JPH0511475A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH0511475A
JPH0511475A JP16444691A JP16444691A JPH0511475A JP H0511475 A JPH0511475 A JP H0511475A JP 16444691 A JP16444691 A JP 16444691A JP 16444691 A JP16444691 A JP 16444691A JP H0511475 A JPH0511475 A JP H0511475A
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JP
Japan
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phthalocyanine
crystal
layer
peak
mixed crystal
Prior art date
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Application number
JP16444691A
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English (en)
Inventor
Yoshihide Fujimaki
義英 藤巻
Hajime Tadokoro
肇 田所
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 半導体レーザ等の長波長光に対して高感度特
性を有し、電荷保持性が良好で、さらに、画像欠陥、特
に反転現像時における黒色斑点の少い、モアレ発生を防
止した電子写真感光体の提供。 【構成】 導電性支持体上に、電荷発生物質及び電荷輸
送物質を含有する感光層を設けてなる電子写真感光体に
おいて、電荷発生物質としてCuKα特性X線(波長1.54
A)に対するブラッグ角2θの27.2±0.2°にピークを
有するもの及び9.1±0.2°、27.2±0.2°にピークを有
するものでかつ両者共示差熱分析において150℃以上400
℃以下に発熱ピークを有するチタニルフタロシアニンと
バナジルフタロシアニンの混晶を含有し、かつ、前記導
電性支持体と前記感光層との間に有機顔料及び/又は無
機顔料を分散させた中間層を有することを特徴とする電
子写真感光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関し、
特に光導電性材料として特定のフタロシアニン顔料を用
い、プリンタ、複写機等に有効であって、露光手段とし
て半導体レーザ光及びLED光等を用いて像形成を行う
ときにも好適な電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真感光体に用いられる光導
電性材料として、無機光導電性材料に代えて有機光導電
性材料が多く用いられるようになった。その理由は、有
機光導電性材料においては、合成物質及び合成条件の組
合せにより多種多様の材料を得ることができ、材料の選
択の自由度が大きく、目的に応じて所望の感光体を容易
に作製できるからである。
【0003】更にまた、前記有機光導電性材料を用いた
感光体においては、キャリア発生機能とキャリア輸送機
能とを異なる材料に分担させた機能分離型とすることに
より、材料の選択の自由度が一層拡大され、帯電後、感
度及び耐久性等の電子写真特性の改善が期待されるよう
になった。
【0004】他方、複写業界において、一層の画質の改
善及び画像の編集機能が要請され、これに対応したデジ
タル方式の複写機又はプリンタ等の記録装置の開発が進
められており、そのための記録媒体としての感光体の改
善が切望されている。前記デジタル方式の記録装置にお
いては、一般に、画像信号により変調されたレーザ光を
用いてドット状に露光して感光体上にドット潜像を形成
し、これを反転現像方式により現像して像形成を行うよ
うにしている。この場合、前記レーザ光としては、露光
装置の単純化、小型化及び低価格化が可能な半導体レー
ザ装置が好ましく用いられ、その発振波長は750nm以上
の赤外領域とされている。従って、用いられる感光体と
しては、少なくとも750〜850nmの波長領域に高感度を有
することが要求される。
【0005】ところで、前記機能分離型の感光体に用い
られるキャリア発生物質として、種々の有機染料又は有
機顔料が提案されており、例えば、ジブロムアンスアン
スロンに代表される多環キノン顔料、ピリリウム染料、
及び該ピリリウム染料とポリカーボネートとの共晶錯
体、スクェアリウム顔料、フタロシアニン顔料、アゾ顔
料等が実用化されている。これらのうち、特開昭61-239
248号、同61-217050号、同62-67094号及び同63-218768
号等には、750nm以上の長波長領域に主感度を有するチ
タニル系フタロシアニン顔料が記載されている。こうし
たチタニル系フタロシアニン顔料はいずれも、特定の凝
集構造もしくは結晶構造をもたらすことによって、主吸
収を長波長化させ、高感度化を図ったものであるが、前
記した顔料の製造条件の設定が難しく、このため、帯電
後、感度、繰返し特性等の特性全般を満足するものが得
られず、また、感度の点では一層の高感度化が望まれ
る。
【0006】本出願人は先に、前記高感度化の要望に対
応するものとして、特開昭64-17066号及び特開平2-2560
59号により高感度チタニル系フタロシアニン感光体を提
案した。この感光体は、キャリア発生物質としてCuK
α特性X線(波長1.541Å)に対応するブラッグ角度2
θの主要ピークが少なくとも27.2°±0.2°及び9.6°±
0.2°にあるチタニルフタロシアニン顔料を用いた点に
特徴がある。
【0007】即ち、この顔料は、従来公知のチタニル系
フタロシアニン顔料とは全く異なった前記X線回折スペ
クトルを有していて、可視及び近赤外の吸収スペクトル
が780nm〜860nmに最大吸収を示す凝集状態を有し、前記
レーザ光に対応して極めて高感度な特性を発揮しうるも
のである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記チタニルフタロシ
アニン顔料は優れた感度特性を有し、また、感光体上へ
の像形成に際して、画像信号により変調されたレーザ光
によりドット露光して前記感光体上にドット潜像を形成
し、該潜像のドット露光部を反転現像してドット状のト
ナー画像を良好に得ることができる。ところが、このよ
うなチタニルフタロシアニン顔料を用いた感光体の感度
特性や電荷保持性は、その分散方法によって左右される
ことがあり、分散方法の確立によって安定した特性を得
ることが望まれている。
【0009】他方、通常の電子写真感光体においては、
接地された導電層と感光層との間に電気的接触は微視的
には均一でなく、例えば導電層側からのキャリア注入が
場所によって異なるために、感光体表面に保持される電
荷分布に、局所的な差異が生じる。これは、現像の後
に、画像欠陥として顕在化し、ポジ型現像方式において
は黒地に白色斑点、ネガ型の反転現像方式においては白
地に黒色斑点となる。特に反転現像方式における黒色斑
点は、地かぶりと同様に、画像品質を著しく損なうもの
である。この問題は、前記の高感度化された感光体にお
いては特に鋭敏に生じ、前記反転現像方式における黒色
斑点の発生が顕著となる。
【0010】また、特にレーザ光のように入射光の位相
が揃っているものでは、入射光と基体表面での反射光と
の干渉によりいわゆるモアレが顕著に発生する問題があ
る。この問題を解決するため、従来では下引層などを設
けることが行われているが、充分効果を発揮せしめるた
めには下引層を厚くする必要があり、感度特性や黒斑点
特性の劣化を招く。
【0011】本発明は上記従来の課題に鑑みなされたも
ので、その目的は、特に半導体レーザ等の長波長光に対
して高感度特性を有し、電荷保持性が良好で、さらに、
画像欠陥、特に反転現像時における黒色斑点の少ない、
モアレ発生を防止した電子写真感光体を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、導電性支持体上に、電荷発生物質及び電
荷輸送物質を含有する感光層を設けてなる電子写真感光
体において、電荷発生物質としてCuKα特性X線(波
長1.541Å)に対するブラッグ角2θの27.2°±0.2°に
ピークを有し、かつ示差熱分析において150℃以上400℃
以下に発熱ピークを有するチタニルフタロシアニンとバ
ナジルフタロシアニンの混晶を含有し、かつ、前記導電
性支持体と前記感光層との間に有機顔料及び/又は無機
顔料を分散させた中間層を有することを特徴とする電子
写真感光体を構成した。
【0013】尚前記の構成態様においては、ブラッグ角
2θの9.5°±0.2°と27.2±0.2°ともにピークを有す
るチタニルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの
混晶を含有することが好ましい。
【0014】更に本発明の目的は、導電性支持体上に、
電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する感光層を設け
てなる電子写真感光体において、電荷発生物質としてC
uKα(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの9.1°
±0.2°、27.2°±0.2°にピークを有し、かつ示差熱分
析において150℃以上400℃以下に発熱ピークを有するチ
タニルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶
を含有し、かつ、前記導電性支持体と前記感光層との間
に有機顔料及び無機顔料を分散させた中間層を有するこ
とを特徴とする電子写真感光体によっても達成される。
【0015】更に前記の電子写真感光体においては、そ
の感光層の電荷発生層及び電荷輸送層がこの順に積層さ
れており、該電荷発生層が前記チタニルフタロシアニン
とバナジルフタロシアニンの混晶を含有していることが
好ましい。
【0016】近年単一のフタロシアニンだけでなく複数
のフタロシアニンを用いて特定の結晶配列を形成させる
というフタロシアニンの混晶が注目されている。この混
晶は単なる複数のフタロシアニンの混合と異なり、混晶
を形成することによって単一のフタロシアニンとは異な
った特性を得られるという利点がある。このフタロシア
ニンの混晶の例としては例えば特開昭2-84661号には2
種以上のフタロシアニンを気相状態を経て基盤上に再凝
集させるフタロシアニンの共蒸着による混晶の形成が開
示されている。しかしながらこれに開示されている結晶
型の銅フタロシアニンと無金属フタロシアニンの混晶や
チタニルフタロシアニンと無金属フタロシアニンの混晶
は感度が低いという問題がある。また特開昭2-70763号
に記載されている蒸着によるチタニルフタロシアニンと
バナジルフタロシアニンの混晶はチタニルフタロシアニ
ンのA型及びB型に相当する結晶型を示している。しか
しながらこれらの結晶型では感度の点で不十分である。
このように混晶においても要求される特性を満足するた
めには混晶を構成するフタロシアニンの種類や結晶型の
選択が重要である。そのためには材料の選択だけではな
く特定の結晶型を得るための結晶制御技術も重要で、現
在知られている蒸着による混晶の形成方法以外の結晶変
換技術の開発も必要である。
【0017】一般にフタロシアニンを電子写真感光体に
用いる場合、中心金属の種類や結晶型によって特性は著
しく変化することは良く知られている。したがって、電
子写真感光体用のフタロシアニンとしては帯電性が良好
で高い感度を有する安定な結晶型が必要である。一方、
ブラッグ角2θの27.2±0.2°にピークを有するチタニ
ルフタロシアニンは公知の光導電性物質の中では極めて
高い感度を有していることは良く知られているが、この
チタニルフタロシアニンを電子写真感光体に用いた場合
には帯電性が不十分で、高い特性が要求される電子写真
感光体においては高い感度を維持し、さらに帯電能の優
れた電荷発生物質が望まれる。この点から更に詳細な検
討を行って本発明に至った。すなわち、本発明の目的
は、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラ
ッグ角2θの27.2±0.2°にピークを有し、かつ示差熱
分析において150℃以上400℃以下に発熱ピークを有する
チタニルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混
晶、或はブラッグ角2θの9.5±0.2°及び27.2±0.2°
にピークを有するチタニルフタロシアニンとバナジルフ
タロシアニンの混晶、或はブラッグ角2θの9.1±0.2°
及び27.2±0.2°にピークを有するチタニルフタロシア
ニンとバナジルフタロシアニンの混晶のいずれか(以後
混晶フタロシアニンと称す)を感光層に含有させること
によって達成することができる。
【0018】ここで混晶とは一般に2種またはそれ以上
の物質が混合し、均一な溶相となった結晶をつくる場
合、その結晶のことをいうが、明礬類に見られるような
同形の塩や結晶格子が類似、或いは原子半径のあまり違
わない金属間においては混晶が形成されることが知られ
ている。本発明の結晶型をとるフタロシアニンの混晶に
ついても良く似た傾向が見られ、チタニルフタロシアニ
ンと比較的類似の構造のものが混晶を形成しやすい傾向
が見られた。チタニルフタロシアニンはW.Hillerら
によって結晶構造解析がなされており(Z.Kristallo
gr.,159,173(1982))その構造はTi=Oがフタロ
シアニン環の共役平面に対して上方に突き出たような構
造をしている。このチタニルフタロシアニンに対して例
えば平面構造を有する無金属フタロシアニンとの間では
結晶純度の高い本発明の結晶型の混晶を得るのは困難
で、本発明の結晶型に他の結晶が混入してくるなどの問
題が生じ、性能低下の原因となりやすい。一方、バナジ
ルフタロシアニンにおいても結晶構造解析がなされてお
り(R.Ziolo et al.,J.Chem.Soc.Dalton,
2300(1980))、チタニルフタロシアニンとはTi=O
結合とV=O結合にわずかに違いはあるものの良く似た
立体構造をとっていることが報告されている。したがっ
て、バナジルフタロシアニンはチタニルフタロシアニン
と混晶を形成するのに有利な立体構造を有していると考
えられ、実際にバナジルフタロシアニンにおいて他のい
くつかのフタロシアニンとは異なり、本発明の結晶型の
混晶を得ることができた。
【0019】本発明で用いられるチタニルフタロシアニ
ンはつぎの一般式〔I〕で表され、またバナジルフタロ
シアニンは一般式〔II〕で表される。
【0020】
【化1】
【0021】但し、一般式〔I〕及び〔II〕におい
て、X1、X2、X3、X4は水素原子、ハロゲン原子、ア
ルキル基、或いはアルコキシ基、アリールオキシ基を表
し、k、l、m、nは0〜4の整数を表す。
【0022】X線回折スペクトルは次の条件で測定さ
れ、ここでいうピークとはノイズとは異なった明瞭な鋭
角の突出部のことである。
【0023】 X線管球 Cu 電 圧 40.0 KV 電 流 100 mA スタート角度 6.0 deg. ストップ角度 35.0 deg. ステップ角度 0.02 deg. 測定時間 0.50 sec. 示差熱分析は1回の測定につき10〜50mgの試料量にて測
定し、昇温速度については30(゜K/min)で測定した。
測定試料の状態としては合成した本発明の結晶型のチタ
ニルフタロシアニン−バナジルフタロシアニン混晶の粉
末結晶を用いた。しかしながらこの粉末試料を用いて作
製した感光ドラムより剥離したチタニルフタロシアニン
−バナジルフタロシアニン混晶についても同様の測定を
行い粉末結晶との比較を行ったが、同一の結果が得られ
た。
【0024】また示差熱分析により150〜400℃に見られ
る発熱ピークは種々存在するフタロシアニンの結晶型の
中でも本発明の結晶型のフタロシアニンに固有のもので
あり、通常この発熱ピークの観測のみでも本発明の結晶
型のチタニルフタロシアニン−バナジルフタロシアニン
混晶かどうかの判別は可能である。
【0025】更に示差熱分析の発熱ピークとは熱示差曲
線上の明瞭なピークのことを指しており、発熱ピーク温
度はピークの極大となる点に相当する温度を示す。
【0026】本発明の結晶型の混晶フタロシアニンに見
られるこの発熱ピークはこの温度において本発明の結晶
型が熱的に安定な結晶に転移するという結晶転移点を表
している。従ってこの値はフタロシアニンの熱的な安定
性を示す物性値であり、結晶の配列と密接に関係してい
る。つまり、この結晶転移点が異なる結晶は熱的な挙動
も異なることを示している。例えば実施例に示したよう
に本発明の混晶フタロシアニンの結晶転移点はチタニル
フタロシアニンとバナジルフタロシアニンの組成比で異
なってくるが、複数の組成比の異なった混晶を混合して
示差熱分析を行うと各組成比の混晶の結晶転移点は独立
に観測される。また本発明の結晶型のチタニルフタロシ
アニンにいかなる結晶型のバナジルフタロシアニンを混
合しても観測されるのはチタニルフタロシアニンの結晶
転移点でありバナジルフタロシアニンとの混晶とは異な
っている。これは混晶におけるチタニルフタロシアニン
とバナジルフタロシアニンの成分が固体状態で均一な溶
相を形成しているためで混合とは本質的に異なるためで
ある。
【0027】また、赤外吸収スペクトルは次のような条
件で測定した。
【0028】 装置: ニコレー社製 FT−IR 60SX 分解能: 0.25cm-1 測定法: 拡散反射、KBr粉末 本発明に用いられるチタニルフタロシアニンの合成には
種々の方法を用いることができるが、代表的には次の反
応式(1)或いは(2)に従って合成することができ
る。
【0029】
【化2】
【0030】式中、R1〜R4は脱離基を表す。
【0031】また、本発明に用いられるバナジルフタロ
シアニンはチタニルフタロシアニンと同様にo-フタロニ
トリルや1,3-ジイミノイソインドリンと五酸化バナジウ
ム、アセチルアセトンバナジウムに代表されるバナジウ
ム試薬を1-クロルナフタレン等の不活性溶媒中で反応さ
せることにより得ることができる。
【0032】上記のようにして得られた混晶フタロシア
ニンの形成は従来技術としては共蒸着の方法のみが知ら
れているにすぎなかったが、本発明者らによる詳細な検
討の結果、そのほかにも溶媒中に均一に溶媒させた後析
出させる方法、或は固体状態にて混合後、ミリング等の
剪断力を付与する方法などによっても混晶の形成が可能
であることが判った。
【0033】具体的には再結晶、再沈澱、アシッドペー
スト処理、或は乾式又は湿式によるミリングによる方法
などが挙げられるが、このような混晶の形成法の確立に
より本発明の結晶型を得るに至った。しかしながら混晶
を形成させる方法はこれらの方法に限定されるものでは
ない。
【0034】次に本発明に用いられる結晶型の混晶フタ
ロシアニンを得る方法を例示的に示す。例えば通常のア
シッドペースト処理により任意の結晶型のチタニルフタ
ロシアニン及びバナジルフタロシアニンを濃硫酸に溶解
し、その硫酸溶液を水にあけて析出した結晶を濾取する
方法、或は任意の結晶型のチタニルフタロシアニンとバ
ナジルフタロシアニンを混合し、その混合物をミリング
等の機械的な力により粉砕する方法などによってチタニ
ルフタロシアニン−バナジルフタロシアニンより構成さ
れるアモルファス結晶が得られる。ここでアシッドペー
スト処理によりアモルファス化を行う場合は一般的な条
件にて達成され、フタロシアニンに対する濃硫酸の重量
比は特に限定されないが、5倍から200倍程度が望まし
い。また、濃硫酸に対する水あけに用いる水の量は重量
比で通常、5倍から100倍程度が望ましい。更に、フタ
ロシアニンを濃硫酸に溶解する温度は5℃以下、水あけ
温度は通常0℃以上50℃以下が望ましい。
【0035】次いでこのアモルファス結晶を特定の有機
溶媒で処理することによって本発明に用いられる結晶型
を得ることができる。用いられる有機溶媒としては炭化
水素系溶媒、芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒、アルコー
ル、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、有機酸、有機ア
ミン類、複素環化合物などが挙げられるが、必要に応じ
てスルホン酸やトリクロル酢酸等の酸を添加してもよ
い。一方、アモルファス結晶の状態は水分を含んだウエ
ットペーストの状態或は水分を含んでいない乾燥状態の
もののどちらも用いることができるが、これは処理する
有機溶媒の種類や目的によって選択する事ができる。さ
らにこの溶媒処理においては必要に応じて加熱あるいは
ミリング処理等の操作を行うことができる。また合成例
6に示したように一旦これらの方法にて本発明の結晶型
に変換された結晶に対して更に上述の有機溶媒で処理す
るなどの必要に応じた結晶処理を行うことができる。し
かしながら結晶変換の方法は必ずしもこのような方法に
限定されるものではない。
【0036】本発明の混晶フタロシアニンにおけるチタ
ニルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの組成比
は両方のフタロシアニンが存在していれば特に限定され
ないが、チタニルフタロシアニンの存在比は50%以上が
望ましい。さらに望ましくはチタニルフタロシアニンの
存在比が80%以上である。さらにはチタニルフタロシア
ニンの存在比が90%以上が最も望ましい。ここでいう存
在比とは全重量に対しての含有されているチタニルフタ
ロシアニンの重量比を表す。
【0037】本発明の電子写真感光体は上記のチタニル
フタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶の他に
光導電性物質を併用してもよい。他の光導電性物質とし
てはA、B、C、アモルファス、その他Y型に代表され
るブラッグ角2θの27.2゜にピークを有する各チタニル
フタロシアニンやバナジルフタロシアニン、更には無金
属フタロシアニンの各結晶型、銅フタロシアニン等に代
表される各種の金属フタロシアニン、ナフタロシアニ
ン、その他ポルフィリン誘導体、アゾ化合物、ジブロモ
アンスアンスロンに代表される多環キノン化合物、ピリ
リウム化合物及びピリリウム化合物の共晶錯体、スクエ
アリウム化合物などが挙げられる。
【0038】次に本発明の電子写真感光体はキャリア輸
送物質を併用してもよい。キャリア輸送物質としては種
々のものが使用できるが、代表的なものとして例えばオ
キサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジア
ゾール、イミダゾール等に代表される含窒素複素環核、
及びその縮合環核を有する化合物、ポリアリールアルカ
ン系の化合物、ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合
物、トリアリールアミン系化合物、スチリル系化合物、
ポリス(ビス)スチリル系化合物、スチリルトリフェニ
ルアミン系化合物、β-フェニルスチリルトリフェニル
アミン系化合物、ブタジエン系化合物、ヘキサトリエン
系化合物、カルバゾール系化合物、縮合多環系化合物等
が挙げられる。このキャリア輸送物質の具体例としては
例えば特開昭61-107356号に記載のキャリア輸送物質を
挙げることができるが、特に代表的なものの構造を次に
示す。
【0039】
【化3】
【0040】
【化4】
【0041】
【化5】
【0042】
【化6】
【0043】
【化7】
【0044】感光体の構成は種々の形態が知られてい
る。本発明の感光体はそれらのいずれの形態もとりうる
が、積層型もしくは分散型の機能分離型感光体とするの
が望ましい。例えば図1(a)及び(b)のような構成
がとられる。
【0045】なお、図1(a)に示した単層構成の感光
体においては、感光層2に用いるキャリア発生物質は本
発明に係る混晶フタロシアニン等であり、キャリア輸送
物質は上述したものから選択してもよい。また、感光層
2のバインダ樹脂は公知のものを任意に用いることがで
きる。その他、感光層2への添加物質も公知のものを流
用することができる。
【0046】次に、上記の感光体では、図1(b)のよ
うに、キャリア発生層5が中間層3を介して導電性支持
体1上に設けられる。図1(a)の感光体でも同様の中
間層3が設けられる。
【0047】図1(a)及び(b)の構成において最表
層には更に保護層を設けることができる。
【0048】前記中間層3は、主として、支持体1から
の有害なキャリアの注入を阻止し、ポジ型現像方式にお
いては黒地に白色斑点、ネガ型の反転現像方式において
は白地に黒色斑点が生じるのを防止して、画像品質を向
上させるためのものである。そして、本発明では、この
中間層3には有機顔料及び/又は無機顔料が用いられ
る。これによって、常に均一で電気的に欠陥のない中間
層3を形成でき、支持体からのキャリアの注入を効果的
に阻止でき、モアレの発生を防止でき、かつ感光層の接
着性向上により耐久性も良くなる。
【0049】本発明で用いられる無機顔料としては、例
えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アルミニウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸
化アンチモンを含有する酸化錫、酸化アンチモンを含有
する酸化錫を被覆した酸化チタンなどが挙げられるが、
この内、本発明では特に絶縁性酸化チタンが好ましい。
【0050】本発明において使用する有機顔料として
は、例えば赤(400〜500nm)、緑(500〜600nm)、青
(600〜700nm)等の各色の透過率の高いものであり、耐
熱性があり、ブリードを生じないものが好ましい。
【0051】青色の有機顔料としては、例えばε型銅フ
タロシアニンブルー及びビクトリアブルーレーキ(C.I.
Pigment Blue 1)の1種もしくは2種の主成分とし、
メチルバイオレットレーキ(C.I.Pigment Violet 3)
及びジオキサジンバイオレット(C.I.Pigment Violet
1)の1種もしくは2種を分光特性調整剤として用いた
ものなどが挙げられる。
【0052】また、赤色の有機顔料としては例えばナフ
トール系橙色顔料(C.I.Pigment Orange 13,同1)及
びジスアゾ系橙色顔料(C.I.Pigment Orange 13)から
選ばれる1種もしくは2種以上を主成分とし、必要に応
じてナフトール系赤色顔料(C.I.Pigment Red 22,同
8,同5,同4,同3,同31,同112,同114)及びピラ
ゾロン系赤色顔料(C.I.Pigment Red 38)から選ばれる
1種もしくは2種以上を分光特性調整剤として用いたも
のなどが挙げられる。
【0053】また、緑色の有機顔料としては、例えばポ
リクロロポリブロモフタロシアニングリーン(C.I.Pigm
ent Green 38)を主成分とし、ジスアゾ系黄色顔料(C.
I.Pigment Yellow 12,同13,同14)及びイソインドリ
ノン系黄色顔料(C.I.PigmentYellow 109,同100)の群
から選ばれる1種もしくは2種以上を分光特性調整剤と
して用いたものなどが挙げられる。
【0054】有機顔料の具体例としては以下のものが挙
げられる。
【0055】 KET Red 305 KET Red 309 KET Red 311 KET Yellow 403 KET Yellow 406 KET Green 201 (以上大日本インキ社製) TPC-314 TNC-112 (以上住友化学社製) 上記無機顔料及び/又は有機顔料は1種又は2種以上併
用してもよく、使用量は顔料バインダ樹脂との重量比で
1:10〜10:1の範囲である。
【0056】前記中間層3に使用可能な樹脂としては、
ポリカーボネートZ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹
脂、セルロース樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体、
ポリ酢酸ビニル、ポリビニルカルバゾール、スチレン-
アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキ
ッド樹脂、ポリエステル、フェノール樹脂、ポリウレタ
ン、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニリデン-
アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共
重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合
体、エチレン共重合体等を用いることができ、その内、
特に本発明に好ましく用いられるのはフェノール樹脂、
エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリアミド樹脂、セ
ルロース樹脂である。
【0057】また、前記中間層3を形成するための溶剤
としては、例えばブチルアミン、エチレンジアミン、
N,N-ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチル
ケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレ
ン、アセトフェノン、クロロホルム、ジクロルメタン、
ジクロルエタン、トリクロルエタン等が挙げられる。
【0058】前記中間層は、この上に設けられるキャリ
ア発生層との接着性、及び感光体上に形成される画像の
画質の調整等の機能を有し、かつ感光体上に付与される
電荷の保持等の機能も有する。導電性支持体上に設けら
れる中間層の厚みは本発明では比較的厚くすることが可
能で、好ましくは0.5〜30μm、更に好ましくは1〜20μ
mの範囲とされる。
【0059】感光層の形成においてはキャリア発生物質
或はキャリア輸送物質を単独でもしくはバインダや添加
剤とともに溶解させた溶液を塗布する方法が有効であ
る。しかし、一般にキャリア発生物質の溶解度は低いた
め、そのような場合キャリア発生物質を超音波分散機、
ボールミル、サンドミル、ホモミキサ等の分散装置を用
いて適当な分散媒中に微粒子分散させた液を塗布する方
法が有効となる。この場合、バインダや添加剤は分散液
中に添加して用いられるのが通常である。
【0060】感光層の形成に使用される溶剤或は分散媒
としては広く任意のものを用いることができる。例え
ば、前記中間層の形成に用いた溶剤を用いることができ
る。
【0061】キャリア発生層もしくはキャリア輸送層の
形成にバインダを用いる場合に、バインダとして任意の
ものを選ぶことができるが、特に疎水性でかつフィルム
形成能を有する高分子重合体が望ましい。このような重
合体としては前記中間層に用いたものをあげることがで
きるが、これらに限定されるものではない。
【0062】バインダに対するキャリア発生物質の割合
は10〜600wt%が望ましく、さらには、50〜400wt%とす
るのが望ましい。バインダに対するキャリア輸送物質の
割合は10〜500wt%とするのが望ましい。キャリア発生
層の厚さは0.01〜20μmとされるが、さらには0.05〜5
μmが好ましい。キャリア輸送層の厚みは1〜100μmで
あるが、さらには5〜30μmが好ましい。
【0063】上記感光層には感度の向上や残留電位の減
少、或は反復使用時の疲労の低減を目的として電子受容
性物質を含有させることができる。このような電子受容
性物質としては例えば、無水琥珀酸、無水マレイン酸、
ジブロム無水琥珀酸、無水フタル酸、テトラクロル無水
フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、3-ニトロ無水フ
タル酸、4-ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、
無水メリット酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノ
キノジメタン、o-ジニトロベンゼン、m-ジニトロベンゼ
ン、1,3,5-トリニトロベンゼン、p-ニトロベンゾニトリ
ル、ピクリルクロライド、キノンクロルイミド、クロラ
ニル、ブロマニル、ジクロルジシアノ-p-ベンゾキノ
ン、アントラキノン、ジニトロアントラキノン、9-フル
オレニリデンマロノニトリル、ポリニトロ-9-フルオレ
ニリデンマロノニトリル、ピクリン酸、o-ニトロ安息香
酸、p-ニトロ安息香酸、3,5-ジニトロ安息香酸、ペンタ
フルオル安息香酸、5-ニトロサリチル酸、3,5-ジニトロ
サリチル酸、フタル酸、メリット酸、その他の電子親和
力の大きい化合物を挙げることができる。電子受容性物
質の添加割合はキャリア発生物質の重量100に対して0.0
1〜200が望ましく、さらには0.1〜100が好ましい。
【0064】また、上記感光層中には保存性、耐久性、
耐環境依存性を向上させる目的で酸化防止剤や光安定剤
等の劣化防止剤を含有させることができる。そのような
目的に用いられる化合物としては例えばトコフェロール
等のクロマノール誘導体及びそのエーテル化化合物もし
くはエステル化化合物、ポリアリールアルカン化合物、
ハイドロキノン誘導体及びそのモノ及びジエーテル化化
合物、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導
体、チオエーテル化合物、ホスホン酸エステル、亜燐酸
エステル、フェニレンジアミン誘導体、フェノール化合
物、ヒンダードフェノール化合物、直鎖アミン化合物、
環状アミン化合物、ヒンダードアミン化合物などが有効
である。特に有効な化合物の具体例としては「IRGANOX
1010」、「IRGANOX 565」(チバ・ガイギー社製)、「ス
ミライザー BHT」「スミライザーMDP」(住友化学工業
社製)等のヒンダードフェノール化合物「サノール LS-
2626」、「サノール LS-622LD」(三共社製)等のヒン
ダードアミン化合物が挙げられる。
【0065】導電性支持体としては金属板、金属ドラム
が用いられる他、導電性ポリマーや酸化インジウム等の
導電性化合物、もしくはアルミニウム、パラジウム等の
金属の薄層を塗布、蒸着、ラミネート等の手段により紙
やプラスチックフィルムなどの基体の上に設けてなるも
のを用いることができる。
【0066】
【実施例】
:チタニルフタロシアニンの合成:1,3-ジイミノイソイ
ンドリン29.2gとo-ジクロルベンゼン200ml及びチタニウ
ムテトラブトキシドシド20.4gを混合し、窒素気流下に
て3時間還流させた。放冷して室温に戻した後析出した
結晶を濾取し、o-ジクロルベンゼンで洗浄し、更にメタ
ノールで洗浄した。更に得られた結晶を2%塩酸水溶液
中室温にて数回撹拌洗浄し、さらに脱イオン水で数回洗
浄を繰返した。その後メタノールで洗浄後、乾燥して青
紫色のチタニルフタロシアニン結晶24.2gを得た。
【0067】:バナジルフタロシアニンの合成:1,3-ジ
イミノイソインドリン29.2gとo-ジクロルベンゼン200ml
及びバナジルアセチルアセトナート8gを混合し、窒素
気流下にて5時間還流させた。その後放冷して室温に戻
した後析出した結晶を濾取し、o-ジクロルベンゼンで洗
浄し、更にメタノールで洗浄した。更に得られた結晶を
2%塩酸水溶液中室温にて数回撹拌洗浄し、さらに脱イ
オン水で数回洗浄を繰返した。乾燥後この結晶を1-クロ
ルナフタレンで再結晶して紫色のバナジルフタロシアニ
ン結晶18.9gを得た。
【0068】:混晶の合成: 合成例1 チタニルフタロシアニン4g及びバナジルフタロシアニ
ン1gを氷冷下250gの96%硫酸に溶解し、この硫酸溶液
を5lの水にあけて析出したアモルファス状態のウエッ
トペーストを濾取した。
【0069】更にこのウエットペーストとo-ジクロルベ
ンゼン50gを混合し、50℃の温度で2時間撹拌した。こ
の反応液をメタノールで希釈後濾過し、更に得られた結
晶をメタノールで数回洗浄して青色結晶を得た。この結
晶は図2に示すようにブラッグ角2θの9.5°及び27.2
°にピークを有し、かつ示差熱分析によって237℃に発
熱ピークを有する本発明のチタニルフタロシアニンとバ
ナジルフタロシアニンの混晶であることが判った。更に
この結晶は赤外吸収スペクトルを図6に示すが、本発明
の結晶は特に950〜1050cm-1の領域に特徴的な吸収を示
す。994cm-1に本発明の結晶に特徴的な吸収が見られる
が、これはバナジルフタロシアニンのV=O結合に由来
する吸収と考えられる。また961cm-1にも吸収を示して
おり、これはチタニルフタロシアニンのTi=O吸収と
考えられる。このように本発明のチタニルフタロシアニ
ンとバナジルフタロシアニンの混晶は2種のフタロシア
ニンが互いに独立に本発明の結晶型に由来する吸収を示
し、この2種のフタロシアニンの存在を支持している。
【0070】合成例2 合成例1においてチタニルフタロシアニン2.5g及びバナ
ジルフタロシアニン2.5gを用いた他は合成例1と同様に
して青色結晶を得た。この結晶は図3に示すようにブラ
ッグ角2θの9.5°及び27.2°にピークを有し、また示
差熱分析において228℃に発熱ピークを示した。さらに
赤外吸収スペクトルにおいては図7に示すように994cm
-1と961cm-1に吸収を示した。
【0071】合成例3 合成例1においてチタニルフタロシアニン1g及びバナ
ジルフタロシアニン4gを用いた他は合成例1と同様に
して青色結晶を得た。この結晶は図4に示すようにブラ
ッグ角2θの9.5°及び27.2°にピークを有し、また示
差熱分析において219℃に発熱ピークを示した。更に赤
外吸収スペクトルにおいては図8に示すように995cm-1
と961cm-1に吸収を示した。
【0072】合成例4 合成例2において得られた図3の混晶フタロシアニンを
THF中でミリングを行い、更にメタノールで洗浄して
図5に示したようにブラッグ角2θの9.1゜及び27.2゜
にピークを有するチタニルフタロシアニンを得た。この
チタニルフタロシアニンは示差熱分析において300℃に
発熱ピークが観測された。更に赤外吸収スペクトルにお
いては図9に示すように994cm-1及び961cm-1に吸収を示
した。
【0073】比較合成例(1) 合成例1のウェットペーストを乾燥後、α−クロルナフ
タレンを用いて、加熱撹拌することによって、β型のチ
タニルフタロシアニンを得た。
【0074】実施例1 ポリアミド樹脂「ラッカマイド5003」(大日本インキ社
製)5部(部は重量部を示す;以下同じ)をメタノール
/ブタノール(90/10)の混合溶剤100部に加熱溶解
し、0.6μmフィルタで濾過した後、酸化チタン「JA−
1」(帝国化工社製)20部を加えてボールミルで12時間
分散し、この分散液を浸漬塗布法によって、アルミニウ
ムドラム上に塗布し、膜厚6μmの中間層を形成した。
【0075】一方、合成例1において得られた図2のX
線回折パターンを有する混晶フタロシアニン3部、バイ
ンダ樹脂としてシリコーン樹脂「KR−5240,15%キシレ
ン/ブタノール溶液」(信越化学社製)固形分3部、分
散媒としてメチルエチルケトン100部、をサンドミルを
用いて分散した液を先の中間層の上に、浸漬塗布法によ
って塗布して、膜厚0.2μmのキャリア発生層を形成し
た。次いで、キャリア輸送物質(13)の1部、ポリカーボ
ネート樹脂「ユーピロンZ200」(三菱瓦斯化学社製)
1.5部、AO剤「IRGANOX 1010」(チバガイギー社製)0.1
部、微量のシリコーンオイル「KF−54」(信越化学社
製)を、1,2−ジクロルエタン10部に溶解した液を用
いて浸漬塗布し乾燥後、膜厚22μmのキャリア輸送層を
形成した。このようにして得られた感光体を試料1とす
る。
【0076】実施例2,3および8〜10 キャリア発生物質の種類、中間層及びキャリア発生層の
樹脂の種類、並びに中間層に分散する顔料の種類を表1
に示すものとし、用いる溶剤は用いる樹脂の種類に応じ
て適宜変更した他は実施例1と同様にして5種類の感光
体を得、これらを試料2,3および8〜10とする。
【0077】実施例4 ポリアミド樹脂「アミランCM8000」(東レ社製)10部を
メタノール/ブタノール(90/10)混合溶剤100部に加
熱溶解し、0.3μmフィルタで濾過した後、有機顔料「KE
T Red 305」(大日本インキ社製)3部を加えてボール
ミルで12時間分散し、この分散液を浸透塗布法によっ
て、アルミニウムドラム上に塗布し、膜厚2μmの中間
層を形成した。
【0078】一方、合成例1において得られた図2のX
線回折パターンを有する混晶フタロシアニン3部、バイ
ンダ樹脂としてポリビニルブチラール「エスレックBH
S」(積水化学社製)固形分3部、分散媒としてメチル
エチルケトン100部をサンドミルを用いて分散した液
を、先の中間層の上に浸透塗布法によって塗布して、膜
厚0.25μmのキャリア発生層を形成した。次いで、キャ
リア輸送物質(13)の1部、ポリカーボネート樹脂「ユー
ピロンZ 200」1.5部、微量のシリコーンオイル「KF−5
4」を1,2−ジクロルエタン10部に溶解した液を用いて
浸透塗布し乾燥の後、膜厚25μmのキャリア輸送層を形
成した。このようにして得られた感光体を試料4とす
る。
【0079】実施例5〜7 キャリア発生樹脂の種類、中間層及びキャリア発生層の
樹脂の種類並びに中間層に分散する顔料の種類を表1に
示すものとし、用いる溶剤は用いる樹脂の種類に応じて
適宜変更した他は実施例4と同様にして3種類の感光体
を得、これらを試料5〜7とする。
【0080】比較例(1)〜(3) キャリア発生物質の種類、中間層及びキャリア発生層の
樹脂の種類を表1に示すものとし、用いる溶剤は用いる
樹脂の種類に応じて適宜変更した他は実施例1と同様に
して3種類の感光体を得、これらを比較試料(1)〜
(3)とする。
【0081】
【表1】
【0082】使用した顔料、樹脂の種類は以下の通りで
ある。
【0083】無機顔料: 酸化チタン「JA−1」(帝国化工社製) 酸化アンチモン10%を含有する酸化錫を酸化チタン
に対して75重量%になるように被覆した酸化チタン 有機顔料: KET Red 305(大日本インキ社製) KET Yellow 403(大日本インキ社製) KET Green 201(大日本インキ社製) TPC-314(住友化学社製) 中間層樹脂: ポリアミド樹脂「ラッカマイド5003」(大日本イン
キ社製) ポリアミド樹脂「アミランCM8000」(東レ社製) エポキシ樹脂「U−33」(アミコンジャパン社製) キャリア発生層樹脂: シリコーン樹脂「KR 5240」(信越化学社製) ポリビニルブチラール「エスレックBHS」(積水化
学社製) (評価)前記試料1〜10及び比較試料(1)〜(3)を
「LBP-3110」(コニカ社製)(半導体レーザ光源搭載)
改造機に搭載し、未露光部電位VHが-700〔V〕になる
ようにグリッド電圧VGを調節し、ドラム面上の露光量
を10erg/cm2としたときの露光部の電位VLを測定した。
また、複写画像の白地部分の黒斑点を評価した。
【0084】なお、黒斑点の評価は、画像解析装置「オ
ムニコン3000形」(島津製作所社製)を用いて黒斑点の
粒径と個数を測定し、φ(径)0.1mm以上の黒斑点が1c
m2当たり何個あるかにより判定した。黒斑点評価の判定
基準は、下記に示す通りである。
【0085】 またモアレ発生の有無を目視により確認した。
【0086】 ○…モアレ発生なし ×…モアレ発生あり 評価の結果を表2に示す。
【0087】
【表2】
【0088】表2から、本発明の感光体は、比較感光体
に比して高感度特性を有し、かつ画像欠陥が少なく、反
転現像時の黒斑点が少い、さらにモアレ発生がないこと
がわかる。
【0089】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の感
光体によれば、反転現像時の黒斑点等の発生が少なく、
しかもモアレ発生を防止し、高感度、高画質の画像が安
定して得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感光体の層構成を例示する断面図
【図2】合成例1の混晶フタロシアニンのX線回折スペ
クトル図
【図3】合成例2の混晶フタロシアニンのX線回折スペ
クトル図
【図4】合成例3の混晶フタロシアニンのX線回折スペ
クトル図
【図5】合成例4の混晶フタロシアニンのX線回折スペ
クトル図
【図6】合成例1の混合フタロシアニンの赤外吸収スペ
クトル図
【図7】合成例2の混合フタロシアニンの赤外吸収スペ
クトル図
【図8】合成例3の混合フタロシアニンの赤外吸収スペ
クトル図
【図9】合成例4の混合フタロシアニンの赤外吸収スペ
クトル図
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 単層構成の感光層 3 中間層 4 2層構成の感光層 5 キャリア発生層 6 キャリア輸送層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に、電荷発生物質及び電
    荷輸送物質を含有する感光層を設けてなる電子写真感光
    体において、電荷発生物質としてCuKα特性X線(波
    長1.541Å)に対するブラッグ角2θの27.2±0.2°にピ
    ークを有し、 かつ示差熱分析において150℃以上400℃以下に発熱ピー
    クを有するチタニルフタロシアニンとバナジルフタロシ
    アニンの混晶を含有し、かつ、前記導電性支持体と前記
    感光層との間に有機顔料及び/又は無機顔料を分散させ
    た中間層を有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 前記ブラッグ角2θの9.5±0.2°、27.2
    ±0.2°にピークを有するチタニルフタロシアニンとバ
    ナジルフタロシアニンの混晶を含有することを特徴とす
    る請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 導電性支持体上に、電荷発生物質及び電
    荷輸送物質を含有する感光層を設けてなる電子写真感光
    体において、電荷発生物質としてCuKα特性X線(波
    長1.541Å)に対するブラッグ角2θの9.1±0.2゜、27.
    2±0.2゜にピークを有し、かつ示差熱分析において150
    ℃以上400℃以下に発熱ピークを有するチタニルフタロ
    シアニンとバナジルフタロシアニンの混晶を含有し、か
    つ、前記導電性支持体と前記感光層との間に有機顔料及
    び/又は無機顔料を分散させた中間層を有することを特
    徴とする電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記感光層の電荷発生層及び電荷輸送層
    がこの順に積層されてなり、該電荷発生層が前記チタニ
    ルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶を含
    有する請求項1又は3に記載の電子写真感光体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR19980018628A (ko) * 1996-08-13 1998-06-05 나까사또 요시히꼬 전자사진용 감광체
US6629362B2 (en) 1999-06-21 2003-10-07 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Method of manufacturing a circuit print board

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KR19980018628A (ko) * 1996-08-13 1998-06-05 나까사또 요시히꼬 전자사진용 감광체
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