JPH0510822Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、血液や血漿代用液等の輸液を収容す
る輸液用プラスチツク容器の口部に固着する栓体
に関するものである。

〔従来の技術〕

上記栓体には弾性を有するゴム栓が用いられる
が、このゴム栓は殺菌されない状態で使用される
ため、このゴム栓を容器内の輸液に接触させるこ
とはできない。

このため従来の上記栓体にあつては、実開昭59
−169835号公報に示されているように、ゴム栓の
下側面を内栓の薄膜部で、また上側面を外栓の薄
膜でそれぞれカバーし、使用時にはゴム栓の上側
部をカバーしている外栓の薄膜部の一部をプルリ
ングで引き剥がし、ここから注射針を刺入してゴ
ム栓と内栓の薄膜部を貫通するようになつてい
る。

また他の従来例として、実公昭58−37396号公
報に示されているように、ゴム栓の下面をプラス
チツクの薄膜でカバーしたものがある。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記いずれの従来例においても、ゴム栓の下面
をカバーしているプラスチツクの薄膜は単にゴム
栓に沿わせてあるだけで接着された構成とはなつ
ていなかつた。

このため、注射針の刺入時に、このプラスチツ
クの薄膜は注射針の貫通抵抗によりゴム栓と離間
してしまい、これにより、ゴム栓と薄膜との間に
輸液が浸入してたまり、これにゴム栓より溶出し
た不純物が混入し、これが容器内に再び入ること
により、容器内全体の輸液が汚染される恐れがあ
り、薬品衛生上問題があつた。

本考案は上記のことにかんがみなされたもの
で、注射針の刺入時に、ゴム栓の下面をカバーし
ているプラスチツクの薄膜がゴム栓より剥離して
ゴム栓より離間することがなくなり、従つて注射
針の刺入時にゴム栓と薄膜との間に輸液が浸入す
るのを防止でき、使用時における容器内の輸液の
衛生性を保持できるようにした輸液用プラスチツ
ク容器の栓体を提供することを目的とするもので
ある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案に係る輸液
用プラスチツク容器の栓体は、上部が容易に開口
可能にした外栓と、この外栓内に嵌合する内栓
と、外栓と内栓との間に封入されるゴム栓とから
なり、かつ輸液を充填する容器本体の口部に固着
する輸液用プラスチツク容器の栓体において、上
記内栓を環状に形成し、またゴム栓の下面にプラ
スチツクの薄膜を積層した構成となつている。

〔作用〕

外栓の上部を開口してからゴム栓に注射針を刺
入する。このとき、注射針はゴム栓と共に薄膜を
貫通するが、薄膜はゴム栓に溶着されているの
で、薄膜がゴム栓から離間することがなくなり、
薄膜とゴム栓との間に輸液が浸入することがな
い。

〔実施例〕

本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

図中１は帽子状に成形されたプラスチツク製の
外栓で、この外栓１の天板２の内面にスコア３が
環状に成形してある。またこの天板２の外面には
上記スコア３より中央側にプルリング４が突設し
てあり、このプルリング４を引き上げることによ
りスコア３より中央側の天板２が切除されるよう
になつている。

５は上記外栓１の内側に嵌着されるプラスチツ
ク製の内栓であり、この内栓５の先端部は円形に
開放されていると共に、この先端部は外栓１の内
面より離間する環状の突条部６が設けてある。

７は上記外栓１と内栓５の間の空間内に封入さ
れるゴム栓であり、その断面形状は所定の厚みを
有して上記空間形状とあわせてあり、これの上面
は外栓１の天板２の内に沿い、下面は内栓５の環
状の突条部６に嵌合する形状になつている。そし
てこのゴム栓７の下面にはプラスチツク製の薄膜
８が溶着して積層されている。この積層は溶着の
ほかに接着や加熱圧着などの公知の方法により行
なうことができる。

上記外栓１と内栓５の基端面は、ゴム栓７を封
入した状態で同一平面となるようになつていて、
この端面は容器本体９の入口のフランジ端面９ａ
に溶着等の手段にて固着されるようになつてい
る。

上記外栓１、内栓５にはホモポリマーあるいは
20モル％までのエチレンを含有するポリプロピレ
ンを主体とするプラスチツクにて、また薄膜８に
はポリプロピレン、ポリエチレン、フツ素樹脂等
が用いられる。

上記のように構成される栓は、外栓１内にゴム
栓７を嵌入してから内栓５を外栓１内に圧入する
ことにより組立てられる。そしてこのようにして
組立てられた栓体は輸液を注入した容器本体９の
フランジ端面９ａに固着される。このとき栓体の
ゴム栓７の内側は薄膜８を介して輸液に接触す
る。

輸液用プラスチツク容器の使用時には、プルリ
ング４を引き上げて外栓１の天板２を切除してか
らゴム栓７に注射針を刺入する。このとき注射針
はゴム栓７と共に、これの下面に積層した薄膜８
を貫通するが、薄膜８はゴム栓７に対して積層し
ていることにより、注射針の貫通抵抗によつても
薄膜８はゴム栓７から剥離せず、従つてゴム栓７
に輸液が接触することがない。

また組立て状態におけるゴム栓７は、この内側
外周部が、内栓５の突条部６に入り組み嵌合され
ているため、このゴム栓７は内栓５との嵌合部は
クサビ効果により強固に結合され、注射針の刺入
及び抜き出し時におけるゴム栓の脱落を防止でき
る。

上記構成の他の実施例として、内栓５の先端部
とゴム栓７の薄膜８とをも溶着した構成としても
よい。これは、例えば、内栓５をゴム栓７を嵌入
した外栓１内に射出成形にて形成することにより
容易に得られる。

さらに、外栓１はスコア３を備える天板２を有
することにより外栓１の上部を開口可能とした
が、開口部を易開封性のフイルムにて溶着するこ
とにより開口可能とすることもできる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、注射針の刺入時に、ゴム栓７
の内面をカバーしているプラスチツクの薄膜８が
ゴム栓７より剥離してゴム栓７より離間すること
がなくなり、従つて注射針の刺入時にゴム栓７と
薄膜８との間に輸液が浸入するのを防止でき、使
用時における容器内の輸液の衛生性を保持でき
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
断面図、第２図は分解断面図である。 １は外栓、５は内栓、７はゴム栓、８は薄膜、
９は容器本体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上部が容易に開口可能にした外栓１とこの外栓
   １内に嵌合する内栓５と、外栓１と内栓５との間
   に封入されるゴム栓７とからなり、かつ輸液を充
   填する容器本体９の口部に固着する輸液用プラス
   チツク容器の栓体において、上記内栓５を環状に
   形成し、またゴム栓７の下面にプラスチツクの薄
   膜８を積層したことを特徴とする輸液用プラスチ
   ツク容器の栓体。