JPH05116988A - ハーフミラー用複合酸化物薄膜 - Google Patents
ハーフミラー用複合酸化物薄膜Info
- Publication number
- JPH05116988A JPH05116988A JP4086157A JP8615792A JPH05116988A JP H05116988 A JPH05116988 A JP H05116988A JP 4086157 A JP4086157 A JP 4086157A JP 8615792 A JP8615792 A JP 8615792A JP H05116988 A JPH05116988 A JP H05116988A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thin film
- oxide thin
- half mirror
- composite oxide
- resistance
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
- Surface Treatment Of Glass (AREA)
- Glass Compositions (AREA)
- Silicon Compounds (AREA)
- Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】耐久性(耐アルカリ性、耐酸性、耐磨耗性、耐
汚れ性)の優れた、ハーフミラー用複合酸化物薄膜を提
供する。 【構成】Si: 5〜50原子%、Ti: 5〜80原子%、Nb: 5
〜80原子%からなる複合酸化物薄膜であり、P2O5を含有
していてもよい。 【効果】Nbを、Si/Ti系にさらに複合させた複合酸化物
薄膜は、耐久性が著しく改善される。
汚れ性)の優れた、ハーフミラー用複合酸化物薄膜を提
供する。 【構成】Si: 5〜50原子%、Ti: 5〜80原子%、Nb: 5
〜80原子%からなる複合酸化物薄膜であり、P2O5を含有
していてもよい。 【効果】Nbを、Si/Ti系にさらに複合させた複合酸化物
薄膜は、耐久性が著しく改善される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複合酸化物薄膜に係
り、さらに詳しくは、金属組成が、Si, TiおよびNbから
なるハーフミラー用の複合酸化物薄膜に関する。
り、さらに詳しくは、金属組成が、Si, TiおよびNbから
なるハーフミラー用の複合酸化物薄膜に関する。
【0002】本発明の複合酸化物薄膜は、熱線反射膜、
装飾ガラス、乗用車や航空機のフロントガラスの内側表
面に形成するヘッドアップディスプレイ等に用いるハー
フミラーとして好適である。
装飾ガラス、乗用車や航空機のフロントガラスの内側表
面に形成するヘッドアップディスプレイ等に用いるハー
フミラーとして好適である。
【0003】
【従来の技術】ハーフミラーとしては金属アルコキシド
溶液を用いたディツピング法で形成したTiO2とSiO2との
複合酸化物薄膜が知られている。
溶液を用いたディツピング法で形成したTiO2とSiO2との
複合酸化物薄膜が知られている。
【0004】
【発明が解決しょうとする問題点】TiO2とSiO2との複合
酸化物薄膜は、耐磨耗性、耐薬品性、耐湿性等の耐久性
が不足するため、ハーフミラーとして用いた場合、ユー
ザーが布やクリナーでガラスを払拭したり、あるいは嗜
好品や芳香剤を飛散させると、複合酸化物薄膜にキズが
付いたり、膜の剥離や、付着した汚れが取れなくなるな
どの不都合が生じることがある。
酸化物薄膜は、耐磨耗性、耐薬品性、耐湿性等の耐久性
が不足するため、ハーフミラーとして用いた場合、ユー
ザーが布やクリナーでガラスを払拭したり、あるいは嗜
好品や芳香剤を飛散させると、複合酸化物薄膜にキズが
付いたり、膜の剥離や、付着した汚れが取れなくなるな
どの不都合が生じることがある。
【0005】本発明は、耐磨耗性、耐薬品性あるいは耐
湿性などの耐久性や耐汚染性に優れたハーフミラー用の
複合酸化物薄膜を提供することをその目的とする。
湿性などの耐久性や耐汚染性に優れたハーフミラー用の
複合酸化物薄膜を提供することをその目的とする。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は、前記目
的を達成すべく鋭意研究した結果、金属としてSiとTiと
からなる組成に、さらにNbを添加した複合酸化物薄膜が
耐久性および耐汚染性に優れ、ハーフミラーとして好適
であることを見出し、本発明を完成した。
的を達成すべく鋭意研究した結果、金属としてSiとTiと
からなる組成に、さらにNbを添加した複合酸化物薄膜が
耐久性および耐汚染性に優れ、ハーフミラーとして好適
であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】本発明は、下記(a), (b)および(c) からな
る金属原子組成の複合酸化物薄膜からなることを特徴と
するハーフミラー用複合酸化物薄膜である。 (a) Si: 5〜50原子% (b) Ti: 5〜80原子% (c) Nb: 5〜80原子% 以下、本発明を詳細に説明する。
る金属原子組成の複合酸化物薄膜からなることを特徴と
するハーフミラー用複合酸化物薄膜である。 (a) Si: 5〜50原子% (b) Ti: 5〜80原子% (c) Nb: 5〜80原子% 以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】(ハーフミラー用複合酸化物薄膜組成)ハ
ーフミラー用複合酸化物薄膜は、屈折率および反射率の
制御された膜であり、ハーフミラーとしての使用目的に
より屈折率および反射率は適宜設定される。複合酸化物
薄膜の屈折率および反射率は、低屈折率の金属酸化物、
たとえばSiO2と高屈折率の金属酸化物、たとえばTiO2,
Nb2O5 等との混合比率を変化させることにより制御され
る。
ーフミラー用複合酸化物薄膜は、屈折率および反射率の
制御された膜であり、ハーフミラーとしての使用目的に
より屈折率および反射率は適宜設定される。複合酸化物
薄膜の屈折率および反射率は、低屈折率の金属酸化物、
たとえばSiO2と高屈折率の金属酸化物、たとえばTiO2,
Nb2O5 等との混合比率を変化させることにより制御され
る。
【0009】ハーフミラー用複合酸化物薄膜の好適な組
成は、金属原子比として、Si: 5〜50原子%好ましくは
10〜30原子%、Ti: 5〜80原子%好ましくは40〜60原子
%、Nb: 5〜80原子%好ましくは10〜30原子%であり、
さらにP2O5を含んでもよい。P2O5の配合比は、全酸化物
の重量換算で、0.5 〜10重量%好ましくは 1〜 7重量%
である。複合酸化物薄膜の屈折率および反射率を制御す
る低屈折率の酸化物として、SiO2は必須である。一方、
高屈折率の膜成分としてTiO2およびNb2O5 が選択され
る。経済性を考慮した場合、TiO2の配合が多い方が好ま
しいが複合酸化物薄膜の耐蝕性および耐汚染性のために
Nb2O5 必須な成分として添加される。P2O5は、複合酸化
物薄膜中の高屈折率成分の結晶化および結晶粒の成長を
抑制してガラス化し、複合酸化物薄膜の耐久性を向上さ
せる成分として、その添加が好ましい。
成は、金属原子比として、Si: 5〜50原子%好ましくは
10〜30原子%、Ti: 5〜80原子%好ましくは40〜60原子
%、Nb: 5〜80原子%好ましくは10〜30原子%であり、
さらにP2O5を含んでもよい。P2O5の配合比は、全酸化物
の重量換算で、0.5 〜10重量%好ましくは 1〜 7重量%
である。複合酸化物薄膜の屈折率および反射率を制御す
る低屈折率の酸化物として、SiO2は必須である。一方、
高屈折率の膜成分としてTiO2およびNb2O5 が選択され
る。経済性を考慮した場合、TiO2の配合が多い方が好ま
しいが複合酸化物薄膜の耐蝕性および耐汚染性のために
Nb2O5 必須な成分として添加される。P2O5は、複合酸化
物薄膜中の高屈折率成分の結晶化および結晶粒の成長を
抑制してガラス化し、複合酸化物薄膜の耐久性を向上さ
せる成分として、その添加が好ましい。
【0010】(複合酸化物薄膜形成用組成物)前記複合
酸化物薄膜を形成するための組成物は、前記各金属を金
属種とする有機金属化合物を、前記金属原子比となるよ
うに配合し、さらに所望によりリン化合物を配合した組
成物である。これらの組成物は、成膜法により異なる
が、有機溶剤に溶解した溶液型、増粘剤等を加えたイン
キ型等の各種の態様の組成物として利用される。
酸化物薄膜を形成するための組成物は、前記各金属を金
属種とする有機金属化合物を、前記金属原子比となるよ
うに配合し、さらに所望によりリン化合物を配合した組
成物である。これらの組成物は、成膜法により異なる
が、有機溶剤に溶解した溶液型、増粘剤等を加えたイン
キ型等の各種の態様の組成物として利用される。
【0011】これらの有機金属化合物として、各金属の
アルコキシド類およびそれらの加水分解縮合物が、好ま
しく使用される。具体例を下記にあげる。 Si化合物:ジメトキシジエトキシシラン、テトラブトキ
シシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、ジエチルジメトキシシ
ラン等の単量体および/またはそれらの少なくとも1種
の加水分解縮合物 Ti化合物:テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタ
ン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタ
ン、ジエトキシジイソプロポキシチタン等の単量体およ
び/またはそれらの少なくとも1種の加水分解縮合物 Nb化合物:ペンタメトキシニオブ、ペンタエトキシニオ
ブ、ペンタイソプロポキシニオブ、ペンタブトキシニオ
ブ等の単量体および/またはそれらの少なくとも1種の
加水分解縮合物 また、前記有機金属化合物の金属種の異なる2種以上を
加水分解して縮重合し、前記金属組成とした組成物も好
ましく使用される。
アルコキシド類およびそれらの加水分解縮合物が、好ま
しく使用される。具体例を下記にあげる。 Si化合物:ジメトキシジエトキシシラン、テトラブトキ
シシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、ジエチルジメトキシシ
ラン等の単量体および/またはそれらの少なくとも1種
の加水分解縮合物 Ti化合物:テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタ
ン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタ
ン、ジエトキシジイソプロポキシチタン等の単量体およ
び/またはそれらの少なくとも1種の加水分解縮合物 Nb化合物:ペンタメトキシニオブ、ペンタエトキシニオ
ブ、ペンタイソプロポキシニオブ、ペンタブトキシニオ
ブ等の単量体および/またはそれらの少なくとも1種の
加水分解縮合物 また、前記有機金属化合物の金属種の異なる2種以上を
加水分解して縮重合し、前記金属組成とした組成物も好
ましく使用される。
【0012】P2O5源として、空気中で 500℃程度の加熱
により、P2O5を生成する化合物、たとえば、P2O5のアル
コ−ル溶液、燐酸、ポリリン酸等が使用される。
により、P2O5を生成する化合物、たとえば、P2O5のアル
コ−ル溶液、燐酸、ポリリン酸等が使用される。
【0013】(溶剤)溶剤は、前記各有機金属化合物お
よび所望により添加されるリン化合物の均一混合系を得
るために使用されるが、前記有機金属化合物および/ま
たはそれらの加水分解縮合物を均一に溶解するものな
ら、特に制限はない。たとえばイソプロパノール、n−
ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール系
溶剤、ヘキシレングリコール等のグリコール系溶剤、フ
ェニルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ等のセロソルブ系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等の
エステル系溶剤などが使用される。
よび所望により添加されるリン化合物の均一混合系を得
るために使用されるが、前記有機金属化合物および/ま
たはそれらの加水分解縮合物を均一に溶解するものな
ら、特に制限はない。たとえばイソプロパノール、n−
ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール系
溶剤、ヘキシレングリコール等のグリコール系溶剤、フ
ェニルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ等のセロソルブ系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等の
エステル系溶剤などが使用される。
【0014】(増粘剤)増粘剤は、印刷法により成膜す
る場合のインキ型の組成物を製造する場合に、組成物の
粘度を印刷法に好適なインキ粘度にするために添加され
るが、前記有機金属化合物および所望により添加される
リン化合物の均一混合系が、印刷法に適した粘度を有す
る場合には必ずしも添加する必要はない。増粘剤とし
て、使用する有機溶剤に可溶な高分子化合物が、特に制
限はなく使用される。たとえばエチルセルロース、メチ
ルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアル
コール、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロ
ピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース等が好適に
使用される。
る場合のインキ型の組成物を製造する場合に、組成物の
粘度を印刷法に好適なインキ粘度にするために添加され
るが、前記有機金属化合物および所望により添加される
リン化合物の均一混合系が、印刷法に適した粘度を有す
る場合には必ずしも添加する必要はない。増粘剤とし
て、使用する有機溶剤に可溶な高分子化合物が、特に制
限はなく使用される。たとえばエチルセルロース、メチ
ルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアル
コール、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロ
ピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース等が好適に
使用される。
【0015】(複合酸化物薄膜の形成)前記複合酸化物
薄膜形成用組成物を、透明な基板、通常ガラス基板に均
一な厚さに塗布し、空気中において 300〜 700℃、好ま
しくは 450〜 650℃の温度に加熱して焼成することによ
り形成する。複合酸化物薄膜形成用組成物の透明な基板
への塗布法として、均一な厚みの塗膜の得られる方法
が、特に制限なく採用される。たとえば、ディッピング
法、スピンナー法、スクリーン印刷法、転写印刷法等を
採用することができるが、形成される複合金属酸化物薄
膜のパターンニングが必要な場合には、スクリーン印
刷、転写印刷等の印刷法が好ましく採用される。
薄膜形成用組成物を、透明な基板、通常ガラス基板に均
一な厚さに塗布し、空気中において 300〜 700℃、好ま
しくは 450〜 650℃の温度に加熱して焼成することによ
り形成する。複合酸化物薄膜形成用組成物の透明な基板
への塗布法として、均一な厚みの塗膜の得られる方法
が、特に制限なく採用される。たとえば、ディッピング
法、スピンナー法、スクリーン印刷法、転写印刷法等を
採用することができるが、形成される複合金属酸化物薄
膜のパターンニングが必要な場合には、スクリーン印
刷、転写印刷等の印刷法が好ましく採用される。
【0016】
【作 用】本発明のハーフミラー用複合酸化物薄膜は
Si,TiおよびNbの酸化物からなることを特徴とする。
Si,TiおよびNbの酸化物からなることを特徴とする。
【0017】ハーフミラーとして機能するためには、次
の要求特性を満足する必要がある。 可視光透過率は高いこと。 高度の耐久性
の要求特性を満足する必要がある。 可視光透過率は高いこと。 高度の耐久性
【0018】上記の要求特性はハーフミラーの純光学
的特性であり、屈折率と膜厚で規定され、例1:膜厚 4
00オングストローム、屈折率 1.8、例2:膜厚800オン
グストローム、屈折率 1.9、例3:膜厚2,000 オングス
トローム、屈折率 2.0である。たとえば膜厚が約 400オ
ングストロームのディプ膜の場合、酸化チタン膜の屈折
率は約 2.3、酸化ニオブ膜は約 2.1、酸化シリコン膜は
約 1.5であるので、2ないし3種類の金属酸化物を複合
させるこにより、所定の屈折率の膜が得られる。
的特性であり、屈折率と膜厚で規定され、例1:膜厚 4
00オングストローム、屈折率 1.8、例2:膜厚800オン
グストローム、屈折率 1.9、例3:膜厚2,000 オングス
トローム、屈折率 2.0である。たとえば膜厚が約 400オ
ングストロームのディプ膜の場合、酸化チタン膜の屈折
率は約 2.3、酸化ニオブ膜は約 2.1、酸化シリコン膜は
約 1.5であるので、2ないし3種類の金属酸化物を複合
させるこにより、所定の屈折率の膜が得られる。
【0019】前記の要求特性には、耐薬品性、耐磨耗
性、耐汚れ性等があり、ユーザーにより各項目の試験方
法や規格値は異なるが、代表例を次に示す。 耐アルカリ性(室温の0.1Nの苛性ソ−ダの水溶液×10
日浸積後の透過率減少が1%以下) 耐酸性(室温の0.1Nの硫酸の水溶液×10日浸積後の透
過率減少が1%以下) 耐磨耗性(テーパー磨耗試験:500gの荷重で 100回転
後のヘーズ率が1%以下) 耐汚れ性(脂肪酸、ワックス、カ−ボン、土壌等を含
む汚染物を塗布し100℃で24時間加熱後拭き取った後の
透過率減少が1%以下)
性、耐汚れ性等があり、ユーザーにより各項目の試験方
法や規格値は異なるが、代表例を次に示す。 耐アルカリ性(室温の0.1Nの苛性ソ−ダの水溶液×10
日浸積後の透過率減少が1%以下) 耐酸性(室温の0.1Nの硫酸の水溶液×10日浸積後の透
過率減少が1%以下) 耐磨耗性(テーパー磨耗試験:500gの荷重で 100回転
後のヘーズ率が1%以下) 耐汚れ性(脂肪酸、ワックス、カ−ボン、土壌等を含
む汚染物を塗布し100℃で24時間加熱後拭き取った後の
透過率減少が1%以下)
【0020】前記耐酸性および耐磨耗性は、従来公知の
TiO2/SiO2系に、5価金属であるNbの酸化物を添加複合
させることにより達成されるが、4価金属であるTiおよ
びSiの酸化物に5価金属の酸化物を複合させることによ
り、架橋密度が増加するためと推定される。これらの特
性を得るためのNbの酸化物の複合量は、焼成条件により
異なるが、金属原子比として 5原子%以上から添加効果
が認められるが、効果の十分な発現と経済的効果を考慮
すると、10〜30原子%が好ましい。
TiO2/SiO2系に、5価金属であるNbの酸化物を添加複合
させることにより達成されるが、4価金属であるTiおよ
びSiの酸化物に5価金属の酸化物を複合させることによ
り、架橋密度が増加するためと推定される。これらの特
性を得るためのNbの酸化物の複合量は、焼成条件により
異なるが、金属原子比として 5原子%以上から添加効果
が認められるが、効果の十分な発現と経済的効果を考慮
すると、10〜30原子%が好ましい。
【0021】さらに耐酸性および耐磨耗性は、P2O5の添
加によりさらに改善されるが、P2O5は、複合酸化物薄膜
をガラス化するだけでなく、基板との密着性も向上する
ことによるものと推定される。P2O5の添加量は複合酸化
薄膜中の全酸化物の重量換算で、 0.5〜10重量%、好ま
しくは 1〜 7重量%である。 0.5重量%以下では添加効
果が少なく、10重量%を越えると複合酸化物薄膜の耐湿
性が減少するなどのマイナス効果が現れる。
加によりさらに改善されるが、P2O5は、複合酸化物薄膜
をガラス化するだけでなく、基板との密着性も向上する
ことによるものと推定される。P2O5の添加量は複合酸化
薄膜中の全酸化物の重量換算で、 0.5〜10重量%、好ま
しくは 1〜 7重量%である。 0.5重量%以下では添加効
果が少なく、10重量%を越えると複合酸化物薄膜の耐湿
性が減少するなどのマイナス効果が現れる。
【0022】
【実 施 例】本発明を、実施例および比較例により、
さらに詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、以下
の実施例によりなんらの制限を受けるものではない。
さらに詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、以下
の実施例によりなんらの制限を受けるものではない。
【0023】(1)複合酸化物薄膜形成用組成物 試料A−1〜A−5、比較試料C−1およびC−2 下記を原料として、必要に応じて溶剤および増粘剤を添
加して均一に混合し、組成の異なる複合酸化物薄膜形成
用組成物:試料A−1〜A−5および比較試料C−1な
らびにC−2を調製した。 Si源:テトラブトキシシラン (TBOS) および/ま
たはテトラエトキシシラン (TEOS) Ti源:テトライソプロポキシチタン (TIPT) Nb源:ペンタエトキシニオブ (PEON) P2O5源:P2O5エタノール溶液 調製した複合酸化物薄膜形成用組成物の金属原子比(原
子%)およびP2O5配合量(重量%、対全酸化物比)を、
表1に示す。
加して均一に混合し、組成の異なる複合酸化物薄膜形成
用組成物:試料A−1〜A−5および比較試料C−1な
らびにC−2を調製した。 Si源:テトラブトキシシラン (TBOS) および/ま
たはテトラエトキシシラン (TEOS) Ti源:テトライソプロポキシチタン (TIPT) Nb源:ペンタエトキシニオブ (PEON) P2O5源:P2O5エタノール溶液 調製した複合酸化物薄膜形成用組成物の金属原子比(原
子%)およびP2O5配合量(重量%、対全酸化物比)を、
表1に示す。
【0024】(2)複合酸化物薄膜の作製方法 前記調製した複合酸化物薄膜形成用組成物を、ソーダ硝
子にディッピング法またはスクリーン印刷法で均一な厚
さに塗布し、 150℃で10分乾燥後、約 600℃で2分焼成
し、約 400オングストロームの複合酸化物薄膜(ハーフ
ミラー)を得た。
子にディッピング法またはスクリーン印刷法で均一な厚
さに塗布し、 150℃で10分乾燥後、約 600℃で2分焼成
し、約 400オングストロームの複合酸化物薄膜(ハーフ
ミラー)を得た。
【0025】(3)複合酸化物薄膜の評価試験 前項で得られた複合酸化物薄膜について、下記の評価試
験を行った。 屈折率 :自記分光光度計を用いて測定した反射率
に基づき算出 透過率 :自記分光光度計を用いて測定 耐アルカリ性:室温の0.1Nの苛性ソーダの水溶液に10日
浸積後の透過率を測定 耐酸性 :室温の0.1Nの硫酸の水溶液に10日浸積後
の透過率を測定 耐磨耗性 :テーパー磨耗試験機を用い、500gの荷重
で 100回転後のヘーズ率を測定 耐汚れ性 :脂肪酸、ワックス、カ−ボン、土壌等を
含む汚染物を塗布し100 ℃で24時間加熱後拭き取った後
の透過率を測定 各測定結果を、表1に示す。なお、表1に示す各耐久性
試験結果は、下記を表す。 ○:初期値からの変化率が 1.0%以下で合格 △:初期値からの変化率が 1.0%を越え 2.0%以下で不
合格 ×:初期値からの変化率が 2.0%を越え不合格
験を行った。 屈折率 :自記分光光度計を用いて測定した反射率
に基づき算出 透過率 :自記分光光度計を用いて測定 耐アルカリ性:室温の0.1Nの苛性ソーダの水溶液に10日
浸積後の透過率を測定 耐酸性 :室温の0.1Nの硫酸の水溶液に10日浸積後
の透過率を測定 耐磨耗性 :テーパー磨耗試験機を用い、500gの荷重
で 100回転後のヘーズ率を測定 耐汚れ性 :脂肪酸、ワックス、カ−ボン、土壌等を
含む汚染物を塗布し100 ℃で24時間加熱後拭き取った後
の透過率を測定 各測定結果を、表1に示す。なお、表1に示す各耐久性
試験結果は、下記を表す。 ○:初期値からの変化率が 1.0%以下で合格 △:初期値からの変化率が 1.0%を越え 2.0%以下で不
合格 ×:初期値からの変化率が 2.0%を越え不合格
【0026】
【表1】 薄膜形成組成物:有機金属化合物は金属原子%、P2O5は
全酸化物中の重量%で表示 成 膜 法 : DIP;ディッピング法、 PRI;スクリ
ーン印刷法を表す。
全酸化物中の重量%で表示 成 膜 法 : DIP;ディッピング法、 PRI;スクリ
ーン印刷法を表す。
【0027】
【発明の効果】前記実施例(表1)に示したように、従
来のSiO2/TiO2からなる複合酸化物薄膜に比較して、Si
O2/TiO2にNb205 をさらに複合させた本発明の複合酸化
物薄膜は、耐久性(耐アルカリ性、耐酸性、耐磨耗性、
耐汚れ性)が著しく向上する。したがって、本発明の複
合酸化物薄膜は、ハーフミラー用として極めて好適であ
る。
来のSiO2/TiO2からなる複合酸化物薄膜に比較して、Si
O2/TiO2にNb205 をさらに複合させた本発明の複合酸化
物薄膜は、耐久性(耐アルカリ性、耐酸性、耐磨耗性、
耐汚れ性)が著しく向上する。したがって、本発明の複
合酸化物薄膜は、ハーフミラー用として極めて好適であ
る。
【0028】本発明は、耐久性の優れたハーフミラー用
複合酸化物薄膜を提供するものであり、その産業上の意
義は極めて大きい。
複合酸化物薄膜を提供するものであり、その産業上の意
義は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C03C 17/25 7003−4G G02B 1/10 Z 7820−2K 5/08 D 7316−2K
Claims (2)
- 【請求項1】 下記(a), (b)および(c) からなる金属原
子組成の複合酸化物薄膜からなることを特徴とするハー
フミラー用複合酸化物薄膜 (a) Si: 5〜50原子% (b) Ti: 5〜80原子% (c) Nb: 5〜80原子% - 【請求項2】 P2O5を含有する請求項1に記載のハーフ
ミラー用複合酸化物薄膜
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4086157A JPH05116988A (ja) | 1991-04-16 | 1992-03-10 | ハーフミラー用複合酸化物薄膜 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10968791 | 1991-04-16 | ||
JP3-109687 | 1991-04-16 | ||
JP4086157A JPH05116988A (ja) | 1991-04-16 | 1992-03-10 | ハーフミラー用複合酸化物薄膜 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05116988A true JPH05116988A (ja) | 1993-05-14 |
Family
ID=26427318
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4086157A Pending JPH05116988A (ja) | 1991-04-16 | 1992-03-10 | ハーフミラー用複合酸化物薄膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05116988A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009217065A (ja) * | 2008-03-11 | 2009-09-24 | Nitto Denko Corp | レーザーポインタ視認性向上フィルム、偏光板、画像表示装置およびレーザーポインタ表示方法 |
CN103663961A (zh) * | 2012-08-30 | 2014-03-26 | 株式会社小原 | 光学玻璃、光学元件及玻璃成型体的制造方法 |
JP2019137575A (ja) * | 2018-02-08 | 2019-08-22 | 日本電気硝子株式会社 | カバー部材及びその製造方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0426979A (ja) * | 1990-05-18 | 1992-01-30 | Nec Eng Ltd | 光cmバンクシステムプレビュー処理方式 |
JPH04117686A (ja) * | 1990-09-07 | 1992-04-17 | Fujitsu Ltd | 動画像編集装置 |
-
1992
- 1992-03-10 JP JP4086157A patent/JPH05116988A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0426979A (ja) * | 1990-05-18 | 1992-01-30 | Nec Eng Ltd | 光cmバンクシステムプレビュー処理方式 |
JPH04117686A (ja) * | 1990-09-07 | 1992-04-17 | Fujitsu Ltd | 動画像編集装置 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009217065A (ja) * | 2008-03-11 | 2009-09-24 | Nitto Denko Corp | レーザーポインタ視認性向上フィルム、偏光板、画像表示装置およびレーザーポインタ表示方法 |
CN103663961A (zh) * | 2012-08-30 | 2014-03-26 | 株式会社小原 | 光学玻璃、光学元件及玻璃成型体的制造方法 |
JP2019137575A (ja) * | 2018-02-08 | 2019-08-22 | 日本電気硝子株式会社 | カバー部材及びその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3384284B2 (ja) | 親水性被膜、これを備えた親水性基体及びそれらの製造方法 | |
DE102011076754A1 (de) | Substratelement für die Beschichtung mit einer Easy-to-clean Beschichtung | |
DE102011076756A1 (de) | Substratelement für die Beschichtung mit einer Easy-to-clean Beschichtung | |
JPWO2011027827A1 (ja) | 基材の表面に低反射膜を有する物品 | |
JP2534260B2 (ja) | 反射防止膜を有する光学部材の製造方法 | |
WO1999031185A1 (fr) | Liquide d'enduction pour former des revetements durs et substrats recouverts de revetements durs | |
JPH05116988A (ja) | ハーフミラー用複合酸化物薄膜 | |
JP2659310B2 (ja) | 薄膜形成用インキ | |
JPH0781977A (ja) | 反射防止膜およびその製造方法 | |
JP3912938B2 (ja) | 着色被膜形成法 | |
JP2946569B2 (ja) | 高耐熱性高屈折率複合酸化物薄膜形成用組成物 | |
JPH08337438A (ja) | 紫外線吸収被膜形成用中間層組成物及び紫外線吸収ガラス | |
JPH10236847A (ja) | 光学薄膜、その形成用組成物およびそれを用いた紫外線吸収熱線反射ガラス | |
JPH08104546A (ja) | 強化されまたは/及び曲げられた紫外線吸収膜付ガラスの製造方法 | |
JP3628802B2 (ja) | 防曇性薄膜及びその形成法 | |
WO1998041481A1 (fr) | Composition permettant de former un revetement colore et procede de production d'un article en verre pourvu dudit revetement colore | |
JP3649596B2 (ja) | 親水性酸化物被膜を形成した基材およびその製造方法 | |
JP3456396B2 (ja) | 透光性着色膜付きガラス基板の製造方法 | |
JP2504621B2 (ja) | フロ―コ―ト用薬液組成物 | |
JPH0971438A (ja) | 被膜形成用組成物 | |
JP2938106B2 (ja) | 高耐熱性高屈折率複合酸化物薄膜 | |
JPH0798911B2 (ja) | 導電性被膜形成用塗布液 | |
JPS6040171A (ja) | 酸化チタン薄膜形成用組成物 | |
JPS62195804A (ja) | 透明絶縁膜および透明絶縁膜形成用浸漬液 | |
JPH0410339A (ja) | 陰極線管パネル用着色塗布液及びそれを塗布した陰極線管 |