JPH0514926Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は車輌におけるシートベルトのシヨルダ
ーアンカーアジヤスターに関する。

〔従来の技術〕

所謂３点支持方式の車輌用シートベルトは、着
座者の座高に合せてシヨルダーアンカー位置を調
整することが望ましく、この為に種々のシヨルダ
ーアンカーアジヤスターが提供されている（例え
ば、特開昭59−57048号、実開昭59−159449号及
び同61−11454号公報など）。

この種のシヨルダーアンカーアジヤスターは、
基本的には、自動車のセンターピラーなどに固定
されるスライドレールと、このスライドレールと
長手方向へ摺動可能に係合するスライダーとから
なり、スライドレールには長手方向へ所定間隔の
透孔又は切欠部が形成されるとともに、スライダ
ーにはその透孔又は切欠部に嵌合するピン又は突
部をノブで進退操作可能に装着する一方、シート
ベルトを挿通するスルーアンカーを取付けてなる
ものであつた。

ところで、シヨルダーアンカーアジヤスターに
最も要求される事項は、シートベルトの保持力を
十分に有するとともに、高さ調節の操作が簡便容
易かつ迅速にできることである。調節操作は、可
能な限り一操作（ワンアクシヨン）で行えるよう
にすることが望ましい。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記特開昭59−57048号を除き、
他の従来例では調節操作がノブを押す、回すの二
操作（ダブルアクシヨン）が必要で、そもそも前
記要求に応えられないものであるのに反し、特開
昭59−57048号のものは一操作で調節ができるよ
うになつている点においては前記要求に応えるも
のである。

しかし、特開昭59−57048号のものによれば、
構造が極めて複雑であり、その為に組付作業工程
を多く要するからコスト高を生じ、例えば大衆車
に採用するには難があるといえる。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上記事情に鑑み、構造簡素にして組付
作業工程も少なく、コスト安をもたらすシヨルダ
ーアンカーアジヤスターを提供せんとするもの
で、その為の構成としては、長手方向へ所定間隔
で少なくとも２列に整列して穿設された複数の透
孔を有する帯板状のスライドレールと、断面略凹
形で左右側部に切欠部を有し、前記スライドレー
ルを抱持して長手方向へ移動自在に係合するとと
もに直交する突軸を有するスライダーと、該突軸
に遊嵌して軸方向移動自在、かつ、略コ字状に形
成されてスライダーの切欠部に嵌合し、前記スラ
イドレールを抱持して裏面から前記透孔に進退可
能な左右一対のカギ形の爪を有してスライダーに
付勢して装着されるラツチと、該ラツチと当接可
能に前記突軸に遊嵌されたブツシユと、該ブツシ
ユにテーパー部を介して当接するとともに突軸に
直交する方向へ移動可能に遊嵌されるプレスボタ
ンと、前記突軸の端部に遊嵌して連結されたブラ
ケツトを介し固定されたスルーアンカーとを有す
るシヨルダーアンカーアジヤスターである。

〔作用〕

本考案の上記構成によれば、プレスボタンを押
込むことにより、テーパー部に当接しているブツ
シユが突軸に沿つてスライドレール側へ移動し、
そのブツシユと当接して突軸に遊嵌されているラ
ツチがスライドレールから離れるように移動し、
透孔に進入している爪がスライドレールの裏面側
へ抜脱してスライダーとスライドレールとのロツ
クを解除できる。そこで、その状態のままスライ
ダーをスライドレールの長手方向へ移動させ適宜
の位置でプレスボタンの押圧を解くと、前記とは
逆の手順でラツチの爪がスライドレールの裏面か
ら透孔に入り、スライダーはスライドレールと係
合して動かないようにロツクされる。

〔実施例〕

以下に本考案を図示の実施例に基づき説明す
る。

第１図は分解斜視図、第２図は平面図、第３図
は第２図Ａ−Ａ断面図、第４図は第２図Ｂ−Ｂ断
面図である。

図において、１はスライドレール、２はスライ
ダー、３は突軸、４はラツチ、５はブツシユ、６
はプレスボタン、７はスルーアンカー、８は鍔付
きボルト、９はカバー体である。

スライドレール１は、第１図に示した如く、所
要長さの帯板１ａの一端近傍を曲げて段差を設
け、取付孔１ｂを穿設する一方、他端にはリベツ
ト穴１ｃを穿設し、リベツト１ｄを介しレールブ
ラケツト１ｅを連結できる。そして帯板１ａに
は、長手方向へ所定間隔で少なくとも２列に整列
し、左右対称に穿設された複数の透孔１ｆ，１ｆ
を設けてある。

スライダー２は、上記スライドレール１を抱持
して長手方向へ移動自在な断面略凹形のブロツク
２ａからなり、その左右側部に切欠部２ｂ，２ｂ
を有する。また、ブロツク２ａの略中心部には小
判形の透孔２ｃが穿設され、この透孔２ｃには突
軸３が直交して挿入される。突軸３は一端に鍔部
３ａを有する断面小判形の筒体３ｂで、その軸方
向内周には螺部３ｃが刻設されている。

ラツチ４は、スライダー２の切欠部２ｂ，２ｂ
に嵌合する左右一対のカギ形の爪４ａ，４ａとこ
れらを連結して略コ字形に曲成した爪保持部４
ｂ，４ｂを有し、爪保持部４ｂ，４ｂは一体に連
結されその中央部には一側へ突出した環部４ｃが
形成されている。環部４ｃは前記突軸３を遊嵌で
きる。また、爪４ａ，４ａは前記スライドレール
１の透孔１ｆに裏面から進退する。このラツチ４
はばね１０を挾んでスライダー２に嵌合され、そ
の環部４ｃと当接するブツシユ５が突軸３に遊嵌
される。ブツシユ５は環部４ｃと接触する端部と
対向する端部外周に、テーパー部５ａが形成され
ている。

プレスボタン６は、上記テーパー部５ａと斜辺
部が当接する三角形状の突起部６ａ，６ａ（第３
図参照）を端部に形成したスライド部６ｆ，６ｆ
を有するとともに、前記突軸３を遊嵌する略長円
形の透孔６ｂを有し、かつ、一端にボタン部６
ｃ、他端にばね係止部６ｄをそれぞれ有する。こ
のプレスボタン６及び前記ブツシユ５は同じ合成
樹脂材からなる成形体で、同じく成形体からなる
カバー体９の内部において突軸３と直交する方向
へ摺動可能に収納され、鍔付きボルト８に嵌挿す
るリング１１，１２，１３で遊嵌される。また、
このプレスボタン６のばね係止部６ｄとカバー体
９との間にはコイルばね１４か弾装され、プレス
ボタン６を常にカバー体９の外方へ押圧付勢す
る。

カバー体９は二ツ割り型の成形体で両部を一体
に結ぶバンド部９ｂを有して一体成形された箱状
体であつて、両部を合せることにより、プレスボ
タン６及びスルーアンカー７を収納できる。スル
ーアンカー７はブラケツト１５に固着され、ブラ
ケツト１５には透孔１５ａが穿設されている。こ
のブラケツト１５はその透孔１５ａに抜脱不能に
挿通する鍔付きボルト８を介し突軸３に回動３に
回動可能に連結される。

なお、１６はスライダー２に内装してスライド
レール１との間に介在させるばね体で、スライダ
ー２を常にスライドレール１から離間させる。

次に上記実施例の作用を説明する。

第３図に示した状態において、カバー体９を手
で覆うごとく把持しプレスボタン６に親指をかけ
てカバー体９に向け押圧する。プレスボタン６が
図示においてコイルばね１４の力に抗し右方へ移
動すると、その突起部６ａがブツシユ５のテーパ
ー部５ａを滑動してブツシユ５を突軸３に沿つて
スライダー２側へ移動させるから、ラツチ４はブ
ツシユ５が押す環部４ｃを介し全体としてスライ
ドレール１側へ移動する。このため、ばね１０の
力に抗してラツチ４の爪４ａ，４ａはスライドレ
ール１の裏面に突出し、透孔１ｆ，１ｆから抜脱
される（第３，第４図仮想線図示）。そこで、プ
レスボタン６を押したまま、カバー体９をスライ
ドレール１の長手方向へ押し又は引くと、スライ
ダー２とスライドレール１との係合が外れている
のでスライダー２は自在に移動できる。スライダ
ー２を適宜の位置で止め、プレスボタン６の押圧
を解くと、プレスボタン６はコイルばね１４の力
でカバー体９から突出する方向へ移動し、これに
よつて突起部６ａがブツシユ５をスライダー２側
へ押すのを解くから、ラツチ４及びブツシユ５は
ばね１０の力でカバー体９側へ移動し、よつてラ
ツチ４の爪４ａ，４ａはスライドレール１の新し
い透孔１ｆ，１ｆにそれぞれ進入し、スライダー
２をスライドレール１に固定する。

〔考案の効果〕

以上に説明した本考案によれば、プレスボタン
を押込むと、そのテーパー部とブツシユのテーパ
ー部とを介し、ブツシユをプレスボタンの押込方
向と直交する方向にラツチを動かせてその爪がス
ライドレールの透孔から外れ、スライダーを自在
に長手方向へ摺動できるようにしたから、シヨル
ダーアンカーアジヤストはワンアクシヨンで行え
るのは勿論のこと、構造は簡潔で組付作業工程も
少なく、コスト低下を図ることができる。しか
も、ラツチの爪はスライドレールの裏面で挿脱す
るようにしたので、万一シートベルトに過大な負
荷が掛かり、スライドレールを曲げる力が加わつ
ても、爪は透孔から抜離することなくしてスライ
ダーをスライドレールに所定の位置で静止固定さ
せ、シートベルトが過度に緩み又は外れてその機
能を喪失するおそれを解消させる。更に、スルー
アンカーはブラケツトを介し突軸の周囲を回動で
きるので、シヨルダーアンカーの高さ調節をより
適切に行えて装着者にフイツトさせ、シートベル
トを装着した際の煩らわしさを緩和する。さら
に、ラツチをスライダーの切欠部に嵌合させてス
ライドレールを抱持させるようにしたので、スラ
イダー分の厚みだけですみ、全体の厚みを薄くで
き、小型化される、などの効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は分解斜視図、第２図は平面図、第３図
は第２図Ａ−Ａ断面図、第４図は第２図Ｂ−Ｂ断
面図である。 １……スライドレール、２……スライダー、３
……突軸、４……ラツチ、５……ブツシユ、６…
…プレスボタン、７……スルーアンカー、８……
鍔付ボルト、９……カバー体、１ｆ……透孔、４
ａ……爪。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 長手方向へ所定間隔で少なくとも２列に整列し
   て穿設された複数の透孔を有する帯板状のスライ
   ドレールと、断面略凹形で左右側部に切欠部を有
   し、前記スライドレールを抱持して長手方向へ移
   動自在に係合するとともに直交する突軸を有する
   スライダーと、該突軸に遊嵌して軸方向移動自
   在、かつ、略コ字状に形成されてスライダーの切
   欠部に嵌合し、前記スライドレールを抱持して裏
   面から前記透孔に進退可能な左右一対のカギ形の
   爪を有してスライダーに付勢して装着されるラツ
   チと、該ラツチと当接可能に前記突軸に遊嵌され
   たブツシユと、該ブツシユにテーパー部を介して
   当接するとともに突軸に直交する方向へ移動可能
   に遊嵌されるプレスボタンと、前記突軸の端部に
   遊嵌して連結されたブラケツトを介し固定された
   スルーアンカーとを有することを特徴とするシー
   トベルト用シヨルダーアンカーアジヤスター。