JPH0510237A - エンジンのノツク検出方法 - Google Patents

エンジンのノツク検出方法

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JPH0510237A
JPH0510237A JP3164609A JP16460991A JPH0510237A JP H0510237 A JPH0510237 A JP H0510237A JP 3164609 A JP3164609 A JP 3164609A JP 16460991 A JP16460991 A JP 16460991A JP H0510237 A JPH0510237 A JP H0510237A
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Takayuki Sogawa
能之 十川
Yasunori Kikazawa
庸徳 気賀澤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エンジン運転状態及びノック検出位置による
相互干渉を排除してバックグランドレベルの設定精度を
向上するとともに異常上昇を防止する。 【構成】 サンプル区間内での平均値BGAVEをエンジ
ン運転状態に応じて設定したバックグランドレベル加重
平均率Xにより加重平均して該当気筒の加重平均後振幅
期間内平均値BGAVEXiを更新すると(S217)、該当バン
クのバックグランドレベル係数KBGjを乗算して該当気
筒のバックグランドレベルBGLiを設定し(S218)、バ
ックグランドレベル上限値BGLLMTと比較する(S21
9)。そして、BGLi<BGLLMTのときにはルーチンを
抜け、BGLi≧BGLLMTのとき、バックグランドレベ
ル上限値BGLLMTを該当気筒のバックグランドレベル
BGLiとして(S220)ルーチンを抜ける。これにより、
バックグランドレベルを適切なものとしてノック検出精
度を向上するとともにバックグランドレベル上昇による
ノック検出不良を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ノックセンサからの検
出出力に基づいてノック発生の有無を判定するエンジン
のノック検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、エンジンの混合気の異常
燃焼により発生するノックは、燃焼圧力振動として、あ
るいは、シリンダブロックなどに伝達する機械的振動と
して、ノックセンサにより検出することができる。
【0003】このノックセンサからの信号処理に関して
は、本出願人は、先に提出した特開平2−272327
号公報及び特開平2−272328号公報において、ノ
ックセンサからの信号を燃焼サイクルの特定期間内で連
続して高速にアナログ/デジタル(A/D)変換する、
いわゆるデジタルノック検出処理の技術を提案してお
り、この技術により、アナログ波形処理の経年変化によ
る信頼性低下を伴うことなく、正確にノック発生の有無
を判定することができるようになった。
【0004】一般に、このデジタルノック検出処理にお
いては、所定のクランク角に対応するサンプル区間でノ
ックセンサからの信号を高速にA/D変換し、このA/
D変換データからノックセンサ信号の振幅の区間内平均
値を求める。この区間内平均値は、ノイズの大きさやノ
ックの有無により変化し、サイクル間で変動するため、
通常、加重平均処理後、エンジン回転数などの運転条件
に応じた係数を乗じ、比較基準レベルであるバックグラ
ンドレベルを設定する。そして、このバックグランドレ
ベルを越える振幅のA/D変換データを抽出してバック
グランドレベルとの差を積分し、この積分値とノック判
定レベルを比較してノック発生の有無を判定するように
している。
【0005】しかし、ノックが連続して発生した場合に
は、加重平均処理してもバックグランドレベルが次第に
上昇し、最終的にノック検出不良となるおそれがある。
【0006】これに対処するに、特開昭63−5143
号公報には、ノッキング検出手段の所定クランク角期間
の出力を定量化するとともに、これを重みづけして平滑
化した値をバックグランドレベル(バックグランドノイ
ズ)とし、このバックグランドレベルに上限値を設定す
ることにより、異常発生時におけるバックグランドレベ
ルの異常な増大を抑制する技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、多気筒
エンジンで複数のノックセンサを使用するシステムにお
いては、ノックセンサ中のノイズは、気筒やノックセン
サ毎に大きさが異なり、また、バックグランドレベル
は、エンジンが高回転、高負荷のとき大きくなり、過渡
運転時などには急変する。
【0008】このため、1つの気筒で発生したノックに
より、他の気筒のバックグランドレベル演算値が変化し
てしまい、特に、ノックが連続して発生した場合には、
その影響が強くなり、バックグランドレベルが上限値に
はりつくおそれがある。
【0009】すなわち、単に1つのバックグランドレベ
ルに対して上限を設定するのみでは、エンジン運転状態
及びノック検出位置による相互干渉を排除して精度良く
バックグランドレベルを設定することは困難であり、ノ
ック誤検出やノック検出不良を生じるおそれがある。
【0010】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、エンジン運転状態及びノック検出位置による相互干
渉を排除してバックグランドレベルの設定精度を向上す
るとともに異常上昇を防止し、ノック誤検出やノック検
出不良を防止することのできるエンジンのノック検出方
法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によるエンジンの
ノック検出方法は、ノックセンサからの検出出力に基づ
いてノック発生の有無を判定するエンジンのノック検出
方法において、ノック検出位置毎に、所定のクランク角
期間内でサンプリングしたノックセンサの出力信号を統
計処理してエンジン運転状態に応じた係数を乗じ、ノッ
ク発生の有無を判定するためのバックグランドレベルを
設定する手順と、上記バックグランドレベルの上限値を
設定する手順とを備えたことを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明のエンジンのノック検出方法では、所定
のクランク角期間内でサンプリングしたノックセンサの
出力信号を統計処理し、エンジン運転状態に応じた係数
を乗じてノック検出位置毎に設定されるバックグランド
レベルに、上限値が設けられる。
【0013】従って、エンジン運転状態及びノック検出
位置による相互干渉を受けることなくバックグランドレ
ベルを精度良く設定でき、連続してノックが発生した場
合であっても、バックグランドレベルの異常上昇を防止
することができる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1〜図13は本発明の第1実施例を示し、図1
はノック検出及びバックグランドレベル設定ルーチンの
フローチャート(その1)、図2はノック検出及びバッ
クグランドレベル設定ルーチンのフローチャート(その
2)、図3はサンプル開始設定ルーチンのフローチャー
ト、図4はメインコンピュータにおける処理ルーチンの
フローチャート、図5はエンジン制御系の概略図、図6
はクランクロータとクランク角センサの正面図、図7は
図6の側面図、図8は第1のクランクロータと第1のク
ランク角センサの正面図、図9は第2のクランクロータ
と第2のクランク角センサの正面図、図10はカムロー
タとカム角センサの正面図、図11は制御装置の回路構
成図、図12はノック検出の時系列を示す説明図、図1
3はノック信号の処理を示す説明図である。
【0015】[エンジン制御系の構成]図5において、
図中の符号1はエンジン本体であり、図においては6気
筒水平対向型エンジンを示す。このエンジン本体1は、
シリンダブロック2がクランクシャフト1aを中心とし
て両側のバンク(図の右側が左バンク、左側が右バン
ク)に2分割されており、例えば、右バンクに#1,#
3,#5気筒の気筒群が配置され、左バンクに#2,#
4,#6気筒の気筒群が配置されている。
【0016】上記各バンクの各シリンダヘッド3には、
それぞれ吸気ポート4が形成され、各吸気ポート4にイ
ンテークマニホルド5が連通されている。また、上記イ
ンテークマニホルド5の上流に、各バンクに対応してス
ロットルチャンバ6a,6bが連通され、さらに、各ス
ロットルチャンバ6a,6bが合流して上流側にエアチ
ャンバ7が連通されている。
【0017】上記エアチャンバ7上流側には、吸気管8
を介してエアクリーナ9が取付けられており、このエア
クリーナ9の直下流に吸入空気量センサ(図において
は、ホットフィルム式エアフローメータ)10が介装さ
れている。
【0018】また、上記各スロットルチャンバ6a,6
bと上記エアチャンバ7との間に、それぞれ、スロット
ルバルブ11a,11bが介装され、一方のスロットル
バルブ11bに、スロットル開度センサ12aとスロッ
トルバルブ全閉を検出するアイドルスイッチ12bとが
連設されている。
【0019】さらに、各スロットルチャンバ6a,6b
を連通する通路6cに可変吸気バルブ11cが介装さ
れ、各スロットルバルブ11a,11bの直下流側が通
路6dによって連通され、この通路6dと上記エアチャ
ンバ7との間に、アイドルスピードコントロールバルブ
(ISCV)13が介装されている。
【0020】また、上記インテークマニホルド5の各気
筒の各吸気ポート4の直上流側にインジェクタ14が配
設され、さらに、上記各シリンダヘッド3の各気筒毎
に、その先端を燃焼室に露呈する点火プラグ15が取付
けられている。この点火プラグ15の端子部には、点火
コイル15aが直接取付けられ、イグナイタ16に接続
されている。
【0021】上記インジェクタ14には、燃料タンク1
7内に設けられたインタンク式の燃料ポンプ18から燃
料フィルタ19を経て燃料が圧送され、プレッシャレギ
ュレータ20にて調圧される。
【0022】また、上記シリンダブロック2に形成され
た冷却水通路(図示せず)に冷却水温センサ21が臨ま
されるとともに、上記シリンダブロック2の各バンク
に、それぞれ、右バンクノックセンサ22a、左バンク
ノックセンサ22bが取付けられており、上記各シリン
ダヘッド3の各排気ポート23から、各バンク毎に設け
た各排気管24a,24bが連通されている。
【0023】上記各排気管24a,24bには、それぞ
れ、右バンクO2 センサ25a,左バンクO2センサ2
5bが臨まされ、各O2 センサ25a,25bの下流側
に、それぞれ、触媒コンバータ26a,26bが介装さ
れ、さらに、各触媒コンバータ26a,26bの下流側
合流部に、触媒コンバータ27が介装されている。
【0024】一方、上記エンジン本体1のクランクシャ
フト1aには、クランクスプロケット1bが軸着され、
このクランクスプロケット1bにタイミングベルト28
が張設されている(図7参照)。そして、上記クランク
シャフト1aの回転が上記タイミングベルト28を介し
てカムシャフト1cに伝達され、このカムシャフト1c
が上記クランクシャフト1aに対し1/2 回転する。
【0025】また、上記クランクシャフト1aにクラン
ク角検出用の第1のクランクロータ29とグループ気筒
判別用の第2のクランクロータ30とが軸着され、第
1,第2のクランクロータ29,30の外周に、被検出
体である突起を検出する電磁ピックアップなどからなる
第1,第2のクランク角センサ31,32が、それぞれ
対設されている。また、上記カムシャフト1cにカムロ
ータ33が軸着され、このカムロータ33の外周に電磁
ピックアップなどからなるカム角センサ34が対設され
ている。
【0026】図7に示すように、上記各クランクロータ
29,30は、所定の間隔L2 をもって互いに近接して
軸着され、各クランクロータ29,30の外周に、上記
各クランク角センサ31,32が所定のクリアランスS
を介して対設されている。
【0027】また、上記各クランクロータ29,30の
間隔L2 は、各クランク角センサ31,32の間隔L1
( 上記クランクシャフト1aの軸方向の間隔)よりも小
さく、従って、上記第1のクランク角センサ31の軸中
心は、上記第1のクランクロータ29(クランク角検出
用クランクロータ)の板厚中心に対して上記クランクス
プロケット1b側へ僅かにオフセットしており、また、
上記第2のクランク角センサ32の軸中心は、上記第2
のクランクロータ30(グループ気筒判別用クランクロ
ータ)の板厚中心に対して上記エンジン本体1側へ僅か
にオフセットしている。
【0028】さらに、図6に示すように、上記各クラン
ク角センサ31,32は、上記クランクシャフト1aの
軸中心に対して所定の開き角θ0 (例えば25°)で配
置され、上記各クランク角センサ31,32を被検出体
が通過する際に生じる磁束変化により互いに影響を受け
てノイズが発生しないよう所定の空間的距離が保たれ
る。
【0029】すなわち、上記各クランクロータ29,3
0の軸方向の取付け長さが最小にされるとともに上記ク
ランク角センサ31,32の相互干渉が防止されてコン
パクト化を図ることができ、さらに、上記各クランクロ
ータ29,30の構成を簡単にすることができる。
【0030】また、上記クランク角検出用の第1のクラ
ンクロータ29は、図8に示すように、その外周に突起
29aが形成されており、また、上記グループ気筒判別
用の第2のクランクロータ30は、図9に示すように、
その外周にグループ気筒判別用の突起30aが形成され
ている。
【0031】そして、上記各クランク角センサ31,3
2を上記各突起29a,30aが通過する際に磁束を変
化させ、その結果、電磁誘導により上記各クランク角セ
ンサ31,32から交流電圧の信号列が出力され、それ
ぞれ、クランクパルス、グループ判別パルスに変換され
る。
【0032】上記クランク角検出用の第1のクランクロ
ータ29は、詳細には、突起29aが、例えば、各気筒
の圧縮上死点前(BTDC)10°を起点として30°
間隔で等間隔に形成され、この突起29aを検出する上
記第1のクランク角センサ31からの信号が波形整形さ
れ、クランク角30°毎のクランクパルスが得られるよ
うになっている。
【0033】例えば、BTDC70°を示すクランクパ
ルスは、エンジン回転数NEを算出する際の基準クラン
ク角であり、また、点火時期設定、燃料噴射時期設定の
際の基準クランク角となる。さらに、BTDC10°を
示すクランクパルスは、始動時の固定点火時期のクラン
ク角となる。
【0034】また、上記グループ気筒判別用の第2のク
ランクロータ30の突起30aは、例えば、#1,#2
気筒のBTDC55°の位置に1個形成され、#3,#
4気筒のBTDC55°の位置から30°毎に2個、#
5,#6気筒のBTDC55°の位置から30°毎に3
個形成されており、上記突起30aを検出する上記第2
のクランク角センサ32からの信号が同様に波形整形さ
れ、グループ判別パルスが得られる。
【0035】図12に示すように、上記グループ判別パ
ルスは、30°CA毎のクランクパルス間に0個ないし
1個出力され、BTDC100°とBTDC70°との
間には、いずれの気筒においてもグループ判別パルスは
存在せず、上記グループ判別パルスが、無し、有りのパ
ターンの後のクランクパルスは、常にBTDC40°を
示し、次のクランクパルスはBTDC10°を示す。
【0036】一方、図10に示すように、上記カムロー
タ33には、特定気筒の圧縮上死点を判別するため、例
えば#1気筒の圧縮上死点後(ATDC)43.2°の
位置に、突起33aが1個形成されており、カム角セン
サ34からのカムパルスと上記グループ判別パルスとに
より、個々の気筒を判別することができる。
【0037】尚、上記第1,第2のクランクロータ2
9,30、あるいは、上記カムロータ33の外周には、
突起の代わりにスリットを設けても良く、さらには、上
記第1,第2のクランク角センサ31,32、及び、カ
ム角センサ34は、電磁ピックアップなどの磁気センサ
に限らず、光センサなどでも良い。
【0038】[制御装置の回路構成]一方、図11にお
いて、符号40は、マイクロコンピュータからなる制御
装置(ECU)であり、このECU40は、点火時期制
御、燃料噴射制御などを行なうメインコンピュータ41
と、ノック検出処理を行なう専用のサブコンピュータ4
2との2つのコンピュータから構成されている。
【0039】また、上記ECU40内には定電圧回路4
3が内蔵され、この定電圧回路43から各部に安定化電
圧が供給されるようになっている。この定電圧回路43
は、ECUリレー44のリレー接点を介してバッテリ4
5に接続され、上記ECUリレー44のリレーコイルが
キースイッチ46を介して上記バッテリ45に接続され
ている。また、上記バッテリ45に、燃料ポンプリレー
47のリレー接点を介して燃料ポンプ18が接続されて
いる。
【0040】上記メインコンピュータ41は、メインC
PU48、ROM49、RAM50、タイマ51、シリ
アルインターフェース(SCI)52、及び、I/O
インターフェース53がバスライン54を介して互いに
接続されている。
【0041】上記I/O インターフェース53の入力
ポートには、吸入空気量センサ10、スロットル開度セ
ンサ12a、冷却水温センサ21、右バンクO2センサ
25a、及び、左バンクO2センサ25bが、A/D変
換器55aを介して接続されるとともに、アイドルスイ
ッチ12b、第1,第2のクランク角センサ31,3
2、カム角センサ34が接続され、さらに、上記バッテ
リ45が接続されてバッテリ電圧がモニタされる。
【0042】また、上記I/O インターフェース53
の出力ポートには、イグナイタ16が接続され、さら
に、駆動回路55bを介して、ISCV13、インジェ
クタ14、燃料ポンプリレー47のリレーコイルが接続
されている。
【0043】一方、サブコンピュータ42は、サブCP
U56、ROM57、RAM58、タイマ59、SCI
60、及び、I/Oインターフェース61がバスライン
62を介して互いに接続されて構成されている。
【0044】上記I/Oインターフェース61の入力ポ
ートには、第1,第2のクランク角センサ31,32、
及び、カム角センサ34が接続されるとともに、右バン
クノックセンサ22a、左バンクノックセンサ22b
が、それぞれ、アンプ63、周波数フィルタ64、A/
D変換器65を介して接続されている。
【0045】上記各ノックセンサ22a,22bは、例
えばノック振動とほぼ同じ固有周波数を持つ振動子と、
この振動子の振動加速度を検知して電気信号に変換する
圧電素子とから構成される共振形のノックセンサであ
り、エンジンの爆発行程における燃焼圧力波によりシリ
ンダブロックなどに伝わる振動を検出し、その振動波形
をノック信号として出力する。
【0046】このノック信号は上記アンプ63により所
定のレベルに増幅された後、上記周波数フィルタ64に
より必要な周波数成分が抽出され、A/D変換器65で
アナログデータからデジタルデータに変換される。
【0047】上記メインコンピュータ41と上記サブコ
ンピュータ42とは、SCI52,60を介したシリア
ル回線により接続されるとともに、上記サブコンピュー
タ42のI/Oインターフェース61の出力ポートが、
上記メインコンピュータ41のI/Oインターフェース
53の入力ポートに接続されている。
【0048】上記メインコンピュータ41では、クラン
クパルスに基づいて点火時期などを演算し、所定の点火
時期に達すると、該当気筒に点火信号を出力し、一方、
上記サブコンピュータ42では、クランクパルスの入力
間隔からエンジン回転数を算出し、このエンジン回転数
とエンジン負荷とに基づいて各ノックセンサ22a,2
2bからのノック信号のサンプル区間を設定し、このサ
ンプル区間で各ノックセンサ22a,22bからのノッ
ク信号を高速にA/D変換して振動波形を忠実にデジタ
ルデータに変換し、ノック発生の有無を判定する。
【0049】このノック発生の有無の判定結果は、サブ
コンピュータ42のI/Oインターフェース61に出力
され、ノック発生の場合には、SCI60,52を介し
たシリアル回線を通じてサブコンピュータ42から上記
メインコンピュータ41にノックデータが読込まれ、上
記メインコンピュータ41では、このノックデータに基
づいて直ちに該当気筒の点火時期を遅らせ、ノックを回
避する。
【0050】[動 作]まず、サブコンピュータ42に
おけるノック判定処理について説明する。サブコンピュ
ータ42では、基準クランクパルスが入力される度に、
図3に示すサンプル開始設定ルーチンが割込みスタート
し、右バンクノックセンサ22aあるいは左バンクノッ
クセンサ22bからの信号のサンプル開始タイミングが
設定される。
【0051】この基準クランク角は、例えば、BTDC
10°であり、BTDC10°のクランクパルスがサブ
コンピュータ42に入力されて割込み処理が起動される
と、ステップS101で、気筒#iを判別し、判別した気筒
#iに応じてノックセンサを選択する。例えば、判別し
た気筒#iが、#1,#3,#5の場合には右バンクノ
ックセンサ22aを選択し、判別した気筒#iが、#
2,#4,#6の場合には左バンクノックセンサ22b
を選択する。
【0052】この気筒判別は、第2のクランク角センサ
32からのグループ判別パルスが、BTDC100°と
BTDC70°との間には、いずれの気筒においても存
在しないことから、例えば、ある気筒のBTDC100
°を起点として次の気筒のBTDC100°までの間に
存在するグループ判別パルスのパターンを調べることに
より行なうことができ、#1,#2気筒、#3,#4気
筒、#5,#6気筒の各グループに対し、グループ毎の
気筒判別を行ない、さらに、カム角センサ34からのカ
ムパルスにより、個々の気筒を判別する。
【0053】次いで、ステップS102へ進み、クランクパ
ルス入力間隔時間T0 にサンプル開始角θSTA を乗算し
た値をクランクパルス間の角度θ(例えば、30°)で
除算することにより、サンプル開始角θSTAを基準クラ
ンク角からのサンプル開始時間TSTA に変換する(TST
A ←T0 ×θSTA /θ)。
【0054】上記サンプル開始角θSTA は、予めROM
57に最適な値がストアされている。すなわち、ノック
発生位置は点火時期により影響され、この点火時期は、
エンジン回転数NE、エンジン負荷Lをベースとした運
転条件によって設定されるため、ノック検出の適正なサ
ンプル開始角θSTA を、例えば、エンジン回転数NE、
エンジン負荷Lなどを考慮して実験などにより求め、予
め、ROM57にストアしておくのである。
【0055】その後、ステップS103へ進み、上記ステッ
プS102で変換したサンプル開始時間TSTA をサンプル開
始タイマTM1 にセットすると、ステップS104で、この
サンプル開始タイマTM1 による割込みを許可し、ルー
チンを抜ける。
【0056】このサンプル開始設定ルーチンによりセッ
トされたサンプル開始タイマTM1の計時がサンプル開
始時間TSTA になると、図1及び図2に示すノック検出
及びバックグランドレベル設定ルーチンがタイマ割込み
により起動する(図12参照)。
【0057】そして、ステップS201で、後述する振幅デ
ータ積分値P1及びノック積分値P2の前回のルーチン実
行時における値をクリアすると(P1←0、P2←0)、
ステップS202で、サンプル区間内でのサンプリング回数
をカウントするためのカウント値Nをクリアし(N←
0)、ステップS203で、エンジン回転数NEをパラメー
タとしてサンプル区間終了時刻をタイマセットする。
【0058】次いで、前述のサンプル開始設定ルーチン
にて設定した該当バンクのノックセンサからの出力をA
/D変換し、全波整流したデータを読込み、このA/D
変換データを、ステップS204でノック判定用データKN
ADとしてRAM58の所定アドレスにストアするととも
に、ステップS205でバックグランドレベル設定用データ
BGADとしてRAM58の所定アドレスにストアする。
【0059】そして、ステップS206で、バックグランド
レベル設定用データBGADとノックセンサ中心電圧AD
CNTとの差(絶対値)を振幅データ積分値P1に加算し
(P1←P1+|BGAD−ADCNT|)、ステップS207
で、カウント値Nをカウントアップし(N←N+1)、
ステップS208で、ノック判定用データKNADとノックセ
ンサ中心電圧ADCNTとの差(絶対値)を、前回までの
該当気筒に対するバックグランドレベルBGLiと比較
し、バックグランドレベルBGLiに対して所定量を越
えているか否かを判別する。
【0060】上記ステップS208で、|KNAD−ADCNT
|<BGLiの場合には、上記ステップS208からステッ
プS211へジャンプし、|KNAD−ADCNT|≧BGLiの
場合には、上記ステップS208からステップS209へ進ん
で、ノック判定用データKNADとノックセンサ中心電圧
ADCNTとの差(絶対値)から、バックグランドレベル
BGLiを減算した値を変数Kにストアし(K←|KNA
D−ADCNT|−BGLi)、ステップS210で、この変数
Kの値をノック積分値P2に加算する(P2←P2+
K)。
【0061】次いで、ステップS211で、サンプル区間が
終了したか否かを判別し、サンプル区間が終了していな
い場合には、前述のステップS204へ戻ってノック信号の
A/D変換を継続し、サンプル区間が終了した場合に
は、ステップS212へ進んで、ノック積分値P2をノック
強度データKNPとする(KNP←P2)。
【0062】次に、ステップS213へ進み、該当バンクに
対するノック判定レベルKNLVLjをRAM58から読出
し、このノック判定レベルKNLVLjとノック強度データ
KNPとを比較してノック判定を行なう。
【0063】すなわち、図13に示すように、ノックセ
ンサからのノック信号データを中心電圧に対して全波整
流した振幅データ|KNAD−ADCNT|のうち、バック
グランドレベルBGLiを越えるデータを積分し、この
ノック積分値P2をノック判定レベルKNLVLjと比較す
ることによりノック発生の有無を判別するのである。
【0064】その結果、上記ステップS213で、KNP≧
KNLVLjの場合には、ノック発生と判別し、ステップS2
14へ進んで、ノック判定フラグFLAGKNをセットして
(FLAGKN←1)ステップS216へ進み、KNP<KNL
VLjの場合には、ノック発生無しと判別して、ステップS
215で、ノック判定フラグFLAGKNをクリアする(F
LAGKN←0)。
【0065】その後、ステップS216へ進み、振幅データ
積分値P1をカウント値Nで除算してサンプル区間内で
の平均値BGAVEを算出し(BGAVE←P1/N)、ステ
ップS217で、このサンプル区間内での平均値BGAVE
を、バックグランドレベル加重平均率(加重平均の重
み)Xにより加重平均し、RAM58の所定アドレスに
ストアされている該当気筒の加重平均後振幅期間内平均
値BGAVEXiを更新する(BGAVEXi←(BGAVE+(X
−1)×BGAVEXi)/X)。
【0066】上記バックグランドレベル加重平均率X
は、エンジン回転数NEに比例するとともに、加速時に
は値が小さく、さらに、ノック発生時には値が大きくな
るよう、エンジン運転状態に応じて設定されており、低
回転時、加速時のバックグランドレベルの応答性悪化を
防止するとともに、ノック発生時のバックグランドレベ
ルの安定性を向上させる。
【0067】そして、上記ステップS217からステップS2
18へ進み、上記加重平均後振幅期間内平均値BGAVEXi
に、設定された該当バンクのバックグランドレベル係数
KBGj(右バンクノックセンサバックグランドレベル係
数KBG1、あるいは、左バンクノックセンサバックグラ
ンドレベル係数KBG2)を乗算して該当気筒のバックグ
ランドレベルBGLiを設定し(BGLi←KBGj×B
GAVEXi)、ステップS219へ進む。
【0068】上記右バンクノックセンサバックグランド
レベル係数KBG1及び左バンクノックセンサバックグラ
ンドレベル係数KBG2は、それぞれ、エンジン形式毎に
異なる適正値が、例えばエンジン回転数NEをパラメー
タとして、予め実験などにより求められ、ROM57の
テーブルにストアされている。
【0069】すなわち、各ノックセンサ22a,22b
からの信号を、運転状態に応じたバックグランドレベル
加重平均率Xにて統計処理するとともに、該当バンク毎
のバックグランドレベル係数KBGjを乗じてバックグラ
ンドレベルを設定するため、運転状態及びノック検出位
置の相互干渉を受けることなくバックグランドレベルを
適切に設定することができ、ノック検出精度を向上する
ことができるのである。
【0070】次に、上記ステップS218からステップS219
へ進むと、上記ステップS218で設定したバックグランド
レベルBGLiを、ROM57の所定アドレスから読出
したバックグランドレベル上限値BGLLMTと比較し、
BGLi<BGLLMTのときにはそのままルーチンを抜
け、BGLi≧BGLLMTのときにはステップS220へ進
み、ROM57から読出したバックグランドレベル上限
値BGLLMTを該当気筒のバックグランドレベルBGLi
として(BGLi←BGLLMT)ルーチンを抜ける。
【0071】上記バックグランドレベル上限値BGLLM
Tは、予め実験などにより最適値を求めROM57の所
定アドレスにストアされているものであり、このバック
グランドレベル上限値BGLLMT以下に該当気筒のバッ
クグランドレベルBGLiを抑えるため、ノックが連続
して発生した場合であっても、バックグランドレベル上
昇によるノック検出不良を確実に防止することができ
る。
【0072】一方、メインコンピュータ41において
は、図4に示す処理手順により、ノック発生の有無に応
じて点火時期を制御する。
【0073】すなわち、図4のステップS301で、サブコ
ンピュータ42のI/Oインターフェース61の出力ポ
ートからノック判定フラグFLAGKNのデータを読込
み、ステップS302で、ノック発生有りか否かを判別す
る。
【0074】上記ステップS302で、FLAGKN=0、す
なわちノック発生無しの場合には、そのままルーチンを
抜け、FLAGKN=1、すなわちノック発生有りの場合
には、上記ステップS302からステップS303へ進んで、サ
ブコンピュータ42へシリアル回線を通してノックデー
タ送信を要求し、ステップS304で、ノックデータKNP
を受信してルーチンを抜ける。
【0075】その結果、上記メインコンピュータ41か
ら出力される該当気筒の点火時期が、上記サブコンピュ
ータ42にてノック発生なしの判定結果が出力されるま
で遅角化される。
【0076】[第2実施例]図14は本発明の第2実施
例に係わり、ノック検出及びバックグランドレベル設定
ルーチンのフローチャート(その2)である。
【0077】この第2実施例は、バックグランドレベル
上限値BGLLMTを、固定値とせずにエンジン回転数NE
に基づいて設定するものであり、前述の第1実施例に対
し、ノック検出及びバックグランドレベル設定ルーチン
のフローチャート(その2)のステップS218とステップ
S219との間にバックグランドレベル上限値設定のステッ
プを追加したものである。
【0078】すなわち、ステップS218で該当気筒のバッ
クグランドレベルBGLiを設定すると、このステップS
218からステップS2180へ進み、エンジン回転数NEに基
づき、バックグランドレベル上限値テーブルを参照して
バックグランドレベル上限値BGLLMTを設定すると、
このバックグランドレベル上限値BGLLMTと該当気筒
のバックグランドレベルBGLiとをステップS219で比
較する。
【0079】上記バックグランドレベル上限値テーブル
は、フローチャート中に示すように、エンジン回転数を
パラメータとして、エンジン形式毎の特性により異なる
バックグランドレベル上限値の最適値を予め実験などに
より求め、これらの最適値データをROM57にテーブ
ルとしてストアしておくものであり、前述の第1実施例
に対し、該当気筒のバックグランドレベルBGLiの上
限を運転状態に応じてより緻密なものとすることができ
る。
【0080】尚、本発明は上述した実施例に限定される
ものではなく、ノックセンサを気筒毎に設け、各ノック
センサに対してノック判定レベル、バックグランドレベ
ルを設定するようにしても良い。
【0081】また、メインコンピュータ41にてノック
判定処理を行っても良く、ノック検出用のECUと点火
時期・燃料噴射制御用のECUとを別にしても良い。さ
らに、ノックセンサ22a,22bは、共振型のセンサ
に限定されることなく、シリンダブロックなどに伝達さ
れるエンジンの機械的振動のみならず、燃焼圧力、振動
音などを、振動波形として検出するものでも良い。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、エ
ンジン運転状態及びノック検出位置による相互干渉を排
除し、バックグランドレベル設定の精度を向上するとと
もにバックグランドレベルの異常上昇を防止することが
できるため、ノック誤検出やノック検出不良を防止する
ことができるなど優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係わり、ノック検出及び
バックグランドレベル設定ルーチンのフローチャート
(その1)
【図2】本発明の第1実施例に係わり、ノック検出及び
バックグランドレベル設定ルーチンのフローチャート
(その2)
【図3】本発明の第1実施例に係わり、サンプル開始設
定ルーチンのフローチャート
【図4】本発明の第1実施例に係わり、メインコンピュ
ータにおける処理ルーチンのフローチャート
【図5】本発明の第1実施例に係わり、エンジン制御系
の概略図
【図6】本発明の第1実施例に係わり、クランクロータ
とクランク角センサの正面図
【図7】本発明の第1実施例に係わり、図6の側面図
【図8】本発明の第1実施例に係わり、第1のクランク
ロータと第1のクランク角センサの正面図
【図9】本発明の第1実施例に係わり、第2のクランク
ロータと第2のクランク角センサの正面図
【図10】本発明の第1実施例に係わり、カムロータと
カム角センサの正面図
【図11】本発明の第1実施例に係わり、制御装置の回
路構成図
【図12】本発明の第1実施例に係わり、ノック検出の
時系列を示す説明図
【図13】本発明の第1実施例に係わり、ノック信号の
処理を示す説明図
【図14】本発明の第2実施例に係わり、ノック検出及
びバックグランドレベル設定ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
22a 右バンクノックセンサ 22b 左バンクノックセンサ BGLi 該当気筒のバックグランドレベル KBGL1 右バンクバックグランドレベル係数 KBGL2 左バンクバックグランドレベル係数 BGLLMT バックグランドレベル上限値

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ノックセンサからの検出出力に基づいて
    ノック発生の有無を判定するエンジンのノック検出方法
    において、 ノック検出位置毎に、所定のクランク角期間内でサンプ
    リングしたノックセンサの出力信号を統計処理してエン
    ジン運転状態に応じた係数を乗じ、ノック発生の有無を
    判定するためのバックグランドレベルを設定する手順
    と、 上記バックグランドレベルの上限値を設定する手順とを
    備えたことを特徴とするエンジンのノック検出方法。
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