JPH05131352A - リング、特にローラベアリングレースの精密研磨方法及び装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 振動により妨害されることなく被加工片の測
定を行なうことができかつ被加工片の締付けによる変形
を生じることがないリングの精密研磨方法を提供する。 【構成】 被加工片１に非接触の測定ヘッド５を、液圧
心出し媒体３と同じ測定媒体を流出するノズル開口６と
して形成し、これら測定ヘッド５を被加工リング１面の
周に等間隔に分散配置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、加工すべきリングを、
液圧心出し媒体を介して心出しして加工片収容部により
収容し、かつ駆動装置によって回転駆動し、研磨過程の
際に加工すべきリングを測定し、かつこの測定の測定値
に従って研磨過程を制御しかつ又はは調整する、リング
外面又はリング内面におけるリングの精密研磨方法、特
にローラベアリングレースの精密研磨方法に関する。さ
らに本発明は、このような方法を実施する装置に関す
る。適当な補助手段を介して前記測定の測定値を電気的
に受取り、かつ評価し、そのため測定および制御技術の
現代の、特に電子的な補助手段が多くの可能性を提供
し、しかもコンピュータでも援助されることは明らかで
ある。測定値はいわば実際値である。制御及び調整は、
例えば目標値として所定の加工材料切削量に従って行な
われる。特に高速ローラベアリングのローラベアリング
の場合には、材料切削量の精度に高度な要求が課され
る。さらに加工の際にリングの真円度をそこなわないこ
とを確実にしなければならない。液圧心出し媒体による
心出しは、液圧心出しとも称する（ドイツ連邦共和国特
許第１８０５３０７号明細書参照）。

【０００２】

【従来の技術】液圧心出しは、周の閉じた加工片収容部
によって行なわれるが、シュー状の液圧心出し部材を用
いて行なうこともできる。この液圧心出しによれば、例
えば３つのジョーチャックによる機械式締付け又は固定
の際にがまんしなければならない締付け変形又は固定変
形を生じることなく、加工すべきリングを収容すること
ができる。その点に関して液圧心出しは、高精度の精密
研磨加工を可能にする。加工すべきリングを、適当な補
助手段によって、例えば押付けローラを介して駆動装置
に押付けることは明らかである。

【０００３】本発明が解析を考慮した周知の手段は枠の
中で、測定は機械式センサによって行なわれ、これらセ
ンサは、小さな押圧力で加工すべきリング面に載せら
れ、かつこれらセンサは、例えば細かいダイヤモンドチ
ップを有する。この時センサのチップが加工すべきリン
グ面にこん跡を残すことは避けられない。予備製品から
成る加工すべきリングを含む不可避の小さな非真円性
が、測定系に障害となる振動を引起こすこともある。本
発明の前提となる別の周知のリング精密研磨手段の枠の
中で、測定は非接触測定である。そのため自由噴射でノ
ズルから流出する測定気流が加工すべき面に向けられる
ので、ノズルと加工すべき面の間にいわば絞りギャップ
が生じる。ノズルから加工すべき面までの種々の距離に
基づくこの絞りギャップのギャップ幅の変化は、導管を
介してノズルに供給される気流中に圧力変動を引起こ
し、これら圧力変動は測定技術により検出され、かつ前
記のように評価される。これでは要求が高度な場合、測
定精度は不十分であり、かつここでも障害となる変動は
避けられない。結局精密研磨による平面の加工に関し
て、液体噴射、すなわち油噴射をいわばセンサとして使
用することが提案されている。リング外面又はリング内
面におけるリングの精密研磨方法に、特にローラベアリ
ングレースの精密研磨にこのような液体噴射を利用する
という従来技術には含まれない方法は、まだ成功してお
らず、むしろ心出しを妨害してしまう。測定精度は不十
分であるとわかった。

【０００４】

【発明の目的】本発明の課題は、振動による妨害なく高
精度で測定を行なうことができる、リング外面又はリン
グ内面におけるリングの精度研磨方法、特にローラベア
リングレースの精密研磨方法を提供することにある。

【０００５】

【発明の構成】この課題の解決ため、本発明は次のこと
を示している。すなわち少なくとも２つの同じ測定ヘッ
ドによって非接触測定を行ない、これら測定ヘッドにお
いてそれぞれ少なくとも１つのノズル開口から、心出し
媒体と同一の液圧測定媒体を流出させ、測定ヘッドを、
測定力の補償のため加工すべきリング面の周にわたって
等間隔に分散配置し、かつ液圧測定媒体を外へ噴射しな
いように測定及び心出し媒体層に導入し、この測定及び
心出し媒体層が加工すべきリング面を連行し、かつこの
測定及び心出し媒体層を測定ヘッドとリング面の間に形
成する。本発明は次のような知識に基づいている。すな
わちリングの、特にローラベアリングレースの精密研磨
の際、測定空気の自由噴射又は測定液の自由噴射を使用
することはできない。測定ヘッドを使用し、これら測定
ヘッドから測定媒体層及び心出し媒体層内へ測定媒体を
外へ噴射しないように流入させ、この媒体層を、必要な
場合にはリング内面又はリング外面におけるリングの加
工の際に調節し、液圧心出し媒体を介して心出しを行な
えば、前記の障害は回避できる。前記のように測定ヘッ
ドが、測定力の補償のため加工すべきリング面の周囲に
わたって等間隔に分散配置されるように考慮すれば、測
定媒体の、従って心出し媒体の比較的高い圧力が、心出
しを妨害することなく使用できる。測定力の補償とは、
加工すべきリング面においてかなりの圧力の測定媒体を
いわば支えることによって生じる力を消去することを表
わしている。測定媒体は液圧媒体なので、初めに述べた
振動がもはや生じることがないように、粘度を調節する
ことができる。測定ヘッドへ測定媒体を供給する流れの
断面積をあまり大きくせず、かつ導管自体が十分にわず
かしか弾性変形できないようにすることは明らかであ
る。本発明の有利な構成によれば、精密研磨の際に通常
の液圧洗浄媒体を測定及び心出し媒体として使用する。

【０００６】本発明による方法において、心出し媒体及
び測定媒体が同時に冷却媒体として使用できると特に有
利なので、加工すべきリングは、加工熱の結果生じる障
害となる熱膨張を生じない。そのため本発明は、特に同
時に冷却作用を有する測定媒体を使用することを示して
いる。測定媒体と心出し媒体は、同じ圧力媒体系から取
出すことができる。その場合心出し媒体及び測定媒体そ
れぞれの冷却を行ない、しかも適当な熱交換器を介して
行なうことは、本発明の権利範囲に含まれる。

【０００７】十分な測定力の補償を行なうため、直径上
に対向する２つの測定ヘッドを使用することができる。
本発明の有利な構成は次のような特徴を有する。すなわ
ち加工すべきリング面の周にわたって１２０°づつずら
して配置した３つの測定ヘッドを使用する。同一の測定
ヘッドを使用すると有利である。

【０００８】前記方法を実施する装置も本発明の対象で
ある。この装置は主として次のような特徴を有する。す
なわち測定ヘッドが、加工すべき表面に対して半径方向
に往復調節可能である。最も簡単な場合、測定ヘッドは
半径方向に配置されたノズル管を有することができ、従
ってその点に関して主としてこのノズル管から成ること
ができる。しかし測定ヘッドが測定シューを有し、この
測定シューの測定面の曲率が加工すべきリング面のもの
に整合しており、かつノズル開口が測定面内に開いてい
るように、装置を構成することもできる。すべての測定
ヘッドのノズル開口が目的に合わせて同じ直径を有し、
これらノズル開口は、同じ量の測定媒体流を放出するよ
うにする。測定値は、個々の測定ヘッドから又は個々の
測定ヘッドに供給される測定媒体流から取出すことがで
き、かつ個別的に又は統合して評価できる。

【０００９】

【実施例】本発明の実施例を以下図面により詳細に説明
する。

【００１０】図示した装置は、リング内面（図１及び図
２）又はリング外面（図３）におけるリング１の精密研
磨のために使用するものである。

【００１１】まず加工すべきリング１のため機械に固定
した回転しない加工片収容部２が示してあり、ここにお
いて心出しは液圧心出し媒体３を介して行なわれ、この
心出し媒体は、特別な孔と通路を介して供給されるが、
これは図示していない。その他に図２を加えれば、加工
片収容部２によって収容された加工すべきリング１が、
軸及びそれに結合されたディスクから成る駆動装置４を
介して回転連行されることが明らかである。そのためさ
らに押圧装置が必要であり、この押圧装置は、加工すべ
きリングを駆動装置に押付ける。押圧装置は図示してい
ない。

【００１２】加工すべきリング面は、研磨過程の際に非
接触で測定される。図１と図３には、そのために測定ヘ
ッド５が設けられており、これら測定ヘッドが、加工す
べき表面に対して半径方向に調節できることが示してあ
る。この調節は、半径方向に往復して行なわれ、このこ
とは、双方向矢印によって略示してある。その場合加工
すべきリング面と測定ヘッド５の間に極めて狭いギャッ
プが設定できる。図１と図３においてこのギャップはか
なり誇張して大きく示してある。一般にギャップ幅はμ
領域にある。測定ヘッド５は、測定力を補償するため、
加工すべきリング面の周囲に等間隔に分散配置されてい
る。これら測定ヘッドは、それぞれ少なくとも１つのノ
ズル開口６を有し、ここから心出し媒体と同一の液圧測
定媒体が流出する。液圧測定媒体は、外へ噴射されるこ
となく測定及び心出し媒体層７内に流入し、この媒体層
は誇張して厚く示してある。この媒体層は、加工すべき
リング面とそれぞれの測定ヘッド５の間に形成される。

【００１３】測定ヘッド５が測定シューとして形成され
ており、これら測定シューの測定面の曲率が加工すべき
リング面のものに整合していることは、図１に略示して
ある。ノズル開口６は、図２に示すように測定面内に口
を開いている。本実施例においてかつ本発明の有利な構
成によれば、すべての測定ヘッド５のノズル開口６は同
じ直径を有する。これらノズル開口は、同じ量の測定媒
体流を放出するようになっている。測定ヘッドが半径方
向に延びたノズル管８を持っていてもよいことは、図３
に略示してある。初めに述べた方法は、このような装置
によって極めて簡単に実現できる。ローラベアリングレ
ースの加工を行なう場合には、測定ヘッド５は、半径方
向移動によってリングのベアリング溝内に挿入し、かつ
動作位置にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による方法を実施する装置を加工すべき
リングの軸線方向に見た略図である。

【図２】いくつかの構造細部を含む図１の装置のＡ−Ａ
方向の断面図である。

【図３】本発明による装置の別の実施例を示す図１に対
応する図である。

【符号の説明】

１ リング ２ 加工片収容部 ３ 液圧心出し媒体 ４ 駆動装置 ５ 測定ヘッド ６ ノズル開口 ７ 測定及び心出し媒体層 ８ ノズル管

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 加工すべきリングを、液圧心出し媒体を
   介して心出しして加工片収容部により収容し、かつ駆動
   装置によって回転駆動し、研磨過程の際に加工すべきリ
   ングを測定し、かつこの測定の測定値に従って研磨過程
   を制御しかつ／又は調整する、リング外面又はリング内
   面におけるリングの精密研磨方法、特にローラベアリン
   グレースの精密研磨方法において、少なくとも２つの同
   じ測定ヘッドによって非接触測定を行ない、これら測定
   ヘッドにおいてそれぞれ少なくとも１つのノズル開口か
   ら、心出し媒体と同一の液圧測定媒体を流出させ、測定
   ヘッドを、測定力の補償のため加工すべきリング面の周
   にわたって等間隔に分散配置し、かつ液圧測定媒体を外
   へ噴射しないように測定及び心出し媒体層に導入し、こ
   の測定及び心出し媒体層が加工すべきリング面を連行
   し、かつこの測定及び心出し媒体層を測定ヘッドとリン
   グ面の間に形成することを特徴とする、リング、特にロ
   ーラベアリングレースの精密研磨方法。
2. 【請求項２】 精密研磨の際に通常の液圧洗浄媒体を測
   定及び心出し媒体として使用する、請求項１記載の方
   法。
3. 【請求項３】 同時に冷却作用を有する測定媒体を使用
   する、請求項１又は２記載の方法。
4. 【請求項４】 測定媒体と心出し媒体を同じ圧力媒体系
   から取出す、請求項１〜３の１つに記載の方法。
5. 【請求項５】 直径上に対向する測定ヘッドを使用す
   る、請求項１〜４の１つに記載の方法。
6. 【請求項６】 加工すべきリング面の周にわたって１２
   ０°づつずらして配置した３つの測定ヘッドを使用す
   る、請求項１〜４の１つに記載の方法。
7. 【請求項７】 測定ヘッドが半径方向に調節可能である
   ことを特徴とする、請求項１〜６の１つに記載の方法を
   実施する装置。
8. 【請求項８】 測定ヘッドが、半径方向に配置されたノ
   ズル管を有する、請求項７記載の装置。
9. 【請求項９】 測定ヘッドが測定シューを有し、この測
   定シューの測定面の曲率が加工すべきリング面のものに
   整合しており、かつノズル開口が測定面内に口を開いて
   いる、請求項７記載の装置。
10. 【請求項１０】 すべての測定ヘッドのノズル開口が同
    じ直径を有し、かつ同じ量の測定媒体流を放出するよう
    になっている、請求項７〜９の１つに記載の装置。