JPH0999306A - 熱間圧延用ロール - Google Patents

熱間圧延用ロール

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JPH0999306A
JPH0999306A JP25964295A JP25964295A JPH0999306A JP H0999306 A JPH0999306 A JP H0999306A JP 25964295 A JP25964295 A JP 25964295A JP 25964295 A JP25964295 A JP 25964295A JP H0999306 A JPH0999306 A JP H0999306A
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JP
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roll
hot rolling
carbides
resistance
hot
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JP25964295A
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Akira Noda
朗 野田
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性、耐肌荒れ性を有すると共に、耐焼
付性に優れた熱間圧延用ロールを提供する。 【解決手段】 ハイス材の基地組織中に微小炭化物を分
散した金属組織からなる使用層を有する熱間圧延用ロー
ルである。その金属組織は粒径2μm以下の微小炭化物を
1平方mm当たり60000個以上分散し、隣り合う微小炭化物
間の平均距離は10μm以下である。またMC系、M2C系、M6
C系、M7C3系炭化物の中の2種以上を20〜35面積%含有す
る。基地組織はベイナイトとマルテンサイトからなる。
このハイス材の化学成分範囲は特定されるが、さらに
ΔC=C−(0.2V+0.063Mo+0.033W+0.098Cr+0.13Nb)
にて規定されるΔCの値が0〜1.5の範囲内にある。この
ロールは900〜1200℃から焼入れを行った後、450〜600
℃に焼戻しする熱処理が施される。またこのロールは熱
間薄板圧延機の仕上列後段に用いて好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐事故性、耐摩耗性
及び耐肌荒れ性が必要とされる熱間圧延用ロールに関
し、特に熱間薄板圧延機の仕上列後段のワークロールに
用いて好適な熱間圧延用ロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、熱間薄板圧延機の仕上列後段には
グレン鋳鉄材を使用層(外層)とする複合ロールが使わ
れていた。一般にグレンロールは耐焼付性に優れ、絞り
圧延等異常圧延の事故に遭遇した際でも鋼板の焼付きが
少なく、その際のクラックの発生、進展が少ない。しか
し耐摩耗性については、最近適用が拡がりつつあるハイ
ス材を使用層とする複合ロールに比べてかなり劣ってい
る。一方ハイス材を使用層とするロール(以下「ハイス
ロール」と略記する)は耐摩耗性、耐肌荒れ性に優れて
いるが、絞り圧延等異常圧延の事故時に鋼板が焼付き易
く、この焼付き部分にバックアップロール或いは鋼板か
らの強圧により発生する応力が集中し、クラックの発
生、進展する場合が多い。またハイスロールは残留応力
が大きいためクラックの進展が速く、使用層がスポーリ
ングに至ることもある。
【0003】ロールの耐摩耗性を向上させる手段とし
て、MC系、M2C系等の硬質炭化物を晶出或いは析出させ
る方法が知られている。また前記の耐事故性を向上させ
る手段として、絞り圧延時の鋼板の焼付き防止や、クラ
ック進展を阻止するための残留応力適正化等が有効であ
る。
【0004】耐焼付性を向上させるためには、固体潤滑
剤となる黒鉛を生成させる方法があるが、硬質炭化物を
構成する元素であるV、Mo、Wは白銑化元素でもあるの
で、これら白銑化元素を多量に含むハイスロールに黒鉛
を晶出させ、硬質炭化物と黒鉛を共存させることは困難
であった。さらにハイスロールに黒鉛を晶出させて耐焼
付性をグレンロールと同等にすれば、耐摩耗性、耐肌荒
れ性は従来のハイスロールに及ばなくなるという問題点
もある。
【0005】またハイスロールは基地組織を強化するた
めの焼入れ処理が必須であるが、ハイス材の使用層と内
層材とは焼入れ時の変態挙動が異なるため、焼入れ時に
残留応力が発生する。例えばハイス材の使用層と鍛鋼の
内層とからなる複合ロールの場合、内層の方が焼入れ時
の熱収縮が大きいため、使用層に圧縮応力が発生して残
留する。焼入れ処理による使用層の残留圧縮応力はハイ
スロールのほうがグレンロールに比べて大きい。残留圧
縮応力が大きいときは、表面の初期クラックを防止する
のに都合が良いが、一旦クラックが表面に発生してしま
うと、円周方向の圧縮応力によりクラックが内部へ進展
し易くなるという問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上述の
問題点を解消し、耐摩耗性、耐肌荒れ性を有すると共
に、異常圧延に遭遇したときの耐事故性に優れた熱間圧
延用ロールを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために耐摩耗性、耐肌荒れ性に優れたハイス材
の基地組織中に微小な炭化物を分散させ、隣り合う微小
な炭化物間の平均距離を最適化することにより、耐焼付
性に優れたロール材質を見出した。
【0008】すなわち、本発明は粒径2μm以下の微小炭
化物を1平方mm当たり60000個以上分散したハイス材の金
属組織からなる使用層を有する熱間圧延用ロールにあ
る。
【0009】前記金属組織において、隣り合う微小炭化
物間の平均距離は10μm以下である。
【0010】前記金属組織はMC系、M2C系、M6C系、M7C3
系炭化物の中の2種以上を20〜35面積%含有する。
【0011】前記金属組織の中の基地は実質的にベイナ
イト組織及びマルテンサイト組織からなる。
【0012】また、前記ハイス材の化学成分は重量比で
C:2.5〜4.0%、Si:0.5〜2.0%、Mn:0.1〜1.5%、C
r:3.0〜10.0%、Mo:2.0〜10.0%、V:2.0〜10.0%、
残部はFe及び不純物元素からなる。
【0013】上記ハイス材の化学成分は重量比でさらに
Ni:0.2〜2.0%、W:2.0〜10.0%、Co:1.0〜10.0%、N
b:1.0〜10.0%、Ti:0.01〜2.0%、B:0.002〜0.2%の
中の1種以上を含有する。
【0014】前記ハイス材の化学成分は次式に示すΔC
の値が0〜1.5の範囲内にある。 ΔC=C−(0.2V+0.063Mo+0.033W+0.098Cr+0.13Nb)
【0015】また、本発明の熱間圧延用ロールは900〜1
200℃から焼入れを行った後、450〜600℃に焼戻しの熱
処理が施される。
【0016】また、本発明の熱間圧延用ロールは熱間薄
板圧延機の仕上列後段に用いられる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の熱間圧延用ロールが要点
とするところは上述の通りであるが、さらに具体的に本
発明の熱間圧延用ロールについて研究を行なった結果は
以下の通りである。
【0018】(1) 後述の図4に示す焼付試験機を用
いて焼付実験を行った結果、焼付性に影響を及ぼす金属
組織の構成要素は黒鉛と炭化物であることがわかった。
基地のみではグレン材でも完全に焼き付いた。面積比で
0.5%以上の黒鉛を晶出させると耐焼付性に効果があ
り、黒鉛面積比が大きくなるほど焼付面積が少なくな
る。逆に黒鉛面積率が大きくなるほど、耐摩耗性、耐肌
荒れ性が悪くなる傾向がある。黒鉛を晶出させると、同
時にセメンタイトも晶出するが、セメンタイトは比較的
軟質な炭化物であるため耐摩耗性の効果が少ないが、さ
らにセメンタイトが晶出すると他の硬質炭化物を晶出し
にくくなり、耐摩耗性が低下する。以上の理由により本
発明では黒鉛を晶出させない。
【0019】(2) 従来のハイス材に面積比で30%以
上の晶出炭化物を生成させると耐焼付性に効果がある
が、晶出炭化物のみでその量を確保しようとすれば、C
r、Mo、V、W等硬質炭化物生成元素を各々前記化学成分
範囲の上限まで添加する必要があり、これに伴って機械
的性質が著しく低下する。
【0020】(3) 本発明においては、基地中に微小
な炭化物を生成させることにより、耐焼付性を向上させ
ることを考えた。基地中の微小炭化物は機械的性質に悪
影響を及ぼしにくく、実質的な炭化物の面積率を向上で
きる。具体的には、粒径2μm以下の微小な炭化物を1平
方mm当たり60000個以上、微小炭化物間の平均距離を10
μm以下のとき耐焼付性の効果が認められた。本発明ハ
イス材においては、晶出炭化物と微小炭化物とを合わせ
た全炭化物の面積率が35%までは機械的性質も確保でき
る。また耐焼付性に効果があるのは面積率20%以上であ
る。従って全炭化物量は20〜35面積%である。なお、従
来のハイス材の微小炭化物の数は1平方mm当たり10000〜
40000個、微小炭化物間の平均距離は30〜60μm程度であ
る。
【0021】(4) ハイスロールに晶出する硬質炭化
物の種類として、MC系、M2C系、M6C系、M7C3系がある。
ロール用ハイス材の場合は単一炭化物のみで金属組織を
構成することは困難である。例えばMC系炭化物は最も硬
質であり、耐摩耗性には有効であるが、これのみでは圧
延に供したときに欠け落ち状の肌荒れが生じる。逆にMC
系炭化物がないと耐摩耗性が著しく低下する。このため
複数の炭化物がバランス良く含まれることが、耐摩耗性
と耐肌荒れ性を両立させるためには大切である。
【0022】(5) 本発明材の基地組織は実質的にベ
イナイト及びマルテンサイトからなる。
【0023】上記(1)〜(5)を満たす金属組織の構
成にするため、本発明ロールの化学成分は次の通り限定
する。
【0024】C:2.5〜4.0重量% Cは、同時に添加されるCr、V、Mo、Wと結合して硬質の
炭化物を生成し、耐摩耗性の向上に寄与すると共に、基
地中に微小炭化物を生成させて耐焼付性を向上させるの
に必要である。Cが2.5重量%未満では基地中の微小炭化
物量が不足し、微小炭化物間平均距離が大きくなってし
まう。4.0重量%を超えると晶出炭化物が多くなりすぎ
靭性が低下する。
【0025】Si:0.5〜2.0重量% Siは溶湯の脱酸のためと高温時の基地強化のため、0.5
重量%以上必要であるが、2.0重量%を超えると基地が
脆化し靭性が低下する。
【0026】Mn:0.1〜1.5重量% Mnは溶湯の脱酸や不純物であるSと結合して靭性の低下
を防止するため、0.1重量%以上必要である。しかし、
1.5重量%を超えると残留オーステナイトを生じやすく
なり安定して硬さを維持できない。
【0027】Cr:3.0〜10.0重量% Crはハイス材としての必須元素である。基地をベイナイ
ト組織或いはマルテンサイト組織にして硬さを保持し、
耐摩耗性を維持するのに有効であり、3.0重量%以上必
要である。しかし、過剰になると基地の靱性を低下させ
るばかりでなく、Cr系炭化物(M7C3系、M23C6系)が多
く晶出する。この炭化物は、適量であれば耐肌荒れ性に
効果があるが、過剰になると脆くなる。このためCrの上
限は10.0重量%とする。
【0028】Mo:2.0〜10.0重量% MoはCと結合して硬質のM6C系、M2C系炭化物を生成し、
かつ基地中にも固溶して基地を強化するので、耐摩耗性
向上に有効である。しかし、過剰になると脆くなる。こ
のため、好ましいMo含有量は2.0〜10.0重量%である。
【0029】V:2.0〜10.0重量% VはCと結合してMC系炭化物を生成する。このMC系炭化物
の硬さはHv2500〜3000であり、炭化物の中で最も硬い。
このため、Vは耐摩耗性の向上に最も効果のある必須元
素であるが、過剰になると炭化物粒径が大きくなり、圧
延に供したときに欠け落ち状の肌荒れを生じることがあ
る。このためV含有量は2.0〜10.0重量%とする。
【0030】Ni:0.2〜2.0重量% 本発明ロールは上述元素の他にNiを含むことができる。
Niは基地の焼入れ性の向上に有効であり、0.2重量%以
下ではその効果を期待できず、2.0重量%を超えるとオ
ーステナイトが安定化しすぎ、ベイナイト及びマルテン
サイト組織に変態しにくくなる。
【0031】W:2.0〜10.0重量% 本発明ロールは上述元素の他にWを含むことができる。W
はMoと同様、Cと結合して硬質のM6C系、M2C系炭化物を
生成し、かつ基地組織中にも固溶して基地を強化するの
で、耐摩耗性向上に有効である。反面、過剰になると脆
くなる。このため、好ましいW含有量は2.0〜10.0重量%
である。
【0032】Co:1.0〜10.0重量% 本発明ロールは上述元素の他にCoを含むことができる。
Coは基地組織の強化に有効であるが、過剰になると靭性
を低下させる。このため、Co含有量は1.0〜10.0重量%
とする。
【0033】Nb:1.0〜10.0重量% 本発明ロールは上述元素の他にNbを含むことができる。
NbはVと同様、Cと結合してMC系炭化物を生成する。前述
のようにMC系炭化物は炭化物の中で最も硬いため、Nbは
耐摩耗性の向上に効果があるが、過剰になると圧延に供
したときに欠け落ち状の肌荒れを生じることがある。こ
のためNbの含有量は1.0〜10.0重量%とする。
【0034】Ti:0.01〜2.0重量% 本発明ロールは上述元素の他にTiを含むことができる。
Tiは組織を粒状化させるため、耐肌荒れ性向上に効果が
ある。添加量が0.01%未満では効果を期待できない。ま
た、Tiは歩留まり性が悪く、2.0%を超えて含ませるこ
とが困難であるため、Ti含有量は0.01〜2.0重量%とす
る。
【0035】B:0.002〜0.2重量% 本発明ロールは上述元素の他にBを含むことができる。B
は炭化物を微細化するため、耐肌荒れ性の向上に効果が
ある。添加量0.002%未満ではその効果が十分に発揮さ
れず、0.2%を超えると炭化物が不安定になり、逆に耐
肌荒れ性に悪影響を与える。このため、好ましいBの含
有量は0.002〜0.2重量%である。
【0036】残部 上述元素以外の残部は、不純物元素を除いて、Feであ
る。主な不純物元素はPとSであるが、Pは靭性低下防止
のため0.1重量%以下、Sも同様理由により0.08重量%以
下とするのが望ましい。
【0037】さらに、基地中の微小な炭化物が1平方mm
当たり60000個以上晶出或いは析出させるために、下式
で表わすΔC値を0〜1.5の範囲内にすることが必要であ
る。 ΔC=C−(0.2V+0.063Mo+0.033W+0.098Cr+0.13Nb) ΔC値が0未満(負値側)では微小炭化物の数が不足し、
従来ハイスロールに比べ耐焼付性が改善されない。ま
た、1.5を超えるとセメンタイトが晶出しはじめるた
め、耐摩耗性、耐肌荒れ性が低下する。
【0038】また、本発明ロールには焼入れと焼戻しの
熱処理が施される。即ち900〜1200℃から焼入れ後、450
〜600℃で所定回焼戻し処理するのを基本とする。
【0039】本発明ロールは、ハイス材の使用層を外層
とし、鋳鋼、鍛鋼等の強靱性材料を芯材とした複合ロー
ルに形成する場合は、遠心力鋳造法或いは連続肉盛鋳造
法等が適用できる。また、使用層の材質のみで単一材質
リングロール或いはスリーブロールに形成する場合は、
遠心力鋳造法或いは静置鋳型鋳造法等が適用できる。
【0040】
【実施例】
実施例1 表1の試験材No.1〜6に示す本発明ハイス材の1550℃に
加熱した溶湯を直径100mm・深さ100mmの砂型へ鋳込温度1
400℃にて鋳込んで試験材を製作した。こうして得た各
試験材に1000℃にて焼入れ後続けて550℃にて3回の焼戻
しを施した。試験材No.7はグレン鋳鉄材であり、試験材
No.8は従来のハイス材である。
【0041】図1〜3に本発明ハイス材の試験材No.2及
び従来ハイス材の試験材No.8の鋳型底面から50mmの位置
の100倍の金属組織写真を示す。各図の中で、(a)は
試験材No.2、(b)は試験材No.8である。図1は試験材
をダイヤモンドで研摩した後、ピクリン酸溶液で腐食し
た金属組織であり、両試験材とも焼戻しベイナイト及び
マルテンサイトの基地組織と炭化物が観察される。図2
はクロム酸溶液で電解腐食した金属組織であり、MC系炭
化物が黒色部として観察される。図3は過硫酸アンモニ
ウム溶液で腐食した金属組織であり、全炭化物(MC系、
M2C系、M6C系、M7C3系)が観察される。表2にこれら試
験材の炭化物面積率と1平方mm当たりの微小炭化物数と
微小炭化物間の平均距離を日本アビオニクス(株)製の
画像解析装置により測定した結果を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】実施例2 実施例1の試験材No.2から、鋳型底面から50mm位置が試
験面となるように30mm×25mm×25mmの直方体を製作し、
図4に示す摩擦熱衝撃試験機で焼付試験を行った。さら
に試験材No.2から、外径60mm、内径40mm、幅40mmの小型
スリーブロールを製作し、図5に示す圧延試験機により
摩耗試験を行なった。摩耗量は圧延試験を繰り返し2回
行った後の値を採用した。比較のためのグレン材(試験
材No.7)と従来ハイス材(試験材No.8)についても同様
の試験を行った。
【0045】図4の摩擦熱衝撃試験機は、ラック14に重
り13を落下させることによりピニオン15を回転させ、試
験材11に軟鋼材12を強く噛込みさせ、試験材の噛込み面
に発生した焼付き状況とクラックの発生状況を評価する
試験機である。
【0046】図5の圧延試験機は圧延機21と、圧延機21
に組み込まれた試験材上ロール22及び下ロール23と、試
験材ロール22及び23を支える補強上ロール及び下ロール
(図示せず)と、圧延材24を予熱する加熱炉25と、圧延
材24を冷却する冷却水槽26と、圧延材24に一定のテンシ
ョンを与える巻取機27と、テンションを調節するテンシ
ョン調節機28とからなる。
【0047】圧延試験の条件は次の通りである。 圧延材料:SUS304(厚さ1mm、幅15mm) 圧下率:25% 圧延速度:150m/min. 圧延材温度:900℃ 圧延距離:300m/1回の圧延試験 ロール冷却:水冷 ロール :試験材ロール 上下各1個、補強ロール(図示せず)上下各1個
【0048】試験結果を表3に示す。本発明のロール
(試験材No.2)の摩擦熱衝撃試験機による焼付面積率は
グレン鋳鉄ロール(試験材No.7)とほぼ同等、従来ハイ
スロール(試験材No.8)の約1/2である。圧延試験の摩
耗量はグレン鋳鉄ロールの約1/4、従来ハイスロールと
ほぼ同等である。また圧延面の肌粗さもグレン鋳鉄ロー
ルの約1/2、従来ハイスロール同等以上の結果を得てい
る。これらの結果により、本発明による熱間圧延用ロー
ルは耐焼付性が従来のグレン鋳鉄ロールと同等で耐摩耗
性が4倍という優れた性能を発揮することがわかった。
【0049】
【表3】
【0050】実施例3 実施例1の試験材のうちNo.2の化学成分にて、鍛鋼材を
芯材として連続肉盛鋳造法により外径700mm・胴長2400mm
のロールを製作した。溶解温度及び鋳込温度は1600℃、
鋳型内温度は1300〜1320℃である。鋳造したロールは歪
取り焼鈍の後、1000℃で焼入れを行い、その後さらに55
0℃×20時間の焼戻しを3回行った。
【0051】ロール胴部の鋳造上部、中央部、下部位置
において、深さ方向25mmの位置から切り出した試験片の
化学成分の分析結果と炭化物面積率と1平方mm当たりの
微小炭化物数と微小炭化物間平均距離の調査結果を表4
に示す。この結果は実施例1の本発明試験材No.2と同等
水準であり、耐摩耗性、耐焼付性の両方共に良好な性能
を有していると考えられる。
【0052】
【表4】
【0053】
【発明の効果】基地中の微小炭化物を制御させることに
より、耐摩耗性、耐肌荒れ性と耐焼付性を合わせ持った
熱間圧延用ロールの提供が可能となり、特に熱間薄板圧
延機の仕上列後段において優れた性能を発揮し、さらに
は圧延工場における生産性の向上が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】同図(a)は実施例1の本発明ハイス試験材N
o.2を、(b)は同じく従来ハイス試験材No.8をピクリ
ン酸溶液で腐食した金属組織写真である。
【図2】同図(a)は実施例1の本発明ハイス試験材N
o.2を、(b)は同じく従来ハイス試験材No.8をクロム
酸溶液で電解腐食した金属組織写真である。
【図3】同図(a)は実施例1の本発明ハイス試験材N
o.2を、(b)は同じく従来ハイス試験材No.8を過硫酸
アンモニウム溶液で腐食した金属組織写真である。
【図4】本発明に用いた摩擦熱衝撃試験機の説明図であ
る。
【図5】本発明に用いた圧延試験機の説明図である。
【符号の説明】
11:試験材 12:軟鋼材 1
3:重り 14:ラック 15:ピニオン 21:圧延機 22:試験材上ロール 2
3:試験材下ロール 24:圧延材 25:加熱炉 2
6:冷却水槽 27:巻取機 28:テンション調節機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/24 C22C 38/24 38/46 38/46

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハイス材の基地組織中に粒径2μm以下の
    微小炭化物を1平方mm当たり60000個以上分散した金属組
    織からなる使用層を有することを特徴とする熱間圧延用
    ロール。
  2. 【請求項2】 前記金属組織において、隣り合う微小炭
    化物間の平均距離が10μm以下であることを特徴とする
    請求項1に記載の熱間圧延用ロール。
  3. 【請求項3】 前記金属組織はMC系、M2C系、M6C系、M7
    C3系炭化物の中の2種以上を20〜35面積%含有すること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の熱間圧延用ロー
    ル。
  4. 【請求項4】 前記金属組織の中の基地は実質的にベイ
    ナイト組織及びマルテンサイト組織からなることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱間圧延用ロー
    ル。
  5. 【請求項5】 前記ハイス材の化学成分は重量比でC:
    2.5〜4.0%、Si:0.5〜2.0%、Mn:0.1〜1.5%、Cr:3.
    0〜10.0%、Mo:2.0〜10.0%、V:2.0〜10.0%、残部は
    Fe及び不純物元素からなることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の熱間圧延用ロール。
  6. 【請求項6】 前記ハイス材の化学成分は重量比でさら
    にNi:0.2〜2.0%、W:2.0〜10.06、Co:1.0〜10.0
    %、Nb:1.0〜10.0%、Ti:0.01〜2.0%、B:0.002〜0.
    2%の中の1種以上を含有することを特徴とする請求項
    5に記載の熱間圧延用ロール。
  7. 【請求項7】 前記ハイス材の化学成分は次式に示すΔ
    Cの値が0〜1.5の範囲内にあることを特徴とする請求項
    1〜6のいずれかに記載の熱間圧延用ロール。 ΔC=C−(0.2V+0.063Mo+0.033W+0.098Cr+0.13Nb)
  8. 【請求項8】 900〜1200℃から焼入れを行った後、450
    〜600℃に焼戻す熱処理が施されてなることを特徴とす
    る請求項1〜7のいずれかに記載の熱間圧延用ロール。
  9. 【請求項9】 熱間薄板圧延機の仕上列後段に用いられ
    ることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の熱
    間圧延用ロール。
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