JPH05117805A - 高い耐食性を持つかみそり刃用鋼,かみそり刃及びこれらのかみそり刃を製造する方法 - Google Patents

高い耐食性を持つかみそり刃用鋼,かみそり刃及びこれらのかみそり刃を製造する方法

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JPH05117805A
JPH05117805A JP3188367A JP18836791A JPH05117805A JP H05117805 A JPH05117805 A JP H05117805A JP 3188367 A JP3188367 A JP 3188367A JP 18836791 A JP18836791 A JP 18836791A JP H05117805 A JPH05117805 A JP H05117805A
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Abstract

(57)【要約】 〔目的〕 十分高い硬度を持つかみそり刃用材料を用い
て,高い耐食性及び高い切断品質を持つかみそり刃を容
易にかつ経済的に製造できるようにする。 〔構成〕 高耐食性のかみそり刃用鋼,かみそり刃及び
これらのかみそり刃を製造する方法であり,すべて重量
で表わして,0.45%より多く0.55%より少ない
炭素,0.4ないし1.0%の珪素,0.5ないし1.
0%のマンガン,12ないし14%のクロム及び1.0
ないし1.6%のモリブデンを含み,その組成の残部が
鉄及び不可避な不純物でありかつ焼鈍された場合に10
0平方ミクロン当たり100ないし150の粒子の炭化
物密度を持つ鋼及びこの鋼の帯鋼を1075℃ないし1
120℃の温度で連続的にオーステナイト化し,帯鋼を
焼き入れするために−60℃ないし−80℃の温度に冷
却しかつ帯鋼を少なくとも620のビツカース硬度を持
つように250℃ないし400℃の温度で焼き戻すこと
を特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,かみそり刃を作るため
に使用されかつ高耐食性を示すCr−Moステンレス
鋼,かみそり刃及びこれらのかみそり刃を製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】重量で表わして1.2%の炭素及び重量
で表わして0.4%のクロムを含む高炭素鋼は,通常,
かみそり刃を作るために使用された。この材料は熱処理
された場合に高い硬度を示しかつ高い切断品質を持つ刃
を作ることができたが,しかし不十分な耐食性及びさび
やすいという欠点を持つていた。
【0003】いずれのかみそりも通常,多かれ少なかれ
湿気のある環境で使用される。かみそりが使用される場
合,かみそりは,汗,せつけん及びひげそり用泡の成分
のような腐食性物質と接触せしめられる。その上,ひげ
そりのために使用される水の性質及びかみそりが使用さ
れる場所の温度は,かみそり刃のさびつきを助長しやす
い。高炭素鋼製のかみそり刃は高い切断品質を提供する
ことを第一の目的としており,通常,前述したような条
件での繰り返し使用に耐えなかつた。
【0004】従つて,高い切断品質を持つかみそり刃を
作ることができる防銹性材料として13Crマルテンサ
イト系ステンレス鋼が広く使用されるようになつた。両
方共重量で表わして,0.6ないし0.7%の炭素及び
12ないし13%のクロムを含むマルテンサイト系ステ
ンレス鋼は,かみそり刃を作るために,他のいかなるス
テンレス鋼よりもしばしば使用される。この材料は熱処
理された場合に,例えばHV620ないし650の硬度
を持つており,かつ含まれている13%Crのために防
銹性及び耐食性の点で高炭素鋼よりも勝つている。
【0005】しかしこの材料はさびつきの問題から完全
には免かれておらず,この材料がかみそり刃を作るため
に使用される場合は,その耐食性を改善するために通常
のやり方はスパツタリングにより材料の表面に,例えば
白金,クロム又は窒化クロム(CrN)の被覆を形成す
る。被覆は確かに材料の耐食性を改善するが,この材料
で作られたかみそり刃は依然として,粒界に生ずる腐食
及び被覆と基体との間に生ずるさびによる好ましくない
ほどに短い寿命を持つ。その上,被覆の形成は付加的な
装置を必要としかつ付加的な費用を招く。
【0006】ドイツ連邦共和国特許出願公開第1533
380号明細書に,耐食性を持つかみそり刃用材料とし
て低炭素ステンレス鋼が開示されている。この鋼は0.
32ないし0.44%の炭素,11ないし16%のクロ
ム,0.2ないし0.5%の珪素及び0.2ないし0.
5%のマンガンを含んでおり,組成の残部は鉄である。
この鋼は,1080℃ないし1135℃の温度でオース
テナイト化され,−25℃ないし−50℃の温度に冷却
することにより焼き入れされかつ焼き戻された場合に,
少なくとも75%のマルテンサイトを含みかつ(0.5
kgの荷重を受けて試験されて)少なくとも500のビ
ツカース硬度(HV)を持つ。この材料は,帯かみそり
用の刃を形成する帯を作るためのものである。この帯か
みそりは,帯をロールの形に保持するためのマンガンを
持つており,このロールから帯を少しずつ繰り出して,
新しい刃として規定された部分を供給することができ
る。この低炭素鋼及び高クロム鋼は腐食に対して十分に
耐えかつ巻かれてロールにされるに十分強いが,しかし
熱処理された場合の硬度は高い切断品質を持つ刃の製造
を可能にするには低すぎる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は,熱処
理された場合に十分高い硬度を示し,かつ防銹表面処理
なしに十分高い耐食性を持つかみそり刃用材料を提供す
ることである。
【0008】本発明の別の目的は,高い耐食性及び高い
切断品質を持つかみそり刃を提供することである。
【0009】本発明の更に別の目的は,高い耐食性及び
高い切断品質を持つかみそり刃を容易にかつ経済的に製
造することができる方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の面によれ
ば,すべて重量で表わして,0.45%より多く0.5
5%より少ない炭素,0.4ないし1.0%の珪素,
0.5ないし1.0%のマンガン,12ないし14%の
クロム及び1.0ないし1.6%のモリブデンを含み,
その組成の残部が鉄及び不可避な不純物でありかつ焼鈍
された場合に100平方ミクロン当たり100ないし1
50の粒子の炭化物密度を持つ,かみそり刃を作るため
の高耐食性鋼が提供される。
【0011】この鋼は,すべて重量で表わして,0.4
8%より多く0.52%より少ない炭素,0.45ない
し0.60%の珪素,0.70ないし0.85%のマン
ガン,13ないし14%のクロム及び1.15ないし
1.45%のモリブデンを含むのが好ましい。
【0012】本発明の第2の面によれば,すべて重量で
表わして,0.45%より多く0.55%より少ない炭
素,0.4ないし1.0%の珪素,0.5ないし1.0
%のマンガン,12ないし14%のクロム及び1.0な
いし1.6%のモリブデンを含み,その組成の残部が鉄
及び不可避な不純物である材料から形成され,少なくと
も620のビツカース硬度及び完成したかみそり刃に1
00平方ミクロン当たり10ないし45の粒子の炭化物
密度を持つ,高い耐食性のかみそり刃が提供される。
【0013】刃は,その表面の少なくとも一部がポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)又はシリコーンの層
で被覆されているのが好ましい。刃は,表面において2
4ないし32%に達し,表面から横断面の中心へ次第に
減少しかつ表面より50ミクロン下の深さにおいて6な
いし14%に達するように制御される残留オーステナイ
ト含有量を持つのが好ましい。刃の残留オーステナイト
含有量が制御されているので,オーステナイトの減少が
均一な研削を可能にすると共に,刃の表面の耐食性及び
刃の切断エツジの鋭さを保証する。
【0014】本発明の第3の面によれば,すべて重量で
表わして,0.45%より多く0.55%より少ない炭
素,0.4ないし1.0%の珪素,0.5ないし1.0
%のマンガン,12ないし14%のクロム及び1.0な
いし1.6%のモリブデンを含み,その組成の残部が鉄
及び不可避な不純物であり,かつ焼鈍された場合に10
0平方ミクロン当たり100ないし150の粒子の炭化
物密度を持つ帯鋼を1075℃ないし1120℃の温度
で連続的にオーステナイト化し,帯鋼を焼き入れするた
めに−60℃ないし−80℃の温度に冷却し,かつ帯鋼
を少なくとも620のビツカース硬度を持つように25
0℃ないし400℃の温度で焼き戻すようにする高耐食
性のかみそり刃を作る方法が提供される。
【0015】本発明の鋼は,0.6ないし0.7%の炭
素及び12ないし13%のクロムを含み,かみそり刃を
作るために一般に使用される鋼と比較しても,熱処理さ
れた場合の硬度の点で少なくともひけを取らず,かつ耐
食性の点ではるかにまさつている。この鋼は,もはや防
銹表面処理を必要としないから,かみそり刃の経済的な
製造を可能にする。
【0016】本発明の方法は,刃の耐食性を改善するた
めに従来用いられたような特別の表面処理をもはや含ま
ない。換言すれば,本発明のかみそり刃には,被覆と鋼
との間に生ずる腐食及び被覆が刃に与える鈍い刃先のよ
うな問題をしばしば起こしている被覆,例えばクロム又
は白金がない。従つて,本発明のかみそり刃は長い寿命
と,高い切断品質を保証する鋭い切断エツジとを持つて
いる。
【0017】本発明の鋼は,従来利用できる鋼より少な
い炭素含有量を持つており,従つてかみそり刃を作るた
めの打ち抜き,研削及びその他の加工が一層しやすい。
【0018】
【実施例】本発明のそれ以外の特徴及び利点は,以下の
説明及び添付の図面から明らかになる。
【0019】本発明の鋼は,すべて重量で表わして,
0.45%より多く0.55%より少ない炭素,0.4
ないし1.0%の珪素,0.5ないし1.0%のマンガ
ン,12ないし14%のクロム及び1.0ないし1.6
%のモリブデンを含み,その組成の残部が鉄及び不可避
な不純物である。
【0020】炭素は,熱処理された場合の鋼の硬度にと
つて重要であるが,しかしその割合が増大するにつれて
耐食性を低下させる元素である。その他の元素(主にク
ロム)の割合も考慮に入れて,0.5kgの荷重のもと
で測定して,焼き入れされかつ焼き戻された場合に,少
なくとも620のビツカース硬度を鋼が持つことを保証
する炭素の最適割合が調査された。その結果,上に述べ
た硬度の観点から,0.45%以上の炭素の存在が不可
欠であることが分かつた。しかし0.55%又はそれ以
上の炭素の存在は鋼の耐食性を低下させ,かつ0.65
%の炭素及び13%のクロムを含む現在利用可能な鋼に
施されたような,一層低い耐食性を補うための表面処理
を必要とすることが分かつた。従つて本発明の鋼は0.
45%より多く0.55%より少ない炭素を含んでい
る。本発明の鋼の顕著な特徴によれば,この鋼は,現在
利用可能なステンレス鋼より少ない炭素含有量のため,
改善された耐食性と,それにも拘らず以下に説明するよ
うに,特定の炭化物密度により,熱処理された場合の十
分高い硬度を持つている。
【0021】珪素は通常,脱酸剤として溶鋼に添加され
る。珪素は鋼を低温で焼き戻しする場合に,鋼からの炭
化物の析出を抑制し,かつ鋼の軟化を抑制するために役
立つ。
【0022】かみそり刃は通常,切断エツジが形成され
た後に,かみそり刃が皮膚にとつて滑らかになるよう
に,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はシリ
コーンのような樹脂で被覆され,その場合,かみそり刃
は350℃ないし400℃の温度で加熱される。珪素は
樹脂被覆が形成される際に加熱される場合の鋼の硬度の
減少を抑制するための最も有効な元素である。このため
に少なくとも0.4%の珪素の存在は,鋼が少なくとも
620のビツカースを硬度を維持することを保証するた
めに不可欠である。
【0023】しかし珪素は鋼中に固溶体を形成し,それ
により鋼を脆化しかつ鋼の冷間加工性を低下させる。珪
素は又,SiOのような硬質の非金属介在物を形成す
る。従つて,多すぎる珪素の添加は,適当な切断エツジ
の形成を困難にし又は破損しやすいエツジを生ぜしめ
る。こういう事情で,1.0%以上の珪素の添加は好ま
しくないことが分かつた。従つて,本発明の鋼は0.4
ないし1.0%の珪素を含んでいる。
【0024】マンガンは脱酸剤としても使用される。マ
ンガンは鋼中に固溶体の形で存在し,かつ非金属介在物
として硫化マンガン及び珪酸マンガンを形成する。珪素
により形成された硬質の介在物は鋼から除去されなけれ
ばならない。なぜならばこれらの介在物は鋼を冷間加工
するために加えられる強い力によつても不変のままであ
り,かつ逐にはかみそり刃における適当な切断エツジの
形成をできないようにし,かつかみそり刃の特性に悪影
響を及ぼすからである。他方,硫化マンガン及び珪酸マ
ンガンはかみそり刃の形成に,又はかみそり刃の特性の
観点からほとんど問題を生ぜしめない。なぜならばこれ
らのマンガンは冷間加工によつて非常に小さい厚さに変
形可能であるに十分やわらかいからである。
【0025】従つて,当然の帰結として,あらゆる不可
避な非金属介在物は,マンガンによつて形成されたもの
のようなやわらかいものの形に固定される必要がある。
硫化マンガンを形成するために少なくとも0.5%のマ
ンガンが必要である。上に規定されたような珪素の割合
が考慮に入れられる場合は,珪酸マンガンを形成するた
めに少なくとも0.5%のマンガンが必要である。しか
し多すぎるマンガンの添加は鋼の熱間加工性を低下させ
るから回避されなければならない。従つて本発明の鋼は
0.5ないし1.0%のマンガンを含んでいる。
【0026】クロムは鋼の防銹性及び耐食性にとつて最
も重要な元素の一つである。本発明の鋼を腐食に耐える
ようにするのに十分な不働態皮膜を形成するために,少
なくとも12%のクロムが必要である。しかし多すぎる
クロムの使用は回避されなければならない。なぜならば
鋼をオーステナイト化するために用いられる温度におけ
るクロム炭化物の形成は,鋼の炭素含有量,従つて又熱
処理された場合の硬度の減少を引き起こすからである。
本発明の鋼が熱処理された場合に示すことを要求される
硬度は,この鋼が14%より多くないクロムを含む場合
にしか得られない。従つて,本発明の鋼は12ないし1
4%のクロムを含んでいる。
【0027】モリブデンは,ハロゲン(特に塩素)イオ
ンが不働態皮膜を破壊することによつて生ぜしめるよう
な点食を防止するために最も有効な元素として用いられ
る。添加されるモリブデンの量とこのような腐食が防止
され得る可能性との間に存在することが実験により分か
つた相関関係は,その添加が明らかに有効であることを
保証するために少なくとも1.0%のモリブデンを添加
することが必要であることを教えている。モリブデンの
添加は,更に別の利益を与える。モリブデンを含む鋼
は,焼き入れされた場合の最大硬度を得るために,モリ
ブデンを含まない鋼より高い温度で焼き入れされ得る。
なぜならばモリブデンは炭化クロム中に固溶体を形成し
かつ鋼がオーステナイト化される温度における炭化物の
固溶体の形成を抑制するからである。しかし多すぎるモ
リブデンの使用は,炭化物の硬化及び鋼中の固溶体の強
化に至らせ,それは熱間加工を低下させる。こういう事
情で,本発明による鋼のモリブデン含有量の最適上限は
1.6%に設定されている。従つて,本発明の鋼は1.
0ないし1.6%のモリブデンを含んでいる。
【0028】しかし上述した鋼の化学組成は,熱処理さ
れた場合の硬度を規定する唯一の要因ではない。硬度に
重大な関係がある別の要因がある。それは焼鈍された鋼
のミクロ組織である。
【0029】鋼が焼き入れされた場合に得る硬度は,オ
ーステナイト化温度で固溶体中に形成される炭化物の量
に左右される。少なすぎる量の炭化物が形成される場合
は,鋼中の炭素の不足は,鋼が十分に高い硬度に焼き入
れされることを妨げる。多すぎる量の炭化物が形成され
る場合は,残留オーステナイトの増加は,鋼を高い硬度
に焼き入れすることを妨げる。本発明の鋼中に形成され
る炭化物が式M23(ここではMはCr,Fe又は
Mo)である限りにおいて,少なすぎる量の炭化物の形
成は,鋼を腐食に十分に耐えないようにするクロムの不
足を意味している。
【0030】従つて,多すぎも少なすぎもしない適量の
炭化物の形成は,高い耐食性及び焼き入れされた場合の
十分高い硬度を持つ鋼の製造に不可欠である。更に,か
みそり刃を作るために使用される帯鋼は連続加熱炉で焼
き入れされるから,固溶体中の適量の炭化物の形成は短
時間内に作われることが必要である。
【0031】これらの要件を満足させるために,どのよ
うな要因が重要な役割を演じるかを分析することによ
り,焼鈍された鋼の炭化物密度が最も重要な要因である
ことが分かつた。鋼が100平方ミクロン当たり100
粒子より少ない炭化物密度を持つ場合は,これらの炭化
物粒子は粗大すぎて固溶体を形成するに十分な反応を受
けることができず,その結果,鋼は好ましい硬度を得る
ことができない。鋼が,100平方ミクロン当たり15
0粒子以上である炭化物密度を持つ場合は,これらの炭
化物粒子は過度に多量の固溶体を形成するほどに大き
い。これは,残留オーステナイトの増加による鋼の硬度
の減少,結晶粒の粗大化及び不均一な固溶体又はマルテ
ンサイト変態による過度な膨張による応力の発生を含む
種々の問題を生ぜしめる。
【0032】従つて,本発明の鋼は焼鈍された場合で1
00平方ミクロン当たり100ないし150粒子の炭化
物密度を持つており,この炭化物密度は,連続加熱炉で
焼き入れされ,かつ焼き戻された場合に650ないし6
70のビツカース硬度及び十分に高い耐食性を持つ帯鋼
を製造するための最適範囲であることが分かつた。炭化
物密度の最適範囲は冷間圧延及び焼鈍条件の適当な調整
により得られる。もつと具体的に言えば,この最適範囲
は,焼鈍のために用いられる加熱速度及び温度の適当な
調整により得られる。例えば,鋼の熱間圧延中に形成さ
れた炭化物の完全な固溶体を含む鋼を,連続焼鈍炉で1
時間当たり少なくとも15℃の加熱速度で800℃ない
し840℃の温度に加熱しかつこの鋼を適当な長さの時
間の間その温度に保持し,その後にこの鋼を炉の中で冷
却させるようにすれば十分である。
【0033】本発明のかみそり刃は,上述した特定の組
成及び焼鈍された場合の100平方ミクロン当たり10
0ないし150粒子の炭化物密度を持つ帯鋼を熱処理す
ることによつて製造される。この鋼は先ず1075℃な
いし1120℃の温度でオーステナイト化される。この
温度範囲は、固溶体を形成しない過剰な炭化物及び結晶
粒の粗大化を回避することを可能にする。オーステナイ
ト化された材料は直ちに大気中で冷却され,それから−
60℃ないし−80℃の温度で深冷処理を受ける。この
深冷処理は残留オーステナイトの分解のために重要であ
り,それにより鋼が焼き入れされた場合に十分に高い硬
度を持つことを保証する。それから,この鋼は少なくと
も620のビツカース硬度を得るために250℃ないし
400℃の温度で焼き戻される。焼き戻し温度が250
℃より低い場合,鋼は十分には強じんでなく,焼き戻し
温度が400℃を超える場合,鋼はほとんど少なくとも
620以上のビツカース硬度を得ることができない。焼
き入れされかつ焼き戻された材料は,100平方ミクロ
ン当たり10ないし45粒子の炭化物密度を持つてお
り,この炭化物密度は,材料が少なくとも620のビツ
カース硬度及び高い耐食性を持つことを保証する。
【0034】本発明による鋼及びかみそり刃用材料の硬
度及び構造特徴を示す図面に言及する。図1は,本発明
の鋼が焼き入れされた場合に示した硬度(HV)及びオ
ーステナイト化温度に関係する残留オーステナイト含有
量(%)を示している。これから明らかなように,10
90℃の代表的なオーステナイト化温度で焼き入れされ
た鋼は,約780の高さのビツカース硬度を持つてお
り,この鋼の残留オーステナイト含有量は30%以下で
ある。このような,焼き入れされた場合の高い硬度を持
つ鋼は,図2から明らかなように,鋼が1090℃のオ
ーステナイト化温度で焼き入れされた場合に,少なくと
も620又は少なくとも640ものビツカース硬度を持
つ最終製品となる。これらの硬度水準は,本発明による
かみそり刃の高い切断品質を保証するに十分高い。
【0035】本発明の方法は,図3から明らかなよう
に,帯鋼の表面と,その表面より50ミクロン下の深さ
を持つ内部区域(この区域は0.1mmの厚さを持つか
みそり刃の反対側の面からは等距離で離れており,かつ
研削された場合に切断エツジとなる所である)との残留
オーステナイトの量の本質的な差を得ることを可能にす
る。帯鋼の表面は,かみそり刃の耐食性を増す多量の残
留オーステナイトを含んでおり,他方,この帯鋼の中心
部分は,その厚さ方向に見て,十分に硬い切断エツジを
形成するために均一な研削性を保証する,低い残留オー
ステナイト含有量を持つている。かみそり刃の表面の高
耐食性は,以下に述べる塩水噴霧試験及びひげそり試験
の結果から明らかになる。
【0036】もつと明確に言えば,本発明のかみそり刃
は表面において24ないし32%の残留オーステナイト
含有量を持つており,切断線が規定される表面より50
ミクロン下の深さにおいて6ないし14%の残留オース
テナイト含有量を持つている。
【0037】かみそり刃は,摩擦を減少させかつ刃を皮
膚に対して一層滑らかにするポリテトラフルオロエチレ
ン(PTFE)又はシリコーンの層で被覆されるのが好
ましい。この被覆は焼成され,この焼成は通常約350
℃ないし400℃の温度における加熱により行われる。
これは一般に,鋼が焼き戻され,その硬度を低下させる
温度の高さであるが,しかし本発明のかみそり刃は,こ
のような被覆を焼成するために用いられる熱により目に
つくほどには影響されず,従つて被覆が焼成された場合
に硬度の目につくほどの減少を示さない。
【0038】本発明を,更に特定の例について以下に詳
細に説明する。
【0039】異なる化学組成の鋼が用意されており,表
1に示されている。表1において,AないしEはそれぞ
れ本発明を実現する鋼であり,他方,Fはかみそり刃を
作るために現在使われておりかつ0.67C−13Cr
鋼として知られている代表的な鋼である。
【0040】それぞれの鋼を作るための原料はアーク炉
で溶解され,この溶鋼はインゴツトに形成された。この
インゴツトはビレツトに熱間圧延され,このビレツトは
1.0ないし2.0mmの厚さを持つ帯鋼に熱間圧延さ
れ,それにより炭化物は完全に固溶体に変換された。こ
の帯鋼は焼鈍と冷間圧延を繰り返し0.1mmの厚さを
持つ帯鋼とした。
【0041】
【表1】
【0042】異なる炭化物密度を持つ帯鋼の3つの試料
は,連続焼鈍とバツチ焼鈍の適当な組み合わせを用いる
ことによりかつ冷間圧延率を変えることにより鋼Aない
しFのそれぞれから製造された。これらの試料は,硬度
及び耐食性の評価のために用意された
【0043】各試料は,本発明によりかみそり刃を作る
ために用いられたものを模凝実験する条件のもとで熱処
理された。この熱処理は1100℃における40秒間の
焼き入れ,続く空気冷却,−78℃における10分間の
深冷処理及び350℃における30分間の焼き戻しから
成つている。熱処理された試料は硬度について試験され
た。各試料を耐食性について評価するために,塩水噴霧
試験が行われた。これらの結果は表2に示されている。
【0044】鋼AないしFのそれぞれから用意された,
異なる炭化物密度を持つ3つの試料が,試料番号1ない
し3として表2に示されている。鋼AないしEのすべて
が,化学組成に関する限り,本発明の範囲内に入るが,
しかし焼鈍された鋼の炭化物密度も考慮に入れられる場
合に本発明の範囲内に入るのは試料番号2だけである。
試料番号2は,焼鈍状態で100平方ミクロン当たり1
00ないし150粒子の範囲内に炭化物密度を持つてお
り,他方,試料番号1及び3はこのような炭化物密度を
持つておらず,従つて比較試料である。従来の鋼Fの試
料番号2も,焼鈍状態で本発明の鋼について指定された
範囲内に入る炭化物密度を持つている。試料F′−2は
化学組成及び焼鈍された場合の炭化物密度の点で試料F
−2と同等であるが,しかしスパツタリングにより形成
されたクロムの表面層を持つことで試料F−2と異な
る。
【0045】
【表2】
【0046】各試料番号2により示された結果から明ら
かなように,620ないし670の範囲内に入るビツカ
ース硬度は,焼鈍状態で100平方ミクロン当たり少な
くとも100粒子の範囲内に入る炭化物密度を持つ鋼に
よつてのみ得られる。本発明の鋼は,炭素含有量が従来
の鋼のそれよりも低いが,適当に制御された,焼鈍状態
での炭化物密度によつて,熱処理された場合の十分高い
硬度を示すということを付言しておく。焼純状態での高
すぎる炭化物密度を持つ鋼(各試料番号3を参照)は,
固溶体の過度の形成による残留オーステナイトの安定化
の結果として,熱処理された場合に,好ましくないほど
に低い硬度を示している。
【0047】塩水噴霧試験は,50mm平方ある熱処理
された各試料を,3時間の間30℃の温度を持つ塩化ナ
トリウムの5%水溶液の噴霧中に放置することによつて
行われた。各試料に見つかつたさび個所の数は,耐食性
の尺度として数えられた。表2に示された結果は,本発
明による試料にさび個所が全く見つからなかつたか又は
ほとんど見つからなかつたとして,本発明の鋼が従来の
鋼F−2より耐食性の点で非常に勝つていることを証明
している。スパツタリングにより形成されたクロムの表
面層を持つ試料番号F′−2は,このような層を持たな
い試料番号F−2の耐食性をかなり改善することが分か
つたが,しかしこの改善された耐食性は,本発明の試料
により示された耐食性からは未だ非常にかけ離れてい
る。焼鈍状態での炭化物密度の点で本発明の範囲からは
ずれている比較試料は,良好な耐食性を持つていたが,
しかし既に述べたように,これらの比較試料が熱処理さ
れた場合に示した硬度は,高い切断品質を持ついかなる
かみそり刃にとつても低すぎた。
【0048】本発明の試料A−2,B−2,C−2,D
−2及びE−2と,従来の鋼の試料F−2及びF′−2
はそれぞれダブルエツジのかみそり刃を作るための下記
条件のもとで熱処理された。
【0049】熱処理の条件: オーステナイト化温度:1090℃ オーステナイト化のための保持時間:40sec 深冷処理温度:−70℃ 予備焼き戻し後のPTFE被覆を焼成するための湿度:
350℃
【0050】各かみそり刃はひげそり試験のために使用
された。この試験は1週間続けられ,その間,各かみそ
り刃は毎日使用された。この試験結果は表2に示されて
いる。試料F−2で作られたかみそり刃の切断エツジに
又はその近くに8つのさび個所が見つかり,スパツタリ
ングにより形成されたクロムの表面層を持つ試料F′−
2で作られたかみそり刃に4つのさび個所が見つかつ
た。他方,防銹性表面処理が本発明によるかみそり刃に
施されなかつたにも拘らず,本発明による鋼で作られた
かみそり刃の露出した切断エツジには少しのさび個所も
見つからなかつたし,又,刃保持体と通常接触する他方
の切断エツジにも腐食が見つからなかつた。
【0051】本発明による鋼を使用すれば,もはやいか
なる不動態化又は防銹油処理を含まない,簡単化された
方法によるかみそり刃の経済的製造が可能となる。本発
明のかみそり刃は,切断エツジを保護するための,クロ
ム,クロム白金,窒化クロムなどの被覆を形成するため
のいかなる表面処理も必要としない。このような被覆と
基体との間に生じやすい腐食は従来,重大な間題であつ
た。更に,通常100ないし500Åの厚さを持つ被覆
は,切断エツジの鋭さを損いやすかつた。このような被
覆を持たない本発明のかみそり刃は,鋭い刃先を持つて
おり,かつ高い切断品質を示すものである。
【0052】図2は,焼き入れ(オーステナイト化)温
度に関係して350℃で焼き戻された場合の試料C−2
の硬度を示している。これから明らかなように,この試
料は350℃で焼き戻された後でも少なくとも620の
ビツカース硬度を示した。これらの結果は,本発明のか
みそり刃が例えばPTFEを用いた表面処理の後でも少
なくとも620のビツカース硬度を維持し,従つて高い
切断品質及び長い寿命を持つことを証明している。
【0053】図4は,焼鈍された場合の,従来の鋼F−
2(0.67%C)及び本発明(0.50%C)を実現
する鋼C−2中の炭化物分布を1000倍率で示す1組
の顕微鏡写真である。図5は,同し鋼,即ちF−2及び
C−2からそれぞれ製造されたかみそり刃の切断エツジ
の組織を4000倍率で示す1組の顕微鏡写真である。
図5で数えられているように,本発明を実現する鋼で作
られたかみそり刃は100平方ミクロン当たり16の炭
化物粒子を含んでおり,他方,従来の鋼で作られたかみ
そり刃は100平方ミクロン当たり39の炭化物粒子を
含んでいる。本発明によるかみそり刃の一層低い密度
は,腐食が炭化物と鋼との間に一層生じにくいから,改
善された防銹性を保証する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋼を焼き入れするために用いられた温
度,焼き入れされた場合の鋼の硬度及び鋼の残留オース
テナイト含有量を示す図である。
【図2】本発明を実現する鋼C−2をオーステナイト化
するために用いられた温度及び焼き戻された場合のこの
鋼の硬度を示す図である。
【図3】かみそり刃の厚さ方向に沿つて変わる残留オー
ステナイトの量を示す図である。
【図4】1000倍率の電子顕微鏡で撮影された,焼鈍
状態の従来の鋼F−2及び本発明を実現する鋼C−2中
の炭化物分布をそれぞれ示す1組の写真である。
【図5】4000倍率の電子顕微鏡で撮影された,従来
の鋼F−2及び本発明を実現する鋼C−2から製造され
たかみそり刃の切断エツジのミクロ組織をそれぞれ示す
1組の写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋼を焼き入れするために用いられた温
度,焼き入れされた場合の鋼の硬度及び鋼の残留オース
テナイト含有量を示す図である。
【図2】本発明を実現する鋼C−2をオーステナイト化
するために用いられた温度及び焼き戻された場合のこの
鋼の硬度を示す図である。
【図3】かみそり刃の厚さ方向に沿つて変わる残留オー
ステナイトの量を示す図である。
【図4】1000倍率の電子顕微鏡で撮影された,焼鈍
状態の従来の鋼F−2及び本発明を実現する鋼C−2中
の炭化物分布をそれぞれ示す1組の金属組織の写真であ
る。
【図5】4000倍率の電子顕微鏡で撮影された,従来
の鋼F−2及び本発明を実現する鋼C−2から製造され
たかみそり刃の切断エツジのミクロ組織をそれぞれ示す
1組の金属組織の写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヴオルフガング・アルトハウス ドイツ連邦共和国ヴツペルタール12・ヒユ ルスベルク94 (72)発明者 態谷 敦 鳥取県米子市西町116−4西町コーポ205号

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 すべて重量で表わして,0.45%より
    多く0.55%より少ない炭素,0.4ないし1.0%
    の珪素,0.5ないし1.0%のマンガン,12ないし
    14%のクロム及び1.0ないし1.6%のモリブデン
    を含み,その組成の残部が鉄及び不可避な不純物であり
    かつ焼鈍された場合に100平方ミクロン当たり100
    ないし150の粒子の炭化物密度を持つことを特徴とす
    る,高耐食性の鋼。
  2. 【請求項2】 炭素が0.48%より多く0.52%よ
    り少なく,珪素が0.45ないし0.60%,マンガン
    が0.70ないし0.85%,クロムが13ないし14
    %,モリブデンが1.15ないし1.45%であること
    を待徴とする,請求項1に記載の鋼。
  3. 【請求項3】 すべて重量で表わして,0.45%より
    多く0.55%より少ない炭素,0.4ないし1.0%
    の珪素,0.5ないし1.0%のマンガン,12ないし
    14%のクロム及び1.0ないし1.6%のモリブデン
    を含み,その組成の残部が鉄及び不可避な不純物である
    鋼で作られ,少なくとも620のビツカース硬度及び完
    成したかみそり刃に100平方ミクロン当たり10ない
    し45の粒子の炭化物密度を持つことを特徴とする,高
    耐食性のかみそり刃。
  4. 【請求項4】 更に,表面の少なくとも一部にポリテト
    ラフルオロエチレン又はシリコーンの被覆を含んでいる
    ことを特徴とする,請求項3に記載のかみそり刃。
  5. 【請求項5】 鋼が,刃の表面から次第に減少しかつ表
    面において24ないし32%,表面より50ミクロン下
    の深さにおいて6ないし14%に達する残留オーステナ
    イト含有量を持つことを特徴とする,請求項3又は4に
    記載のかみそり刃。
  6. 【請求項6】 すべて重量で表わして,0.45%より
    多く0.55%より少ない炭素,0.4ないし1.0%
    の珪素,0.5ないし1.0%のマンガン,12ないし
    14%のクロム及び1.0ないし1.6%のモリブデン
    を含み,その組成の残部が鉄及び不可避な不純物であり
    かつ焼鈍状態で100平方ミクロン当たり100ないし
    150の粒子の炭化物密度を持つ帯鋼を1075℃ない
    し1120℃の温度で連続的にオーステナイト化し,帯
    鋼を焼き入れするために−60℃ないし−80℃の温度
    に冷却しかつ帯鋼を少なくとも620のビツカース硬度
    を持つように250℃ないし400℃の温度で焼き戻す
    ことを特徴とする,高耐食性のかみそり刃を製造する方
    法。
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