JP2946569B2 - 高耐熱性高屈折率複合酸化物薄膜形成用組成物 - Google Patents

高耐熱性高屈折率複合酸化物薄膜形成用組成物

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JP2946569B2 JP1303402A JP30340289A JP2946569B2 JP 2946569 B2 JP2946569 B2 JP 2946569B2 JP 1303402 A JP1303402 A JP 1303402A JP 30340289 A JP30340289 A JP 30340289A JP 2946569 B2 JP2946569 B2 JP 2946569B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高耐熱性高屈折率複合酸化物薄膜形成用組
成物に係り、さらに詳しくは、Si、Sn、及びSbよりなる
群から選ばれた少なくとも1種の金属、又はSi、Sn、及
びSbよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属とTa
金属を含有させたTiO2系複合酸化物薄膜をディッピング
法等により形成するための組成物に関する。
本発明の組成物を用いて形成される高耐熱性高屈折率
複合酸化物薄膜は、透明な金属酸化物薄膜からなる低屈
折率薄膜と高屈折率薄膜とを交互に積層した多層膜から
なる光干渉膜の高屈折率薄膜層として好適に使用され
る。
またこの光干渉膜は、光源ランプ、鏡、太陽熱集熱
鏡、光学フィルター、コールド・ミラー、太陽電池等の
光反射膜または光反射防止膜として使用される。
〔従来の技術〕
耐熱性基材表面に形成される高屈折率薄膜、特に光干
渉膜の低屈折率薄膜層上に形成される高屈折率薄膜層と
して、高屈折率を有し透光性の優れた酸化チタン(Ti
O2)薄膜が、一般に使用されている。また、本出願人
は、特に光干渉膜の高屈折率薄膜層として好適な光透過
性かつ高屈折率を有するTiO2−GeO2系複合酸化物薄膜を
提案した(特開昭62−177501号公報等参照)。
一方、耐熱性基材表面に金属酸化物薄膜を形成する方
法として、金属化合物の有機溶媒溶液を基材表面に塗布
し、加熱焼成する方法が広く採用されている。
前記方法により耐熱性基材表面に、これらのTiO2薄膜
を形成する場合の塗布液として、テトラアルコキシチタ
ン・モノマーの有機溶媒溶液が、一般に採用されるが、
テトラアルコキシチタン・モノマーの加水分解縮合物
(テトラアルコキシチタン・ポリマー)をアセチルアセ
トン等のキレート化剤を含有する混合有機溶媒に溶解し
た溶液(特開昭54−043241号公報等参照)なども知られ
ている。
また、本願出願人は、光干渉膜の高屈折率薄膜層とし
てのTiO2薄膜層形成用組成物として、テトラアルコキシ
チタン・モノマーおよびテトラアルコキシチタン・ポリ
マーのそれぞれを、キレート化剤と反応させ混合して有
機溶媒に溶解した組成物(特開昭60−040171号公報等参
照)、および前記TiO2−GeO2系複合酸化物薄膜形成用組
成物として、有機溶剤溶解性のチタン化合物とゲルマニ
ウム化合物との混合物または反応生成物を含有する有機
溶剤溶液(特開昭62−177502号公報参照)を提案した。
〔発明が解決しようとする問題点〕
耐熱性基材表面に形成される高屈折率薄膜として、前
記したようにTiO2薄膜、酸化ジルコニウム(ZrO2)薄膜
およびこれらの複合酸化物薄膜が採用されるが、低屈折
率薄膜と高屈折率薄膜とを交互に積層した光干渉膜にお
いては、低屈折率膜層との高屈折率薄膜層との屈折率差
が大きく、両層共に透光性の優れた、均質かつ均一な膜
厚を有し、両層間の密着性の優れた材質の薄膜が両層に
要求され、一般に低屈折率層として酸化ケイ素(SiO2
薄膜が、高屈折率層としてTiO2薄膜が採用される。
特に、近年、光干渉膜の用途拡大に伴い、前記性能に
加え高温条件下において安定性の優れた光干渉膜が要求
されるようになった。
一般的なTiO2薄膜の形成に使用されるテトラアルコキ
シチタン・モノマーの有機溶媒溶液は、テトラアルコキ
シチタン・モノマー自体加水分解され易く、大気中の水
分を吸収して容易にゲル化し、極めて安定性に欠けるこ
とから、光干渉膜の形成用への適用は困難である。
テトラアルコキシチタン・ポリマーをキレート化剤を
含有する混合溶媒に溶解した組成物は、安定性に優れ、
かつ耐熱性基材表面にTiO2薄膜を単独で形成する場合の
成膜性に優れるが、光干渉膜の高屈折率膜層としてのTi
O2薄膜の形成に用いた場合、低屈折率層としてのSiO2
膜との層間密着性が不足し、良好な光干渉膜が得られな
い。
テトラアルコキシチタン・モノマーおよびポリマーの
それぞれをキレート化剤と反応させ混合して有機溶媒に
溶解した組成物は、安定性およびTiO2薄膜の成膜性に優
れ、また低屈折率との層間密着性にも優れており、光干
渉膜の高屈折率薄膜層形成用として好適なものであっ
た。しかしながら、この組成物では、欠陥のないTiO2
膜を一回の塗布焼成で形成可能な膜厚が約800Åと限界
があり、それ以上の膜厚が要求される場合には、塗布焼
成を繰り返す必要があり、またこの組成物を用いて形成
したTiO2膜厚は、高温、たとえば900℃以上の温度にお
ける熱安定性が不足し、薄膜形成後の再加熱により可視
光の透過率が著しく低下する場合があった。
一方、TiO2−GeO2系複合酸化物薄膜は、高屈折率を有
し、可視光透過率が大きく、異種金属酸化物薄膜との層
間密着性に優れているが、熱安定性については、さらに
改善する必要があった。
本発明は、熱安定性に優れた高屈折率複合酸化物薄膜
形成用組成物を提供することをその目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、前記目的を達成すべく鋭意検討した結
果、Si、Sn、及びSbよりなる群から選ばれた少なくとも
1種の金属、又はSi、Sn、及びSbよりなる群から選ばれ
た少なくとも1種の金属とTa金属を添加したTiO2系複合
酸化物薄膜が、熱安定性に極めて優れることを見出し本
発明を完成した。
本発明は、対Ti原子比が0.001≦M/Ti≦0.3(ここに、
Mは、Si、Sn、及びSbよりなる群から選ばれた少なくと
も1種の金属、またはSi、Sn、及びSbよりなる群から選
ばれた少なくとも1種の金属とTa金属を表わす)の有機
溶剤可溶性のチタン化合物と、有機溶剤可溶性のSi、S
n、及びSbよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金
属化合物、もしくは有機溶剤可溶性のSi、Sn、及びSbよ
りなる群から選ばれた少なくとも1種の金属化合物とTa
金属化合物との混合物および/またはそれらの間の反応
生成物を含有し、有機溶剤可溶性のリン化合物および/
またはホウ素化合物を酸化物に換算して前記金属化合物
の酸化物基準で10重量%以下を含有していてもよい有機
溶剤溶液からなることを特徴とする高耐熱性高屈折率複
合酸化物薄膜形成用組成物である。
本発明において、高耐熱性高屈折率複合酸化物薄膜
は、対Ti原子比が0.001≦M/Ti≦0.3(ここに、Mは、S
i、Sn、及びSbよりなる群から選ばれた少なくとも1種
の金属、またはSi、Sn、及びSbよりなる群から選ばれた
少なくとも1種の金属とTa金属を表わすの添加金属を含
有し、対金属酸化物比で10重量%以下のリン酸化物およ
び/またはホウ素酸化物を含有していてもよいTiO2系複
合酸化物薄膜である。
前記有機溶剤可溶性のチタン化合物として、たとえ
ば、一般式:Ti(OR)で表され、式中のRが炭素数1
〜18の1価の炭化水素基の同種または異種であるテトラ
メトキシチタン,テトラエトキシチタン,テトライソプ
ロポキシチタン,テトラブトキシチタン,ジエトキシジ
イソプロポキシチタン,ジメトキシジブトキシチタン,
テトラ(2−エチルヘキソキシ)チタン,テトラフェノ
キシチタン等のチタンアルコキシド・モノマー、前記チ
タンアルコキシド・モノマーの加水分解縮合物(チタン
アルコキシド・ポリマー)および前記チタンアルコキシ
ド・モノマーとチタンアルコキシド・ポリマーとの混合
物が使用される。また、前記チタンアルコキシド・モノ
マー、チタンアルコキシド・ポリマーおよびそれらの混
合物と、酢酸,プロピオン酸,酪酸,高級脂肪酸等の有
機カルボン酸などのアシル化剤および/またはアセチル
アセトン,ベンゾイルアセトン等のβ−ジケトン類、ア
セト酢酸,プロピオニル酪酸等のケト酸類、ケト酸の低
級アルキルエステル類、エチレングリコール,ジエチレ
ングリコール,トリエチレングリコール,ポリエチレン
グリコール,プロピレングリコール,ポリプロピレング
リコール,オクチレングリコール等のジオール類、グリ
コール類,乳酸等のオキシ酸類およびそれらの低級エス
テル類、ジエタノールアミン,トリエタノールアミン等
のアミノアルコール類などのTi原子とキレート環を形成
し得るキレート化剤とを反応させて得られるチタン化合
物類等が使用される。
また、添加金属化合物として、有機溶媒可溶性の金属
化合物、たとえば前記チタン化合物と同様の置換基を有
するアルコキシド類、アルコキシド類と前記アシル化剤
および/または添加金属原子とキレート環を形成し得る
キレート化剤とを反応させて得られる金属化合物が使用
される。
チタン化合物と添加金属化合物との間の反応生成物
は、チタンアルコキシド・モノマーおよび/またはチタ
ンアルコキシド・ポリマーと添加金属のアルコキシドと
を加水分解、共縮合して得られるコポリマーであり、こ
のコポリマーもアシル化および/またはキレート化され
ていてもよい。
溶剤として、前記した金属化合物類を溶解し得るもの
が、特に制限なく使用される。たとえば、低級アルコー
ル類、エステル類、ケトン類、脂肪族炭化水素類、芳香
族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類およびそれらの混
合溶媒が使用され、好ましくは沸点は180℃以下の単独
溶媒または混合溶媒が使用される。
本発明の高耐熱性高屈折率複合酸化物薄膜形成用組成
物(以下、単に「塗布液」という)は、金属原子比が、
0.001≦M/Ti≦0.3(ここに、Mは、前記と同じ意味を表
す)の前記チタン化合物と添加金属化合物との混合物お
よび/またはそれらの間の反応生成物を、前記有機溶剤
に溶解した複合金属酸化物に換算した濃度として1〜30
重量%含有する溶液である。
前記塗布液は、有機溶剤可溶性の無機または有機のリ
ン化合物および/またはホウ素化合物を含有していても
よい。これらのリン化合物および/またはホウ素化合物
は、酸化物基準で複合金属酸化物に換算した合計に対し
て10重量%以下、好ましくは1〜5重量%の範囲で添加
される。
高耐熱性高屈折率複合酸化物薄膜は、耐熱性基材に前
記塗布液を均一な厚さに塗布して乾燥し、450℃以上の
温度下で1秒〜3時間加熱して有機物を熱分解すること
により、耐熱性基材表面に形成される。
また、450℃以上に加熱した耐熱性基材表面に塗布液
をスプレーして熱分解する方法によっても形成すること
ができる。
耐熱性基材として、常温から最高焼成温度までの温度
範囲において、変形や相変化のない表面の平滑な基材が
使用される。たとえば、石英ガラス,ホウケイ酸ガラス
等の耐熱性ガラス、アルミナ等のセラミックス、金,白
金等の金属などが使用でき、多くの場合耐熱性ガラスが
使用される。
前記塗布液の耐熱性基材への塗布方法として、均一な
膜厚の塗膜を形成可能な方法が、特に制限なく採用され
る。たとえば、浸漬引き上げ法、スプレー法、スピンナ
ー法、ロールコート法、カレンダーコート法、ドクター
ブレード法、印刷法などが採用でき、特に膜厚の均一性
が要求される場合には、浸漬引き上げ法が好ましく採用
される。
本発明の組成物を用い前記高耐熱性高屈折率複合酸化
物薄膜と低屈折率の金属酸化物薄膜、たとえばSiO2薄膜
とを、交互にそれぞれ所定の厚さに積層して多層膜とす
ることにより、光干渉膜を製造することができる。たと
えば、耐熱性ガラス基材表面に、Sb含有TiO2/SiO2/Sb含
有TiO2三層膜、Sb含有TiO2/SiO2/Sb含有TiO2/SiO2/Sb含
有TiO2五層膜等またはSb含有TiO2薄膜層に代えてSn,Si,
Taの単独またはSbを含めた前記添加金属の2種以上を含
有するTiO2薄膜をを形成することにより、光反射膜が得
られる。
SiO2薄膜は、有機ケイ素化合物、たとえばテトラメト
キシシラン,テトラエトキシシラン,テトライソプロポ
キシシラン,テトラブトキシシラン,ジエトキシジイソ
プロポキシシラン,ジクロルジメトキシシラン等のシラ
ンアルコキシドおよび/またはそれらの加水分解縮合体
を含有する溶液を用い、前記高耐熱性高屈折率複合酸化
物薄膜の形成と同様の方法で耐熱性基材または高耐熱性
高屈折率複合酸化物薄膜上に形成することができる。
〔作用〕
本発明の組成物を用いて形成される高耐熱性高屈折率
薄膜は、前記したようにTiO2をベースとし、Si、Sn、及
びSbよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属、ま
たはSi、Sn、及びSbよりなる群から選ばれた少なくとも
1種の金属Ta金属を含有することを特徴とする。
一般に、チタン化合物を高温熱分解することにより、
アモルファスTiO2、アナターゼ型および/またはルチル
型のTiO2結晶が生成する。アモルファスTiO2およびアナ
ターゼ型TiO2は、高可視光透過率を示すがルチル型TiO2
に比較して屈折率が低く、また高温下に長時間加熱する
ことにより高温安定型であるルチル型TiO2に相変換す
る。ルチル型TiO2薄膜は、アナターゼ型TiO2薄膜に比較
して熱的に安定であり、かつ高い屈折率を示すが薄膜中
でアモルファス相およびアナターゼ型結晶相から相変換
すると、薄膜の可視光の透過率が低下する。したがっ
て、高屈折率かつ高可視光透過率の要求される系、たと
えば光干渉膜の高屈折率膜層においては、アナターゼ型
TiO2とルチル型TiO2との混合比のバランスをとること、
およびルチル型TiO2への相変換を抑制することによりそ
の目的が達成される。
本発明においては、TiO2に前記添加金属を含有させる
ことにより、アモルファスTiO2およびアナターゼ型TiO2
の高温加熱時におけるルチル型TiO2への相変換および結
晶粒の成長が抑制される結果、可視光透過率の低下が抑
制され高耐熱性の高屈折率複合酸化物薄膜が得られる。
これらの効果は、前記添加金属の含有率が高い程大きく
なるが、過剰となると複合酸化物薄膜の屈折率が低下す
るので、それらの含有率は、金属原子比として0.001≦M
/Ti≦0.3(ここに、Mは前記と同じ意味を表す)の範囲
とすることが好ましい。
一方、リン酸化物および/またはホウ素酸化物は、前
記複合酸化物薄膜の平滑性および可視光透過率の向上さ
せる。また低屈折率膜、特に本質的にアモルファスであ
るSiO2薄膜と交互積層した光干渉膜においては、低屈折
率薄膜と高屈折率薄膜との層間密着性を向上させる。
リン酸化物および/またはホウ素酸化物の過剰添加
も、複合酸化物薄膜の屈折率を低下させるので、それら
の酸化物基準の添加量は、金属成分を酸化物に換算した
合計に対して10重量%以下、好ましくは1〜5重量%の
範囲である。
本発明の高耐熱性高屈折率複合酸化物薄膜形成用組成
物(塗布液)は、有機溶剤溶解性の各原料を用いた均一
溶液であることを特徴とする。
これら塗布液は、組成が均一であることから、これら
を用いることにより、組成の均一な、すなわち特性の均
一な高耐熱高屈折率複合酸化物薄膜を耐熱性基材上に形
成することができる。
特に、各原料としてキレート化した金属アルコキシド
原料を用いることにより、金属アルコキシドの加水分解
安定性が向上するだけでなく、一回の塗布焼成で形成可
能な複合酸化物薄膜の膜厚を700Å以上、1,500Åのレベ
ルまで向上することができる。
〔実 施 例〕
本発明を、実施例および比較例により、さらに詳細に
説明する。
ただし、本発明の範囲は、以下の実施例により何等の
制限を受けるものではない。
(1) 複合酸化物薄膜形成用組成物の調製 反応容器に、チタンアルコキシド、アルミニウムアル
コキシドとSi、Sn、及びSbよりなる群から選ばれた少な
くとも1種の金属、またはSi、Sn、及びSbよりなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の金属とTa金属のアルコキシ
ドを仕込み、エタノールを加えて均一に混合した後、室
温下に撹拌しながらアシル化剤またはキレート化剤を添
加し、加温して還流下に1時間保持して反応を行った。
得られた反応液に、ガラス質形成剤およびエタノールを
添加し、複合酸化物に換算した濃度が4.5重量%の複合
酸化物薄膜形成用組成物:A−1〜A−9を調製した。
また、金属成分としてチタンアルコキシドのみを使用
し、他は前記と同様に処理し、比較試料CA−1を、また
各種添加金属化合物の過剰量と過少料を添加して比較試
料CA−2〜CA−9を調製した。
調製した各試料の諸仕様を、第1表に示す。
なお、第1表中の略号は、下記を表す。
DEG :ジエチレングリコール AcAc:アセチルアセトン TEA :トリエタノールアミン LA :乳酸 i−Pr:イソプロピル基 n−Bu:ノルマルブチル基 (2) 複合酸化物薄膜の形成 良く洗浄、乾燥した20mm×50mm×1mmの石英ガラス基
板を、前記第(1)項で調製した各試料に浸漬し、約40
cm/分の一定速度で引き上げ室温下で乾燥した。
ついで、この基板を900℃に保持した電気炉中に5分
間保持して焼成し、石英ガラス基板表面に複合酸化物薄
膜を形成した。
(3) 複合酸化物薄膜の評価試験 前記第(2)項で調製した複合酸化物薄膜を形成した
石英ガラス基板の可視光透過率Tm(%)を自記分光光度
計を用いて測定し、可視光透過率Tm(%)の極小値から
算出した反射率R(%)より、複合酸化物薄膜の屈折率
nおよび膜厚t(Å)を算出した。
また、複合酸化物薄膜を形成した石英ガラス基板を90
0℃の温度に再加熱し、1時間保持および500時間保持後
に、前記と同様にして各特性を測定した。
これらの測定結果および再加熱後の薄膜状態(白濁、
ピンホール、微細クラック等の有無)を第1表中に示
す。
第1表に示したように、本発明の組成物を用いること
により、1回の塗布、焼成で1,000Å前後の比較的に膜
厚の厚い欠陥のない、再加熱時の高温熱安定性に優れた
複合酸化物薄膜が形成される(実施例参照)。これに対
し、添加金属を含有しない酸化物薄膜は、再加熱により
白濁し高温熱安定性が欠如している(比較例参照)。
(5) 光干渉膜の製造 良く洗浄、乾燥した20mm×50mm×1mmの石英ガラス基
板を、前記第(1)項で調製した試料A−1およびA−
3のそれぞれに浸漬し、約40cm/分の一定速度で引き上
げ室温下で乾燥した。
ついで、この基板を900℃に保持した電気炉中に5分
間保持して焼成を行い、石英ガラス基板表面にそれぞれ
膜厚1,020Åおよび1,000Å、屈折率2.12および2.26、可
視光透過率92.0%および91.4%の複合酸化物薄膜を形成
した。
ついで、この基板を、SiO2に換算した濃度が5.0重量
%の有機ケイ素化合物を含有する有機溶剤溶液(主成
分:シリケートポリマー、主溶剤:酢酸エステル、商品
名:アトロンNSi−500(日本曹達(株)製))に浸漬し
て引き上げ、電気炉中で900℃の温度に10分間加熱して
焼成し、膜厚1,800Å、屈折率1.46のSiO2薄膜を、複合
酸化物薄膜上に形成した。
さらに、これらの複合酸化物薄膜とSiO2薄膜とを積層
した石英ガラス基板を、前記各試料に浸漬し、以下前記
と同一の条件で複合酸化物薄膜の形成を行い、さらにSi
O2薄膜および複合酸化物薄膜の形成を繰り返して、複合
酸化物/SiO2/複合酸化物/SiO2/複合酸化物の五層膜を石
英ガラス基板表面に形成した。
得られた五層膜付き石英ガラス基板の可視光の最大透
過率は、90%以上であり、近赤外部の反射率も高いクラ
ック、剥離等の薄膜欠陥のない良好な光干渉性を示し
た。
また、これらの光干渉膜を形成した基板を900℃に500
時間再加熱しても、その可視光の最大透過率は、90%以
上が確保され、クラック、白濁、失透等の薄膜欠陥の発
生は認められなかった。
〔発明の効果〕
本発明は、前記したようにSi、Sn、及びSbよりなる群
から選ばれた少なくとも1種の金属、またはSi、Sn、及
びSbよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属とTa
金属を含有する高耐熱性高屈折率を有するTiO2系複合酸
化物薄膜を耐熱性基材上に形成するための均一溶液から
なる組成物であることを特徴とする。
本発明の組成物を用いて形成されるTiO2系複合酸化部
薄膜は、前記実施例に示したように高温熱安定性の優れ
た高屈折率および高可視光透過率を有する複合酸化物薄
膜であり、特に光干渉膜の高屈折率膜層として好適であ
る。
本発明は、高温熱安定性の優れた高屈折率および高可
視光透過率を有する複合酸化物薄膜、特に光干渉膜の高
屈折率膜層として好適な複合酸化物薄膜の形成用組成物
を提供するものであり、その産業上の意義は極めて大き
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−102201(JP,A) 特開 昭59−213602(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01G 23/00 G02B 5/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対Ti原子比が0.001≦M/Ti≦0.3(ここに、
    Mは、Si、Sn、及びSbよりなる群から選ばれた少なくと
    も1種の金属、またはSi、Sn、及びSbよりなる群から選
    ばれた少なくとも1種の金属とTa金属を表わす)の有機
    溶剤可溶性のチタン化合物と、有機溶剤可溶性のSi、S
    n、及びSbよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金
    属化合物、もしくは有機溶剤可溶性のSi、Sn、及びSbよ
    りなる群から選ばれた少なくとも1種の金属化合物とTa
    金属化合物との混合物および/またはそれらの間の反応
    生成物を含有し、有機溶剤可溶性のリン化合物および/
    またはホウ素化合物を酸化物に換算して前記金属酸化物
    の酸化物基準で10重量%以下を含有していてもよい有機
    溶剤溶液からなることを特徴とする高耐熱性高屈折率複
    合酸化物薄膜形成用組成物。
  2. 【請求項2】請求項第(1)項において、チタン化合物
    と添加金属化合物との混合または反応比が、金属原子比
    として0.001≦M/Ti≦0.3であることを特徴とする高耐熱
    性高屈折率複合酸化物薄膜形成用組成物
  3. 【請求項3】請求項第(1)項または第(2)項におい
    て、チタン化合物がチタンアルコキシド・モノマー、チ
    タンアルコキシド・モノマーの加水分解縮合物(チタン
    アルコキシド・ポリマー)または前記チタンアルコキシ
    ド・モノマーとチタンアルコキシド・ポリマーとの混合
    物であることを特徴とする高耐熱性高屈折率複合酸化物
    薄膜形成用組成物。
  4. 【請求項4】請求項第(1)項または第(2)項におい
    て、チタン化合物と添加金属化合物との反応生成物が、
    チタンアルコキシド、添加金属のアルコキシド、アシル
    化剤およびTi原子ならびに/もしくは添加金属原子とキ
    レート環を形成し得るキレート化剤よりなる群から選ば
    れた1種または2種以上との反応生成物であることを特
    徴とする高耐熱性高屈折率複合酸化物薄膜形成用組成
    物。
JP1303402A 1989-11-24 1989-11-24 高耐熱性高屈折率複合酸化物薄膜形成用組成物 Expired - Fee Related JP2946569B2 (ja)

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