JPH0667019A - 反射防止層およびその製造方法 - Google Patents

反射防止層およびその製造方法

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JPH0667019A
JPH0667019A JP4026190A JP2619092A JPH0667019A JP H0667019 A JPH0667019 A JP H0667019A JP 4026190 A JP4026190 A JP 4026190A JP 2619092 A JP2619092 A JP 2619092A JP H0667019 A JPH0667019 A JP H0667019A
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JP
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silicon
film
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antireflection layer
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JP4026190A
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Susumu Suzuki
すすむ 鈴木
Hiroyasu Kojima
啓安 小島
Koichi Suzuki
巧一 鈴木
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ZrとSiからなるターゲットを用いて、アル
ゴンと酸素と窒素を雰囲気で反応性直流スパッタリング
を行い、透明なZrとSiの酸窒化物膜を形成する。ま
た、アルゴンと酸素と窒素の混合割合を変えることによ
り、屈折率が互いに異なる複数の透明膜を積層して、反
射防止層を形成する。 【効果】化学的耐久性に優れた反射防止層を高速で製造
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は反射防止層およびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に透明反射防止物品における反射防
止層は、屈折率の異なる2種以上の物質を積層させてい
るが、従来よりこれらの物質としては金属または半導体
の酸化物が用いられている。例えば高い屈折率の物質と
してTiO2 、低い屈折率の物質としてSiO2 、中間
の屈折率の物質としてAl23 などが用いられてい
る。また酸化物ではないがMgF2 も低屈折率の代表的
な物質として用いられている。これらの物質の層を得る
方法として一般的に蒸着法やスパッタ法のようなドライ
プロセスが用いられている。ドライプロセスでは緻密で
基体との付着力の良好な膜を得ることができる。
【0003】また、知られている特殊な物質としてシリ
コンの酸化物膜、窒化物膜および酸窒化物膜がある。こ
れらの膜は、膜中に含まれる酸素と窒素の組成により、
屈折率が1.46〜2.00と変化する。スパッタ法で
はターゲットをSiとし、減圧されたアルゴンと酸素ま
たはアルゴンと窒素、またはアルゴンと酸素と窒素の混
合雰囲気中で反応性スパッタによりこれらの膜を容易に
得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では前述の
多様な物質を得るために出発原料として様々な物質を使
用しなければならなかった。例えば蒸着法を用いる場
合、SiO2 を得るために出発原料としてはSiやSi
O、また、TiO2 を得るためにはTiやTiOを出発
原料としている。またスパッタ法ではSiO2 を得るた
めにターゲットとしてSiやSiO2 、TiO2 を得る
ためにTiが用いられている。
【0005】これらの物質は同一の真空容器内に置かれ
なければならず、原料物質を設置するスペースが2種類
以上、必要であった。特に大面積の基体に反射防止膜を
被着させる場合には広いスペースが必要であった。ま
た、シリコンの酸化物膜は耐薬品性、特にアルカリ性に
弱く、この膜を用いた反射防止物品の使用場所は、室内
などあまり過酷でない環境下に限られていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の問題点を
解決すべくなされたものであり、2層以上の多層からな
る反射防止層であって、そのうち少なくとも1層が、ジ
ルコニウムおよびシリコンを含む窒化物または酸窒化物
からなる透明膜であることを特徴とする反射防止層、お
よび、2層以上の多層からなる反射防止層であって、そ
の各層は、ジルコニウムとシリコンを含む、酸化物、酸
窒化物、窒化物のうちいずれか1種からなる透明膜であ
ることを特徴とする反射防止層、および、ジルコニウム
およびシリコンを含む窒化物または酸窒化物からなる透
明膜を提供するものである。
【0007】前述のようにシリコンの酸化物膜、窒化物
膜、酸窒化物膜はスパッタ法においてシリコンのターゲ
ットのみから反応ガス組成を変化させるだけで容易に成
膜することができるが、酸化膜がアルカリに弱いという
欠点を持っていた。本発明はターゲットをジルコニウム
とシリコンの混合物とする事によりこの欠点を克服する
ことを主眼としている。
【0008】本発明の透明膜を反応性スパッタリング法
で形成する際に用いるターゲットの組成はZrSix
あり、透明膜の化学式はZrSixyz で表され
る。ZrSix についてはターゲットの組成と膜の組成
は同一となる。従ってxはターゲットにおけるジルコニ
ウムとシリコンの比によって決まる。xが100以上で
は酸化膜にした時のアルカリに対する耐性がシリコンの
酸化物膜と同様に悪くなる。またxが0.1以下では、
窒化物膜にした時に、ZrNのごとくに吸収膜になり、
透明反射防止物品としての適用が困難となる。透明膜Z
rSixyzの屈折率は、1.48〜2.40の範
囲で適宜選択できる。
【0009】y、zはスパッタ時の導入ガス(アルゴ
ン、窒素、酸素)のガス組成により決まる。例えばx=
9の場合、純粋な窒化物膜、つまり導入ガスがアルゴン
と窒素のみの場合には、y=0,z=13であり、純粋
な酸化物膜、つまり導入ガスがアルゴンと酸素のみの場
合には、y=20、z=0となり、導入ガスがアルゴ
ン、酸素および窒素の場合にはyおよびzはこれらの中
間の値となる。またx=2の場合、純粋な窒化物膜では
y=0、z=11/3、純粋な酸化物膜ではy=6、z
=0であり、導入ガスがアルゴン、酸素および窒素の場
合にはyおよびzはこれらの中間の値となる。
【0010】x=9の場合、吸収係数はほぼ0であり、
屈折率が窒化物膜の2.20より酸化物膜の1.50ま
で導入ガス組成によって変化する。酸、アルカリに対す
る耐性はすべての膜で優れている。耐擦傷性能は窒化物
膜ではやや劣るが、酸素の組成が増加するにつれて強く
なる。x=2の場合もやはり吸収係数はほぼ0であり、
屈折率の変化は2.35〜1.70となる。
【0011】ZrSix ターゲットを用いて、アルゴン
と酸素と窒素の混合割合を変えた減圧雰囲気中で反応性
スパッタリングを行って屈折率がそれぞれ異なる透明膜
を積層することにより、干渉効果により反射率を低減可
能な反射防止層を形成できる。反射防止層のうちに、ジ
ルコニウムとシリコンの酸化物膜、あるいは窒化物膜が
含まれていても良い。反射防止層を形成する透明基体と
しては、ガラス板や、プラスチックのフィルムや板など
があげられる。
【0012】スパッタターゲットとなるZrSix は導
電性がシリコン単体よりも優れているため、大面積にわ
たり均一な膜を高速で形成できる直流スパッタのターゲ
ットとして適用可能である。したがって本発明の反射防
止層は大面積の基体上に高速で形成可能である。
【0013】
【作用】本発明において、添加されているジルコニウム
はシリコンの酸化膜のみならず、窒化物膜や酸窒化物膜
の化学的耐久性をも増加させる働きをする。したがって
この膜で作られた反射防止物品は過酷な条件下、例えば
ビルや自動車の窓ガラスなどに単板で使用することも可
能である。
【0014】
【実施例】
[実施例1]ZrSi9 の組成のターゲットが装着され
ているスパッタ装置内にソーダライムガラスを基板とし
て設置し、反応性スパッタリングにより、屈折率の異な
る3種類のZrSi9yz 膜を積層した。
【0015】先ずアルゴン:酸素:窒素の流量比を1:
0.28:0.72とし、屈折率1.70の透明膜(第
1層)を825Å成膜した。次にその上から、アルゴ
ン:酸素:窒素の流量比を1:0:1とし、屈折率2.
20の透明膜(第2層)を1250Å積層した。さらに
その上から、アルゴン:酸素:窒素の流量比1:1:0
とし、屈折率1.50の透明膜(第3層)を825Å積
層し、かかる3層からなる反射防止層つき反射防止物品
を形成した。
【0016】得られた反射防止物品の反射率を400n
m〜700nmの波長域で測定した。図1にその結果を
示す。上記の波長域全域で反射率が1%以下になること
がわかった。
【0017】次にこのサンプルの耐酸、耐アルカリ性を
調べた。0.1N−(COOH)2,0.1N−NaO
H溶液を90℃に加熱し、サンプルを2時間浸漬し、浸
漬前後の分光特性、外観の変化を調べた。いずれの試験
でも変化は全くなかった。また、耐擦傷性を、テーバー
1000回前後のヘイズ率によって調べた。ヘイズ率の
増加は1.5%であり、この反射防止物品が実用上、十
分な耐擦傷性を持つことがわかった。
【0018】[実施例2]ZrSi9 の組成のターゲッ
トが装着されているスパッタ装置内にソーダライムガラ
スを基板として設置し、酸素と窒素の混合割合を変えた
減圧雰囲気中で、反応性スパッタリングにより、屈折率
の異なるZrSi9yz 膜(膜厚1000Å)を積
層した。
【0019】表1に各ZrSi9yz 膜((y、
z)=0.13〜20.0)の屈折率、吸収係数、酸、
アルカリに対する耐性、耐擦傷性能を示す。耐酸性は
0.1N−(COOH)2 、90℃、2h浸漬後、耐ア
ルカリ性は0.1N−NaOH、90℃、2h浸漬後
の、外観の変化を目視で評価したもの(○は外観変化が
認められなかったことを示す)、および浸漬前後のヘイ
ズ率の変化量ΔH(%)、耐擦傷性はテーバー1000
回前後のヘイズ率の変化量ΔH(%)を示したものであ
る。(表1において、導入ガスがArとO2のみのものは、
本発明の透明膜ではない。)
【0020】
【表1】
【0021】[比較例]Siターゲットが装着されてい
るスパッタ装置内にソーダライムガラスを基板として設
置し、酸素と窒素の混合割合を変えた減圧雰囲気中で反
応性スパッタリングにより、屈折率の異なるSiOy
z 膜(膜厚1000Å)を積層した。
【0022】表2に各SiOyz 膜の屈折率、酸、ア
ルカリに対する耐性を示す。耐酸性は0.1N−(CO
OH)2 、90℃、2h浸漬後、耐アルカリ性は0.1
N−NaOH、90℃、2h浸漬後の、外観の変化を目
視で評価したもの(○は外観変化が認められなかったこ
と、△は膜が白濁したこと、×は膜が溶けて消失したこ
とを示す)、および浸漬前後のヘイズ率の変化量ΔH
(%)を示したものである。
【0023】
【表2】
【0024】
【発明の効果】本発明により、化学的耐久性に優れた反
射防止物品を高速で製造することができる。また膜構成
を変えることにより、増反射物品に適用することも可能
である。また、本発明によれば、耐擦傷性に優れるとと
もに、耐酸性および耐アルカリ性にも大変優れた透明膜
を得ることができる。この透明膜は、このような高耐久
性を維持しつつ、屈折率を変えられるので、反射防止膜
等を構成する膜として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の反射防止物品の膜面反射率を示す図

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2層以上の多層からなる反射防止層であっ
    て、そのうち少なくとも1層が、ジルコニウムおよびシ
    リコンを含む窒化物または酸窒化物からなる透明膜であ
    ることを特徴とする反射防止層。
  2. 【請求項2】2層以上の多層からなる反射防止層であっ
    て、その各層は、ジルコニウムとシリコンを含む、酸化
    物、酸窒化物、窒化物のうちいずれか1種からなる透明
    膜であることを特徴とする反射防止層。
  3. 【請求項3】請求項1または2の反射防止層が透明基体
    上に形成されてなる透明反射防止物品。
  4. 【請求項4】ジルコニウムおよびシリコンを含む窒化物
    または酸窒化物からなる透明膜。
  5. 【請求項5】2層以上の多層からなる反射防止層の製造
    方法であって、その各層として、ジルコニウムとシリコ
    ンを含むターゲットを用いて、酸素かつ/または窒素を
    含む減圧雰囲気中で反応性スパッタリング法により、ジ
    ルコニウムとシリコンを含む、酸化物、酸窒化物、窒化
    物のうちいずれか1種からなる透明膜を形成することを
    特徴とする反射防止層の製造方法。
JP4026190A 1992-01-17 1992-01-17 反射防止層およびその製造方法 Withdrawn JPH0667019A (ja)

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