JPH05127074A - 焦点検出装置 - Google Patents

焦点検出装置

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JPH05127074A
JPH05127074A JP31550591A JP31550591A JPH05127074A JP H05127074 A JPH05127074 A JP H05127074A JP 31550591 A JP31550591 A JP 31550591A JP 31550591 A JP31550591 A JP 31550591A JP H05127074 A JPH05127074 A JP H05127074A
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山田  晃
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 像ずれ方式を利用して結像光学系の焦点検出
を行う際、適切なるフィルター処理を施すことにより高
精度な焦点検出が可能な焦点検出装置を得ること。 【構成】焦点検出されるべき結像光学系の結像状態に応
じて、相対的な位置関係が変化する第1と第2の2つの
物体像を形成する再結像光学系と、該第1と第2の物体
像に対応した第1と第2の信号をそれぞれ出力する複数
の画素よりなる光電変換手段と、該第1と第2の信号に
対してフィルター処理をしたのち、演算上で該第1と第
2の信号を順次相対的に変位させ、各相対変位位置に於
ける第1と第2の信号の一致度を表わす評価量を演算
し、該評価量の変化に基づいて該第1と第2の物体像の
相対的な位置ずれ量を求め、該ずれ量から該結像光学系
の結像状態を検出する演算手段とを有し、該フィルター
処理は該相対変位位置に応じて決定されるフィルターを
用いて行なっていること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、焦点検出装置に関し、
特に撮影レンズ(結像光学系)を通過した光束を用いて
測距光学系によって形成された2つの物体像の相対的位
置関係により結像光学系の結像状態を検出するようにし
た写真用カメラやビデオカメラ等に好適な焦点検出装置
の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、焦点検出装置における焦点検
出方法として、いわゆる像ずれ方式の焦点検出装置が知
られている。この方式においては、比較すべき2つの物
体像(二像)が単に横ずれしているだけの同一像である
ことを前提としている。このため、測距光束にケラレが
生じないように、結像光学系の口径比に制約を設けると
か、測距視野の配置に制約を設けるといったことが必要
であった。
【0003】また、測距光束のケラレによる像信号の劣
化に対して、像信号のハイパスフィルター処理を施すこ
との有効性が知られている。しかしながらこれは、製造
誤差等による光束の微小なケラレの悪影響を除去するの
が主目的であって、上記の欠点が解消され、開放Fナン
バーの制約がなくなり測距視野のレイアウトも自由に行
えるようになると言った効果のあるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような焦点検出装
置を、例えば一眼レフカメラに適用したカメラシステム
の場合はまず、撮影レンズの開放Fナンバーが、一般に
F1.0〜F8に設定されている。このため、このよう
なカメラシステムをオートフォーカス化(自動焦点化)
しようとしたとき、前記のようにオートフォーカスで使
用できる撮影レンズを、例えばF5.6よりも明るいも
のに限定するとか、あるいは、測距視野を測距光束がケ
ラレにくい光軸付近の例えば光軸から5mm以内の位置
にレイアウトするといった割り切りが必要となってく
る。したがって、どんな撮影レンズでも、さらには、フ
ァインダー視野のどこの領域でも動作(測距)するよう
なオートフォーカスを有したカメラシステムは実現する
のが大変難しかった。
【0005】また、本出願人が、例えば特願平2−17
8848号で開示した、測距光学系の光路中に拡散板を
配置した改良型の測距光学系においては、測距光束がケ
ラレていない範囲に限っては、その特徴であるところの
測距精度の向上が達成される。しかしながら、拡散板の
ためにケラレが起こり易く、このケラレが生じた場合に
は測距することが難しくなる傾向があった。
【0006】本発明は像ずれ方式を利用して焦点検出を
行う際、測距用光束に多少のケラレがあっても適切に構
成したフィルター手段を用いることにより、結像光学系
の口径比を節約し、測距視野配置の制約を排除すると共
に高精度に焦点検出を行うことができる焦点検出装置の
提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の焦点検出装置は
焦点検出されるべき結像光学系の結像状態に応じて、相
対的な位置関係が変化する第1と第2の2つの物体像を
形成する再結像光学系と、該第1と第2の物体像に対応
した第1と第2の信号をそれぞれ出力する複数の画素よ
りなる光電変換手段と、該第1と第2の信号に対してフ
ィルター処理をしたのち、演算上で該第1と第2の信号
を順次相対的に変位させ、各相対変位位置における第1
と第2の信号の一致度を表わす評価量を演算し、該評価
量の変化に基づいて該第1と第2の物体像の相対的な位
置ずれ量を求め、該ずれ量から該結像光学系の結像状態
を検出する演算手段とを有する焦点検出装置において、
該フィルター処理を該相対変位位置に応じて決定される
フィルターを用いて行なっていることを特徴としてい
る。
【0008】又本発明の焦点検出装置としては、焦点検
出されるべき結像光学系の結像状態に応じて、相対的な
位置関係が変化する第1と第2の2つの物体像を形成す
る再結像光学系と、該第1と第2の物体像に対応した第
1と第2の信号をそれぞれ出力する複数の画素よりなる
光電変換手段と、該第1と第2の信号を演算上で順次相
対的に変位させ、各相対変位位置における第1と第2の
信号の一致度を表わす評価量を演算する際、予め該第1
と第2の信号に対して該相対変位位置に応じて決定され
るフィルターを用いてフィルター処理を施し、該評価量
の変化に基づいて該第1と第2の物体像のずれ量を求め
て該結像光学系の結像状態を検出する演算手段とを有す
る焦点検出装置において、 (イ)該演算手段は、第1の原フィルター情報から該フ
ィルターを作成する第1の処理過程と、第2の原フィル
ター情報から該フィルターを作成する第2の処理過程と
を有し、さらに、該第1の処理過程と該第2の処理過程
のいずれかを該第1と第2の信号の相対変位量に応じて
選択する選択手段を設けたこと (ロ)該フィルターは、該相対変位量がゼロの場合にも
該第1と第2の信号を修正すること (ハ)該フィルターは原点を挟んで一方には正の成分の
みを、他方には正及び負の成分を有していること (ニ)該光電変換素子はその出力が該評価量を求める演
算に用いられる画素の外側にこれらの画素に対する前記
フィルター処理のために用いられる画素を有すること 等を特徴としている。
【0009】この他本発明の焦点検出装置としては、焦
点検出されるべき結像光学系の結像状態に応じて、相対
的な位置関係が変化する第1と第2の2つの物体像を形
成する再結像光学系と、該第1と第2の物体像に対応し
た第1と第2の信号をそれぞれ出力する複数の画素より
なる光電変換手段と、該第1と第2の信号を演算上で順
次相対的に変位させ、各相対変位位置における第1と第
2の信号の一致度を表わす評価量を演算する際、予め該
第1と第2の信号に対してフィルター処理を施し、該評
価量の変化に基づいて該第1と第2の物体像のずれ量を
求めて該結像光学系の結像状態を検出する演算手段とを
有する焦点検出装置において、 (ホ)該フィルター処理は焦点検出されるべき結像光学
系の口径比に応じて決定されるフィルターを用いて行な
われること (ヘ)該フィルター処理は焦点検出されるべき結像光学
系の射出瞳位置に応じて決定されるフィルターを用いて
行なわれること (ト)該演算手段の中には、該フィルター処理が該相対
変位量に応じて決定されたフィルターを用いてなされる
第A1の処理過程と、これに続いて実行され、相対変位
量に依らずに固定のフィルターを用いてなされる第A2
の処理過程とを有し、第A2の処理過程におけるフィル
ターは第A1の処理過程にて得られた像ずれ量を基にし
て決定されること (チ)該演算手段の中には、該フィルター処理が該相対
変位量に応じて決定されたフィルターを用いてなされる
第B1の処理過程と、相対変位量に依らずに固定のフィ
ルターを用いてなされる第B2の処理過程とを有し、該
第B1の処理過程と第B2の処理過程のいずれかを選択
する選択手段を設けたこと (リ)該フィルター処理は焦点検出されるべき結像光学
系の光軸から該光電変換手段によって決定される測距視
野までの距離に応じて決定されるフィルターを用いて行
なわれること (ヌ)該演算手段には、第1の信号に対してフィルター
処理を行なう第C1の処理過程と、第2の信号に対して
フィルター処理を行なう第C2の処理過程とを有し、第
2の処理過程において用いられるフィルターは第1の処
理過程で用いたフィルターを反転させて得られる特性よ
り成っていること 等を特徴としている。
【0010】
【実施例】図1は本発明の焦点検出装置の焦点検出系の
検出原理を示す要部概略図である。本実施例では撮影光
束と測距光束を揃えることによって、被写体像の空間周
波数まで考慮した最適ピント位置を得ることを特徴とし
ている。
【0011】まずその構成を説明する。図1において、
40は被写体面、41は撮影レンズ、42は撮影レンズ
41の予定結像面付近に微細な凹凸からなるマット面4
2aを持った拡散板、43はフィールドレンズ(コンデ
ンサーレンズ)48は二つの開口部48a,48bを有
する絞り、44は撮影レンズ41の光軸L2を中心にし
て対象に配置された二つのレンズ部44a,44bを有
する再結像レンズ(2次結像レンズ)である。この再結
像レンズ44は、二つの絞り開口48a,48bを通過
した光束を収斂し、後方に配置された光電変換素子列4
6、47上に被写体の二次物体像を形成する。ここで得
られた光電変換出力は、後述するマイクロコンピュータ
に入力され、撮影レンズの焦点検出に供される。
【0012】上記のフィールドレンズ43は拡散板42
での拡散を無視すれば、絞り48と撮影レンズ41との
射出瞳とを共役関係に投影する作用を有し、拡散板の拡
散特性と、このフィールドレンズの集光特性とによっ
て、撮影レンズの射出瞳上における測距光束の通過領域
が決定されている。
【0013】図2は拡散版42の拡散特性を示す説明図
である。撮影レンズ41側から垂直に入射する光線Lが
再結像レンズ側のマット面42aで拡散する様子を示し
ている。図は、入射角と同じ角度で射出する直進成分が
最も強く、これから離れるほど弱くなることを表わし、
撮影レンズ側から入射した光線は、絞り48上である程
度の広がりを持つことが理解される。従って、光線逆進
の原理により、絞り48上のある点に集束する光束は、
逆に射出瞳上においてある程度の広がりを持つことにな
る。
【0014】図3及び図4はこの説明図で、図3は絞り
48の平面図、図4は撮影レンズ41の射出瞳上におけ
る絞り48の像を示す概略図である。図3に示すよう
に、二つの絞り開口48a,48bは一つの円を二分割
した形状となっている。フィールドレンズ43によっ
て、これらの絞り開口48a,48bの像が撮影レンズ
41の射出瞳上に形成されるが、拡散版42の作用によ
り、滲みの生じた像となる。図4はこのときの状態を簡
略的に示している。
【0015】図4において二つの開口像49a,49b
のそれぞれを右斜めの斜線と左斜めの斜線で表わしてい
る。この滲みのために、これらの開口像はその一部が重
なりあい、全体としては射出瞳の内側いっぱいに広がっ
た形状となっている。この結果、絞り開口像49a,4
9bの重心間隔を比較的小さくした状態で、射出瞳の広
い領域から測距光束を取り込むことが可能である。
【0016】次に、以上の構成による焦点検出装置の測
距原理について説明する。
【0017】図5(A),図5(B)は、このための説
明図で、撮影レンズ41から絞り48までの詳細を示し
ている。拡散板42のマット面42aにおける光の拡散
については、厳密には波動光学的な解析が必要だが、こ
こでは、その近似として幾何光学的な説明を加える。
【0018】図5(A)で絞り開口48a,48b内の
点G、Hとマット面42aの光軸上の点Eとを通る2本
の光線A、Bを考える。簡単のためコンデンサ−レンズ
43は薄肉で、マット面42aに隣接していると考える
と、点Eから絞り48の開口上の点G、Hを見込む角度
はθ1 である。マット面42aは拡散面であるため連続
した微細な凹凸の集合体である。点Eにおけるマット面
42aの接平面が図にP1で示した面であるとすれば、
光線A、Bはここで屈折し光線A´、B´となる。屈折
した2本の光線が撮影レンズ41の射出瞳上に到達する
点をそれぞれI、Jとする。
【0019】図5(B)も同様でマット面42aの光軸
上の点Eのごく近傍に点Fを設定し、そこでの光線の振
る舞いについて考える。点Fにおける接平面を図のよう
にP2とし、点Fから絞り開口上の点G、Hを見込む角
度をθ2 であるとする。図5(A)と同様に絞り48の
開口上の点G、HとFとを通る2本の光線C、Dはここ
で屈折し光線C´、D´となる。屈折した2本の光線が
撮影レンズ41の射出瞳上に到達する点をそれぞれK、
Mとする。
【0020】ピント板42の厚みを無視し、図5
(A)、(B)で示した撮影レンズ41の射出瞳上の各
到達点I、J、K、Mをそれぞれ点E、Fから見込む角
度をθ1'、θ2'とする。点Eと点Fは極めて近距離であ
る。従ってθ1 とθ2 及び接平面の傾きがともに小さい
範囲で納まるとすれば近似的に θ1'≒θ2' が成立する。
【0021】これは光軸がマット面42aに交わる点か
ら2つの絞り開口を見込む角度が小さい範囲で、ある範
囲内に屈折した光線について測距基線長が同一であるこ
とを意味している。図2に示したのはマット面による拡
散特性の一例であるが、これは幾何光学的に言うと点E
の回りに様々な方向の接平面が存在し、それらの総合と
して得られた特性であると解釈することができる。マッ
ト面の拡散特性は光量との兼ねあいである範囲に納まっ
ており、これらの各接平面に対して図5の説明を当ては
めることができる。
【0022】又、図5の説明では簡単のため光軸上の点
の測距について説明を行ったが、光軸外の点について同
様の説明が成立するのは明らかである。従って本発明の
ような焦点検出装置の測距基線長は絞り48の開口の間
隔によって決定され、拡散板の特性には影響されない。
【0023】このような性質から、焦点検出動作は拡散
板を有しない従来の焦点検出装置と基本的には同一であ
る。例えば、撮影レンズ41が図の左方向に繰り出され
て、いわゆる前ピン状態となると、再次結像レンズ44
a,44bによって各々の光電変換素子列46,47の
受光面上に投影されていた被写体像(物体像)が、それ
ぞれ矢印方向にずれ、この物体像の相対的ずれ量に応じ
た光電変換素子列46,47の出力変化により、前ピン
状態であること及びその量が検出されることになる。ま
た、後ピン状態の場合には、各々の物体像が、前ピン状
態の場合と逆にずれるので、後ピン状態であることと、
その量が検出される。
【0024】以上の説明のように、この焦点検出装置で
は、拡散板を利用して、測距基線長を必要以上に長くす
ることなく明るいFナンバーの測距光束を取り込めるよ
うに構成しているため、被写体像の空間周波数に応じた
最適なピント位置の検出が可能となっている。また、こ
れから説明するように、拡散板として一眼レフカメラの
ピント板を用いると言った応用も可能である。
【0025】図6は本発明の焦点検出装置を一眼レフカ
メラに適用したときの要部概略図である。
【0026】図中80は一眼レフカメラ本体、82は撮
影レンズ81を光軸方向に移動可能に保持するレンズ鏡
筒、83は可動ミラ−である。可動ミラ−83は被写体
観察時には下降した状態にあって、撮影レンズ81から
の光束を上方に偏向してファインダ及び本発明になる焦
点検出系へ導く役割をする。又、83は撮影時には写真
フィルム92の露光開始直前に撮影レンズからの光束を
けらない位置まで跳ね上げられ、露光終了とともに再び
図1の状態に戻される。
【0027】次にファインダ及び焦点検出系であるが、
84は撮影レンズ81によって被写体像の投影されるピ
ント板で、同時に測距光束を拡散する役割をしている。
85はコンデンサ−レンズ(フィールドレンズ)、86
はペンタプリズム、87は焦点検出系へ光束を分割する
光分割器、88は接眼レンズである。ピント板84の光
入射面には、測距光束をピント坂84の光射出面側に形
成されているマット面84cに対し垂直に近い角度で入
射させるための球面部84aが形成され、測距視野外と
なる周辺部にはフレネルレンズ84bが形成されてい
る。マット面84cは予定結像面の曲りを補正するた
め、球面部84aに対応した部分が僅かに凸面になって
いる。マット面84cで拡散した光線は、その後方に配
置されたコンデンサ−レンズ85により接眼レンズ88
の配置に適合するように屈折させられる。次いで光線は
ペンタプリズム86と光分割器87のハーフミラー面8
7aを通過し接眼レンズ88の方向に偏向され、接眼レ
ンズ88を通過後に観察者の目に達する。
【0028】接眼レンズ88の直前に置かれた光分割器
87はハ−フミラ−87aにより接眼レンズに到達すべ
き光の一部を上方に反射させ、その反射光束を焦点検出
に利用させる役割を果たす。遮光マスク89以下は焦点
検出系で、90は透明プラスチックより成る2次結像レ
ンズ(再結像レンズ)、93は絞り、94は導光プリズ
ム108、108h1、108h2 は多数の画素よりなる
光電変換素子の画素列で、該画素列は透明樹脂製パッケ
−ジ95によって保持されている。絞り93は2次結像
レンズ90、コンデンサ−レンズ85、ピント板84の
球面部84aにより撮影レンズ81の射出瞳上に投影さ
れる。又、2次結像レンズ90はピント板のマット面8
4cを光電変換素子108h1 、108b2 上に投影す
る役目も果たしている。マット面84cの拡散作用によ
り図1で説明したのと同様被写体の投影像は滲んで広が
りをもった状態となっている。
【0029】図7、図8はこのように構成された焦点検
出光学系を光軸に沿って展開したものである。図7はフ
ァインダ−視野短辺方向の断面、図8は長辺方向の断面
を示している。図中186及び187はそれぞれペンタ
プリズム86、光分割器87を光路に沿って展開したの
と等しい光路長をもつ等価平行平面部材である。
【0030】コンデンサレンズ85は観察系に対しては
接眼レンズ88と撮影レンズ81の射出瞳とを互いに投
影関係に導くことによってファインダ−全視野を明るく
見せる作用、焦点検出系に対しては該系の絞り93と撮
影レンズ81の射出瞳とを同じく投影関係に導いて広い
測距視野を得る作用を合わせ持っている。これは接眼レ
ンズ88と絞り93を光学的にほぼ等価な位置に配置す
ることによって実現できる。
【0031】この2つの作用を両立させる際、焦点検出
系の投影関係では該検出系のディスト−ションが検出精
度に影響を与えるため、コンデンサ−レンズ85の両面
の曲率に制限を加えることは難しい。一方、観察系の投
影関係については所定のパワ−さえ得られれば曲率にあ
る程度の制約を加え、任意の値に故意に持っていくこと
も可能である。この特性を利用してカメラの小型化を計
るため、コンデンサ−レンズ85の第1面は2つの曲率
の部分により構成されている。
【0032】図9はこの様子を示したものでコンデンサ
レンズ85を光入射方向より観察した平面図である。図
中85aは曲率を有する球面部、85bは平面部であ
る。球面部85aの径はこの内部に測距用の光束が通過
する範囲が含まれるように設定されており、この外側の
平面部は観察系の都合によって曲率に制限を加えた結果
である。このように周辺に平面部を設けることにより、
光入射面全体に曲率を設ける場合に比べコンデンサレン
ズ85の厚さを極めて薄くすることが可能である。この
場合、球面部85aと平面部85bとの境界は不連続と
なるが、本実施例では領域によって異なる屈折力の不連
続を、ピント板84の形状を工夫することによって解決
している。図10(A)はピント板84を光入射方向か
らみた平面図、図10(B)はその断面図である。図1
0(A)に示されているようにピント板84も2つの領
域、即ち球面部84aとフレネルレンズ部84bによっ
て構成されている。コンデンサ−レンズ85とピント板
84に形成された各々2つの領域の境界部は、接眼レン
ズ88を通して光軸上の基準位置から撮影者がファイン
ダ−を観察したとき、互いに重なるような大きさに設定
されている。
【0033】図10(B)は前述のようにピント板84
の断面を示している。図中の2本の接線V、Wから分か
るようにフレネルレンズ部84bは球面部84aに付加
される形で付いている。このためフレネルレンズ部84
bの屈折力は球面部84aより大きく、結果として対応
関係にあるコンデンサ−レンズ85の平面部85bが持
っている球面部85aに対する屈折力の低下を補う形と
なっている。即ち、観察系における接眼レンズ系に対す
る前述の投影関係を視野全体にわたって満足させるた
め、対応関係にあるピント板84の球面部84aとコン
デンサ−レンズ85球面部85a、ピント板84のフレ
ネルレンズ部84bとコンデンサ−レンズ85の平面部
85bの総合屈折力はコンデンサ−レンズ85の射出面
で考えた場合、合致するようになっている。
【0034】次に焦点検出系の結像関係について再び図
7、図8を参照しながら説明を加える。2次結像レンズ
90は2対のレンズ部を一体に形成した光入射面と撮影
レンズの光軸と同軸の曲面をもつ光射出面よりなる一種
の両凸マルチレンズである。図11は2次結像レンズ9
0を光入射方向からみた形状を示すもので、中央のレン
ズ部90c、90dを挟んでその上下にレンズ部90
a、90bが配置されている。マルチレンズでは90a
と90b、90cと90dがそれぞれ対をなし、撮影レ
ンズ81の結像状態に対応して相対的位置の変化する2
対の物体像を形成する。これらのマルチレンズは総て球
面で構成されており、その球心はピント板84のマット
面84cの光軸上の位置から絞り93の4つの開口の重
心を通過するそれぞれの光線が、該開口に対応する各マ
ルチレンズに対してほぼ垂直に入射するように設定され
ている。
【0035】2次結像レンズ90の光射出面90eは前
記マルチレンズ90a〜90dに共通の球面で、その光
軸は撮影レンズ81と共通である。光射出面90eの球
心は2次結像レンズ90に対する物体面であるピント板
84のマット面84cの近傍と、光学的に等価な位置に
設定されている。即ちペンタプリズム86、光分割器8
7の光路長を空気換算したとき、マット面84cの中心
はほぼ2次結像レンズの光射出面90eの球心と合致す
る。前述したように2次結像レンズ90では光入射面側
でもピント板84のマット面84cの光軸上の位置を発
し、絞り93の各開口の重心を通過する4本の光線が入
射側のマルチレンズ90a〜90dに垂直入射する。従
って、前記4本の光線が射出面90eからほぼ垂直に射
出する光学系となっているのが本発明の大きな特徴であ
る。
【0036】このように2次結像レンズ90は、ピント
板84cの中央を発して絞り93の各開口の重心を通過
する光線、即ち各マルチレンズ90a〜90dを通過す
る光束の重心となる光線を曲げずに光電変換素子108
に導くように構成されている。この事実は物体からの光
の波長が対象により色々と変化した場合でも、対となる
2つの像の間隔変化を極めて小さくすることが可能なこ
とを意味している。従って従来問題となっていた焦点検
出系の色収差の影響による物体の色に対応した検出誤差
は殆ど無い。
【0037】本発明のような光学系の構成を取る場合、
光電変換素子108のチップ面積を小さく保ちつつ測距
視野を大きくするため、2次結像レンズ90による結像
倍率は−0.2から−0.5倍程度に設定するのが望ま
しい。図7、図8に示したのは約−0.2倍の例であ
る。一般にこのような縮小結像系を1枚の凸レンズで構
成する場合、収差分担の原則から光入射面の曲率を強く
し、光射出面側の曲率を弱くすることで、収差を小さく
して投影される点像を小さくできることが知られてい
る。図7、図8に示されている様に2次結像レンズ90
の光射出面90eは入射側のマルチレンズに対し共通
で、しかもその球心が光学的にマット面84c付近とい
う制約から弱い曲率しか持ちえない。一方、径の小さい
光入射側のマルチレンズは射出側の曲率が弱いのを補っ
て結像倍率を保つため曲率が強くなる。図7、図8に示
した実施例はこの意味でも収差分担の原則に則ってお
り、小さい点像を実現することができる。焦点検出光学
系において小さい点像が実現できるということは、より
細かいパタ−ンまで測距出来るということであり、検出
性能の向上に役立つところが大きい。
【0038】形成された2対の物体に関する光量分布の
位置と、これを受光する光電変換素子の画素列との位置
はカメラの測距精度を満足させるために数μm以下の精
度で整合させる必要がある。本発明のように2対のレン
ズ部を一体に成型した二次結像レンズと、それに対応す
る画素列を一つのチップ上に配列した光電変換素子とを
用いる系の製造上の最大の問題点は、二次結像レンズ内
での光軸の位置合わせに集約される。本実施例における
二次結像レンズは光射出面を2対のマルチレンズ部に共
通な一つの球面で構成することにより、上記問題を解決
したものである。
【0039】プラスチック製である二次結像レンズは射
出成型法あるいは圧縮成型法により製造される。このさ
い問題となるのは先に述べたように個々の二次結像レン
ズの光入射面と光射出面とのずれと、各二次結像レンズ
同志のずれである。特に本発明のように2対の二次結像
レンズを用いるとき、該二次結像レンズがばらばらでそ
の4つの光軸が金型の入射と射出の両部分にある場合に
は、相互間の精度を達成することが非常に困難である。
特に金型の光入射面と光射出面とを構成する部分で相互
回転の成分となるものの精度は厳しく、これに誤差があ
るとその量に応じて個々の二次結像レンズの像が収差で
複雑な変形を受ける。この結果対となる像を形成するべ
き2次結像レンズ同志の点像が互いに相似形ではなくな
ってしまう。
【0040】実際の焦点状態の検出は撮影レンズ81か
ら二次結像レンズ90を介する系で、被写体となる物体
の像が夫々の光電変換素子に対となって結像されること
で行われる。ここで例えば撮影レンズ81が図7、図8
で左方に繰り出されていわゆる前ピン状態になると、光
変換素子の受光面に結像されている対となっている物体
の像が近づく方向にずれる。この像同志の相対的なズレ
に応じた光電変換素子の出力変化により前ピン状態であ
ること、及びその量が検出される。後ピン状態のときに
は、対となる像が前ピン状態の場合と逆方向にずれるの
で、後ピン状態であること、及びその量が検出される。
【0041】この様に焦点状態の検出は対となる像の間
隔をもって行われるので、対となる像自体の不一致はそ
のまま測距誤差として表われる。本実施例のように光射
出面が各光束に対し共通の球面であれば相互回転の影響
は全くなく、容易に製造が可能となる。
【0042】二次結像レンズを透過した光束はその後に
配置された絞り93に入射する。絞り93は図7、図8
に示すように二次結像レンズ90からやや離れて配置さ
れ、二次結像レンズ90を構成するマルチレンズに対応
した二対の開口を有している。図12は絞り93の平面
図で、開口部の形状を示したものである。二次結像レン
ズ90a〜90dに対応して開口部93aと93b、9
3cと93dがそれぞれ対をなし、開口重心同志の距離
が測距基線長に相当する量となる。図より明らかなよう
に開口93aと93bで決定される測距基線長の方が、
開口93cと93dで決定される測距基線長よりも長く
設定されているのが特徴で、これを利用して光電変換素
子のチップ面積を小さくするとともに、系全体のコンパ
クト化が計られている。
【0043】93a〜dの4つの開口はいずれも2つの
弧に囲まれた形状となっている。外側の弧の形状は、そ
の弧がピント板84の球面部84a、コンデンサ−レン
ズ85及び二次結像レンズ90を介して撮影レンズ81
の射出瞳上に投影されたとき、像が撮影レンズ81の光
軸を中心とする円弧となるように設定される。内側の弧
は対となるもう一方の開口の外側の弧を他方に平行移動
させることにより決定されるもので、これで対となる開
口の形状は互いに同一となる。従って対となる二次結像
レンズ系の撮影レンズ81上での有効径の形状は後述す
るように一致し、測距光束がケラレない範囲で物体像が
デフォ−カスしても光量分布の相似性は損なわれない。
【0044】ここで特に注目しなければならないのは絞
り93の外側の円弧の形状である。二次結像レンズ90
の構成が撮影レンズ81とは偏心系になっている関係か
ら、絞り93の外側の弧の中心は撮影レンズ81の光軸
が絞り93と交わる点Qとは異なっている。図12で説
明すると開口93aの外側の弧Rの中心はPであり、撮
影レンズ光軸との交点Qから長さSだけ偏心している。
ここで外側の弧は二次結像レンズ90の球面部90a等
を通して撮影レンズ81の射出瞳上に投影された時、そ
の像が撮影レンズ81の光軸を中心とした弧となるよう
に偏心されるため、光束を最も効率良く取り込むことが
できる。図13は絞り開口の投影像の説明図である。1
01は撮影レンズ81の射出瞳、102a〜102dは
それぞれ絞り開口93a〜93dの投影像である。互い
に対となる絞り開口間の距離は測距基線長に対応してい
る。ピント板84のマット面84cが光路中にあるた
め、絞り93の像は滲みを生じ図2に示したような拡散
特性に従った広がりを持っている。図13でハッチング
で示したのはこの滲みを表わしたものである。なお、絞
り93の位置を二次結像レンズ90の背後に置いたのは
画角に対する点像の均一性を良くするためである。
【0045】図14に示したのは二次結像90レンズ9
0の直前に置かれる遮光マスク89の形状である。遮光
マスク89には3つの開口89a〜89cがあり、その
他の部分は遮光部となっている。この遮光効果で二次結
像レンズ90の4つのマルチレンズ90a〜90dの接
合部の段差で発生するゴ−ストを未然に防いでいる。本
発明で説明してきた焦点検出光学系はペンタプリズム8
6を介しているために全長が長いということは既に述べ
た。一方測距精度を向上させるためには、絞り開口93
の重心間隔を広く取らねばならない。この結果物体の対
となる光量分布は互いにかなり離れた位置に形成され
る。図15は測距視野と撮影画面との関係を示す図であ
る。撮影画面103に対して測距視野104a〜104
jを図のように十字形に配置した場合、これを二次結像
レンズ90によって単純に投影すると対となる2次物体
像はかなり離れた位置に形成され、大きなスペースの画
素配置が必要となる。
【0046】図6,図7,図8に示した実施例は上記の
ような問題点を考慮して導光プリズム94を用いて光電
変換素子のチップサイズを小さくしたものである。図1
7及び図18は導光プリズム94周辺の部分拡大図及び
斜視図である。図17は図7に対応する断面を示したも
ので、この断面において透明プラスチック部材で作られ
る導光プリズム94は94a〜94fという6つの光学
面を持っている。これら6つの面は光路を撮影レンズ8
1の光軸方向に折り畳む作用と、不要光をカットする作
用と同時に持っている。
【0047】図17において絞り開口93a及び93b
を通過した光束は導光プリズム94の入射面94aに入
射する。光束は次いで全反射面94b、94c及び全反
射面94d、94eでそれぞれ2回反射した後、光射出
面94fから光電変換素子107に向かって射出する。
一方、図18を参照すれば分かるように絞り開口93c
及び93dを通過した光束は導光プリズム94に開けら
れた2つの開口部94g及び94hを通って、光電変換
素子107に直接到達する。二次結像レンズ90から光
電変換素子107までの光学的距離は、導光プリズム9
4の反射を介するか否かで光路長差を生じるが、反射光
路がプラスチック部品の中にあるため実質的に短くな
り、両者の差は僅かである。又、二次結像レンズ90の
マルチレンズの2対のレンズ部の曲率は夫々独立に選べ
るため、上記2種類の光路に対して最適な結像を実現す
ることができる。
【0048】上記のような導光プリズム94を用いるこ
とにより、光電変換素子107は効率的に小型化され
る。図16はこの様子を示すものである。図中107が
光電変換素子で、測距視野104a〜104eに対応す
る画素列が108a1 〜108e2 、測距視野104f
〜104jに対応する画素列が108f1 〜108j2
となっている。添字の意味は同じ測距視野でも対となる
2次結像レンズ90を通って形成された2つの像の対応
を示している。ここでは測距視野104a〜104eに
対応する画素列108a1 〜108e1 と108a2 〜
108e2 に挟まれた領域に測距視野104f〜104
jに対応する画素列108f1 〜108j1 及び108
f2 〜108j2 が位置し、無駄な領域がなくなってい
る。光電変換素子自体が小さくなったことによるコスト
上のメリットは言うまでもないが、導光プリズム94の
導入は光路の折り畳みでカメラ本体自体の小型化にも効
果的である。
【0049】特に、測距基線長の長い測距視野の画素列
を内側に、測距基線長の短い測距視野の画素列を外側に
配することによって一層の小型化が図られている。こう
することにより、コスト的にきわめて有利となることは
言うまでもなく、さらには、カメラの小型化のためにも
有効である。
【0050】以上に説明した焦点検出装置は、特に厳密
なピント合わせが要求されるFナンバー(口径比)の小
さい明るいレンズに対して有効である。ところが、一眼
レフカメラのように撮影レンズを交換できるシステムで
はFナンバーの大きい暗い撮影レンズが装着されること
もあるわけで、このような場合には測距光束が撮影レン
ズでケラレてしまう。次に、様々な撮影レンズに対応し
た焦点検出の処理方法について説明する。
【0051】まず、図19は測距光束のケラレの様子を
説明するための斜視図である。図15に示した測距視野
のうち104jに入射すべき測距光束だけを示したもの
である。同図に於いて、150aは図13に示した絞り
開口像102a,102bの最外形、151、152は
比較的暗い撮影レンズの射出窓の例である。
【0052】一般に、写真用レンズは撮影画面の中央以
外では口径蝕と呼ばれる瞳面積の低下を生じる。これ
は、像面上のある点からみて絞り開放状態の光束の幅を
決めている面が二つ以上あることに起因しこれを射出窓
と呼ぶ。例えば、この面は最前部のレンズと最後部のレ
ンズになる。図に示した二つの射出窓151、152
は、この一般例である。ただし、測距光束のケラレ具合
いと言う観点からすれば、後述するように、これらを一
つの中間的な射出瞳で代表させて考えても差し支えな
い。
【0053】さて、図のように空間にある程度の距離を
おいて配置された二つの円を通して測距視野104jに
光が達する状態を考える。ここでは、他の測距視野位置
に対しても測距光束の通過範囲を固定して扱えるよう
に、焦点検出光学系の絞り開口の像の形成される面で撮
影光束の通過範囲を考えると、実際に光がここを通過す
るのは破線で示した領域153の内部にすぎない。従っ
て、この外側にも絞り開口の像があると言うことは、測
距光束にケラレが生じていることを意味している。図で
は測距視野104jの測距光束のみを示したが、他の測
距視野についても同様に射出瞳を投影すれば、ケラレ具
合を知ることができ、撮影画面103の中央でケラレに
くく、周辺に行くほどケラレ易いという傾向を示す。
【0054】ところで、撮影レンズと再結像レンズによ
って形成される像のデフォーカスが大きくなれば光電変
換素子上の点像は絞りの形に近くなることから、このよ
うに測距光束がケラレている場合にはその点像のボケ具
合いは左右非対称である。しかも、対となる二次物体像
でボケ方は裏返しの関係となり、結果として二つの像の
相似性はかなり低下している。前述したようにデフォー
カス量を算出する際には、対となる二次物体像の相対距
離を求めるわけで、このように相似でない像に対しての
演算精度はきわめて悪い。このような理由から、開放F
ナンバーの大きい暗い撮影レンズに対しては非対称にぼ
けた像を修正し、像ずれ演算の精度を低下させないため
の手段が必要である。以下、この修正手段について詳述
する。
【0055】まず、図20(A)〜(C)及び図21
(A)〜(C)は撮影レンズの特性の違いによって測距
光束のケラレ具合がどう変わるかを説明するための図
で、図20は、図15に示した測距視野のうち104j
への光路を上方視した平面図、図21は測距光学系の絞
り像が形成される面に於いて撮影光束が通過する範囲を
示した図である。
【0056】図20に於いて、一点鎖線169は撮影レ
ンズの光軸、破線156は絞り開口像の投影面、破線1
55は測距光束で、いずれも図20(A)〜(C)に共
通である。また、157、158、159は、それぞ
れ、撮影レンズの射出瞳の例であって、図19に示した
二つの射出窓をこれらの中間位置で代表させたものであ
る。図20(A)は比較的撮影画面に近い場合、図20
(B)は絞り像の面156と一致した場合、図20
(C)は比較的撮影画面から遠い場合を示している。こ
れらの射出瞳を通った光束が図中160から168で示
した実線で、最も内側がFナンバー(口径比)5.6中
間がFナンバー4、最も外側がFナンバー2.8の例で
ある。尚、図は分かり易くするために縦方向を拡大して
示している。絞り像面156に於いて、測距光束155
と上記の射出瞳を通った光束との共通領域を調べれば測
距光束のケラレ具合いを知ることが可能である。
【0057】但し、先に説明したように、測距光束は拡
散板を通っているため瞳面での強度分布は均一ではな
い。そこで、この強度分布をも含めて、ケラレ具合いを
さらに詳しく知るため、図19と同様に絞り開口像の投
影面に注目して、この面に於ける測距光束と撮影光束と
の関係を示したのが図21である。図の(A)〜(C)
は、図20(A)〜(C)に対応し、図21(A)は射
出瞳位置が比較的撮影画面に近い場合、図21(B)は
絞り像の面156と一致した場合、図21(C)は比較
的撮影画面から遠い場合を示している。
【0058】図に於いて、点180が撮影レンズの光軸
169に相当する位置であり、181は、一対の測距光
束のうち、簡単のため一方の広がりのみを表したもの
で、点の大きさが有効光束の密度を表わしている。測距
光束181に重ねて描かれた円183〜191は撮影レ
ンズの射出瞳であり、最も内側がFナンバー5.6、中
間がFナンバー4、最も外側がFナンバー2.8であ
る。実際の測距光束は、軸182に対して線対称な位置
にも分布しており、測距光束のケラレは、軸182に対
して対称な形状である。
【0059】図20、図21によれば、撮影光束が明る
いほど、さらに、絞り開口像の投影面156と射出瞳面
が近いほど測距光束はケラレにくいということが理解さ
れる。
【0060】さらに、測距視野を変化させた場合の様子
を示したのが図22である。ここでは、図15に示した
測距視野104iに入射する光束について説明する。
【0061】図に於いて、一点鎖線169は撮影レンズ
の光軸、破線156は絞り開口像の投影面であり図20
と同様である。破線200はこの測距視野での測距光束
で、撮影レンズの射出瞳157、158、159を通っ
た光束が、それぞれ201から209で示した実線で示
されている。最も内側がFナンバー5.6、中間がFナ
ンバー4、最も外側がFナンバー2.8の例である。
【0062】図20と図22とを比較することにより明
らかなように、測距視野の位置がいずれの場合にも、射
出瞳径が小さいほど、また、射出瞳位置が絞りの像が形
成されている面から離れるほど、測距光束のケラレる割
合は大きくなるが、その程度は、測距視野の位置が撮影
レンズの光軸169に近いほど小さい。
【0063】以上に示したような測距光束のケラレのた
め、光電変換素子上の一対の像は結像状態に応じて極め
て特徴的な形状となり、その形状は射出瞳径、射出瞳位
置、測距視野位置、それから、再結像レンズの収差の関
数となる。このボケ像の形状は従来の測距演算に対して
不都合を生じ、測距精度を維持するためには、何らかの
修正手段を必要とする。尚、ここで撮影レンズの収差が
考慮されないのは、一般に再結像レンズが一枚のレンズ
で構成されるために、そこで発生する収差が撮影レンズ
で発生する収差に比べてきわめて大きいという理由から
である。
【0064】次に本実施例いおいてボケ像の修正原理に
ついて説明する。一般に、光学系による物体像は、その
光学系の特性で決まる点像と物体の輝度分布との畳み込
み積分として与えられる。点像は光学系のインパルス応
答に相当し、このインパルス応答のフーリエ変換である
伝達関数を元に、適応した逆フィルターを作成して点像
に対して作用させれば、点像を元の点に復元することが
できる。また、逆フィルターを一般の物体像に作用させ
れば元の物体の輝度分布が得られる。これをここで説明
する焦点検出光学系について当てはめて考えると、光電
変換素子上に形成される被写体像は点像と被写体の輝度
分布との畳み込み積分であり、さらに、適当な逆フィル
ターでもとの被写体輝度分布に戻すことが可能であると
言うことである。
【0065】ただし、焦点検出は相対的な像の間隔を調
べることで行われるため、光電変換素子は一次元のライ
ンセンサーである。従って、センサーの出力に対して行
なう像データの修正は、先に説明した点像を画素列に直
交する方向に積分して得られる線像の修正として考えれ
ばよい。また、ここで必要になるボケ像の修正では必ず
しも線像を完全な線にまで戻す「復元」が必要というわ
けではなく、測距光束のケラレによって生じた左右非対
称な線像を少なくとも対称な形に戻せれば、対となる二
像の相対距離を求めることが可能となる。
【0066】次に、図を用いてさらに詳しく説明する。
図23及び図24は、ボケ像とその修正フィルターで、
(A),(B),(C)はそれぞれ修正フィルター、像
データ、修正された像データである。焦点検出光学系に
よって形成される一対の二次物体像を、それぞれOA
(i),OB(i),修正像データをA(i),B
(i)として表わしている。測距光束は拡散板を通して
再結像光学系に取り込まれるため、撮影レンズの開放F
ナンバー(口径比)によってはケラレを生じ、その結果
左右非対称になった線像が図(B)である。二つの測距
光束のケラレ方は、撮影レンズの光軸に対して対称であ
るため、それらの線像は丁度裏返しの関係になる。ま
た、図のように線像がある程度の広がりを持つのは撮影
レンズがデフォーカスしている状態であり、二つの像の
距離は合焦状態とは異なっている。図23(B)の像O
A(i)が左に、図24(B)の像OB(i)が右にそ
れぞれ偏って描かれているのはこのような理由からであ
る。さらに、測距光束がケラレていないときに比べて、
二像の間隔は狭くなっており、このことは、後述する像
ずれ敏感度の演算に於いて考慮する必要がある。
【0067】さて、この線像を修正するためのフィルタ
ーが図(A)である。図に於いてFOFは修正フィルタ
ーの横軸の原点で、後で説明する修正フィルターの反転
のためにも用いる、即ち演算手段には、第1の信号に対
してフィルター処理を行なう第C1の処理過程と、第2
の信号に対してフィルター処理を行なう第C2の処理過
程とを有し、第2の処理過程に於いて用いられるフィル
ターは第1の処理過程で用いたフィルターを反転させて
得られる特性より成っていることである。
【0068】また、AXXはフィルター成分の値の原点
を示している。前述のように二つの線像が裏返しの関係
になっているため、図23(A)のフィルターと図24
(B)のフィルターも裏返しの関係にある。従って、カ
メラ内にはどちらか一方の形状が格納されていればよ
く、後述する原フィルター情報を効率的に用いることが
できる。また、この修正フィルターの形状は、線像の非
対称性を取り除くとともに、修正像があまり元の線に近
づき過ぎないよう配慮されている。と言うのは、線に近
いところまで戻すような修正フィルターには高い周波数
を極めて大きく増幅する特性を持たせる必要があり、光
電変換素子の熱雑音によるランダムノイズのうち特に高
周波成分に対して弱いためである。元の像データに重畳
している高周波ノイズを拡大し過ぎると、二像の相関性
が低下し測距精度が低下する。このフィルターの形状に
ついて図23で説明すると、像OA(i)の右側に引い
た裾を引き締める作用をおもにフィルターの右側が、左
側の短い裾をもっと伸ばす作用をおもにフィルターの左
側が受け持っている。後の説明を助けるため、この復元
作用部をZR部(例えば図23(A))のFOFよりも
右側部分)、対する拡散作用部をZS部(例えば図23
(A))のFOFよりも左部分)と呼ぶことにする。Z
S部を正のみの成分で、ZR部を正及び負の成分で形成
することによって上記のように像を線にまで復元するこ
となく、左右の裾の引き方を均等にしている。
【0069】即ちフィルターは原点を挟んで一方には正
の成分のみを、他方には正及び負の成分を有しているこ
とである。
【0070】像修正を行なうためには、図23、図24
(B)に示した線像と(A)に示した修正フィルターと
の畳み込み積分を行なう。この結果が、(C)に示す修
正像データである。図に示すとおりそれぞれの修正像デ
ータが左右対称形となることによって図23(C)、図
24(C)に示した像の相対距離を精度よく演算するこ
とが可能になった。
【0071】以上は、まず、線像の修正について説明し
た。次に、線像と被写体輝度分布との畳み込み積分であ
る一般の被写体像の修正について説明する。図25はこ
の説明図で、被写体として白−黒のエッジを選び測距視
野の中央に置いた状態を示している。図(A)は対とな
る二次像の像データを重ねて描いた図、図(B)はその
修正像データである。実線で描いた像データ図23
(B)の点像の重ね合わせとして、破線で描いた像デー
タは図24(B)の点像の重ね合わせとして形成されて
いる。従って、点像の形状が異なっているのであるか
ら、当然二つの像の形状は異なった物となる。
【0072】このような像データに対して、修正フィル
ターをそれぞれ作用させた結果が図(B)である。実線
の像データには図23(A)に示した修正フィルター
を、破線の像データには図24(B)に示した修正フィ
ルターを掛けている。この結果、二つの像の形状は同一
になり像同志の距離を正確に計算することが可能であ
る。
【0073】また、撮影レンズのデフォーカスが小さい
ときには、図26に示すような像データが得られる。点
像の大きさが小さいために像はシャープで、しかも二つ
の像の相対距離が図25とは異なる。この場合には、撮
影レンズの一次結像面上のボケ像の大きさがデフォーカ
スにほぼ比例して変わることから、デフォーカスに応じ
て修正フィルターの横軸倍率を変えることで、図25の
場合と同様に像の修正が可能である。具体的には、図2
3(A),図24(A)のフィルターを横軸方向に圧縮
して用いれば、図26(B)の様な修正像が得られる。
これについては、後述するフローチャートの説明の中で
もう一度述べる。
【0074】図27は本発明を実施するのに適したカメ
ラの焦点検出装置の一例を示すブロック図である。
【0075】図中PRSはカメラの中央演算回路で、た
とえばCPU,RAM,ROM,ADC(A/Dコンバ
ータ)および入出力ポート等が配置された1チップマイ
クロコンピュータであり、前記のROM内にはAF制御
を含む一連のカメラの制御用ソフトウエアおよびパラメ
ータが格納されている。PRSは演算手段の一部を構成
している。
【0076】DBUSはデータバス、SHTは前記中央
演算回路PRSより制御信号CSHTが入力している間
データバスDBUSを介して入力するデータを受け付
け、そのデータに基づいて不図示のシャッタ先幕及び後
幕の走行制御を行うシャッタ制御回路、APRは制御信
号CAPRが入力している間データバスDBUSを介し
て入力するデータを受け付け、該データに基づいて不図
示の絞り制御機構を制御する絞り制御回路、SWSはレ
リーズスイッチ、連写モードスイッチ並びに各種情報設
定用のスイッチ、後述の画面略中央部のみを考慮する焦
点検出を行うか画面の略中央部及び周辺部を共に考慮す
る焦点検出を行うかを選択するスイッチ等のスイッチ群
である。LCOMは制御信号CLCOMが入力している
間データバスDBUSを介して入力するデータを受け付
け、該データに基づいてレンズ制御回路LNSUとシリ
アル通信を行うレンズ通信回路でクロック信号LCKに
同期してレンズ駆動用データDCLをレンズ制御回路へ
伝送し、それと同時にレンズ情報DLCがシリアル入力
する。
【0077】BSYは不図示の焦点調節用レンズが移動
中であることをカメラ側に知らせる為の信号で、この信
号が発生しているときは、前記シリアル通信は行われな
い。SPCは測光回路であり、前記制御回路からの制御
信号CSPCを受け取ると測光出力SSPCを中央演算
回路PRSへ送る。測光出力SSPCは中央演算回路P
RS内部のADCでA/D変換され、前述のシャッタ制
御回路SHT及び絞り制御回路APRを制御するための
データとして用いられる。
【0078】220は焦点検出用の補助光を投射するた
めの投光回路で中央演算回路PRSからの制御信号AC
T及び同期クロックCKによりLEDを駆動し発光させ
る。
【0079】SNSは一対のラインセンサ108a1,
108a2・・・108j1,108j2を複数有する
測距用受光回路で、それぞれの測距用受光回路は画面の
各検出視野104a〜104jに対応した位置の像を受
光するように構成されている。SDRは前記中央演算回
路PRSより入力する信号STR,CKに従って各受光
回路1〜5を制御するセンサ駆動回路で、制御信号φ
1,φ2,CL,SHにより受光回路1〜5を制御し、
選択信号SEL1〜SEL5により受光回路1〜5のい
ずれか1つを選択して、その選択した受光回路から得ら
れる像信号SSNSを中央演算回路PRSに送信する。
【0080】図28はレンズ制御回路LNSUがレンズ
の焦点距離情報、距離環情報を得る様子を示したもの
で、ブラシで距離環の位置、ズーム環の位置デフォーカ
ス量対焦点調節レンズ繰り出し量の係数などが、5ビッ
トの信号に変換されてレンズ制御回路LNSU内のCP
Uで演算され、レンズ情報DLCとしてレンズ通信回路
LCOMを介して中央演算回路PRSに入力される。な
お、この場合の距離環の位置情報は直接合焦演算に使用
するわけではないので、それほどの精度は必要としな
い。
【0081】上記構成によるカメラの動作について、図
29のフローチャートにしたがって説明する。
【0082】不図示の電源スイッチがオンとなると、中
央演算回路PRSへの給電が開始され、PRSはROM
に格納されたシーケンスプログラムの実行を開始する。
【0083】図29は上記プログラムの全体の流れを表
すフローチャートである。上記操作にてプログラムの実
行が開始されると、ステップ001を経てステップ00
2において、レリーズボタンの第1段階押圧によりオン
となるsw1の状態検知がなされ、sw1オフの時には
ステップ003へ移行して、PRS内のRAMに設定さ
れている制御用のフラグ、変数を全てクリアし、初期化
する。上記ステップ002、003は前記sw1がオン
となるか、或は電源スイッチがオフとなるまで繰り返し
実行される。sw1がオンすることによりステップ00
2からステップ011へ移行する。ステップ011では
後述するタイマ割り込みの割り込み動作を許可する。こ
れによりステップ012以降のステップ中で定期的にタ
イマ割り込み動作が実行され、種々の状態検知がなされ
る。
【0084】ステップ012では露出制御のための「測
光」サブルーチンを実行する。PRSは測光用センサS
PCの出力SSPCをアナログ入力端子に入力し、A/
D変換を行ってそのディジタル測光値から最適なシャッ
タ制御値、絞り制御値を演算してそれぞれをRAMの所
定アドレスへ格納する。そして、レリーズ動作時にはこ
れら値に基づいてシャッタ及び絞りの制御を行う。
【0085】続くステップ014は像信号の入力とデフ
ォーカス量の演算を行うサブルーチンで、PRSはセン
サ装置SNSから像信号の入力を行った後、この像信号
に対してフィルター処理を行い、像ずれ方式に基づいた
所定の演算を施して撮影レンズのデフォーカス量を出力
する。このステップの具体的な動作については後で詳述
する。
【0086】ステップ015は上記検出されたデフォー
カス量DEFに基づいてレンズ駆動を行うサブルーチン
で、これについての詳細は後述する。
【0087】ステップ016ではステップ011にて許
可したタイマ割り込みを禁止、以降のステップ017〜
019で割り込みが入らないようにする。ステップ01
7ではレリーズ釦の第2段階押圧によりオンするsw2
の状態検知を行い、オフの場合はステップ018へ、オ
ンの場合はステップ019へ移行する。ステップ01
8、019のAFFLGは上記ステップ012〜015
のAFがsw1のみオンによる状態下で完了したか、或
はsw2もオンの状態下で完了したかを規定するフラグ
である。従ってsw2がオフの時、すなわちsw1のみ
がオンでAFが完了した場合には、AFFLGに「0」
が格納され、sw2がオン状態でAFが完了した場合に
は、AFFLGに「1」が格納される。ここでは、まず
sw2がオフで、AFFLGが「0」とする。
【0088】以上のステップ002、011〜018が
sw1のみオン状態でのAFであるが、次に該フロー中
のステップ012〜015中に入るタイマ割り込み動作
について説明する。
【0089】ステップ021のタイマ割り込みは、定期
的にsw2、チャージ・給送状態及びAF履歴をモニタ
して、レリーズ動作に移行すべきか否かを検知する割り
込み機能で、ステップ012〜015実行中に例えば5
msec毎に割り込みが行われる。
【0090】以下各ステップについて説明する。
【0091】ステップ021を経由してステップ022
ではsw2の状態を判別し、オフならステップ023に
て割り込みリターンする。すなわちsw1のみオンでA
Fを繰り返している最中は5msec毎に該割り込みが
行われても、sw2がオフなので、直ちにリターンして
しまう。
【0092】ステップ022にてsw2がオンの時はス
テップ024へ進み、スイッチSWCHの判別を行う。
該スイッチSWCHがオフである場合は、既にレリーズ
が行われた後のチャージ・給送動作中であるので、まだ
レリーズは出来ない。従ってステップ023にてリター
ンし、AF動作を継続すると共に、チャージ動作も継続
する。
【0093】ステップ024にてスイッチSWCHがオ
ンならチャージ・給送が完了したので、ステップ025
にてチャージ・給送停止信号を出してMTR1を止め、
ステップ026へ移る。
【0094】ステップ026ではフラグAFFLGの判
定を行う。AFFLG=1ならsw2オンの後、少なく
ともAFは1回完了しているので、ステップ027のレ
リーズ動作へ移行する。AFFLG≠1すなわち「0」
の時はsw2がオンになってからまだAFが1回完了し
ていないので、ステップ023にてリターンし、レリー
ズ動作は行わない。
【0095】続いてステップ028にてAFFLGを
「0」にリセットしてステップ029にてチャージ・給
送の開始を行う(これはMTR1の回転により行う)。
そしてチャージ・給送の開始を行いながらステプ002
に戻り、ステップ011より次の焦点検出動作を開始す
る。
【0096】図30に「AF」サブルーチンのフローチ
ャートを示す。
【0097】まず、ステップ402に於いて、全ての測
距視野の測距情報に従って焦点調節を行なう全視野検出
モードか、あるいは、画面中央部の測距視野のみで焦点
調節を行なう特定視野検出モードかの判断を行なう。全
視野検出モードであればステップ403に移行し、特定
視野検出モードであればステップ405に移行する。
尚、この検出モードの設定は、図27に示したスイッチ
SWSによって撮影者が行なう。
【0098】ステップ403では、SPFをリセット
し、続くステップ404にて検出測距視野として全ての
測距視野を設定する。また、ステップ405では、SP
Fに1をセットし、続くステップ406にて検出測距視
野として図15に示した測距視野104cと104hを
設定する。
【0099】ステップ404とステップ406に続くス
テップ407では、図27に示したセンサー駆動回路S
DRを介してラインセンサーSNSが駆動され、出力さ
れた検出測距視野のアナログ像信号はA/D変換の後、
RAM内の所定アドレスに格納される。
【0100】ステップ408では、前のステップでRA
Mに格納された像信号を基にデフォーカス検出が行なわ
れる。このサブルーチンの詳細については後述する。
【0101】ステップ409では設定された全ての測距
視野についてデフォーカス検出が不能かどうかを調べ、
そうであれば、ステップ410に移行しサーチ動作や検
出不能表示等の焦点検出不能処理を行なう。また、どれ
かの測距視野が焦点検出可能であればステップ412に
移行する。
【0102】続くステップ412では、ステップ403
及び405で設定したSPFの状態を調べ、ゼロであれ
ば、ステップ413に移行し、1であればステップ41
5に移行する。
【0103】ステップ413では、検出可能であった測
距視野のうち最も近距離の被写体を検出した測距視野を
選択し、続くステップ414に於いて、DEFにこの最
近点のデフォーカス量を格納する。また、ステップ41
5では、検出可能であった測距視野の平均デフォーカス
を算出し、ステップ416に於いてDEFにこの平均デ
フォーカスを格納してステップ418にてサブルーチン
をリターンする。
【0104】図31に「焦点検出」サブルーチンを示
す。
【0105】デフォーカス検出サブルーチンでは、まず
ステップ502に於いて検出測距視野に設定されたすべ
ての測距視野についてデフォーカス演算が終了したかど
うかを調べ、終了していれば、ステップ503に移行し
てサブルーチンをリターンする。また、まだデフォーカ
ス演算が済んでいない測距視野がある場合には、ステッ
プ504に移行する。
【0106】このステップ504では、新たな測距視野
をデフォーカス演算の対象に設定し、続くステップ50
5に於いて、前のステップで設定された演算対象測距視
野のデフォーカス量を演算し、ステップ502へと移行
する。デフォーカス演算の詳細については後述する。
【0107】図32に「レンズ駆動」サブルーチンのフ
ローチャートを示す。
【0108】このサブルーチンが実行されると、図32
のステップ202においてレンズと通信して、2つのデ
ータ「S」「PTH」を入力する。「S」は撮影レンズ
固有の「デフォーカス量対焦点調節レンズ繰り出し量の
係数」であり、例えば全体繰り出し型の単レンズの場合
には、撮影レンズ全体が焦点調節レンズであるから「S
=1」であり、ズームレンズの場合には各ズーム位置に
よって「S」は変化する。「PTH」は焦点調節レンズ
LNSの光軸方向の移動に連動したエンコーダENCF
の出力1パルス当りの焦点調節レンズの繰り出し量であ
る。
【0109】従って焦点調節すべきデフォーカス量DE
F,上記S,PTHにより焦点調節レンズの繰り出し量
をエンコーダENCFの出力パルス数に換算した値、い
わゆるレンズ駆動量FPは次式で与えられることにな
る。
【0110】FP=DEF×S/PTH ステップ203は上式をそのまま実行している。
【0111】ステップ204ではステップ203で求め
たFPをレンズFLNFに送出して焦点調節レンズ(全
体繰り出し型単レンズの場合には撮影レンズ全体)の駆
動を命令する。
【0112】次のステップ205で、レンズFLNSと
通信してステップ204で命令したレンズ駆動量FPの
駆動が終了したか否かを検知し、駆動が終了するとステ
ップ206へ移行して「レンズ駆動」サブルーチンをリ
ターンする。
【0113】図33に「レリーズ」サブルーチンのフロ
ーを示す。
【0114】ステップ302ではカメラのクリックリタ
ーンミラーのアップを行う。これは図27に示したモー
タ制御回路を介して不図示のミラー駆動用モータを制御
することで実行される。
【0115】次のステップ303では先のステップ01
2の「測光」サブルーチンで既に格納されている絞り制
御値をレンズFLNSへ送出して、該レンズFLNSに
絞り制御を行わせる。
【0116】ステップ304では先のステップ302、
303でのミラーアップと絞り制御が既に終了している
か否かを検知する。ミラーアップはミラーに付随した不
図示の検知スイッチにて確認することができ、絞り制御
は、レンズFLNSに対して所定の絞り値まで駆動した
か否かを通信で確認する。
【0117】いずれかが未完了の場合には、このステッ
プ304で待機し、引き続き状態検知を行う。両者の制
御が確認されると、ステップ305へ移行する。この時
点で露光の準備が整ったことになる。
【0118】ステップ305では先のステップ012の
「測光」サブルーチンで既に格納されているシャッタ制
御値にてシャッタ制御を行い、フィルムを露光する。
【0119】シャッタ制御が終了すると、次のステップ
306では、レンズFLNSに対して絞りを開放状態に
するように命令を送り、引き続いてステップ307でミ
ラーダウンを行う。ミラーダウンはミラーアップと同様
に不図示のミラー駆動用モータを制御することで実行さ
れる。
【0120】次のステップ308ではステップ304と
同様にミラーダウンと絞り開放制御が完了するのを待
つ。ミラーダウンと絞り開放制御が共に完了するとステ
ップ309へ移行してリターンする。
【0121】以上のフローを改めて図29にて概説す
る。
【0122】先ずsw1のみオンの時にはステップ00
2、011〜017、018が繰り返し実行される。そ
してステップ012〜015実行中は5msec毎にス
テップ021以降の割り込みが行われるが、ステップ0
22にてsw2がオフと判定され、すぐにリターンして
しまう。
【0123】上記サイクル中にsw2がオンされると、
sw2オン後の最初のタイマ割り込みにてステップ02
2でオンと判定され、ステップ024へ行く。該フロー
はレリーズ1回目を想定しているので、当然のことなが
らチャージ・給送は完了状態を保っており、ステップ0
24でスイッチSWCHオンと判定され、ステップ02
5へ行くが、ここでステップ025の実行は無意味であ
り、ステップ026へ行く。ステップ026に最初に到
達した時点ではフラグAFFLGは「0」であり、ステ
ップ023にてリターンされてしまう。そして、AFと
タイマ割り込みを交互に続け、AFが完了するとステッ
プ017からステップ019へ移り、AFFLG「1」
が格納されてステップ002へ戻る。そしてステップ0
11からステップ012に移った直後の最初のタイマ割
り込みにて今度はステップ022〜026へ達し、ステ
ップ026でAFFLG=1と判定されてステップ02
7のレリーズへ移ることが許容される。
【0124】レリーズ動作終了後はAFFLGを「0」
にリセットし、ステップ026にてチャージ・給送を開
始させながらステップ023へ戻り、ステップ011か
ら012へ移って次のAFを開始する。
【0125】sw2オン状態が継続されて間もない時の
タイマ割り込みでは、スイッチSWCHはオフ、AFF
LGは「0」なので、AFが繰り返される。そしてスイ
ッチSWCHが先にオンとなったらチャージ・給送を停
止してフラグAFFLGが「1」すなわちAFが1回完
了するのを待ち、AFFLGが「1」になった後にレリ
ーズ動作を行う。
【0126】一方フラグAFFLGが「1」になるのが
先であれば、AFを繰り返しながらスイッチSWCHが
オンとなるのを待ち、該スイッチSWCHがオンとなっ
たら、不図示のフィルム給送用モータを止めてレリーズ
動作を開始する。
【0127】図34、図35は「デフォーカス演算」サ
ブルーチンのフローチャートである。まずこのサブルー
チン内で使われる相関演算について説明してから、処理
過程の詳細を説明する。
【0128】一対のセンサ列より出力される像信号から
像ずれ量を検出する信号処理方法としては、特開昭58
−142306号公報、特開昭59−107313号公
報、特開昭60−101513号公報などで開示されて
いる。具体的には、センサ列を構成する画素数をNと
し、i番目(i=0,・・・,N−1)のセンサ列から
の像信号をA(i),B(i)とするとき
【0129】
【数1】 あるいは
【0130】
【数2】 なる式を、k1 ≦k≦k2 について演算する。尚Mは
(M=N−|k|−1)で表される演算画素数であり、
又kは相対変移量と呼ばれ、k1 ,k2 は通常−N/
2,N/2にとらえることが多い。ここでmax{a,
b}なる演算子はa,bの内大なるものを抽出すること
を表し、min{a,b}なる演算子はa,bの内小な
るものを抽出することを表す。従って、前記(1)、
(2)式における頁X1 (k),X2 (k),Y1
(k),Y2 (k)は広義の相関量と考えることができ
る。更に前記(1)、(2)式を詳細に見ると、X1
(k),Y1 (k)は現実には(k−1)変位における
上記夫々の定義による相関量を、X2 (k),Y2
(k)は(k+1)の変位における相関量を、それぞれ
表している。それゆえ、X1 (k),X2 (k)の差で
ある評価量X(k)は相対変位量kにおける像信号A
(i),B(i)の相関量の変化量を意味する。
【0131】X1 (k),X2 (k)なる相関量は上記
定義から明らかなように2像の相関が最も高いときに最
小となる。よってその変化量であるX(k)は相関最高
のときに「0」で、且つ傾きは負となるはずである。と
ころがX(k)は離散データであるから、実際には、 X(kp)≧0,X(kp+1)<0 (3) 且つX(kp)−(kp+1)が最大なる相対変位の区
間〔kp・kp+1〕に相関量のピークが存在すると考
えて、
【0132】
【数3】 の補間演算を行うことにより、画素単位以下の像ずれ量
PRを検出することができる。
【0133】一方、Y1 (k),Y2 (k)なる相関量
は上記定義より2像の相関が最も高いとき、X1
(k),X2 (k)とは逆に最大となる。よってその変
化量であるY(k)は相関最高のときに「0」で、且つ
傾きは正となるはずである。Y(k)もX(k)と同様
に Y(kp)≦0,Y(kp+1)>0 (6) で且つY(kp)−Y(kp+1)が最大のとき
【0134】
【数4】 の補間演算を行うことにより、画素単位以下の像ずれ量
PRを検出することができる。
【0135】また、X(k),Y(k)のいずれの焦点
評価量を用いても像ずれ量の検出は可能であるが、特開
昭60−101513号公報からわかる様に、|X(k
p)−X(kp+1)|>|Y(kp+1)−Y(k
p)|の時には焦点評価量X(k)を、|X(kp)−
X(kp+1)|>|Y(kp+1)−Y(kp)|の
時には焦点評価量Y(k)を用いて像ずれ量PRを求め
た方がS/N的に精度が良い。
【0136】さて、図34、図35のフローチャートに
戻って説明を進める。ステップ100は本実施例では第
A1の処理過程を示す。ステップ100〜105では、
相対変位量kを「−20〜20」の範囲内で変えた時の
焦点評価量X(k)を求めている。ここで相対変位量k
を−20から20の範囲としているのは、センサ列の画
素数を「40」と仮定しているからであるが、この処理
対象画素範囲は使用される撮影レンズの焦点距離に応じ
て可変としても良い。
【0137】まず、ステップ150では前述した測距光
束のケラレの影響を排除するために像の修正を行う。こ
の「像修正」サブルーチンについては後で詳述するが、
像修正後の像データは、一対の像の相似正を取り戻し、
ここに説明する相関演算の精度を極めて高くしている。
【0138】ステップ101ではM=39−|k|とい
う式で演算画素数Mを計算する。演算画素数Mは相対変
位量kに応じて可変であり、kの絶対値が大きい程小さ
くなる。これは相対変位量kが大きくなるにつれて対応
するセンサの出力が端部から欠落していくからである。
ステップ102で相対変位量kの符号(正か負か)を調
べ、次いでその符号に応じてA像、B像の演算を開始す
る先頭の画素位置PA,PBをステップ103或いは1
04で計算する。ステップ105では焦点評価量X
(k)の演算を行う。
【0139】ここで前記ステップ100〜105での処
理過程を図36を用いて説明する。図36(A)は2つ
の像信号A(i),B(i)を表している。図36
(B)はk=−20における相関演算のセンサ列の対応
関係を表しており、この時M=39−|20|=19
で、PAは「0」,PBは「20」である。
【0140】即ち相対変位量kは負の値であるのでB像
がk画素(−20画素)だけ相対的に左側へ変位してい
る。この対応関係から更にB像を1画素左側へ変位した
対応関係で演算したのがX(−20)を求める場合の式
の第1項に、逆にA像を1画素左側へ変位した対応関係
で演算したのが第1項に、それぞれ相当する。
【0141】この第1項、第2項でA像、B像を各1画
素ずつ左へ変位して演算するため、前記演算画素数Mを
計算する時、M=40−|k|としないでM=39−|
k|としている。図36(C)はk=0の時の対応関係
を表している。図36(D)はk=20における相関演
算の対応関係を表しており、前記図36(B)とは逆に
A像が20画素だけ左側に変位している。
【0142】前述のようにして演算した焦点評価量X
(k)をプロットしたものの一例を図37に示す。
【0143】図34、図35のフローに戻って、ステッ
プ110では焦点評価量X(k)から2像A,Bの画素
単位の像ずれ量のピーク値kpを検出する。以下、ステ
ップ120〜146で画素単位以下の像ずれ量PRを求
めるわけであるが、前記ステップ110で求めたピーク
値kpに基づいて、ステップ120〜135では2つの
焦点評価量X(k),Y(k)を再演算する。この理由
は二つある。一つは、kpを求める先のステップでは演
算画素数Mが相対変位量kに応じて可変であり、この様
に可変となる演算範囲にて演算した焦点評価量X(k)
を補間して画素単位以下の像ずれ量PRを求めると、演
算画素数Mが一致していないことに起因する誤差を含む
恐れがある。今一つは、焦点評価量X(k)のみで像ず
れ量PRを求めるよりも、X(k),Y(k)を組み合
わせて用いた方が先願(特開昭60−101513号公
報)にて述べた様に被写体の信号パターンによってはS
/N的にすぐれているからである。以上のことから、ス
テップ120〜135では、kpを基に演算画素数Mを
一定にし(ステップ120)、焦点評価量X(k),Y
(k)を同時に求めている。
【0144】なお、この演算画素数Mが一定の像ずれ演
算を再相関演算と呼ぶことにする。
【0145】「像修正」サブルーチンの中で詳しく説明
するが、先のステップ150において用いた像修正フィ
ルターは、相対変位量kの関数として決定されている。
しかし、今度の再相関演算は画素単位以下の像ずれ量を
求めるのが目的であるため、像修正フィルターもさらに
厳密に設定する必要がある。以下のステップ151〜1
53はこのための処理で、像修正フィルターを作製する
ための相対変位量kを画素単位以下の分解能で求めるも
のである。
【0146】ステップ151では、先のステップで求め
たkpからkz,z1 ,z2 を設定し、ステップ15
2、153でZD=|z1 −z2 |,PR´=kz+|
1 /ZD|なる計算をする。
【0147】尚、これは第A2の処理過程が相対変位量
に依らず固定のフィルターを用いてなされることを意味
する。これにより像ずれ量PR´を求めている。
【0148】さて、ステップ120ではM=38−|k
p|なる計算をして演算画素数Mの値を決める。次いで
ステップ130〜135では先に求めたkpを中心にし
て、k=kp−1,kp,kp+1の3点で焦点評価量
X(k),Y(k)を先と同様に演算する。尚前記演算
画素数Mを求める時、M=38−|kp|としたのは、
k=kp−1,kp,kp+1の3点のうち絶対値が最
大の相対変位量における演算画素数Mに固定するためで
ある。
【0149】尚ここでステップ130は第A2の処理過
程に相当している。
【0150】また、ステップ154では、先に説明した
PR´を用いて像修正フィルターを作製し、高い精度で
像を修正する。ステップ130の中でステップ154を
3回通過するが、この3回とも同じ修正フィルターで像
修正が行われる。
【0151】即ち本実施例では、該演算手段の中には、
該フィルター処理が該相対変位量に応じて決定されたフ
ィルターを用いてなされる第A1の処理過程と、これに
続いて実行され、相対変位量に依らずに固定のフィルタ
ーを用いてなされる第A2の処理過程とを有し、第A2
の処理過程に於けるフィルターは第A1の処理過程にて
得られた像ずれ量を基にして決定されるようにしてい
る。
【0152】次に、前述のようにして求めた焦点評価量
X(k),Y(k)から再び各々の焦点評価量による画
素単位の像ずれ量kpx,kpyを検出する(ステップ
140、141)。この時各焦点評価量X(k),Y
(k)のコントラスト評価量を概ね表すXD(XD=X
(kpx)−X(kpx+1))とYD(YD=Y(k
px+1)−Y(kpx))も求めておく。これは、非
合焦量が大きい時に、端部の像信号の情報も考慮された
コントラスト評価量XD,YDをみることであたかも相
対変位毎の端部の像信号をみているかの如き情報が得ら
れることに着目して該情報を用いるためであり、コント
ラスト評価量XD,YDが大きい程S/N的にすぐれて
いることになる。それ故ステップ142で二つのコント
ラスト評価量XD,YDを比較してXD≧YDの時は焦
点評価量X(k)を採用し(ステップ143)、XD<
YDの時は焦点評価量Y(k)を採用する(ステップ1
44)。ステップ145、146では、採用したZD
(z1 −z2 ),Kzを用いて PR=kz+|z1 /ZD| の補間演算を行い、画素単位以下の像ずれ量PRを求め
る。この過程を図38に示している。この図の様な例で
は、XD<YDの関係にあるので焦点評価量Y(k)が
採用され、画素単位以下の像ずれ量PR演算時にはkz
=kpy,z1=(kp),z2 =Y(kp+1)が用
いられる。なお、ステップ130の中では一定の修正フ
ィルターを用いてフィルター処理を行っているためkp
x,kpx+1における焦点評価量の意味合いは等し
い。
【0153】以上のステップで画素単位以下の像ずれ量
が求まると、これを基にデフォーカス量が算出できる。
ステップ155ではこの計算に必要となる像ずれ量→デ
フォーカス量変換係数αを求めるための「像ズレ敏感度
演算」サブルーチンを実行する。
【0154】ステップ156では、デフォーカス変換係
数α、PRおよび再結像光学系で決定される定数Gを用
【0155】
【数5】 なる計算によってこのサブルーチンの出力であるDEF
の値を決定し、続くステップ157でサブルーチンをリ
ターンする。
【0156】次に、「像修正」サブルーチンについて説
明する。前述したように、光電変換素子上の像は、被写
体と点像との光学的な畳み込み積分として与えられる。
即ち、光学系のインパルス応答が点像、入力が被写体の
輝度分布、出力が像と言うことである。一方、何らかの
デジタルフィルターを決定し、これと像信号との畳み込
み積分を行なえば、今度はソフト的にボケ像の形状を変
えることが可能である。そこで光学系の条件にあわせて
このデジタルフィルターを決め、二回の畳み込み積分の
総合的な結果が、左右対称の一つの伝達関数と等価にな
るようにすれば、たとえ測距光束のケラレのために線像
の像データが左右非対象であっても、フィルター処理後
の像データを対象形に戻すことができる。
【0157】特に、デフォーカス演算に於いては像の相
似性が重要であるので、ここで選ぶべきデジタルフィル
ターは光学系による非対称な線像を線に復元する逆フィ
ルターである必要はなく、左右対称な像に戻すフィルタ
ーであればよいことは前記の通りである。
【0158】図39に「像修正」サブルーチンを示す。
ボケ像の修正は、まず、撮影レンズの状態に応じて修正
フィルターを作成、次に、像データとこの修正フィルタ
ーとの畳み込み積分を行なって像を修正、最後にハイパ
スフィルターを通した後、正規化と言う順序で行なわれ
る。図39で説明したボケ像修正フィルターは測距光学
系の状態や撮影レンズの種類、その測距環位置、ズーム
位置によって形状が変わるため、その全てをROMに格
納しておくことはきわめて困難である。そこで、ROM
内にはフィルターの原データのみを格納することとし、
上記の条件に応じて、これを加工してから用いるように
している。
【0159】まず、ステップ601に於いて、撮影レン
ズの開放Fナンバー、射出瞳位置等の情報を取り込む。
【0160】ステップ603では、像修正フィルター作
成のためのパラメーターを決定する「修正フィルター倍
率」サブルーチンを実行する。先のステップで取り込ん
だ情報はこのサブルーチンの中で使用される。
【0161】続くステップ604では、前記パラメータ
ーにしたがって、像修正に実際に使われる修正フィルタ
ーを作るための「実行フィルター作成」サブルーチンを
実行する。ステップ603及びステップ604について
は後述する。
【0162】ステップ605に於いては、特に周辺の像
修正に生ずる誤差を最小に抑えるため、像データの周辺
値を両わきに延長し、仮想像信号を作る。図40はこの
説明図で、中央にある実際の像信号の両わきに像の周辺
値と同じレベルの信号をつけ加えた様子である。
【0163】後述するように、この処理は像の修正が像
修正フィルターとの畳み込み積分として行なわれるため
に必要となっている。即ち、ある画素の信号の修正は、
像修正フィルターの長さ分だけ離れた所にある修正前の
信号の影響を受けて行なわれるため、実際の像信号の端
部は厳密には修正し得ない。もし、常に完全な修正像の
みを焦点検出に用いるのであれば、デフォーカス演算に
用いる画素の周囲にはかなり多くの像修正用画素を追加
しておく必要がある。しかしながら、撮影レンズのデフ
ォーカスがある程度大きいとき、例えば5mm以上のと
きには像修正の精度はそれほど要求されない。そこで、
像信号全体に対しての修正処理動作が可能で、しかも像
修正の誤差を最小に抑えるために、図に示したように像
データの周辺値を両わきに延長しているわけである。
【0164】また逆に、デフォーカス量が数ミリ以下の
時には、像信号は厳密に修正される必要があるため、デ
フォーカス演算に使用する画素は、実際の像信号よりも
両端5画素ずつ少なく設定している。これは、あるデフ
ォーカスに適応する修正フィルターのフィルター長は、
デフォーカス量が小さくなるほど短くなると言う性質を
利用し、この程度の修正用画素を設けることにより、小
デフォーカスに対応したフィルターならば誤差を含まず
に作用させられると言う理由による。
【0165】このように本実施例では、該光電変換素子
はその出力が該評価量を求める演算に用いられる画素の
外側にこれらの画素に対する前記フィルター処理のため
に用いられる画素を有するようにしている。
【0166】尚、説明文中で単に像データA(i),B
(i)と言えば、デフォーカス演算範囲のデータを示し
ている。
【0167】次のステップ606では、先のステップ6
04で得られた像修正フィルターとステップ605で得
られた仮想像信号との間で畳み込み積分を行なう。この
処理によって像信号はあたかも測距光束のケラレがなか
った様な形状に戻され、二像の相似性が取り戻される。
「畳み込み積分」サブルーチンについては後で詳述す
る。
【0168】続くステップ607においては、像信号に
含まれる低周波成分を除去するためのハイパスフィルタ
ー処理を行なう。撮影レンズに強いスポット光が入射し
た場合には像信号に低周波のゴースト成分が含まれるこ
とがある。したがって、図34、図35で説明したデフ
ォーカス演算の精度を上げるためには低周波をカットす
ることが必要となるわけである。
【0169】図41(B)は図41(A)の像信号に低
周波成分が重畳した状態を表わしている。このような像
信号に対して、 HA(i)=−A(i−2)+2×A(i)−A(i+
2) A(i) : 修正された像データ HA(i): ハイパス処理された像データ i : センサーの画素位置 なるフィルター処理を施し、もう一度Ha(i)→A
(i)と置き直せば、図41(C)の様な像データとな
り、正確な像ずれ量の検出が可能である。
【0170】最後のステップ608では、像信号の正規
化して8bitデータとした後、ステップ609でサブ
ルーチンをリターンする。
【0171】次に図42〜図44を用いて該フィルター
処理は焦点検出されるべき結像光学系の口径比に応じて
決定されるフィルターを用いて行なわれること及び該フ
ィルター処理は焦点検出されるべき結像光学系の射出瞳
位置に応じて決定されるフィルターを用いて行なわれる
ことについて説明する。
【0172】図42に「修正フィルターの倍率」サブル
ーチンを示す。このサブルーチンは修正フィルターの原
フィルター情報から実際に像修正に用いる修正フィルタ
ーを作成するための前準備を行なうものである。具体的
には、次の「実行フィルターの作成」サブルーチンで用
いる横軸倍率1FGR、横軸倍率2FGL、縦軸倍率1
YGR、縦軸倍率2YGLを決定する。横軸倍率、縦軸
倍率とは、ROMに格納されている原フィルターを圧
縮、拡大して修正フィルターを作成するときの軸倍率で
ある。
【0173】まず最初に以下のステップで用いるFナン
バー(口径比)補正係数1〜4HVR,HVL,LV
R,LVL,瞳位置補正係数1〜4KVR,KVL,M
VR,MVLの一例を図43、図44に示しておく、F
ナンバー補正係数1〜4HVR,HVL,LVR,LV
Lは、撮影レンズの開放FナンバーFNOの関数であ
り、瞳位置補正係数1〜4KVR,KVL,MVR,M
VLは撮影レンズの射出瞳と予定結像面との距離PDの
関数である。これらの関係は測距光学系の光路中に挿入
された拡散板の拡散特性によって決定される。
【0174】では、図42のステップ702から説明す
る。このステップでは、図34、図35に示した「デフ
ォーカス演算」サブルーチンのステップ100(第A1
の処理過程)の中でこのサブルーチンがコールされたの
か、あるいは、ステップ130(第A2の処理過程)の
中でコールされたのかを判断する。ステップ100の中
でコールされたのであれば、ステップ703(即ち第B
1の処理過程)へ移行し、ステップ130の中で、即ち
再相関演算(第A2の処理過程)の中でコールされたの
であればステップ704(第B2の処理過程)に移行す
る。
【0175】即ち本実施例では該演算手段の中には、該
フィルター処理が該相対変位量に応じて決定されたフィ
ルターを用いてなされる第B1の処理過程と、相対変位
量に依らずに固定のフィルターを用いてなされる第B2
の処理過程とを有し、該第B1の処理過程と第B2の処
理過程のいずれかを選択する。選択手段を設けている。
【0176】ステップ703では修正フィルターのフィ
ルター長を決めるパラメーターであるMKFSに相対変
位量kを格納する。先に説明した「デフォーカス演算」
サブルーチンでkの値を変化させて像データをシフトさ
せているのは、k毎にあるデフォーカスを想定している
ことに他ならず、ここでは想定されたデフォーカスに基
づいて修正フィルターのフィルター長を設定するために
kを用いるわけである。一方、ステップ704では画素
単位以下の分解能のあるPR´を格納する。
【0177】このステップは再相関に於いてこのサブル
ーチンがコールされたときに実行されるため、この場合
には既に像ずれ量がほぼ分かっていることから、MKF
S=PR´とすることで、各相対変位量に対する修正フ
ィルターを固定としている。これは、より正確な修正フ
ィルターを掛けるとともに、図35の「デフォーカス演
算」サブルーチンのステップ146で画素単位以下像ず
れ量を求めるときに、相対変位量kの値によらず相関評
価量の重みを一定にし、「デフォーカス演算」サブルー
チンのステップ146で行なわれる直線補間の精度を向
上させるものである。
【0178】ステップ705に於いては、横軸倍率1F
GRと横軸倍率2FGLに想定する撮影レンズのデフォ
ーカスで決まるパラメーターNVを格納する。このパラ
メーターNVは図45に示すようにMKFS−FDLT
の関数である。ここでFDLTは、撮影レンズのデフォ
ーカスがゼロの時にも撮影レンズの収差や光束のケラレ
の為に像が非対称となる為にある程度の修正フィルター
を働かせるための補正項である。
【0179】即ち該フィルターは、該相対変位量がゼロ
の場合にも該第1と第2の信号を修正するようにしてい
る。
【0180】一般にはパラメーターNVは1以下の値を
とるようにし、原フィルターを拡大して実行フィルター
を作成することによる精度の低下を避けている。撮影レ
ンズのデフォーカスとボケ像の大きさは概ね比例するこ
とから、NVはMKFS−FDLTの絶対値にほぼ比例
した特性を有する。但し、特に再結像レンズで発生する
収差のために完全な比例と言うわけではなく、図45に
示した例では、僅かに二次の項を加えてこれを考慮して
いる。
【0181】ここで用いたFDLTについてもう少し説
明しておく。撮影レンズが合焦状態にあるときでも、測
距光束がケラレている場合には、光電変換素子上の点像
は左右対称形状にはならない。図46はこの状態の説明
図で、合焦状態に於ける光電変換素子上のスポットダイ
アグラムの一例である。同図の矢印方向が画素列の方向
であり、この方向に対して光量分布の非対称性が認めら
れる。FDLTを設定することによって、この非対称性
を取り除くことが可能となり、合焦時の僅かな像の不一
致をも補正可能である。FDLTの値は、撮影レンズ内
のROMに格納しておき、撮影レンズ−カメラボデー間
の通信により適宜マイクロコンピューター内のRAMに
取り込んで用いればよい。
【0182】次のステップ706では、横軸倍率1FG
Rに横軸倍率1FGR、測距視野位置PF、比例定数C
Vの積を格納し、横軸倍率2FGLには横軸倍率2FG
L、測距視野位置PF、比例定数CVの積を格納する。
これは、測距光束がケラレる程度が、撮影レンズの光軸
から測距視野までの距離に比例すると近似できることに
よる。
【0183】即ち該フィルター処理は焦点検出されるべ
き結像光学系の光軸から該光電変換手段によって決定さ
れる測距視野までの距離に応じて決定されるフィルター
を用いて行なわれるようにしている。
【0184】ステップ707では、横軸倍率1FGRに
横軸倍率1FGR,Fナンバー補正係数1HVR、瞳位
置補正係数1KVRの積を格納し、横軸倍率2FGLに
は横軸倍率2FGL,Fナンバー補正係数2HVL、瞳
位置補正係数2KVLの積を格納する。
【0185】また、縦軸倍率1YGRにFナンバー補正
係数3LVRと瞳位置補正係数3MVRの積を格納し、
縦軸倍率2YGRにFナンバー補正係数4LVLと瞳位
置補正係数4MVLの積を格納し、最終的な各補正係数
の値が確定する。
【0186】最後のステップ708ではサブルーチンを
リターンする。
【0187】次に図47に「実行フィルターの作成」サ
ブルーチンを示す。このサブルーチンでは、先の「修正
フィルターの倍率」サブルーチンで決定した軸倍率にし
たがって、原フィルターから修正フィルターを作成す
る。ROM内には2種の原フィルター格納されており、
MKFS−FDLTの正負によって使い分けるようにな
っている。これは、線像の形が撮影レンズの種類とは関
係なく主に再結像レンズによって決まり、しかも、前ピ
ンと後ピンとで大別することができるためである。言い
換えれば、再結像レンズの構成が、簡単な1枚玉で済む
ために、そこで発生する収差は、撮影レンズで発生する
収差よりもかなり大きいと言うことになる。
【0188】図48はこれを説明するための図で、被写
体距離を合焦位置の前後に振ったときのスポットダイア
グラムである。被写体の1次像を撮影レンズの光軸上の
3点に設定し、暗い撮影レンズを通して光電変換素子上
に到達する光線を追跡したものである。このように測距
光束にケラレがあると、前ピン状態に於いては点像の右
側が、後ピン状態に於いては点像の左側が欠落する。す
なわち、これは点像の裾の引きかたが、前ピンと後ピン
とで逆転することを意味している。さらに、前ピンと後
ピンとで点像の形状が全く異なったものとなるため、こ
れらに適合した修正フィルターは、裏返しても同じ形状
にはならないことも明かである。
【0189】図47を用いて「実行フィルターの作成」
サブルーチンを説明する。
【0190】ステップ802では、まず、MKFS−F
DLTの符号を調べる。そして、これが正かゼロであれ
ば、ステップ803に移行し、負であればステップ80
5に移行する。
【0191】ステップ803では、原フィルターにうち
図49(A)に示す「第1の原フィルター1」を選択
し、修正フィルターとしてRAMに格納する。続くステ
ップ804に於いては、FOFに10を格納する。ま
た、ステップ805では、原フィルターのうち図49
(B)に示す「第2の原フィルター2」を選択し、修正
フィルターとしてRAMに格納する。続くステップ80
6に於ては、FOFに30を格納する。尚、この原フィ
ルターは一組が41個の8bitデータよりなり、FO
Fとは、原フィルターデータの原点位置を示す変数であ
る。FOFを変数としているのは、原フィルターが、原
点からみて一方に長い形状となっているためである。
【0192】次のステップ807からステップ810は
前のステップで修正フィルターとしてRAMに格納され
た原フィルターデータを圧縮、拡大し、目的の修正フィ
ルターを作る部分である。
【0193】まず、ステップ807では、おもに裾を引
き締める作用を持つフィルターデータのZR部を横軸方
向にFGR倍する。次に、ステップ808に於いて、お
もに裾をもっと伸ばす作用を持つZS部を横軸方向にF
GL倍する。
【0194】このようにしてフィルター長が決定された
後、続くステップ809で、ZR部のデータを縦軸方向
にYGR倍に圧縮し、ステップ810で、ZS部のデー
タをYGL倍に圧縮する。尚、このとき原点FOFのデ
ータは圧縮の対象としない。
【0195】最後のステップ811ではこのサブルーチ
ンをリターンする。
【0196】このように本実施例においては該演算手段
は、第1の原フィルター情報から該フィルターを作成す
る第1の処理過程と、第2の原フィルター情報から該フ
ィルターを作成する第2の処理過程とを有し、さらに、
該第1の処理過程と。該第2の処理過程のいずれかを該
第1と第2の信号の相対変位量に応じて選択する選択手
段を設けている。
【0197】以上で修正フィルターが作成される。
【0198】このようにして本実施例では相対変位量に
応じて第1か第2の原フィルターを用いている。例えば
主に後ピンに対応した「フィルター1」と主に前ピンに
対応した「フィルター2」の二種類の原フィルターを用
いることによって、いかなる焦点状態でも適切な修正フ
ィルターを作ることが可能である。
【0199】また、「修正フィルターの倍率」サブルー
チンで説明したように横軸倍率1FGR,横軸倍率2F
GL、縦軸倍率1YGR、縦軸倍率2YGLを、撮影レ
ンズの開放FナンバーFNO、撮影レンズの射出瞳と予
定結像面との距離PD、測距視野位置PFの関数として
いるために、どんな撮影レンズが装着されたとしても各
測距視野に対して適切な修正フィルターを作成すること
が可能である。
【0200】「修正フィルターの倍率」サブルーチンで
説明した横軸倍率 1,2及び縦軸倍率1,2の変化か
ら、修正フィルターの形状がどのように変化するかを大
ざっぱに言えば、図43(B)、(C)に示したFナン
バー補正係数2、瞳位置補正係数1が、撮影レンズが明
るくなるにしたがってゼロに近づくために、像修正フィ
ルターのZR部の縦軸の値がゼロに近づき、一方ZS部
はフィルター長がゼロに近づいて、像修正能力が漸減す
るようになっている。
【0201】尚、このように二種類の原フィルターのど
ちらかを用いて像修正に用いる全ての修正フィルターを
作成するために、ROMに格納しておく必要のある情報
は極めて少量で済むと言う特徴もある。
【0202】次に図50に「畳み込み積分」サブルーチ
ンを示す。離散データを扱う畳み込み積分の一般式は、
二つの配列をD(i),E(i)として
【0203】
【数6】 で与えられ、S(i)がその出力である。ここで、D
(i)を像データ、E(i)を修正フィルターとおけ
ば、S(i)が修正された像データと言うことになる。
このサブルーチンでは、像データとして一対の二次像の
それぞれを設定し、先に説明したように、二つのボケ像
には撮影レンズの光軸に対する対像性があることから、
一方の像データに対しては、修正フィルターを裏返して
作用させ、それらの修正像を得る。
【0204】図50の「畳み込み積分」サブルーチンに
ついて説明する。一対の像データを像OA(i)、像O
B(i)と呼ぶことにする。
【0205】ステップ902即ち第C1の処理過程で
は、像OA(i)と「実行フィルターの作成」サブルー
チンで作られた修正フィルターF(i)との畳み込み積
分を行なう。前記のように、
【0206】
【数7】 なる演算を行なうことによって修正像A(i)が得られ
る。
【0207】ステップ903即ち第C2の処理過程で
は、像OB(i)と原点FOFに関して裏返した修正フ
ィルターF(−i)との畳み込み積分を行なう。
【0208】
【数8】 なる演算を行なうことによって修正像B(i)が得られ
る。このように、同一の修正フィルターを裏返して用い
ることにより、先に説明した「実行フィルターの作成」
サブルーチンに於いても一つのフィルターを作ればよか
ったわけである。したがって、修正フィルターを作成す
るための演算時間がほぼ半分に短縮される。また、RO
Mに格納する原フィルター情報も少なくする効果もあ
る。
【0209】ステップ904でこのサブルーチンをリタ
ーンする。
【0210】図51に「像ずれ敏感度」サブルーチンを
示す。このサブルーチンは、像ずれ量→デフォーカス変
換係数αを算出するものである。適切な修正フィルター
の形状は撮影レンズのデフォーカスだけでなく、測距光
束のケラレ具合いに応じて変わることから、この像ずれ
敏感度も同じく開放Fナンバー、射出瞳位置、測距視野
位置の関数となる。
【0211】即ち該像ずれ量に対してデフォーカス量変
換演算を施すことによって該結像光学系の結像状態を検
出する際、該像ずれ量に対してデフォーカス変換演算は
さらに焦点検出されるべき結像光学系の口径比又は射出
瞳位置又は、結像光学系の光軸から測距視野までを代表
する距離の関数となるようにしている。
【0212】まず、ステップ1001に於いて、MKF
S−FDLTの符号を調べる。そして、正またはゼロで
あればステップ1003に移行し、負であればステップ
1004に移行する。これは、使用している原フィルタ
ーによる分岐と言うことができる。
【0213】ステップ1003では、図43、図44に
示したFナンバー補正係数1〜4HVR,HVL,LV
R,LVL,瞳位置補正係数1〜4KVR,KVL,M
VR,MVL及び、測距視野位置PFを用いて、測距光
束にケラレのないときの像ずれ敏感度APを補正する。
その補正式は、 a=AP+PF×(H1×HVL×LVL×KVL×M
VL+H2×HVR×LVR×KVR×MVR) であり、H1,H2は修正フィルターの形状による補正
係数である。
【0214】同様にステップ1004では、修正フィル
ターの形状による補正係数H3,H4を用いた補正式 a=AP+PF×(H3×HVL×LVL×KVL×M
VL+H4×HVR×LVR×KVR×MVR) によって像ずれ敏感度を決定する。
【0215】最後のステップ1005では、このサブル
ーチンをリターンする。
【0216】このように、上記のような演算式に基づい
て像ずれ敏感度αを、撮影レンズの開放FナンバーFN
O、撮影レンズの射出瞳と予定結像面との距離PD、測
距視野位置PFの関数として各修正フィルター毎に用意
することにより、どんな撮影レンズが装着されたとして
も各測距視野に対して正確なデフォーカス演算が実行で
きる。
【0217】上式について説明する。像修正フィルター
の特徴は、図23を用いて説明したように、ZS部が像
の裾を伸ばす作用、ZR部が像の裾を引き締める作用を
有していることであった。像の移動と言う点に注目し、
これを考えれば、図23(A)のZS部、ZR部は共
に、図23(B)の線像に対してその重心を左側に移動
させるような作用があると言うことになる。また、図2
4(A)のZS部、ZR部は共に、図24(B)の線像
の重心を右に移動させる。したがって、このようなフィ
ルター処理によって二像の重心は互いに離れると言うこ
とがわかる。ただし、この場合、測距光束が外側からケ
ラレているために、もともとの像間隔が測距光束にケラ
レがないときに比べて近づいているのであるから、ここ
で二像が離れたと言っても、ケラレがない場合に近づい
たと言うことである。以上のようなフィルターの性質か
ら、像ずれ量をデフォーカス量に変換するためには、こ
の変換関数をさらに修正フィルターの関数とする必要が
あることが分かる。そこで、フィルターのZS部、ZR
部が持つ上記の性質から、像ずれ敏感度のフィルターに
よる補正項をZS部の作用とZR部の作用との和として
定義する。具体的には、像の修正に必要な修正フィルタ
ーの形状を決めるFナンバー補正係数、瞳位置補正係
数、測距視野位置を用いて行い、Fナンバー補正係数
2,4HVL,LVL,瞳位置補正係数2,4 KV
L,MVLの積とFナンバー補正係数1,3 HVR,
LVR,瞳位置補正係数1,3 KVR,MVRの積と
の和に測距視野位置PFを掛けたもので測距光束にケラ
レのないときの像ずれ敏感度APを補正すれば、その修
正フィルターに適した像ずれ敏感度を得ることができ
る。このような演算によって、 測距視野の位置が撮影レンズの光軸から離れるほど測
距光束がケラレ易くなること、 口径比が大きくなるほどケラレ易くなること、 撮影レンズの射出瞳位置が焦点検出光学系の設定瞳位
置から離れるほどケラレ易くなること、 のそれぞれを考慮した像ずれ敏感度が設定される。
【0218】以上でサブルーチンの説明を終わる。で
は、ここでもう一度、図34のデフォーカス検出の動作
について解説する。
【0219】焦点検出光学系の光路中、撮影レンズの予
定結像面上に拡散板があると、Fナンバーの小さい明る
いレンズに対して測距精度が向上する。しかし、このよ
うな焦点検出装置の搭載されたカメラにFナンバーの大
きい、暗い撮影レンズが装着された場合には、測距光束
のケラレが生じ、例えば、図52に示すような像データ
が光電変換素子の出力として得られる。
【0220】図52(A)〜(C)、図53(A),
(B)は撮影レンズの結像状態を、前ピン図52
(A),(B)→合焦(c)→後ピン図53(A),
(B)と変化させ、各状態での線像を示したものであ
る。図中OA(i),OB(i)が、一対の画素列から
得られた線像である。線像は撮影レンズと測距光学系と
の合成系のインパルス応答であるため、これを左右対称
形に戻すことにより、測距光学系で形成された一対の被
写体像の形状も相似形に戻すことができ、結果として二
像の相対間隔を知ることが可能になる。
【0221】図に示された線像は、一対の像が互いに裏
返しの関係にあり、さらに、その形状は前ピンと後ピン
で大別できる。また、線像の広がり具合いは、像ずれ量
にほぼ比例して変化するため、前ピン用、後ピン用のボ
ケ像修正フィルター図49(A),(B)をそれぞれ用
意し、フィルター長をそのときのデフォーカスに対して
適切になるように調節して作用させれば、線像を左右対
称形に戻すことができる。
【0222】さらに、像ずれ量が未知の段階で、像デー
タに対して修正フィルターを掛ける方法が図34、図3
5に示した「デフォーカス演算」サブルーチンである。
このサブルーチンでは、ステップ100の中で相対変移
量kの値を順次変化させ、kの関数である修正フィルタ
ーを用いて像修正を行ないながら、対となる二像の相関
評価量((1),(2)式)を求めている。
【0223】図54(A)〜(C),図55(A),
(B)は様々なkの値に対する修正フィルターの形状を
示す図であり、図54(A)〜(C),図55(A),
(B)はちょうど図52,図53の線像がそれぞれ適切
に修正されるようなフィルターの例である。ある一つの
線像に対して、このようなフィルターを順次作用させな
がら前記の相関評価量を求めるわけである。相対変位量
kが実際の像ずれ量と異なるときには像の修正も不適切
となるが、kの順次変化にともなって次第に実際の像ず
れ量に近づいて来ると、像修正も適切な状態に近づいて
行く。こうして、実際の像ずれ量に最も近いkにおいて
最良な像修正状態が得られる。したがって、相関評価量
がゼロとなる相対変位量kを見つけることは最適な像修
正フィルターを見つけることに他ならない。適切な修正
フィルターが作用したとき、修正された線像は図56
(A)〜(C),図57(A),(B)のようになり、
それぞれの像は十分に左右対称となる。この結果、一対
の像は相似形となり、二像の相対間隔を精度良く求める
ことが可能である。前にも述べたように、線像がこのよ
うに修正されれば、一般の被写体像も同様に相似形の二
像に修正される。
【0224】一方、相対変位量kの順次変化に於いて、
図53(B)に示した線像に対して不適切な修正フィル
ターが作用した状態を示したのが図58である。図58
(A),(C)は図55(B)の修正フィルターとは異
なる修正フィルターの例、図58(B),(D)はそれ
ぞれこれらの修正フィルターによる修正像である。この
ように、相対変位量kが二像のずれ量に対して大きく異
なるときには修正像の相似性がきわめて低下し、像の相
対変位に伴う相関評価量の変化を一層際立たせている。
【0225】図34、図35の「デフォーカス演算」サ
ブルーチンのステップ130では、補間処理で求めた画
素単位以下の相対変位量PR´を用いてさらに正確な修
正フィルターを作成し、今度は修正フィルターの形状を
固定したまま、最相関演算を行なって最終的な像ずれ量
を算出している。
【0226】また、測距光束のケラレ具合いを決定する
各種の条件から、これに適した修正フィルターを得るに
は、開放Fナンバー、射出瞳位置、測距視野位置の関数
として得られるFナンバー補正係数1〜4、瞳位置補正
係数1〜4、図43、図44を基に原フィルターの横
軸、縦軸を拡大あるいは縮小する(「実行フィルターの
作成」サブルーチン)。例えば図59は、Fナンバーの
小さい明るい撮影レンズが装着されたときのこれに対応
する修正フィルターを示す図で、まだ若干のケラレがあ
り、相対変位量が図57(B)と同じ場合を想定したも
のである。このフィルターは、原フィルターのフィルタ
ー長を相対変位量に対応させた後、ZR部を横軸方向に
拡大、縦軸方向に縮小、ZS部を横軸方向に縮小するこ
とで得ている。
【0227】以上の説明では、像修正を利用したデフォ
ーカス検出方法について光路中に拡散板を有する測距光
学系を例にとって説明したが、このデフォーカス検出方
法は、このような測距光学系に限って適用できるのでは
なく、他の様々な測距光学系に於いて応用可能である。
【0228】例えば、図1に示した測距光学系から拡散
板42を取り去った従来型の測距光学系に於いても、か
なり暗い撮影レンズが装着されて測距光束がケラレた場
合には、ここに示したデフォーカス検出が有効となる。
したがって、開放Fナンバーが5.6よりも明るい撮影
レンズに対して測距光束がケラレないように測距光学系
を構成し、F5.6かそれよりも明るい撮影レンズに対
しては従来方式の測距を行ない、他方、F5.6よりも
暗い撮影レンズが装着された場合には前記ように像修正
を行なったうえでデフォーカス検出する、といった組合
せも考え得る。
【0229】さらには、このような従来型の測距光学系
で、図3に示されたような絞りを有している場合には、
測距光束がケラレていなくても厳密な意味では、二対に
ボケ像の形状が一致しない。と言うのは、絞り開口48
a,48bの形状が一方の開口を平行移動したときに他
方に重なるようになっていないことに起因し、ボケ像が
あたかも矩形の開口の外側が円弧上にケラレたかのよう
な振舞いをするためである。したがって、先に説明した
とほぼ同様のフィルター処理で像を修正することができ
る。ただし、修正フィルターが、撮影レンズのFナンバ
ー、射出瞳位置、測距視野位置の関数でないことだけが
異なる部分である。
【0230】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、 (イ)測距光束のケラレが許容されたため、従来の焦点
検出装置にあった結像光学系の口径比の制約が緩和さ
れ、Fナンバーの大きい暗い結像レンズの焦点検出も可
能になった。
【0231】特に、測距光学系の光路中に拡散板を配置
した改良型の測距光学系を有する焦点検出装置に於いて
は、明るい結像レンズに対しては、その特徴であるとこ
ろの測距精度の向上が達成されると同時に、従来測距光
束がケラレて使用できなかった暗い結像レンズに対して
も焦点検出が可能になった。 (ロ)また、前記のように測距光束がケラレても測距可
能であることから、焦点検出光学系に取り込む光束の設
定を暗くすることなく測距視野を撮影画面内の自由な位
置に配置する事が可能になった。 (ハ)結像レンズが前ピン状態であっても、後ピン状態
であっても、正確な像修正を行なうことが可能になり、
この結果、焦点検出精度が飛躍的に向上した。
【0232】又結像光学系の結像状態によらず正確なデ
フォーカス検出が可能となり、合焦までのレンズ駆動回
数を少なくする事ができた。 (ニ)二つの原フィルターを基に撮影レンズの口径比に
応じて全ての修正フィルターが作れるため、様々な口径
比の結像レンズに対して焦点検出が可能になった。
【0233】又、結像光学系の口径比によらず正確なデ
フォーカス検出が可能となり、合焦までのレンズ駆動回
数を少なくする事ができた。
【0234】更に修正フィルターを口径比の関数として
計算で求めるようにすれば、焦点検出装置内に格納して
おく必要のある情報は極めて少なくなり、小規模のRO
Mで済むためにコスト的に有利である。特に、価格の制
約が厳しいカメラ等の民生機器に於ける効果が大きい。 (ホ)二つの原フィルターを基に撮影レンズの射出瞳位
置に応じて全ての修正フィルターが作れるため、様々な
射出瞳位置の結像レンズに対して焦点検出が可能になっ
た。
【0235】又結像光学系の射出瞳位置によらず正確な
デフォーカス検出が可能となり、合焦までのレンズ駆動
回数を少なくする事ができた。
【0236】更に修正フィルターを射出瞳位置の関数と
して計算で求めるようにすれば、焦点検出装置内に格納
しておく必要のある情報は極めて少なく、小規模のRO
Mで済むためにコスト的に有利である。特に、価格の制
約が厳しいカメラ等の民生危機に於ける効果が大きい。 (ヘ)Fナンバーの大きい暗い結像レンズの焦点検出に
おいても、第A2の処理過程に於けるフィルターは第A
1の処理過程にて得られた像ずれ量を基にして決定して
いるために、第A2の処理過程に於いてはより正確な修
正フィルターを作ることが可能であり、像ずれ量を求め
る際の精度がきわめて高くなった。したがって、従来の
焦点検出装置にあった結像光学系の口径比の制約が緩和
された。 (ト)相対変移量がゼロの場合にも前記デジタルフィル
ターは、前記第1と第2の信号を修正するようにしたた
めに、合焦時の僅かな像の不一致をも補正可能となり、
測距光束のケラレ量が大きいFナンバーの大きい暗い結
像レンズの焦点検出においても、像の一致度を求める際
の精度がきわめて高くなっている。
【0237】この結果として、従来の焦点検出装置にあ
った結像光学系の口径比の制約が緩和され、Fナンバー
の大きい暗い結像レンズの焦点検出も可能になった。
【0238】又、合焦時に限らず、正確な結像光学系の
デフォーカス量が検出可能となり、合焦までのレンズ駆
動回数を少なくすることができた。 (チ)Fナンバーの大きい暗い結像レンズの焦点検出に
おいても、第B2の処理過程に於けるフィルターは第B
1の処理過程にて得られた像ずれ量を基にして決定し、
しかも、第B2の処理過程に於いては像信号の相対変移
に関わらず修正フィルターを固定としているため、画素
単位以下の像ずれ量を信号の一致度を表わす評価量の補
間処理によって求める際各相対変位での評価量の重みが
変化せず、その精度がきわめて高くなっている。したが
って、従来の焦点検出装置にあった結像光学系の口径比
の制約が緩和され、Fナンバーの大きい暗い結像レンズ
の焦点検出も可能になった。
【0239】又結像光学系の口径比によらず正確なデフ
ォーカス検出が可能となり、合焦までのレンズ駆動回数
を少なくする事ができた。 (リ)二つの原フィルターを基に測距視野位置に応じて
全ての修正フィルターが作れるため、複数の測距視野に
於ける焦点検出が様々な口径比の結像レンズに対して可
能になった。
【0240】又修正フィルターを測距視野位置の関数と
して計算で求めるようにすれば、焦点検出装置内に格納
しておく必要のある情報は極めて少なくなり、小規模の
ROMで済むためにコスト的に有利である。特に、価格
の制約が厳しいカメラ等の民生機器に於ける効果が大き
い。 (ヌ)あるデフォーカスに適応する修正フィルターのフ
ィルター長は、デフォーカス量が小さくなるほど短くな
ると言う性質から、上記のようにデフォーカス演算に使
用する画素を実際の像信号よりも例えば両端5画素程度
ずつ少なく設定することで、デフォーカス量が数ミリ以
下の場合には、小デフォーカスに対応したフィルターを
誤差を含まずに作用させることができる。したがって、
正確なデフォーカス検出が可能となり、合焦までのレン
ズ駆動回数を少なくすることが可能となった。
【0241】又、測距光束のケラレが許容されたため、
従来の焦点検出装置にあった結像光学系の口径比の制約
が緩和され、Fナンバーの大きい暗い結像レンズの焦点
検出も可能になった。 (ル)前述した構成の修正フィルターを用いることで、
修正像をあまり元の線に近づき過ぎないような状態と
し、元の像データの高周波数成分を必要以上に大きく増
幅することなく左右の裾の引き方を均等にすることが可
能になっている。したがって、像データに熱雑音による
ランダムノイズが重畳していたとしても測距精度が低下
するということが少ない。
【0242】又測距光束のケラレが許容されたため、従
来の焦点検出装置にあった結像光学系の口径比の制約が
緩和され、Fナンバーの大きい暗い結像レンズの焦点検
出も可能になった。 (ヲ)修正フィルターを作成するための演算時間が二つ
の像に対する修正フィルターをそれぞれ作成する場合に
比較して半分で済む。
【0243】又測距光束のケラレが許容されたため、従
来の焦点検出装置にあった結像光学系の口径比の制約が
緩和され、Fナンバーの大きい暗い結像レンズの焦点検
出も可能になった。
【0244】更に一方の像に対する修正フィルターから
他方の像に対する修正フィルターを作れるため、焦点検
出装置内に格納しておく必要のある情報が極めて少な
く、小規模のROMを用意すればよい。したがって、特
に、価格の制約が厳しいカメラ等の民生機器に於ける低
コスト化の効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る焦点検出光学系の断面図
【図2】 図1の拡散板42の拡散特性を示す図
【図3】 図1の絞り48の平面図
【図4】 図1の撮影レンズの射出瞳上に於ける絞り
の像を示す図
【図5】 焦点検出装置の測距原理を説明するための
【図6】 焦点検出装置が組み込まれた一眼レフカメ
ラの断面図
【図7】 焦点検出光学系を展開したファインダー視
野短辺方向の断面図
【図8】 焦点検出光学系を展開したファインダー視
野長辺方向の断面図
【図9】 コンデンサーレンズ85の平面図
【図10】 ピント板107の説明図
【図11】 再結像レンズ90を光入射面から見た形状
を示す為の平面図
【図12】 絞り93の平面図である
【図13】 絞り開口の投影像を説明するための図
【図14】 遮光マスク89の平面図
【図15】 撮影画面と測距視野との位置関係を示す図
【図16】 光電変換素子の画素配置を示す図
【図17】 図6の導光プリズムの部分拡大図
【図18】 図6の導光プリズムの斜視図
【図19】 測距光束のケラレの様子を説明するための
斜視図
【図20】 図15に示した測距視野のうち104jへ
の光路を上方視した平面図
【図21】 測距光学系の絞り像が形成される面に於い
て撮影光束が通過する範囲を示した図
【図22】 図15に示した測距視野のうち104jへ
の光路を上方視した平面図
【図23】 ボケ像とその修正フィルター、像データ、
修正された像データの説明図
【図24】 ボケ像とその修正フィルター、像データ、
修正された像データの説明図
【図25】 一般の被写体像の修正についての説明図
【図26】 一般の被写体像の修正についての説明図
【図27】 本発明に係るカメラの回路を示すブロック
【図28】 撮影レンズの距離環、ズーム環の位置検出
構成を示す図
【図29】 カメラのシーケンスを説明するためのフロ
ーチャート
【図30】 「AF」サブルーチンのフローチャート
【図31】 「焦点検出」サブルーチンのフローチャー
【図32】 「レンズ駆動」サブルーチンのフローチャ
ート
【図33】 「レリーズ」サブルーチンのフローチャー
【図34】 「デフォーカス演算」サブルーチンのフロ
ーチャート
【図35】 「デフォーカス演算」サブルーチンのフロ
ーチャート
【図36】 相対変位量と演算画素との対応を説明する
ための図
【図37】 相対変位量と焦点評価量との一例を示す図
【図38】 画素単位以下の像ずれ量算出方法を説明す
るための図
【図39】 「像修正」サブルーチンのフローチャート
【図40】 像データ周辺値の延長の様子を説明するた
めの図
【図41】 それぞれ低周波ノイズのない像信号、低周
波ノイズの重畳された像信号、ハイパスフィルター処理
された像信号を表わす図
【図42】 「修正フィルターの倍率」サブルーチンの
フローチャート
【図43】 Fナンバー補正係数及び瞳位置補正係数の
特性図
【図44】 Fナンバー補正係数及び瞳位置補正係数の
特性図
【図45】 MKFS−FDLTとNVとの関係を表わ
す図
【図46】 点像のスポットダイアグラム
【図47】 「実行フィルターの作成」サブルーチンの
フローチャート
【図48】 結像状態による点像の変化を説明するため
のスポットダイアグラム
【図49】 原フィルターを示す図
【図50】 「畳み込み積分」サブルーチンのフローチ
ャート
【図51】 「像ずれ敏感度」サブルーチンのフローチ
ャート
【図52】 撮影レンズの結像状態に応じた線像の像デ
ータを示す図
【図53】 撮影レンズの結像状態に応じた線像の像デ
ータを示す図
【図54】 ボケ像修正フィルターを示す図
【図55】 ボケ像修正フィルターを示す図
【図56】 修正された線像の像データを示す図
【図57】 修正された線像の像データを示す図
【図58】 ボケ像修正フィルターと、修正された線像
の像データを示す図
【図59】 Fナンバーの小さい明るい撮影レンズが装
着されたときのこれに対応する修正フィルターの一例を
示す図
【符号の説明】
40 被写体面 41、81 撮影レンズ 42、84 拡散板 43、85 フィールドレンズ 44、90 再結像レンズ 46、47、108 光電変換素子列 48、93 絞り 88 接眼レンズ 89 遮光マスク
フロントページの続き (72)発明者 明石 彰 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焦点検出されるべき結像光学系の結像状
    態に応じて、相対的な位置関係が変化する第1と第2の
    2つの物体像を形成する再結像光学系と、該第1と第2
    の物体像に対応した第1と第2の信号をそれぞれ出力す
    る複数の画素よりなる光電変換手段と、該第1と第2の
    信号に対してフィルター処理をしたのち演算上で該第1
    と第2の信号を順次相対的に変位させ、各相対変位位置
    における第1と第2の信号の一致度を表わす評価量を演
    算し、該評価量の変化に基づいて該第1と第2の物体像
    の相対的な位置ずれ量を求め、該ずれ量から該結像光学
    系の結像状態を検出する演算手段とを有する焦点検出装
    置において、該フィルター処理を該相対変位位置に応じ
    て決定されるフィルターを用いて行なっていることを特
    徴とする焦点検出装置。
  2. 【請求項2】 焦点検出されるべき結像光学系の結像状
    態に応じて、相対的な位置関係が変化する第1と第2の
    2つの物体像を形成する再結像光学系と、該第1と第2
    の物体像に対応した第1と第2の信号をそれぞれ出力す
    る複数の画素よりなる光電変換手段と、該第1と第2の
    信号を演算上で順次相対的に変位させ、各相対変位位置
    における第1と第2の信号の一致度を表わす評価量を演
    算する際、予め該第1と第2の信号に対して該相対変位
    位置に応じて決定されるフィルターを用いてフィルター
    処理を施し、該評価量の変化に基づいて該第1と第2の
    物体像のずれ量を求めて該結像光学系の結像状態を検出
    する演算手段とを有する焦点検出装置において、該演算
    手段は第1の原フィルター情報から該フィルターを作成
    する第1の処理過程と、第2の原フィルター情報から該
    フィルターを作成する第2の処理過程とを有し、さらに
    該第1の処理過程と該第2の処理過程のいずれかを該第
    1と第2の信号の相対変位量に応じて選択する選択手段
    を設けたことを特徴とする焦点検出装置。
  3. 【請求項3】 焦点検出されるべき結像光学系の結像状
    態に応じて、相対的な位置関係が変化する第1と第2の
    2つの物体像を形成する再結像光学系と、該第1と第2
    の物体像に対応した第1と第2の信号をそれぞれ出力す
    る複数の画素よりなる光電変換手段と、該第1と第2の
    信号を演算上で順次相対的に変位させ、各相対変位位置
    における第1と第2の信号の一致度を表わす評価量を演
    算する際、予め該第1と第2の信号に対してフィルター
    処理を施し、該評価量の変化に基づいて該第1と第2の
    物体像のずれ量を求めて該結像光学系の結像状態を検出
    する演算手段とを有する焦点検出装置において、該フィ
    ルター処理は焦点検出されるべき結像光学系の口径比に
    応じて決定されるフィルターを用いて行なわれることを
    特徴とする焦点検出装置。
  4. 【請求項4】 焦点検出されるべき結像光学系の結像状
    態に応じて、相対的な位置関係が変化する第1と第2の
    2つの物体像を形成する再結像光学系と、該第1と第2
    の物体像に対応した第1と第2の信号をそれぞれ出力す
    る複数の画素よりなる光電変換手段と、該第1と第2の
    信号を演算上で順次相対的に変位させ、各相対変位位置
    における第1と第2の信号の一致度を表わす評価量を演
    算する際、予め該第1と第2の信号に対してフィルター
    処理を施し、該評価量の変化に基づいて該第1と第2の
    物体像のずれ量を求めて該結像光学系の結像状態を検出
    する演算手段とを有する焦点検出装置において、該フィ
    ルター処理は焦点検出されるべき結像光学系の射出瞳位
    置に応じて決定されるフィルターを用いて行なわれるこ
    とを特徴とする焦点検出装置。
  5. 【請求項5】 焦点検出されるべき結像光学系の結像状
    態に応じて、相対的な位置関係が変化する第1と第2の
    2つの物体像を形成する再結像光学系と、該第1と第2
    の物体像に対応した第1と第2の信号をそれぞれ出力す
    る複数の画素よりなる光電変換手段と、該第1と第2の
    信号を演算上で順次相対的に変位させ、各相対変位位置
    における第1と第2の信号の一致度を表わす評価量を演
    算する際、予め該第1と第2の信号に対してフィルター
    処理を施し、該評価量の変化に基づいて該第1と第2の
    物体像のずれ量を求めて該結像光学系の結像状態を検出
    する演算手段とを有する焦点検出装置において、該演算
    手段の中には、該フィルター処理が該相対変位量に応じ
    て決定されたフィルターを用いてなされる第A1の処理
    過程と、これに続いて実行され、相対変位量に依らずに
    固定のフィルターを用いてなされる第A2の処理過程と
    を有し、第A2の処理過程におけるフィルターは第A1
    の処理過程にて得られた像ずれ量を基にして決定される
    ことを特徴とする焦点検出装置。
  6. 【請求項6】 焦点検出されるべき結像光学系の結像状
    態に応じて、相対的な位置関係が変化する第1と第2の
    2つの物体像を形成する再結像光学系と、該第1と第2
    の物体像に対応した第1と第2の信号をそれぞれ出力す
    る複数の画素よりなる光電変換手段と、該第1と第2の
    信号を演算上で順次相対的に変位させ、各相対変位量に
    おける第1と第2の信号の一致度を表わす評価量を演算
    する際、予め該第1と第2の信号に対して相対変位量に
    応じて決定されるフィルターを用いてフィルター処理を
    施し、該評価量の変化に基づいて該第1と第2の物体像
    のずれ量を求めて該結像光学系の結像状態を検出する演
    算手段とを有する焦点検出装置において、該フィルター
    は、該相対変位量がゼロの場合にも該第1と第2の信号
    を修正することを特徴とする焦点検出装置。
  7. 【請求項7】 焦点検出されるべき結像光学系の結像状
    態に応じて、相対的な位置関係が変化する第1と第2の
    2つの物体像を形成する再結像光学系と、該第1と第2
    の物体像に対応した第1と第2の信号をそれぞれ出力す
    る複数の画素よりなる光電変換手段と、該第1と第2の
    信号を演算上で順次相対的に変位させ、各相対変位位置
    における第1と第2の信号の一致度を表わす評価量を演
    算する際、予め該第1と第2の信号に対してフィルター
    処理を施し、該評価量の変化に基づいて該第1と第2の
    物体像のずれ量を求めて該結像光学系の結像状態を検出
    する演算手段とを有する焦点検出装置において、該演算
    手段の中には、該フィルター処理が該相対変位量に応じ
    て決定されたフィルターを用いてなされる第B1の処理
    過程と、相対変位量に依らずに固定のフィルターを用い
    てなされる第B2の処理過程とを有し、該第B1の処理
    過程と第B2の処理過程のいずれかを選択する選択手段
    を設けたことを特徴とする焦点検出装置。
  8. 【請求項8】 焦点検出されるべき結像光学系の結像状
    態に応じて、相対的な位置関係が変化する第1と第2の
    2つの物体像を形成する再結像光学系と、該第1と第2
    の物体像に対応した第1と第2の信号をそれぞれ出力す
    る複数の画素よりなる光電変換手段と、該第1と第2の
    信号を演算上で順次相対的に変位させ、各相対変位位置
    における第1と第2の信号の一致度を表わす評価量を演
    算する際、予め該第1と第2の信号に対してフィルター
    処理を施し、該評価量の変化に基づいて該第1と第2の
    物体像のずれ量を求めて該結像光学系の結像状態を検出
    する演算手段とを有する焦点検出装置において、該フィ
    ルター処理は焦点検出されるべき結像光学系の光軸から
    該光電変換手段によって決定される測距視野までの距離
    に応じて決定されるフィルターを用いて行なわれること
    を特徴とする焦点検出装置。
  9. 【請求項9】 焦点検出されるべき結像光学系の結像状
    態に応じて、相対的な位置関係が変化する第1と第2の
    2つの物体像を形成する再結像光学系と、該第1と第2
    の物体像に対応した第1と第2の信号をそれぞれ出力す
    る複数の画素よりなる光電変換手段と、該第1と第2の
    信号を演算上で順次相対的に変位させ、各相対変位位置
    における第1と第2の信号の一致度を表わす評価量を演
    算する際、予め該第1と第2の信号に対して前記相対変
    位位置に応じて決定されるフィルターを用いてフィルタ
    ー処理を施し、該評価量の変化に基づいて該第1と第2
    の物体像の像ずれ量を求めて該結像光学系の結像状態を
    検出する演算手段とを有する焦点検出装置において、該
    フィルターは原点を挟んで一方には正の成分のみを、他
    方には正及び負の成分を有していることを特徴とする焦
    点検出装置。
  10. 【請求項10】 焦点検出されるべき結像光学系の結像
    状態に応じて、相対的な位置関係が変化する第1と第2
    の2つの物体像を形成する再結像光学系と、該第1と第
    2の物体像に対応した第1と第2の信号をそれぞれ出力
    する複数の画素よりなる光電変換手段と、該第1と第2
    の信号を演算上で順次相対的に変位させ、各相対変位位
    置における第1と第2の信号の一致度を表わす評価量を
    演算する際、予め該第1と第2の信号に対してフィルタ
    ー処理を施し、該評価量の変化に基づいて該第1と第2
    の物体像のずれ量を求めて該結像光学系の結像状態を検
    出する演算手段とを有する焦点検出装置において、該演
    算手段には第1の信号に対してフィルター処理を行なう
    第C1の処理過程と、第2の信号に対してフィルター処
    理を行なう第C2の処理過程とを有し、第2の処理過程
    において用いられるフィルターは第1の処理過程で用い
    たフィルターを反転させて得られる特性より成っている
    ことを特徴とする焦点検出装置。
  11. 【請求項11】 焦点検出されるべき結像光学系の結像
    状態に応じて、相対的な位置関係が変化する第1と第2
    の2つの物体像を形成する再結像光学系と、該第1と第
    2の物体像に対応した第1と第2の信号をそれぞれ出力
    する複数の画素よりなる光電変換手段と、該第1と第2
    の信号を演算上で順次相対的に変位させ、各相対変位位
    置における第1と第2の信号の一致度を表わす評価量を
    演算する際、予め該第1と第2の信号に対して該相対変
    位位置に応じて決定されるフィルターを用いてフィルタ
    ー処理を施し、該評価量の変化に基づいて前記第1と第
    2の物体像の像ずれ量を求めて該結像光学系の結像状態
    を検出する演算手段とを有する焦点検出装置において、
    該光電変換素子はその出力が該評価量を求める演算に用
    いられる画素の外側にこれらの画素に対する前記フィル
    ター処理のために用いられる画素を有することを特徴と
    する焦点検出装置。
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