に60℃
で加熱溶解、ついで冷却、さらにイソプロピルアルコー
ルの留去を行ったが、水不溶解分が小さすぎるためか微
粒子として析出しがたく、また安定性が不良で実用に耐
える水分散体は得られなかった。
【0070】また実施例3と同様にして、固有粘度0.
46デシリットル/g、エチレン含量68モル%、けん
化度99.0モル%、融点123℃、水不溶解分99%
の末端にアンモニウムクロリド基を有するEVOHを合
成し、このEVOH50部を水/イソプロピルアルコー
ル=10/90の混合溶剤1000部に65℃で加熱溶
解、ついで冷却、イソプロピルアルコールの留去を行っ
て固形分濃度24%の水性分散液を得た。しかしなが
ら、この水性乳化分散液を実施例1と同様に塗布、乾燥
・熱処理したフィルム(EVOH厚み5μm)の酸素透
過量は1000以上でガスバリヤー性が著しく不良であ
った。
【0071】実施例4 ピバリン酸ビニル1000部、メチルアルコール300
部、3−メルカプトプロパン酸ナトリウム0.11部を
高圧重合槽に仕込み、内部を十分窒素置換した後エチレ
ンガスを仕込んだ。内温60℃、エチレン圧力24Kg
/cm2Gに調節した後、重合開始剤2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル0.65部を加え、さらに3−メ
ルカプトプロパン酸ナトリウムのメチルアルコール溶液
(濃度2.0%)を19.0部/時間の速度で5.0時
間連続的に添加して重合を行った。ピバリン酸ビニルの
重合率は51%であった。
【0072】冷却後エチレンガスを分離除去し、さらに
減圧下ノルマルプロピルアルコールを添加しながら未反
応の酢酸ビニルを系外に追い出し、エチレン−ピバリン
酸ビニル系共重合体のノルマルプロピルアルコール溶液
を得た。
【0073】次にこのノルマルプロピルアルコール溶液
に、水酸化カリウムを共重合体中のピバリン酸ビニル単
位に対するモル比が3.2となるように水酸化カリウム
のメチルアルコール溶液を添加し、窒素雰囲気下90℃
で1.5時間けん化反応を行った。ついで反応液を20
℃まで冷却してけん化物を析出させ、遠心脱液後、蒸留
水で繰り返し洗浄し、70℃で3時間熱風乾燥、さらに
105℃で12時間真空乾燥した。
【0074】得られたエチレン−ピバリン酸ビニル系共
重合体けん化物は、分子の末端にカルボン酸ナトリウム
を有する固有粘度0.81デシリットル/g、エチレン
含量32モル%、けん化度99.2モル%、融点183
℃、水不溶解分98%の末端イオン変性EVOHであっ
た。
【0075】この末端イオン変性EVOHを実施例1と
同一条件で水とメチルアルコールの混合溶剤に溶解し、
冷却、ついでメチルアルコールの留去を行い、平均粒子
径1.0μm、固形分濃度23%の水性分散液を得た。
また実施例1と同様に塗布、乾燥・熱処理したフィルム
(EVOH層厚み5μm)の酸素透過量は2.5でガス
バリヤー性が非常に良好であった。
【0076】実施例5 実施例4記載の末端イオン変性EVOH50部を水/エ
チルアルコール=30/70の混合溶剤500部に添加
混合し70℃で加熱溶解した。ついでこの溶液をドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.5%含有する1
5℃の水100部中5000rpmの高速撹拌下に滴下
したところ、平均粒子径0.8μmの安定な分散液が得
られた。次いでこの分散液を撹拌下に15℃で減圧蒸発
させてエチルアルコールを留去し、平均粒子径0.8μ
m、固形分濃度20%の安定な水性分散液を得た。この
水性乳化分散液を実施例1と同様に塗布、乾燥・熱処理
したフィルム(EVOH厚み5μm)の酸素透過量は
2.5でガスバリヤー性が非常に良好であった。
【0077】
【発明の効果】本発明の末端イオン変性EVOHを用い
て自己乳化分散した水性乳化分散液は貯蔵あるいは使用
時の安定性に優れた高固形分濃度の水性分散液で、環境
汚染等の問題のない利点があり、塗布乾燥により優れた
ガスバリヤー性、保香性および耐油・耐薬品性を示す薄
い皮膜を形成できる有用な塗布剤として利用できる工業
的価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1記載の分子の末端にカルボン酸ナトリ
ウムを有するエチレン含量32モル%、けん化度99.
9モル%の末端イオン変性EVOHをd6−DMSO
(重水素化ジメチルスルホキシド)とCD3OD(重水
素化メチルアルコール)とからなる混合溶剤に溶解して
測定した1H−NMRスペクトルである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23/26 LDB 7107−4J LDM 7107−4J (72)発明者 守谷 健 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 廣藤 俐 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 末端にイオン性基を有し、1モル/リッ
    トルのチオシアン酸アンモニウムを含有する水/フェノ
    ール系混合溶剤(重量比15/85)中30℃で測定し
    た固有粘度0.45デシリットル/g以上、エチレン含
    量15〜65モル%、けん化度90モル%以上で、かつ
    濃度1%で30℃の水に1日溶解したときの不溶解分が
    50%以上のエチレン−ビニルアルコール系共重合体。
  2. 【請求項2】 イオン性基がスルホン酸基またはその
    塩、カルボン酸基またはその塩、アンモニウム基からな
    る群より選ばれた1種または2種以上である請求項1記
    載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載のエチレン
    −ビニルアルコール系共重合体の水性分散液。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1121320A (ja) * 1997-05-09 1999-01-26 Kuraray Co Ltd エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる成形物
JP2002121290A (ja) * 2000-08-07 2002-04-23 Kuraray Co Ltd エチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物の製造方法
US6911520B2 (en) 2002-02-28 2005-06-28 Canon Kabushiki Kaisha Polyhydroxyalkanoate, method of producing the same, charge controlling agent containing polyhydroxyalkanoate, toner binder and toner, and image formation method and image forming apparatus using toner
US7507476B2 (en) 2004-09-03 2009-03-24 Kuraray Co., Ltd. Multilayered pellet comprising ethylene-vinyl alcohol copolymer resin composition

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