JPH05142211A - 超音波測定装置のa/d変換処理方式 - Google Patents

超音波測定装置のa/d変換処理方式

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JPH05142211A
JPH05142211A JP3332699A JP33269991A JPH05142211A JP H05142211 A JPH05142211 A JP H05142211A JP 3332699 A JP3332699 A JP 3332699A JP 33269991 A JP33269991 A JP 33269991A JP H05142211 A JPH05142211 A JP H05142211A
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建 西塚
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Abstract

(57)【要約】 【目的】生産性および保守性に優れ、かつ、精度の高い
サンプリングデータを得ることができるシーケンシャル
な等価サンプリング方式を行う超音波測定装置のA/D
変換処理方式を実現する 【構成】遅延線等を用いることで、信号P.SYNCを
基準タイミングの信号としてサンプリングクロックDを
生成するための回路、すなわち、ウインドウパルス発生
回路20、遅延時間切換制御回路3、遅延時間選択遅延
回路40、発振回路41等を、A/D変換回路5の動作
周波数と同じかそれ以下で動作可能な構成とし、精度を
維持したままで生産性および保守性を向上させることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、超音波測定装置にお
けるA/D変換処理方式に関し、詳しくは、エコー受信
信号をデジタル値に変換して画像処理し、Aスコープ画
像等を表示する小型の超音波探傷装置において、A/D
変換の変換周波数が低くても高いサンプリング周波数及
び精度でA/D変換が可能なシーケンシャルデジタル化
A/D変換処理方式の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波測定装置の1つである超音波探査
映像装置は、被検体中の異種材料の界面や亀裂による空
間などが存在することによって超音波が反射され、その
反射波の強度や送信波の送出(又は表面波検出)時点か
ら反射波検出までの時間(路程)を測定することによっ
て界面の状態や亀裂の位置などを測定している。ここ
で、反射波の強度や送信波送出(又は表面波検出)から
反射波検出までの時間や強度を測定するには、超音波探
触子から得られるエコー受信信号を増幅してそのピーク
値を検出し、それまでの時間を計測することで行われた
り、増幅されたエコー受信信号をそのままA/D変換し
てコンピュータによりデータ処理して時間や強度の値を
測定することで行われ、その測定結果は、一般にAスコ
ープ画像等として表示される。しかも、最近では、エコ
ー受信信号をA/D変換してアナログ波形をデジタル化
して処理することも多く、この場合のA/D変換は、そ
の変換時のサンプリング周波数が高ければ高いほど元波
形に対する忠実度が高くなって、高精度な測定ができ
る。
【0003】アナログ波形をデジタル化する方法として
は、デジタル式のオシロコープで用いられている方式が
あり、この方式の1つは、必要とされる周波数、例え
ば、200MHzのサンプリングクロックで、A/D変
換器がアナログ波形を順次A/D変換するものである。
しかし、そのような周波数でサンプリングするには、そ
れに応じた非常に高い周波数のサンプリングクロックで
動作し得るA/D変換回路が必要になる。ところが、ア
ナログ波形を正確に変換するためには、アナログ波形の
サンプリング周波数は、前記のサンプリングクロックよ
り低い周波数の、例えば、20MHz程度、コストも考
慮すると5MHz以下であることが好ましいと言われて
いる。したがって、前述の如く非常に高い周波数のサン
プリングクロックで動作するA/D変換回路を採用し、
しかも精度を追求すると、そのために回路構成が複雑に
なるとともに、A/D変換回路が高価にならざるを得な
い。
【0004】一方、A/D変換回路のサンプリングクロ
ックの周波数すなわち変換周波数が低い場合であっても
等価的に高いサンプリング周波数でA/D変換した如き
データを得ることができる等価サンプリング方式とし
て、シーケンシャル方式がある。これは、1回の測定の
アナログ波形で1つのサンプリングクロックによるA/
D変換を行い、次の測定の波形では前の波形より少しク
ロック位置をずらせてサンプリングし、複数回の測定で
のサンプリングデータを合わせて一連の測定の結果とす
るものである。また、このように1測定ごとに1変換す
る原理的な方法では効率がよくないので、通常は1測定
ごとに複数回の変換をする。この方式で、希望する短い
サンプリング周期より長い変換周期で動作するA/D変
換回路を用いて希望する高いサンプリング周波数を等価
的に実現するためには、同じ波形を繰り返すエコー受信
信号波形を測定周期ごとに複数回受けて、これを受ける
ごとに即ち測定周期を重ねるごとに、変換周期を有する
サンプリングクロックの位相を希望するサンプリング周
期の時間ずつずらせてA/D変換すれば高いサンプリン
グ周波数でA/D変換したときと同じ結果が得られる。
【0005】このようにシーケンシャル方式で各測定周
期ごとに複数のサンプリングを行う場合、例えば、20
MHzのサンプリングクロックで動作するA/D変換回
路を用いて2.5GHzのサンプリング周波数を等価的
に実現する場合の一例を、図5に示す。この場合には、
同じ波形を繰り返すエコー受信信号((a)アナログ波
形参照)を125回(nに対応)受けて、各測定周期ご
とに変換周期50ns(Tに対応)のサンプリングクロ
ックのタイミングでエコー受信信号を複数回A/D変換
するが((b)参照)、エコー受信信号を受けるごとに
即ち測定周期を重ねるごとに、サンプリングクロックの
タイミングを0.4ns(T/nに対応)ずつ位相をず
らせてA/D変換すれば((c),(d)参照)、12
5回の測定周期後に、2.5GHzでA/D変換したと
きと同じだけの測定結果が得られる。
【0006】このようなシーケンシャルデジタル化A/
D変換処理方式を実行する回路の従来の構成を図6のブ
ロック図に示す。また、その回路における波形例を図3
に示したので、図を参照しながら、その動作をより具体
的に説明する。このブロック図で、1はP.SYNC発
生回路、2はサンプリング基準クロック発生回路、3は
遅延時間切換制御回路、4は遅延回路、5はA/D変換
回路、6はデータ処理回路を具備する画像処理装置であ
る。P.SYNC発生回路1は、この例ではサンプリン
グ基準クロック発生回路2に含まれており、2.5GH
zの制御基準クロックAを受けて、このクロックAに同
期して、1KHzの信号P.SYNCを発生する回路で
ある。なお、信号P.SYNCはパルサから超音波探触
子に加える送信パルス(打出し波(T波))を発生させ
るためにパルサに加えられるタイミング信号である。
【0007】サンプリング基準クロック発生回路2は、
高速のカウンタを用いて構成され、2.5GHzの制御
基準クロックAを受けて、これと信号P.SYNCとに
同期して、20MHzのサンプリング基準クロックBを
発生する回路である。遅延時間切換制御回路3は、カウ
ンタ回路であり、信号P.SYNCを受けるごとに、す
なわち、測定周期を重ねるごとに、そのカウント値を進
めて遅延時間切換制御信号C(iに対応)を生成し、遅
延回路4に出力する。
【0008】遅延回路4は、遅延時間切換制御信号Cの
値に従う数の制御基準クロックAからなる期間だけ、す
なわち(i−1)×T/nの時間だけ、サンプリング基
準クロックBを遅延させることで、サンプリングクロッ
クDを生成し出力する。A/D変換回路5は、サンプル
ホールド回路とA/D変換器等から構成され、エコー受
信信号RFとサンプリングクロックDを受け、サンプリ
ングクロックDのタイミングで、エコー受信信号RFを
サンプリングして保持しこのサンプルホールドされた値
をA/D変換してデジタル値にする。画像処理装置6
は、マイクロプロセッサやメモリ等を具備するデータ処
理回路を備え、A/D変換回路5からのデジタル値のデ
ータを受けて、これをエコー受信信号RFの時系列に対
応させたデータとする。
【0009】このような従来の構成の回路におけるシー
ケンシャルな等価サンプリング方式でA/D変換を行う
超音波測定装置のA/D変換回路の変換処理動作は、図
3に示すようなタイミングで行われる。先ず、2.5G
Hz即ち0.4ns周期の制御基準クロックA(図3
(a)参照)に同期して、測定周期である1ms周期す
なわち1KHzの信号P.SYNC(図3(b)参照)
が出力されると、送信パルス(T波)が発生して超音波
探触子(図示せず)を介してエコー受信信号RFが得ら
れる。なお、図3の(e)に、超音波探触子から得られ
る信号を超音波探傷部のレシーバで増幅してから得たエ
コー受信信号RFの一例を示す。ここで、T波は送信パ
ルスの波形であり、S波は表面エコーの受信信号波形、
そして、F波は欠陥エコーの受信信号波形である。この
エコー受信信号RFは等価サンプリングのために125
回(n回)繰り返し測定されるが、図3には、そのi番
目の各信号の波形を示している。
【0010】その125回の各測定周期ごとにP.SY
NCに同期して20MHz即ち50ns周期のサンプリ
ング基準クロックB(図3(c),図5(b)参照)が
生成され、さらに、測定周期を重ねるごとに遅延時間切
換制御信号Cに従って(i−1)×0.4nsの時間だ
けサンプリング基準クロックBが遅延したサンプリング
クロックDが生成される(図3(d)参照)。そして、
このサンプリングクロックDのタイミングで、エコー受
信信号RFがサンプリングされるので、このサンプリン
グ基準クロックBを基準として測定周期を重ねるごとに
所定量遅延されてサンプリング位置が順次ずらされてい
く。
【0011】その結果、20MHzの変換周波数のA/
D変換回路を用いて125回測定を繰り返すという一連
の測定により、その後で画像処理装置6が測定結果を画
面等に表示するときには、あたかも2.5GHzの測定
を行った場合と等価なデータを表示することができる。
なお、図3における波形例の周期やパルス数は図化の都
合上簡略化されており、20MHzや2.5GHzとい
う周波数とは必ずしも対応してはいない。また、図3の
(b)から(c)に至る過程で、通常、サンプリング基
準クロックBは信号P.SYNCに対して一定の設定時
間DELAYだけ遅延するが、これは、上述の構成と同
様に高速のカウンタ等を用いて構成され、2.5GHz
の制御基準クロックAをカウントすることで実現されて
いる。ただし、説明の簡明化のために、図6でのその詳
細な表示は、これを割愛した。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の構
成のA/D変換処理方式では、制御基準クロックを採用
し、これを、信号の同期が必要な全回路における基準信
号とすることにより、同期式回路として具体化される。
そして、同期式回路としたことにより、コンデンサや抵
抗で構成されるワンショット回路を用いた旧来の構成の
回路に較べ、その動作の安定化が図られている。実際、
制御基準クロック周りの調整が完了した後は、この回路
は正確な測定動作を実行することができる。
【0013】ところが、この構成では、極めて高い周波
数の基準クロックを各回路で共有する必要があり、伝搬
遅延による影響が無視できない。例えば、2.5GHz
の場合には、クロックの1周期の間に信号が数センチメ
ートル程度しか伝わらないので、実際の回路上の配線
長,リードインダクタンス,分布容量等の影響を受けて
生じる、いわゆるクロックスキュウすなわち基準クロッ
クの各回路への到着時間のばらつきを無視することがで
きない。もちろん、一旦これを調整してしまえば、正確
に動作することは前述の通りである。
【0014】しかし、この調整にはかなりの工数と経験
さらには高性能な調整治具をも必要とするので、組立て
調整費がかさみ生産性がよくない。また、同じ理由か
ら、納入先や携帯先での故障等に対して、ボード交換程
度の手軽な対応で済ませることができないので、保守性
に問題がある。この発明は、このような従来技術の問題
点を解決するものであって、生産性および保守性に優
れ、かつ、精度の高いサンプリングデータを得ることが
できるシーケンシャルな等価サンプリング方式を行う超
音波測定装置のA/D変換処理方式を実現することを目
的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
のこの発明のA/D変換処理方式は、所定の測定周期で
得られる超音波のエコー受信信号をデジタル値に変換し
て測定値表示処理等の所定の処理をする超音波測定装置
におけるA/D変換処理方式であって、所定の変換周期
を有するサンプリングクロック(又はサンプリングタイ
ミング信号)を前記測定周期ごとに受けて、前記エコー
受信信号をA/D変換器でA/D変換するA/D変換回
路と、前記のA/D変換されたデジタル値を受けて、前
記エコー受信信号の時系列に対応させたデータとしてデ
ータ処理をするデータ処理回路と、サンプリングの基準
となるタイミング及び幅を有するサンプリングウインド
ウパルス(又はサンプリングウインドウ信号)を、前記
測定周期に同期して発生するウインドウパルス発生回路
(又はウインドウ信号発生回路)と、T/nの時間(た
だし、Tは前記変換周期,nは2以上の整数)を単位と
して前記サンプリングウインドウパルス(又はサンプリ
ングウインドウ信号)を遅延させた信号を遅延回路によ
り発生し、前記測定周期に対応して(i−1)×T/n
だけ(ただし、iは、測定周期を重ねた回数)前記サン
プリングウインドウパルス(又はサンプリングウインド
ウ信号)を遅延させた信号を遅延ウインドウパルス(又
は遅延ウインドウ信号)として出力する遅延時間選択遅
延回路と、前記遅延ウインドウパルス(又は遅延ウイン
ドウ信号)を受け、このタイミングに同期してこの信号
を受けている間は前記変換周期で発振し、前記サンプリ
ングクロック(又はサンプリングタイミング信号)を発
生する発振回路と、を備えるものである。
【0016】
【作用】以上のような構成によれば、この発明の超音波
測定装置のA/D変換処理方式では、制御基準クロック
の周期に対応した遅延時間すなわちT/nの単位時間だ
け遅延した信号を遅延回路によって生成する回路構成と
したことにより、希望のサンプリング周波数に相当する
高い周波数の基準クロックを広い範囲の回路で扱う必要
がない。そして、それよりかなり低い周波数である変換
周期に対応するサンプリングクロックが、最も高い周波
数の信号となる。
【0017】よって、遅延回路周りの局所を除き、信号
の伝搬遅延時間が装置の性能や精度にほとんど影響しな
いので、簡単な調整ですぐに高い精度のサンプリングを
達成することができる。また、調整個所が局所に絞られ
るので、調整の済んだボードさえ使用すれば、ボード交
換を行っても全体の作動には影響がない。その結果、こ
の発明のシーケンシャルな等価サンプリング方式を行う
超音波測定装置のA/D変換処理方式では、高いサンプ
リング周波数に相当する精度の高いサンプリングデータ
を得ることができるばかりでなく、優れた生産性と保守
性をも、具現化できる。
【0018】
【実施例】以下、この発明の一実施例について図面を参
照して詳細に説明する。なお、シーケンシャルな等価サ
ンプリング方式の原理については、従来例において説明
したので、ここではその説明を割愛する。図1は、この
発明の超音波測定装置のA/D変換処理方式を適用した
一実施例のブロック図であり、図4は、その動作を説明
するために各信号の波形を簡略化して図示したものであ
る。
【0019】このブロック図1で、10はP.SYNC
発生回路、20はウインドウパルス発生回路、3は遅延
時間切換制御回路、40は遅延時間選択遅延回路、41
は発振回路であり、5はA/D変換回路、6はデータ処
理回路を具備する画像処理装置である。P.SYNC発
生回路10は、パルサから超音波探触子に加える送信パ
ルス(打出し波(T波))を発生させるためにパルサに
加えられるタイミング信号である信号P.SYNCを発
生する回路である。なお、信号P.SYNCは、制御基
準クロックに代わって測定周期の基準となるものであ
り、従来例との対比上、同じ1KHzの信号とする。ま
た、このP.SYNC発生回路10は、このA/D変換
処理方式のための回路内に置かれる必然性がなく、何処
に配置されていてもよいので、図では破線をもって示し
ている。
【0020】ウインドウパルス発生回路20は、具体的
にはワンショット回路あるいは遅延素子を用いた発振回
路等であり、1KHzの信号P.SYNCの開始端に同
期するタイミング又は一定の設定時間遅延したタイミン
グでサンプリングウインドウパルスWを発生する。サン
プリングウインドウパルスWは、その開始端のタイミン
グは安定している必要があるが、終了端のタイミングは
さほど重要ではなくて単に捨てられる余分なデータをサ
ンプリングすることとなるだけであるので、ウインドウ
パルス発生回路20の構成はこの程度の簡易なものでよ
い。遅延時間切換制御回路3は、例えば、カウンタ回路
であり、信号P.SYNCを受けるごとに、すなわち、
測定周期を重ねるごとに、そのカウント値を進めて遅延
時間選択データC’(iに対応)を生成し、遅延時間選
択遅延回路40に出力する。したがって、この回路も1
KHzの動作周波数で十分である。なお、出力信号名が
従来例の遅延時間切換制御信号Cから遅延時間選択デー
タC’に変更されているが、これらは実質的には同じも
のである。ただ、この遅延時間切換制御回路にデコーダ
を内蔵し、デコード後の選択信号を出力する場合も考え
られるのでこのような信号名とした。
【0021】遅延時間選択遅延回路40は、図2にその
詳細な具体例を示すが、遅延回路の1つとしての遅延線
40aとスイッチ回路40bを主体として構成される。
そして、遅延線40aにより、T/n=0.4nsの時
間を単位として、サンプリングウインドウパルスWを順
に遅延させた125個(n個)以上の信号を、並列に発
生する。さらに、これらの信号群の中から、遅延時間選
択データC’に対応して、(i−1)×0.4nsだけ
サンプリングウインドウパルスWを遅延させた信号をス
イッチ回路40bで選択し、これを遅延ウインドウパル
スXとして出力する。したがって、この回路におけるス
イッチング等の動作も1KHzである。また、サンプリ
ングデータの精度を決定するT/n=0.4ns単位の
遅延時間の影響範囲は、遅延線40aの出力のばらつき
とその直後のスイッチ回路40bの遅延時間のばらつき
に限定されている。よって、局所的な遅延時間選択遅延
回路40だけ厳密に調整すればよく、他の回路では、絶
対的なタイミングを気にする必要がなく、繰り返しにお
けるタイミングの安定を図れば十分である。
【0022】発振回路41は、図2にその詳細な具体例
を示すが、ゲート41aとディレイ素子41bからなる
ループを主体として構成され、遅延ウインドウパルスX
を受けると、その開始端のタイミングに同期して変換周
期すなわち20MHzの発振を始める。そして、この遅
延ウインドウパルスXを受けている間は、前記の変換周
期で発振を続けることで、サンプリングクロックDを発
生する。したがって、この回路の動作周波数は20MH
zである。このサンプリングクロックDは従来例のサン
プリングクロックと同じタイミングのものなので、以
下、サンプリングクロックDを受けて、A/D変換回路
5がエコー受信信号RFをサンプリングしてA/D変換
すること、および、画像処理装置6がA/D変換回路5
からのデータを受けてエコー受信信号RFの時系列に対
応させたデータとすることは、従来と同様である。
【0023】このようなこの発明の構成の、シーケンシ
ャルな等価サンプリング方式でA/D変換を行う超音波
測定装置のA/D変換回路の変換処理動作を、以下、図
4の波形図に沿って説明する。先ず、測定周期である1
ms周期すなわち1KHzの信号P.SYNC(図4
(a)参照)が発生すると、これに従って送信パルス
(T波)が発生し、超音波探触子(図示せず)を介して
エコー受信信号RFが得られる。なお、図4の(e)
に、超音波探触子から得られる信号を超音波探傷部のレ
シーバで増幅してから得たエコー受信信号RFの一例を
示す。ここで、T波は送信パルスの波形であり、S波は
表面エコーの受信信号波形、そして、F波は欠陥エコー
の受信信号波形である。このエコー受信信号RFは等価
サンプリングのために125回(n回)繰り返し測定さ
れるが、図4には、従来例の図3と同様に、そのi番目
の各信号の波形を示している。
【0024】その125回の各測定周期ごとにP.SY
NCに同期して1kHz即ち1ms周期のサンプリング
ウインドウパルスWが生成される(図4(b)参照)。
さらに、測定周期を重ねるごとに、詳述すると、×0,
×1,×2,…×iと、iが124になるまで、遅延時
間選択データC’に従って(i−1)×0.4nsの時
間だけサンプリングウインドウパルスWを遅延した遅延
ウインドウパルスXが選択されて生成される(図4
(c)参照)。そして、遅延ウインドウパルスXのタイ
ミングに同期して20MHz即ち50ns周期のサンプ
リングクロックDが生成される(図4(d)参照)。そ
して、このサンプリングクロックDのタイミングで、エ
コー受信信号RFがサンプリングされるので、このサン
プリングウインドウパルスWを基準として測定周期を重
ねるごとに所定量(0.4ns)遅延されてサンプリン
グ位置が順次ずらされていく。
【0025】その結果、20MHzの変換周波数のA/
D変換回路を用いて125回測定を繰り返すという一連
の測定により、その後で画像処理装置6が測定結果を画
面等に表示するときには、あたかも2.5GHzの測定
を行った場合と等価なデータが得られている。しかも、
この2.5GHz相当の測定を行う各回路の動作周波数
が、A/D変換回路に限らず他の回路でも20MHz以
下でよいことは、各構成要素の説明において既述の通り
である。なお、図4における波形例の周期やパルス数は
図化の都合上簡略化されており、20MHzや1KHz
という周波数とは必ずしも対応してはいない。また、図
4の(b)から(c)に至る過程で、通常、サンプリン
グウインドウパルスWは信号P.SYNCに対して一定
の設定時間DELAYだけ遅延する。これは、具体的に
は遅延素子等を用いて構成された回路により実行される
が、説明の簡明化のために従来例と同様、図1での表示
を割愛した。
【0026】最後に、画像処理装置6は、このようにし
て受けた1測定区間(測定周期の1区間)での50ns
ごとのサンプリング値と125回得られる各サンプリン
グ値を一旦そのメモリに記憶し、1連の測定が終了した
時点でメモリに記憶されたこれらサンプリング値に基づ
きこれらサンプリング値のデータ順序の入れ替えをし
て、シーケンス方式のA/D変換データとなるようにエ
コー受信信号の時間順序に対応するデータを得るための
順序入れ替え処理をする。なお、このように一旦メモリ
に記憶することなく、サンプリング時点で対応する時間
順序になるようにメモリのアドレスをアクセスして記憶
するようにしてもよく、この場合にはアクセスの処理だ
けで特別な処理は不要となる。
【0027】以上、説明の簡明化のため、具体的に20
MHzのA/D変換回路による等価サンプリング方式で
2.5GHzのサンプリング周波数相当のサンプリング
が可能であることを詳述してきたが、これに対し、測定
回数の125回をn回に、変換周期の50nsをTに、
サンプリング周波数の逆数である単位遅延時間0.4n
sをT/nに置き換えれば、以上の説明はそのまま一般
化できる。また、実施例では、1回の測定で得られるア
ナログ波形に対して所定の変換周期のサンプリングクロ
ックを発生させ、複数回サンプリングする例を挙げてい
るが、この発明は、このように複数回サンプリングする
ものに限定されるものではない。したがって、複数回の
サンプリングを行わない場合には、サンプリングクロッ
クを発生する発振回路は、単なるパルス発生回路であっ
て十分である。なお、サンプリングクロック等の信号の
波形は、必ずしも矩形波に限定されるものではなく、波
形が安定したものであればよく、例えば正弦波状のもの
であってもよい。
【0028】
【発明の効果】以上の説明から理解できるように、この
発明の構成の超音波測定装置のA/D変換処理方式で
は、制御基準クロックを用いずに、その周期に対応した
遅延時間を単位として遅延した信号を遅延線により生成
する回路構成とした。その結果、シーケンシャルな等価
サンプリング方式で、精度の高いサンプリングデータを
得ることができるばかりでなく、優れた生産性と保守性
をも、合わせて実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の超音波測定装置のA/D変
換処理方式を適用した一実施例のブロック図である。
【図2】図2は、その遅延時間選択遅延回路と発振回路
の詳細なブロック図である。
【図3】図3は、従来の構成の回路の動作を説明するた
めの各信号の波形例を示す図である。
【図4】図4は、この発明の構成の回路の動作を説明す
るための各信号の波形例を示す図である。
【図5】図5は、シーケンシャルな等価サンプリングの
原理の説明図である。
【図6】図6は、従来の超音波測定装置のA/D変換処
理方式の一実施例のブロック図である。
【符号の説明】
1 P.SYNC発生回路 2 サンプリング基準発生回路 3 遅延時間切換制御回路 4 遅延回路 5 A/D変換回路 6 画像処理回路 10 P.SYNC発生回路 20 ウインドウパルス発生回路 30 遅延時間切換制御回路 40 遅延時間選択遅延回路 41 発振回路

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の測定周期で得られる超音波の受信信
    号をデジタル値に変換して測定値表示処理等の所定の処
    理をする超音波測定装置において、 所定の変換周期を有するサンプリングタイミング信号を
    前記測定周期ごとに受けて、前記受信信号をA/D変換
    するA/D変換回路と、 前記のA/D変換されたデジタル値を受けて、データ処
    理をするデータ処理回路と、 サンプリングの基準となるタイミング及び幅を有するサ
    ンプリングウインドウ信号を、前記測定周期に同期して
    発生するウインドウ信号発生回路と、 T/nの時間(ただし、Tは前記変換周期,nは2以上
    の整数)を単位として前記サンプリングウインドウ信号
    を遅延させた信号を遅延回路により発生し、前記測定周
    期に対応して(i−1)×T/nだけ(ただし、iは、
    測定周期を重ねた回数)前記サンプリングウインドウ信
    号を遅延させた信号を遅延ウインドウ信号として出力す
    る遅延時間選択遅延回路と、 前記遅延ウインドウ信号を受け、このタイミングに同期
    してこの信号を受けている間は前記変換周期で発振し
    て、前記サンプリングタイミング信号を発生する発振回
    路と、 を備えることを特徴とする超音波測定装置のA/D変換
    処理方式。
  2. 【請求項2】所定の測定周期で得られる超音波のエコー
    受信信号をデジタル値に変換して測定値表示処理等の所
    定の処理をする超音波測定装置において、 所定の変換周期を有するサンプリングクロックを前記測
    定周期ごとに受けて、前記エコー受信信号をサンプルホ
    ールド回路でサンプリングして保持しこのサンプルホー
    ルドされた値をA/D変換器でA/D変換するA/D変
    換回路と、 前記のA/D変換されたデジタル値を受けて、前記エコ
    ー受信信号の時系列に対応させたデータとしてデータ処
    理をするデータ処理回路と、 サンプリングの基準となるタイミング及び幅を有するサ
    ンプリングウインドウパルスを、前記測定周期に同期し
    て発生するウインドウパルス発生回路と、 T/nの時間(ただし、Tは前記変換周期,nは2以上
    の整数)を単位として前記サンプリングウインドウパル
    スを遅延させた信号を遅延線により発生し、前記測定周
    期に対応して(i−1)×T/nだけ(ただし、iは、
    測定周期を重ねた回数)前記サンプリングウインドウパ
    ルスを遅延させた信号を選択し、これを遅延ウインドウ
    パルスとして出力する遅延時間選択遅延回路と、 前記遅延ウインドウパルスを受け、このタイミングに同
    期してこの信号を受けている間は前記変換周期で発振し
    て、前記サンプリングクロックを発生する発振回路と、 を備えることを特徴とする超音波測定装置のA/D変換
    処理方式。
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