JPH05140766A - 希土類元素またはイツトリウムの添加物を含む、アルミニウム被覆した鉄−クロムホイル - Google Patents

希土類元素またはイツトリウムの添加物を含む、アルミニウム被覆した鉄−クロムホイル

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JPH05140766A
JPH05140766A JP4108225A JP10822592A JPH05140766A JP H05140766 A JPH05140766 A JP H05140766A JP 4108225 A JP4108225 A JP 4108225A JP 10822592 A JP10822592 A JP 10822592A JP H05140766 A JPH05140766 A JP H05140766A
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David Rudolph Sigler
ルドルフ シグラー デイヴイツド
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Motors Liquidation Co
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本質的に鉄、15〜25重量%のクロム、約
0.03%までの硫黄を始めとする通常の製鋼不純物、
およびセリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジムお
よびイットリウムからなるグループからの添加物からな
り、このグループからの総添加物の、その鋼の硫黄含有
量に対する原子比が少なくとも1であるアルミニウム被
覆した鉄系ステンレス鋼を提供する。鉄系ステンレス鋼
合金中のアルミニウムの量は無視できる程少ないのが好
ましい。この合金から好適な厚さの細片またはホイルを
製造した後、その細片を、複合材料(アルミニウム被覆
および鉄−クロム基礎金属からなる)中の平均アルミニ
ウム含有量が約5重量%になる様に、アルミニウム被覆
する。 【効果】 本発明のアルミニウム被覆した鉄系ステンレ
ス鋼合金は、高温における耐酸化性が優れ、加工性の良
いのが特徴である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般的には高温におけ
る長期間の熱サイクルに好適なアルミニウム被覆した鉄
系ステンレス鋼合金に関する。より詳しくは、本発明
は、請求項1の前文に記載する様に、約20重量%のク
ロム、鉄および少量の硫黄を含む一般的な製鋼不純物を
含む様なアルミニウム被覆した鉄系ステンレス鋼に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般的な自動車用触媒転換器は、自動車
の運転中に有毒な排気を無害な気体に転換する触媒活性
を有する物質を支持するための金属ホイルモノリス構造
を使用している。金属ホイルモノリス材料は極めて薄
く、一般的に約0.05ミリメートル厚である。高温の
自動車排気が触媒転換器を包むこの過酷な環境に耐える
には、ホイルモノリスは1000oCを超える温度でも優
れた耐酸化性を有していなければならない。
【0003】現在、これらの自動車用モノリスの製造に
使用されている標準的なホイル材料は、Fe−20Cr
−5Al−希土類元素合金である。この合金は、特に高
温において耐酸化性が極めて高い。排気環境の様な高温
にさらした時に、この合金中の比較的大量(約5重量
%)のアルミニウムが酸化アルミニウムの保護層を形成
する。この酸化アルミニウムの層は、連続的で、徐々に
成長し、密着性があるのが特徴である。このFe−20
Cr−5Al−希土類元素合金は、触媒転換器用途にお
けるモノリス支持体として十分な性能を有するが、自動
車業界は、主として原価を下げるために、このホイルの
代替品を常に求めている。この合金の原価が高いのは、
主に約5重量%の比較的高いアルミニウム含有量によ
る。合金中のアルミニウムにより材料の延性が著しく低
下し、そのためにその材料の加工にかかる経費が不当に
高くなる。その低延性のために、連続スラブ鋳造の様な
比較的経費のかからない方法は合金の製造には使用でき
ない。というのは、連続鋳造の際の急冷により引き起こ
される熱的な応力により、合金スラブに亀裂が入るため
である。したがって、亀裂を避けるために、合金はほと
んど常にインゴット鋳造する。しかし、鋳造インゴット
の上部および下部は一般的に非常に不均質であり、その
ために材料の熱間加工の前に除去する必要があり、歩留
まりが極めて悪くなる。また、高アルミニウム含有量に
より材料の延性が低いために、後に続く熱間加工のため
の鋳造インゴット表面の処理が複雑になる。鋳造欠陥を
除去して高い表面品質を得るために、材料の表面研削を
行なわなければならない。表面研削は、インゴットの取
り扱いおよび検査が容易な室温で行なうのが好ましく、
これによって表面仕上が著しく良くなる。残念ながら、
Fe−20Cr−5Al−希土類元素合金は、冷却時に
熱的に誘発された応力によって起こり得るインゴットの
亀裂を防ぐために、高温で表面研削しなければならな
い。高温研削では、室温で研削した表面と比較して、表
面仕上の品質が常に劣る。さらに、鋳造インゴット材料
の、その低延性に関連する表面品質の悪さにより、その
合金を冷間圧延する際に細片の破断が頻発する。特に、
望ましいホイルを製造するためにこの材料を最終圧延し
た後、回収される本来の鋳造インゴットは約40〜60
%に過ぎない。
【0004】従来のFe−20Cr−5Al−希土類元
素合金の使用に伴うこれらの欠点を克服するために、ア
ルミニウムを含まない鉄系ステンレス鋼を使用し、その
ホイルに後でアルミニウムを被覆する方法が提案されて
いる。高温において、このアルミニウム被覆が同時に基
礎となる金属中に拡散し、鉄−クロム−アルミニウム合
金を形成し、酸化し、酸化アルミニウムの保護層を形成
する。しかし、これらの材料は一般的に、従来のFe−
20Cr−5Al−希土類元素合金と比較して耐酸化性
が劣る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、高温にお
いて、特に長期間の連続熱サイクルにわたって必要な耐
酸化性を備え、商業的な製造方法にも容易に適合できる
材料が必要であることは明らかである。本発明に係わる
アルミニウム被覆した鉄系ステンレス鋼ホイルは請求項
1に記載する特徴を備えている。
【0006】本発明の目的は、耐酸化性が優れ、長期間
の高温における熱サイクルに適したアルミニウム被覆し
た鉄系ステンレス鋼材料を提供することである。本発明
のもう一つの目的は、続く工程でアルミニウム被覆すべ
き鉄系ステンレス鋼が、標準量のクロム、および硫黄を
始めとする製鋼不純物を含むが、アルミニウムは本質的
に含まず、希土類元素またはイットリウムを、希土類元
素および/またはイットリウム添加物の、存在する硫黄
の量に対する原子比が少なくとも1になる様に添加する
ことである。本発明の別の目的は、その様なアルミニウ
ム被覆した鉄系ステンレス鋼ホイルが自動車の環境で、
特にモノリス触媒転換器の支持体として使用するのに適
することである。本発明の好ましい実施形態により、こ
れらの、および他の目的および長所は下記の様にして達
成される。
【0007】
【課題を解決するための手段】自動車用モノリス触媒転
換器の支持体として使用するのに好適な、アルミニウム
被覆した鉄系ステンレス鋼を提供する。この鉄系ステン
レス鋼の基礎金属ホイルは本質的に、重量で、15〜2
5%のクロム、約0.03%までの硫黄を始めとする通
常の製鋼不純物、セリウム、ランタン、ネオジム、プラ
セオジムおよびイットリウムからなるグループからの添
加物、および残りが鉄からなり、このグループからの総
添加物の、基礎金属ホイルの硫黄含有量に対する原子比
が少なくとも1になる。鉄系ステンレス鋼基礎金属中の
アルミニウムの量は無視できる程少ないのが好ましい。
【0008】本発明の合金から好適な厚さの細片を製造
した後、その細片を、複合材料(アルミニウム被覆およ
び鉄−クロム基礎金属ホイルからなる)中の平均アルミ
ニウム含有量が約5重量%になる様に、アルミニウム被
覆する。基礎金属は本質的にアルミニウムを含まず、ア
ルミニウム被覆は主圧延工程の後に行なうので、本発明
の鉄−クロム基礎金属合金は比較的延性が高く、従来の
Fe−20Cr−5Al−合金細片と対照的に、モノリ
ス触媒転換器支持体の形成に必要な非常に薄い寸法に容
易に圧延できる。
【0009】本発明のアルミニウム被覆した鉄系ステン
レス鋼合金は、自動車排気転換用のモノリス触媒転換器
支持体の様な高温環境における酸化防止に特に有用であ
る。この材料は高温における熱サイクル効果および剥れ
に対して耐性がある。アルミニウム被覆した合金を高温
にさらす際に、その表面上に酸化アルミニウムの保護層
が形成される。この酸化物層は連続的であり、徐々に成
長し、基礎金属ホイルに強く密着するので、優れた耐酸
化性が得られる。
【0010】本発明のアルミニウム被覆した鉄−クロム
材料の耐酸化性は、触媒転換器モノリス支持体構造とし
て自動車業界で現在使用されている従来のアルミニウム
含有Fe−20Cr−5Al−希土類元素合金に匹敵
し、従来のアルミニウム被覆したステンレス鋼よりも著
しく高い。その上、本発明のアルミニウム被覆した鉄−
クロム材料の延性は、従来の耐酸化性材料、特にアルミ
ニウム含有Fe−20Cr−5Al−希土類元素合金よ
りも高く、材料の加工がはるかに容易である。
【0011】本発明に係わるこの材料の特徴は、鉄系ス
テンレス鋼の基礎金属ホイルが、通常の製鋼工程で導入
される可能性のある量のアルミニウム以外のアルミニウ
ムを本質的に含まないことである。(実際、製鋼業者
は、アルミニウムは反応性が極めて高いので、できれば
すべてのアルミニウムを排除したいところである。)し
かし、この合金は、セリウム、ランタン、ネオジム、プ
ラセオジムおよびイットリウムからなるグループからの
添加物を含む。このグループからの総添加物は、基礎金
属ホイル中の硫黄含有量に対する原子比が少なくとも1
になる様な量である。
【0012】基礎金属合金に希土類元素、特にセリウム
およびランタン、またはイットリウムを添加することに
より、アルミニウム被覆した基礎金属ホイル中に安定し
た硫化物粒子が形成される。これによって、アルミニウ
ム被覆した基礎金属中の硫黄が酸化物層と金属ホイルと
の間の界面に拡散して酸化物を破壊し、それによって酸
化物と金属との間の良好な密着性が損なわれるのを防止
する。
【0013】基礎金属合金からアルミニウムを事実上排
除することにより、従来の鉄−クロム−アルミニウム合
金と比較して、延性の高い材料が得られる。本発明のア
ルミニウムを含まない基礎金属合金は、連続的に鋳造す
ることができ、室温で過剰の亀裂を生じることなく表面
研削することができる。さらに、本発明のアルミニウム
を含まない合金は、従来のアルミニウム含有合金と比較
して、圧延工程における残留表面欠陥の許容程度が高
い。したがって、本発明の合金に掛かる加工原価は著し
く低減される。
【0014】最後に、本発明のアルミニウム被覆した鉄
系ステンレス鋼は、高温にさらすことにより、良好な酸
化アルミニウムの髭結晶(ホイスカー)成長を示す。排
気転換用の触媒転換器環境に使用する場合、後に続く工
程で堆積させる触媒活性材料を支持するのはこの酸化ア
ルミニウムの髭結晶なので、このことは重要である。し
たがって、触媒活性材料とホイルとの間の良好な密着性
を確保するためには、この材料が、縦横比の高い(高ア
スペクト比の)酸化物髭結晶を成長させる能力を有する
のが好ましい。
【0015】本発明の他の目的および効果を、以下に詳
細に説明する。本発明の、上記のおよび他の効果を以下
に添付の図面を参照しながら、より詳細に説明する。本
発明により、長期間の高温における熱サイクルにおいて
も優れた耐酸化性を特徴とするアルミニウム被覆した鉄
系ステンレス鋼ホイルを提供する。このアルミニウム被
覆した鉄系ステンレス鋼ホイルは、自動車の環境で、モ
ノリス触媒転換器の支持体として使用するのに適してい
る。
【0016】本発明のアルミニウム被覆した鉄系ステン
レス鋼は本質的に、重量で、15〜25%のクロム、約
0.03%までの硫黄を始めとする通常の製鋼不純物、
セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジムおよびイ
ットリウムからなるグループからの添加物、および残り
が鉄からなる。このグループからの総添加物の、この鋼
の硫黄含有量に対する原子比が少なくとも1である。鉄
系ステンレス鋼基礎金属中のアルミニウムの量は無視で
きる程少ないのが好ましい。この材料を好適な厚さのシ
ートに圧延した後、そのシートを、複合材料(アルミニ
ウム被覆および鉄−クロム基礎金属ホイルからなる)中
の平均アルミニウム含有量が約5重量%になる様に、ア
ルミニウム被覆する。次いでその複合材料を好ましくは
さらにホイルに圧延する。
【0017】このアルミニウム被覆した鉄系ステンレス
鋼ホイルは、アルミニウム被覆した合金中の硫黄を制御
するために、反応性元素、すなわち希土類元素またはイ
ットリウムを含む。この被覆した合金を酸化させる際、
安定した耐火性の硫化物を形成する反応性元素は、金属
と酸化物層との界面に硫黄が移動するのを防ぐ。その界
面では、硫黄が酸化物を砕き、被覆した金属と酸化物層
との間の良好な密着性を損なうことがある。
【0018】より詳しくは、本発明の合金は、下記の様
にして製造した。鋳造物としての各種合金の化学組成は
表Iに示すが、残りは鉄である。 表I 希土類熱 Cr Al C N O S Y Ce 合計* 希土類元素含有合金 10-88 20.3 0.0 0.015 0.016 0.003 0.001 - 0.007 0.014 11-88 20.3 0.0 0.009 0.013 0.002 0.001 - 0.061 0.123 12-88 20.3 0.0 0.013 0.013 <0.001 0.001 - 0.16 0.324 29-87 19.1 1.2 0.010 0.013 0.002 0.003 - 0.017 0.034 イットリウム含有合金 28-87 19.5 0.0 0.010 0.005 0.003 0.001 0.12 - - 31-87 19.2 0.9 0.010 0.019 0.002 0.001 0.029 - - *重量で約46.8%のセリウム、29.2%のランタ
ン、14.4%のネオジム、4.4%のプラセオジムお
よび5.2%の鉄を含む市販のミッシュメタル混合物に
基づく。
【0019】上記の合金は通常通り、真空誘導炉中で溶
融させて形成した。これらの各種合金を形成するための
溶融物原料として、インゴットの形の標準Fe−20C
r合金を使用した。したがって、得られた合金は約20
重量%のクロムを含む。本発明では、20%のクロムで
最良の結果が得られると思われるが、クロム含有量は約
15〜25重量%の間で変えても材料に悪影響はないと
考えられ、一般に類似の結果が得られている。クロム含
有量の範囲は約10〜約30重量%に広げることもでき
よう。無論、クロムの量が少な過ぎる場合、合金の耐酸
化および耐腐食特性が損なわれる。反対に、クロムの量
が多過ぎる場合、合金の物理特性が損なわれる。
【0020】29−87および31−87の2種類の合
金は、これらの合金中の酸素および窒素の量を低下させ
るために、約1重量%のアルミニウムを加えてあるが、
これは、アルミニウムはこれらの元素に対する親和力が
高く、本発明の開示をさらに立証するためである。ま
た、これらの鋳造合金は上記の表に示す様に硫黄をほと
んど含んでいないが、使用したFe−20Cr溶融物原
料が約0.006%の硫黄を含んでいたことは興味深
い。これは、希土類金属およびイットリウムの反応性元
素の添加により硫化物が形成され、それらの硫化物が真
空誘導溶融工程の際に浮きかすとして浮上し、除去され
たために、硫黄の総量が減少したと考えられる。さら
に、表から分かる様に、炭素、窒素および酸素の様な他
の通常の製鋼添加物は一般的な量で存在する。一般に、
炭素および窒素の量は約0.05重量%の、および酸素
は約0.02重量%の通常の限界値を超えていない。
【0021】次に、従来の技術を使用して、各種の合金
をそれぞれ先ず熱間圧延し、次いで冷間圧延し、厚さ約
0.5ミリメートルのシートにした。最初の熱間圧延工
程により鋳造インゴット鋼が再結晶化し、多孔性の様な
鋳造欠陥が無くなるので、シートをこの様にして形成す
るのが好ましい。熱間圧延の際、一連の圧延工程で、約
2.5cm厚の鋳造ビレット部分が、この厚さの約1/1
0、つまり約2.5ミリメートルずつ順次薄くなってい
った。次いで冷間圧延を使用して、望ましい最終的な
0.5ミリメートル厚の細片に加工した。各合金から製
造した基材試料を、米国特許第2,569,097号、
グランジら、「鉄系合金をアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金で被覆する方法」1951年、9月25日公
布、に記載する方法によりアルミニウムで被覆した。こ
の方法は本来は冷間圧延鋼、熱間圧延鋼および鋳鉄に被
覆するためであったが、ステンレス鋼にも十分に応用で
きる。
【0022】特に、下記の実験的方法により合金細片に
アルミニウム被覆した。各合金の約14cm長x約3.2
cm幅の試料片を、厚さ約0.5mmの冷間圧延シートから
切断した。これらの試料片を、その前の冷間圧延による
冷間加工構造を除去するために、不活性気体雰囲気中で
約900oCで焼きなましすることにより、再結晶化させ
た。この焼きなまし工程中に形成された酸化物を回転式
ワイヤブラシで研磨した。次いで、各試料片の表面を、
強力なHF−HNO3 溶液で、約50〜60oCで3分間
腐食させて残留酸化物を除去した。使用した酸溶液は約
18体積%のHNO3 および約4体積%のHFの水溶液
である。
【0023】次いで、各試料片のアルミニウム被覆を小
型クレー−グラファイトるつぼ中で行なった。るつぼの
底に市販純度のアルミニウム、特に1100のグレード
のアルミニウムを入れた。そのアルミニウムの上に顆粒
状の塩フラックスを載せた。この塩フラックスは、重量
で、40%のNaCl、40%のKCl、10%のAl
6 および10%のNa3 AlF6 からなる。塩フラッ
クスおよびその下のアルミニウム浴の両方とも、その塩
フラックスおよびアルミニウムが溶融した後、それぞれ
の中に試料片を完全に釣り下げるのに十分な深さであっ
た。
【0024】この塩で覆ったアルミニウム浴を約704
〜718oCに加熱した。試料片をこの溶融した塩の中に
約1分間浸漬した。この工程により試料片を予備加熱
し、同時にその表面にある酸化物を還元する。1分間浸
漬したが、より短い浴中浸漬時間でも十分であろうが、
これは調査しなかった。無論、試料片は塩浴内に十分な
時間浸漬して表面を適切に洗浄する必要があり、これは
恐らく約10秒間程であろうが、塩浴は最後には鉄系基
礎金属を攻撃するので、あまり長い時間浸漬してはなら
ない。塩浴中に最長で10分間が最大限であることを提
案する。しかし、前に述べた様に、塩浴中に1分間の浸
漬で表面が十分に洗浄され、金属の有害な攻撃も無い。
【0025】次いで試料を下げて溶融したアルミニウム
浴中に2分間浸漬する。試料片がアルミニウム浴中に浸
漬されている間に、アルミニウムは試料片と反応し、3
つの異なった層、すなわち基礎金属中のアルミニウム拡
散区域、鉄−アルミニウム金属間化合物の中間層、およ
び純粋なアルミニウムの外層を形成する。アルミニウム
浴中に試料を2分間浸漬するだけで、基礎金属、拡散区
域、中間区域および被覆を含む複合材料被覆試料に対し
て約5重量%の平均アルミニウム組成を形成するのに十
分である。試料片の全表面がアルミニウム浴中で同時に
被覆されるので、約5重量%の組成は約0.03〜0.
05mmの厚さのアルミニウム被覆に変換される。
【0026】ここで注意すべきことは、続いて高温にさ
らす際に、アルミニウム被覆が同時にステンレス鋼の基
礎金属中に拡散し、その基礎金属合金中であれ、周囲の
大気中であれ、存在する酸素と反応することである。高
温で十分な時間経過した後、得られる構造は最早個別の
アルミニウム被覆を有しておらず、酸化アルミニウムの
保護層により覆われた鉄−クロム−アルミニウム合金か
らなる。したがって、基礎金属を被覆する場合、最終材
料中に望ましいアルミニウム含有量を達成するために、
アルミニウム層は理論的に実用的などの様な厚さにも形
成することができる。約5重量%のアルミニウム含有量
が望ましい耐酸化性を与えるのに最適であると思われる
が、好適な結果は3〜7重量%のアルミニウム含有量で
も得られると考えられる。したがって、アルミニウム浴
中への浸漬時間を適当に変えることにより、相当する厚
さのアルミニウム被覆が施される。
【0027】次いで、試料をアルミニウム浴から塩フラ
ックスを通して取り出した。したがって、大量の塩が試
料表面に残っていた。大部分の残留物を除去するため
に、試料を熱湯で十分に洗浄した。次いで試料を再び冷
間圧延して約0.05mm厚のホイルを形成した。中間の
焼きなましは不要であった、または行なわなかった。冷
間圧延工程の後に、塩の残留物を完全に除去するため
に、さらに熱湯洗浄する必要のある場合があった。
【0028】洗浄および圧延の後、各試料ホイルの各末
端を切断し、化学分析および平均アルミニウム含有量の
測定を行なった。ホイル試料中の分析位置により、アル
ミニウム含有量にある程度のばらつきがあった。これ
は、試料をアルミニウム浴から取り出した時に、溶融し
たアルミニウムがホイル試料に沿って下方へ流れたため
であると考えられる。したがって、平均アルミニウム含
有量は、そのホイルの両端から切り取った小片で測定し
て求めた。アルミニウム含有量が本質的に一様なホイル
の中央部で耐酸化性をさらに試験した。各合金ホイルに
対するこの分析の結果を平均重量%で表IIに示す。表II 熱 平均Al 希土類元素含有合金 10−88 6.9 11−88 6.0 12−88 4.5 29−87* 5.6イットリウム含有合金 28−87 5.4 31−87* 5.4 *本来ある程度のアルミニウムを含んでいた合金
【0029】表IIに示す様に、平均アルミニウム量は7
重量%〜4.5重量%の間で変動した。ホイルの平均ア
ルミニウム含有量は、基材がアルミニウムを含んでいた
か、否かにより異なっている。アルミニウムを含まない
基礎金属で製造したホイルはアルミニウムが平均5.7
重量%であったのに対し、アルミニウム含有基礎金属で
製造したホイルはアルミニウムが平均6.3重量%であ
った。
【0030】上記のバッチ式製法は金属細片にアルミニ
ウムを連続的に施すのには使用できないが、この製法に
僅かな変形を加えることにより、連続被覆が可能にな
る。基本的に、連続製法では、アルミニウム浴の上に浮
かぶ塩浴を貯蔵槽中に含む。厚さが約0.5mmの被覆す
べき金属細片がその貯蔵槽の一端で塩浴中に入る。塩浴
内で金属細片はフラックスにより洗浄され、予備加熱さ
れる。次いで、金属細片はその貯蔵槽の反対側の端から
外に出て、アルミニウム浴に入る。アルミニウム浴温度
は約704oC〜718oCに維持する。連続的な金属細片
は適当なローラーに沿って浴中を運ばれる。細片の速度
は、その細片がアルミニウム浴中に好ましくは約2分間
滞留する様に制御する。この期間は、複合材料基礎金属
ホイルおよび被覆に対して最適量の、約5重量%のアル
ミニウムを与える。次いで、金属細片はアルミニウム浴
を出る。金属細片は塩フラックスから取り出さないの
で、塩の残留物が付着せず、洗浄工程は必要ない。被覆
した後、金属細片材料は適当な厚さのホイルに直接冷間
圧延するが、その厚さは触媒転換器モノリス構造に対し
ては平均約0.05mmである。厚さは特定の用途向けに
調整できるが、約0.075または0.1mmを超えるこ
とはない。というのは、この厚さを超えると、加工が極
めて困難になるためである。
【0031】他のアルミニウム被覆工程も使用できると
考えられる。その一例は、広く商業的に使用されている
ステンレス鋼用のアルミニウム被覆方法であり、そこで
は金属細片を高温の水素ガス雰囲気を通してからアルミ
ニウムで被覆する。その上、他の用途は様々な厚さのア
ルミニウム被覆を必要とするので、上記の連続製法を変
形してアルミニウム浴中の滞留時間を変えることができ
よう。
【0032】本発明に係わる材料の耐酸化性は次の様に
評価した。各種のアルミニウム被覆したホイルに対し
て、そのホイルを空気中で約1150oCに加熱すること
により酸化重量増加を測定した。各試験毎に、各材料に
対して1個のホイル試料を使用した。その温度で空気に
さらした後、ホイルを取り出し、秤量し、予め決めた時
間でそのホイルを再び炉中に入れた。この手順により、
ホイルを数回の熱サイクルにかけ、試験中に酸化物の砕
けが生じた時は、不規則な重量増加がデータに現われ
る。
【0033】図1〜3は、本発明に係わるアルミニウム
被覆した合金すべての酸化中の重量増加を比較してい
る。これら3つの図すべての単位は、重量増加x10-4
グラム/平方センチメートル対時間の平方根である。こ
れらの図には、触媒転換器モノリス構造に現在使用され
ている製品、Fe−20Cr−5Al−希土類元素合
金、および他の、アルミニウム被覆による約6重量%の
アルミニウムを含むが、希土類元素もイットリウム添加
物も含まない、2種類の市販のアルミニウム被覆した鉄
系ステンレス鋼ホイル、アルミニウム被覆409(Fe
−11Cr)およびアルミニウム被覆439(Fe−1
7.5Cr)も示す。
【0034】図1は、本発明に係わる、希土類元素の添
加により変性した3種類のアルミニウム被覆鉄系ステン
レス鋼、合金10−88(0.014%希土類元素)、
11−88(0.12%希土類元素)および12−88
(0.32%希土類元素)に対する重量増加を示す。重
量増加は低く、単調に増加している。この様式は、酸化
物成長が遅く、基礎金属に対する良好な密着性を示して
いるので好ましい。また、図1は、これらのホイルが、
斜線範囲で示した標準的なFe−20Cr−5Al−希
土類元素合金と同等またはそれよりも優れた耐酸化性を
有することを示している。これらの結果は、反応性元素
(すなわち希土類元素および/またはイットリウム)を
基礎金属基材に添加することにより、硫黄を制御できる
ことを立証している。特に、反応性元素は、被覆層では
なく、基礎金属のみに添加できる。
【0035】これらの元素、すなわち後で説明する様に
希土類元素またはイットリウムは硫黄に対する親和力が
強いので、これらの元素を添加するのが望ましいと考え
られる。金属中に結合せずに残された硫黄は酸化アルミ
ニウム保護層を破壊することが分かっており、それによ
って耐酸化性が悪くなる。希土類元素およびイットリウ
ムが硫黄と結合して安定した硫化物を形成し、それによ
って酸化アルミニウム層の破壊を防止する。しかし、希
土類元素およびイットリウムは、硫黄に対して強い親和
力を有することに加えて、窒素および酸素に対しても強
い親和力を示す。したがって、これらの添加元素が基礎
金属中に存在する窒素および酸素と優先的に反応し、硫
黄を遊離したまま残し、酸化アルミニウム/金属の結合
を弱めるか、否かは確かでは無かった。
【0036】これらの不純物元素に対する希土類元素お
よびイットリウムの相対的な親和力を突き止めるため
に、本発明の3種類の合金(図1に示す)を、希土類元
素の量を調整して製造したが、11−88および12−
88は合金中に存在するすべての窒素、酸素および硫黄
と反応するのに十分な量の希土類元素を添加してあり、
10−88は存在する硫黄だけと反応するのに十分なだ
けの量の希土類元素を添加した。図1に示す様に、3種
類のアルミニウム被覆した合金のすべてが同様の酸化挙
動を示した。このことは、硫黄と反応するのに必要な十
分な希土類元素を添加するだけで良好な酸化物の密着性
が得られることを示している。希土類元素およびイット
リウムがアルミニウム被覆したホイル中の窒素および酸
素の代わりに硫黄と何故優先的に反応するのかを説明す
る2つの理論がある。その一つは、希土類元素は基礎金
属合金中の硫黄(窒素および酸素に対して)との反応を
優先的に選択し、それによって安定した耐火性流化物を
形成して硫黄を固定する。しかし、我々は代わりの、よ
り可能性の有りそうな機構を次の様に考える。希土類元
素は、実際、硫黄よりも酸素に対する親和力が僅かに高
く、したがって酸素と優先的に反応するはずである。し
かし、高温にさらした時、アルミニウム被覆が鉄系ステ
ンレス鋼基礎金属中に拡散し始め、それによってその酸
素に対する高い親和力により金属中に酸化アルミニウム
粒子が形成され、希土類元素を存在する硫黄と反応させ
る。希土類元素と比較して、窒素、酸素および硫黄に対
してほとんど同等の親和力を有するイットリウムも、図
2および3により確認される様に、同様な挙動を示す。
【0037】図2に、本発明に係わるアルミニウム被覆
した、イットリウム変性合金(28−87)の酸化物成
長挙動を示す。合金28−87は、希土類元素添加物を
全く含まないが、その合金中に存在するすべての窒素、
硫黄および酸素と反応するのに十分なイットリウムを含
んでいる。予想された様に、この合金も、現在のFe−
20Cr−5Al−希土類元素合金の耐酸化性に匹敵す
る優れた耐酸化性を示している。
【0038】図3は、本発明のアルミニウム被覆した鉄
系ステンレス鋼ホイルに対する重量増加データを示す
が、この基礎金属ホイルは約1重量%のアルミニウムを
含む(合金29−87は約0.034%の希土類元素添
加物を含み、31−87は約0.029%のイットリウ
ム添加物を含む)。これらの基礎金属ホイルにアルミニ
ウムを加え、優れた耐酸化性を得るには基礎金属中にア
ルミニウムを添加する必要があるか、否かを調べた。そ
こで、基礎金属合金にアルミニウムを、存在する窒素お
よび酸素と反応し、それによって確実に、添加した希土
類元素またはイットリウムが合金中に存在する硫黄と優
先的に反応するのに十分な量で加えた。図に示す様に、
これらのホイルも、現在のFe−20Cr−5Al−希
土類元素合金の耐酸化性に匹敵する優れた耐酸化性を示
した。しかし、これらの合金は、図1に示す、0.01
4重量%の希土類元素を添加した合金10−88と同等
の耐酸化性も示している。この比較から、希土類元素が
被覆ホイル中の硫黄と優先的に結合し、基礎金属基材中
にアルミニウムを添加する必要はないと確実に言うこと
ができる。
【0039】さらに、図1〜3で、希土類元素もイット
リウム添加物も含まないが、被覆中に同等量のアルミニ
ウムを含むアルミニウム被覆した409および439合
金は、酸化物成長が早く、その表面に酸化物の破壊を示
したことは重要である。これらの合金の重量増加が劣っ
ているのは、基礎の鉄−クロム基材中の硫黄の制御不足
によるものであると考えられる。これらの基礎金属はチ
タンを含んでいるが、チタンは、望ましい硫化物を形成
する上で希土類元素やイットリウム程効果的ではない。
【0040】特に、鉄−クロム基礎金属中の硫黄を効果
的に制御するには、希土類元素および/またはイットリ
ウムを、硫黄との反応を考慮して、十分に添加する必要
がある。希土類元素およびイットリウムは、両方とも反
応して一硫化物を形成し、交換して加えることができ、
有害な結果は観察されない。セリウム、ランタン、ネオ
ジムおよびプラセオジムの希土類元素添加は、重量で約
46.8%のセリウム、29.2%のランタン、14.
4%のネオジム、4.4%のプラセオジムおよび5.2
%の鉄を含む市販のミッシュメタルの形で行なう。した
がって、これらのミッシュメタルの希土類元素添加か
ら、硫黄との反応の多くを与えるのはセリウムおよびラ
ンタンであることは明らかである。また、希土類元素の
添加は、ミッシュメタル混合物で行なう代わりに、個々
の元素を個別に添加することにより行なうこともでき
る。しかし、ミッシュメタルは比較的安価であり、本発
明の利点を十分に与えてくれるので、個々の元素を個別
に添加するのは有利ではなかろう。
【0041】必要な希土類元素および/またはイットリ
ウムの添加量は、次の様に表わすことができる。 [0.229x重量%Ce+0.231x重量%La+
0.222x重量%Nd+0.228重量%Pr+0.
361x重量%Yt]/重量%S≧1 この式で、希土類元素およびイットリウムの係数はそれ
ぞれ、硫黄の原子量を添加材料中に存在するそれぞれの
希土類元素またはイットリウムの原子量で割ることによ
り求められる。したがって、この式は、実際には、存在
する希土類元素およびイットリウムの原子の量を、存在
する硫黄の原子の量と比較しており、これらの量の比を
1以上にすべきであることを示している。上記の式によ
り必要とされる元素添加量は、硫黄との反応に必要な最
小量を表わす。理論的には、最大量は必要とされない。
しかし、実際には、ステンレス鋼中の硫黄の含有量は一
般的に常に非常に低い、すなわち大体千分の数重量%
で、最高で約0.03重量%までである。したがって、
希土類元素および/またはイットリウムの総添加量は、
上記の式で表わして1よりあまり大きくない原子比にす
るのが好ましい。確かに、約0.5重量%を超えるこれ
らの希土類元素を添加すると、基礎金属合金の一体性に
有害になると考えられている。合金の物理特性は、この
比較的高い量の希土類元素により損なわれる。その上、
合金中にこれらの物質が過剰量存在することにより、粒
子境界で多くの金属間化合物が形成される。また、その
様な大量のイットリウムを添加しても基礎金属の一体性
にそれ程有害ではないが、イットリウムの原価から、約
0.5重量%を超える添加量は不利であると考えられ
る。したがって、希土類元素およびイットリウムの添加
は、原子比で硫黄含有量と少なくとも等しく、ホイルの
約0.03〜0.1重量%の量である。
【0042】また、希土類元素およびイットリウムは、
すべてそれらの効果が大体等しいので、交換する、ある
いは同時に使用することもできる。本発明にとって重要
なのは、これらの金属すべての総添加量である。しか
し、イットリウムは希土類元素と比較して原価が比較的
高いので、好ましくない場合がある。本発明のこれらの
アルミニウム被覆した合金は、耐酸化性が優れているこ
とに加えて、酸化アルミニウムの髭結晶成長が優れてい
る。排気転換用に触媒転換器環境に使用する場合に、後
の工程で堆積させる触媒活性材料を支えるのはこの酸化
アルミニウムの髭結晶であるので、このことは重要であ
る。髭結晶はホイルと触媒活性材料との間の良好な密着
性を確保するので、これらの髭結晶が形成されることは
好ましい。Fe−20Cr−5Al−希土類元素合金の
様な、高温耐酸化性用途に使用される従来の鉄−クロム
−アルミニウム合金中に一般的に少量、約0.01重量
%存在するマグネシウムは、酸化物層による髭結晶成長
を妨害することが分かっている。マグネシウムは、合金
を溶融させる際、鋼溶融および精製容器の内張に使用さ
れている、酸化マグネシウムを含む耐火物をアルミニウ
ムが攻撃する時に、その合金に混入すると考えられてい
る。本発明の基礎金属合金にアルミニウムは必要ないの
で、この製造で得られる合金はマグネシウムを含まな
い。したがって、本発明のアルミニウム被覆した合金は
酸化アルミニウムを形成する際に高い縦横比の髭結晶を
形成する。これは目視検査により確認され、マグネシウ
ムが存在しないことは化学分析により確認される。
【0043】本発明に係わるアルミニウム被覆した鉄系
ステンレス鋼合金は、自動車排気転換用のモノリス触媒
転換器支持体の様な、高温における耐酸化性用途に特に
好適である。このアルミニウム被覆した合金は、高温に
おける熱サイクル作用に対する耐性が高い。このアルミ
ニウム被覆した合金を高温にさらしている間に、その表
面に酸化アルミニウムの保護層が形成される。この酸化
物層は連続的で、徐々に成長し、基礎金属ホイルに強く
密着するので、傑出した耐酸化性が得られる。前に述べ
た様に、本発明に係わる材料の特徴は、鉄系ステンレス
鋼基礎金属ホイルがアルミニウムを本質的に含まない
が、セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジムおよ
びイットリウムからなるグループからの添加物を含む。
希土類元素、特にセリウムおよびランタン、またはイッ
トリウムを基礎金属合金に添加することにより、アルミ
ニウム被覆したホイル中に安定した硫化物粒子が形成さ
れる。これによって、金属中の硫黄が酸化物層と金属ホ
イルとの間の界面に拡散するのを防止しているが、さも
なくばその硫黄が酸化物を破壊し、酸化物と金属ホイル
との良好な密着性を損なうであろう。基礎金属合金から
アルミニウムを事実上除くことにより、従来の鉄−クロ
ム−アルミニウム合金と比較して延性の高い材料が得ら
れる。これは目視検査および物理的な加工により決定さ
れる。本発明のアルミニウムを含まない基礎金属合金は
連続的に鋳造することができると共に、過剰の亀裂を生
じることなく、室温で研削できる。さらに、本発明のア
ルミニウムを含まない合金は、従来のアルミニウム含有
合金と比較して、圧延工程の際により多くの残留表面欠
陥を許容できる。したがって、本発明の合金に伴う加工
原価は、著しく低減される。
【0044】本発明を好ましい実施形態により説明した
が、当業者には、加工パラメータを変えるか、あるいは
ミッシュメタル添加物の代わりに希土類元素添加物を使
用するなどの材料を変えることにより、あるいはアルミ
ニウム層または基礎金属ホイルの厚さを変えることなど
により、他の形態を容易に取ることが可能で有る。した
がって、本発明の範囲は、請求の範囲によってのみ限定
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により形成し、1150oCで空気中で酸
化したアルミニウム被覆した鉄系ステンレス鋼を含む、
各種材料の重量増加特性を示すグラフである。
【図2】本発明により形成し、1150oCで空気中で酸
化したアルミニウム被覆した鉄系ステンレス鋼を含む、
各種材料の重量増加特性を示すグラフである。
【図3】本発明により形成し、1150oCで空気中で酸
化したアルミニウム被覆した鉄系ステンレス鋼を含む、
各種材料の重量増加特性を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 8/12 8116−4K // C22C 38/00 302 Z 7217−4K 38/18

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動車用内燃機関の排気処理用の触媒支
    持体として使用でき、約700oCを超える高温で密着性
    の酸化アルミニウムフィルムをその上に形成し、その鉄
    系ステンレス鋼部分が本質的に鉄、約15〜約25重量
    %のクロム、通常の製鋼不純物である酸素、窒素および
    炭素、および約0.03%までの硫黄を含む、アルミニ
    ウム被覆した鉄系ステンレス鋼ホイルであって、前記ホ
    イルの前記鉄系ステンレス鋼部分が最初はアルミニウム
    を本質的に含まず、それによって容易に成形できるだけ
    の十分な延性を有すること、前記ホイルの前記鉄系ステ
    ンレス鋼部分がセリウム、ランタン、ネオジム、プラセ
    オジムおよびイットリウムからなるグループから選択さ
    れた添加物を含み、このグループからの総添加物の量
    が、前記硫黄含有量に対する原子比で少なくとも1であ
    るが、そのホイルの約0.1重量%を超えないこと、お
    よびアルミニウム被覆が、アルミニウム被覆した鉄系ス
    テンレス鋼ホイルの約3〜約7重量%を構成する密着性
    のアルミニウム層であるので、前記高温にさらした時
    に、前記鉄系ステンレス鋼ホイルおよび前記アルミニウ
    ム層が互いに十分に協力して、同時に成長する酸化アル
    ミニウムフィルムを確実に密着させることを特徴とする
    アルミニウム被覆した鉄系ステンレス鋼ホイル。
  2. 【請求項2】 前記添加物が、そのホイルの約0.03
    〜約0.1重量%の量のイットリウムであることを特徴
    とする請求項1記載のアルミニウム被覆した鉄系ステン
    レス鋼ホイル。
  3. 【請求項3】 前記高温にさらした時、前記鉄系ステン
    レス鋼ホイルおよび前記アルミニウム層がさらに互いに
    協力し、前記層の上における縦横比の高い酸化アルミニ
    ウム髭結晶の成長を促進することを特徴とする請求項1
    記載のアルミニウム被覆した鉄系ステンレス鋼ホイル。
  4. 【請求項4】 前記ホイルの厚さが0.1ミリメートル
    以下であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウ
    ム被覆した鉄系ステンレス鋼ホイル。
  5. 【請求項5】 自動車用内燃機関の排気処理用の触媒を
    支持するための、約700oCを超える高温で密着性の酸
    化アルミニウムフィルムをその上に形成し、鉄、約15
    〜約25重量%のクロム、通常の製鋼不純物である酸
    素、窒素および炭素、および約0.03%までの硫黄を
    含む鉄系ステンレス鋼基材、および触媒を支持する前記
    鉄系ステンレス鋼基材の表面上にある密着性アルミニウ
    ム層からなるモノリス支持体ホイルであって、前記鉄系
    ステンレス鋼基材が最初はアルミニウムを本質的に含ま
    ず、セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジムおよ
    びイットリウムからなるグループから選択された添加物
    を含み、このグループからの総添加物の量が、前記硫黄
    含有量に対する原子比で少なくとも1であるが、そのホ
    イルの約0.1重量%を超えないこと、および前記密着
    性のアルミニウム層がアルミニウム被覆した鉄系ステン
    レス鋼のモノリス支持体ホイルの約3〜約7重量%を構
    成することを特徴とするモノリス支持体ホイル。
  6. 【請求項6】 前記添加物が、ホイルの約0.03〜約
    0.1重量%の量のイットリウムであることを特徴とす
    る請求項5記載のモノリス支持体ホイル。
  7. 【請求項7】 前記高温にさらした時、前記鉄系ステン
    レス鋼基材および前記アルミニウム層が互いに十分に協
    力し、前記層の上における縦横比の高い酸化アルミニウ
    ム髭結晶の成長を促進することを特徴とする請求項5記
    載のモノリス支持体ホイル。
JP4108225A 1991-04-29 1992-04-28 希土類元素またはイツトリウムの添加物を含む、アルミニウム被覆した鉄−クロムホイル Pending JPH05140766A (ja)

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