JPH05145344A

JPH05145344A - 復調器

Info

Publication number: JPH05145344A
Application number: JP33285891A
Authority: JP
Inventors: Kazuji Sasaki; 一二佐々木; Masami Abe; 雅美阿部; Akihiko Toyoshima; 昭彦豊島; Junichi Nakada; 純一中田
Original assignee: Sony Corp
Current assignee: Sony Corp
Priority date: 1991-11-22
Filing date: 1991-11-22
Publication date: 1993-06-11

Abstract

(57)【要約】【目的】円滑なキャリアロック引き込み動作、及び周
波数変動に対して良好に追従し安定したキャリア再生を
実現できる復調器の提供。【構成】キャリア再生回路２が設けられ、位相変調さ
れた入力信号を同期検波方式で復調する復調器におい
て、ループフィルタ６として完全積分２次ループフィル
タと完全積分３次ループフィルタを用意し、非キャリア
ロック時には完全積分２次ループフィルタが使用され、
またキャリアロック時には完全積分３次ループフィルタ
が使用されるような切換制御が実行されるように構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は位相変調信号を同期検波
方式で復調する復調器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】位相変調された入力信号を復調する復調
器として、局部発振器の周波数及び位相を入力信号の中
心周波数の周波数及び位相と一致させ、入力信号と、局
部発振器の出力即ち再生キャリア信号とを掛け合わせて
復調を行なう同期検波方式が知られている。このような
方式の復調器において、キャリア再生手段は通常、掛算
回路等によるキャリア位相誤差検出手段と、ループフィ
ルタと、電圧制御発振器（ＶＣＯ）とを備えたＰＬＬ回
路によって構成されている。

【０００３】ところで、特に各種通信システム等におい
てこのような復調器を採用する際、つまり、入力信号が
通信データの変調信号であった場合には、入力信号内に
はノイズ成分がかなり含まれており、このノイズ成分は
電圧制御発振器から出力されるキャリア再生信号のキャ
リアはずれにつながり易い。このようなキャリア再生誤
動作をできるだけ防止するためにもループフィルタは狭
帯域のものが用いられている（実際には低域通過フィル
タ）。また、このループフィルタとしては完全積分２次
ループフィルタが採用されることが一般的である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したノ
イズ成分を排除するには、ループフィルタの帯域が狭い
程有効ではあるが、完全積分２次ループフィルタの場
合、帯域を狭くしすぎると、非キャリアロック状態（キ
ャリアはずれ）からキャリアロックまでの周波数引き込
み時間（Pull in Time）に長時間を要するようになる。
また、入力信号自体がドップラー効果等によって周波数
変動している場合は、変化する周波数に追従不能とな
り、従って一旦キャリアロックしていた場合でも再びキ
ャリアはずれが発生してしまう。

【０００５】このため、特に通信システム等に採用され
る復調器として、ノイズに強く、しかも周波数変動に良
好に追従してキャリアロック状態を保つことのできるキ
ャリア再生手段を実現することが求められていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明はこのような問題
点にかんがみてなされたもので、少なくともキャリア位
相誤差検出手段と、ループフィルタと、電圧制御発振器
とを有し入力信号のキャリアを再生するキャリア再生回
路が設けられ、位相変調された入力信号を同期検波方式
で復調する復調器において、キャリア再生回路のループ
フィルタとして完全積分２次ループフィルタと完全積分
３次ループフィルタを用意し、非キャリアロック時には
完全積分２次ループフィルタが使用され、またキャリア
ロック時には完全積分３次ループフィルタが使用される
ような切換制御が実行されるように構成した復調器を提
供するものである。

【０００７】

【作用】完全積分２次ループフィルタは、時定数を短く
することによりキャリアはずれは発生しやすいが、逆に
プルインタイムを短くすることができる。一方、完全積
分３次ループフィルタは一旦キャリア外れを起こすと再
引き込みに時間がかかり、場合によっては再引き込み不
能となるが、完全積分２次ループフィルタに比較して狭
帯域にしても周波数変動に十分追従できる。したがっ
て、上記のように完全積分２次ループフィルタと完全積
分３次ループフィルタを選択的に使用することでキャリ
ア再生信号の安定性を向上させることができる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例として、インマルサッ
ト（国際海事衛星機構）ＳＴＤ−Ｃ通信端末の復調器と
して採用した例について図１を用いて説明する。ＳＴＤ
−Ｃ（低速度データ通信に関する標準Ｃタイプ）におい
ては、１２００ｂｐｓのデータ及びエラー訂正用ビット
等を２相ＰＳＫ方式で位相変調しており、この変調信号
が図１における入力端子Ｔ₁ に供給されている。

【０００９】図１は同期検波方式による復調器のブロッ
ク図を示しており、１は受信データ再生回路、２はキャ
リア再生回路を示す。入力端子Ｔ₁ に供給された受信入
力信号Ｓ_D は受信データ再生回路１とキャリア再生回路
２に供給される。受信データ再生回路１では、供給され
た受信入力信号Ｓ_D とキャリア再生回路２で再生される
キャリア再生信号Ｓ_C を用いて、位相検波、タイミング
は抽出識別再生を経て、受信データ信号Ｓを出力する。
なお、この受信データ再生回路１については本発明と直
接関係ないため、詳細な説明は省略する。

【００１０】キャリア再生回路２において、３ａ，３ｂ
は掛算回路によって成る位相比較回路、４ａ，４ｂはロ
ーパスフィルタ、５は掛算器によって成る位相誤差検出
回路、６はループフィルタ、７は電圧制御発振器（ＶＣ
Ｏ）、８はπ／２移相器である。

【００１１】位相比較回路３ａには受信入力信号Ｓ_D と
ＶＣＯ７の出力が入力され、これらを掛け合わせて位相
比較信号を得、ローパスフィルタ４ａを介して位相誤差
検出回路５に供給する。また、位相比較回路３ｂには受
信入力信号Ｓ_D と、ＶＣＯ７の出力がπ／２移相器８に
よって９０°位相が進められて入力され、これらを掛け
合わせて位相比較信号を得、ローパスフィルタ４ｂを介
して位相誤差検出回路５に供給する。

【００１２】位相誤差検出回路５では供給された各位相
比較信号を掛け合わせることによって位相誤差検出信号
を得る。そして、位相誤差検出信号はループフィルタ６
によってノイズ成分が除去されたうえで、ＶＣＯ７に制
御入力信号として供給される。このループがロックした
状態（位相誤差検出回路５から０Ｖの位相誤差信号が得
られている状態）でＶＣＯ７出力として受信入力信号Ｓ
_D の中心周波数と同周波数、同位相の信号Ｓ_C が再生さ
れる。即ち受信入力信号Ｓ_D のキャリアが再生されるこ
とになる。

【００１３】また、１０はキャリアロック検出回路を示
し、ローパスフィルタ４ａの出力が供給される掛算回路
１１ａ、ローパスフィルタ４ｂの出力が供給される掛算
回路１１ｂ、減算回路１２、ノイズ除去を目的としたロ
ーパスフィルタ１３、及びコンパレータ１４から構成さ
れている。

【００１４】ここで、キャリア再生回路２及びキャリア
ロック検出回路１０における各地点（ａ）〜（ｍ）での
信号を説明する。受信入力信号Ｓ_D はＢＰＳＫ変調され
ているため、受信入力信号Ｓ_D は、

【数１】又は

【数２】と表わされる。結局、

【数３】となる。ここで、Ａは振幅、ω₀ はキャリア角周波数と
する。

【００１５】また、ＶＣＯ７の発振周波数の位相がキャ
リア角周波数ω₀に対してΔθだけ誤差があると仮定す
ると、ＶＣＯ７の出力（ｆ）及び（ｇ）は、それぞれ、

【数４】

【数５】と表わせる。

【００１６】従って、位相比較回路３ａ，３ｂの出力
（ａ）（ｂ）即ち位相比較信号は、

【数６】

【数７】となる。

【００１７】この（数６）（数７）は共に入力キャリア
の２倍の周波数成分 cos（２ω₀t＋Δθ）の項と、位相
誤差の直流成分 cos（−Δθ）， sin（−Δθ）の和を
表わしているので、この入力キャリア周波数の２倍を次
段のローパスフィルタ４ａ，４ｂによって除去すればロ
ーパスフィルタ４ａ，４ｂの出力（ｃ）（ｄ）は、

【数８】

【数９】となる。

【００１８】この（ｃ）（ｄ）の信号は位相誤差検出回
路５によって掛け合わされ、出力（ｅ）即ち位相誤差検
出信号が得られるが、この位相誤差検出信号（ｅ）は、

【数１０】となる。ここで、２Δθが０に近い範囲の場合は、 sin
Δθ＝２Δθが成り立ち、その場合、位相誤差検出信号
（ｅ）は

【数１１】となり、即ちこれはキャリア位相誤差を表わしているこ
とになる。

【００１９】つまり、このキャリア位相誤差を表わす信
号によりＶＣＯ７の発振周波数が制御されることによ
り、キャリアが再生されることになり、また、キャリア
ロック状態では上記したよう位相誤差検出信号（ｅ）＝
０Ｖとなる。

【００２０】また、キャリアロック検出回路１０におい
ては、ローパスフィルタ４ａ，４ｂの出力（ｃ）（ｄ）
が掛算回路１１ａ，１１ｂに供給され、掛算回路１１
ａ，１１ｂからは出力（ｈ）（ｉ）が取り出されるが、
ここで出力（ｈ）（ｉ）は、

【数１２】

【数１３】となる。また、減算回路１２の出力（ｊ）は、

【数１４】となる。ローパスフィルタ１３はノイズ除去を目的とし
たものであるため、式上ではローパスフィルタ１３の出
力（ｋ）は（ｊ）と一致する。従って、

【数１５】即ちこの出力（ｋ）はキャリアロック検出信号となる。

【００２１】位相誤差検出信号（ｅ）とキャリアロック
検出信号（ｋ）の関係は図２のように示される。このキ
ャリアロック検出信号（ｋ）はコンパレータ１４によっ
て所定のスレッショルドレベルと比較され、その比較出
力（ｍ）はループフィルタ６に供給されている。

【００２２】このようにキャリア再生回路２及びキャリ
アロック検出回路１０が構成されているとともに、本実
施例では特にキャリア再生回路２におけるループフィル
タ６は、完全積分２次ループフィルタ及び完全積分３次
ループフィルタが切換可能状態で設けられている。即ち
ループフィルタ６は図３に示すように、スイッチ回路２
０，２１、アンプ２２，２３、抵抗Ｒ₁ 〜Ｒ₆ 、コンデ
ンサＣ₁ 〜Ｃ₃ によって構成されている。

【００２３】そして、スイッチ回路２０，２１はそれぞ
れコンパレータ１４の比較出力（ｍ）がスイッチング制
御信号として供給されており、比較出力（ｍ）に基づい
てＵ端子とＬ端子が選択される。

【００２４】そして、スイッチ回路２０，２１でＵ端子
が接続されている場合は、このループフィルタ６は図４
に示すように完全積分２次ループフィルタとして機能す
る。つまり、アンプ２２は単純に増幅器として機能する
が、アンプ２３は完全積分２次フィルタとして構成され
る。

【００２５】また、スイッチ回路２０，２１でＬ端子が
接続されている場合は、このループフィルタ６は図５に
示すように完全積分３次ループフィルタとして機能す
る。つまり、アンプ２２，２３とも完全２次フィルタと
して構成され、これがシリーズ接続されるため、総合的
に見ると完全積分３次フィルタとなる。

【００２６】そして本実施例では、図６（ａ）〜（ｃ）
に示すように、キャリアロック検出信号（ｋ）と所定の
スレッショルドレベルとの比較出力（ｍ）によって、キ
ャリアロックが実現されていない場合のみスイッチ回路
２０，２１がＵ端子に接続され、ループフィルタ６は完
全積分２次ループフィルタとして機能する。そして、キ
ャリアロックが実現された段階ではスイッチ回路２０，
２１がＬ端子に接続され、ループフィルタ６は完全積分
３次ループフィルタとして機能する。なお、完全積分２
次ループフィルタの時定数は短く設定されている。

【００２７】従って、非キャリアロック状態からキャリ
アロックへの引き込み時には時定数の短い完全積分２次
ループフィルタが用いられて比較的短時間で引き込みが
完了され、またキャリアロック状態では狭帯域に設定し
ても周波数変動に十分追従できる特徴を有する完全積分
３次ループフィルタが用いられることにより、キャリア
はずれは滅多に発生しない。そして、このようにキャリ
ア再生が安定化されることにより、復調動作の安定性は
向上することになる。

【００２８】特に、インマルサット通信端末のように電
波の伝搬状況により受信信号に極端にノイズ成分の多
く、かつ使用しているキャリアがドップラーシフトを起
こすことが考えられる場合であっても、本実施例のよう
に完全積分３次ループフィルタが用いられることによっ
て、安定したキャリア再生が実現されることになる。

【００２９】このドップラーシフト周波数は使用してい
るキャリア（搬送周波数）がより高くなればそれに比例
して大きくなり、また、移動体がより高速で移動すれば
同様に大きくなる。このことを考慮すると、本実施例の
方式は例えば航空機通信等に採用しても多大な効果を奏
することができる。

【００３０】なお、参考のため、ループフィルタ６を完
全積分２次ループフィルタのみで構成した場合と完全積
分３次ループフィルタのみで構成した場合のキャリアロ
ックはずれの発生状況例を図６（ｄ）（ｅ）に示す。図
中、キャリア引き込み動作期間はｉで示される。つま
り、完全積分２次ループフィルタのみでは引き込み易い
がキャリア外れも発生しやすい。一方完全積分３次ルー
プフィルタのみではキャリア外れは滅多に発生しないが
一旦キャリア外れが発生すると、引き込みに長時間を要
し、又は引き込み不能となる。

【００３１】また、本実施例のループフィルタ６におい
ては、アンプ２３の出力バイアスが変動することはない
ため、完全積分２次ループフィルタと完全積分３次ルー
プフィルタを切り換えてもＶＣＯ７への入力バイアスレ
ベルに変動は生じない。従って、完全積分２次ループフ
ィルタと完全積分３次ループフィルタの切換動作がＶＣ
Ｏ７の発振周波数に影響を与えることはないという利点
もある。

【００３２】なお、ループフィルタ６の構成は他にも各
種考えられ、少なくとも出力バイアス変動が生じないよ
うにして完全積分２次ループフィルタと完全積分３次ル
ープフィルタを切り換えることができるようにすれば、
どのような構成でも構わない。例えばＤＳＰ（Digital
Signal Processer）を用いて構成することもできる。

【００３３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の復調器
は、キャリア再生回路におけるループフィルタとして完
全積分２次ループフィルタと完全積分３次ループフィル
タを用意し、非キャリアロック時には完全積分２次ルー
プフィルタが使用され、またキャリアロック時には完全
積分３次ループフィルタが使用されるような切換制御が
実行されるように構成したため、円滑なキャリアロック
引き込み動作が実現されるとともに、周波数変動に対し
て良好に追従し、安定したキャリア再生を実現できると
いう効果があり、特に移動体通信等における通信端末の
復調器として有用である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の復調器の一実施例を示すブロック図で
ある。

【図２】本実施例における位相誤差検出信号とキャリア
ロック検出信号の関係図である。

【図３】本実施例におけるループフィルタの回路図であ
る。

【図４】本実施例におけるループフィルタによる完全積
分２次ループフィルタの説明図である。

【図５】本実施例におけるループフィルタによる完全積
分３次ループフィルタの説明図である。

【図６】本実施例のループフィルタの２次／３次切換動
作の説明図である。

【符号の説明】

２キャリア再生回路３ａ，３ｂ位相比較回路５位相誤差検出回路６ループフィルタ７ＶＣＯ８ π／２移相器１０キャリアロック検出回路１４コンパレータ２０，２１スイッチ回路２２，２３アンプ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者中田純一東京都品川区北品川６丁目７番35号ソニー株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】少なくともキャリア位相誤差検出手段
と、ループフィルタと、電圧制御発振器とを有し入力信
号のキャリアを再生するキャリア再生回路が設けられ、
位相変調された入力信号を同期検波方式で復調する復調
器において、前記ループフィルタとして完全積分２次ループフィルタ
と完全積分３次ループフィルタを用意し、非キャリアロ
ック時には前記完全積分２次ループフィルタが使用さ
れ、またキャリアロック時には前記完全積分３次ループ
フィルタが使用されるような切換制御が実行されるよう
に構成したことを特徴とする復調器。